(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044088
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】コンテンツ提供システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20230323BHJP
G06F 3/0485 20220101ALI20230323BHJP
G06F 3/0487 20130101ALI20230323BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230323BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20230323BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G06F13/00 550P
G06F13/00 540B
G06F3/0485
G06F3/0487
G09G5/00 550C
G09G5/34 A
G09G5/36 530Y
G09G5/00 555D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151932
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】521366377
【氏名又は名称】ロケットスタッフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】高 榮郁
【テーマコード(参考)】
5B084
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA12
5B084AB06
5B084BB14
5B084CE04
5B084CE12
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5B084DB02
5B084DB09
5B084DC02
5B084DC13
5C182AB09
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA46
5C182BA64
5C182BA75
5C182BC03
5C182BC14
5C182BC25
5C182BC26
5C182CB44
5C182CC13
5C182CC14
5C182CC15
5C182DA14
5E555AA63
5E555AA76
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA46
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC08
5E555BC17
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5E555CB02
5E555CB21
5E555CB45
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5E555DB53
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5E555DC84
5E555DD06
5E555EA07
5E555EA09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】スクロールして読み進める電子書籍において、スクロール以外の手法でコンテンツを楽しむことができるコンテンツ提供システムを提供する。
【解決手段】本発明のコンテンツ提供システムは、電子書籍を配信するコンテンツ配信装置と、電子書籍を閲覧するためのビューアが設けられ、動き検知センサを備えたユーザ端末とを含む。電子書籍は、複数の静止画カットと少なくとも1つ以上のパノラマビューカットとを含んで構成される。上記ビューアは、配信される電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に、ビューアに対するスクロールに対応して静止画カットを読み進める方向に表示する第1表示制御と、動き検知センサで検知されるユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きに対応してパノラマビューカットの表示処理を行う第2表示制御と、を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子書籍を配信するコンテンツ配信装置と、前記電子書籍を閲覧するためのビューアが設けられ、動き検知センサを備えたユーザ端末とを含むコンテンツ提供システムであって、
前記電子書籍は、複数の静止画カットと少なくとも1つ以上のパノラマビューカットとを含み、
前記ビューアは、配信される前記電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に、前記ビューアに対するスクロールに対応して前記静止画カットを読み進める方向に表示する第1表示制御と、前記動き検知センサで検知される前記ユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きに対応して前記パノラマビューカットの表示処理を行う第2表示制御と、を行うことを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項2】
前記パノラマビューカットは、前記ビューアに対するスクロールに対応して表示される第1領域と、前記第1領域を中心とした視点で上下方向又は左右方向の広角領域を描写した第2領域と、を含み、
前記ビューアは、前記第2表示制御において、前記動き検知センサで検知される前記ユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きを取得し、取得された前記ユーザ端末の動きの方向に位置する前記第2領域を表示することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項3】
前記ビューアは、前記第1領域が前記表示領域において所定の割合以上表示されたタイミング、前記第1領域が前記表示領域内において所定の表示位置までスクロールされたタイミング、または、ユーザ操作によって前記第1領域が選択されたタイミングで、前記第2表示制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項4】
前記電子書籍は、所定の前記静止画カットに前記パノラマビューカットの事前読込情報が設定されており、
前記ビューアは、前記コンテンツ配信装置からストリーミング配信される前記電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に表示するとともに、前記静止画カットの読込処理において前記事前読込情報の有無を判定し、前記事前読込情報が有ると判定された場合に、前記コンテンツ配信装置に前記パノラマビューカットの配信要求を送信し、
前記コンテンツ提供装置は、前記パノラマビューカットの配信要求を受け付けて前記ユーザ端末に送信し、
前記ビューアは、前記パノラマビューカットが前記表示領域に表示される前のタイミングで受信したパノラマビューカットの読込処理を実行し、前記第2表示制御において予め読み込んだ前記パノラマビューカットの表示処理を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のコンテンツ提供システム。
【請求項5】
前記電子書籍は、前記ビューアに対する縦スクロールに対応して前記静止画カット及び前記パノラマビューカットが読み進める方向に順に並んでいる縦長のコンテンツであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のコンテンツ提供システム。
【請求項6】
コンテンツ配信装置から配信される電子書籍を閲覧するために、動き検知センサを備えるユーザ端末で実行されるプログラムであって、
前記電子書籍は、複数の静止画カットと少なくとも1つ以上のパノラマビューカットとを含み、
配信される前記電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に、前記ビューアに対するスクロールに対応して前記静止画カットを読み進める方向に表示する第1機能と、
前記動き検知センサで検知される前記ユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きを取得する第2機能と、
前記ユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きに対応して前記パノラマビューカットの表示処理を行う第3機能と、
を前記ユーザ端末に実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍データをスマートフォン等のユーザ端末で表示するコンテンツ閲覧技術に関する。
【背景技術】
【0002】
単行本や漫画、文庫本などを電子データ化した電子書籍は、スマートフォンやタブレット端末などの汎用機器や専用の電子書籍リーダで閲覧することができる。電子書籍は、事前にプリセットされたビューア(viewer)で、又はビューアをダウンロード/インストールして、閲覧することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子書籍の作品、すなわち、コンテンツが多様化しており、例えば、縦スクロールで読み進めるWebtoonがある。Webtoonは、スマートフォンやタブレット端末で閲覧することを前提とした作品が多く、漫画作品だと基本的にカラーページであったり、音楽やアニメーションが挿入されたりする作品などもあったりする。
【0005】
一方で、スマートフォンやタブレット端末などでの電子書籍の閲覧は、スクロールして次々とコンテンツを表示させて読むといった単調な操作となっている。これは、物理的な漫画書籍や小説などのページ捲りと同じ考え方であり、あくまでもページを捲って「コンテンツを楽しむ」ものであり、スクロール以外の操作(動作)が必要ないからである。
【0006】
そこで、本発明の目的は、スクロールして読み進める電子書籍において、スクロール以外の手法でコンテンツを楽しむことができるコンテンツ提供システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のコンテンツ提供システムは、電子書籍を配信するコンテンツ配信装置と、電子書籍を閲覧するためのビューアが設けられ、動き検知センサを備えたユーザ端末とを含んで構成される。
【0008】
電子書籍は、複数の静止画カットと少なくとも1つ以上のパノラマビューカットとを含んでおり、ビューアは、配信される電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に、ビューアに対するスクロールに対応して静止画カットを読み進める方向に表示する第1表示制御と、動き検知センサで検知されるユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きに対応してパノラマビューカットの表示処理を行う第2表示制御と、を行う。
【0009】
(2)上記(1)において、上記パノラマビューカットは、ビューアに対するスクロールに対応して表示される第1領域と、第1領域を中心とした視点で上下方向又は左右方向の広角領域を描写した第2領域と、を含むように構成することができる。そして、上記ビューアは、第2表示制御において、動き検知センサで検知されるユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きを取得し、取得されたユーザ端末の動きの方向に位置する第2領域を表示することができる。
【0010】
(3)上記(2)において、上記ビューアは、上記第1領域が表示領域において所定の割合以上表示されたタイミング、第1領域が表示領域内において所定の表示位置までスクロールされたタイミング、または、ユーザ操作によって第1領域が選択されたタイミングで、上記第2表示制御を行うように構成することができる。
【0011】
(4)上記(1)から(3)において、上記電子書籍は、所定の静止画カットにパノラマビューカットの事前読込情報が設定されるように構成することができる。そして、上記ビューアは、コンテンツ配信装置からストリーミング配信される電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に表示するとともに、静止画カットの読込処理において事前読込情報の有無を判定し、事前読込情報が有ると判定された場合に、コンテンツ配信装置にパノラマビューカットの配信要求を送信する。コンテンツ提供装置は、パノラマビューカットの配信要求を受け付けてユーザ端末に送信し、ビューアは、パノラマビューカットが表示領域に表示される前のタイミングで、受信したパノラマビューカットの読込処理を実行し、第2表示制御において予め読み込んだパノラマビューカットの表示処理を行うように構成することができる。
【0012】
(5)上記(1)から(4)において、上記電子書籍は、ビューアに対する縦スクロールに対応して静止画カット及びパノラマビューカットが読み進める方向に順に並んでいる縦長のコンテンツで構成することができる。
【0013】
(6)本発明のプログラムは、コンテンツ配信装置から配信される電子書籍を閲覧するために、動き検知センサを備えるユーザ端末で実行される。電子書籍は、複数の静止画カットと少なくとも1つ以上のパノラマビューカットとを含んで構成されており、上記ユーザ端末に、配信される電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に、ビューアに対するスクロールに対応して静止画カットを読み進める方向に表示する第1機能と、動き検知センサで検知されるユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きを取得する第2機能と、ユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きに対応してパノラマビューカットの表示処理を行う第3機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ビューアに対するスクロールに対応して静止画カットを読み進める方向に表示する以外に、動き検知センサで検知されるユーザ端末の上下方向又は左右方向への動きに対応してパノラマビューカットの表示処理を行うので、スクロール以外の手法でコンテンツ表示を行うことができ、コンテンツを楽しむための演出を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のコンテンツ提供システムのネットワーク構成及び機能ブロックを示す図である。
【
図2】第1実施形態の電子書籍データの一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態のパノラマビューカットを含む電子書籍データのユーザ端末での表示制御を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態のパノラマビューカットを含む電子書籍データのユーザ端末での表示制御を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態の電子書籍データの変形例を示す図である。
【
図6】第1実施形態のコンテンツ提供方法及びビューアの処理フローを示す図である。
【
図7】第2実施形態の電子書籍データの一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態のコンテンツ提供方法及びビューアの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1から
図6は、第1実施形態のコンテンツ提供システムを説明するための図であり、
図1は、ネットワーク構成及び機能ブロックの説明図である。
【0017】
本実施形態のコンテンツ提供システムは、ユーザ端末100で電子書籍を閲覧する電子書籍サービスを提供する。電子書籍とは、上述のように、単行本や漫画、文庫本などを電子データ化したものであり、ページ単位、カット単位で読み進めていくコンテンツである。
【0018】
以下の説明では、電子書籍としてWebtoonの作品を一例に説明しているが、Webtoonに限らず、電子書籍として提供されている様々なコンテンツ閲覧に適用することができる。また、漫画以外にも例えば、小説の挿絵やタイトルなどにパノラマビューカットを適用した電子書籍も含むことができ、電子書籍全般に適用することができる。
【0019】
ユーザ端末100は、例えば、スマートフォンなどの多機能携帯電話機やタブレット端末などの持ち運び可能な携帯端末(モバイル端末)であり、無線通信機能を備えている。通信部110は、IP網や4G/5G/LTE回線(携帯電話回線を介したモバイルデータ通信)などの移動通信網での通信制御制御を行う。例えば、Wi-Fi(無線LAN)機能やSIMカードを利用したモバイルデータ通信機能を備えている。なお、通話機能は、備えていてもいなくてもよい。その他に、ユーザ端末100は、音声出力装置としてスピーカー130、タッチパネル方式の表示入力部140、動き検知センサ150、記憶部160を備えている。
【0020】
そして、ユーザ端末100の制御部120は、表示制御部121を備えている。この表示制御部121は、電子書籍を閲覧するビューア121aを含む電子書籍閲覧アプリケーションである。ビューア121aは、コンテンツ配信装置300からストリーミング配信される電子書籍データを読み込み、表示・再生処理を行う。ビューア121aの表示・再生制御の詳細については後述する。
【0021】
なお、ビューア121aは、ビューア121aを含む電子書籍閲覧アプリケーションして提供される態様の他に、例えば、ブラウザの機能拡張のプラグインアプリケーションとして提供することもできる。この場合、ブラウザが表示制御部121であり、ブラウザの表示制御において、電子書籍を閲覧する操作が行われたとき、プラグインアプリケーションのビューア121aが実行され、電子書籍の表示・再生処理が行われる。
【0022】
ビューア121aを含む表示制御部121は、ユーザ端末100に事前にインストールされていてもよく、又はユーザが電子書籍を閲覧する際に任意のタイミングで所定のアプリケーション配信サーバからダウンロードし、インストールすることができる。また、プラグインで動作する場合、ブラウザの表示制御のタイミングでビューア121aがダウンロードされたりインストールされたりしてもよい。
【0023】
動き検知センサ150は、ユーザ端末100の動き、すなわち、手に持った状態でユーザ端末100が上下左右のどの方向に移動したかを検知するセンサ装置である。動き検知センサ150は、公知の加速度センサ(モーションセンサ)やジャイロセンサなどのセンサ装置を適用することができ、また、加速度センサとジャイロセンサとを組み合わせたセンサ装置であってもよい。
【0024】
コンテンツ配信装置300は、ユーザ端末100からの配信要求に対し、該当の電子書籍データをストリーミング配信する。通信装置310は、IP網や移動通信網を通じたストリーミング配信の通信制御を行う。制御装置320は、コンテンツ登録部321とコンテンツ配信部322とを備える。記憶装置330は、電子書籍データを含む各種情報を格納する。
【0025】
コンテンツ登録部321は、配信される電子書籍データの登録を受け付け、記憶装置330に記憶する。また、コンテンツ登録部321は、ユーザ端末100で登録された各電子書籍を閲覧可能(選択可能)な画面を生成し提供する。つまり、登録された電子書籍をユーザに選択可能にし、ストリーミング配信できる状態にする。
【0026】
コンテンツ配信部322は、電子書籍データをストリーミング配信する。ストリーミング配信とは、電子書籍データを所定のパケット単位に分割して配信し、ユーザ端末100のビューア121aが、パケット単位で読み込みを行って表示・再生を行う。ビューア121aは、表示・再生が終わるごとにパケット(データ)を破棄し、ユーザ端末100側の記憶領域に残さないように制御する。
【0027】
パケット単位の例としては、例えば、電子書籍データを構成する複数のカット単位がある。コンテンツ配信部322は、電子書籍データを構成する複数のカット別に順次データ送信を行うことができる。なお、パケット単位は、任意に設定することができる。例えば、漫画や小説のページ単位でパケット分割することもできる。
【0028】
なお、本実施形態では、電子書籍データが、複数のカットで構成された態様を一例に説明するが、カットの大きさは、任意である。例えば、ユーザ端末100のビューア121aは、所定の表示領域(表示範囲)を備えており、その表示領域の大きさとほぼ同じ大きさを1カットとしたり、表示領域内に複数のカットが表示可能な任意の大きさを1カットとしたり、表示領域よりも大きいカットを1カットとしてもよい。また、漫画などでは、カットに対応する言葉として「コマ」という言葉が使用されることもある。この場合、1カットが1コマで構成されていたり、1カットが複数コマで構成されていたりする態様も含むことができる。
【0029】
また、ストリーミング配信では、1カットが1パケットである場合以外にも、1カットが複数パケットに分割された配信されたり、1パケットに複数のカットが含まれて配信されたりするように構成でき、1カットを1パケットとする態様に限る必要はない。
【0030】
図2は、本実施形態の電子書籍データの一例を示す図である。
図2に示すように、電子書籍データは、複数のカットC1~Cnで構成され、カットC1~Cnは、作品として読み進める方向に並んでいる。つまり、カットC1が先頭であり、作品の流れに準じて各カットが順に並ぶイメージである。ユーザは、ビューア121aの表示領域に対するスクロール操作を行い、読み進める方向に並ぶカットを順次閲覧することができる。
【0031】
電子書籍データは、静止画カットとパノラマビューカットとを含んで構成されている。静止画カットは、画像データである。パノラマビューカットも同様に画像データであるが、
図2に示すように、ビューア121aに対するスクロールに対応して表示される静止画カットC3と、静止画カットC3(第1領域)を中心とした視点で左右方向の広角領域を描写した静止画カットC31,32(右側)、静止画カットC33,C34(左側)とを含んで構成されている。
【0032】
つまり、本実施形態のパノラマビューカットは、左右方向に横長の静止画カットであり、連続した1枚の静止画カットであったり、複数の静止画カットが横長に連結されたカットであったりする。そして、パノラマビューカットは、ビューア121aに対するスクロールに対応して表示される第1領域として静止画カットC3を含み、静止画カットC31,32(右側)、静止画カットC33,C34(左側)が、この第1領域を中心とした視点で左右方向の広角領域を描写した第2領域として含まれる。
【0033】
なお、
図2に示したパノラマビューカットは一例であり、例えば、静止画カットC3に対して右側のみの静止画カットC31を含むパノラマビューカットや、静止画カットC3に対して左側のみの静止画カットC33を含むパノラマビューカットであってもよい。また、第2領域に含まれるカット数は任意である。
【0034】
図3及び
図4は、ユーザ端末100での表示制御を説明するための図である。
図4は、
図3を上から見た図である。ユーザは、ユーザ端末100を左右に移動させると、動き検知センサ150が、ユーザ端末100の移動方向を検知する。ビューア121aは、動き検知センサ150と連携し、動き検知センサ150で検知されたユーザ端末100の移動方向を取得する。ビューア121aは、検出されたユーザ端末100の動きの方向に位置する第2領域の静止画カットを表示する。
【0035】
図2に例示したパノラマビューカットのケースで説明すると、ビューア121aは、静止画カットC3が表示された状態でユーザ端末100が右に動いたことを検知した場合、上述のように静止画カットC31を表示し、静止画カットC31が表示された状態でさらにユーザ端末100が右に動いたことを検知した場合、静止画カットC32を表示することができる。
【0036】
図5は、本実施形態の電子書籍データの変形例を示す図である。
図5の例は、左右方向に加えて、静止画カットC3(第1領域)を中心とした視点で上下方向の広角領域を描写した静止画カットC35(上側),36(下側)を含んで構成されたパノラマビューカットである。また、第2領域においても、静止画カットC33を中心とした視点で上下方向の広角領域を描写した静止画カットC33a,33bを含んでいる。また、上述した左右方向の横長のパノラマビューカットと同様に、上下方向の広角領域を描写したカットは、連続した1枚の静止画カットで構成したり、複数の静止画カットが縦に連結されたカットで構成したりすることができる。
【0037】
このように本実施形態のパノラマビューカットは、左右方向のみ、上下方向のみ、左右方向と上下方向の双方、または上下左右の一方向のみを含むように構成することができる。
【0038】
図6は、本実施形態のコンテンツ提供システムの処理フローを示す図である。
【0039】
コンテンツ配信装置300は、ストリーミング配信用の電子書籍データの登録処理を行う(S301)。
【0040】
ユーザ端末100は、電子書籍を閲覧するためのビューア121aがインストールされていない場合は、ビューア121aを含む電子書籍閲覧アプリケーションをダウンロードしてインストールする(S101)。電子書籍閲覧アプリケーションは、所定のアプリケーションダウンロードサイトからダウンロードしたりすることができる。
【0041】
ユーザ端末100は、ユーザ操作によって電子書籍閲覧アプリケーションが選択されると、コンテンツ配信装置300に接続する。コンテンツ配信装置300は、登録された電子書籍の選択画面、つまり、閲覧可能な電子書籍の選択画面をユーザ端末100に提供する(S302)。ユーザは、コンテンツ配信装置300から提供された選択画面において閲覧したい電子書籍を選択する(S102)。ユーザ端末100の表示制御部120(電子書籍閲覧アプリケーション)は、選択された電子書籍のストリーミング配信要求を送信すると共に、電子書籍が選択されたことをトリガーに、ビューア121aを起動する(S103)。また、ビューア121aは、起動に伴い、動き検知センサ150から、ユーザ端末100の動き検知情報を取得できるように連携処理を行う(S104)。
【0042】
コンテンツ提供装置300(コンテンツ配信部322)は、選択された電子書籍のストリーミング配信を開始する(S303)。ユーザ端末100のビューア121aは、受信した順に各パケットを読み込み、ビューア121aの表示領域内に読み込みが完了したカットの表示・再生処理を行う(S105)。
【0043】
ビューア121aは、配信された電子書籍を読み込んで所定の表示領域内に、当該ビューア121aに対するスクロールに対応して静止画カットを読み進める方向に表示する第1表示制御と、動き検知センサ150で検知されるユーザ端末100の上下方向又は左右方向への動きに対応してパノラマビューカットの表示処理を行う第2表示制御と、を行う。
【0044】
具体的には、表示領域内に表示されているカットに、パノラマビューカットが含まれているか否か判定する(S106)。パノラマビューカットが含まれていると判定された場合(S106のYES)、動き検知センサ150で検知されるユーザ端末100の上下方向又は左右方向への動きを取得し(S107)、取得されたユーザ端末100の動きの方向に位置するパノラマビューカットを構成する静止画カットを表示する(S108)。つまり、ビューア121aは、ビューア121aに対するスクロール操作ではなく、ユーザ端末100の動きに応じた端末モーション連動表示制御(第2表示制御)を行う。
【0045】
このとき、ビューア121aは、パノラマビューカットを構成する静止画カットC3(第1領域)が表示領域において所定の割合以上表示されたタイミング、静止画カットC3が表示領域内において所定の表示位置までスクロールされたタイミング、または、ユーザ操作によって静止画カットC3が選択(タップ)されたタイミングで、上述の第2表示制御を行うように構成することができる。
【0046】
さらに、パノラマビューカットは、静止画カットC3が縦スクロールによって表示領域に表示されたときに、左右方向に連続するカットの存在を把握し易いように、静止画カットC3に、左右方向に位置する静止画カットとの連続性が分かる工夫を設けることができる。例えば、左右方向に位置する静止画カットに描画される吹き出しや人物、風景、物体等の一部が、静止画カットC3に表示されるように構成することができる。また、パノラマビューカットであることを示すマークやアイコン、メッセージ等を表示して明示することもできる。
【0047】
なお、表示領域内に表示されているカットが、パノラマビューカットであるか否かは、例えば、パノラマビューカットであることを示す識別情報(フラグや識別子など)を付与することで、ビューア121aは、パノラマビューカットなのか否かを判定することができる。
【0048】
そして、スクロール動作に応じた表示領域内のカットの移動に伴って、次に読み込むべきカットのストリーミング配信要求を送信し(S109)、コンテンツ提供装置300は、スクロール動作に応じた配信要求に基づくストリーミング配信を行う(S304)。ユーザ端末100は、閲覧が終了するまで(S110のNO)、ステップS105に戻って順次受信するパケットを読み込んで、表示・再生処理を行う。閲覧を終了した場合(ビューア121aを閉じる操作を行った場合)は(S110のYES)、ビューア121aを終了する(S111)
【0049】
本実施形態のコンテンツ提供システムは、パノラマビューカットを含む電子書籍を提供し、パノラマビューカットは、ユーザ端末100のビューア121aに対するスクロールに対応して表示される領域と、当該領域を中心とした視点で上下方向又は左右方向の広角領域を描写した領域とを含むように構成されている。そして、ビューア121aは、ユーザによるスクロール操作に応じて表示領域内に静止画カットを表示する表示制御以外に、動き検知センサ150で検知されるユーザ端末100の上下方向又は左右方向への動きを取得し、取得されたユーザ端末100の動きの方向に位置するカットを表示する端末モーション連動表示制御(第2表示制御)を備える。
【0050】
これにより、スクロール以外の手法でコンテンツ表示を行うことができ、コンテンツを楽しむための演出を提供することができる。
【0051】
(第2実施形態)
図7及び
図8は、第2実施形態を示す図であり、
図7は、本実施形態の電子書籍データの一例を示す図である。
【0052】
本実施形態は、上記第1実施形態に対し、事前読込機能が追加されたものである。パノラマビューカットは、複数の静止画カットで構成されているため、他の静止画カットよりもデータ容量が大きい。このため、ビューア121aの動作として、ストリーミング配信で送られてきたパノラマビューカットを順次リアルタイム表示する際に、そのデータ容量の多さから読込に時間がかかり、パノラマビューカットの表示が追い付かず、パノラマビューカットの表示処理が遅延したり、適切なタイミングで表示されず途中でかたまったりしてしまうことが懸念される。
【0053】
そこで、本実施形態では、ストリーミング配信で電子書籍データを提供するコンテンツ提供サービスにおいて、パノラマビューカットを含む電子書籍データをユーザ端末100でスムーズに表示することができるようにする。
【0054】
具体的には、
図7に示すように、電子書籍データにパノラマビューカットが含まれる場合、パノラマビューカットの配信タイミングを当該パノラマビューカットがビューア121aに表示される前に行う仕組みを導入する。
図7の例では、縦スクロール方向に準じたカット順で、パノラマビューカットC9よりも前の静止画カットC3に「事前読込情報」を設定している。
【0055】
電子書籍データへの「事前読込情報」の設定機能は、コンテンツ登録部321が提供することができる。例えば、コンテンツ登録部321は、所定の画面を介して、登録された電子書籍データの任意のカットを選択可能に制御し、事前読込情報を設定するように構成することができる。このとき、事前読込情報の設定と共に、当該事前読込情報と配信するパノラマビューカットとの紐付け(関連付け)を行うように構成することができる。
【0056】
事前読込情報は、ビューア121aがパノラマビューカットの配信要求をコンテンツ配信装置300に行うための情報であり、ビューア121aが表示処理を行う際の読込処理で読み取られる。事前読込情報は、配信要求を行うトリガーであり、電子書籍データに1つだけパノラマビューカットが含まれている場合は、単なるトリガーでよいが、1つの電子書籍に複数のパノラマビューカットが含まれる場合は、どのパノラマビューカットの配信要求を行うか、言い換えれば、コンテンツ配信装置300がどのパノラマビューカットを配信すればよいかを識別できるように構成する。例えば、事前読込情報に、配信要求対象のパノラマビューカットのカット識別情報が含まれるように構成し、コンテンツ提供装置300に送信する配信要求にカット識別情報を含ませることができる。また、他の手法では、コンテンツ提供装置300側で事前読込情報が設定されたカットの識別情報を保持しておき、ビューア121aが配信要求を送信する際に読みこんだカットの識別情報を含むようにすることができる。
【0057】
ビューア121aは、ストリーミング配信される電子書籍データの各パケットを読み込み、読み込みが完了した順に表示領域への表示処理を行う。ユーザは、縦スクロールしながら各カットを読むことができる。Webtoonの場合、縦スクロールに対応した電子書籍データが作成されており、読み進む縦方向にカットが並んでいる。
【0058】
ビューア121aは、タッチパネル方式の表示・入力部140による表示領域に対するスクロール制御と連動し、検知された上方向又は下方向へのスクロール量に応じてコンテンツ配信装置300に、現在の表示領域に表示されているカットに応じた次のカット(配信を受けていないカット)の配信を要求する。ストリーミング配信制御は、例えば、表示領域に表示されているカットから数カット分先まで先行して配信したりすることができる。
【0059】
ビューア121aは、各カットを読み込んで表示するが、このとき、読み込んだ各カットに、事前読込情報の有無をチェックする。ビューア121aは、事前読込情報が有ると判定された場合、後続のパノラマビューカットC9の配信要求を、コンテンツ提供装置300に送信する。つまり、ビューア121aは、カットが複数並ぶ作品において、現在表示されているカットに対し、ストリーミング配信を受けていない後続のパノラマビューカットを先行受信できるように制御し、パノラマビューカットの表示処理が行われる際には、ビューア121aでの読み込み処理が完了している状態にする。
【0060】
このようにビューア121aに対するスクロールに対応して静止画カット及びパノラマビューカットが読み進める方向に順に並んでいる電子書籍において、事前読込情報を、読み進める方向においてパノラマビューカットよりも所定数前の静止画カットに設定し、事前読込情報に基づいて、先行配信リクエスト及び事前読込処理を、パノラマビューカットに対して行う。
【0061】
なお、パノラマビューカットよりもいくつ前の静止画カットに事前読込情報を設定するかは任意であるが、少なくとも事前読込情報が設定された静止画カットが表示領域に表示されている状態で(事前読込情報が有るか否かを判定するときに)、コンテンツ提供装置300から当該パノラマビューカットが自動的にストリーミング配信されていない状態となるカット分、間隔を空けて設定することができる。ストリーミング配信は、受信したパケットから順に表示処理をするので、コンテンツ提供装置300は、現在表示領域に表示されているカットに対し、数カット先の各パケットを先行して配信することができる。これにより読み進める方向に対してスムーズな表示処理を行うことができる。
【0062】
一方で、事前読込情報が設定された静止画カットが読み込まれて表示されたときに、既にパノラマビューカットがコンテンツ配信装置300から自動的に配信される間隔で当該パノラマビューカットが位置している場合、ビューア121aの事前読込情報に基づく配信要求及びコンテンツ提供装置300の事前読込情報に基づく配信を行わないように制御することができる。言い換えれば、事前読込情報が設定された静止画カットが読み込まれて表示されたときに、パノラマビューカットがコンテンツ配信装置300から自動的に配信されない間隔で離間する静止画カットに、事前読込情報を設定するように構成することができる。
【0063】
また、ビューア121aが、事前読込情報に基づく配信要求を行うタイミングは、事前読込情報が設定された静止画カットがビューア121aの表示領域において所定の割合以上表示されたタイミングで行うことができる。例えば、表示領域にカットの1/3以上表示されたり、1/2以上表示されたりしたタイミングとすることができる。また、他のタイミングとしては、事前読込情報が設定された静止画カットが表示領域内において所定の表示位置までスクロールされたタイミングで、パノラマビューカットの配信要求をコンテンツ提供装置300に送信することもできる。この場合、例えば、事前読込情報が設定されたカットC3の上端がスクロールによって表示領域の上端に移動したタイミングであったり、表示領域の中央領域にカットC3が表示されたタイミングであったりすることができる。
【0064】
図8は、本実施形態のコンテンツ提供方法及びビューアの処理フローを示す図である。なお、
図8において、ステップS1001,S1002,S1003、及びステップS3001,S3002が、上記第1実施形態の
図6に示した処理フローに対して追加された処理であり、上記第1実施形態と同様の処理については同符号を付して説明を省略する。
【0065】
コンテンツ配信装置300は、配信対象として登録されたパノラマビューカットが含まれる電子書籍データを対象に、事前読込情報の設定処理を行う(S3001)。
【0066】
コンテンツ提供装置300(コンテンツ配信部322)は、選択された電子書籍のストリーミング配信を開始する(S303)。ユーザ端末100のビューア121aは、受信した順に各パケットを読み込み、ビューア121aの表示領域内に読み込みが完了したカットの表示処理を行う(S105)。
【0067】
ビューア121aは、表示領域内に表示するカットを読み込んで表示する処理において、事前読込情報が設定されているか否かを判定する(S1001)。設定されていないと判別された場合は、次に読み込むべきカットのストリーミング配信要求を送信し(S109)、コンテンツ提供装置300は、スクロール動作に応じた配信要求に基づくストリーミング配信を行う(S304)。ユーザ端末100は、閲覧が終了するまで(S110のNO)、ステップS105に戻って順次受信するパケットを読み込んで、表示・再生処理を行う。閲覧を終了した場合(ビューア121aを閉じる操作を行った場合)は(S110のYES)、ビューア121aを終了する(S111)
【0068】
一方、ステップS1001において、事前読込情報が設定されていると判定された場合(S1001のYES)、事前読込情報で設定されたパノラマビューカットの配信要求を送信する(S1002)。コンテンツ提供装置300は、事前読込情報に基づく配信要求を受信すると、該当のパノラマビューカットを事前配信する(S3002)。ユーザ端末100は、受信したパノラマビューカットの事前読込処理を行う(S1003)。
【0069】
本実施形態では、ストリーミング配信される電子書籍データをスマートフォン等のユーザ端末100で閲覧する際に、データ容量の大きいパノラマビューカットを含む場合に事前読込情報をセットし、パノラマビューカットをスムーズに表示・再生することができる。これにより、パノラマビューカットの表示処理を演出の目的に合わせて最適化したタイミングで行うことができる。
【0070】
以上、本実施形態について説明したが、ビューア121aの表示領域に対するスクロールは、ユーザによる操作以外にもビューア121aが備える自動スクロール機能によるスクロールであってもよい。
【0071】
また、コンテンツ提供システムとして、ストリーミング配信方式を一例に説明したが、ダウンロード方式で電子書籍を提供する態様にも、本コンテンツ提供システムを適用することができる。
【0072】
また、ユーザ端末100及びコンテンツ配信装置の各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該当プログラムを制御部が実行することで、各部の機能を動作させることができる。
【0073】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100 ユーザ端末
110 通信部
120 制御部
121 表示制御部
121a ビューア
130 スピーカー
140 タッチパネル方式表示・入力部
150 動き検知センサ
160 記憶部
300 コンテンツ配信装置
310 通信装置
320 制御装置
321 コンテンツ登録部
322 コンテンツ配信部
330 記憶装置