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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044156
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230323BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230323BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20230323BHJP
   G11B 33/14 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
G06F1/20 C
H05K7/20 H
H05K7/20 G
G06F1/20 B
H01L23/46 C
G11B33/14 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152038
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 武志
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄二
(72)【発明者】
【氏名】矢口 裕一朗
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5F136CA03
5F136CA12
(57)【要約】
【課題】より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成の電子機器を得る。
【解決手段】実施形態の電子機器は、筐体と、複数のファンユニットと、ファンホルダと、複数の発熱体と、を備える。複数のファンユニットは、筐体に収容され、それぞれが第一方向に延びる回転中心回りに回転可能なファンと、ファンと接続され当該ファンを個別に活線挿抜可能なコネクタと、を有する。ファンホルダは、ファンが第一方向に露出する環状開口が設けられた一対の側壁と、筐体内の電源装置と電気的に接続され一対の側壁の内側でコネクタが着脱可能に接続される相手側コネクタとを含み、一対の側壁のうち環状開口とずれた領域が第一方向に部分的に重なりながら一対の第三外壁の間に亘るように千鳥状に配置された複数のポケット部、を有する。複数の発熱体は、筐体に収容され、ファンユニットよりも第二外壁の近くでファンユニットのそれぞれと第一方向に並んで配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口が設けられた第一外壁と、前記第一外壁に対して当該第一外壁と交差した第一方向に離間して位置され排気口が設けられた第二外壁と、前記第一外壁と前記第二外壁との間に亘った一対の第三外壁と、を有した筐体と、
前記筐体に収容され、それぞれが前記第一方向に延びる回転中心回りに回転可能なファンと、前記ファンと接続され当該ファンを個別に活線挿抜可能なコネクタと、を有した複数のファンユニットと、
前記ファンが前記第一方向に露出する環状開口が設けられた一対の側壁と、前記筐体内の電源装置と電気的に接続され前記一対の側壁の内側で前記コネクタが着脱可能に接続される相手側コネクタとを含み、前記一対の側壁のうち前記環状開口とずれた領域が前記第一方向に部分的に重なりながら前記一対の第三外壁の間に亘るように千鳥状に配置された複数のポケット部、を有したファンホルダと、
前記筐体に収容され、前記ファンユニットよりも前記第二外壁の近くで前記ファンユニットのそれぞれと前記第一方向に並んで配置された複数の発熱体と、
を備えた、電子機器。
【請求項2】
前記複数の発熱体は、一つまたは複数の中央演算処理装置を含み、
前記複数のファンユニットのうち前記中央演算処理装置に対応するファンユニットは、他のファンユニットよりも前記第二外壁側にずれて位置された、請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸気口および排気口が設けられた筐体と、筐体に収容されファンの軸方向に部分的に重なりながら配置された複数のファンユニットと、を備えた電子機器が、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-016248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電子機器では、より不都合が少なくなるよう改善された新規な構成が得られれば、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電子機器は、筐体と、複数のファンユニットと、ファンホルダと、複数の発熱体と、を備える。筐体は、吸気口が設けられた第一外壁と、第一外壁に対して当該第一外壁と交差した第一方向に離間して位置され排気口が設けられた第二外壁と、第一外壁と第二外壁との間に亘った一対の第三外壁と、を有する。複数のファンユニットは、筐体に収容され、それぞれが第一方向に延びる回転中心回りに回転可能なファンと、ファンと接続され当該ファンを個別に活線挿抜可能なコネクタと、を有する。ファンホルダは、ファンが第一方向に露出する環状開口が設けられた一対の側壁と、筐体内の電源装置と電気的に接続され一対の側壁の内側でコネクタが着脱可能に接続される相手側コネクタとを含み、一対の側壁のうち環状開口とずれた領域が第一方向に部分的に重なりながら一対の第三外壁の間に亘るように千鳥状に配置された複数のポケット部、を有する。複数の発熱体は、筐体に収容され、ファンユニットよりも第二外壁の近くでファンユニットのそれぞれと第一方向に並んで配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の電子機器の例示的な斜視図である。
図2図2は、実施形態のファンホルダの例示的な斜視図である。
図3図3は、実施形態のファンユニットの例示的な分解斜視図である。
図4図4は、実施形態の電子機器の例示的な斜視図であって、図1とは異なる角度から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0008】
なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0009】
[実施形態]
図1は、実施形態の電子機器1の斜視図である。なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、電子機器1の前後方向に沿うとともに、ファンユニット3の厚さ方向(軸方向)に沿う。Y方向は、電子機器1の幅方向(左右方向)に沿うとともに、ファンユニット3の横幅方向に沿う。Z方向は、電子機器1の高さ方向(上下方向)に沿うとともに、ファンユニット3の縦幅方向に沿う。
【0010】
図1に示されるように、電子機器1は、ラックマウント型の産業用コンピュータとして構成されており、筐体2や、ファンユニット3、電源装置4、基板5、ドライブユニット6、中央演算処理装置7、メモリーカード8、ヒートシンク9、ダクト10、拡張カードホルダ11、ファンホルダ35(図2参照)等を備えている。なお、電子機器1は、この例には限定されず、デスクトップ型のパーソナルコンピュータや、ノートブック型のパーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0011】
図1に示されるように、筐体2は、Z方向に薄い直方体状の箱型に構成されている。筐体2は、底壁2aや、不図示の天壁、前壁2c、左壁2d、後壁2e、右壁2f等の複数の壁部を有している。底壁2aは、下壁とも称され、天壁は、上壁とも称される。また、前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fは、側壁や、周壁、立壁等とも称される。
【0012】
底壁2aおよび天壁(不図示)は、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁2aは、筐体2の下端部を構成し、天壁は、筐体2の上端部を構成している。底壁2aの下面には、筐体2を不図示の棚や、机、台等の載置部から離間した状態に支持する複数のゴム脚等が設けられうる。
【0013】
左壁2dおよび右壁2fは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。左壁2dは、底壁2aおよび天壁のY方向の一端部の間に亘り、右壁2fは、底壁2aおよび天壁のY方向の他端部の間に亘っている。左壁2dは、筐体2の左端部を構成し、右壁2fは、筐体2の右端部を構成している。左壁2dおよび右壁2fは、第三外壁の一例である。
【0014】
前壁2cおよび後壁2eは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁2cは、底壁2aおよび天壁のX方向の他端部の間に亘り、後壁2eは、底壁2aおよび天壁のX方向の一端部の間に亘っている。前壁2cは、筐体2の前端部を構成し、後壁2eは、筐体2の後端部を構成している。
【0015】
前壁2cには、略全域に亘って吸気口2rが設けられている。吸気口2rは、前壁2cに設けられた複数の小孔が集まった部分として構成されている。また、前壁2cの内側には、後述する複数のファンユニット3やファンホルダ35が取り付けられている。ファンユニット3は、それぞれのファン31のX方向に延びる回転中心Ax回りの回転によって、筐体2内に空気を導入可能である。前壁2cは、第一外壁の一例であり、X方向は、第一方向の一例である。
【0016】
また、後壁2eには、略全域に亘って排気口2pが設けられている。排気口2pは、後壁2eに設けられた複数の小孔が集まった部分として構成されている。排気口2pは、電源装置4や、中央演算処理装置7、メモリーカード8、ヒートシンク9等の発熱体と熱交換を行ったファンユニット3からの冷却風(空気流)を筐体2外に排出可能である。後壁2eは、第二外壁の一例である。
【0017】
また、筐体2は、ケース21や、カバー等の複数の部品(分割体)の組み合わせによって構成されている。ケース21は、少なくとも、底壁2aと、前壁2cおよび後壁2eと、左壁2dおよび右壁2fと、を含み、カバーは、少なくとも天壁を含む。カバーは、底壁2a、前壁2c、左壁2d、後壁2e、および右壁2fによって囲まれた空間(収容部)を覆った状態で、ねじ等の結合具によってケース21と結合される。筐体2は、ステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。
【0018】
図1に示されるように、ドライブユニット6は、筐体2内において、前壁2cとファンユニット3との間に位置されている。ドライブユニット6は、HDD(hard disk drive)装置や、SSD(solid state drive)装置等である。ドライブユニット6は、前壁2cに設けられうる不図示の挿入口から筐体2に装着可能である。
【0019】
電源装置4は、筐体2内において、後壁2eと右壁2fとの間の隅部に位置されている。本実施形態では、電源装置4は、複数のファンユニット3のうちY方向の他端部に位置された一つとX方向に間隔をあけて並んでおり、当該他端部のファンユニット3によって冷却される。電源装置4は、発熱体の一例である。
【0020】
基板5は、筐体2内において、電源装置4のY方向に位置されている。基板5は、底壁2aと平行に設けられた四角形状の板状に構成されている。基板5の上面5aには、中央演算処理装置7(CPU:central processing unit)や、メモリーカード8、PCH(platform controller hub)等の複数の電子部品が実装されている。基板5内の配線とこれら複数の電子部品とによって、電子機器1の制御回路が構成されている。基板5は、メイン基板や、マザーボード、回路基板、制御基板等とも称されうる。
【0021】
また、中央演算処理装置7の上面には、ヒートシンク9が取り付けられている。ヒートシンク9は、Y方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンを有し、当該複数のフィンの間を流れるファンユニット3からの冷却風との熱交換によって中央演算処理装置7を冷却可能である。ヒートシンク9は、発熱体の一例である。
【0022】
ここで、本実施形態では、基板5には、Y方向に互いに間隔をあけて二つの中央演算処理装置7(図4参照)が実装されている。そして、各中央演算処理装置7とヒートシンク9とのペアが、ファンユニット3のうち後壁2e側にずれた二つとX方向に間隔をあけて並んでおり、当該二つのファンユニット3によって冷却される。中央演算処理装置7は、発熱体の一例である。
【0023】
メモリーカード8は、二つの中央演算処理装置7の間に位置され、基板5に設けられたスロットに装着されている。本実施形態では、メモリーカード8は、ファンユニット3のうち中央演算処理装置7用の二つのファンユニット3の間に位置された一つとX方向に間隔をあけて並んでおり、当該ファンユニット3によって冷却される。メモリーカード8は、発熱体の一例である。
【0024】
図2は、ファンホルダ35の斜視図である。図2に示されるように、ファンホルダ35は、ファンユニット3が着脱可能に取り付けられる複数のポケット部36を有している。ファンホルダ35は、複数のポケット部36が一体化された状態で筐体2にネジやボルト等の結合具を介して固定される。
【0025】
ポケット部36は、複数の側壁36a~36cを有している。側壁36aおよび側壁36b36bは、筐体2の前壁2cおよび後壁2eと平行に設けられた四角形状の板状に構成され、X方向に互いに間隔をあけて設けられている。側壁36aは、ファンユニット3の前面と面し、側壁36bは、ファンユニット3の後面と面する。
【0026】
また、側壁36a,36bには、それぞれ、ファンユニット3のファン31がX方向に露出する環状開口36gが設けられている。環状開口36gの大きさは、ファン31の大きさと略同じである。
【0027】
環状開口36gは、作業者の手指等の誤侵入を防止するフレーム36hによって覆われている。フレーム36hは、環状開口36gの開口領域を細分化している。フレーム36hは、環状開口36gを外側から覆った状態で、ネジやボルト等の結合具40によって側壁36a,36bに固定されている。
【0028】
一対の側壁36cは、筐体2の左壁2dおよび右壁2fと平行に設けられた四角形状の板状に構成され、Y方向に互いに間隔をあけて設けられている。側壁36cのうち一方は、ファンユニット3の左側面と面し、他方は、ファンユニット3の右側面と面する。
【0029】
ポケット部36には、これら一対の側壁36c、側壁36a,36bによって囲まれ、Z方向に向けて開放された開口部36eが設けられている。開口部36eには、それぞれファンユニット3を装着可能である。
【0030】
また、側壁36cには、ファンユニット3からY方向の他端部側に突出したピン32dとZ方向に重なる位置に切欠部36fが設けられている。切欠部36fは、Z方向に向けて開放されており、ピン32dを収容可能である。
【0031】
ピン32dは、ファンユニット3が開口部36eに装着された状態では切欠部36fからY方向の他端部側に突出する。作業者は、この突出したピン32dをZ方向、すなわち上方に押し上げることによって、ファンユニット3をポケット部36から取り外すことができる。
【0032】
また、切欠部36fが設けられた側壁36cの内側には、後述するファンユニット3の活線挿抜用のコネクタ34が着脱可能に接続される相手側コネクタ38が設けられている。相手側コネクタ38は、ケーブル等を介して筐体2内の電源装置4や電源回路基板等と電気的に接続されている。
【0033】
また、相手側コネクタ38は、コネクタ34に対応して側壁36cのZ方向の略中央位置に設けられている。相手側コネクタ38は、側壁36a~36cから内側に張り出した内壁等によってZ方向への移動が制限された状態でポケット部36に固定されている。なお、図2には、便宜上、相手側コネクタ38の差込口のみが示されている。
【0034】
ここで、本実施形態では、複数のポケット部36は、X方向に部分的に重なりながら筐体2の左壁2dおよび右壁2fの間に亘るように千鳥状に配置されている。具体的には、本実施形態では、四つのポケット部36がX方向に二列で互い違いの状態で一体化されている。なお、ポケット部36およびファンユニット3の数は、四つには限定されず、三つや、五つ以上であってもよい。
【0035】
また、ファンホルダ35は、互いに隣接したポケット部36のY方向の一端部または他端部がX方向に重なるように位置されている。具体的には、ポケット部36のうち環状開口36gよりもY方向の一端側または他端側にずれた領域が重なっている。すなわち、ポケット部36は、それぞれの環状開口36g同士が互いに干渉しない状態で一体化されている。
【0036】
図3は、ファンユニット3の分解斜視図である。図3に示されるように、ファンユニット3は、ファン31や、前カバー32、後カバー33、活栓挿抜用のコネクタ34等を有している。ファン31、前カバー32、および後カバー33は、それぞれの周縁部(角部)をX方向に貫通するボルトと、当該ボルトに締結されるナット等によって互いに一体化される。
【0037】
ファン31は、複数のブレード31aと、ハブ31bと、フレーム31cと、を有している。ハブ31bは、円筒状に構成され、フレーム31cの中心部に位置されている。複数のブレード31aは、ハブ31bから回転中心Axの径方向外方に突出し、回転中心Ax回りの周方向に並んでいる。
【0038】
ハブ31bおよびブレード31aは、フレーム31cに対して回転中心Ax回りに回転可能に支持されている。ファン31は、ブレード31aの回転中心Ax回りの回転によって、前カバー32の吸気口32bから吸入され、後カバー33の排気口33bから排出される空気流を生成する軸流ファンである。
【0039】
活線挿抜用のコネクタ34は、ファン31よりもY方向の他端部側に張り出した状態でフレーム31cの取付壁31dに支持されている。コネクタ34は、上述したポケット部36に設けられた相手側コネクタ38と対向しており、ファンユニット3がポケット部36に装着されることによって、当該相手側コネクタ38と機械的かつ電気的に接続可能である。
【0040】
前カバー32は、ファン31の前面を覆っている。前カバー32には、ファン31のブレード31aがX方向に露出するように吸気口32bが設けられている。吸気口32bは、作業者の手指等の誤侵入を防止するフレーム32cによって開口領域が細分化されている。
【0041】
また、前カバー32には、吸気口32b(ファン31)よりもY方向の他端部側に突出した突出部32aが設けられている。突出部32aは、前カバー32のうち右上の角部に位置されている。突出部32aには、活線挿抜用のコネクタ34や、当該コネクタ34とファン31とを接続するケーブル等が収容される。
【0042】
また、突出部32aの側面には、上述した操作用のピン32dが設けられている。なお、本実施形態では、上述したファンホルダ35には、突出部32aに対応してポケット部36にも環状開口36gよりもY方向に沿って張り出した張出部分、すなわち相手側コネクタ38の収容部分が設けられており、この収容部分がX方向に重なるように配置されている。
【0043】
また、突出部32aの下面には、コネクタ34が露出する開口部32eや、コネクタ34の取付壁31dとZ方向に引っ掛かる爪部32f、後カバー33のスリット33eに挿入される突起32g等が設けられている。本実施形態では、コネクタ34と相手側コネクタ38との接続の解除時に、爪部32fがコネクタ34により近くの取付壁31dとZ方向に引っ掛かることによって、コネクタ34と相手側コネクタ38との嵌合がより容易に、あるいはより円滑に解除される。
【0044】
後カバー33は、ファン31の後面を覆っている。後カバー33には、ファン31のブレード31aがX方向に露出するように排気口33bが設けられている。排気口33bは、作業者の手指等の誤侵入を防止するフレーム33cによって開口領域が細分化されている。
【0045】
また、後カバー33には、排気口33b(ファン31)よりもY方向の他端部側に突出した突出部33aが設けられている。突出部33aは、後カバー33のうち右上の角部に位置されている。突出部33aは、上述した突出部32aとともに活線挿抜用のコネクタ34や、当該コネクタ34とファン31とを接続するケーブルを収容する空間(収容部)を構成している。
【0046】
また、突出部33aの縁部には、取付片33dが設けられている。取付片33dは、突出部33aからX方向に沿って突出している。本実施形態では、ファンユニット3のうち右上の角部は、突出部32aの側面と取付片33dとをY方向に貫通するボルトにナットが締結されること等によって固定されている。
【0047】
図4は、電子機器1の斜視図であって、図1とは異なる角度から見た図である。図4に示されるように、本実施形態では、上述した二つの中央演算処理装置7とヒートシンク9との各ペアは、それぞれダクト10によって覆われている。ダクト10は、天壁10aや、一対の側壁10b、斜壁10c等を有している。
【0048】
天壁10aは、筐体2の天壁および底壁2aと平行に設けられた四角形状の板状に構成され、ヒートシンク9および中央演算処理装置7とZ方向に並んでいる。天壁10aは、ヒートシンク9の上端部を覆い、ヒートシンク9および中央演算処理装置7用のファンユニット3の冷却通路をZ方向に仕切っている。
【0049】
一対の側壁10bは、筐体2の左壁2dおよび右壁2fと平行に設けられた四角形状の板状に構成され、Y方向に互いに間隔をあけて設けられている。側壁10bは、ヒートシンク9および中央演算処理装置7とY方向に並んでいる。側壁10bは、ヒートシンク9のY方向の両端部を覆い、ヒートシンク9および中央演算処理装置7用のファンユニット3の冷却通路をY方向に仕切っている。
【0050】
すなわち、本実施形態では、一対の側壁10bによって、ヒートシンク9および中央演算処理装置7用の二つのファンユニット3からX方向に延びる冷却通路と、電源装置4およびメモリーカード8用の二つのファンユニット3からX方向に延びる冷却通路とが、少なくとも冷却通路の上流側(ヒートシンク9付近)においてY方向に仕切られている。
【0051】
斜壁10cは、天壁10aの前端部とファンユニット3の上端部との間に亘って設けられている。斜壁10dは、ファンユニット3からX方向に離れるにつれてヒートシンク9(基板5)に近づくように傾斜している。斜壁10cは、ヒートシンク9および中央演算処理装置7用のファンユニット3の冷却通路をZ方向とX方向との間の傾斜方向に仕切っている。
【0052】
斜壁10cは、ファンユニット3のうちヒートシンク9とX方向に重ならずにZ方向にずれた領域の冷却風をヒートシンク9に向けてガイドすることができる。また、本実施形態では、このような斜壁10cおよび天壁10aによる絞られた形状のダクト10よって、ヒートシンク9を通過する冷却風の流速が高められている。これにより、中央演算処理装置7の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0053】
また、ダクト10には、スナップフィット等によって拡張カードホルダ11が一体化されている。拡張カードホルダ11は、拡張カードを保持可能な天壁11aや、メモリーカード8用の冷却通路をY方向に仕切る側壁11b等を有している。
【0054】
天壁11aは、筐体2の天壁および底壁2aと平行に設けられた四角形状の板状に構成されている。天壁11aは、ダクト10の天壁10aをZ方向から覆っている。また、天壁11aは、ファンユニット3と後壁2eとの間に亘ってX方向に延びており、筐体2の強度メンバー(梁)としても機能している。
【0055】
側壁11bは、筐体2の左壁2dおよび右壁2fと平行に設けられた四角形状の板状に構成されている。側壁11bは、天壁11aのY方向の両端部のうちメモリーカード8側の一端部に設けられ、メモリーカード8、ダクト10の側壁10b、およびヒートシンク9とY方向に並んでいる。
【0056】
また、本実施形態では、側壁11bのうち上述した冷却通路の少なくともヒートシンク9よりも下流側には、Y方向に貫通した複数の貫通孔11cが設けられている。複数の貫通孔11cは、X方向に互いに間隔をあけて並んでおり、ヒートシンク9および中央演算処理装置7用の冷却通路とメモリーカード8用の冷却通路とを連通している。
【0057】
本実施形態では、ヒートシンク9と熱交換を行って暖められた冷却風の一部は、貫通孔11cを介してメモリーカード8用の冷却通路を流れる冷却風および電源装置4用の冷却通路を流れる冷却風と混ざり、排気口2pから排出される。本実施形態では、このような流路構成によって、ヒートシンク9を冷却するファンユニット3からの冷却風の排出性が高められている。
【0058】
以上のように、本実施形態では、電子機器1は、吸気口2rが設けられた前壁2c(第一外壁)と、前壁2cに対して当該前壁2cと交差したX方向(第一方向)に離間して位置され排気口2pが設けられた後壁2e(第二外壁)と、前壁2cと後壁2eとの間に亘った一対の左壁2dおよび右壁2f(第三外壁)と、を有した筐体2と、筐体2に収容され、それぞれがX方向に延びる回転中心Ax回りに回転可能なファン31と、ファン31と接続され当該ファン31を個別に活線挿抜可能なコネクタ34と、を有した複数のファンユニット3と、ファン31がX方向に露出する環状開口36gが設けられた一対の側壁36a,36bと、筐体2内の電源装置4と電気的に接続され一対の側壁36a,36bの内側でコネクタ34が着脱可能に接続される相手側コネクタ38とを含み、一対の側壁36a,36bのうち環状開口36gとずれた領域がX方向に部分的に重なりながら一対の左壁2dおよび右壁2fの間に亘るように千鳥状に配置された複数のポケット部36、を有したファンホルダ35と、筐体2に収容され、ファンユニット3よりも後壁2eの近くでファンユニット3のそれぞれとX方向に並んで配置された電源装置4、中央演算処理装置7、およびメモリーカード8(発熱体)と、を備える。
【0059】
このような構成によれば、ファンホルダ35および複数のファンユニット3が左壁2dおよび右壁2fの間に亘って一列に並んだ状態に設けられた場合と比べて、筐体2ひいては電子機器1をY方向により小型に構成することができたり、筐体2のY方向の幅が同じ電子機器1に対してより多くのファンユニット3を搭載できたりする。これにより、小型で高性能のハイエンド機においても電源装置4や、中央演算処理装置7、メモリーカード8等の発熱体の冷却性がより高まりやすい電子機器1を得ることができる。
【0060】
また、ファン31のそれぞれを個別に活線挿抜可能なコネクタ34によって、ファンユニット3のメンテナンス作業等を、より容易にあるいはより円滑に行うことができる。具体的には、複数のファンユニット3のうちいずれか一つにメンテナンスが必要な場合に、その他のファンユニット3を駆動したままの状態、すなわち電源装置4や、中央演算処理装置7、メモリーカード8等の発熱体をその他のファンユニット3からの冷却風によって冷却したままの状態で、メンテナンス作業を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、複数のファンユニット3のうち中央演算処理装置7に対応する二つのファンユニット3は、他のファンユニット3よりも後壁2e側にずれて位置されている。
【0062】
このような構成によれば、二つのファンユニット3を複数の発熱体のうち最も高温となりやすい中央演算処理装置7およびヒートシンク9により近づけて配置することができ、ひいては中央演算処理装置7の温度上昇をより効果的に抑制することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1…電子機器、2…筐体、2c…前壁(第一外壁)、2d…左壁(第三外壁)、2e…後壁(第二外壁)、2f…右壁(第三外壁)、2r…吸気口、2p…排気口、3…ファンユニット、4…電源装置(発熱体)、7…中央演算処理装置(発熱体)、8…メモリーカード(発熱体)、9…ヒートシンク(発熱体)、31…ファン、34…コネクタ、35…ファンホルダ、36…ポケット部、36a,36b…側壁、36g…環状開口、38…相手側コネクタ、Ax…回転中心、X…第一方向。
図1
図2
図3
図4