(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044002
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】顔面装着用マスク及びバッグ状マスクフィルター
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230323BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20230323BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A41D13/11 E
A62B18/08 D
A62B18/02 C
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151798
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】500402313
【氏名又は名称】馬場 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 直樹
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】マスクフィルターに湿気が付きにくくなるようにして、マスクフィルターの性能低下を防止する。
【解決手段】顔面装着用マスクに、使用者10の口及び鼻の前方にドーム状の空間を形成するためのマスクフレーム20と、該マスクフレーム20に装着されるバッグ状マスクフィルター30と、を備える。前記バッグ状マスクフィルター30は、プリーツマスク34を幅方向中央で2つ折りにして、両端を密閉することにより袋状に形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口及び鼻の前方にドーム状の空間を形成するためのマスクフレームと、
該マスクフレームに装着されるバッグ状マスクフィルターと、
を備えたことを特徴とする顔面装着用マスク。
【請求項2】
前記バッグ状マスクフィルターが、プリーツマスクを幅方向中央で2つ折りにして、両端を密閉することにより袋状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の顔面装着用マスク。
【請求項3】
前記マスクフレームが、使用者の顔面に装着されるインナーフレームと、
該インナーフレームから引き起こされて使用者の口及び鼻の前方にドーム状の空間を形成するアウターフレームで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の顔面装着用マスク。
【請求項4】
前記マスクフレームに、使用者の耳に掛けるストリングを係止する手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の顔面装着用マスク。
【請求項5】
前記バッグ状マスクフィルターより使用者の顔面側に装着される一次マスクを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の顔面装着用マスク。
【請求項6】
プリーツマスクを幅方向中央で2つ折りにして、両端を密閉することにより袋状に形成されてなることを特徴とするバッグ状マスクフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面装着用マスク及びバッグ状マスクフィルターに係り、特に、新型コロナウイルスや花粉症の対策に用いるのに好適な、マスクを通らないで呼吸する空気を遮断し、使用するマスクを通して呼吸する空気中の粉塵、エアロゾル、花粉などの透過除去率を向上させて、高いマスク機能を達成することが可能な、顔面装着用マスク及びバッグ状マスクフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
顔面装着用マスクとして、従来、特許文献1や2に記載されたような、マスクフレームの表面にマスクフィルターを装着する顔面装着用マスクや、特許文献3に記載されたような、フレーム状のマスク補助具の上からマスクを装着する物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-150317号公報
【特許文献2】特開2003-320043号公報
【特許文献3】特開2009-72522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来は、マスクフィルターとして平面状のものを用いていたため、マスク使用者の呼気中に含まれる湿気がフィルターに付きやすく、フィルターの性能が低下するという問題点を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、マスク使用者の口鼻周辺に空間を形成して、マスクフィルターの性能低下をもたらす湿気がマスクフィルターに付きにくくすることを第1の課題とする。
【0006】
本発明は、又、前記顔面装着用マスクに用いるのに好適なバッグ状マスクフィルターを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、使用者の口及び鼻の前方にドーム状の空間を形成するためのマスクフレームと、該マスクフレームに装着されるバッグ状マスクフィルターと、を備えたことを特徴とする顔面装着用マスクにより、前記第1の課題を解決するものである。
【0008】
ここで、前記バッグ状マスクフィルターを、プリーツマスクを幅方向中央で2つ折りにして、両端を密閉することにより袋状に形成することができる。
【0009】
又、前記マスクフレームを、使用者の顔面に装着されるインナーフレームと、該インナーフレームから引き起こされて使用者の口及び鼻の前方にドーム状の空間を形成するアウターフレームで構成することができる。
【0010】
又、前記マスクフレームに、使用者の耳に掛けるストリングを係止する手段を設けることができる。
【0011】
又、前記バッグ状マスクフィルターより使用者の顔面側に密着される一次マスクを更に備えることができる。
【0012】
本発明は、又、プリーツマスクを幅方向中央で2つ折りにして、両端を密閉することにより袋状に形成されてなることを特徴とするバッグ状マスクフィルターにより、前記第2の課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バッグ状マスクフィルターにより、マスク使用者の口鼻周辺に空間が形成され、マスクフィルターの性能低下をもたらす湿気がマスクフィルターに付きにくくなる。更に、マスクフレームとストリングは再使用でき、バッグ状マスクフィルターのみが使い捨てになるので、廃棄されるものはバッグ状マスクフィルターのみに限定できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の全体構成を示す分解斜視図
【
図2】同じくマスクフレーム及びバッグ状マスクフィルター装着前の状態を示す正面図
【
図4】第1実施形態で用いるバッグ状マスクフィルターの製造状態を示す図
【
図5】第1実施形態のバッグ状マスクフィルターをマスクフレームに被せた使用状態を示す図
【
図6】第1実施形態で用いるマスクフレームの例を示す正面図
【
図9】本発明の第2実施形態の全体構成を示す分解斜視図
【
図10】同じくマスクフレーム及びバッグ状マスクフィルター装着前の状態を示す正面図
【
図12】本発明の第3実施形態でマスクフレームにバッグ状マスクフィルターを被せた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0016】
図1乃至
図3に、本発明の第1実施形態の全体構成及び装着前後の状態を示す。
【0017】
本実施形態は、使用者10の口及び鼻の前方にドーム状の空間を形成するための、インナーフレーム22及びアウターフレーム24を有するマスクフレーム20と、該マスクフレーム20に装着される、本発明に係るバッグ状マスクフィルター30とを備えている。
【0018】
前記バッグ状マスクフィルター30は、
図4(A)に示すような、例えばプリーツが開いた時に必要な大きさ(例えば幅19cm、長さ21cm程度)を有する、例えば不織布製のマスク素材32を並行プリーツ加工して得た、
図4(B)に示すような、例えば幅19cm、高さ11cm程度のプリーツマスク34を、その幅方向中心の折り線34Aで2つ折りして、
図4(C)に示すような半分に折り畳んだ状態(幅19cm、高さ5.5cm程度)とする。図において、36は鼻側のアルミフィッティングである。そして、実線38で示した部分(密封線と称する)をミシンにより縫い付けあるいは接着することにより、密封する。密封して裏返した状態を
図4(D)に示す。そして、
図5に示す如く、例えば内側からマスクフレーム20に巻き込んで被せて使用状態とする。
【0019】
このようにして、プリーツマスク34の両端をシールあるいは縫製し、バッグ状マスクフィルター30を袋状に整形する。そして、プリーツを持つバッグ状マスクフィルター30の連続した開口部を別体のマスクフレーム20に内側あるいは外側から被せ内部を広げて展開することにより、使用者10の口鼻周辺に空間を形成でき、バッグ状マスクフィルター30の性能低下をもたらす湿気がフィルターに付きにくい状態にできる。
【0020】
前記マスクフレーム20は、
図6に例示する如く、例えばレーザーカットにより分割線20Aが形成された二重リング状の平面リングのアウターフレーム24を、
図7に示す如く、インナーフレーム22から引き起こすことによって、
図8に示すような使用状態としたものである。図において、20Bは、折り曲げを容易とするための小径の穴、24Aは、ストリング係止用凸部、24Bはストリングホール、26は、使用者10の耳に掛けるためのストリングである。
【0021】
本実施形態においては、
図6に示したような二重リング状の部材の一部を引き起こしてアウターフレーム24とし、そこにストリング26を掛けることで、マスクを使用者10の顔に押さえる力点をインナーフレーム22より前方に配置すると共に、インナーフレーム22を顔面に近づけることができる。これにより、インナーフレーム22を使用者10の顔面に密着させると共に、ストリング26が頬に当たる頻度を少なくして、頬に当たる圧力を軽減することができる。そして、
図1に示したように、バッグ状マスクフィルター30を装着した上からマスクフレーム20を装着することができる。
【0022】
本実施形態によれば、バッグ状マスクフィルター30を使用者10の顔の周囲に抑えて気密を保持するマスクフレーム20に、バッグ状マスクフィルター30を内側もしくは外側から被せて開口端部を折り返し、折り返し部分をマスクフレーム20で使用者10の口鼻の周囲に密着させることで、バッグ状マスクフィルター30の折り返し部分と密着面を除いたバッグ状マスクフィルター30の全面積をフィルターとして有効に使うことができる。
【0023】
バッグ状マスクフィルター30は、マスクフレーム20とストリング26と全く独立したものであり、マスクのフィルター機能だけに特化した構成部品となる。
【0024】
又、バッグ状マスクフィルター30は、立体的に展開し使用者10の口鼻周辺の前に空間を形成し、フィルターが口鼻に密着しないので、部分的な湿気がフィルターに及ぼすフィルター機能の低下を抑えてバッグ状マスクフィルター30の有効面積を大きく拡大することができる。
【0025】
本実施形態によれば、使用者10の呼吸時に起こる外気との圧力差をマスク密着面の全周囲に均等に分散することができる構造であり、従来のマスクの欠点である部分的な密着力の不足による呼吸時にフィルターを通過しない気体の漏れを無くし、呼吸する外気と使用者10の吐き出した空気を全てバッグ状マスクフィルター30を通過させることができる。
【0026】
なお、前記マスクフレーム20の内側又は外側にバッグ状マスクフィルター30を装着する方法は、開口端部を折り返してマスクフレーム20に被せる方法に限定されず、例えばクリップ等で留めたり、アウターフレーム24のストリング取付部(24B)の付近にバッグ状マスクフィルター30の中央部近くを係止するための引っ掛け部を設けたり、バッグ状マスクフィルター30に紐を設けてアウターフレーム24と結べるようにしたり、バッグ状マスクフィルター30にフックを設けてアウターフレーム24に引っ掛けられるようにすることもできる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0028】
本実施形態は
図9乃至11に示すように、第1実施形態のバッグ状マスクフィルター30と使用者10の顔面の間に、例えば一般的なプリーツマスクである一次マスク40を装着して二重マスクとしたものである。
【0029】
本実施形態によれば、一次マスク40は、使用者10の顔の口鼻周辺だけでなく、バッグ状マスクフィルター30の外に至る使用者10の顔面を広くカバーして、顔面への飛沫の付着を防ぐことができる。更に、マスクフレーム20の圧着力で一次マスク40をシールして、一次マスク40の気密性をより高めることができる。
【0030】
前記実施形態においては、マスクフレーム20として
図6乃至8に示すような物が用いられていたが、マスクフレームの構成はこれに限定されず、例えば
図12に示す第3実施形態のように、例えば軟質樹脂、ゴムあるいは細い金属など弾性変形可能な材質で作ったマスクフレーム21の外側に、第1実施形態と同様のバッグ状マスクフィルター30を被せることによって立体化することもできる。
【0031】
他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0032】
なお、本発明の適用対象は、コロナウイルスや花粉症の対策に限定されず、粉塵やエアロゾルの除去にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10…使用者
20、21…マスクフレーム
22…インナーフレーム
24…アウターフレーム
26…ストリング
30…バッグ状マスクフィルター
32…マスク素材
34…プリーツマスク
34A…折り線
38…密封線
40…一次マスク