(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044129
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】ヒータ制御システム、及びヒータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/75 20180101AFI20230323BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/74 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151999
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平澤 敦基
(72)【発明者】
【氏名】日置 一昭
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JF02
3B084JF03
3B084JF04
3B087DC01
3B087DE08
3B087DE09
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上すること。
【解決手段】ヒータ制御システム100は、第1ヒータ11と、第2ヒータ12と、制御部3と、を備える。第1ヒータ11は、移動体A1の座席4に属する第1部材41に設置される。第2ヒータ12は、移動体A1の座席4に属する第2部材42に設置される。制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12に電気的に接続され、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の各々を個別に制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の座席に属する第1部材に設置される第1ヒータと、
前記移動体の前記座席に属する第2部材に設置される第2ヒータと、
前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに電気的に接続され、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータの各々を個別に制御する制御部と、を備える、
ヒータ制御システム。
【請求項2】
前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのいずれか一方に設置される温度検知部を更に備え、
前記制御部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのうちの前記温度検知部が設置された一方のヒータについては前記温度検知部で検知される温度に基づいて制御し、他方のヒータについては前記他方のヒータが動作してからの経過時間に基づいて制御する、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項3】
前温度検知部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのうちの前記移動体の中心に近い位置にあるヒータに設置されている、
請求項2に記載のヒータ制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記一方のヒータの制御に基づいて、前記経過時間を補正する、
請求項2又は3に記載のヒータ制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度検知部で検知された温度の変化度合いに基づいて、前記第1部材及び前記第2部材のうちの前記一方のヒータが設置された部材に物体が載せ置かれているか否かを判定し、前記物体が載せ置かれていると判定した場合、前記経過時間を補正しない、
請求項4に記載のヒータ制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記一方のヒータをPWM制御する、
請求項2~5のいずれか1項に記載のヒータ制御システム。
【請求項7】
前記第1ヒータに設置された第1温度検知部と、
前記第2ヒータに設置された第2温度検知部と、を更に備え、
前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度に基づいて前記第1ヒータを制御し、前記第2温度検知部で検知される温度に基づいて前記第2ヒータを制御する、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度と、前記第2温度検知部で検知される温度との温度差を減じるように、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを制御する、
請求項7に記載のヒータ制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのうちの少なくとも一方をPWM制御する、
請求項7又は8に記載のヒータ制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部のいずれかの異常を検知した場合に、異常が検知された温度検知部に対応するヒータの制御を、当該ヒータが動作してからの経過時間に基づく制御に変更する、
請求項7~9のいずれか1項に記載のヒータ制御システム。
【請求項11】
前記第1部材及び前記第2部材は、いずれもアームレストである、
請求項1~10のいずれか1項に記載のヒータ制御システム。
【請求項12】
前記第1ヒータ及び前記第2ヒータの各々は、人の手首に対応する手首ヒータと、前記人の肘に対応する肘ヒータと、に分かれており、
前記制御部は、前記手首ヒータ及び前記肘ヒータを個別に制御する、
請求項11に記載のヒータ制御システム。
【請求項13】
移動体の座席に属する第1部材に設置される第1ヒータと、前記移動体の前記座席に属する第2部材に設置される第2ヒータと、を個別に制御する、
ヒータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席に属する部材等を温めるヒータを制御するヒータ制御システム、及びヒータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用アームレストを開示している。特許文献1においては、着座乗員の前腕を支持するアームレストは、着座乗員の前腕を支持する上面領域を温めるアームレストヒータを備えている。また、車両のドア本体に設置されたドアトリムは、ドアトリムと前腕とが接触する接触領域を温めるドアトリムヒータを備えている。このドアトリムにおいて、ドアトリムヒータで温める領域を第1領域とし、アームレストヒータで温める領域を第2領域としたときに、第1領域の発熱量は、第2領域の発熱量より大きく設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、アームレストヒータとドアトリムヒータとの2つのヒータの配線密度の違いにより機構的に発熱量の差を実現している。このため、特許文献1に開示の技術では、2つのヒータが設置される場所、又は2つのヒータが設置される部材の素材等の変化に応じた配線密度を有するヒータを設計せねばならず、汎用性に乏しい、という課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、汎用性を向上することのできるヒータ制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るヒータ制御システムは、第1ヒータと、第2ヒータと、制御部と、を備える。前記第1ヒータは、移動体の座席に属する第1部材に設置される。前記第2ヒータは、前記移動体の前記座席に属する第2部材に設置される。前記制御部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに電気的に接続され、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータの各々を個別に制御する。
【0007】
本開示の一態様に係るヒータ制御方法は、移動体の座席に属する第1部材に設置される第1ヒータと、前記移動体の前記座席に属する第2部材に設置される第2ヒータと、を個別に制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のヒータ制御システム等では、汎用性を向上することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1におけるヒータ制御システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1におけるヒータ制御システムの初期制御の一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるヒータ制御システムの初期制御の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態1におけるヒータ制御システムの保温制御の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施の形態1におけるヒータ制御システムの保温制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1におけるヒータ制御システムの補正制御の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施の形態2におけるヒータ制御システムの概要を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2におけるヒータ制御システムの初期制御の一例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施の形態2におけるヒータ制御システムの初期制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態2におけるヒータ制御システムの保温制御の一例を示すグラフである。
【
図11】
図11は、実施の形態2におけるヒータ制御システムの保温制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係るヒータ制御システムは、第1ヒータと、第2ヒータと、制御部と、を備える。前記第1ヒータは、移動体の座席に属する第1部材に設置される。前記第2ヒータは、前記移動体の前記座席に属する第2部材に設置される。前記制御部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに電気的に接続され、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータの各々を個別に制御する。
【0011】
これによれば、第1ヒータ及び第2ヒータを個別に制御することで、第1ヒータ及び第2ヒータの配線密度を互いに異ならせずとも、制御プログラムにおけるパラメータを変更するだけで第1ヒータ及び第2ヒータの発熱量を個別に制御することができる。したがって、第1ヒータ及び第2ヒータの設置場所等に応じて専用のヒータを設計せずに済み、汎用性が向上するという利点がある。例えば第1ヒータ及び第2ヒータの発熱量を個別に制御することで、第1ヒータの設置箇所での温度と第2ヒータの設置箇所での温度との温度差を低減しやすい。
【0012】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムは、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのいずれか一方に設置される温度検知部を更に備える。前記制御部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのうちの前記温度検知部が設置された一方のヒータについては前記温度検知部で検知される温度に基づいて制御し、他方のヒータについては前記他方のヒータが動作してからの経過時間に基づいて制御する。
【0013】
これによれば、第1ヒータ及び第2ヒータのうちいずれか一方のみに温度検知部を設けた場合でも、第1ヒータ及び第2ヒータの両方の温度を制御することができるので、簡易な構成で済む、という利点がある。
【0014】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記温度検知部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのうちの前記移動体の中心に近い位置にあるヒータに設置されている。
【0015】
これによれば、温度検知部が移動体の外部の温度の影響を受けにくくなるため、移動体の内部の温度に基づいて第1ヒータ及び第2ヒータを制御しやすくなる、という利点がある。
【0016】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記一方のヒータの制御に基づいて、前記経過時間を補正する。
【0017】
これによれば、温度検知部が設けられていない他方のヒータの制御を、温度検知部が設けられている一方のヒータの制御と同等の制御に近づけることができ、他方のヒータによる温度制御の精度を向上しやすい、という利点がある。
【0018】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記温度検知部で検知された温度の変化度合いに基づいて、前記第1部材及び前記第2部材のうちの前記一方のヒータが設置された部材に物体が載せ置かれているか否かを判定する。前記制御部は、前記物体が載せ置かれていると判定した場合、前記経過時間を補正しない。
【0019】
これによれば、第1部材に載せ置かれた物体の熱容量の影響を受けて温度検知部が設けられていないヒータにおける温度制御が乱れるのを防止することができる、という利点がある。
【0020】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記一方のヒータをPWM制御する。
【0021】
これによれば、一方のヒータによる温度の上昇速度を細かに制御することができるので、座席に着座したユーザの快適性の向上を図りやすくなる、という利点がある。
【0022】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムは、前記第1ヒータに設置された第1温度検知部と、前記第2ヒータに設置された第2温度検知部と、を更に備える。前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度に基づいて前記第1ヒータを制御し、前記第2温度検知部で検知される温度に基づいて前記第2ヒータを制御する。
【0023】
これによれば、第1ヒータ及び第2ヒータのうちの一方のみに温度検知部を設ける場合と比較して、第1ヒータ及び第2ヒータの温度制御の精度を向上することができる、という利点がある。
【0024】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度と、前記第2温度検知部で検知される温度との温度差を減じるように、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを制御する。
【0025】
これによれば、第1ヒータの設置箇所である第1部材の温度と、第2ヒータの設置箇所である第2部材の温度との温度差が減じられることで、座席に着座したユーザの快適性の向上を図りやすくなる、という利点がある。
【0026】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのうちの少なくとも一方をPWM制御する。
【0027】
これによれば、第1ヒータ及び第2ヒータのうちの少なくとも一方による温度の上昇速度を細かに制御することができるので、座席に着座したユーザの快適性の向上を図りやすくなる、という利点がある。
【0028】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記第1温度検知部及び前記第2温度検知部のいずれかの異常を検知した場合に、異常が検知された温度検知部に対応するヒータの制御を、当該ヒータが動作してからの経過時間に基づく制御に変更する。
【0029】
これによれば、第1温度検知部及び第2温度検知部のいずれかに異常が発生した場合でも、第1ヒータ及び第2ヒータを継続して制御することができ、冗長性を確保しやすい、という利点がある。
【0030】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記第1部材及び前記第2部材は、いずれもアームレストである。
【0031】
これによれば、座席に設けられた左右のアームレスト(第1部材及び第2部材)の温度を個別に制御することができる、という利点がある。
【0032】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータの各々は、人の手首に対応する手首ヒータと、前記人の肘に対応する肘ヒータと、に分かれている。前記制御部は、前記手首ヒータ及び前記肘ヒータを個別に制御する。
【0033】
これによれば、例えば寒さを感じやすい手首が肘よりも温かくなるように制御することができ、座席に着座したユーザの快適性の向上を図りやすい、という利点がある。
【0034】
本開示の一態様に係るヒータ制御方法は、移動体の座席に属する第1部材に設置される第1ヒータと、前記移動体の前記座席に属する第2部材に設置される第2ヒータと、を個別に制御する。
【0035】
これによれば、第1ヒータ及び第2ヒータを個別に制御することで、第1ヒータ及び第2ヒータの配線密度を互いに異ならせずとも、制御プログラムにおけるパラメータを変更するだけで第1ヒータ及び第2ヒータの発熱量を個別に制御することができる。したがって、第1ヒータ及び第2ヒータの設置場所等に応じて専用のヒータを設計せずに済み、汎用性が向上するという利点がある。例えば第1ヒータ及び第2ヒータの発熱量を個別に制御することで、第1ヒータの設置箇所での温度と第2ヒータの設置箇所での温度との温度差を低減しやすい。
【0036】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0039】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の概要を示す図である。
図1は、移動体A1の天井側(上方)から見下ろした平面図を表している。
図1に示すように、ヒータ制御システム100は、移動体A1の座席4に設けられている。移動体A1は、例えば自動車であるが、例えば飛行機又は船舶等の他の移動体であってもよい。
【0040】
<座席>
座席4は、一例として、自動車の後部座席である。なお、座席4は、自動車の運転席又は助手席であってもよい。実施の形態1では、座席4は2つであって、移動体A1の後部においてコンソール5を挟む形で左右に設置されている。コンソール5は、2つの座席4の間を仕切る部材である。コンソール5は、その内部に収容空間を有した収容体としての機能を有していてもよい。以下では、特に断りのない限り、左側の座席4に焦点を当てて説明するが、以下の説明は、右側の座席4においても同様に適用される。
【0041】
座席4は、第1部材41と、第2部材42と、シートクッション43と、シートバック44と、を備えている。第1部材41及び第2部材42は、いずれも移動体A1の座席4に属する部材である。ここで、座席4に属する部材とは、座席4に付属する、あるいは座席4の近傍に配置される部材という意味であると定義する。具体的には、後述するアームレスト、あるいはオットマンに相当し、移動体A1のドアの座席側に面するドアトリムも含まれる。なお、シートクッション43とシートバック44は座席4そのものを構成するので、座席4に属する部材ではない。実施の形態1では、第2部材42は、第1部材41との間に座席4の一部を挟むように配置されている。シートクッション43は、座席4に着座するユーザの臀部及び大腿部を支える座席4の座部である。シートバック44は、座席4に着座するユーザの背部を支える背もたれ部である。
【0042】
実施の形態1では、第1部材41及び第2部材42は、いずれもアームレストである。左側の座席4においては、第1部材41が右側アームレスト、第2部材42が左側アームレストである。一方、右側の座席4においては、第1部材41が左側アームレスト、第2部材42が右側アームレストである。実施の形態1では、第2部材42は、平面視において、第1部材41と間に座席4のシートクッション43を挟む形で配置されている。第1部材41は、コンソール5に近接する位置、つまり移動体A1の中心に近い位置に配置されている。一方、第2部材42は、移動体A1の窓A11に近接する位置、つまり第1部材41と比較して移動体A1の中心から離れた位置に配置されている。
【0043】
なお、実施の形態1では、アームレストは座席4と一体に設けられているが、これに限られない。例えば、アームレストは、コンソール5に設けられる等して、座席4とは別体であってもよい。
【0044】
<ヒータ制御システム>
ヒータ制御システム100は、座席4に装備され、ユーザが座席4に着座した際に、第1部材41に設置された第1ヒータ11、及び第2部材42に設置された第2ヒータ12の発熱により、ユーザの身体の少なくとも一部を温めるためのシステムである。実施の形態1では、ヒータ制御システム100は、アームレストである第1部材41及び第2部材42をそれぞれ第1ヒータ11及び第2ヒータ12の発熱により温めることで、座席4に着座したユーザの手を温める。
【0045】
ヒータ制御システム100は、左側の座席4及び右側の座席4のそれぞれに装備されているが、以下では、左側の座席4に装備されたヒータ制御システム100に焦点を当てて説明する。以下の説明は、右側の座席4に装備されたヒータ制御システム100においても同様に適用される。
【0046】
ヒータ制御システム100は、
図1に示すように、第1ヒータ11と、第2ヒータ12と、温度検知部2と、制御部3と、を備えている。なお、実施の形態1では、ヒータ制御システム100は、温度検知部2を構成要素として備えているが、温度検知部2を構成要素として備えていなくてもよい。また、実施の形態1では、第1部材41及び第2部材42はヒータ制御システム100の構成要素に含まれていないが、いずれもヒータ制御システム100の構成要素に含まれていてもよい。
【0047】
第1ヒータ11は、第1部材41に設置されるヒータである。具体的には、第1ヒータ11は、第1部材41において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。第1ヒータ11は、制御部3によって電力が供給されることで発熱し、第1部材41を介してユーザを温める。
【0048】
第2ヒータ12は、第2部材42に設置されるヒータである。具体的には、第2ヒータ12は、第2部材42において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。第2ヒータ12は、制御部3によって電力が供給されることで発熱し、第2部材42を介してユーザを温める。
【0049】
第1ヒータ11及び第2ヒータ12は、いずれも基材と、ヒータ線と、縫製糸と、を有する。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によってシート状に形成された布状のウレタン等の発泡性樹脂からなる。なお、基材は、不織布であってもよい。ヒータ線は、制御部3と電気的に接続され、制御部3から電流が流されることによって、発熱することが可能な導電線である。
【0050】
ヒータ線は、ヒータ線に電力を供給するためのハーネスから基材の各部分を通ってそのハーネスに戻るように基材の一面に縫い付けられている。ヒータ線は、銅等の金属線であって、例えばポリエステル繊維の糸を縫製糸として用いて、基材の一面に縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線を基材に固定するために、ヒータ線の延在方向に沿ってヒータ線を基材に縫い付ける糸である。なお、ヒータ線は、縫製糸以外の手段として、接着等の手段で基材に固定されていてもよい。
【0051】
温度検知部2は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のいずれか一方に設置され、設置箇所の温度を検知する。実施の形態1では、温度検知部2は、第1ヒータ11に近接する位置に設置されている。つまり、実施の形態1では、温度検知部2は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの移動体A1の中心に近い位置にあるヒータに設置されている。実施の形態1では、温度検知部2は、サーミスタであって、制御部3に電気的に接続されており、検知結果を制御部3に与えるセンサである。なお、温度検知部2は、サーミスタの代わりに、赤外線センサであってもよい。
【0052】
制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12に電気的に接続され、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の各々を個別に制御する。つまり、制御部3は、第1ヒータ11のヒータ線への電力の供給及び停止(つまり、第1ヒータ11のオン/オフ)と、第2ヒータ12のヒータ線への電力の供給及び停止(つまり、第2ヒータ12のオン/オフ)と、を個別に制御する。
【0053】
実施の形態1では、制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの温度検知部2が設置された一方のヒータについては、温度検知部2で検知される温度に基づいて制御する。そして、制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの温度検知部2が設置されていない他方のヒータについては、他方のヒータが動作してからの経過時間に基づいて制御する。
【0054】
ここでは、制御部3は、例えば保温制御においては、温度検知部2で検知される温度が設定温度T1と設定温度T2(<T1)との間に収まるように、一方のヒータである第1ヒータ11を制御する(
図4参照)。
【0055】
また、制御部3は、例えば保温制御においては、設定温度T1,T2に応じて設定された駆動時間P1及び停止時間P2に従って、他方のヒータである第2ヒータ12を制御する。駆動時間P1は、第2ヒータ12に電力が供給されている時間、つまりオン時間である。停止時間P2は、第2ヒータ12に電力が供給されていない時間、つまりオフ時間である。駆動時間P1は、第2ヒータ12がオン動作してからの経過時間に相当する。停止時間P2は、第2ヒータ12がオフ動作してからの経過時間に相当する。
【0056】
設定温度T1,T2は、例えばユーザが移動体A1に搭載された機器に対して所定の操作入力を行うことで直接的に設定されてもよいし、ユーザが当該機器に対して移動体A1の室温を設定する入力を行うことで、当該入力に応じて間接的に設定されてもよい。また、設定温度T2は、設定温度T1との差分が固定値であれば、設定温度T1が設定されることで自動的に設定されてもよい。
【0057】
<動作>
以下、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の動作について図面を参照して説明する。以下では、ヒータ制御システム100による初期制御、保温制御、及び補正制御の3つの動作について説明する。なお、補正制御については、ヒータ制御システム100は実行しなくてもよい。
【0058】
<初期制御>
まず、ヒータ制御システム100による初期制御について
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の初期制御の一例を示すグラフである。
図3は、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の初期制御の一例を示すフローチャートである。
図2に示すグラフにおいて、縦軸はヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ12)の設置箇所の温度、横軸はヒータ制御システム100の電源をオンにした時点からの経過時間を表している。また、
図2に示すグラフにおいて、実線は第1ヒータ11の設置箇所の温度(つまり、第1部材41の温度)、破線は第2ヒータ12の設置箇所の温度(つまり、第2部材42の温度)を表している。以下では、特に断りのない限り、「ヒータの温度」と言った場合、「ヒータの設置箇所の温度」を表すこととする。
【0059】
初期制御は、例えばユーザがヒータ制御システム100の電源をオンした際に制御部3により実行される動作である。
図3に示すように、制御部3は、まず、第1ヒータ11の初期温度を測定する(ステップS1)。言い換えれば、制御部3は、温度検知部2で検知された初期温度を取得する。初期温度とは、ヒータ制御システム100の電源がオンした時点での温度である。次に、制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12をいずれもオンにする(ステップS2)。そして、制御部3は、第1ヒータ11についてはステップS3,S4を実行し、第2ヒータ12についてはステップS5,S6を実行する。
図3では、ステップS3,S4の実行後にステップS5,S6を実行しているが、ステップS3,S4と、ステップS5,S6とは並列的に実行されている。
【0060】
第1ヒータ11については、制御部3は、温度検知部2で検知された第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達するまでの間は(ステップS3:No)、第1ヒータ11のオン状態を維持する。そして、制御部3は、温度検知部2で検知された第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達すると(ステップS3:Yes)、第1ヒータ11をオフし、以降、第1ヒータ11について保温制御に移行する(ステップS4)。
【0061】
第2ヒータ12については、制御部3は、第2ヒータ12のオン時点から初期駆動時間が経過するまでの間は(ステップS5:No)、第2ヒータ12のオン状態を維持する。そして、制御部3は、第2ヒータ12のオン時点から初期駆動時間が経過すると(ステップS5:Yes)、第2ヒータ12をオフし、以降、第2ヒータ12について保温制御に移行する(ステップS6)。
【0062】
ここで、制御部3は、温度検知部2で検知された初期温度及び設定温度T1に応じて初期駆動時間を設定する。具体的には、制御部3は、初期温度と設定温度T1との組み合わせと、初期駆動時間との対応関係を示すデータをメモリに記憶しており、当該データを参照することにより、初期駆動時間を設定する。当該データにおいて、初期駆動時間は、初期温度が大きければ大きい程短く、小さければ小さい程長くなる。また、当該データにおいて、初期駆動時間は、設定温度T1が大きければ大きい程長く、小さければ小さい程短くなる。
【0063】
このように初期駆動時間を設定しているのは、第1ヒータ11である第1部材41と、第2ヒータ12の設置箇所である第2部材42とで温まり度合いが異なるからである。すなわち、第2部材42は、第1部材41と比較して移動体A1の中心から離れた位置にあるため、窓A11を介して移動体A1の外気温の影響を受けやすい。このため、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の性能が同じであって、かつ、同じタイミングでオンにしたとしても、第1部材41が設定温度T1に到達した時点では、第2部材42は設定温度T1に到達しない。この場合、第1部材41と第2部材42とで温度が異なるため、座席4に着座したユーザの快適性が損なわれる可能性がある。
【0064】
そこで、実施の形態1では、制御部3は、第1部材41と第2部材42とで温まり度合いが異なることを考慮して、初期温度及び設定温度T1に応じた初期駆動時間が経過するまで、第2ヒータ12のオン状態を維持している。これにより、第2部材42の温度は、第1部材41の温度と同様に設定温度T1に達しやすく、第1部材41と第2部材42との温度差を低減することができ、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすい。
【0065】
具体例として、制御部3は、
図2に示すように、初期温度が「T01」である場合に初期駆動時間を「P01」に設定し、初期温度が「T02(<T01)」である場合に初期駆動時間を「P02(>P01)」に設定する。
図2に示す例では、初期温度が「T01」の場合、時点t1にて第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達し、時点0から初期駆動時間の「P01」が経過した時点t2にて第2ヒータ12の温度も設定温度T1に達している。また、
図2に示す例では、初期温度が「T02」の場合、時点t3にて第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達し、時点0から初期駆動時間の「P02」が経過した時点t4にて第2ヒータ12の温度も設定温度T1に達している。
【0066】
<保温制御>
次に、ヒータ制御システム100による保温制御について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の保温制御の一例を示すグラフである。
図5は、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の保温制御の一例を示すフローチャートである。
【0067】
図4の(a)に示すグラフにおいて、縦軸は第1ヒータ11の温度、横軸は時間を表している。また、
図4の(b)に示すグラフにおいて、縦軸は第2ヒータ12の温度、横軸は時間を表している。また、
図4の(a)、(b)の各々のグラフにおいて、ハッチングが施された領域はヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ12)がオン状態の期間を表しており、ハッチングが施されていない領域はヒータがオフ状態の期間を表している。これらの表現は、後述する
図6及び
図10においても同様に適用される。
【0068】
保温制御は、初期制御の後に、第1ヒータ11の温度及び第2ヒータ12の温度を一定温度に維持するために制御部3により実行される動作である。
図5の(a)に示すように、制御部3は、第1ヒータ11についての保温制御においては、ステップS11~S14を繰り返す。すなわち、第1ヒータ11がオフ状態の場合、第1ヒータ11の温度が時間経過に伴って下降する。そして、制御部3は、第1ヒータ11の温度が設定温度T2を下回るまでの間は(ステップS11:No)、第1ヒータ11のオフ状態を維持し、第1ヒータ11の温度が設定温度T2を下回ると(ステップS11:Yes)、第1ヒータ11をオンする(ステップS12)。また、第1ヒータ11がオン状態の場合、第1ヒータ11の温度が時間経過に伴って上昇する。そして、制御部3は、第1ヒータ11の温度が設定温度T1を上回るまでの間は(ステップS13:No)、第1ヒータ11のオン状態を維持し、第1ヒータ11の温度が設定温度T1を上回ると(ステップS13:Yes)、第1ヒータ11をオフする(ステップS14)。
【0069】
上述のように、制御部3は、第1ヒータ11についての保温制御においては、
図4の(a)に示すように、第1ヒータ11の温度が設定温度T1と設定温度T2との間に収まるように、第1ヒータ11のオン/オフを繰り返すことで、第1ヒータ11の温度を概ね一定温度に維持する。なお、第1ヒータ11がオフ状態の場合の設定温度T2と、第1ヒータ11がオン状態の場合の設定温度T1とで互いに異なる2つの設定温度T1,T2を設けることにより、第1ヒータ11のオン/オフについてチャタリングが発生するのを防止している。設定温度T1と設定温度T2との温度差は、例えば摂氏1度である。
【0070】
図5の(b)に示すように、制御部3は、第2ヒータ12についての保温制御においては、ステップS21~S24を繰り返す。すなわち、第2ヒータ12がオフ状態の場合、第2ヒータ12の温度が時間経過に伴って下降する。そして、制御部3は、第2ヒータ12をオフした時点から停止時間P2が経過するまでの間は(ステップS21:No)、第2ヒータ12のオフ状態を維持し、第2ヒータ12をオフした時点から停止時間P2が経過すると(ステップS21:Yes)、第2ヒータ12をオンする(ステップS22)。また、第2ヒータ12がオン状態の場合、第2ヒータ12の温度が時間経過に伴って上昇する。そして、制御部3は、第2ヒータ12をオンした時点から駆動時間P1が経過するまでの間は(ステップS23:No)、第2ヒータ12のオン状態を維持し、第2ヒータ12をオンした時点から駆動時間P1が経過すると(ステップS23:Yes)、第2ヒータ12をオフする(ステップS24)。
【0071】
ここで、制御部3は、設定温度T1,T2に応じて駆動時間P1及び停止時間P2を設定する。具体的には、制御部3は、設定温度T1,T2の組み合わせと、駆動時間P1及び停止時間P2の組み合わせとの対応関係を示すデータをメモリに記憶しており、当該データを参照することにより、駆動時間P1及び停止時間P2を設定する。当該データにおいて、駆動時間P1は、設定温度T1,T2が大きければ大きい程長く、小さければ小さい程短くなる。また、当該データにおいては、停止時間P2は設定温度T1,T2の大小に依らず一定であるが、設定温度T1,T2の大小に応じて変化させてもよい。当該データは、例えば第1ヒータ11についての保温制御における第1ヒータ11の駆動時間の実験環境下での実測値と、第1ヒータ11の停止時間の実験環境下での実測値と、第1ヒータ11と第2ヒータ12とでの温まり方の相違とを考慮して、あらかじめ設定される。
【0072】
上述のように、制御部3は、第2ヒータ12についての保温制御においては、
図4の(b)に示すように、設定温度T1,T2に応じて設定された駆動時間P1及び停止時間P2を繰り返すように第2ヒータ12のオン/オフを繰り返す。これにより、第2ヒータ12の温度は、第1ヒータ11の温度と同様に概ね一定温度に維持され、第1部材41と第2部材42との温度差を低減することができ、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすい。
【0073】
<補正制御>
次に、ヒータ制御システム100による補正制御について
図6を参照して説明する。
図6は、実施の形態1におけるヒータ制御システム100の補正制御の一例を示すグラフである。
図6の(a)に示すグラフにおいて、点線はヒータ制御システム100の実験環境下での第1ヒータ11の温度の推移を表しており、実線はヒータ制御システム100の実際の環境下での第1ヒータ11の温度の推移を表している。また、
図6の(b)に示すグラフにおいて、点線は補正前の第2ヒータ12の温度の推移を表しており、実線は補正後の第2ヒータ12の温度の推移を表している。
【0074】
補正制御は、第2ヒータ12についての保温制御を補正するために制御部3が実行する動作である。既に述べたように、第2ヒータ12についての保温制御における駆動時間P1及び停止時間P2は、実験環境下における第1ヒータ11の駆動時間及び停止時間の実測値に基づいて、あらかじめ設定されている。しかしながら、例えば実際にヒータ制御システム100が動作する際に、移動体A1の内部の温度(室温)が実験環境下での温度よりも高い場合、ヒータ(第1ヒータ11及び第2ヒータ12)が温まりやすく、かつ、冷えにくくなる。
【0075】
このため、
図6の(a)の実線で示すように、第1ヒータ11の実際の環境下での駆動時間Pr1は、実験環境下での駆動時間Pe1よりも短くなる。また、第1ヒータ11の実際の環境下での停止時間Pr2は、実験環境下での停止時間Pe2よりも長くなる。したがって、第2ヒータ12についての保温制御においては、第1ヒータ11の実際の環境下での駆動時間Pr1及び停止時間Pr2に基づいて、駆動時間P1及び停止時間P2を補正しなければ、第2ヒータ12の温度を一定温度に維持することが難しくなる可能性がある。
【0076】
例えば、
図6の(b)の点線で示すように、実際の環境下において補正制御を行わずに第2ヒータ12についての保温制御を実行した場合、第2ヒータ12の温度の推移が設定温度T1と設定温度T2との間の範囲から逸脱し、第2ヒータ12の温度が一定温度に維持されなくなる。
【0077】
そこで、制御部3は、補正制御として、第1ヒータ11の制御に基づいて、第2ヒータ12についての保温制御における駆動時間P1及び停止時間P2を補正する。言い換えれば、制御部3は、一方のヒータ(ここでは、第1ヒータ11)の制御に基づいて、他方のヒータ(ここでは、第2ヒータ12)の制御における経過時間(駆動時間P1及び停止時間P2)を補正する。具体的には、制御部3は、第1ヒータ11についての保温制御において実際の環境下での駆動時間Pr1が実験環境下での駆動時間Pe1よりも短くなるのに伴って、駆動時間P1を駆動時間Pc1(<P1)に補正する。また、制御部3は、第1ヒータ11についての保温制御において実際の環境下での停止時間Pr2が実験環境下での停止時間Pe2よりも長くなるのに伴って、停止時間P2を停止時間Pc2(>P2)に補正する。
【0078】
なお、補正制御において、第2ヒータ12の駆動時間P1及び停止時間P2を増減する度合いは、第1ヒータ11の駆動時間及び停止時間の増減する度合いとは同じでない。第1ヒータ11の設置箇所である第1部材41よりも第2ヒータ12の設置箇所である第2部材42の方が暖房の効きが悪いからである。したがって、第1ヒータ11の駆動時間及び停止時間の増減する度合いと、第2ヒータ12の駆動時間P1及び停止時間P2を増減する度合いとの相関を、予め実験的に求めておき、第1ヒータ11の駆動時間P1及び停止時間P2の増減する度合いに基づいて、第2ヒータ12の駆動時間P1及び停止時間P2を増減する度合いを決定する。そうして得られた第2ヒータ12の駆動時間P1及び停止時間P2を増減する度合いから、駆動時間Pc1及び停止時間Pc2を決定することで補正が行われる。
【0079】
上述のように、第2ヒータ12についての保温制御において、制御部3が補正制御を実行することにより、
図6の(b)の実線で示すように、第2ヒータ12の温度の推移が設定温度T1と設定温度T2との間の範囲に収まり、第2ヒータ12の温度が一定に維持されるやすくなる。
【0080】
なお、例えば実際にヒータ制御システム100が動作する際に、移動体A1の内部の温度(室温)が実験環境下での温度よりも低い場合、制御部3は、上記と逆の補正制御を実行すればよい。つまり、制御部3は、補正制御において、補正後の駆動時間Pc1を補正前の駆動時間P1よりも長くし、かつ、補正後の停止時間Pc2を補正前の停止時間P2よりも短くすればよい。
【0081】
また、制御部3は、第2ヒータ12についての保温制御において補正制御を実行し、第2ヒータ12についての初期制御においては補正制御を実行しなくてよい。というのも、初期制御の実行時間は、保温制御の実行時間と比較して短時間であり、暖房等による移動体A1の内部の温度(室温)の変化の影響を受けにくいからである。
【0082】
<作用効果>
以上のように、実施の形態1におけるヒータ制御システム100は、第1ヒータ11と、第2ヒータ12と、制御部3と、を備える。第1ヒータ11は、移動体A1の座席4に属する第1部材41に設置される。第2ヒータ12は、移動体A1の座席4に属する第2部材42に設置される。制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12に電気的に接続され、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の各々を個別に制御する。
【0083】
これによれば、第1ヒータ11及び第2ヒータ12を個別に制御することで、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の配線密度を互いに異ならせずとも、制御プログラムにおけるパラメータを変更するだけで第1ヒータ11及び第2ヒータ12の発熱量を個別に制御することができる。したがって、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の設置場所等に応じて専用のヒータを設計せずに済み、汎用性が向上するという利点がある。例えば第1ヒータ11及び第2ヒータ12の発熱量を個別に制御することで、第1ヒータ11の設置箇所での温度と第2ヒータ12の設置箇所での温度との温度差を低減しやすい。
【0084】
また、実施の形態1におけるヒータ制御システム100は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のいずれか一方に設置される温度検知部2を更に備える。制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの温度検知部2が設置された一方のヒータ(ここでは、第1ヒータ11)については温度検知部2で検知される温度に基づいて制御し、他方のヒータ(ここでは、第2ヒータ12)については他方のヒータが動作してからの経過時間に基づいて制御する。
【0085】
これによれば、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちいずれか一方のみに温度検知部2を設けた場合でも、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の両方の温度を制御することができるので、簡易な構成で済む、という利点がある。
【0086】
また、実施の形態1におけるヒータ制御システム100では、温度検知部2は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの移動体A1の中心に近い位置にあるヒータ(ここでは、第1ヒータ11)に設置されている。
【0087】
これによれば、温度検知部2が移動体A1の外部の温度の影響を受けにくいため、移動体A1の内部の温度(室温)に基づいて第1ヒータ11及び第2ヒータ12を制御しやすくなる、という利点がある。
【0088】
また、実施の形態1におけるヒータ制御システム100では、制御部3は、一方のヒータ(ここでは、第1ヒータ11)の制御に基づいて、経過時間を補正する。
【0089】
これによれば、温度検知部2が設けられていない他方のヒータ(ここでは、第2ヒータ12)の制御を、温度検知部2が設けられている一方のヒータ(ここでは、第1ヒータ11)の制御と同等の制御に近づけることができ、他方のヒータによる温度制御の精度を向上しやすい、という利点がある。
【0090】
また、実施の形態1におけるヒータ制御システム100では、第1部材41及び第2部材42は、いずれもアームレストである。
【0091】
これによれば、座席4に設けられた左右のアームレスト(第1部材41及び第2部材42)の温度を個別に制御することができる、という利点がある。
【0092】
また、実施の形態1におけるヒータ制御方法は、移動体A1の座席4に属する第1部材41に設置される第1ヒータ11と、移動体A1の座席4に属する第2部材42に設置される第2ヒータ12と、を個別に制御する。
【0093】
これによれば、第1ヒータ11及び第2ヒータ12を個別に制御することで、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の配線密度を互いに異ならせずとも、制御プログラムにおけるパラメータを変更するだけで第1ヒータ11及び第2ヒータ12の発熱量を個別に制御することができる。したがって、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の設置場所等に応じて専用のヒータを設計せずに済み、汎用性が向上するという利点がある。例えば第1ヒータ11及び第2ヒータ12の発熱量を個別に制御することで、第1ヒータ11の設置箇所での温度と第2ヒータ12の設置箇所での温度との温度差を低減しやすい。
【0094】
(実施の形態2)
<構成>
図7は、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aの概要を示す図である。実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aでは、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の両方に温度検知部(第1温度検知部21及び第2温度検知部22)を設置した点で、実施の形態1におけるヒータ制御システム100と相違する。
【0095】
第1温度検知部21及び第2温度検知部22は、実施の形態1の温度検知部2と同様に、いずれもサーミスタである。第1温度検知部21は、第1ヒータ11に近接する位置に設置されており、第2温度検知部22は、第2ヒータ12に近接する位置に設置されている。
【0096】
実施の形態2では、制御部3は、第1温度検知部21で検知される温度に基づいて第1ヒータ11を制御し、第2温度検知部22で検知される温度に基づいて第2ヒータ12を制御する。また、制御部3は、第1温度検知部21で検知される温度と、第2温度検知部22で検知される温度との温度差を減じるように、第1ヒータ11及び第2ヒータ12を制御する。
【0097】
ここでは、制御部3は、例えば保温制御においては、第1温度検知部21で検知される温度が設定温度T1と設定温度T2との間に収まるように、第1ヒータ11を制御する(
図10参照)。同様に、制御部3は、例えば保温制御においては、第2温度検知部22で検知される温度が設定温度T1と設定温度T2との間に収まるように、第2ヒータ12を制御する(
図10参照)。
【0098】
<動作>
以下、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aの動作について図面を参照して説明する。以下では、ヒータ制御システム100による初期制御及び保温制御の2つの動作について説明する。
【0099】
<初期制御>
まず、ヒータ制御システム100Aによる初期制御について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aの初期制御の一例を示すグラフである。
図9は、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aの初期制御の一例を示すフローチャートである。
図8に示すグラフにおいて、縦軸はヒータ(第1ヒータ11又は第2ヒータ12)の設置箇所の温度、横軸はヒータ制御システム100Aの電源をオンにした時点からの経過時間を表している。また、
図8に示すグラフにおいて、実線は第1ヒータ11の設置箇所の温度(つまり、第1部材41の温度)、一点鎖線は第2ヒータ12の設置箇所の温度(つまり、第2部材42の温度)を表している。
【0100】
図9に示すように、制御部3は、まず第1ヒータ11及び第2ヒータ12をいずれもオンにする(ステップS31)。そして、制御部3は、第1ヒータ11についてはステップS32,S33を実行し、第2ヒータ12についてはステップS34,S35を実行する。
図3では、ステップS32,S33の実行後にステップS34,S35を実行しているが、ステップS32,S33と、ステップS34,S35とは並列的に実行されている。
【0101】
第1ヒータ11については、制御部3は、第1温度検知部21で検知された第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達するまでの間は(ステップS32:No)、第1ヒータ11のオン状態を維持する。そして、制御部3は、第1温度検知部21で検知された第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達すると(ステップS32:Yes)、第1ヒータ11をオフし、以降、第1ヒータ11について保温制御に移行する(ステップS33)。
【0102】
第2ヒータ12については、制御部3は、第2温度検知部22で検知された第2ヒータ12の温度が設定温度T1に達するまでの間は(ステップS34:No)、第2ヒータ12のオン状態を維持する。そして、制御部3は、第2温度検知部22で検知された第2ヒータ12の温度が設定温度T1に達すると(ステップS34:Yes)、第2ヒータ12をオフし、以降、第2ヒータ12について保温制御に移行する(ステップS35)。
【0103】
実施の形態2では、制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12をそれぞれ第1温度検知部21及び第2温度検知部22で検知された温度に基づいて制御している。これにより、第1部材41の温度及び第2部材42の温度は、いずれも設定温度T1に達しやすく、第1部材41と第2部材42との温度差を低減することができ、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすい。
【0104】
具体例として、
図8に示す例では、初期温度が「T01」の場合、時点t1にて第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達し、その後の時点t5にて第2ヒータ12の温度も設定温度T1に達している。また、
図8に示す例では、初期温度が「T02」の場合、時点t3にて第1ヒータ11の温度が設定温度T1に達し、その後の時点t6にて第2ヒータ12の温度も設定温度T1に達している。
【0105】
<保温制御>
次に、ヒータ制御システム100Aによる保温制御について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aの保温制御の一例を示すグラフである。
図11は、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aの保温制御の一例を示すフローチャートである。
【0106】
図11の(a)に示すように、制御部3は、第1ヒータ11についての保温制御においては、ステップS41~S44を繰り返す。すなわち、第1ヒータ11がオフ状態の場合、第1ヒータ11の温度が時間経過に伴って下降する。そして、制御部3は、第1ヒータ11の温度が設定温度T2を下回るまでの間は(ステップS41:No)、第1ヒータ11のオフ状態を維持し、第1ヒータ11の温度が設定温度T2を下回ると(ステップS41:Yes)、第1ヒータ11をオンする(ステップS42)。また、第1ヒータ11がオン状態の場合、第1ヒータ11の温度が時間経過に伴って上昇する。そして、制御部3は、第1ヒータ11の温度が設定温度T1を上回るまでの間は(ステップS43:No)、第1ヒータ11のオン状態を維持し、第1ヒータ11の温度が設定温度T1を上回ると(ステップS43:Yes)、第1ヒータ11をオフする(ステップS44)。
【0107】
図11の(b)に示すように、制御部3は、第2ヒータ12についての保温制御においては、ステップS51~S54を繰り返す。すなわち、第2ヒータ12がオフ状態の場合、第2ヒータ12の温度が時間経過に伴って下降する。そして、制御部3は、第2ヒータ12の温度が設定温度T2を下回るまでの間は(ステップS51:No)、第2ヒータ12のオフ状態を維持し、第2ヒータ12の温度が設定温度T2を下回ると(ステップS51:Yes)、第2ヒータ12をオンする(ステップS52)。また、第2ヒータ12がオン状態の場合、第2ヒータ12の温度が時間経過に伴って上昇する。そして、制御部3は、第2ヒータ12の温度が設定温度T1を上回るまでの間は(ステップS53:No)、第2ヒータ12のオン状態を維持し、第2ヒータ12の温度が設定温度T1を上回ると(ステップS53:Yes)、第2ヒータ12をオフする(ステップS54)。
【0108】
上述のように、制御部3は、第1ヒータ11についての保温制御においては、
図10の(a)に示すように、第1ヒータ11の温度が設定温度T1と設定温度T2との間に収まるように、第1ヒータ11のオン/オフを繰り返すことで、第1ヒータ11の温度を概ね一定温度に維持する。また、制御部3は、第2ヒータ12についての保温制御においては、
図10の(b)に示すように、第2ヒータ12の温度が設定温度T1と設定温度T2との間に収まるように、第2ヒータ12のオン/オフを繰り返すことで、第2ヒータ12の温度を概ね一定温度に維持する。これにより、第1部材41と第2部材42との温度差を低減することができ、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすい。
【0109】
<作用効果>
以上のように、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aは、第1ヒータ11に設置された第1温度検知部21と、第2ヒータ12に設置された第2温度検知部22と、を更に備える。制御部3は、第1温度検知部21で検知される温度に基づいて第1ヒータ11を制御し、第2温度検知部22で検知される温度に基づいて第2ヒータ12を制御する。
【0110】
これによれば、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの一方のみに温度検知部2を設ける場合と比較して、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の温度制御の精度を向上することができる、という利点がある。
【0111】
また、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aでは、前記制御部は、前記第1温度検知部で検知される温度と、前記第2温度検知部で検知される温度との温度差を減じるように、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータを制御する。
【0112】
これによれば、第1ヒータ11の設置箇所である第1部材41の温度と、第2ヒータ12の設置箇所である第2部材42の温度との温度差が減じられることで、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすくなる、という利点がある。
【0113】
(変形例)
以下、実施の形態1,2におけるヒータ制御システム100,100Aの変形例について列挙する。
【0114】
実施の形態1におけるヒータ制御システム100において、制御部3は、温度検知部2で検知された温度の変化度合いに基づいて、第1部材41及び第2部材42のうちの一方のヒータ(ここでは、第1ヒータ11)が設置された部材(ここでは、第1部材41)に物体が載せ置かれているか否かを判定してもよい。そして、制御部3は、物体が載せ置かれていると判定した場合、経過時間を補正しなくてもよい。
【0115】
すなわち、例えば第1部材41がアームレストである場合、ユーザの腕が載せ置かれていると、腕の熱容量の影響を受けて第1部材41が温まりやすく、かつ、冷えにくくなる。このような状態で、制御部3が補正制御を実行すると、駆動時間P1及び停止時間P2を正しく補正することができず、第2ヒータ12の温度が設定温度T1,T2よりも低くなる等して温度制御が乱れる可能性がある。
【0116】
そこで、制御部3は、温度検知部2で検知される温度の変化パターン、つまり第1ヒータ11の温度の変化パターンに基づいて、第1部材41に物体(ここでは、ユーザの腕)が載せ置かれているか否かを判定する。例えば、第1部材41に腕が載せ置かれている状態では、第1ヒータ11のオン時の温度上昇の変化が急になるので、制御部3は、このような場合に第1部材41に腕が載せ置かれている、と判定することが可能である。そして、制御部3は、第1部材41に腕が載せ置かれている場合に補正制御を実行しない、つまり第2ヒータ12についての保温制御において経過時間(駆動時間P1及び停止時間P2)を補正しない。
【0117】
これによれば、第1部材41に載せ置かれた物体(ここでは、ユーザの腕)の熱容量の影響を受けて温度検知部2が設けられていないヒータ(ここでは、第2ヒータ12)における温度制御が乱れるのを防止することができる、という利点がある。
【0118】
また、実施の形態1におけるヒータ制御システム100では、制御部3は、一方のヒータ(ここでは、第1ヒータ11)をPWM(Pulse Width Modulation)制御してもよい。
【0119】
これによれば、一方のヒータによる温度の上昇速度を細かに制御することができるので、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすくなる、という利点がある。例えば、第1ヒータ11を比較的小さいデューティ比でPWM制御することで、第1ヒータ11の温度上昇が緩やかになり、設定温度T1へと温度を調整しやすくなり、かつ、ユーザが温度変化を感じにくくなる、という利点がある。
【0120】
なお、PWM制御されるヒータは第1ヒータ11だけでなく、温度検知部2を備えない第2ヒータ12であってもよい。この場合、
図4の(b)に示す駆動時間P1のデューティ比と、停止時間P2のデューティ比を予め決定しておき、制御部3は、決められたデューティ比に基づく駆動時間P1及び停止時間P2を交互に繰り返すように第2ヒータ12を制御すればよい。この場合、第2ヒータ12の温度変化が緩やかになるので、ユーザが温度変化を感じにくくなる、という利点がある。
【0121】
同様に、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aでは、制御部3は、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの少なくとも一方をPWM制御してもよい。
【0122】
これによれば、第1ヒータ11及び第2ヒータ12のうちの少なくとも一方による温度の上昇速度を細かに制御することができるので、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすくなる、という利点がある。
【0123】
また、実施の形態2におけるヒータ制御システム100Aでは、制御部3は、第1温度検知部21及び第2温度検知部22のいずれかの異常を検知した場合に、異常が検知された温度検知部に対応するヒータの制御を、当該ヒータが動作してからの経過時間に基づく制御に変更してもよい。例えば、制御部3は、第1温度検知部21及び第2温度検知部22の各々の温度出力を監視することで、第1温度検知部21及び第2温度検知部22の各々について異常(例えば短絡、又は断線)が発生しているか否かを検知することが可能である。そして、制御部3は、例えば第1温度検知部21の異常を検知した場合、第1ヒータ11について第1温度検知部21に基づく制御を実行するのを止め、実施の形態1で述べたように第1ヒータ11が動作してからの経過時間に基づく制御に変更する。
【0124】
これによれば、第1温度検知部21及び第2温度検知部22のいずれかに異常が発生した場合でも、第1ヒータ11及び第2ヒータ12を継続して制御することができ、冗長性を確保しやすい、という利点がある。
【0125】
また、実施の形態1,2におけるヒータ制御システム100,100Aでは、第1ヒータ11及び第2ヒータ12の各々は、人の手首に対応する手首ヒータと、人の肘に対応する肘ヒータと、に分かれていてもよい。そして、制御部3は、手首ヒータ及び肘ヒータを個別に制御してもよい。例えば、第1ヒータ11が手首ヒータ及び肘ヒータに分かれている場合、制御部3は、温度検知部2(又は第1温度検知部21)で検知された温度に基づいて、手首ヒータの温度が肘ヒータの温度よりも高くなるように、手首ヒータ及び肘ヒータを個別に制御する。
【0126】
これによれば、例えば寒さを感じやすい手首が肘よりも温かくなるように制御することができ、座席4に着座したユーザの快適性の向上を図りやすい、という利点がある。
【0127】
なお、手首ヒータ及び肘ヒータに対して、両方に温度検知部を設けてもよいし、いずれか一方のみに温度検知部を設けてもよい。前者の場合、制御部3は、手首ヒータ及び肘ヒータの各々を対応する温度検知部で検知された温度に基づいて制御すればよい。一方、後者の場合、制御部3は、温度検知部が設けられた一方のヒータについては温度検知部で検知された温度に基づいて制御し、他方のヒータについては他方のヒータが動作してからの経過時間に基づいて制御すればよい。この時、制御部3は補正制御を行ってもよい。
【0128】
実施の形態1,2においては、左側の座席4に装備されたヒータ制御システム100,100Aの制御部3と、右側の座席4に装備されたヒータ制御システム100,100Aの制御部3とは別々に設けられているが、これらが1つの制御部3に纏められていてもよい。
【0129】
実施の形態1,2においては、第1部材41及び第2部材42は、いずれもアームレストであるが、これに限られない。例えば、第1部材41及び第2部材42は、ドアトリム、又はオットマン等の座席4に属する他の部材に設けられていてもよい。
【0130】
また、第1部材41及び第2部材42は、いずれも同じ種類の部材である必要はない。例えば、第1部材41及び第2部材42のうちの一方がアームレスト、他方がオットマン等であってもよい。
【0131】
なお、上記の実施の形態1,2に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席に属する部材を温めるヒータの制御に利用可能である。
【符号の説明】
【0133】
100,100A ヒータ制御システム
11 第1ヒータ
12 第2ヒータ
2 温度検知部
21 第1温度検知部
22 第2温度検知部
3 制御部
4 座席
41 第1部材
42 第2部材
43 シートクッション
44 シートバック
5 コンソール
A1 移動体
A11 窓
P01,P02 初期駆動時間
P1 駆動時間
P2 停止時間
Pc1 補正後の駆動時間
Pc2 補正後の停止時間
Pe1 実験環境下での駆動時間
Pe2 実験環境下での停止時間
Pr1 実際の環境下での駆動時間
Pr2 実際の環境下での停止時間
T01,T02 初期温度
T1,T2 設定温度
t1~t6 時点