(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044050
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/30 20180101AFI20230323BHJP
F24F 1/0087 20190101ALI20230323BHJP
【FI】
F24F11/30
F24F1/0087
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151884
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】福榮 貴史
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 保
(72)【発明者】
【氏名】京極 章弘
(72)【発明者】
【氏名】森川 智貴
(72)【発明者】
【氏名】植松 峻一
(72)【発明者】
【氏名】藤社 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】名越 健二
(72)【発明者】
【氏名】大西 優生
【テーマコード(参考)】
3L050
3L260
【Fターム(参考)】
3L050AA08
3L050BC03
3L260AB02
3L260AB14
3L260BA32
3L260FA14
3L260FB63
(57)【要約】
【課題】空気調和機の構成部品にかかる負荷を低減する。
【解決手段】本開示の一態様の空気調和機(10)は、室内機(20)と室外機(30)とを備える空気調和機であって、前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材(52)と、前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、室外空気が流れる流路(P1)と、前記流路における前記吸収材の上流側で室外空気を加熱する第1のヒータ(58)および第2のヒータ(60)と、前記第1のヒータおよび第2のヒータのオンオフを制御する制御部(90)と、を備え、前記制御部(90)は、前記第1のヒータをオンに切り替える第1のタイミング(tmg1)と、前記第2のヒータをオンに切り替える第2のタイミング(tmg2)と、を異ならせる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、室外空気が流れる流路と、
前記流路における前記吸収材の上流側で室外空気を加熱する第1のヒータおよび第2のヒータと、
前記第1のヒータおよび第2のヒータのオンオフを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1のヒータをオンに切り替える第1のタイミングと、前記第2のヒータをオンに切り替える第2のタイミングと、を異ならせる、
空気調和機。
【請求項2】
前記第1のヒータのオンオフを切り替える第1のリレーと、
前記第2のヒータのオンオフを切り替える第2のリレーと、
を更に備え、
前記制御部は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーのオンオフを切り替える切替タイミングを制御し、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとをずらす、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第2のタイミングは、前記第1のタイミングから第1の待機時間が経過したタイミングである、
請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1の待機時間は、15秒以上45秒以下である、
請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第1のリレーおよび前記第2のリレーに流れる電流を制御する共通リレーを更に備え、
前記制御部は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーのオンオフを切り替える前に、前記共通リレーのオンオフを切り替える、
請求項2~4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させるファンを更に備え、
前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、それぞれ、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1のヒータおよび前記第2のヒータをオンに切り替える前に、前記ファンを制御し、前記ファンからの送風によって前記第1のヒータおよび前記第2のヒータを冷却する、
請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1のタイミングおよび前記第2のタイミングより前に、前記ファンのファン速度を小さくする、
請求項6又は7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2のタイミングから第2の待機時間が経過した後に、前記ファンのファン速度を大きくする、
請求項8に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記第2の待機時間は、15秒以上45秒以下である、
請求項9に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとのうち少なくとも1つをオフに切り替える前に、前記ファンの前記ファン速度を小さくする、
請求項8~10のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーのオンの切替を交互に行う、
請求項2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に記載するように、空気調和対象の室内に配置される室内機と、室外に配置される室外機とから構成される空気調和機が知られている。この空気調和機は、室外機から室内機に加湿された室外空気を供給できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気調和機の構成部品にかかる負荷を低減したいというニーズがある。
【0005】
そこで、本開示は、空気調和機の構成部品にかかる負荷を低減することが可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
室内機と室外機とを備える空気調和機であって、
前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、室外空気が流れる流路と、
前記流路における前記吸収材の上流側で室外空気を加熱する第1のヒータおよび第2のヒータと、
前記第1のヒータおよび第2のヒータのオンオフを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1のヒータをオンに切り替える第1のタイミングと、前記第2のヒータをオンに切り替える第2のタイミングと、を異ならせる、空気調和機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、空気調和機の構成部品にかかる負荷を低減することが可能な空気調和機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図
【
図6】第1のヒータおよび第2のヒータ周辺の概略構成図
【
図9A】負特性領域におけるPTCヒータに流れるヒータ電流を説明する概略図
【
図9B】負特性領域におけるPTCヒータに流れるヒータ電流を説明する概略図
【
図10】正特性領域におけるPTCヒータに流れるヒータ電流を説明する概略図
【
図11】リレー制御、ファン速度制御、ヒータ電流およびヒータ温度を説明する概略図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の空気調和機は、室内機と室外機とを備える空気調和機であって、前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、室外空気が流れる流路と、前記流路における前記吸収材の上流側で室外空気を加熱する第1のヒータおよび第2のヒータと、前記第1のヒータおよび第2のヒータのオンオフを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のヒータをオンに切り替える第1のタイミングと、前記第2のヒータをオンに切り替える第2のタイミングと、を異ならせる。
【0010】
このような一態様によれば、空気調和機の構成部品にかかる負荷を低減することができる。
【0011】
例えば、空気調和機は、前記第1のヒータのオンオフを切り替える第1のリレーと、前記第2のヒータのオンオフを切り替える第2のリレーと、を更に備え、前記制御部は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーのオンオフを切り替える切替タイミングを制御し、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとをずらしてもよい。
【0012】
例えば、前記第2のタイミングは、前記第1のタイミングから第1の待機時間が経過したタイミングであってもよい。
【0013】
例えば、前記第1の待機時間は、15秒以上45秒以下であってもよい。
【0014】
例えば、空気調和機は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーに流れる電流を制御する共通リレーを更に備え、前記制御部は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーのオンオフを切り替える前に、前記共通リレーのオンオフを切り替えてもよい。
【0015】
例えば、前記流路に前記室内機に向かう室外空気の流れを発生させるファンを更に備え、前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、それぞれ、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータであってもよい。
【0016】
例えば、前記制御部は、前記第1のヒータおよび前記第2のヒータをオンに切り替える前に、前記ファンを制御し、前記ファンからの送風によって前記第1のヒータおよび前記第2のヒータを冷却してもよい。
【0017】
例えば、前記制御部は、前記第1のタイミングおよび前記第2のタイミングより前に、前記ファンのファン速度を小さくしてもよい。
【0018】
例えば、前記制御部は、前記第2のタイミングから第2の待機時間が経過した後に、前記ファンのファン速度を大きくしてもよい。
【0019】
例えば、前記第2の待機時間は、15秒以上45秒以下であってもよい。
【0020】
例えば、前記制御部は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとのうち少なくとも1つをオフに切り替える前に、前記ファン速度を小さくしてもよい。
【0021】
例えば、前記制御部は、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーのオンの切替を交互に行ってもよい。
【0022】
以下、本開示の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図である。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機10は、空調対象の室内Rinに配置される室内機20と、室外Routに配置される室外機30とを有する。
【0025】
室内機20には、室内空気A1と熱交換を行う室内熱交換器22と、室内空気A1を室内機20内に誘引するとともに、室内熱交換器22と熱交換した後の室内空気A1を室内Rinに吹き出すファン24とが設けられている。
【0026】
室外機30には、室外空気A2と熱交換を行う室外熱交換器32と、室外空気A2を室外機30内に誘引するとともに、室外熱交換器32と熱交換した後の室外空気A2を室外Routに吹き出すファン34とが設けられている。また、室外機30には、室内熱交換器22および室外熱交換器32と冷凍サイクルを実行する圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40が設けられている。
【0027】
室内熱交換器22、室外熱交換器32、圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40それぞれは、冷媒が流れる冷媒配管によって接続されている。冷房運転および除湿運転(弱冷房運転)の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室外熱交換器32、膨張弁38、室内熱交換器22を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。暖房運転の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室内熱交換器22、膨張弁38、室外熱交換器32を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。
【0028】
空気調和機10は、冷凍サイクルよる空調運転の他に、室外空気A3を室内Rinに導入する空調運転を実行する。そのために、空気調和機10は、換気装置50を有する。換気装置50は、室外機30に設けられている。
【0029】
【0030】
図2に示すように、換気装置50は、その内部に室外空気A3、A4が通過する吸収材52を備える。
【0031】
吸収材52は、空気が通過可能な部材であって、通過する空気から水分を捕集するまたは通過する空気に水分を与える部材である。本実施の形態の場合、吸収材52は、円盤状であって、その中心を通過する回転中心線C1を中心にして回転する。吸収材52は、モータ54によって回転駆動される。
【0032】
吸収材52は、空気中の水分を収着する高分子収着材が好ましい。高分子収着材は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体から構成される。高分子収着材は、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材に比べて、同一体積あたり水分を吸収する量が多く、低い加熱温度で担持する水分を脱着することができ、そして水分を長時間担持することができる。
【0033】
換気装置50の内部には、吸収材52をそれぞれ通過し、室外空気A3、A4がそれぞれ流れる第1の流路P1と第2の流路P2とが設けられている。第1の流路P1と第2の流路P2は、異なる位置で吸収材52を通過する。
【0034】
第1の流路P1は、室内機20内に向かう室外空気A3が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3は、換気導管56を介して、室内機20内に供給される。
【0035】
本実施の形態の場合、第1の流路P1は、吸収材52に対して上流側に複数の支流路P1a、P1bを含んでいる。なお、本明細書において、「上流」および「下流」は、空気の流れに対して使用される。
【0036】
複数の支流路P1a、P2aは、吸収材52に対して上流側で合流する。複数の支流路P1a、P1bそれぞれには、室外空気A3を加熱する第1および第2のヒータ58、60が設けられている。
【0037】
第1および第2のヒータ58、60は、同一の加熱能力を備えるヒータであってもよいし、異なる加熱能力を備えるヒータであってもよい。また、第1および第2の加熱ヒータ58、60は、電流が流れて温度が上昇すると電気抵抗が増加する、すなわち過剰な加熱温度の上昇を抑制することができるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが好ましい。PTCヒータの場合、ヒータ自体が加熱温度を一定の温度範囲内で調節するために、加熱温度をモニタリングしなくてもよい。
【0038】
第1の流路P1には、室内機20内に向かう室外空気A3の流れを発生させる第1のファン62が設けられている。本実施の形態の場合、第1のファン62は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第1のファン62が作動することにより、室外空気A3が、室外Routから第1の流路P1内に流入し、吸収材52を通過する。
【0039】
また、第1の流路P1には、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)または室外Routに振り分けるダンパ装置64が設けられている。本実施の形態の場合、ダンパ装置64は、第1のファン62に対して下流側に配置されている。ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられた室外空気A3は、換気導管56を介して室内機20内に入り、ファン24によって室内Rinに吹き出される。
【0040】
第2の流路P2は、室外空気A4が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3と異なり、第2の流路P2を流れる室外空気A4は、室内機20に向かうことはない。第2の流路P2を流れる室外空気A4は、吸収材52を通過した後、室外Routに流出する。
【0041】
第1の流路P1には、室外空気A4の流れを発生させる第2のファン66が設けられている。本実施の形態の場合、第2のファン66は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第2のファン66が作動することにより、室外空気A4が、室外Routから第2の流路P2内に流入し、吸収材52を通過し、そして室外Routに流出する。
【0042】
換気装置50は、吸収材52、モータ54、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、および第2のファン66を選択的に使用して換気運転、加湿運転、および除湿運転を選択的に実行する。
【0043】
【0044】
換気運転は、室外空気A3をそのまま換気導管56を介して室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図3に示すように、換気運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0045】
このような換気運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。吸収材52を通過した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような換気運転により、室外空気A3がそのまま室内Rinに供給され、室内Rinが換気される。
【0046】
【0047】
加湿運転は、室外空気A3を加湿し、その加湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図4に示すように、加湿運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、ON状態であって、それにより第2の流路P2内を室外空気A4が流れている。
【0048】
このような加湿運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、加熱されていない場合に比べて、吸収材52からより多量の水分を奪うことができる。それにより、室外空気A3が多量の水分を担持する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような加湿運転により、多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが加湿される。
【0049】
なお、第1のヒータ58と第2のヒータ60のいずれか一方をOFF状態にすることによって室外空気A3が吸収材52から奪う水分量を少なくする、すなわち室内Rinの加湿量が少ない弱加湿運転が実行されてもよい。
【0050】
加熱された室外空気A3に水分が奪われることにより、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥する。吸収材52が乾燥すると、第1の流路P1を流れる室外空気A3は吸収材52から水分を奪うことができない。その対処として、吸収材52は、第2の流路P2を流れる室外空気A4から水分を奪う。それにより、吸収材52の保水量がほぼ一定に維持され、加湿運転を継続することができる。
【0051】
【0052】
除湿運転は、室外空気A3を除湿し、その除湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図5に示すように、除湿運転では、吸着運転と再生運転とが交互に実行される。
【0053】
吸着運転は、室外空気A3に担持されている水分を吸収材52に吸着させ、それにより室外空気A3を除湿する運転である。
図5に示すように、吸着運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0054】
このような吸着運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。このとき、室外空気A3に担持されている水分が吸収材52に吸着する。それにより、室外空気A3の水分の担持量が減少する、すなわち室外空気A3が乾燥される。吸収材52を通過して乾燥した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような吸着運転により、乾燥した室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが除湿される。
【0055】
吸着運転が続くと、吸収材52の保水量が増加し続け、その結果、室外空気A3に担持されている水分に対する吸収材52の吸着能力が低下する。その吸着能力を回復するために吸収材52を再生させる再生運転が実行される。
【0056】
再生運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を、室内機20ではなく、室外Routに振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0057】
このような再生運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、吸収材52から多量の水分を奪う。それにより、室外空気A3に多量の水分が担持される。それとともに、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥してその吸着能力が再生する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室外Routに振り分けられ、室外Routに排出される。これにより、除湿運転における再生運転中に、吸収材52の再生によって多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給されることがない。
【0058】
このような吸着運転と再生運転を交互に行うことにより、吸収材52の吸着能力が維持され、除湿運転を継続的に実行することができる。
【0059】
上述の冷凍サイクルによる空調運転(冷房運転、除湿運転(弱冷房運転)、暖房運転)と換気装置50による空調運転(換気運転、加湿運転、除湿運転)は、別々に実行可能であり、また同時に実行することも可能である。例えば、冷凍サイクルによる除湿運転と換気装置50による除湿運転を同時に実行すれば、室温を一定に維持した状態で室内Rinを除湿することが可能である。
【0060】
空気調和機10が実行する空調運転は、ユーザによって選択される。例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、その操作に対応する空調運転を空気調和機10は実行する。
【0061】
ここまでは、本実施の形態に係る空気調和機10の構成および動作について概略的に説明してきた。ここからは、本実施の形態に係る空気調和機10の更なる特徴について説明する。
【0062】
第1のヒータ58と第2のヒータ60をオンオフする構造について説明する。
【0063】
図6は、第1のヒータおよび第2のヒータ周辺の概略構成図である。
【0064】
図6に示すように、第1のヒータ58と第2のヒータ60のオンオフは、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84によって制御される。また、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84は、制御部90によって制御される。
【0065】
共通リレー80は、第1のリレー82および第2のリレー84に流れる電流を制御する。
【0066】
本実施の形態の場合、共通リレー80は電流経路EPに配置されている。電流経路EPの一端は電源側に接続され、電流経路EPの他端側はヒータ58,60に接続される、電流経路EPの他端は、第1の電流経路EP1と、第1のヒータ58と接続される第2の電流経路EP2と、に分岐している。第1の電流経路EP1には、第1のヒータ58および第1のリレー82が配置されている。第2の電流経路EP2には、第2のヒータ60および第2のリレー84が配置されている。なお、電流経路EP,EP1,EP2は、例えば、配線である。
【0067】
共通リレー80がオンであるとき、第1の電流経路EP1と第2の電流経路EP2とに向かって電流Ihが流れることが可能になる。一方、共通リレー80がオフであるとき、第1の電流経路EP1と第2の電流経路EP2に向かって電流Ihが流れない。
【0068】
共通リレー80がオンしているとき、第1のリレー82は、第1のヒータ58のオンオフを切り替える。第1のリレー82がオンであるとき、第1のヒータ58がオンになり、第1のリレー82がオフのとき、第1のヒータ58がオフになる。具体的には、第1のリレー82がオンになると、電流Ihが共通リレー80から第1の電流経路EP1を通って第1のヒータ58に流れる。これにより、第1のヒータ58が通電し、オンになる。一方、第1のリレー82がオフになると、電流Ihが共通リレー80から第1の電流経路EP1に流れなくなる。これにより、第1のヒータ58が通電停止し、オフになる。
【0069】
共通リレー80がオンしているとき、第2のリレー84は、第2のヒータ60のオンオフを切り替える。第2のリレー84がオンであるとき、第2のヒータ60がオンになり、第2のリレー84がオフのとき、第2のヒータ60がオフになる。具体的には、第2のリレー84がオンになると、電流Ihが共通リレー80から第2の電流経路EP2を通って第2のヒータ60に流れる。これにより、第2のヒータ60が通電し、オンになる。一方、第2のリレー84がオフになると、電流Ihが共通リレー80から第2の電流経路EP2に流れなくなる。これにより、第2のヒータ60が通電停止し、オフになる。
【0070】
第1のリレー82および第2のリレー84は、例えば、電磁リレーなどを用いることができる。このような構成により、半導体スイッチで第1のリレー82および第2のリレー84を構成する場合に比べて、放熱部材を用いなくてもよく、基板上に配置する際に制約が少ない。
【0071】
制御部90は、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84を制御することによって、第1のヒータ58および第2のヒータ60のオンオフを制御する。制御部90は、第1のヒータ58をオンに切り替える第1のタイミングtmg1と、第2のヒータ60をオンに切り替える第2のタイミングtmg2と、を異ならせている。具体的には、制御部90は、第1のリレー82および第2のリレー84のオンオフを切り替える切替タイミングを制御し、第1のタイミングtmg1と第2のタイミングtmg2とをずらしている。このような構成により、第1のヒータ58および第2のヒータ60において、突入電流が大きくなることを抑制することができる。これにより、第1のヒータ58、第2のヒータ60において突入電流がブレーカ容量を超過することを回避することができる。また、圧縮機において、突入電流を考慮した電流制限を行っている場合、突入電流が大きくなることを抑制することによって、圧縮機へ与える影響を小さくすることができる。
【0072】
また、制御部90は、第1のリレー82および第2のリレー84のオンオフを切り替える前に、共通リレー80のオンオフを切り替える。具体的には、制御部90は、第1のリレー82または第2のリレー84をオンに切り替える前に、共通リレー80をオンに切り替える。制御部90は、第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替える前に、共通リレー80をオフに切り替える。これにより、第1のリレー82および第2のリレー84にかかるストレス(負荷)を共通リレー80によって分散することができる。その結果、第1のリレー82および第2のリレー84の寿命を延ばすことができる。
【0073】
リレーにおいては、オンオフにより電流が流れる、切れる動作がストレスとなりやすい。例えば、制御部90は、第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替える前に、共通リレー80をオフに切り替える。これにより、第1のリレー82および第2のリレー84に電流が流れていない状態で、第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替えることができる。その結果、第1のリレー82および第2のリレー84にかかるストレス(負荷)を低減し、第1のリレー82および第2のリレー84の寿命を延ばすことができる。
【0074】
制御部90は、例えば、プログラムを記憶したメモリと、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路を備える。制御部90の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。制御部90は、メモリに格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。
【0075】
図7は、突入電流を抑制するための制御を示す概略図である。
図7(a)は、実施例1のリレー制御の概略図であり、
図7(b)は実施例1および比較例1における突入電流を示すグラフである。
【0076】
図7(a)に示すように、実施例1では、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオンにする場合、制御部90は、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84の順番で各リレーをオンにする。具体的には、制御部90は、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84がオフの状態において、共通リレー80をオンにする。共通リレー80をオンにした後、制御部90は、第1のタイミングtmg1で第1のリレー82をオンにする。第1のタイミングtmg1から所定の期間が経過した第2のタイミングtmg2で第2のリレー84をオンにする。このように、制御部90は、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84をオンに切り替えるタイミングをずらしている。
【0077】
なお、比較例1では、第1のリレー82と第2のリレー84とを同時にオンに切り替えている。具体的には、比較例1では、第1のタイミングtmg1で第1のリレー82および第2のリレー84をオンに切り替えている。
【0078】
図7(b)に示すように、比較例1では、第1のタイミングtmg1のときに突入電流が発生する。比較例1では、第1のヒータ58と第2のヒータ60とにおいて突入電流が第1のタイミングtmg1で同時に発生する。このため、2つの突入電流が発生するため、突入電流のピーク値が大きくなりやすい。一方、実施例1では、第1のタイミングtmg1のときに第1のヒータ58に突入電流が発生し、第2のタイミングtmg2のときに第2のヒータ60に突入電流が発生する。即ち、実施例1では、分散して突入電流が発生する。
【0079】
実施例1と比較例1の突入電流の大きさを比較すると、実施例1の突入電流の大きさは、比較例1の突入電流の大きさよりも小さくなっている。
図7(b)の例では、実施例1における第1のタイミングtmg1および第2のタイミングtmg2の突入電流の大きさは、比較例1における第1のタイミングtmg1の突入電流の大きさの略1/2倍になっている。
【0080】
このように、第1のリレー82とオンに切り替える第1のタイミングtmg1と、第2のリレー84をオンに切り替える第2のタイミングtmg2と、をずらすことによって、リレーのオン時に発生する突入電流を分散し、突入電流のピーク値を小さくすることができる。
【0081】
次に、PTCヒータの特性を利用した制御について説明する。
【0082】
図8は、PTCヒータの特性を説明するための概略図である。なお、
図8中において、温度T1<T2、Tf1<Tf2であり、電気抵抗R1>R2,Rf1<Rf2であり、ファン速度Vf1>Vf2である。また、「border」は負特性領域と正特性領域との境界を示す。
【0083】
図8に示すように、PTCヒータは、負特性領域と正特性領域とを有する。「負特性領域」とは、温度に比例して電気抵抗が低下する特性を有する領域である。「正特性領域」とは、温度に比例して電気抵抗が増加する特性を有する領域である。
【0084】
負特性領域においてPTCヒータに電流が流れると、当該電流が流れることによってPTCヒータの温度が上昇する。PTCヒータの温度が上昇することによって、電気抵抗が低下するため、電流が大きくなる。負特性領域において、PTCヒータは、温度の上昇、電気抵抗の低下および電流の増大を繰り返す。そして、PTCヒータは温度の上昇に伴い、負特性領域から正特性領域へと変化する。
【0085】
図8に示すように、負特性領域において、温度T1のときの電気抵抗R1と、温度T1より高い温度T2のときの電気抵抗R2を比べると、電気抵抗R1が電気抵抗R2より大きくなっている。
【0086】
図9Aおよび
図9Bは、負特性領域におけるPTCヒータに流れるヒータ電流を説明する概略図である。
図9Aは
図8に示す温度T1のときにPTCヒータをオンにしたときに流れる電流Ion1を示し、
図9Bは
図8に示す温度T2のときにPTCヒータをオンにしたときに流れる電流Ion2を示す。
図9Aおよび
図9Bにおいて、電流Ion1およびIon2は、通電開始時の電流を示す。
【0087】
図9Aおよび
図9Bに示すように、電流Ion1は、電流Ion2よりも小さい。このように、負特性領域においてPTCヒータをオンに切り替える場合、温度が低いほど、PTCヒータに流れる電流を小さくすることができる。即ち、負特性領域においてPTCヒータをオンに切り替える場合、温度が低いほど、通電開始時の電流を小さくすることができる。
【0088】
正特性領域では、負特性領域とは反対に、PTCヒータの温度が上昇すると、PTCヒータの電気抵抗が増加する。PTCヒータの電気抵抗が増加すると、電流が小さくなるため、PTCヒータの温度が低下する。PTCヒータの温度が低下することによって、電気抵抗が低下するため、電流が大きくなる。電流が大きくなると、PTCヒータの温度が上昇する。正特性領域において、PTCヒータは、温度の上昇、電気抵抗の増加、電流の低下、温度の低下、電気抵抗の低下、電流の増大および温度の上昇を繰り返して安定する。
【0089】
本実施の形態の場合、PTCヒータである第1のヒータ58および第2のヒータ60は、第1のファン62により生じる風によって冷却することが可能な構成である。よって、第1のファン62のファン速度を調節することによって、第1のヒータ58および第2のヒータ60の温度を調節することができる。例えば、
図8に示すように、制御部90が第1のファン62のファン速度をVf1に設定した場合、第1のヒータ58および第2のヒータ60の温度がTf1となり、電気抵抗がRf1となる。そして、制御部90が第1のファン62のファン速度をVf1より小さいファン速度であるVf2に設定した場合、第1のヒータ58および第2のヒータ60の温度がTf1より高い温度Tf2まで上昇し、電気抵抗をRf1より大きいRf2に調節する。このように、第1のファン62のファン速度を調節することによって、ヒータの温度を調節し、電気抵抗を調節することができる。
【0090】
図10は、正特性領域におけるPTCヒータに流れるヒータ電流を説明する概略図である。
図10(a)は、第1のファン62のファン速度の変化を示す。
図10(b)は、PTCヒータである第1のヒータ58のヒータ温度の変化を示す。
図10(c)は、第1のヒータ58の電気抵抗の変化を示す。
図10(d)は、第1のヒータ58のヒータ電流の変化を示す。
【0091】
図10(a)に示すように、正特性領域において、第1のファン62のファン速度をVf1からVf2に小さくすると、
図10(b)に示すように、第1のヒータ58の温度がTf1からTf2に上昇する。これにより、
図10(c)に示すように、第1のヒータ58の電気抵抗がRf1からRf2に増大すると共に、
図10(d)に示すように、第1のヒータ58の電流がIh1からIh2に小さくなる。このように、正特性領域においては、第1のヒータ58(PTCヒータ)の温度が高いほど電流が小さくなるという特性を利用し、第1のファン62のファン速度を調節することによって、第1のヒータ58(PTCヒータ)を流れる電流の大きさを調節することができる。
【0092】
次に、本実施の形態における第1のヒータ58および第2のヒータ60をオンにしてオフにするまでの制御について説明する。
【0093】
図11は、リレー制御、ファン速度制御、ヒータ電流およびヒータ温度を説明する概略図である。
図11(a)は、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオンにしてオフにするまでのリレーの制御を示す。
図11(b)は、第1のファン62のファン速度の制御を示す。
図11(c)は、ヒータ電流の変化を示す。
図11(d)は、ヒータ温度を示す。
【0094】
図11に示すように、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオンに切り替える前に、第1のヒータ58および第2のヒータ60を所定の冷却期間t10冷却する。所定の冷却期間t10は、例えば、10秒以上30秒以下である。具体的には、制御部90は、第1のファン62のファン速度をVfcに大きくすることによって、第1のファン62の送風量を増大させる。これにより、第1のヒータ58および第2のヒータ60を冷却する。なお、ファン速度Vfcは、ファン速度Vf2より大きく、ファン速度Vf1より小さい。
【0095】
第1のヒータ58および第2のヒータ60は、負特性領域においてオンに切り替えられる。上述したように、負特性領域では、ヒータ温度が大きいほど、電気抵抗が低下し、ヒータ電流が大きくなる。よって、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオンに切り替える前に、第1のファン62による送風によって第1のヒータ58および第2のヒータ60の初期温度を下げている。これにより、第1のヒータ58および第2のヒータ60がオンに切り替えられたときに発生するヒータ電流、即ち、通電開始時の電流を小さくすることができる。
【0096】
第1のヒータ58および第2のヒータ60を所定の冷却期間t10冷却した後、制御部90は、第1のファン62のファン速度Vfを小さくする。制御部90は、第1のタイミングtmg1および第2のタイミングtmg2におけるファン速度を、第1のヒータ58および第2のヒータ60の両方がオンであるときのファン速度よりも小さくする。具体的には、制御部90は、第1のファン62のファン速度Vfを、第1のヒータ58および第2のヒータ60の両方がオンであるときのファン速度Vf1より小さいファン速度Vf2に設定する。これにより、第1のヒータ58および第2のヒータ60がオンになった後、温度上昇を促し、負特性領域から正特性領域へスムーズに移行することができる。
【0097】
また、制御部90は、共通リレー80をオンに切り替える。共通リレー80は、第1のリレー82および第2のリレー84がオンに切り替えられる前に、オンに切り替えられる。
【0098】
次に、制御部90は、第1のタイミングtmg1で第1のリレー82をオンに切り替える。第1のリレー82がオンに切り替わると、第1のヒータ58が通電し、オンに切り替わる。第1のタイミングtmg1においては、第1のヒータ58で突入電流が生じるため、電流が一時的に大きくなるが、時間の経過とともに小さくなっていく。また、第1のタイミングtmg1においては、第1のヒータ58は負特性領域であるため、第1のヒータ58に電流が流れると、温度が上昇していく。温度が上昇している途中で、第1のヒータ58は、負特性領域から正特性領域へと切り替わる。
【0099】
制御部90は、第1のリレー82をオンに切り替えた後、第2のタイミングtmg2で第2のリレー84をオンに切り替える。第2のタイミングtmg2は、第1のタイミングtmg1から第1の待機時間t20が経過したタイミングである。第1の待機時間t20は、例えば、15秒以上45秒以下である。好ましくは、第1の待機時間t20は、30秒である。第2のリレー84がオンに切り替わると、第2のヒータ60が通電し、オンに切り替わる。第2のタイミングtmg2においては、第2のヒータ60で突入電流が生じるため、電流が一時的に大きくなるが、時間の経過とともに小さくなっていく。また、第2のタイミングtmg2においては、第2のヒータ60は負特性領域であるため、第2のヒータ60に電流が流れると、温度が上昇していく。温度が上昇している途中で、第2のヒータ60は、負特性領域から正特性領域へと切り替わる。
【0100】
このように、第1のリレー82をオンに切り替える第1のタイミングtmg1と、第2のリレー84をオンに切り替える第2のタイミングtmg2と、をずらすことによって、第1のヒータ58と第2のヒータ60とを同時にオンに切り替えた場合に比べて、突入電流が生じるタイミングを分散させることができる。これにより、全体としての突入電流のピーク値を下げることができる。その結果、突入電流がブレーカ容量を超過することを回避することができる。また、圧縮機において、突入電流を考慮した電流制限を行っている場合、圧縮機へ与える影響を小さくすることができる。
【0101】
制御部90は、第2のリレー84をオンに切り替えた後、第1のファンのファン速度を大きくする。具体的には、制御部90は、第2のタイミングtmg2から第2の待機時間t21が経過した後に、第1のファン62のファン速度Vfを、ファン速度Vf2より大きいファン速度Vf1に設定する。
【0102】
このとき、第1のヒータ58および第2のヒータ60が正特性領域である。上述したように、正特性領域では、ヒータ温度が大きいほど、電気抵抗が増大し、ヒータ電流が小さくなる。このため、第1のファン62のファン速度を調節することによってヒータ温度を調節し、電気抵抗を調節することができる。これにより、ヒータ電流を調節することができる。
【0103】
制御部90は、共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替える前に、第1のファン62のファン速度Vfを小さくする。例えば、制御部90は、共通リレー80をオフに切り替える第3のタイミングtmg3の所定の期間t22前に第1のファン62のファン速度Vfの減速を開始する。また、制御部90は、第3のタイミングtmg3から所定の期間t11経過後に、第1のファン62を停止する。所定の期間t22は、例えば、10秒以上30秒以下である。所定の期間t11は、例えば、0.1秒以上5秒以下である。第3のタイミングtmg3においては、正特性領域であるため、第1のファン62のファン速度Vfを減速することによって第1のヒータ58および第2のヒータ60の温度が上昇し、電気抵抗が大きくなるため、ヒータ電流が低下する。その結果、共通リレー80にかかるストレスを低減することができる。
【0104】
制御部90は、第1のファン62のファン速度Vfを小さくした後であって、第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替える前に、共通リレー80をオフに切り替える。例えば、制御部90は、第3のタイミングtmg3で共通リレー80をオフに切り替えた後、第3のタイミングtmg3から所定の期間t11以降に第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替える。これにより、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオフに切り替える。
【0105】
上述したように、リレーはオンオフにより電流が流れる、切れる動作を行う場合にストレスがかかりやすい。このため、共通リレー80をオフに切り替えることによって、第1のリレー82および第2のリレー84に電流が流れていない状態で、第1のリレー82および第2のリレー84をオフに切り替えることができる。これにより、第1のリレー82および第2のリレー84にかかるストレス(負荷)を低減することができる。
【0106】
このような本実施の形態によれば、空気調和機の構成部品にかかる負荷を低減することが可能な空気調和機を提供することができる。
【0107】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0108】
例えば、上述の実施の形態の場合、制御部90は、第1のリレー82および第2のリレー84の両方をオンに制御する例について説明したが、これに限定されない。制御部90は、第1のリレー82および第2のリレー84のオンの切替を交互に行ってもよい。
【0109】
図12は、変形例1のリレー制御を説明する概略図である。
図12に示すように、第1のリレー82をオンになっている間、第2のリレー84がオフになっており、第2のリレー84がオンになっている間、第1のリレー82がオフになっている。即ち、第1のリレー82と第2のリレー84とが同時にオンにならない。このような構成により、第1のヒータ58と第2のヒータ60とを交互にオンにして効率良く加熱することができる。これにより、各ヒータのオン時間を短くし、ヒータにかかる負荷を低減することができる。その結果、ヒータの製品寿命を延ばすことができる。
【0110】
例えば、上述の実施の形態の場合、空気調和機10が共通リレー80、第1のリレー82および第2のリレー84を用いて第1のヒータ58および第2のヒータ60のオンオフを制御する例について説明したが、これに限定されない。空気調和機10はリレー以外の構成で、第1のヒータ58および第2のヒータ60のオンオフを制御してもよい。例えば、MOSFETやIGBTなどの半導体スイッチを用いて、第1のヒータ58および第2のヒータ60のオンオフを制御してもよい。
【0111】
また、空気調和機10において共通リレー80は必須の構成ではない。空気調和機10が共通リレー80を有しない場合であっても、第1のタイミングtmg1と第2のタイミングtmg2とをずらすことによって、第1のリレー82および第2のリレー84において、突入電流が大きくなることを抑制することができる。
【0112】
例えば、上述の実施の形態の場合、制御部90が第1のヒータ58と第2のヒータ60とをオフに切り替える前に、第1のファン62のファン速度を小さくする例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部90は、第1のヒータ58と第2のヒータ60とのうち少なくとも1つをオフに切り替える前に、第1のファン62のファン速度を小さくしてもよい。
【0113】
例えば、上述の実施の形態の場合、空気調和機10が2つのヒータ58,60を備える例について説明したが、これに限定されない。空気調和機は2つ以上のヒータを備えていてもよい。
【0114】
例えば、上述の実施の形態の場合、第1のヒータ58および第2のヒータ60がPTCヒータである例について説明したが、これに限定されない。第1のヒータ58および第2のヒータ60は、PTCヒータでなくてもよい。例えば、第1のヒータ58および第2のヒータ60は、ニクロム線やカーボン繊維などを用いるヒータであってもよい。
【0115】
本実施の形態では、制御部90が第1のヒータ58および第2のヒータ60をオフに切り替える前に第1のファン62のファン速度を小さくすることによって、第1のヒータ58および第2のヒータ60の温度を上昇させ、電気抵抗を増大させ、ヒータ電流を小さくしている。しかしながら、制御部90は、第1のファン62のファン速度を小さくしなくてもよい。例えば、空気調和機10は、第1のファン62のファン速度を調節しない方法で、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオフに切り替える前に第1のヒータ58および第2のヒータ60の温度を上昇させ、電気抵抗を増大させ、ヒータ電流を小さくしてもよい。空気調和機10は、任意の構成で、第1のヒータ58および第2のヒータ60をオフに切り替える前に、ヒータ電流を小さくしてもよい。例えば、制御部90は、印加電圧を調整して、ヒータ電流を小さくしてもよい。正特性領域では、印加電圧が高くなると電流値が小さくなり、印加電圧が低くなると電流値が大きくなる。負特性領域では、印加電圧が高くなると電流値が大きくなり、印加電圧が低くなると電流値が小さくなる。あるいは、ヒータ58,60の近傍にPTCヒータの温度調整用の補助ヒータを配置してもよい。制御部90は、補助ヒータを制御することによって、ヒータ58,60の温度を調整することによって抵抗値を調整し、電流値を調整してもよい。
【0116】
例えば、上述の実施の形態の場合、制御部90が第1のリレー82をオンに切り替えた後、第1の待機時間t20が経過した第2のタイミングtmg2で第2のリレー84をオンに切り替える例について説明したが、これに限定されない。制御部90は、第1のリレー82と第2のリレー84のオンの切り替えを分散して行えばよい。例えば、空気調和機10がヒータ電流を検出する検出部を有している場合、制御部90は検出によって検出されたヒータ電流に基づいて、第1のリレー82と第2のリレー84のオンの切り替えタイミングを決定してもよい。このような構成においても、第1のヒータ58および第2のヒータ60における突入電流の発生のタイミングをずらすことができる。これにより、空気調和機10を構成する部品であるヒータやリレーにかかるストレス(負荷)を低減することができる。
【0117】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0118】
すなわち、本開示の実施の形態に係る空気調和機は、広義には、室内機と室外機とを備える空気調和機であって、前記室外機に設けられ、室外空気の水分を吸収する吸収材と、前記吸収材を通過し、室外と前記室内機内とを接続し、室外空気が流れる流路と、前記流路における前記吸収材の上流側で室外空気を加熱する第1のヒータおよび第2のヒータと、前記第1のヒータおよび第2のヒータのオンオフを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のヒータをオンに切り替える第1のタイミングと、前記第2のヒータをオンに切り替える第2のタイミングと、を異ならせる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示は、室内機と室外機を備える空気調和機であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 空気調和機
20 室内機
30 室外機
40 四方弁
50 換気装置
52 吸収材
54 モータ
56 換気導管
58 第1のヒータ
60 第2のヒータ
62 ファン(第1のファン)
64 ダンパ装置
66 ファン(第2のファン)
70 リモートコントローラ
80 共通リレー
82 第1のリレー
84 第2のリレー
90 制御部
P1 流路(第1の流路)
P2 流路(第2の流路)