(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044074
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】回動装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20230323BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20230323BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20230323BHJP
E05B 83/32 20140101ALI20230323BHJP
E05B 79/08 20140101ALI20230323BHJP
【FI】
B60R7/04 C
F16C11/04 F
F16C11/10 C
E05B83/32
E05B79/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151910
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀典
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
3J105
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ43
2E250KK01
2E250LL12
2E250PP11
2E250QQ01
3D022CA07
3D022CB01
3D022CD18
3J105AA04
3J105AB02
3J105AB14
3J105AC10
3J105DA14
(57)【要約】
【課題】支持部材と回動部材との組み付けが容易な回動装置を提供する。
【解決手段】回動装置6は、受け部25を有する支持部材10と、受け部25に回動可能に支持される軸部36を有する回動部材11と、支持部材10と回動部材11との一方を他方に対して回動方向に付勢するトーションばね12と、を備える。トーションばね12は、一端部が回動部材11に保持され、他端部12bが軸部36と交差する所定方向に沿って延びる。支持部材10は、トーションばね12の他端部12bが挿入保持されてトーションばね12に付勢力を付与する開口部30を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け部を有する受け部側部材と、
前記受け部に回動可能に支持される軸部を有する軸部側部材と、
前記受け部側部材と前記軸部側部材との一方を他方に対して回動方向に付勢するトーションばねと、を備え、
前記トーションばねは、一端部が前記軸部側部材に保持され、他端部が前記軸部と交差する所定方向に沿って延び、
前記受け部側部材は、前記トーションばねの他端部が挿入保持されて前記トーションばねに付勢力を付与する開口部を有する
ことを特徴とする回動装置。
【請求項2】
軸部側部材は、軸部に取り付けられたトーションばねの他端部を所定方向に沿って仮保持する仮保持部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の回動装置。
【請求項3】
受け部は、所定方向側が開口して形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の回動装置。
【請求項4】
軸部は、軸部側部材の外方に向かって突出して形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の回動装置。
【請求項5】
受け部側部材と軸部側部材とのいずれかは、車両用のアームレストをロックするノブである
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の回動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部側部材と受け部側部材との一方を他方に対してトーションばねにより回動方向に付勢する回動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、支持部材に回動可能に支持される回動部材に対し、トーションばねを用いて回動方向に付勢力を付与する構成がある。一例では、車両用のコンソールボックスの蓋体を、コンソールボックスの本体部の開口を閉塞した位置でロックするためのロック機構において、ロック解除操作用のノブをトーションばねにより付勢するものがある。
【0003】
このような構成として、回動部材であるノブに互いに対向するように突設された一対の軸部の一方に対してトーションばねの一端部を保持し、トーションばねの他端部を軸方向に押し縮めつつ捩じりを加えながら一対の軸部の他方に対して引っ掛け、トーションばねを取り付けたノブを本体部側に組み込む構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-95253号公報 (第6-10頁、
図1-8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された構成の場合、トーションばねの他端部を一対の軸部の他方に引っ掛ける際に、作業者は軸方向の反力と捩じり方向の反力とを受けながら作業をすることとなるため、作業に力が必要となる。したがって、より簡易に回動部材を支持部材に組み付け可能とすることが望まれている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、受け部側部材と軸部側部材との組み付けが容易な回動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の回動装置は、受け部を有する受け部側部材と、前記受け部に回動可能に支持される軸部を有する軸部側部材と、前記受け部側部材と前記軸部側部材との一方を他方に対して回動方向に付勢するトーションばねと、を備え、前記トーションばねは、一端部が前記軸部側部材に保持され、他端部が前記軸部と交差する所定方向に沿って延び、前記受け部側部材は、前記トーションばねの他端部が挿入保持されて前記トーションばねに付勢力を付与する開口部を有するものである。
【0008】
請求項2記載の回動装置は、請求項1記載の回動装置において、軸部側部材は、軸部に取り付けられたトーションばねの他端部を所定方向に沿って仮保持する仮保持部を有するものである。
【0009】
請求項3記載の回動装置は、請求項1または2記載の回動装置において、受け部は、所定方向側が開口して形成されているものである。
【0010】
請求項4記載の回動装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の回動装置において、軸部は、軸部側部材の外方に向かって突出して形成されているものである。
【0011】
請求項5記載の回動装置は、請求項1ないし4いずれか一記載の回動装置において、軸部側部材は、車両用のアームレストをロックするノブであるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の回動装置によれば、軸部が受け部に向かうように受け部側部材と軸部側部材とを軸部と交差する所定方向に接近させることにより、軸部が受け部の位置で受け部に回動可能に支持され、トーションばねの他端部が支持部材の開口部に挿入保持されてトーションばねに付勢力が付与されるため、基本的に受け部側部材と軸部側部材とを所定方向に沿って接近させて押し込んでいくだけで、受け部側部材と軸部側部材とをトーションばねの反力などを大きく受けることなく、また、工具などを用いることなく、容易に組み付けできる。
【0013】
請求項2記載の回動装置によれば、請求項1記載の回動装置の効果に加えて、トーションばねを軸部側部材に組み付けた状態でトーションばねの反力を手で保持することなく受け部側部材と軸部側部材とを組み付ける作業を行うことができるとともに、受け部側部材と軸部側部材とを所定方向に接近させて押し込む動作によってトーションばねの他端部を開口部へと容易に挿入可能となり、組み付け作業がより容易になる。
【0014】
請求項3記載の回動装置によれば、請求項1または2記載の回動装置の効果に加えて、受け部に対して所定方向に接近する軸部を受け部へと容易に挿入できる。
【0015】
請求項4記載の回動装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の回動装置の効果に加えて、軸部に対しトーションばねを容易に取り付けできる。
【0016】
請求項5記載の回動装置によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の回動装置の効果に加えて、車両用のアームレストを安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態の回動装置を示す斜視図である。
【
図2】(a)及び(b)は軸部側部材と受け部側部材との取付動作を示す縦断正面図である。
【
図3】(a)及び(b)は軸部側部材に対するトーションばねの取付動作を示す斜視図である。
【
図4】(a)は同上回動装置のロック状態を示す縦断側面図、(b)は同上回動装置のロック解除状態を示す縦断側面図である。
【
図5】同上回動装置を備えるコンソールボックスの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図5において、1は車両用の収納装置であるコンソールボックスを示す。コンソールボックス1は、開口を有し車体側に取り付けられる本体部2と、本体部2の開口を開閉する蓋体3と、を有する。
【0020】
蓋体3は、本体部2の開口を閉塞した状態でアームレストを兼ねている。蓋体3は、ヒンジ部5を介して本体部2に回動可能に支持される。また、蓋体3は、本体部2に対し、回動装置6により開口を閉塞した状態にロックされる。すなわち、本実施の形態の回動装置6は、蓋体3のロック機構である。
【0021】
なお、コンソールボックス1は、車両の前席すなわち運転席と助手席との間に位置するセンタコンソールの一部を構成し、蓋体3が本体部2に対して上下に回動するものを例に挙げて説明する。以下、前後方向、両側方向及び上下方向などの方向は、コンソールボックス1を車体に取り付けた状態を基準として説明し、図中では矢印FR方向を前方向、矢印RR方向を後方向、矢印L方向を左方向、矢印Rを右方向、矢印Uを上方向、矢印Dを下方向とする。
【0022】
図1に示す回動装置6は、受け部側部材である支持部材10と、支持部材10に回動可能に支持される軸部側部材である回動部材11と、回動部材11を回動方向に付勢するトーションばね12と、を有する。そして、回動装置6は、回動部材11にトーションばね12を取り付けた状態で支持部材10と回動部材11とを所定方向に接近させることで、支持部材10と回動部材11とが回動可能に組み付けられるものである。なお、本実施の形態では、支持部材10よりも回動部材11が小型に形成されているため、回動部材11を支持部材10に対して接近させるように組み付けられる。
【0023】
ここで、トーションばね12は、
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、コイルばね状に形成されている。つまり、トーションばね12は、軸方向に長い螺旋状に形成されている。トーションばね12は、一端部12aと他端部12bとがトーションばね12の中心軸を基準として互いに一側と他側とに延びるように形成されている。また、トーションばね12は、一端部12aが回動部材11に保持され、他端部12bが支持部材10に保持される。他端部12bは、一端部12aよりも長尺に形成されている。
【0024】
図1に戻って、支持部材10は、蓋体3に一体的に配置される。支持部材10は、蓋体3に一体に設けられてもよいし、蓋体3とは別体に設けられて蓋体3に一体的に取り付けられてもよい。支持部材10は、蓋体3のヒンジ部5(
図5)とは反対側に位置している。本実施の形態において、支持部材10は、蓋体3の前部に位置している。
【0025】
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、支持部材10は、回動部材11が挿入される挿入部15を備える。挿入部15は、支持部材10に形成された凹部であり、挿入された回動部材11を支持するとともに、回動部材11の一部を収容する。
【0026】
挿入部15は、隔壁部17により区画されている。隔壁部17は、支持部材10に一体的に形成されている。本実施の形態において、隔壁部17は、前後に位置する第一隔壁20と、左右に位置する第二隔壁21と、上部に位置する第三隔壁22と、により区画されて、前側下部に挿入開口部23が形成されている。
【0027】
図示される例では、第一隔壁20は、上下方向に立ち上がり、左右方向に延びて形成されている。第一隔壁20は、前後に離れて位置する。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、後側の第一隔壁20が前側の第一隔壁20よりも下方に延びている。そのため、挿入開口部23は、蓋体3の前側に臨んで位置する。
【0028】
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、第二隔壁21は、第一隔壁20,20の両側部間に連なって形成されている。第二隔壁21は、上下方向に立ち上がり、前後方向に延びて形成されている。第二隔壁21は、左右に離れて位置する。第二隔壁21には、回動部材11を支持する受け部25が形成されている。本実施の形態において、受け部25は、左右の第二隔壁21にそれぞれ形成されている。すなわち、受け部25は、左右一対設定されている。図示される例では、受け部25は、第二隔壁21を貫通して形成された穴である。本実施の形態において、第二隔壁21は、一般部27とクランク部28とを一体的に有し、受け部25は一般部27とクランク部28とに亘り形成されている。
【0029】
一般部27は、平板状に形成されている。本実施の形態において、一般部27は、前後方向及び上下方向に面を有する平板状である。本実施の形態において、一般部27は、下部から上部に向かって挿入部15の内側へと傾斜している。つまり、一般部27により、挿入部15は挿入開口部23から奥である上方に向かうほど幅狭となるテーパ状に形成されている。
【0030】
クランク部28は、一般部27に対し、挿入部15の内方に突出するように形成されている。クランク部28は、一般部27の上部に連なって前後左右方向に延びる第一面部28aと、第一面部28aの先端部に連なって上方に延びる第二面部28bと、を有する。すなわち、クランク部28は、断面で見て、L字状に湾曲して形成されている。受け部25は、一般部27の上端部とクランク部28の第一面部28a及び第二面部28bとに亘り開口されている。そのため、受け部25は、一般部27及び第一面部28aの位置で上方向に開口され、第二面部28bの位置で左右方向に開口されている。すなわち、受け部25は、一般部27に隣接して形成されているとともに、少なくとも所定方向(矢印Aに示す方向)側が開口されている。したがって、受け部25は、支持部材10の成形時に、成形型の一の成形型であるキャビティ及び他の成形型であるコアの上下方向の押切によって形成することが可能となっている。
【0031】
第三隔壁22は、第一隔壁20,20及び第二隔壁21,21(第二面部28b,28b)の上部に連なって形成されている。第三隔壁22は、前後左右方向に延びて形成されている。第三隔壁22には、トーションばね12の他端部12bが挿入保持される開口部30が形成されている。開口部30は、一方の受け部25に近接して配置されている。開口部30は、第三隔壁22を貫通する角穴状に形成されている。開口部30の内壁30aは、トーションばね12の他端部12bが当接して引っ掛けられる当接部である。開口部30の内壁30aには、トーションばね12の他端部12bが付勢方向である周方向に当接して保持される。そのため、開口部30に対して他端部12bが挿入されたトーションばね12に、付勢力が付与されるようになっている。開口部30の内壁30aは、下部から上部に向かって開口部30の外側へと傾斜している。つまり、開口部30は、挿入部15側から外側に向かい拡開するテーパ状となっている。
【0032】
図2(a)、
図2(b)、
図3(a)及び
図3(b)に示す回動部材11は、本実施の形態において、車両の乗員などの使用者が操作するノブである。回動部材11は、挿入部15に挿入可能な大きさに形成されている。回動部材11は、使用者により操作される操作部33と、蓋体3を本体部2(
図5)に対してロックするためのフック部34と、を有する。操作部33は、回動部材11が挿入部15に挿入されて支持部材10に支持された状態で挿入開口部23から露出する。本実施の形態において、操作部33は、左右方向に延びる切片状に形成されている。また、フック部34は、操作部33に対して交差する方向に延びている。本実施の形態において、フック部34は、回動部材11が挿入部15に挿入されて支持部材10に支持された状態で操作部33に対して下方に延びている。フック部34は、本体部2(
図5)に形成された係止受け部に対し係脱可能となっている。
【0033】
また、回動部材11には、軸部36が形成されている。軸部36は、支持部材10の受け部25に挿入されて回動可能に支持される。軸部36は、回動部材11の外方に向かって形成されている。すなわち、軸部36は、自由端状の先端部が回動部材11の側部に露出している。軸部36の先端部は、操作部33よりも側方に延びている。本実施の形態において、軸部36は、一対設定されている。これら一対の軸部36は、同一軸線上において互いに反対方向に突出している。一対の軸部36は、左右に配置されている。左側の軸部36は基端部から先端部に向かって左方に、右側の軸部36は基端部から先端部に向かって右方に、それぞれ突出している。図示される例では、軸部36は、外径が大きい軸基端部36aと、外径が小さい軸先端部36bと、を同軸上に一体的に有する。本実施の形態において、軸基端部36aは、操作部33と反対側である上側が肉抜きされて形成されている。軸基端部36aにトーションばね12が取り付けられ、軸先端部36bはトーションばね12から延出する。軸先端部36bは、中実な円柱状に形成されている。本実施の形態では、軸先端部36bが受け部25に保持される。
【0034】
軸部36は、取付部38に形成されている。取付部38は、操作部33からフック部34とは反対側である上側に突出している。取付部38は、両側方向に面方向を有する板状に形成されている。取付部38の主面に軸部36の軸基端部36aが一体的に形成されている。取付部38の背後、すなわち軸部36と反対側には、補強用の補強部39がリブ状に形成されている。
【0035】
また、一方の軸部36の近傍には、トーションばね12の一端部12aを保持するための保持部41が形成されている。保持部41は、トーションばね12の回動部材11からの脱落を防止するものである。保持部41に対し、トーションばね12の一端部12aが付勢方向である周方向に当接して保持される。保持部41は、軸部36の外周に対向する任意の位置に形成してよい。本実施の形態において、保持部41は、軸部36と操作部33との間、つまり軸部36の下部に位置する。保持部41は、軸部36の外周面の所定の接線方向に沿う面を有する。本実施の形態では、保持部41は、前部から後部に向かい上方に傾斜する面を有する。保持部41と支持部材10の開口部30の内壁30aとがなす角度は、トーションばね12の自然状態(無負荷状態)における一端部12aの先端方向と他端部12bの先端方向とがなす角度より小さく設定されている。そのため、保持部41は、支持部材10の開口部30の内壁30aとともに、支持部材10と回動部材11とが組み付けられた状態でトーションばね12に付勢力(反力)を生じさせる付勢力付与機構を構成するように角度が設定されている。
【0036】
さらに、一方の軸部36の近傍には、支持部材10と回動部材11とを組み付ける際にトーションばね12の他端部12bを所定方向に沿って規制した状態で仮保持する仮保持部42が形成されている。仮保持部42は、軸部36の外周に対向する任意の位置に形成してよい。本実施の形態において、仮保持部42は、軸部36の後部に位置する。図示される例では、仮保持部42は、軸部36の外周面の接線方向に沿い保持部41の面と交差する方向に沿う面を有する。仮保持部42は、保持部41の上部の位置で、前部から後部に向かい上方に傾斜する面を有する。仮保持部42は、軸部36の中心軸よりも上方まで延びて形成されている。本実施の形態では、仮保持部42は、取付部38の軸部36側の主面から一体的に突出して形成され、下部が保持部41と一体的に連なっている。
【0037】
そして、上記の回動装置6を組み立てる際には、まず、予め成形された回動部材11に対し、トーションばね12を取り付ける。
図3(a)に示すように、回動部材11の一方の軸部36にトーションばね12を位置合わせし、トーションばね12の一端部12aを下側、他端部12bを上側として、
図3(b)に示すように、回動部材11の側方に解放された軸部36に対し、トーションばね12を軸基端部36aまで押し込む。このとき、トーションばね12は、他端部12bが一端部12aよりも長いため、仮に一端部12aと他端部12bとを作業者が誤って逆に取り付けようとした場合でも、他端部12bが操作部33側に当たることでこのような取付ミスを構造的に防止する。トーションばね12の一端部12aは、保持部41に当接して保持され、他端部12bは、軸部36と仮保持部42との間に押し込まれて仮保持部42に沿って角度が規制された状態で仮保持される。この状態で、トーションばね12の他端部12bが軸部36に対して後方上側へと延びて位置する。
【0038】
次いで、
図2(a)に示すように、トーションばね12を取り付けた回動部材11の軸部36が受け部25に向かうように挿入開口部23から所定方向(矢印Aに示す方向)である後方上側へと回動部材11を挿入部15に押し込むと、軸部36,36の軸先端部36b,36bが挿入部15を区画する第二隔壁21,21の一般部27,27と摺接しつつ一般部27,27に沿ってガイドされて後方上側へと移動していく。そして、回動部材11がさらに押し込まれることで、仮保持部42(
図3(a))によって角度が規制されたトーションばね12の他端部12bが、回動部材11に対して所定方向に対向する第三隔壁22の開口部30に挿入されて内壁30aに当接する。作業者は、トーションばね12の他端部12bと開口部30の内壁30aとの当接位置を基点として、てこの原理により軸部36,36を一般部27,27と隣接する受け部25,25の位置に押し込む。このとき、トーションばね12は、一端部12aが保持部41に当接し、他端部12bが開口部30の内壁30aに当接していることで、脱落が防止された状態で保持されて付勢力(反力)が蓄えられていく。そして、
図1及び
図2(b)に示すように、軸部36,36が受け部25,25に挿入されることで、回動部材11が支持部材10に回動可能に支持され、回動装置6が完成する。
【0039】
この状態で、トーションばね12の他端部12bは、仮保持部42から離れて開口部30の内壁30aに当接し、一端部12aと他端部12bとがなす角度が保持部41と開口部30の内壁30aとにより自然状態よりも小さく規制されることで、付勢力(反力)を保持部41と開口部30との二箇所で受ける構造となる。
【0040】
回動装置6を組み付けた蓋体3は、本体部2にヒンジ部5によって回動可能に支持されることで、コンソールボックス1が構成される。
【0041】
トーションばね12の付勢力により、
図4(a)に示すように、回動部材11は、フック部34が本体部2の係止受け部に係合したロック状態を維持する。一方、
図4(b)に示すように、挿入開口部23から突出する操作部33を使用者が上方に引き上げると、回動部材11がトーションばね12の付勢に抗して軸部36を中心として上方に回動することで、保持部41と開口部30の内壁30aとにより規制されるトーションばね12の一端部12aと他端部12bとの角度がさらに小さくなり、トーションばね12による付勢力がさらに蓄えられるとともに、フック部34が本体部2の係止受け部から離間されて蓋体3のロックが解除され、本体部2に対して回動させることができる。
【0042】
このように、一実施の形態によれば、トーションばね12の一端部12aを回動部材11の軸部36に保持し、他端部12bを軸部36と交差する所定方向に沿って延びるように配置することで、軸部36が受け部25に向かうように支持部材10と回動部材11とを軸部36と交差する所定方向に接近させることにより、軸部36が受け部25の位置で受け部25に回動可能に支持され、トーションばね12の他端部12bが支持部材10の開口部30に挿入保持されてトーションばね12に付勢力が付与される。したがって、基本的に支持部材10と回動部材11とを所定方向に沿って接近させて押し込んでいくだけで、支持部材10と回動部材11とをトーションばね12の反力を大きく受けることなく、また工具などを用いることなく、容易にワンタッチで組み付けできる。
【0043】
つまり、作業者は、トーションばね12に捩じり力を加えるためにトーションばね12を直接手で捩じって保持する必要がなく、トーションばね12の他端部12bの開口部30への引っ掛けを利用して、所定方向への押し込みによって、てこの原理により小さな力でトーションばね12に捩じり力を加えつつ支持部材10と回動部材11とを組み付けることが可能となる。
【0044】
特に、トーションばね12は、開口部30に挿入される他端部12bを、回動部材11に保持される一端部12aよりも長く形成しているため、他端部12bを開口部30に引っ掛けて回動部材11を押し込む際に、トーションばね12をてこの原理によって軽い力で容易に捩じることができ、取付作業に要する力を抑制できる。
【0045】
また、基本的に支持部材10と回動部材11とトーションばね12との三部品構成となるため、組み付け工数及び部品点数を削減できて、安価に製造可能となる。
【0046】
回動部材11に、軸部36に取り付けられたトーションばね12の他端部12bの角度を所定方向に沿って規制する仮保持部42を形成することで、トーションばね12を回動部材11に組み付けた状態でトーションばね12の反力を手で保持することなく、すなわちトーションばね12を捩じる力を手で直接加えた状態を保持することなく支持部材10と回動部材11とを組み付ける作業を行うことができるとともに、支持部材10と回動部材11とを所定方向に接近させて押し込む動作によってトーションばね12の他端部12bを開口部30へと容易に挿入可能となり、組み付け作業がより容易になる。
【0047】
また、仮保持部42は、支持部材10と回動部材11とを組み付けた状態ではトーションばね12の他端部12bから離れることで、トーションばね12の付勢力(反力)は、保持部41と開口部30の内壁30aとにより回動部材11と支持部材10とで確実に受けることができる。
【0048】
受け部25の所定方向側を開口して形成したことで、受け部25に対して所定方向に接近する軸部36を受け部25へと容易に挿入できる。
【0049】
軸部36を回動部材11の外方に向かって突出して形成したことで、軸部36に対しトーションばね12を容易に取り付けできる。
【0050】
支持部材10と回動部材11とのいずれか、本実施の形態では回動部材11を車両用のアームレストをロックするノブとしたことで、車両用のアームレストを安価に製造できる。
【0051】
なお、上記の一実施の形態において、受け部側部材を支持部材10、軸部側部材を回動部材11としたが、これに限らず、受け部側部材を回動部材11、軸部側部材を支持部材10としてもよい。つまり、受け部25及び開口部30を回動部材11に形成し、軸部36を支持部材10に形成してもよい。この場合、例えば支持部材10の軸部36にトーションばね12を組み付け、回動部材11を支持部材10へと所定方向に沿って押し込むように組み付けてもよい。
【0052】
回動装置6は車両のアームレストの機能を有する蓋体3のロック機構に適用する例を示したが、これに限らず、他の任意の装置に適用してよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車両用のアームレストをロックするロック機構として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
3 アームレストである蓋体
6 回動装置
10 受け部側部材である支持部材
11 軸部側部材である回動部材
12 トーションばね
12a 一端部
12b 他端部
25 受け部
30 開口部
36 軸部
42 仮保持部