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特開2023-4408足場用連結具及びこれを用いた大組み工法並びに大払し工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004408
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】足場用連結具及びこれを用いた大組み工法並びに大払し工法
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20230110BHJP
   E04G 1/14 20060101ALI20230110BHJP
   E04G 7/32 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
E04G5/00 301J
E04G1/14 303A
E04G7/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106045
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】393000445
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】真田 孝範
(57)【要約】
【課題】接続部材によって支柱の取り付けフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる足場用連結具を提供する。
【解決手段】本体部材2と、くさび部材3と、接続部材4と、を備える足場用連結具1である。本体部材2は、くさび部材3を、取り付けフランジ102のくさび挿入孔102a内に位置する連結位置P2と、くさび挿入孔102a内に位置しない分離位置P1と、の間で移動可能に支持する。本体部材2は、接続部材4を、吊り具Wを介して伝わる力Fによって位置する規制位置P3と、吊り具Wを介して伝わる力Fが加わっていない状態で位置する解除位置P4との間で移動可能に支持する。接続部材4は、規制位置P3において連結位置P2に位置するくさび部材3に接触してくさび部材3の分離位置P1への移動を制限し、解除位置P4において前記くさび部材3と接触しない。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に設けられたくさび挿入孔を有する取り付けフランジに取り付けられ、前記支柱と前記支柱を吊り上げる吊り上げ装置とを連結するための足場用連結具であって、
前記取り付けフランジを挿入するフランジ挿入孔を有する本体部材と、
前記取り付けフランジのくさび挿入孔に挿入するくさび部材と、
吊り具を接続する接続部材と、を備え、
前記本体部材は、
前記くさび部材を、前記本体部材のフランジ挿入孔から挿入された前記取り付けフランジのくさび挿入孔内に位置する連結位置と、前記くさび挿入孔内に位置しない分離位置と、の間で移動可能に支持し、
前記接続部材を、前記吊り具からの力が加わった状態において位置する規制位置と、前記吊り具からの力が加わっていない状態において位置する解除位置との間で移動可能に支持し、
前記接続部材は、
前記規制位置において前記連結位置に位置する前記くさび部材に接触して前記くさび部材の前記分離位置への移動を制限し、前記解除位置において前記くさび部材と接触しない、
足場用連結具。
【請求項2】
請求項1に記載の足場用連結具において、
前記本体部材は、
前記接続部材を前記規制位置から前記解除位置まで案内する案内用長孔と、前記くさび部材を移動可能に支持する案内孔と、を有する、
足場用連結具。
【請求項3】
請求項2に記載の足場用連結具において、
前記本体部材は、
前記案内用長孔における前記規制位置と前記案内用長孔における前記解除位置とが水平方向に離れて位置し、且つ前記規制位置が前記解除位置よりも鉛直方向上方に位置する、
足場用連結具。
【請求項4】
請求項2から請求項3のいずれか一項に記載の足場用連結具において、
前記くさび部材は、
前記本体部材の案内孔に前記連結位置と前記分離位置との間で移動可能に支持される案内部と、
前記分離位置から前記連結位置の方向に延び、前記連結位置において前記取り付けフランジのくさび挿入孔に挿入されるフランジ挿入部と、
前記連結位置から前記分離位置の方向に開口し、前記分離位置において前記解除位置に位置する前記接続部材が入り込む切り欠き部と、
前記連結位置において前記規制位置に位置する前記接続部材に接触する接触部と、を含む、
足場用連結具。
【請求項5】
請求項4のいずれか一項に記載の足場用連結具において、
前記本体部材は、
前記フランジ挿入孔を有し、前記支柱の軸線方向に延びる基部と、前記基部における前記支柱の周方向の両端部から前記フランジ挿入孔の挿入方向に延び、前記案内用長孔を有する一対の周方向側部と、前記基部における前記支柱の軸線方向の両端部から前記フランジ挿入孔の挿入方向に延び、前記案内孔を有する一対の軸線方向側部と、を含み、
前記くさび部材は、
前記一対の周方向側部の間、且つ前記一対の軸線方向側部の間に前記フランジ挿入部、前記切り欠き部及び前記接触部が位置し、前記一対の軸線方向側部に支持され、
接続部材は、
一部が、前記一対の周方向側部の間、且つ前記一対の軸線方向側部の間に位置し、前記一対の周方向側部に支持される、
足場用連結具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の足場用連結具において、
前記接続部材を前記規制位置に保持する保持部材を有する、
足場用連結具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の足場用連結具を用いて仮設足場の一部分を構成する足場ブロックを他の仮設足場に組み付ける大組み工法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の足場用連結具を用いて仮設足場の一部分を構成する足場ブロックを仮設足場から取り外す大払し工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場用連結具及びこれを用いた大組み工法並びに大払し工法に関する。
【背景技術】
【0002】
仮設足場は、建築工事現場において、例えば、建築物の建築作業、メンテナス作業のために前記建築物の周囲に設けられる作業用の足場である。前記仮設足場は、建築工事作業、メンテナンス作業が完了すると撤去される。従って、前記仮設足場は、建築工事現場において、作業者が容易に設営可能且つ容易に解体可能に構成されている。前記仮設足場は、支柱、水平材、足場板及び筋交い等の各部材が作業者によって建築物の周囲に組み立てられる。
【0003】
前記仮設足場を設営する際に、予め地上において部分的に組み立てた足場(以下、部分的に組み立てられた足場を「足場ブロック」と記す。)を、既設の仮設足場に積み上げる工法、いわゆる大組み工法が用いられている。また、解体作業においては、既設の仮設足場から足場ブロック単位で地上に降ろして地上で各部材に解体する工法、いわゆる大払し工法が用いられる。前記大組み工法または前記大払し工法は、前記足場ブロックの組み立て及び解体を地上で行うため、前記仮設足場の組み立て及び解体時の安全性が向上する。
【0004】
前記足場ブロックは、クレーン等の吊り上げ装置によって地上から前記既設の仮設足場に配置したり、前記既設の仮設足場から地上に降ろしたりする。前記足場ブロックは、ワイヤロープ等の吊り具を介して吊り上げ装置に吊り下げられる。この際、前記足場ブロックと前記吊り具とを連結する足場用連結具が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1の足場用連結具は、係合孔を有するフランジが設けられた支柱に取り付けられる。前記足場用連結具は、一対の台形部材からなる本体部と、くさび部材とを備える。前記本体部は、前記吊り具を接続するシャックルを支持している。また、前記本体部は、前記くさび部材を支持する第1支持ピン及び第2支持ピンと、前記フランジが挿入される凹部と、前記一対の台形部材同士を結合する結合部材とを有する。前記くさび部材は、前記一対の台形部材に挟まれながら前記本体部に対して上下方向に移動可能に支持されている。
【0006】
前記足場用連結具を前記支柱に取り付ける場合、前記足場用連結具は、前記くさび部材が上方に引き上げられた状態で、前記本体部の凹部に前記フランジが挿入される。次に、前記足場用連結具は、前記凹部から挿入された前記フランジの係合孔に前記くさび部材が挿入される。最後に、前記足場用連結具は、前記くさび部材の上端をハンマー等で衝打されることにより、前記くさび部材が前記フランジの係合孔に強固に嵌合される。これにより、前記足場用連結具の本体部が前記フランジを覆うようにして前記支柱に連結される。この足場用連結具を用いて前記足場ブロックを吊り上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-20623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の足場用連結具は、前記くさび部材をハンマーなどで打ち込んで前記フランジの係合孔に嵌め込んでいる。つまり、前記足場用連結具は、くさび効果による摩擦力によって前記フランジの係合孔内に前記くさび部材が保持されている。従って、前記足場用連結具は、ハンマーなどの打ち込み力、くさび部材及びフランジの形状等によって前記フランジと前記くさび部材との間に発生している摩擦力が変動する。このため、前記足場用連結具は、前記フランジと、前記くさび部材との連結状態の管理が難しい。よって、前記フランジと、前記くさび部材との連結状態の管理が容易な足場用連結具が求められている。
【0009】
本発明の目的は、支柱のフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる足場用連結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る吊り足場用連結具は、支柱に設けられたくさび挿入孔を有する取り付けフランジに取り付けられ、前記支柱と前記支柱を吊り上げる吊り上げ装置とを連結するための足場用連結具である。前記足場用連結具は、前記取り付けフランジを挿入するフランジ挿入孔を有する本体部材と、前記取り付けフランジのくさび挿入孔に挿入するくさび部材と、吊り具を接続する接続部材と、を備える。
【0011】
前記本体部材は、前記くさび部材を、前記本体部材のフランジ挿入孔から挿入された前記フランジのくさび挿入孔内に位置する連結位置と、前記くさび挿入孔内に位置しない分離位置との間で移動可能に支持する。また、前記本体部材は、前記接続部材を、前記吊り具からの力が加わった状態において位置する規制位置と、前記吊り具からの力が加わっていない状態において位置する解除位置との間で移動可能に支持する。
【0012】
前記接続部材は、前記規制位置において前記連結位置に位置する前記くさび部材に接触して前記くさび部材の前記分離位置への移動を制限し、前記解除位置において前記くさび部材と接触しない。
【0013】
上述の構成では、足場用連結具のくさび部材が支柱の取り付けフランジと連結している連結位置にある場合、前記足場用連結具の接続部材は、吊り具からの力が加わると規制位置に移動する。前記規制位置に移動した接続部材は、前記くさび部材が前記取り付けフランジと連結していない分離位置への移動を制限する。つまり、前記足場用連結具は、吊り上げ装置等から前記接続部材に加わる力を利用して前記くさび部材を前記連結位置に保持する。また、前記足場用連結具は、前記吊り具に力が加わっていない場合、重力を利用して前記くさび部材を前記分離位置に移動可能にする。前記足場用連結具は、前記接続部材の位置によって連結状態を視認することができる。これにより、前記接続部材によって前記支柱の取り付けフランジと前記くさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の前記足場用連結具は、以下の構成を含むことが好ましい。前記本体部材は、前記接続部材を前記規制位置から前記解除位置まで案内する案内用長孔と、前記くさび部材を移動可能に支持する案内孔と、を有する。
【0015】
上述の構成では、前記接続部材は、前記吊り具からの力の有無によって、前記規制位置から前記解除位置まで移動可能に案内用長孔に支持されている。したがって、前記足場用連結具は、前記接続部材の位置によって前記くさび部材の連結状態を示している。これにより、前記接続部材によって前記支柱の取り付けフランジと前記くさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の前記足場用連結具は、以下の構成を含むことが好ましい。前記本体部材は、前記案内用長孔における前記規制位置と前記案内用長孔における前記解除位置とが水平方向に離れて位置し、且つ前記規制位置が前記解除位置よりも鉛直方向上方に位置する。
【0017】
上述の構成では、前記規制位置と前記解除位置とを繋ぐ前記案内用長孔は、前記規制位置から前記解除位置に向かって下方に傾斜している。したがって、前記接続部材は、前記吊り具からの力が加わっていない場合、重力によって前記規制位置から前記解除位置に向かって移動する。つまり、前記足場連結具は、足場ブロックを吊り上げない状態において、前記くさび部材を前記分離位置に移動可能な状態に切り替わる。これにより、前記接続部材によって前記支柱の取り付けフランジと前記くさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の前記足場用連結具は、以下の構成を含むことが好ましい。前記くさび部材は、前記本体部材の案内孔に前記連結位置と前記分離位置との間で移動可能に支持される案内部と、前記分離位置から前記連結位置の方向に延び、前記連結位置において前記取り付けフランジのくさび挿入孔に挿入されるフランジ挿入部と、前記連結位置から前記分離位置の方向に開口し、前記分離位置において前記解除位置に位置する前記接続部材が入り込む切り欠き部と、前記連結位置において前記規制位置に位置する前記接続部材に接触する接触部と、を含む。
【0019】
上述の構成では、前記くさび部材は、前記接続部材の位置によって、前記本体部材における移動範囲が切り替わる。これにより、前記接続部材によって支柱のフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明の前記足場用連結具は、以下の構成を含むことが好ましい。前記本体部材は、前記フランジ挿入孔を有し、前記支柱の軸線方向に延びる基部と、前記基部における前記支柱の周方向の両端部から前記フランジ挿入孔の挿入方向に延び、前記案内用長孔を有する一対の周方向側部と、前記基部における前記支柱の軸線方向の両端部から前記フランジ挿入孔の挿入方向に延び、前記案内孔を有する一対の軸線方向側部と、を含む。前記くさび部材は、前記一対の周方向側部の間、且つ前記一対の軸線方向側部の間に前記フランジ挿入部、前記切り欠き部及び前記接触部が位置し、前記一対の軸線方向側部に支持される。接続部材は、一部が、前記一対の周方向側部の間、且つ前記一対の軸線方向側部の間に位置し、前記一対の周方向側部に支持される。
【0021】
上述の構成では、接続部材は、本体部の外部から一部が視認できる状態で本体部に支持されている。これにより、前記接続部材によって支柱のフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0022】
他の観点によれば、本発明の前記足場用連結具は、以下の構成を含むことが好ましい。足場用連結具は、前記接続部材を前記規制位置に保持する保持部材を有する。
【0023】
上述の構成では、前記接続部材は、前記吊り具からの力の有無に関係なく、保持部材によって前記規制位置に保持される。よって、くさび部材は、常に連結位置に保持される。これにより、前記保持部材によって支柱のフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0024】
他の観点によれば、大組み工法において、上述の足場用連結具を用いて仮設足場の一部分を構成する足場ブロックを他の仮設足場に組み付ける。大払し工法において、上述の足場用連結具を用いて仮設足場の一部分を構成する足場ブロックを他の仮設足場から取り外す。大組み工法または大払し工法において、前記足場用連結具を使用することで前記足場ブロックを吊り上げる際に前記足場ブロックと足場用連結具と連結状態を外部から視認できる。これにより、前記接続部材によって支柱の取り付けフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態によれば、接続部材によって支柱のフランジとくさび部材との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施形態に係る足場用連結具を支柱に取り付けた足場ブロックを示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る足場用連結具を支柱の取り付けフランジに取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具の斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具を示す左側面図である。
図5図5は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具の前側面図である。
図6図6は、図5におけるA矢視断面図であってくさび部材が分離位置に位置する場合の断面図である。
図7図7は、図5におけるA矢視断面図であってくさび部材が連結位置に位置する場合の断面図である。
図8図8は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具に支柱の取り付けフランジを挿入した状態を示す模式図である。
図9図9は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具のくさび部材を連結位置に移動させた状態を示す模式図である。
図10図10は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具の接続部材に吊り具を介した力が加わった状態を示す模式図である。
図11図11は、本発明の実施形態1に係る足場用連結具を支柱に取り付けた足場ブロックを仮設足場に組み付ける大組み工法または取り外す大払し工法を示す斜視図である。
図12図12は、本発明の実施形態2に係る足場用連結具において保持部材を保持位置に移動させた状態を示す模式図である。
図13図13は、本発明の実施形態2に係る足場用連結具において保持部材を非保持位置に移動させた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0028】
なお、以下の説明では、支柱101は、軸線方向を鉛直方向として配置されているものとする。また、支柱101の軸線方向を「上下方向」とする。また、隣接する支柱101のうち建築物に沿って並んでいる支柱101の方向を「左右方向」とし、上下方向及び左右方向と直交する方向を「前後方向」ただし、この方向の定義により、本発明に係る足場用連結具1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0029】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0030】
(足場の構成)
図1図2とを用いて、本発明の足場用連結具1が用いられる足場ブロック100Aについて説明する。図1は、足場用連結具1が用いられる足場ブロック100Aの斜視図である。図2は、足場用連結具1を支柱101の取り付けフランジ102に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0031】
図1図2に示すように、足場ブロック100Aは、仮設足場100の一部分を構成するユニットである。仮設足場100は、複数の足場ブロック100Aが組み合わされている。足場ブロック100Aは、支柱101と、水平部材103と、足場板104と、筋交い部材106を含む手摺り105と、を有する。
【0032】
支柱101は、例えば地面などに設置された鉛直方向に延びる金属製の棒状部材である。支柱101は、例えば軸線方向に見て円環状の断面を有する丸パイプである。支柱101は、足場ブロック100Aにおいて上方向に見て左右方向及び前後方向に一定の間隔を空けて連続して配置される。なお、支柱101は、他の支柱101に取り付けられたブラケットなどから鉛直方向に延びるように配置されてもよい。また、支柱101は、パイプジョイント等によって軸線方向に連結可能である。
【0033】
支柱101には、支柱101の軸線方向に一定間隔ごとに取り付けフランジ102が設けられている。取り付けフランジ102は、支柱101の軸線方向に見て略90度毎に支柱101の径方向に延びる4つの挿入片を有する平板状の部材である。4つの挿入片は、それぞれにくさび挿入孔102aを有している。収納、運搬時などにおいて、支柱101は、取り付けフランジ102の挿入片間に他の支柱101を位置させることで複数の支柱101をコンパクトに束ねることができる。
【0034】
水平梁である水平部材103は、左右方向及び前後方向に隣り合う支柱101同士を連結する部材である。水平部材103は、例えば、例えば軸線方向に見て円環状の断面を有する丸パイプである。水平部材103は、取り付けフランジ102と緊結可能な緊結部材を両端に有している。水平部材103は、緊結部材によって隣り合う支柱101の取り付けフランジ102にそれぞれ連結される。これにより、隣り合う支柱101と水平部材103とは、足場ブロック100Aの構造部材として構成される。
【0035】
水平部材103は、水平梁の一例に相当する。水平梁は、手摺り105、筋交い部材106、建て枠、布枠、梁枠などに用いられる部材が含まれる。また、水平部材103は、両持ち構造の部材に限定されず、水平梁の一方にのみ緊結部材が取り付けられた片持ちの部材も含まれる。
【0036】
足場板104は、長方形状の足場板本体の両端部にフック部材が設けられている。フック部材は、水平部材103に引っかける円弧状の部材である。足場板104は、足場ブロック100Aにおいて左右方向に隣り合う水平部材103に足場板104のフック部材がそれぞれ掛けられる。つまり、足場ブロック100Aは、左右方向に隣り合う水平部材103の間に足場板104が渡される。これにより、足場ブロック100Aには、足場板104によって左右方向に隣り合う水平部材103の間に作業者が通行可能な通路が構成される。
【0037】
水平梁である手摺り105は、左右方向に隣り合う支柱101の間に掛け渡される。手摺り105は、例えば軸線方向に見て円環状の断面を有する丸パイプである。手摺り105は、取り付けフランジ102と緊結可能な緊結部材を両端に有している。手摺り105は、緊結部材によって左右方向に隣り合う支柱101間の取り付けフランジ102にそれぞれ連結される。これにより、足場ブロック100Aには、左右方向に隣り合う支柱101の間に足場板104に沿って手摺り105が渡される。
【0038】
筋交い部材106は、足場ブロック100Aの強度を高める補強部材である。筋交い部材106は、足場ブロック100Aにおいて左右方向に隣り合う支柱101同士を連結する。筋交い部材106の一端は、手摺り105の緊結部材に連結されている。筋交い部材106の他端は、緊結部材を有している。筋交い部材106は、手摺り105が連結されている支柱101の取り付けフランジ102から左右方向に隣り合う支柱101の取り付けフランジ102であって、手摺り105よりも下方に位置する取り付けフランジ102に接続される。これにより、足場ブロック100Aは、左右方向に隣り合う支柱101同士を筋交い部材106によって補強される。
【0039】
このように構成される一の足場ブロック100Aは、クレーン等の吊り上げ装置(不図示)によって吊り上げられ、他の足場ブロック100Aの左右方向または上下方向に組み付けられる。この際、足場ブロック100Aには、足場用連結具1を介して吊り上げ装置の吊り具Wが接続される。足場用連結具1は、支柱101の取り付けフランジ102に連結される。足場ブロック100Aは、複数の支柱101にそれぞれ取り付けられた複数の足場用連結具1を介して吊り上げ装置に接続される。
【0040】
(実施形態1)
次に、図3から図6を用いて、本発明に係る足場用連結具の実施形態1に係る足場用連結具1について説明する。図3は、足場用連結具1の斜視図である。図4は、足場用連結具1を示す左側面図である。図5は、足場用連結具1の前側面図である。図6は、図5におけるA矢視断面図であってくさび部材3が分離位置P1に位置する場合の断面図である。
【0041】
図1から図5に示すように、足場用連結具1は、足場ブロック100Aに吊り具Wを接続するための連結具である。足場用連結具1は、支柱101の取り付けフランジ102を介して支柱101に配置される。足場用連結具1は、本体部材2と、くさび部材3と、接続部材4と、を有する。
【0042】
本体部材2は、くさび部材3及び接続部材4を支持する筐体である。本体部材2は、箱状部材である。本体部材2は、基部2aと、左方側部2c及び右方側部2dと、上方側部2f及び下方側部2gとを含む。
【0043】
基部2aは、支柱101に対向して配置される本体部材2の側面である。基部2aは、略長方形状の側面である。基部2aは、長手方向を支柱101の軸線方向に向けた状態で支柱101の取り付けフランジ102が挿入されるフランジ挿入孔2bを有している。基部2aにおける一対の長辺には、左方側部2c及び右方側部2dがフランジ挿入孔2bの挿入方向に延びている。基部2aにおける一対の短辺には、上方側部2f及び下方側部2gがフランジ挿入孔2bの挿入方向に延びている。つまり、基部2aには、基部2aの厚み方向に左方側部2c、右方側部2d、上方側部2f及び下方側部2gが延びている。
【0044】
左方側部2c及び右方側部2dは、接続部材4を支持する本体部材2の側面である。左方側部2c及び右方側部2dは、基部2aの長手方向を支柱101の軸線方向(上下方向)に向けた状態において、前後方向に見て基部2aの左方の端部に左方側部2cが位置し、基部2aの右方の端部に右方側部2dが位置している。つまり、左方側部2c及び右方側部2dは、基部2aにおける支柱101の周方向の両端部にそれぞれ位置している。従って、左方側部2c及び右方側部2dは、本体部における一対の周方向側部である。
【0045】
左方側部2c及び右方側部2dは、左方側部2cと右方側部2dが重なる左右方向に見て、重なる位置に接続部材4を支持する案内用長孔2eをそれぞれ有する。また、案内用長孔2eは、左右方向に見て、基部2aから離れるにつれて上方向に向かうように傾斜している。案内用長孔2eは、接続部材4を案内する。
【0046】
上方側部2f及び下方側部2gは、くさび部材3を支持する本体部材2の側面である。上方側部2f及び下方側部2gは、基部2aの長手方向を支柱101の軸線方向(上下方向)に向けた状態において、前後方向に見て基部2aの上方向の端部に上方側部2fが位置し、基部2aの下方向の端部に下方側部2gが位置している。つまり、上方側部2f及び下方側部2gは、基部2aにおける支柱101の軸方向の両端部にそれぞれ位置している。従って、上方側部2f及び下方側部2gは、本体部の一対の軸線方向側部である。
【0047】
上方側部2fまたは下方側部2gのうち少なくとも一つは、基部2aから着脱可能に構成されている。本実施形態において、足場用連結具1は、下方側部2gがボルト等によって着脱可能な状態で基部2aに固定されている。上方側部2f及び下方側部2gは、上下方向に見て、重なる位置にくさび部材3を支持する案内孔2hをそれぞれ有する。
【0048】
図6に示すように、くさび部材3は、支柱101の取り付けフランジ102と連結する部材である。くさび部材3は、支柱101の取り付けフランジ102と連結する連結位置P2と、連結位置P2よりも上方であって取り付けフランジ102から分離する分離位置P1との間を移動可能に本体部材2に支持されている。くさび部材3は、板状部材から形成される。くさび部材3は、案内部である上方案内部3aと、案内部である下方案内部3bと、フランジ挿入部3cと、接触部3dと、切り欠き部3eとを有する。
【0049】
上方案内部3aと下方案内部3bとは、本体部材2によってくさび部材3が移動自在に支持され、且つくさび部材3の移動方向を制限する部分である。上方案内部3aは、上下方向における一方の方向である上方向に延びている。下方案内部3bは、上下方向における一他方の方向である下方向に延びている。上方案内部3aは、本体部材2における上方側部2fの案内孔2hに挿入可能な幅を有する帯状に形成されている。下方案内部3bは、本体部材2における下方側部2gの案内孔2hに挿入可能な幅を有する帯状に形成されている。上方案内部3aの端部から下方案内部3bの端部までの上下方向の長さは、本体部の上方側部2fから下方側部2gまでの上下方向の長さよりも長い。
【0050】
フランジ挿入部3cは、支柱101における取り付けフランジ102のくさび挿入孔102aに挿入される部分である。フランジ挿入部3cは、上方案内部3aと下方案内部3bとの間に位置している。また、フランジ挿入部3cは、下方案内部3bの方向に延びている。フランジ挿入部3cは、取り付けフランジ102のくさび挿入孔102aに挿入可能な幅を有する帯状に形成されている。つまり、フランジ挿入部3cは、分離位置P1から連結位置P2の方向に延びる帯状部材である。また、フランジ挿入部3cは、下方に向かうにつれて帯の幅が狭くなるくさび状に形成されている。
【0051】
接触部3dは、接続部材4と接触する部分である。接触部3dは、上方案内部3aと下方案内部3bとの間に位置している。また、接触部3dは、上方案内部3aの方向に延びている。接触部3dは、接続部材4に接触可能な幅を有する帯状に形成されている。よって、接続部が接触部3dの上方に位置する場合、接触部3dは、くさび部材3の上方向への移動によって、接続部材4に接触する。すなわち、くさび部材3は、接触部3dと接続部材4との接触によって、上方向の移動が制限される。
【0052】
切り欠き部3eは、接続部材4が入り込む空間を構成する部分である。切り欠き部3eは、接触部3dよりもフランジ挿入部3c側に形成されている。切り欠き部3eは、接続部材4が入り込み可能な幅を有する空間を有する。切り欠き部3eは、上方に開口している。つまり、切り欠き部3eは、連結位置P2から分離位置P1の方向に開口している。よって、接続部が切り欠き部3eの上方に位置する場合、切り欠き部3eは、くさび部材3の上方向への移動によって、接続部材4を切り欠き部3eの空間内に取り込む。すなわち、くさび部材3は、接続部材4によって上方向の移動を制限されない。
【0053】
図3から図6に示すように、接続部材4は、吊り上げ装置によって吊り上げるための吊り具Wを接続する部材である。接続部材4は、軸部4aと円弧部4b(シャックル)とを有する。軸部4aは、本体部材2における左方側部2c及び右方側部2dの案内用長孔2eに移動自在に挿入されている。また、軸部4aの両端は、左方側部2cよりも左方に突出し、右方側部2dよりも右方に突出している。円弧部4bは、両端が軸部4aの両端にそれぞれ接続されている。つまり、接続部材4は、軸部4aが案内用長孔2eに挿入された状態で、軸部4aと円弧部4bとが連結することで環状に構成される。これにより、環状の接続部材4は、本体部材2の一部を囲んでいる。したがって、接続部材4は、案内用長孔2e内を移動可能な状態で本体部材2と連結している。
【0054】
足場用連結具1は、本体部材2の左方側部2cと右方側部2dとの間、且つ上方側部2fと下方側部2gとの間にくさび部材3が位置している。くさび部材3は、上方案内部3aが上方側部2fに近接して位置し、下方案内部3bが下方側部2gに近接して位置している。また、くさび部材3は、フランジ挿入部3cが本体部材2の基部2aに近接して位置している。また、くさび部材3は、接触部3dが案内用長孔2eの下方に位置している。
【0055】
本体部材2における上方側部2fの案内孔2hには、くさび部材3の上方案内部3aが挿入されている。上方側部2fの案内孔2hは、上方案内部3aを上下方向に移動可能に支持している。本体部における下方側部2gの案内孔2hには、くさび部材3の下方案内部3bが挿入されている。下方側部2gの案内孔2hは、下方案内部3bを上下方向に移動可能に支持している。つまり、本体部材2は、くさび部材3を上下方向に、分離位置P1と連結位置P2との間を移動可能に支持している。上方案内部3aは、本体部材2の上方側部2fよりも上方に突出している。同様に、下方案内部3bは、本体部材2の下方側部2gよりも下方に突出している。上方案内部3a及び下方案内部3bにおいて本体部材2よりも突出している部分は、作業者がくさび部材3を移動させる際の把持する部分として機能する。
【0056】
次に、図6図7とを用いて足場用連結具1の動作について説明する。図7は、図5におけるA矢視断面図であってくさび部材3が連結位置P2に位置する場合の断面図である。
【0057】
図6に示すように、くさび部材3が本体部材2に対して最も上方に位置する場合、くさび部材3のフランジ挿入部3cの先端は、基部2aのフランジ挿入孔2bよりも上方に位置している。つまり、フランジ挿入部3cは、フランジ挿入孔2bに挿入されている取り付けフランジ102のくさび挿入孔102aに挿入されない。よって、足場用連結具1は、フランジ挿入部3cがフランジ挿入孔2bよりも上方に位置し、くさび挿入孔102a内に位置しない分離位置P1にくさび部材3を移動させることで、支柱101に連結していない(分離した)状態になる。
【0058】
図7に示すように、くさび部材3が本体部材2に対して最も下方に位置する場合、くさび部材3のフランジ挿入部3cの先端は、基部2aのフランジ挿入孔2bよりも下方に位置している。つまり、フランジ挿入部3cは、フランジ挿入孔2bに挿入されている取り付けフランジ102のくさび挿入孔102aに挿入される。よって、足場用連結具1は、フランジ挿入部3cがフランジ挿入孔2bよりも下方に位置し、くさび挿入孔102a内に位置する連結位置P2にくさび部材3を移動させることで、支柱101に連結している状態になる。
【0059】
接続部材4は、本体部材2の案内用長孔2eに移動自在に支持されている。接続部材4が案内用長孔2eの両端部のうち基部2aから離れている方の端部に位置する場合、接続部材4の軸部4aは、連結位置P2に位置するくさび部材3における接触部3dの上方に位置している。つまり、接触部3dの上方に位置する接続部材4は、連結位置P2から分離位置P1に向かって移動するくさび部材3の接触部3dと接触する。よって、足場用連結具1は、接触部3dの上方に位置し、くさび部材3の連結位置P2から分離位置P1への移動を規制する位置である規制位置P3に接続部材4を移動させることで、支柱101に連結している状態を維持する。
【0060】
図6に示すように、接続部材4が案内用長孔2eの両端部のうち基部2aに近い方の端部に位置する場合、接続部材4の軸部4aは、連結位置P2に位置するくさび部材3における切り欠き部3eの上方に位置している。つまり、接続部材4は、連結位置P2から分離位置P1に向かって移動するくさび部材3の切り欠き部3eが有する空間に入り込む。このため、接続部材4は、くさび部材3の接触部3dに接触しない。よって、足場用連結具1は、切り欠き部3eの上方に位置し、くさび部材3の連結位置P2から分離位置P1への移動を規制しない位置である解除位置P4に接続部材4を移動させることで、支柱101から分離可能な状態になる。
【0061】
上述のように、案内用長孔2eは、規制位置P3と解除位置P4とが本体部材2における左右方向である水平方向に離れて位置し、且つ規制位置P3が解除位置P4よりも本体部材2における上方向である鉛直方向上方に位置する、案内用長孔2eは、規制位置P3と解除位置P4との間において接続部材4を案内する。
【0062】
図7に示すように、接続部材4は、吊り具W等によって本体部材2の基部2aから離れる方向且つ上方向に力Fが加わった場合、案内用長孔2eに沿って規制位置P3に移動する。つまり、接続部材4は、吊り具W等による力Fが加わっている場合、規制位置P3においてくさび部材3の連結位置P2から分離位置P1への移動を規制する。また、接続部材4は、吊り具W等による力Fが加わっていない場合、重力により案内用長孔2eに沿って解除位置P4に移動する。つまり、接続部材4は、吊り具W等による力Fが加わっていない場合、解除位置P4においてくさび部材3の連結位置P2から分離位置P1への移動の規制を解除する。
【0063】
このように構成される足場用連結具1は、本体部分のフランジ挿入孔2bに挿入された取り付けフランジ102に連結可能である。また、足場用連結具1は、分離位置P1に位置するくさび部材3を連結位置P2に移動させることで、取り付けフランジ102に連結可能である。更に、足場用連結具1は、接続部材4を規制位置P3に移動させることでくさび部材3を連結位置P2に保持可能である。
【0064】
次に、図8から図10を用いて、足場用連結具1の支柱101への取り付けについて説明する。図8は、足場用連結具1に支柱101の取り付けフランジ102を挿入した状態を示す模式図である。図9は、足場用連結具1のくさび部材3を連結位置P2に移動させた状態を示す模式図である。図10は、足場用連結具1の接続部材4に吊り具Wを介した力Fが加わった状態を示す模式図である。なお、足場用連結具1は、初期状態として、くさび部材3が分離位置P1に位置し、接続部材4が解除位置P4に位置している。
【0065】
図8に示すように、足場用連結具1は、本体部分のフランジ挿入孔2bに支柱101の取り付けフランジ102が挿入される。これにより、足場用連結具1は、フランジ挿入孔2b内に位置する取り付けフランジ102によって、上下方向及び左右方向の位置が位置決めされる。この際、接続部材4は、解除位置P4に位置している。また、くさび部材3は、分離位置P1に位置している。
【0066】
図9に示すように、足場用連結具1は、取り付けフランジ102と連結するために、分離位置P1に位置するくさび部材3が連結位置P2に移動される。くさび部材3のフランジ挿入部3cは、取り付けフランジ102のくさび挿入孔102aに挿入される。これにより、足場用連結具1は、前後方向の位置が位置決めされる。すなわち、足場用連結具1は、フランジ挿入孔2b及びくさび部材3によって取り付けフランジ102と連結している。この際、接続部材4は、解除位置P4に位置している。
【0067】
図10に示すように、足場用連結具1は、接続部材4に吊り具Wが接続される。接続部材4は、吊り具Wによって本体部材2の基部2aから離れる方向の力Fが加わった場合、解除位置P4から規制位置P3に移動される。よって、足場用連結具1は、規制位置P3に位置している接続部材4によってくさび部材3の連結位置P2からの移動を制限する。このように、足場用連結具1は、足場ブロック100Aを吊り上げるために吊り具Wに力Fが加わっている状態において、くさび部材3が連結位置P2にロックされ、取り付けフランジ102との連結が維持される。
【0068】
図9に示すように、足場用連結具1は、吊り具Wによって接続部材4に本体部材2の基部2aから離れる方向に力Fが加わっていない場合、接続部材4が規制位置P3から解除位置P4に移動される。よって、足場用連結具1は、解除位置P4に位置している接続部材4によってくさび部材3の連結位置P2からの移動を制限しない。このように、足場用連結具1は、足場ブロック100Aを吊り上げない状態において、くさび部材3を分離位置P1に移動させて支柱101から分離可能である。
【0069】
上述のように、足場用連結具1は、吊り上げ装置等から吊り具Wに加わる力Fを利用して接続部材4を規制位置P3に移動させ、くさび部材3を連結位置P2に保持する。また、足場用連結具1は、吊り上げ装置等から吊り具Wに力Fが加わっていない場合、接続部材4に加わる重力を利用して接続部材4を解除位置P4に移動させ、くさび部材3を前記分離位置P1に移動可能にする。このように、足場用連結具1は、接続部材4の位置によってくさび部材3の連結状態を示している。これにより、接続部材4によって支柱101の取り付けフランジ102とくさび部材3との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0070】
次に、図1図11とを用いて、本実施形態の足場用連結具1を用いた大組み工法及び大払し工法について説明する。図11は、足場用連結具1を支柱101に取り付けた足場ブロック100Aを仮設足場100に組み付ける大組み工法または取り外す大払し工法を示す斜視図である。
【0071】
図1に示すように、大組み工法とは、仮設足場100の一部である足場ブロック100Aを予め組み立てて、既設の仮設足場100に組み込む工法である。大組み工法において仮設足場100の一部分を構成する足場ブロック100Aは、例えば、左右方向に並んだ5本の支柱101が前後方向に2列に配置された合計10本の支柱101から構成されている。また、足場ブロック100Aは、上下方向に2段の足場板104と、足場板104に沿って配置される手摺り105を含む。足場ブロック100Aは、10本の支柱101のうち前後方向に隣り合う支柱101の間を水平部材103によって連結している。また、足場ブロック100Aは、10本の支柱101のうち左右方向に隣り合う支柱101の間を筋交い部材106及び手摺り105によって連結している。足場ブロック100Aは、水平部材103の間に足場板104が渡されている。
【0072】
図11に示すように、足場ブロック100Aは、クレーン等の吊り上げ装置によって吊り上げられる。足場ブロック100Aには、吊り具Wを接続するための足場用連結具1が連結される。足場用連結具1は、足場ブロック100Aを構成する支柱101に設けられた取り付けフランジ102に連結される。足場ブロック100Aは、複数の足場用連結具1(本実施形態において4つの足場用連結具1)が複数の支柱101にそれぞれ連結される。足場用連結具1には、ワイヤロープ等の吊り具Wが連結される。足場ブロック100Aは、連結具1に連結された吊り具Wを介して吊り上げ装置によって吊り上げられる。
【0073】
吊り具Wを介して吊り上げられた足場ブロック100Aは、地上に設置された仮設足場100の所定の場所の位置に搬送される。足場ブロック100Aは、仮設足場100に組み込まれる。
【0074】
大組み工法において、支柱101の取り付けフランジ102に連結された足場用連結具1の接続部材4には、吊り上げ装置によって足場ブロック100Aを吊り上げるための吊り具Wが接続されている。足場用連結具1には、本体部材2の基部2a(支柱101)から離れる方向且つ上方向から吊り具Wが接続されている。つまり、接続部材4には、吊り具Wを介して本体部材2の基部2a(支柱101)から離れる方向且つ上方向の力Fが加わる。従って、接続部材4は、吊り具Wを介して伝わる力Fにより案内用長孔2eに沿って規制位置P3に移動する。足場用連結具1は、吊り具Wを介して伝わる力Fを利用してくさび部材3を連結位置P2に固定する。
【0075】
大払し工法とは、仮設足場100の一定の範囲の構造体である足場ブロック100Aを仮設足場100から予め切り離して、クレーン等の吊り上げ装置によって仮設足場100から取り外す工法である。大払し工法は、仮設足場100において取り外す足場ブロック100Aに含まれる複数の支柱101に足場用連結具1がそれぞれ連結されている。複数の足場用連結具1には、吊り具Wがそれぞれ接続されている。足場ブロック100Aは、吊り具Wを介して吊り上げ装置によって吊り上げられる。足場用連結具1は、吊り具Wを介して伝わる力Fを利用してくさび部材3を連結位置P2に固定する。足場ブロック100Aは、仮設足場10041から地上に降ろされ、各部材に分解される。
【0076】
このように大組み工法及び大払し工法に用いられる足場用連結具1は、足場ブロック100Aを吊り上げる吊り具Wを介して伝わる力Fの有無に応じて、規制位置P3から解除位置P4まで移動可能な状態で接続部材4が案内用長孔2eに支持されている。したがって、足場用連結具1は、接続部材4の位置によってくさび部材3の連結状態を示している。くさび部材3は、接続部材4の位置によって、本体部にける移動可能範囲が切り替わる。これにより、大組み工法及び大払し工法において、足場用連結具1は、接続部材4によって支柱101の取り付けフランジ102とくさび部材3との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0077】
(実施形態2)
次に、図12図13とを用いて、本発明に係る足場用連結具1の第2実施形態である足場用連結具1について具体的に説明する。図12は、足場用連結具1において保持部材5を保持位置P5に移動させた状態を示す模式図である。図13は、足場用連結具1において保持部材5を非保持位置P6に移動させた状態を示す模式図である。
【0078】
なお、以下の実施形態に係る足場用連結具1は、図1から図7に示す足場用連結具1において、足場用連結具1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すことする。また、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0079】
図12に示すように、足場用連結具1は、足場ブロック100Aに吊り具Wを接続するための連結具である。足場用連結具1は、支柱101の取り付けフランジ102を介して支柱101に配置される。足場用連結具1は、本体部材2と、くさび部材3と、接続部材4と、保持部材5とを有する。
【0080】
保持部材5は、接続部材4を規制位置P3に保持する部材である。保持部材5は、本体部材2に設けられている。保持部材5は、接続部材4を案内用長孔2eの規制位置P3に保持する保持位置P5と、接続部材4が案内用長孔2e内の任意の位置に移動可能な非保持位置P6とに移動可能である。保持部材5は、板状の部材である。保持部材5は、本体部材2の左方側部2cまたは右方側部2dのうち少なくとも一方に上下方向に移動自在に支持されている。本実施形態において、保持部材5は、保持部材案内用の長孔5aを有している。保持部材5は、保持部材案内用の長孔5a内に挿入されるボルト5bよって本体部材2に移動可能に支持されている。
【0081】
保持部材5は、保持位置P5において、接続部材4を保持する案内用長孔2eの一部を覆う。この際、保持部材5は、保持位置P5において、案内用長孔2eの規制位置P3に位置する接続部材4に案内用長孔2eの解除位置P4側から接触する。つまり、保持部材5は、保持位置P5において、接続部材4の規制位置P3から解除位置P4への移動を制限する。
【0082】
図13に示すように、保持部材5は、非保持位置P6において、接続部材4を保持する案内用長孔2eを覆わない。つまり、保持部材5は、非保持位置P6において、接続部材4の規制位置P3から解除位置P4への移動を制限しない。
【0083】
このように構成することで接続部材4は、吊り具Wを介して伝わる力Fの有無に関係なく、保持部材5によって規制位置P3に保持される。よって、足場用連結具1は、保持部材5によって接続部材4を介してくさび部材3が連結位置P2に保持される。これにより、前記保持部材5によって支柱101の取り付けフランジ102とくさび部材3との連結状態の管理を容易に行うことができる。
【0084】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、本体部材2は、基部2aと、左方側部2c及び右方側部2dと、上方側部2f及び下方側部2gとを含む筐体である。しかしながら、本体部材2は、フランジ挿入孔2bを有し、くさび部材3と接続部材4とを移動自在に支持できる構成であればよい。
【0085】
また、上述の実施形態において、接続部材4は、基部2aから離れるにつれて上方向に延びる案内用長孔2eに沿って移動可能に構成されている。しかしながら、接続部材4は、くさび部材3の接触部3dと接触する規制位置P3と接触しない解除位置P4とに移動可能であればよい。例えば、接触部3d材は、本体部材2の左方側部2cと右方側部2dとに回転自在に支持され、特定の回転角度を規制位置P3としてくさび部材3の接触部3dと接触し、特定の角度を解除位置P4として接触部3dと接触しないように構成してもよい。
【0086】
また、上述の実施形態において、案内用長孔2eは、基部2aから離れるにつれて上方向に延びる傾斜した長孔である。しかしながら、案内用長孔2eは、水平に伸びる長孔でもよい。この場合、接続部材4は、ばね等の付勢部材によって解除位置P4に移動するように構成される。
【0087】
また、上述の実施形態において、接続部材4は、吊り具Wを介して伝わる力Fが加わっていない場合、重力を利用して上下方向に傾斜する案内用長孔2eに沿って解除位置P4に移動する。しかしながら、接続部材4は、吊り具Wを介して伝わる力Fが加わっていない場合、ばね等の付勢部材によって解除位置P4に移動するように構成してもよい。
【0088】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0089】
1 足場用連結具
2 本体部材
2a 基部
2b フランジ挿入孔
2c 左方側部
2d 右方側部
2e 案内用長孔
2f 上方側部
2g 下方側部
2h 案内孔
3 くさび部材
3a 上方案内部
3b 下方案内部
3c フランジ挿入部
3d 接触部
3e 切り欠き部
4 接続部材
4a 軸部
4b 円弧部
100 仮設足場
100A 足場ブロック
101 支柱
102 取り付けフランジ
103 水平部材
104 足場板
105 手摺り
106 筋交い部材
P1 分離位置
P2 連結位置
P3 規制位置
P4 解除位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13