(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044022
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/213 20060101AFI20230323BHJP
H03F 3/60 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H03F3/213
H03F3/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151839
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】千住 智博
【テーマコード(参考)】
5J067
5J500
【Fターム(参考)】
5J067AA04
5J067AA41
5J067CA54
5J067CA92
5J067FA16
5J067HA12
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5J067HA29
5J067QA02
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5J067QS04
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5J067TA03
5J500AA04
5J500AA41
5J500AC54
5J500AC92
5J500AF16
5J500AH12
5J500AH25
5J500AH29
5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AS14
5J500AT03
5J500WU08
(57)【要約】
【課題】小型化された半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、トランジスタと、第1配線と、抵抗素子と、コンデンサと、を備える。前記トランジスタは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた制御電極と、を有する。前記第1配線は、前記トランジスタの前記制御電極に電気的に接続される。前記抵抗素子は、前記トランジスタと前記第1配線との間に設けられ、前記制御電極に電気的に接続された第1端子を含む。前記コンデンサは、前記抵抗素子の第2端子に電気的に接続される。前記トランジスタ、前記抵抗素子、前記第1配線は、第1方向に並び、前記抵抗素子および前記コンデンサは、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた制御電極と、を有するトランジスタと、
前記トランジスタの前記制御電極に電気的に接続された第1配線と、
前記トランジスタと前記第1配線との間に設けられ、前記制御電極に電気的に接続された第1端子を含む抵抗素子と、
前記抵抗素子の第2端子に電気的に接続された第1コンデンサと、
を備え、
前記トランジスタ、前記抵抗素子、前記第1配線は、第1方向に並び、
前記抵抗素子および前記第1コンデンサは、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ半導体装置。
【請求項2】
前記抵抗素子の前記第2端子に電気的に接続された第2コンデンサをさらに備え、
前記抵抗素子、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサは、前記第2方向に並び、前記抵抗素子は、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの間に設けられる請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサは、それぞれ、前記抵抗素子に電気的に接続された第1金属層と、前記第1金属層から電気的に絶縁され、前記トランジスタの前記第1電極に電気的に接続された第2金属層と、を含む請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トランジスタの前記第2電極に電気的に接続された第2配線をさらに備え、
前記トランジスタは、前記第1配線と前記第2配線との間に設けられる請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トランジスタ、前記抵抗素子および前記第1配線が、その表面上に設けられる半導体基板をさらに備え、
前記第1電極および前記第1コンデンサは、前記半導体基板に設けられたバイアホールを介して基準電位に接続される請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板上に設けられた第1半導体層と、
前記第1半導体層上に部分的に設けられた第2半導体層と、
前記第1半導体層上において、前記第2半導体層から離間して設けられた抵抗層と、
をさらに備え、
前記トランジスタの前記第1電極、前記第2電極および前記制御電極は、前記第2半導体層上に設けられ、
前記抵抗素子の前記第1端子および前記第2端子は、前記抵抗層上に設けられる請求項5記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波無線通信やレーダの送信部に用いられる電力増幅器(HPA)を含むモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)には、コスト低減のため小型化が求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】H.Q.Tao et al.,"A Compact 60W X-Band GaN HEMT Power Amplifier MMIC", IEEE Microwave and Wireless Components Letters, Vol. 27, No. 1, January 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、小型化された半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、トランジスタと、第1配線と、抵抗素子と、第1コンデンサと、を備える。前記トランジスタは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた制御電極と、を有する。前記第1配線は、前記トランジスタの前記制御電極に電気的に接続される。前記抵抗素子は、前記トランジスタと前記第1配線との間に設けられ、前記制御電極に電気的に接続された第1端子を含む。前記第1コンデンサは、前記抵抗素子の第2端子に電気的に接続される。前記トランジスタ、前記抵抗素子、前記第1配線は、第1方向に並び、前記抵抗素子および前記第1コンデンサは、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【
図2】実施形態に係る半導体装置を示す模式平面図である。
【
図3】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図4】比較例に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図5】比較例に係る半導体装置の特性を示すグラフである。
【
図6】実施形態に係る半導体装置の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す回路図である。半導体装置1は、例えば、電界効果トランジスタ(以下、トランジスタTr)と、安定化回路と、を集積化した電力増幅器である。以下、GaNを材料とするHEMT(High Electron Mobility Transistor)を用いる例を説明するが、実施形態は、これに限定される訳ではない。FETは、例えば、GaAsMESFETやGaAspHEMTであっても良い。
【0010】
図1に示すように、半導体装置1は、トランジスタTrと、第1配線TL1と、第2配線TL2と、第1抵抗R1と、第2抵抗R2と、第1コンデンサC1と、第2コンデンサC2と、を含む。
【0011】
トランジスタTrは、ゲート端Gと、ソース端Sと、ドレイン端Dと、を有する。第1配線TL1は、入力端P1とトランジスタTrのゲート端Gとの間に設けられ、ゲート端Gに電気的に接続される。第2配線TL2は、トランジスタTrのドレイン端Dと出力端P2との間に設けられ、ドレイン端Dに電気的に接続される。
【0012】
第1抵抗R1は、トランジスタTrのゲート端Gと第1配線TL1との間に接続される。第1抵抗R1は、第1配線TL1およびゲート端Gに電気的に接続される。また、第1抵抗R1と第1コンデンサC1は直列接続される。第1コンデンサC1の第1端子は、第1抵抗R1に接続され、第2端子は、バイアホールV1を介して接地される。
【0013】
第2抵抗R2は、トランジスタTrのゲート端Gと第1配線TL1との間に接続される。第2抵抗R2は、第1配線TL1およびゲート端Gに電気的に接続される。また、第2抵抗R2と第2コンデンサC2は直列接続される。第2コンデンサC2の第1端子は、第2抵抗R2に接続され、第2端子は、バイアホールV2を介して接地される。
【0014】
トランジスタTrのソース端Sは、第1コンデンサC1および第2コンデンサC2の第2端子に電気的に接続され、バイアホールV1およびV2を介して接地される。半導体装置1の安定化回路は、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第1コンデンサC1および第2コンデンサC2により構成される。
【0015】
図2は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式平面図である。
図2は、半導体装置1の上面のレイアウトを示す模式図である。
【0016】
図2に示すように、トランジスタTr、第1配線TL1および第1配線TL2は、第1方向(例えば、X方向)に並ぶ。トランジスタTrは、第1配線TL1と第2配線TL2との間に設けられる。
【0017】
半導体装置1は、抵抗素子RD(
図3(a)参照)をさらに備える。抵抗素子RDは、トランジスタTrと第1配線TL1との間に設けられる。なお、
図2中に示す破線は、抵抗層17(
図3(a)参照)の外縁を例示している。
【0018】
トランジスタTrは、第1電極20と、第2電極30と、制御電極40と、を含む。第1電極20は、例えば、ソース電極である。第2電極30は、例えば、ドレイン電極である。制御電極40は、例えば、ゲート電極である。
【0019】
図2に示すように、複数の第1電極20、複数の第2電極30および複数の制御電極40が、例えば、Y方向に並ぶ。第1電極20および第2電極30は、交互に配置される。制御電極40は、第1電極20と第2電極30との間に配置される。
【0020】
複数の第1電極20は、例えば、Y方向に延在する第3配線25により電気的に接続される。第3配線25は、例えば、ソース配線である。第3配線25は、例えば、第1パッド電極27aおよび第2パッド電極27bにつながるように設けられる。複数の第1電極20、第1パッド電極27aおよび第2パッド電極27bは、例えば、Y方向に並ぶ。複数の第1電極20は、第1パッド電極27aおよび第2パッド電極27bの間に設けられる。また、第1パッド電極27aの下には、バイアホールV1が設けられる。第2パッド電極27bの下には、バイアホールV2が設けられる。
【0021】
複数の第2電極30は、例えば、それぞれX方向に延在し、第2配線TL2に接続される。
【0022】
複数の制御電極40は、例えば、制御配線41からX方向に延出するように設けられる。制御配線41は、トランジスタTrと第1配線TL1との間に設けられ、例えば、Y方向に延在する。制御配線41は、例えば、ゲートバス配線である。
【0023】
第1配線TL1と制御配線41との間には、第4配線50が設けられる。第4配線50は、Y方向に延在する。第1配線TL1は、第4配線50を跨いで、制御配線41に電気的に接続される。制御配線41および第4配線50は、それぞれ、抵抗素子RD(
図3(a)参照)に電気的に接続される。
【0024】
第4配線50は、第1コンデンサC1および第2コンデンサC2に電気的に接続される。第1コンデンサC1、第1配線TL1および第2コンデンサC2は、例えば、Y方向に並ぶ。第1配線TL1は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との間に設けられる。
【0025】
第1コンデンサC1は、Y方向に積層された第1金属層E1および第2金属層E2を含む。第1コンデンサC1は、第1金属層E1と第2金属層E2との間に設けられた誘電体膜(図示しない)、例えば、シリコン窒化膜を含む。第1金属層E1は、配線部53を介して、第4配線50に電気的に接続される。また、第2金属層E2は、配線部29aを介して、第1パッド電極27aに電気的に接続される。
【0026】
第1金属層E1は、第4配線50および抵抗素子RDを介して、制御配線41に電気的に接続される。第1抵抗R1(
図1参照)は、例えば、制御配線41と第1金属層E1との間の電気抵抗を表している。
【0027】
第2コンデンサC2は、Y方向に積層された第1金属層E3および第2金属層E4を含む。第2コンデンサC2は、第1金属層E3と第2金属層E4との間に設けられた別の誘電体膜(図示しない)、例えば、シリコン窒化膜を含む。第1金属層E3は、配線部57を介して、第4配線50に電気的に接続される。また、第2金属層E4は、配線部29bを介して、第2パッド電極27bに電気的に接続される。
【0028】
第1金属層E3は、第4配線50および抵抗素子RDを介して、制御配線41に電気的に接続される。第2抵抗R2(
図1参照)は、例えば、制御配線41と第1金属層E3との間の電気抵抗を表している。
【0029】
図3(a)~(b)は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。
図3(a)は、
図2中に示すA-A線に沿った断面図である。
図3(b)は、
図2中に示すB-B線に沿った断面図である。
図3(c)は、
図2中に示すC-C線に沿った断面図である。
【0030】
図3(a)に示すように、半導体装置1は、半導体基板10と、第1半導体層13と、第2半導体層15と、抵抗層17と、高抵抗領域19と、絶縁膜21と、をさらに含む。半導体基板10は、例えば、炭化シリコン(SiC)を含む。
【0031】
第1半導体層13は、半導体基板10の上に設けられる。第1半導体層13は、例えば、窒化ガリウム(GaN)を含む。第1半導体層13は、例えば、バッファ層(図示しない)を介して、半導体基板10の上にエピタキシャル成長される。第1半導体層13は、例えば、不純物をドーピングしないアンドープ層である。
【0032】
第2半導体層15は、第1半導体層13の上に設けられる。第2半導体層15は、例えば、窒化アルミニウムガリウム混晶(AlGaN)を含む。第2半導体層15は、所謂、障壁層である。第2半導体層15は、例えば、n形不純物を含み、第1半導体層13との界面に2次元電子ガスを生じさせる。
【0033】
抵抗層17は、第1半導体層13上に設けられる。抵抗層17は、高抵抗領域19により第2半導体層15から離間するように設けられる。抵抗層17は、第2半導体層15と同じ組成の材料を含む。
【0034】
高抵抗領域19は、例えば、第1半導体層13および第2半導体層15に選択的にプロトンもしくは窒素をイオン注入することにより形成される。高抵抗領域19は、例えば、トランジスタTrと抵抗素子RDとの間を電気的に分離する。また、高抵抗領域19は、トランジスタTrおよび抵抗素子RDを他の回路素子(図示しない)から電気的に分離する。
【0035】
絶縁膜21は、第1半導体層13、第2半導体層15および抵抗層17を覆うように設けられる。絶縁膜21は、例えば、シリコン窒化膜である。
【0036】
第1電極20は、第2半導体層15の上に設けられる。第1電極20は、絶縁膜21に設けられるコンタクトホールを介して、第2半導体層15に電気的に接続される。第1電極20は、例えば、絶縁膜21中に延在するコンタクト部20cを介して、第2半導体層15に電気的に接続される。また、第1電極20の上には、第3配線25が設けられる。第3配線25は、例えば、メッキ法を用いて形成される。
【0037】
抵抗素子RDは、例えば、抵抗層17と、第1端子17gと、第2端子17fと、を含む。第1端子17gおよび第2端子17fは、抵抗層17の上に設けられる。第1端子17gおよび第2端子17fは、例えば、絶縁膜21に設けられたコンタクトホール内に延在する。
【0038】
制御配線41は、絶縁膜21上に設けられ、抵抗層17の上に位置する部分を含む。第4配線50は、第2端子17fを介して、抵抗層17の上に設けられる。制御配線41は、第1端子17gにより抵抗層17に電気的に接続される。第4配線50は、第2端子17fにより抵抗層17に電気的に接続される。
【0039】
第1配線TL1および第2配線TL2は、絶縁膜21の上に設けられる。第2半導体層15は、第1配線TL1と第1半導体層13の間、および、第2配線TL2と第1半導体層13との間には設けられない。
【0040】
第1配線TL1は、第1金属層43と第2金属層45とを含む。第1金属層43は、例えば、真空蒸着法を用いて、絶縁膜21の上に設けられる。第2金属層45は、例えば、メッキ法を用いて、第1金属層43の上に設けられる。
【0041】
第2金属層45は、第4配線50を跨いで、制御配線41に接続される。第2金属層45と第4配線50との間には、エアーギャップが設けられる。このように、第1配線TL1は、制御配線41に電気的に接続され、第4配線50から電気的に絶縁される。
【0042】
第2配線TL2は、第1金属層33と第2金属層35とを含む。第1金属層33は、例えば、真空蒸着法を用いて、絶縁膜21の上に設けられる。第2金属層35は、例えば、メッキ法を用いて、第1金属層33の上に設けられる。
【0043】
バイアホールV1、V2(
図2参照)は、半導体基板10の裏面から、半導体基板10、第1半導体層13および第2半導体層15を貫通して、第1パッド電極27aおよび第2パッド電極27bにそれぞれ連通するように設けられる。第1パッド電極27aおよび第2パッド電極27bは、バイアホールV1、V2の内部に設けられるバイアコンタクト(図示しない)を介して、半導体基板10の裏面に設けられる金属層(図示しない)に電気的に接続される。
【0044】
図3(b)に示すように、制御電極40は、絶縁膜21を介して、第2半導体層15の上に設けられる。絶縁膜21は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。制御電極40は、制御配線41につながるように設けられる。
【0045】
制御電極40の上方には、第3配線25が設けられる。第3配線25と制御電極40との間には、エアーギャップが設けられる。制御電極40は、第3配線25から電気的に絶縁される。
【0046】
図3(c)に示すように、第2電極30は、第2半導体層15の上に設けられる。第2電極30は、コンタクト部30cを介して、第2半導体層15に電気的に接続される。コンタクト部30cは、例えば、絶縁膜21に設けられたコンタクトホール中に延在する。また、第2電極30は、絶縁膜21の表面に沿って、例えば、X方向に延在し、第2配線TL2の第1金属層33につながるように設けられる。第2電極30は、第2配線TL2に電気的に接続される。
【0047】
第2電極30の上方には、第3配線25が設けられる。第3配線25と第2電極30との間には、エアーギャップが設けられる。第2電極30は、第3配線25から電気的に絶縁される。
【0048】
実施形態に係る半導体装置1は、マイクロ波増幅に用いられるMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)である。例えば、数ワットのマイクロ波を出力する増幅回路を寄生発振なしに動作させるためには、トランジスタTrのゲート端Gと接地端(グランド端)との間に、抵抗とコンデンサとを含む安定化回路を付加することが好ましい。
【0049】
さらに、大電力のマイクロ波を出力するためには、トランジスタTrのゲート幅を大きくすることが望ましい。このため、複数のソース電極およびドレイン電極を交互に配置し、ソース・ドレイン間にそれぞれゲート電極を配置するゲート構造が用いられる。このようなゲート構造では、ゲート・ソース間のインピーダンスが低下し、安定化回路のインピーダンスも小さくなる。したがって、安定化回路をモノリシックに形成する場合、複数の抵抗素子を並列接続し、抵抗素子の占有面積を減らすことが好ましい。
【0050】
しかしながら、このような構成では、配線レイアウトが複雑になり、寄生インダクタンスが大きくなる。このため、高周波領域において抵抗の効果が失われ、安定係数(Kファクタ)が1以下になる場合がある。また、寄生インダクタンスの増加を相殺するために、コンデンサを大容量化すると、チップサイズも大きくなる。
【0051】
図4(a)および(b)は、比較例に係る半導体装置2を示す模式図である。
図4(a)は、半導体装置2を示す模式平面図である。
図4(b)は、半導体装置2の等価回路を表す模式図である。
【0052】
図4(a)に示すように、半導体装置2は、第1配線TL1と第2配線TL2との間に配置されたトランジスタTrを含む。トランジスタTrのゲート幅は、例えば、660μmである。この例では、第1抵抗R1および第1コンデンサC1を含む安定化回路と第1配線TL1とは、Y方向に並ぶ。第1抵抗R1は、第1配線と第1コンデンサC1との間に設けられる。さらに、第1コンデンサC1を接地するためのバイアホールV3が追加される。
【0053】
第1抵抗R1は、例えば、40Ωの抵抗層(図示しない)を4つ並列接続した構成を有する。第1抵抗R1は、10Ωの抵抗値を有する。第1配線TL1と第1抵抗R1とをつなぐ配線TL4のレイアウトは櫛型になる。第1コンデンサC1の容量は、4pFである。
【0054】
図4(b)に示すように、半導体装置2では、トランジスタTrのゲート端Gと第1抵抗R1との間に、配線TL3およびTL4が追加される。このため、安定化回路のインダクタンスが大きくなり、コンデンサC1のサイズも大きくなる。
【0055】
図5は、比較例に係る半導体装置2の特性を示すグラフである。縦軸は、安定化係数(Kファクタ)である。横軸は、周波数である。半導体装置2は、例えば、理想チョーク(図示しない)を介してドレイン電圧30Vを印加し、-2.5Vのゲート電圧により駆動される。
【0056】
図5に示すように、この例では、安定化係数は、9GHz~26GHzの周波数範囲において1よりも小さくなり、寄生発振が生じ易くなる。これは、安定化回路のインダクタンスの増加に起因する。このため、半導体装置2を用いる場合、寄生発振を抑制するための安定化回路を外部回路にさらに付加する必要がある。
【0057】
図6は、実施形態に係る半導体装置1の特性を示すグラフである。縦軸は、安定化係数(Kファクタ)である。横軸は、周波数である。
【0058】
図6に示すように、半導体装置1では、1GHz以上の周波数において、安定化係数が1よりも大きく、寄生発振を抑制できることが分かる。なお、1GHz以下の周波数帯では、外部回路に設ける定化回路の構成を簡略化できる。
【0059】
このように、半導体装置1では、抵抗素子RD、第1コンデンサC1および第2コンデンサC2を含む安定化回路の接続構成を、半導体装置2に比べて簡素化できる。また、抵抗素子RD、第1コンデンサC1および第2コンデンサC2を、平面配置内(
図2参照)のデッドスペースに適宜配置することにより、MMICの小型化を実現できる。すなわち、抵抗素子RDを第1配線TL1とトランジスタTrとの間に配置することにより、トランジスタTrのゲート側のスペースを有効に活用でき、コンデンサの配置の自由度が大きくなる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1、2…半導体装置、 10…半導体基板、 13…第1半導体層、 15…第2半導体層、 17…抵抗層、 17f…第1端子、 17g…第2端子、 19…高抵抗領域、 20…第1電極、 20c、30c…コンタクト部、 21…絶縁膜、 25…第3配線、 27a…第1パッド電極、 27b…第2パッド電極、 29a、29b…配線部、 30…第2電極、 33、43、E1、E3…第1金属層、 35、45、E2、E4…第2金属層、 40…制御電極、 41…制御配線、 50…第4配線、 53、57…配線部、 C1…第1コンデンサ、 C2…第2コンデンサ、 S…ソース端、 D…ドレイン端、 G…ゲート端、 P1…入力端、 P2…出力端、 R1…第1抵抗、 R2…第2抵抗、 RD…抵抗素子、 TL1…第1配線、 TL2…第2配線、 TL3、TL4…配線、 Tr…トランジスタ、 V1、V2、V3…バイアホール