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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044013
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】トイレ用手洗装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/24 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
E03D1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151819
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 純平
(72)【発明者】
【氏名】濱田 修平
(72)【発明者】
【氏名】西尾 祐規
(72)【発明者】
【氏名】大川 博史
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 広大
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039CD01
(57)【要約】
【課題】容易に掃除できるトイレ用手洗装置を提供する。
【解決手段】鉢面11を有する手洗鉢10と、前記手洗鉢10の後部に取り付けられた吐水部材30と、を備え、前記吐水部材30は、前記鉢面11から突出する本体部32を有し、前記本体部32の前面32F下端の位置における本体部32の前面32Fと前記鉢面11との交差角度β1は25度以下である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢面を有する手洗鉢と、
前記手洗鉢の後部に取り付けられた吐水部材と、を備え、
前記吐水部材は、前記鉢面から突出する本体部を有し、
前記本体部の前面下端の位置における前記本体部の前面と前記鉢面との交差角度は25度以下である、トイレ用手洗装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記本体部の全周に設けられて前記鉢面に沿うように外周側に広がる鍔部を具備し、
前記鍔部と前記鉢面との交差角度は外周縁に向かって次第に小さくなる、請求項1に記載のトイレ用手洗装置。
【請求項3】
鉢面を有する手洗鉢と、
前記手洗鉢の後部に取り付けられる吐水部材と、を備え、
前記吐水部材は、前記鉢面から突出する本体部を有し、
前記本体部は、前記本体部の全周に設けられて前記鉢面に沿うように外周側に広がる鍔部を具備し、
前記鍔部と前記鉢面との交差角度は外周縁に向かって次第に小さくなる、トイレ用手洗装置。
【請求項4】
前記鍔部のうち前記本体部の前側に設けられた部分の前後方向の寸法は、前記本体部の後側に設けられた部分の前後方向の寸法、及び前記本体部の左右両側に設けられた部分の左右方向の寸法よりも大きい、請求項2から請求項3までの何れか一項に記載のトイレ用手洗装置。
【請求項5】
前記手洗鉢に前記吐水部材が取り付けられた状態において、前記鍔部と前記鉢面との間に空間が形成されている、請求項2から請求項4までの何れか一項に記載のトイレ用手洗装置。
【請求項6】
前記鍔部は、前記本体部の後端部の最下端から左方及び右方に向かって下方に傾斜している、請求項2から請求項5までの何れか一項に記載のトイレ用手洗装置。
【請求項7】
前記吐水部材と前記鉢面との間に配置されるシール部材を有し、
前記シール部材のうち前記吐水部材の前側に配置される部分の幅寸法は、前記吐水部材の後側に配置される部分の幅寸法、及び前記吐水部材の左右両側に配置される部分の幅寸法よりも小さい、請求項1から請求項6までの何れか一項に記載のトイレ用手洗装置。
【請求項8】
前記手洗鉢の前壁部の上端の高さ位置は、前記手洗鉢の後壁部の上端の高さ位置より低く、
前記吐水部材の吐水口の中心から出た水は、前記手洗鉢の排水口のうち前後方向中心線より後方の領域に直接流れる、請求項1から請求項7までの何れか一項に記載のトイレ用手洗装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ用手洗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ室に備えられるトイレ用手洗装置が知られている。例えば下記特許文献1に記載されたトイレ用手洗装置は、便器洗浄タンクの上側に配置される。トイレ用手洗装置は、鉢面を有する手洗鉢と、鉢面に向かって水を吐水する吐水部材とを備えている。吐水部材は、手洗鉢の後部に取り付けられている。吐水部材は、手洗鉢の鉢面から上方に立ち上がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-71020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなトイレ用手洗装置は、吐水部材の根元の近傍を掃除しにくいという問題があった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、容易に掃除できるトイレ用手洗装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のトイレ用手洗装置は、鉢面を有する手洗鉢と、前記手洗鉢の後部に取り付けられた吐水部材と、を備え、前記吐水部材は、前記鉢面から突出する本体部を有し、前記本体部の前面下端の位置における前記本体部の前面と前記鉢面との交差角度は25度以下である。
【0007】
本開示のトイレ用手洗装置は、鉢面を有する手洗鉢と、前記手洗鉢の後部に取り付けられる吐水部材と、を備え、前記吐水部材は、前記鉢面から突出する本体部を有し、前記本体部は、前記鉢面に沿う鍔部を有し、前記鍔部は、前記本体部の全周に設けられて外周側に広がり、前記鍔部と前記鉢面との交差角度は外周縁に向かって次第に小さくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】トイレ用手洗装置を示す正面図
図2】トイレ用手洗装置を示す断面図であって、図1のA-A位置における断面に相当する断面図
図3】本体部の下端近傍を拡大して示す断面図
図4】本体部の下端近傍を拡大して示す断面図であって、図3のB-B位置における断面に相当する断面図
図5】吐水部材を示す底面図
図6】吐水部材を示す側面図
図7】他の実施形態(1)におけるトイレ用手洗装置であって、本体部の下端近傍を拡大して示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
トイレ用手洗装置(単に手洗装置Tと称する。)は、トイレ室に設置される。手洗装置Tは、図示しない便器の洗浄タンクの上側に蓋として配置される。手洗装置Tは、手洗鉢10と吐水部材30とを備えている。手洗鉢10は、鉢面11を有している。吐水部材30は、鉢面11に向かって吐水する。
【0010】
各構成部材において、手洗装置Tのうち吐水部材30が取り付けられている側を後側、その反対側を前側とする。手洗装置Tを前側から見て右側を右側、左側を左側とする。手洗装置Tを前側から見て吐水部材30の先端側を上側、根元側を下側とする。各図において、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、X軸の正方向側は右側、X軸の負方向側は左側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交している。
【0011】
手洗鉢10は、陶器製である。手洗鉢10は、図1に示すように、前壁部12、後壁部13及び左右の側壁部14を有している。手洗鉢10を前側から見ると、左右方向に長い矩形状をなしている。前壁部12の上端12Uの高さ位置は、後壁部13の上端13Uの高さ位置よりも低い。前壁部12の上端12Uの高さ位置と後壁部13の上端13Uの高さ位置との左右方向中央部における高低差は、左右方向両端部における高低差よりも若干大きい。
【0012】
鉢面11は、図2に示すように、吐水部材30の吐水口31から吐水される水を受ける。鉢面11の底には、排水口15が形成されている。排水口15は、鉢面11の最も低い部分に開口している。鉢面11は、鉢前面16、鉢後面17、鉢側面18及び鉢底面19を有している。鉢底面19は、鉢面11のうち排水口15の周囲の部分である。
【0013】
鉢前面16は、前壁部12の上端12Uから鉢底面19に向かって下っている。鉢後面17は、後壁部13の上端13Uから鉢底面19に向かって下っている。鉢後面17のXZ平面に対する傾斜角度は例えば54度である。後壁部13の上端13Uと排水口15の上端のうちの後端とを通るYZ平面上の仮想の直線VとZ軸との交差角度αは、50度よりも大きく、70度よりも小さいことが望ましい。
【0014】
左右の鉢側面18は、側壁部14の上端から鉢底面19に向かって下っている(図1参照)。鉢前面16、鉢後面17及び左右の鉢側面18の下端は、湾曲した面によって鉢底面19に連続している。
【0015】
鉢底面19から前壁部12の上端12Uまでの高さ寸法H1と、鉢底面19から後壁部13の上端13Uまでの高さ寸法H2とは、H2>2.2H1の関係である。前壁部12の高さ寸法H1及び後壁部13の高さ寸法H2は、YZ平面上の寸法である。前壁部12の高さ寸法H1及び後壁部13の高さ寸法H2の基準となる鉢底面19の高さ位置は、排水口15の位置である。前壁部12の高さ寸法H1と後壁部13の高さ寸法H2とがH2>2.2H1の関係であることによって、手洗鉢10の後方に水を飛散させにくくできる。前壁部12の高さ寸法H1と後壁部13の高さ寸法H2との関係は、H2>2.5H1であるとなお良い。
【0016】
前壁部12の高さ寸法H1と後壁部13の高さ寸法H2とは、H2<3.5H1の関係であると好ましい。この高さ関係によれば、前壁部12の上端12Uと後壁部13の上端13Uとの高低差を過度に大きくせず、手洗鉢10の前方に水を飛散させにくくできる。前壁部12の高さ寸法H1と後壁部13の高さ寸法H2との関係は、H2<3.0H1であるとなお良い。
【0017】
手洗鉢10の後部には、吐水部材30の取付部21が設けられている。取付部21は、手洗鉢10の左右方向中央部に位置している(図1参照)。取付部21には、差し込み穴22が形成されている。差し込み穴22は、前側から見ると縦長の長円形状をなしている。
【0018】
吐水部材30は、図2に示すように、差し込み穴22に上方から差し込まれて取り付けられている。差し込み穴22は、鉢後面17の上端部に開口している。差し込み穴22は、鉛直方向に延びて取付部21を貫通している。差し込み穴22の上端の周縁は、図3に示すように、差し込み穴22の内周面から鉢後面17に向かって湾曲する湾曲面23によって形成されている。湾曲面23は、手洗鉢10の製造時に差し込み穴22の上端の周縁に生じるバリを取る際に形成される。
【0019】
吐水部材30は、図2に示すように、鉢後面17の上端部から上方に延出する本体部32と、本体部32から下方に延びるパイプ部33とを有している。本体部32の上端部には、吐水口31が設けられている。吐水口31は、円形状である。
【0020】
前壁部12の上端12Uから吐水口31までの高さ寸法H3と、前壁部12の高さ寸法H1とは、3.0H1<H3<4.5H1の関係である。吐水口31の高さ寸法H3は、YZ平面の寸法である。吐水口31の高さ寸法H3の基準となる吐水口31の高さ位置は、吐水口31の前端の位置である。吐水口31の高さ寸法H3と前壁部12の高さ寸法H1とが3.0H1<H3<4.5H1の関係であることによって、前壁部12と吐水口31との間に手を入れやすくできる。吐水口31の高さ寸法H3と前壁部12の高さ寸法H1との関係は、3.5H1<H3<4.0H1であるとなお良い。
【0021】
吐水口31は、図2に示すように、排水口15の近傍に向かって水を吐水する。吐水口31の中心から出た水は、図2の矢印Rに示すように、排水口15のうち前後方向中心線Lより後方の領域に直接流れる。これによって、吐水口31から吐水される水の出方にばらつきがあっても、手洗鉢10の前方に水を飛散しにくくできる。
【0022】
本体部32は、鉢後面17から上方に延出している。本体部32の前面32Fは、鉢面11に臨んでいる。本体部32の前面32F及び本体部32の後面32Rは、緩やかに湾曲している。本体部32の左右の側面32Sは、XY平面に対して垂直に近い角度をなしている(図1参照)。
【0023】
パイプ部33は、差し込み穴22に差し込まれている。パイプ部33の下部の外周面には、ねじ山が形成されている。吐水部材30は、取付部21から突出したパイプ部33に図示しないナットを締め付けることによって、手洗鉢10に取り付けられる。
【0024】
本体部32とパイプ部33とは別々の部材に設けられている。本体部32を有する第一部材30F、及びパイプ部33を有する第二部材30Sは、いずれも合成樹脂製である。第二部材30Sの上端部は、第一部材30Fの下端部に嵌っている。第一部材30Fと第二部材30Sとは、接着されている。
【0025】
吐水部材30は、図3及び図4に示すように、鉢後面17の近傍に配置される鍔部34を有している。鍔部34は、本体部32の下端部に設けられている。鍔部34は、外周側に向かって緩やかに湾曲している。
【0026】
鍔部34は、図5に示すように、吐水部材30の全周に設けられている。鍔部34は、方形状をなしている。鍔部34は、本体部32の前側に設けられた前面部35と、本体部32の後側に設けられた後面部36と、本体部32の左右両側に設けられた側面部37と、を有している。前面部35及び後面部36は、左右方向に延びている。左右の側面部37は、前後方向に延びている。
【0027】
側面部37は、図6に示すように、後端から前端に向かって斜め下向きに延びている。側面部37の前端は、前面部35の左右両端に繋がっている。側面部37の後端は、後面部36の左右両端に繋がっている。
【0028】
前面部35及び後面部36の表面は、図6に示すように、YZ平面において円弧状をなしている。前面部35の表面の曲率半径は、前面部35の上側に隣接する部分の曲率半径と同じである。前面部35の表面の曲率半径は、後面部36の表面の曲率半径よりも大きい。側面部37の表面は、図4に示すように、XY平面において円弧状をなしている。
【0029】
前面部35の表面と鉢後面17との交差角度β1は、前面部35の前端から後側へ向かうにつれて大きくなる。前面部35の表面は、本体部32の前面32Fの下端部を構成する。前面部35の前端は、本体部32の前面32Fの下端である。交差角度β1は、前面部35の表面を構成するYZ平面上の各点における前面部35の表面の接線と鉢後面17との交差角度である。前面部35の前端における交差角度β1は、25度以下である。交差角度β1は、小さいほど良く、20度以下、15度以下、10度以下であると良い。具体的には、前面部35の前端における交差角度β1は、例えば8度である。
【0030】
後面部36の表面と鉢後面17との交差角度β2は、後面部36の後端から前側へ向かうにつれて大きくなる。後面部36の表面は、本体部32の後面32Rの下端部を構成する。後面部36の後端は、本体部32の後面32Rの下端である。交差角度β2は、後面部36の表面を構成するYZ平面上の各点における後面部36の表面の接線と鉢後面17との交差角度である。
【0031】
側面部37の表面と鉢後面17との交差角度β3は、図4に示すように、左側の側面部37においては左端から右側へ向かうにつれて大きくなり、右側の側面部37においては右端から左側へ向かうにつれて大きくなる。側面部37の表面は、本体部32の側面32Sの下端部を構成する。側面部37の左右両端は、本体部32の側面32Sの下端である。交差角度β3は、側面部37の表面を構成するXY平面上の各点における側面部37の表面の接線と鉢後面17との交差角度である。
【0032】
前面部35の鉢後面17に沿った前後方向の寸法W1は、図6に示すように、後面部36の鉢後面17に沿った前後方向の寸法W3よりも大きい。前面部35の鉢後面17に沿った前後方向の寸法W1は、YZ平面において前面部35を鉢後面17に投影した鉢後面17上の長さ寸法である。後面部36の鉢後面17に沿った前後方向の寸法W3は、YZ平面において後面部36を鉢後面17に投影した鉢後面17上の長さ寸法である。
【0033】
前面部35の表面に沿った前後方向の寸法W2は、後面部36の表面に沿った前後方向の寸法W4よりも大きい。前面部35の表面に沿った前後方向の寸法W2は、YZ平面において前面部35の表面に沿った長さ寸法である。後面部36の表面に沿った前後方向の寸法W4は、YZ平面において後面部36の表面に沿った長さ寸法である。
【0034】
前面部35の鉢後面17に沿った前後方向の寸法W1は、図4及び図6に示すように、側面部37の鉢後面17に沿った左右方向の寸法W5よりも大きい。側面部37の鉢後面17に沿った左右方向の寸法W5は、XY平面において側面部37を鉢後面17に投影した鉢後面17上の長さ寸法である。
【0035】
前面部35の表面に沿った前後方向の寸法W2は、側面部37の表面に沿った左右方向の寸法W6よりも大きい。側面部37の表面に沿った左右方向の寸法W6は、XY平面において側面部37の表面に沿った長さ寸法である。
【0036】
吐水部材30は、図3に示すように、台座部38を有している。台座部38は、差し込み穴22の上側を塞いでいる。台座部38は、第二部材30Sの上端部に一体に形成されている。台座部38は、鉢後面17と対向する対向面39を有している。台座部38は、鍔部34の外周縁よりも内側に設けられている。対向面39は、鉢後面17に垂直な方向において、鍔部34よりも鉢後面17側に位置している。これによって、後述するシール部材40が劣化した場合、台座部38が鉢後面17に当たることによって、鍔部34が鉢後面17に当たることを防ぐことができる。
【0037】
吐水部材30は、シール部材40を有している。シール部材40は、吐水部材30の対向面39と鉢後面17との間に配置される。シール部材40によって鍔部34は鉢後面17から浮いた状態になる。手洗鉢10に吐水部材30が取り付けられた状態において、鍔部34と鉢後面17との間に空間45が形成されている。
【0038】
シール部材40は、図5に示すように、挿通穴46を有している。挿通穴46には、パイプ部33が挿通される。シール部材40の外周縁は、長円形状をなしている。シール部材40は、シール前部41と、シール後部42と、左右のシール側部43とを備えている。シール前部41は、挿通穴46の前側の部分である。シール前部41は、パイプ部33の前側に配置される。シール後部42は、挿通穴46の後側の部分である。シール後部42は、パイプ部33の後側に配置される。左右のシール側部43は、挿通穴46の左右両側の部分である。シール側部43は、パイプ部33の左右両側に配置される。
【0039】
シール前部41の幅寸法S1は、シール後部42の幅寸法S2及びシール側部43の幅寸法S3よりも小さい。シール前部41の幅寸法S1及びシール後部42の幅寸法S2は、シール部材40の短手方向の中心位置におけるシール部材40の長手方向の寸法である。シール側部43の幅寸法S3は、シール部材40の長手方向の中心位置におけるシール部材40の短手方向の寸法である。
【0040】
図3に示すように、シール前部41のうち対向面39及び鉢後面17に接する部分の前後方向の寸法W7は、シール後部42のうち対向面39及び鉢後面17に接する部分の前後方向の寸法W8よりも小さい。シール前部41及びシール後部42のうち対向面39及び鉢後面17に接する部分の前後方向の寸法W7,W8は、シール部材40のシール面に沿ったYZ平面上の長さ寸法である。
【0041】
シール前部41のうち対向面39及び鉢後面17に接する部分の前後方向の寸法W7は、シール側部43のうち対向面39及び鉢後面17に接する部分の左右方向の寸法W9よりも小さい(図4参照)。シール側部43のうち対向面39及び鉢後面17に接する部分の左右方向の寸法W9は、シール部材40のシール面に沿ったXY平面上の長さ寸法である。
【0042】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0043】
トイレ用手洗装置Tは、手洗鉢10と、吐水部材30と、を備えている。手洗鉢10は、鉢面11を有している。吐水部材30は、手洗鉢10の後部に取り付けられている。吐水部材30は、鉢後面17から突出する本体部32を有している。本体部32の前面32Fの下端の位置における本体部32の前面32Fと鉢後面17との交差角度β1は25度以下である。この構成によれば、吐水部材30の本体部32の前面32Fと鉢後面17とは滑らかに連なるから、容易に掃除できる。
【0044】
本体部32は、鉢後面17に沿う鍔部34を有している。鍔部34は、本体部32の全周に設けられて外周側に広がっている。鍔部34と鉢後面17との交差角度β1,β2,β3は、外周縁に向かって次第に小さくなる。この構成によれば、本体部32の下端部の全周が鉢後面17に滑らかに連なるから、容易に掃除できる。
【0045】
鍔部34のうち本体部32の前側に設けられた前面部35の前後方向の寸法W1,W2は、本体部32の後側に設けられた後面部36の前後方向の寸法W3,W4、及び本体部32の左右の両側に設けられた側面部37の左右方向の寸法W5,W6よりも大きい。この構成によれば、本体部32の前面32Fを、前下がりの鉢後面17に滑らかに沿わせることができる。
【0046】
手洗鉢10に吐水部材30が取り付けられた状態において、鍔部34と鉢後面17との間に空間45が形成されている。この構成によれば、鍔部34が鉢後面17に直接当たりにくいから、鍔部34に力がかかることを防ぐことができる。
【0047】
手洗装置Tは、吐水部材30と鉢後面17との間に配置されるシール部材40を有している。シール部材40のうちパイプ部33の前側に配置されるシール前部41の幅寸法S1は、パイプ部33の後側に配置されるシール後部42の幅寸法S2、及びパイプ部33の左右両側に配置されるシール側部43の幅寸法S3よりも小さい。この構成によれば、水は、吐水部材30の前面側から吐水部材30の内部に浸入しにくいから、シール性を確保しつつシール部材40の小型化を図ることができる。
【0048】
手洗鉢10の前壁部12の上端12Uの高さ位置は、手洗鉢10の後壁部13の上端13Uの高さ位置より低い。吐水部材30の吐水口31の中心から出た水は、手洗鉢10の排水口15のうち前後方向中心線Lより後方の領域に直接流れる。この構成によれば、手洗鉢10の前壁部12の上端12Uの高さ位置が低いから、手洗鉢10に前方から手を入れやすい。吐水部材30の吐水口31の中心から出た水は、手洗鉢10の排水口15の後方の領域に直接流れるから、手洗鉢10の前方に水を飛散させにくくできる。
【0049】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において本体部32の下端は方形状をなしている。これに限らず、図7に示すように、本体部32の下端は、円形状であってもよい。この場合、本体部32の下端は、本体部32の後面32Rから左方及び右方に向かって下方に傾斜している。このような構成によれば、水は、本体部32の後面32Rの下端から、図7の矢印に示すように、前方下側に流れるから、本体部32の後面32Rに汚れを付着しにくくできる。
(2)上記実施形態において、手洗装置Tは、便器の洗浄タンクの上側に配置される。これに限らず、手洗装置Tは、便器から離れた位置に独立して配置されてもよい。
(3)上記実施形態において、吐水部材30の本体部32及びパイプ部33は、別々の部品である第一部材30F及び第二部材30Sに設けられている。これに限らず、吐水部材の本体部とパイプ部とは一つの部品に形成されていてもよい。
(4)上記実施形態において、本体部32の前面32Fの下端の位置における本体部32の前面32Fと鉢後面17との交差角度β1は25度以下である。これに限らず、交差角度β1は、25度より大きくてもよい。
(5)上記実施形態において鍔部34の後面部36の後端は、本体部32の後面32Rの最下端である。これに限らず、鍔部の後面部の後端は、本体部の後面の最下端でなくてもよい。例えば、鍔部の後面部は、本体部の後面の最下端から上向きに広がるものであってもよい。言い換えると、鍔部の後面部の前端近傍が本体部の後面の最下端であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
L…前後方向中心線、S1…シール前部の幅寸法、S2…シール後部の幅寸法、S3…シール側部の幅寸法、T…トイレ用手洗装置、W1,W2…前面部の前後方向の寸法、W3,W4…後面部の前後方向の寸法、W5,W6…側面部の左右方向の寸法、β1,β2,β3…鍔部と鉢面との交差角度、10…手洗鉢、11…鉢面、12…前壁部、12U…前壁部の上端、13…後壁部、13U…後壁部の上端、15…排水口、30…吐水部材、31…吐水口、32…本体部、32F…本体部の前面(吐水部材の前面)、34…鍔部、35…前面部(鍔部のうち吐水部材の前側に設けられた部分)、36…後面部(鍔部のうち吐水部材の後側に設けられた部分)、37…側面部(鍔部のうち吐水部材の左右両側に設けられた部分)、39…対向面、40…シール部材、41…シール前部(シール部材のうち吐水部材の前側に配置される部分)、42…シール後部(シール部材のうち吐水部材の後側に配置される部分)、43…シール側部(シール部材のうち吐水部材の左右両側に配置される部分)、45…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7