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特開2023-44167電池の電極形成方法、膜電極アッセンブリーの製造方法、膜電極アッセンブリー、燃料電池または水電解水素発生装置
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  • 特開-電池の電極形成方法、膜電極アッセンブリーの製造方法、膜電極アッセンブリー、燃料電池または水電解水素発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044167
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】電池の電極形成方法、膜電極アッセンブリーの製造方法、膜電極アッセンブリー、燃料電池または水電解水素発生装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/88 20060101AFI20230323BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20230323BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20230323BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20230323BHJP
   H01M 8/0286 20160101ALI20230323BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20230323BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20230323BHJP
   H01G 9/20 20060101ALI20230323BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230323BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230323BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230323BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20230323BHJP
   C25B 11/031 20210101ALI20230323BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20230323BHJP
   C25B 11/054 20210101ALI20230323BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20230323BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20230323BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230323BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20230323BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H01M4/88 K
H01M4/86 M
H01M4/90 M
H01M4/90 X
H01M8/0273
H01M8/0286
H01M4/04 A
H01M4/139
H01G9/20 111C
H01G9/20 115Z
H01M4/62 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/23
C25B11/031
C25B11/081
C25B11/054
H01G11/86
H01G13/00 391B
B05D7/24 301E
B05D5/12 B
B05D7/24 301A
B05D1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152055
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】510009832
【氏名又は名称】エムテックスマート株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松永 正文
【テーマコード(参考)】
4D075
4K011
4K021
5E078
5E082
5H018
5H050
5H126
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA04
4D075AA09
4D075AC02
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC21
4D075AC34
4D075AC45
4D075AC76
4D075AC80
4D075AC88
4D075AE03
4D075BB13Y
4D075BB57Y
4D075CA22
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA04
4D075DB01
4D075DC19
4D075EA02
4D075EA10
4D075EB51
4D075EB57
4D075EC22
4K011AA11
4K011AA32
4K011BA07
4K011DA01
4K021AA01
4K021BA02
4K021DB13
4K021DB18
4K021DB43
4K021DB53
5E078BB33
5E082EE35
5H018AA01
5H018BB01
5H018BB06
5H018BB08
5H018CC06
5H018DD05
5H018EE03
5H018EE12
5H018EE17
5H018HH00
5H018HH01
5H018HH05
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA15
5H050DA09
5H050FA02
5H050GA02
5H050GA06
5H050GA10
5H050GA22
5H126AA13
5H126FF07
5H126GG18
5H126HH04
(57)【要約】
【課題】燃料電池や水電解水素発生装置用3層膜電極アッセンブリーは電解質膜に一種類の電極スラリーを作成しそのままロールやスロットノズル等で一層塗布し、またはスプレイ等で積層し乾燥させて電極を形成していた。スロットノズルによる液膜塗布ではスピードを速くできるが燃料電池の特にカソード極では表面積を広くできず電極にメソポーラスなどの電極形成を行うことは難しかった。一方スプレイ塗布方法ではメソポーラスなどの電極形成ができたが生産スピードと高価な電極触媒の塗着効率が低く大きな課題になっていた。
【解決手段】液膜塗布装置で高速で高塗着効率を確保し、次いで粒子発生装置で必要により粒子を液膜中に潜り込ませ、また積層することで電極表面積の広いポーラスな構造の高性能の電極を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極形成方法であって、電極スラリーまたは電極用材料を対象物に液膜塗布装置により液膜塗布する工程と、粒子発生装置による粒子で積層塗布する工程または電極用粉粒体または電極用短繊維の塗布装置で積層塗布する工程と、乾燥する工程とにより電極を形成することを特徴とする電極形成方法。
【請求項2】
複数の電極スラリーまたは電極用材料を用意する工程と、該電極スラリーまたは電極用液状材料は対象物に液膜塗布装置による液膜塗布する工程と、粒子発生装置による粒子での積層塗布または電極用粉粒体または電極用短繊維の塗布装置で積層塗布する工程と、前記電極スラリーまたは電極液状材料の、液膜塗布装置用と粒子発生塗布装置用とは種類または粘度が異なることを特徴とする請求項1の電極形成方法。
【請求項3】
前記液膜塗布はスロットノズル、ロールコーター、スクリーンコーター、低圧エアレス液膜コーターから少なくとも一つを選択し液膜塗布する工程と、粒子塗布は電極スラリーまたは電極液状材料の粒子発生装置による粒子または電極用粉粒体または短繊維の塗布を選択する工程と、前記粒子発生装置による塗布または電極用粉粒体又は短繊維の塗布は前記液膜塗布装置による液膜塗布膜の溶媒が残る液膜塗布層の上から粒子又は短繊維を衝突させ該液膜厚方向に粒子または短繊維を潜り込ませながら積層塗布する工程とにより電極を形成することを特徴とする請求項1または2の電極形成方法。
【請求項4】
電極の製造方法であって、電極スラリーまたは電極液状材料を対象物に液滴発生装置により平均液滴直径が200マイクロメートル以上の液滴による塗布と前記液滴直径より粒子発生装置による粒子の平均粒子直径が小さい粒子を積層塗布し塗膜を形成し乾燥して電極を形成することを特徴とする電極形成方法。
【請求項5】
前記電極は二次電池用、燃料電池用、水電解用、キャパシター用、または太陽電池用発電層から選択することを特徴とする請求項1乃至4の電極形成方法。
【請求項6】
前記粒子発生用スラリーまたは液状材料は膜電極アッセンブリー電極用触媒スラリー、二次電池用活物質スラリー、電極用ポリマー溶液、導電助剤ディスパージョンのなかから少なくとも一つを選択し積層塗布することを特徴とする請求項5の電極形成方法。
【請求項7】
膜電極アッセンブリーの製造方法であって、対象物を電解質膜、ガス拡散層、転写フィルムのなかから少なくとも一つを選択する工程と、電極触媒スラリーまたは電極液状材料を液膜塗布装置による液膜塗布と粒子発生装置による粒子塗布により積層する工程と、少なくとも粒子による塗布時前記対象物を加熱する工程とにより電極層の厚み方向の少なくとも一部に多孔質の電極を形成する工程とからなることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法。
【請求項8】
触媒微粒子及び触媒微粒子を担持した触媒担体用粒子または短繊維を含む少なくとも二種類の電極触媒スラリーを作成する工程と、少なくとも二種類の電極触媒スラリーを独立した少なくとも二つの塗布装置で対象物に積層塗布するまたは塗布直前で混合して積層塗布し乾燥して電極を形成する工程とからなることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも二種類の電極触媒スラリーの触媒は、微粒子の貴金属、貴金属酸化物、貴金属との合金のなかから少なくとも一つを選択し、多孔質担体に担持し前記少なくとも二種類の電極スラリーの触媒の含有率が異なることを特徴とする請求項8の膜電極アッセンブリーの製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも二種類の電極触媒スラリーは、アイオノマーの種類または固形分が異なることを特徴とする請求項7乃至9の膜電極アッセンブリーの製造方法。
【請求項11】
前記対象物に塗布する液状材料は少なくとも触媒とアイオノマー溶液と溶媒からなる少なくとも一種類のスラリーと、少なくとも一種類のアイオノマー溶液と、少なくとも一種類の撥水性微粒子または短繊維を含むディスパージョンと、少なくとも一種類の溶媒とから、少なくとも二つを選択し、独立した少なくとも二つの塗布装置で対象物に積層塗布または塗布直前で混合して塗布し乾燥して電極を形成してなることを特徴とする請求項7乃至10の膜電極アッセンブリーの製造方法。
【請求項12】
膜電極アッセンブリーであって、一種類または複数種の電極触媒スラリーをスロットノズル装置とスプレイ装置または粒子発生装置で加熱吸着した電解質膜の少なくとも片面に積層塗布して乾燥し少なくとも片側の電極の膜厚方向の少なくとも一部にメソポア及びマクロポアを形成することを特徴とする膜電極アッセンブリー。
【請求項13】
膜電極アッセンブリーであってガス拡散層と接する電極界面には電極触媒が担持された担体とアイオノマーとを混合した海島構造の海が存在し、その上または隣にアイオノマー溶液または容積比でアイオノマーリッチの電極触媒スラリー、またはアイオノマーに接着性ポリマーまたは粘着性ポリマーまたは接着剤粉体を混合した接着性の高い島が存在するように点在塗布し、または接着剤または粘着剤を島となるように点在塗布または短繊維にして塗布し、前記海構造層とで前記電極表面とガス拡散層を密着させることを特徴とする膜電極アッセンブリー。
【請求項14】
前記接着性ポリマーまたは粘着性ポリマーはアイオノマー溶液に溶解しにくいことを特徴とする請求項13の膜電極アッセンブリー。
【請求項15】
膜電極アッセンブリーであって、電極の外側の周縁である電解質膜または前記周縁部位と対峙するサブガスケットの少なくとも一部にアイオノマー溶液またはアイオノマーと接着剤の混合体、または接着剤、接着テープ、粘着剤から選択した少なくとも一つを施与し接着層を形成し、該接着層の周囲または電極から離れた接着層の少なくとも一部に熱可塑性接着剤または粘着剤または紫外線硬化型樹脂を塗布してサブガスケットと電解質膜との接着を短時間で行うことを特徴とする膜電極アッセンブリー。
【請求項16】
燃料電池または水電解装置の製造方法であって、少なくとも一種類の電極触媒スラリーを独立した少なくとも二つの装置で電解質膜に液膜塗布装置で液膜塗布し、粒子発生装置で粒子塗布することにより積層し乾燥して電極を形成してなることを特徴とする燃料電池または水電解装置の製造方法。
【請求項17】
長尺の電解質膜を加熱吸着ロール又はベルトで加熱吸着して移動して、少なくとも片側の電極形成は少なくとも一種類の電極触媒スラリーをスロットノズルで塗布し、次いで電極触媒スラリーを粒子発生装置で粒子を積層し乾燥することにより電極を形成してなることを特徴とする燃料電池または水電解装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池などの電極形成方法、膜電極アッセンブリー(MEA)の製造方法、膜電極アッセンブリー、燃料電池、水電解水素発生装置に関する。
【0002】
本発明はその他のアプリケーションにも勿論応用することができる。有機太陽電池やペロブスカイト太陽電池等の太陽電池の発電層形成、全固体電池を含む2次電池(蓄電池)や電気二重層コンデンサ―を含むキャパシターなどの電極形成、膜電極アッセンブリー(MEA)を用いたPEM(電解質膜)型水電解水素発生装置(以下水電解)や燃料電池の製造に好適に応用できる。更には多分野向けに例えばエレクトロニクス分野関連基材のコーティング向けのアプリケーションにも応用することができる。
【背景技術】
【0003】
従来、燃料電池や水電解のMEAは薄くデリケートな電解質の片面にアノード極用インクともう片方の面にカソード極用電極インクを塗布して乾燥させ3層MEAとしていた。またそれにガス拡散層(GDL)やサブガスケット等を付加して5層MEAや7層MEAを形成していた。更にそれらを組み込んだセルを例えば3百枚強をスタックにセットして燃料電池車にしていた。燃料電池自動車では一般的に250cm2程度の電極面積のMEAを300乃至400枚程度使用している。アノード極もカソード極もカーボンやポーラスカーボンあるいは導電性のポーラス粒子などの担体に担持した白金(Pt)等の触媒とアイオノマーと溶媒とで電極スラリーを作成していた。必要により特に燃料電池のカソード極では水を排出しやすいアイオノマーを複数選択したりPTFEなどの撥水目的の微粉や短繊維を添加し一つの電極スラリーを作成して電解質膜やGDLに直接塗布し乾燥して電極を形成していた。或いはPTFEフィルム等の剥離基材に塗布し乾燥後電解質膜等に熱転写し電極を形成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許 第6779443号
【特許文献2】特開2021-45709
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的はIV特性を向上させるなど所望する電極性能を向上または維持した上で成果物の生産スピードを上げることである。例えばRoll to Roll( ロール ツー ロール:R to R)方式を採用するなどで目的を達成できる。更に電池の環境変化に追従できること、例えば電気自動車や燃料電池車など振動や劣悪な環境下でも各界面の密着性等を維持し耐久性を向上させることである。その為により良い性能を追求するため電極スラリーや電極触媒スラリーの凝集を少なくしたうえで界面の密着性を上げ所望する電極構造形成を行うことが重要である。また燃料電池や水電解ではGDLと電解質膜や電極面との界面の密着性を上げ、可能な限り電極の表面積を広くすることも目的の一つである。また燃料電池や水電解では長所と短所を併せ持つアイオノマーの少なくとも二種類例えばイオン移動の良好なアイオノマーと水の排出適性が良いアイオノマーを所望する構造になるように分配することも課題の一つである。
電池全般に言えることとして例えば二次電池の場合電極と集電体、全固体電池の場合は更に電極と電解質層の密着性を上げ界面抵抗を下げることである。燃料電池のMEAの特にカソード極はポーラスな構造が好まれるが、全固体電池では逆に各粒子間の空隙を極限まで少なくする課題を解決する必要がある。燃料電池や水電解では前記の様に各界面の密着性を上げ界面抵抗を下げること、必要により良好な熱圧着ができる等の課題を解決することである。またGDLと接触する電極の表面積を上げること、等の課題を解決することも重要である。表面張力が比較的低い濡れ性の悪い対象物例えば40dyn/cm(mN/m)以下のプラスティックフィルム等の場合スプレイだけでは薄膜の均一な表面造膜が難しい。特に例えばアルコール系有機溶剤より水の表面張力は高いため水系の溶媒からなる液体を使用すると表面張力の低い対象物上では更に濡れにくいため更に難点が多くなることになる。スプレイは液流を引きちぎりスプレイ粒子にして再度スプレイ粒子同士を対象物上で結合させ液膜にする必要があるが対象物の表面張力が低いとハジキ現象さえ起きる。例えばディッピングでは薄膜塗布できてもスプレイでは対象物上でそれができないことが多く発生する。そのためスプレイの場合対象物の表面張力は高いほど良く例えば50dyn/cm以上より好ましくは70dyn/cmが良い。そのため対象物がプラスティックなど濡れが悪い場合はプラズマ、コロナ放電、フレーム処理などで濡れ性を向上してスプレイすることができるが装置が複雑でコストがかかることになる。一方ロールコートやスロットノズルコートによる液膜塗布は対象物とのギャップが僅少にでき対象物上の液膜にシェアをかけながら無理に対象物に擦り付けるので少し位表面張力が低くても良好な液面ができる。その塗布面上に例えば特に同種の液体の微粒子は馴染むので本発明はより良い相乗効果が期待できる。
勿論本発明では液膜塗布面にドライな粉粒体を施与することもできる。
【0006】
引用文献1は本発明者により発明された方法であって、加熱吸着された電解質膜等に直接スプレイ塗布し、エムテックスマートの商標登録であるインパクトパルス(登録商標)(IPSs(登録商標))によるより速いスピードのエネルギーをもつパルス的粒子群を対象物に衝突させることで高性能な電極を形成する方法が開示されている。その方法により燃料電池の電解質膜などの対象物への密着性を上げ、特に対象物の加熱条件を加味することでカソード極に所望するポーラス構造の電極を形成できる。更に本発明者が権利を有する燃料電池の製造方法のマルチヘッド例えば2乃至100のヘッドとスプレイノズルによる塗布が可能な為、所望する生産スピードに追随できる。そのためインパクトパルスによる電極塗布の部位はスロットノズル塗工や転写フィルムによる転写方法などよりはるかに電極性能を高めることができることになる。しかし将来の水素社会に対応するMEA製造の生産面を考えると更なるスピードアップが求められていた。例えば熱可塑性樹脂のホットメルト接着剤や粘着剤のスロットノズルやロールコートなどの対象物への液膜塗布スピードは乾燥ゾーンを必要としないので分速で数百メートルが可能であった。例えば水素社会を見越してMEA製造ラインで乾燥の課題はあっても1分間当たりのスピードを数メートル以上更には十数メートル、数十メートルを目標にする必要さえあった。また二次電池の電極形成は分速30乃至60メートルが一般的なので性能をあげスピードは維持する更にはそれらの2倍以上のスピードを目標にする必要さえあった。または乾燥時間を短くし同じスペース内で複数の装置で生産スピードに追従する必要があった。
特許文献2では種類の異なる3種類3層の電極触媒層を積層し水電解や燃料電池の性能向上を目的としている。しかしこの方法でも3種類3層であるがそれぞれの独立したスラリーで電極層を形成する思想である。独立した電極層を液膜塗布と粒子塗布で積層する思想は無い。少なくとも所望する薄膜で積層したり所望するスラリーの混合比でより均一な混合層を形成する思想も無い。又膜厚方向に比率を変える傾斜塗布例えば少なくとも1種類の触媒の比率が段階的あるいは連続的に変化する思想も無い。
【0007】
一方燃料電池のバックシートを剥離した15マイクロメートル以下更には10マイクロメートル以下の電解質膜のハンドリングと触媒塗布には繊細な注意が必要であった。溶媒は勿論のこと一般的な室内の温度や湿度雰囲気でさえ膨潤しやすいデリケートな電解質膜(PEM)であっても3層MEAのR to Rプロダクションの本格的な高速化に対応する必要があった。
【0008】
例えば燃料電池や水電解の電極形成のための電極触媒スラリーは1乃至3ナノメートル程度の所望するサイズの白金や白金合金、あるいはイリジウムや酸化イリジウムなどをカーボン粒子などに担持させ好ましくはカーボンを含む導電性の多孔質担体に担持させた触媒とアイオノマー溶液などと、水やアルコールなどの溶媒で分散させて一つの電極スラリーにして前湿度雰囲気でも膨潤し張力をかけると延びる電解質膜に塗布し乾燥して、必要により燃料電池ではカーボンペーパー等に水電解のアノード極ではチタンクロス等のGDLに積層し5層MEAが作成される。またはPTFE等の転写用フィルムに塗布し乾燥後PEMやGDLに熱圧着転写する方式を採用することができるがその場合熱圧着により特に燃料電池ではカソード極の理想的なポーラス電極構造が破壊され性能低下になっていた。
【0009】
燃料電池のカソード電極は酸素の流入と水の排出をスムーズに進める必要があるので一般的にポーラス構造が求められ、特に所望する部位ではマクロポーラス、メソポーラス、マイクロポーラスあるいはそれらの組み合わせが必要とされていた。またMEAの例えばNEDOの将来の目標からすると白金などの触媒の担持量を少なくしたうえで電極性能を現状の2倍以上にする必要があり大胆なブレイクスルーが求められていた。燃料電池車の電極層の膜厚は燃料電池車では3マイクロメートル程度の薄い膜厚のアノード電極層と10マイクロメートル程度のカソード電極が既存車として存在しそれがベンチマークになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたもので生産スピード向上と性能向上を併せ持つ電極形成や発電層形成等を行うことである。そのため高速ラインスピード達成が可能な方法例えばロールコート、ロータリースクリーンコートなどを含むスクリーンコート、低圧エアレススプレイノズルによるマイクロカーテンコートを含むカーテンコート、スロットノズルなどによる液膜塗布方法と、スプレイなど粒子発生手段による粒子塗布を併用してそれぞれの長所を組み合わせることにある。そのためスロットノズル等による高速でかつ液膜単独の塗膜形成だけより電池等の性能を向上につながる。電極触媒は液膜塗布でも粒子による塗布でも本発明では複数の同種や異種のスラリーを使用することもできる。また同種のスラリーであっても粘度や固形分を変更して性能を向上できるので異種の触媒や電極スラリーとして扱うこともできる。
更に本発明では水の移動に適したアイオノマーとイオン移動適性が良いアイオノマーからなるスラリーの少なくとも二つのスラリーを別々の塗布装置で所望する比率で薄膜で積層または塗布直前で混合して塗布できる。前記アイオノマーの比率を電解質膜からGDLに向けて傾斜塗布することもできることになる。傾斜塗布等の所望する配合はアイオノマーだけでなく異種の触媒や担体等にも適用できる。また一種類のアイオノマー溶液を触媒等を変更し二種類以上の触媒スラリーにすることができる。二種類の場合片方は溶解力の高いアルコール等で更に希釈して担体や触媒粒子が凝集しないように固形分を下げた触媒スラリーにし、片方は粘度や固形分を調整してあるいはそのままの粘度のままで電極スラリーにして積層や塗布直前で混合塗布ができる。また本発明では触媒やアイオノマーを容積比または重量比で膜厚方向に傾斜的に配置または混合させることができるので複数の塗布装置を用意できる。例えば同じ種類の装置を少なくとも2つ、あるいは種類の異なる装置を少なくとも2つにして液膜塗布と粒子塗布にして組み合わせることができる。
【0011】
また本発明では液状材料を液滴にする場合平均液滴径が200マイクロメートルを超えて塗布する場合液膜塗布と同じ扱いにし、平均粒子径が200マイクロメートル以下の粒子の場合粒子塗布として扱う。平均粒子径は球形に換算した粒子径とすることができる。例えばディスペンサーやインクジェット更にはスプレイの粗粒子の液滴を平均粒子径200マイクロメートル以上にして塗布し、例えばそれらの液滴や連続した細い液状流を別の一般的なスプレイ法例えば超音波や圧縮ガス等で微細化し200マイクロメートル以下好ましくは平均粒子径を100マイクロメートル以下の粒子にして更には微粒子製造手段等を選択して例えば10マイクロメートル以下の平均粒子径にして積層塗布できる。前記液滴は対象物に付着後対象物の表面張力が高いとレベリングしやすく、更に液体の表面張力が低いと結合して液膜にできる。尚、対象物の表面張力はコロナトリートメントやプラズマトリートメント、フレームトリートメント等で高くすることができる。また対象物上の液滴は圧縮気体などのエアフローやロールなどで引き延ばし連続した薄い液膜にすることもできる。
本発明の燃料電池や水電解の電極は少なくとも一つの液体は触媒を含むスラリーを選択し、触媒を含まない一つ以上の液体との積層や塗布直前の混合で所望する触媒や電極材料の比率で電極を形成することができる。
また本発明の電極等形成工程で所望する比率で液体に気体を分断したバブルやマイクロバブルとして混入させることができる。マイクロバブルを含むバブル混入は燃料電池電極に特に好適であり、色素増感太陽電池等の次世代太陽電池の発電層や二次電池の電極の所望する部位に微細なバブルを含むスラリー等を所望する比率で混合して塗布し微細にフォーム化した密度の比率を途膜の厚み方向に連続的あるいは段階的に変える傾斜塗布ができる。特にリチウム電池の電極形成に効果的である。マイクロバブル等のガスは除湿した方が望ましく、空気、窒素ガス、アルゴンガス等から選択できる。特に燃料電池のカソード極に効果的である。電極スラリー等へのバブルの混入は泡を含んだスラリーの流路内移動または循環をさせることで沈殿防止にも効果的がある。スプレイによりフォーム化した液体はスプレイ粒子内に更に微細なマイクロバブルを含み対象物に塗布できる。また燃料電池などのGDL等の対象物と接し圧着される箇所は接着力を高め気体の透過をしやすくするためナフィオンなどのアイオノマーのみまたはアイオノマーと他のポリマー接着剤との混合体の斑塗布が好ましく特に微細な泡を含むことが好ましい。特にGDLと接する箇所はアイオノマー或いは前記混合体の薄膜連続層より水の排出をスムーズに行うため斑でかつ密着力が優れたアイオノマー等のポリマー部位が好ましい。接着層は必要によりマイクロバブルを含んで施与し乾燥後水の移動に適した少なくとも貫通した多孔質になることが好ましい。また電極の表面及び内部の少なくとも一部は触媒あるいは触媒微粒子を担持した多孔質カーボンなどの担体とアイオノマーの構造体の所望する部位にマイクロ、メソ、マクロ等の空孔が形成されることが好ましい。
【0012】
本発明では液状流体の塗布全体に効果的であり固形分を有する液体を対象物に液膜により塗布し、次いで粒子発生装置による塗布で必要により液膜塗布層より薄膜で必要により複数層積層しあるいは必要により斑に塗布し積層し乾燥して高速で多目的塗膜を形成できる。
さらには濡れ性の悪い対象物には特に対象物と液体間に摺りが働くスロットノズルやロールコートで無理やり擦り付けるようにコートし。その上になじむように粒子塗布ができるので広範囲なアプリケーションに応用できる。そのため他分野例えばエレクトロニクスの基板や建材の塗装分野など広範囲に応用することもできる。
特に本発明は上記課題を解決できる方法として電極や発電層を形成できる。そして生産性と高性能化に富むので特長ある電極を備えた二次電池、電気二重層コンデンサ―等を含むキャパシター、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池やペロブスカイトタイプ太陽電池を製造できることにつながる。また燃料電池や水電解のMEAを製造できるので、特長のある燃料電池やPEM型水電解水素発生システムも製造することができる。
そのため本発明は以下の内容とした。
【0013】
本発明は電極形成方法であって、電極スラリーまたは電極用材料を対象物に液膜塗布装置により液膜塗布する工程と、粒子発生装置による粒子で積層塗布する工程または電極用粉粒体または電極用短繊維の塗布装置で積層塗布する工程と、乾燥する工程とにより電極を形成することを特徴とする電極形成方法を提供する。
【0014】
本発明は複数の電極スラリーまたは電極用材料を用意する工程と、該電極スラリーまたは電極用液状材料は対象物に液膜塗布装置による液膜塗布する工程と、粒子発生装置による粒子での積層塗布または電極用粉粒体または電極用短繊維の塗布装置で積層塗布する工程と、前記電極スラリーまたは電極液状材料の、液膜塗布装置用と粒子発生塗布装置用とは種類または粘度が異なることを特徴とする電極形成方法を提供する。
【0015】
本発明の前記液膜塗布はスロットノズル、ロールコーター、スクリーンコーター、低圧エアレス液膜コーターから少なくとも一つを選択し液膜塗布する工程と、粒子塗布は電極スラリーまたは電極液状材料の粒子発生装置による粒子または電極用粉粒体または短繊維の塗布を選択する工程と、前記粒子発生装置による塗布または電極用粉粒体又は短繊維の塗布は前記液膜塗布装置による液膜塗布膜の溶媒が残る液膜塗布層の上から粒子又は短繊維を衝突させ該液膜厚方向に電極用粉粒体または短繊維を潜り込ませながら積層塗布する工程とにより電極を形成することを特徴とする電極形成方法を提供する。
【0016】
本発明は電極の製造方法であって、電極スラリーまたは電極液状材料を対象物に液滴発生装置により平均液滴直径が200マイクロメートル以上の液滴による塗布と前記液滴直径より粒子発生装置による粒子の平均粒子直径が小さい粒子を積層塗布し塗膜を形成し乾燥して電極を形成することを特徴とする電極形成方法を提供する。
【0017】
本発明の前記電極は二次電池用、燃料電池用、水電解用、キャパシター用または太陽電池用発電層から選択することを特徴とする電極形成方法を提供する。
【0018】
本発明の前記粒子発生用スラリーまたは液状材料は膜電極アッセンブリー電極用触媒スラリー、二次電池用活物質スラリー、電極用ポリマー溶液、導電助剤ディスパージョンのなかから少なくとも一つを選択し積層塗布することを特徴とする電極形成方法を提供する。
【0019】
本発明は膜電極アッセンブリーの製造方法であって、対象物を電解質膜、ガス拡散層、転写フィルムのなかから少なくとも一つを選択する工程と、電極触媒スラリーまたは電極液状材料を液膜塗布装置による液膜塗布と粒子発生装置による粒子塗布により積層する工程と、少なくとも粒子による塗布時前記対象物を加熱する工程とにより電極層の厚み方向の少なくとも一部に多孔質の電極を形成する工程とからなることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法を提供する。
【0020】
本発明は触媒微粒子及び触媒微粒子を担持した触媒担体用粒子または短繊維を含む少なくとも二種類の電極触媒スラリーを作成する工程と、少なくとも二種類の電極触媒スラリーを独立した少なくとも二つの塗布装置で対象物に積層塗布するまたは塗布直前で混合して積層塗布し乾燥して電極を形成する工程とからなることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の前記少なくとも二種類の電極触媒スラリーの触媒は、微粒子の貴金属、貴金属酸化物、貴金属との合金のなかから少なくとも一つを選択し、多孔質担体に担持し前記少なくとも二種類の電極スラリーの触媒の含有率が異なることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法を提供する。
【0022】
本発明の前記少なくとも二種類の電極触媒スラリーは、アイオノマーの種類または固形分が異なることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法を提供する。
【0023】
本発明の前記対象物に塗布する液状材料は少なくとも触媒とアイオノマー溶液と溶媒からなる少なくとも一種類のスラリーと、少なくとも一種類のアイオノマー溶液と、少なくとも一種類の撥水性微粒子または短繊維を含むディスパージョンと、少なくとも一種類の溶媒とから、少なくとも二つを選択し、独立した少なくとも二つの塗布装置で対象物に積層塗布または塗布直前で混合して塗布し乾燥して電極を形成してなることを特徴とする膜電極アッセンブリーの製造方法を提供する。
【0024】
本発明は膜電極アッセンブリーであって、一種類または複数種の電極触媒スラリーをスロットノズル装置とスプレイ装置または粒子発生装置で加熱吸着した電解質膜の少なくとも片面に積層塗布して乾燥し少なくとも片側の電極の膜厚方向の少なくとも一部にメソポア及びマクロポアを形成することを特徴とする膜電極アッセンブリーを提供する。
【0025】
本発明は膜電極アッセンブリーであってガス拡散層と接する電極界面には電極触媒が担持された担体とアイオノマーとを混合した海島構造の海が存在し、その上または隣にアイオノマー溶液または容積比でアイオノマーリッチの電極触媒スラリー、またはアイオノマーに接着性ポリマーまたは粘着性ポリマーまたは接着剤粉体を混合した接着性の高い島が存在するように点在塗布し、または接着剤または粘着剤を島となるように点在塗布または短繊維にして塗布し、前記海構造層とで前記電極表面とガス拡散層を密着させることを特徴とする膜電極アッセンブリーを提供する。
【0026】
本発明の前記接着性ポリマーまたは粘着性ポリマーはアイオノマー溶液に溶解しにくいことを特徴とする膜電極アッセンブリーを提供する。
【0027】
本発明は膜電極アッセンブリーであって、電極の外側の周縁である電解質膜または前記周縁部位と対峙するサブガスケットの少なくとも一部にアイオノマー溶液またはアイオノマーと接着剤の混合体、または接着剤、接着テープ、粘着剤から選択した少なくとも一つを施与し接着層を形成し、該接着層の周囲または電極から離れた接着層の少なくとも一部に熱可塑性接着剤または粘着剤または紫外線硬化型樹脂を塗布してサブガスケットと電解質膜との接着を短時間で行うことを特徴とする膜電極アッセンブリーを提供する。
【0028】
本発明は燃料電池または水電解装置の製造方法であって、少なくとも一種類の電極触媒スラリーを独立した少なくとも二つの装置で電解質膜に液膜塗布装置で液膜塗布し、粒子発生装置で粒子塗布することにより積層し乾燥して電極を形成してなることを特徴とする燃料電池または水電解装置の製造方法を提供する。
【0029】
本発明は長尺の電解質膜を加熱吸着ロール又はベルトで加熱吸着して移動して、少なくとも片側の電極形成は少なくとも一種類の電極触媒スラリーをスロットノズルで塗布し、次いで電極触媒スラリーを粒子発生装置で粒子を積層し乾燥することにより電極を形成してなることを特徴とする燃料電池または水電解装置の製造方法を提供する。
【0030】
本発明は電極形成時にスラリーやディスパージョン等を塗布する燃料電池の電極形成、二次電池池やキャパシターの電極形成、有機薄膜大陽電池等の発電層形成等の性能向上、生産性向上、品質管理に特に効果的である。本方法によれば粘度がせん断力の高低でまたは経時的に変化する固形粒子や短繊維を含むスラリーやディスパージョン等の塗布を安定させるため移送する液体の単位重量当たりの時間を管理し、スプレイのパルス数の塗布重量を管理することで安定した塗布量を確保することができる。
【0031】
本発明では加熱して液状に流動するホットメルト接着剤やホットメルの粘着剤等あるいはホットメルトなどの樹脂分を含む溶液やそれに溶解しない固形粒子等を含有したスラリーの粘度を管理し対象物に吐出または塗布することもできる。また対象物に施与して目的物を完成するための製造方法として更には目的物まで対象とすることができる。
【0032】
本発明の適用分野は広範囲に、例えば医薬品、食品、肥料、ケミカル、半導体、エレクトロニクス、エネルギー分野等の広範囲な対象物や、製品の製造方法に好適に用いることができる。
液状流体は湿気硬化タイプポリウレタンホットメルト(PUR)やシリコーン系ホットメルトやペーストで最終的に反応する樹脂やその溶液を含む。前記ホットメルト樹脂などの溶融体や溶媒を付加した溶液には有機、無機、金属、金属酸化物等の固形粒子や短繊維を含んでも良い。以下本発明では金属を含む加熱溶融体も含めて吐出時流動して吐出できるものは液体あるいは流体として扱う。
粒子塗布装置は前記以外に連続的スプレイ、パルス的スプレイを問わずメルトブローンなどのマルチスプレイノズルやマルチヘッドによるスプレイ、細く長いスプレイパターンで移動方向に幅広い基材例えばプラスティックフィルム等と直交して配置し施与するスリットノズルによるスプレイが含まれる。更に本発明は単数或いは複数の微粒子発生装置で微粒子を発生させキャリヤガス等で連続的またはパルス的に移動させて塗布する方法も含まれる。微粒子は乾燥させながらパイプなどの内側を搬送させることができる。微粒子はウェット/ドライにかかわらず静電気で帯電させ対象物や対象物に液膜塗布した対象物上に局所的あるいは広い範囲に塗布することができる。更には真空内に導いて塗布あるいは成膜できる。また粒子を疎らにまたは斑に分散塗布ができる。さらには微細粒子を帯電させ対象物に塗布できる。またはウェット微粒子やキャリヤガスに溶媒蒸気等のガスを含む場合結露させながら必要により溶媒蒸気等等を帯電して結露量を増やしてて塗布することができる。必要により薄膜で面状に積層して造膜することで均一分布化に対応できる。本発明では本発明者が発明したベルトやロールなどの回転する物体へスプレイ流を至近距離で衝突させ微細化する、あるいは溶液やディスパージョン液面衝突させて微粒子化する更にはバブリング等で必要により超音波を付加して液面上に超微粒子を発生させることで通常のスプレイ手段によるスプレイ粒子より更に小さい10マイクロメートル以下、さらにはサブミクロン以下の超微粒子を発生できる。それらを直接またはキャリヤガス等で連続的またはパルス的に移送し更には静電気、磁力、結露、音波、振動波を付加して、更には真空下に導くなどの付加手段を用いることで薄膜の疎ら塗布や塗膜を形成できる。なお本工法は単独でも特に薄膜形成が可能であるので単層または積層塗布することができる。積層塗布は品質向上につながるので多くの分野に適用できる。スプレイやキャリヤガスでの移動時を含め、特に対象物への噴出時、粒子の移動をパルス的にインパクトを持たせて行うことで特に凹凸部の対象物への塗着はより効率的に行える。通常は静電気で帯電させると凸部のみに粒子が集中し特に凹部の奥には付着しにくくなるがインパクトを持ったパルス流で凹部への付着も可能にする。特に本発明では粒子や短繊維を含むディスパージョンやスラリーのハンドリングと塗布に効果的であるので燃料電池、全固体電池を含む二次電池、キャパシター、太陽電池等の電極形成に効果を発揮できる。或いは本発明の液膜塗布の一種であるエアレススプレイノズルから液圧200乃至600kPa程度の比較的低圧でスプレイすることで所望する液膜を形成して液膜を対象物に塗布するマイクロカーテンコートも提供できる。またインクジェットやディスペンサーノズルで点状あるいは細長い線状のビード塗布をしても良くそれに圧縮気体を吹き付け更に微細粒子にして塗布しても良い。連続または間欠的に相対移動する対象物への連続塗布または間欠の所望する長方形電極パターンの塗布ができるスロットノズルは高速生産が可能であるが単独では一般的な電極スラリーを用いてのメソポアまたはマクロポアのポーラス電極形成には不向きである。
本発明では一種または複数種の液状流体を用いて複数の吐出口を備えたスロットノズルにより触媒スラリーを電解質膜などに塗布することができる。単数吐出口では面塗布用シムと細かい短冊状のシムを選択でき面状の電極や細かい複数のストライプ幅の電極を形成できる。複数の吐出口ではそれらを組み合わせて凹凸のある電極を形成できる。更にその上に粒子による塗布を行うことで微細な凹凸が付加されるので表面積を更に広くでき所望するポーラス電極の形成さえできる。このようにスロットノズルと粒子施与装置を組み合わせた積層塗布方法は燃料電池や水電解以外の電池の電極形成 例えばキャパシター、全固体電池を含む蓄電池等の二次電池全般更にはセラミックスをコーティングするリチウムバッテリー用セパレーターや全固体電池の電解質層形成にも好適に使用できる。
【0033】
本発明はこれらの抱える課題を解決できるので、電極形成時にスラリーやディスパージョン等を塗布する燃料電池や水電解の電極形成、二次電池やキャパシターの電極形成、太陽電池の発電層の形成等の品質管理に特に効果的である。本発明者の発明である特許5840959号のミリグラム単位の塗布重量まで計測できる方法を併用することで経時的に粘度変化する材料であっても安定した塗布量を確保することができる。もちろんのこと流量測定に好適な液体や粉体はそれらに適した装置を用いたら良い。
【0034】
微粒子はウェット/ドライにかかわらず静電気で帯電させ導電性のある対象物に局所的あるいは広い範囲に塗布することができる。更には真空内に導いて対象物に衝突させ付着あるいは成膜できる。大気圧やキャリヤガス濃度が高い配管中や真空へ解放直後ではガスをイオン化し粒子を静電気的に帯電させることができる。そのため対象物に超微粒子まで付着できるので密な塗布ができる。さらにはウェット、ドライにかかわらず微細粒子を対象物面で結合させながら必要により積層して面状に薄膜で造膜させることができるので高速生産に対応できる。本発明ではベルトやロールなどの回転する固い物体へスプレイ流を至近距離で衝突させることで微粒子を発生できる。あるいは低粘度の低固形分の液体をバブリングシステム等で超微粒子を発生させることで通常のスプレイ手段によるスプレイ粒子より更に小さい10マイクロメートル以下、さらにはサブミクロン以下の超微粒子を発生できる。発生した微粒子を直接またはキャリヤガスや溶媒蒸気を含むキャリヤガス等で移送し必要により静電気、磁力、対象物直前での衝撃パルス波、対象物直前での振動パルス波、対象物への結露の少ななくとも一つの付加手段を選択して対象物に付着または堆積できる。更には真空下に導いて対象物に付着または堆積できる。そのため薄膜積層等で成膜をする方法を提供できることになる。対象物には溶媒や固形分を含む液体や、粉体などが事前に塗布されていて良く、成膜していても良い。スプレイ粒子や微粒子のキャリヤガスでの移動は前記付加手段を少なくとも一つを選択しガスや微粒子の移動をパルス的に行うことで特に凹凸部の対象物への所望する塗着はより効率的に行える。そのためこの方法は単独で多目的分野に行うこともできる。特にこの方法は微粒子や短繊維を含むディスパージョンやスラリーのハンドリングと塗布に効果的であるので燃料電池、全固体電池を含む二次電池、キャパシター等の電極や太陽電池等の発電層形成に効果を発揮できる。さらには高速性と機能性を向上する目的の分野例えばエレクトロニクス基板製造分野などの他のコーティング分野に好ましく適用できる。またインクジェットやディスペンサーノズルで点状あるいは細長い線状のビード塗布をしても良いが、それ等に超音波や圧縮気体を吹き付けるなどの付加手段で更に微細粒子にして塗布しても良い。連続または間欠的に相対移動する対象物への連続または間欠の所望するパターンの面塗布を行うスロットノズルは高速の処理が可能である。スロットノズルは面塗布だけでなく多くの細いストライプ状に塗布することができる。
更に一種または複数種の液状流体を用いて複数の吐出口を備えたスロットノズルまたは複数のスロットノズルで積層塗布するまたは面塗布シムと開口の細い多くの短冊シムを組み合わせることで表面積の大きい凹凸のコーティングを形成できる。その上にスプレイ等の粒子発生装置で塗布することで更に微細な凹凸を形成できる。本発明では液膜塗布、粒子塗布の積層順位、回数は問わない。少なくとも電極用活物質粒子とポリマーの積層塗布方法も可能である。更にはスロットノズルなどによる液膜塗布と粒子施与装置を組み合わせた積層塗布方法は電池の電極形成例えば燃料電池、キャパシター、全固体電池を含む二次電池全般の電極形成、更には全固体電池の電解質層形成、ペブロスカイト太陽電池や色素増刊太陽電池等にも好適に応用できる。
【0035】
また本発明では粒子化工程に使用する圧縮気体や液状材料に混入させるため安価な除湿した空気や不活性ガスである窒素ガス等を対象物に塗布するまでの間に混合し施与できる。特に水分を好まない二次電池などの例えば硫化物系二次電池特に全固体電池用電極用スラリーや電解質層用スラリー、更にはペロブスカイト太陽電池等の発電層材料には必須の極低湿度例えば露点温度マイナス50℃以下好ましくはマイナス90℃以下の空気や窒素ガス、アルゴンガス単体或いは他のガスも含めガス同士を混合して適用できる。液状材料のまま更には液状材料をフォーム化して液状材料の凝集力を低下させ圧縮ガスを衝突させて粒子化しやすくしたり、粒子化をサポートするアシストガスとして使用できる。また液状材料を除湿気体でフォーム化することで以下の効果を期待できる。スラリーなどの分散を安定させることができる。含有するポリマーなどの凝集力を低下させてスロットノズルやスプレイで塗布しやすくすることができる。液状材料をフォーム化することで所望する部位に微細な所望するポーラス構造を形成することもできる。この方法は性能向上と生産スピード向上を兼ね備えた電池の電極形成に特に効果的である。特にフォーム化することは塗膜のポーラス形成だけでなく燃料電池、二次電池、スーパーキャパシターなどの電極などのスラリーの沈殿防止や分散サポートとして効果的でありスラリーの更にはポリマーなどの凝集力を低下せることができるのでスプレイには特に効果的である。
またスラリーやディスパージョン内の超微粒子の分散に特に効果的である。二次電池特に全固体電池の硫化物系電解質層や電極、水分を好まない太陽電池用発電層液状材料等をフォーム化したり圧縮気体によるスプレイなどの粒子化させる気体には除湿空気、更に好ましくは除湿窒素ガス、除湿アルゴンガス等を選択することが肝要である。
【0036】
以上を要約すると液膜塗布で塗着効率を高め、生産スピードを速くし、粒子塗布で所望する例えば微細な凹凸を形成し特に燃料電池や水電解MEA内部にマイクポア、メソポア、マクロポアなどを形成することができる。そして液膜塗布だけより乾燥スピードを速くできる。そのためそれぞれの特長を生かした積層塗布ができる。
【発明の効果】
【0037】
上記のように例えば燃料電池や水電解のMEA製造、二次電池や次世代二次電池である例えば全固電池の電極形成や全固体電池電解質層形成、キャパシターの電極形成、太陽電池の発電層形成等に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施の形態に係るロールto ロールシステムで移動する対象物に液膜塗布の代表的なスロットノズルによる塗布と粒子塗布による積層塗布の略図である。
図2】本発明の実施の形態に係る燃料電池のMEA製造の為のロール to ロールシステムの略図である。
図3】本発明の実施の形態に係る二系統の流体を一つのスロットノズルで下流に移動させる略断面図である。
図4】本発明の実地の形態に係る二系統の流体を下流に向けて別々に展開する略断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る二つの流体を独立して下流に展開するためのシムの配置略図である。
図6】本発明の実施の形態に係る液膜塗布層と粒子の塗布層の略図である。
図7】本発明の実施の形態に係るスロットノズルの通常シムと短冊シムによる組み合わせのフラット液膜と細かいストライプ膜による凹凸膜の形成のための略図である。
図8図7で作成した形状の上に粒子による塗布をした略図である。
図9】エアレススプレイノズルによる液膜塗布の上からスプレイ塗布を行っている様の略図である。
図10】ロールによる液膜塗布とスプレイ流をロールに衝突させ微粒子にして液膜塗布の上に積層している略図である。
図11】液膜塗布膜に粒子を衝突させ液膜内部まで粒子を侵入させながら積層している略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は発明の理解を容易にするための一例にすぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加、置換、変形等を施すことを排除するものではない。
【0040】
図面は本発明の好適な実施の形態を機略的に示している。
【0041】
図1において対象物(PEM)104は巻き出し装置4から巻き出だされ、ガイドロール151を経由して加熱吸着ロール3で吸着され加熱されて移動する。スロットノズル1で液体材料が液膜塗布される。塗布は対象物104に連続的に塗布されてよく複数の電極サイズの四角形、長方パターンで塗布されても良い。液膜塗布層は移動し粒子発生装置2で発生したスプレイ流9等の粒子群により積層塗布され更に移動する。スロットノズル1での対象物104への塗布はバックシート付PEM(対象物)104は加熱吸着ロール3から図示しないフリーロール等を使用し離して対象物が加熱吸着ロールに接触しないオフロールポジションで塗布し次いで加熱吸着ロール3に接することもできる。また粒子発生装置による塗布直前で対象物104を加熱吸着ロール3に接触させるようにすることもできる。目的はスロットノズル先端への熱伝導を少なくしノズル先端部の液状材料の溶媒乾燥を防止しストリーク(大きな粒子や凝集物等による引っかき傷による塗膜面の未塗布筋)の発生防止と塗膜状態を均一にするためである。加熱吸着ロール3上の対象物104上の塗布層は移動しながら溶媒を揮発させクリーンペーパーなどのポーラスシート巻き出し装置5でポーラスシート105を送り出し対象物104塗布面に積層してガイドロール106を経由して巻取り装置6で巻き取られる。
加熱吸着ロールは対象物が電解質膜(PEM)の時移動方向の膨潤を防ぐので特に効果的である。対象物が二次電池の集電体等の金属箔の場合は張力をかけた加熱のみのロールでも良いが、溶媒の気化熱での冷却の影響を少なくするには真空等で強力にロールに吸着させ基材へのロールからの熱伝導を促進させるべきである。また本発明では仮にスロットノズルで未塗工筋が発生しても粒子塗布でその部分をカバーすることができる。
【0042】
図2において図1での対象物を燃料電池のバックシー付きPEM(電解質膜)とすると電極が塗布された対象物204はポーラスシート等で電極が保護され巻取られている。巻き出し装置24から送り出されガイドロール201を経由して加熱吸着ロール23側からポーラスシート、電極、電解質膜、バックシートの順で加熱吸着ロール23に吸着され移動してガイドロール220でバックシート28は剥離されバックシート巻取り装置230で巻き取られる。片側に電極が形成されたPEM204は加熱吸着ロール23で加熱吸着されながら移動し予め形成された電極の反対側のPEMにスロットノズル21で反対極の電極スラリーが液膜塗布され更に進んで粒子発生装置22の粒子で積層塗布される。反対極の電極形成は触媒の担持量が少ない場合は粒子塗布のみでも良い。スロットノズル21では所望するサイズの電極の周囲に周縁を形成できる。粒子発生装置22でシャープな電極パターンと周縁を得たいときはマスクフィルム27を電解質膜と一緒に移動させてシャープな形状の電極と周縁を得ることができる。マスク27は電解質膜の両端に細い安価なテープを配置して両端のみにシャープな未塗工部を形成でき、電解質膜の移動方向と直交して粒子塗布する塗布装置では飛び散りを少なくして未塗工部を形成できる。電極塗布面には新しいポーラスシート250をポーラスシート巻き出し装置25で送り出し積層できMEA巻取り装置26で巻き取ることができる。その際ポーラスシートは他の基材例えばフィルムでも良い。フィルムは使用済みのバックシートなどで良い。その際反対極をカバーしたポーラスシート205は巻取り装置270で巻き取ることができる。図1でポーラスシートの代わりにフィルムを使用することができるが図2では新たにフィルムの剥離と巻取り及び新たなポーラスシートの巻き出しが必要になり装置が複雑になることからMEA製造方法としては合理的でない。
【0043】
図3はスロットノズルの略断面図であって、スラリー等の液体は循環流路351から自動開閉バルブ350を経由して循環流路352へと移動する。液体は自動開閉バルブ350の下流の流路353を経由してスロットノズル31へ移動し図示されていない対象物に塗布される。スロットノズル31の上部ブロック31aと下部ブロック31bと図示されていないシムで形成するスロットノズル31幅方向の開口と自動開閉バルブの開閉で移動する対象物上に液体のパターン塗布ができる。
別の自動開閉バルブ360に同種又は異種の液体を供給しスロットノズル31内で液体を合流させ塗布することもできる。
【0044】
図4はスロットノズル41の略断面であるが開口流路410、430が独立している構造である。上ブロック41aと下ブロック41bの間に間仕切りのためのプレート420を設けてその間にシム476,477を挿入することで独立したスロットノズルの開口部を形成している。シム開口流路430は流路453から下段のシム部開口流路470とセパレートプレート(セパレーター)の開口部480を経由して上段のシム477の開口流路430に到達する。同じような構造にすることで開口流路は3つ以上にすることができる。そのためスロットノズルのそれぞれの液体吐出開口から同種又は異種のスラリー等の液体を対象物に分配して塗布できるし、必要によりスロットノズル出口で混合し塗布できる。
【0045】
図5図4のシムとセパレーターの詳細を図示している。
下段シム510は液溜溝512が加工されたスロットノズル下ブロック51bとセパレーター520で挟みスロットノズル吐出口開口へつながるシム開口流路532が形成され液体は所望するスロットノズルの流量で吐出され対象物に塗布される。一方セパレーター520と上段シム530は図示しないスロットノズル上ブロックで挟まれ、上段シムに加工された短冊状の複数の細長い流路から液体は吐出され対象物上で複数の細いストライプパターンを形成できる。。上段シム530へは下段シム流通路とセパレーター520の開口部521を液体は経由する。
シムとセパレーターを増やすことで所望する複数の開口部を有するスロットノズルの出口を形成できる。異種の液体でも層状に何層にも塗布できるしヘッド出口と対象物間のギャップを狭くしたり出口で混合しやすい構造にし、それぞれの液体を電動式の容積式ポンプで押し出すことで所望する比率の混合体として塗布できる。またシムの形状は限定するものでない。また複数の短冊状シムを選択する場合開口の位置は互い違いの位置でも良い。また液体は単一でも複数種でも良く所望する種類と数の液体をそれらの流路から吐出できる。一般の溶融体の塗材や接着剤を使用することもできる。
【0046】
図6の対象物64に液膜塗布した液膜塗布層601と粒子発生装置による粒子塗布層602及び603が積層されている。液膜塗布と粒子による塗布の順番は順不同で良くそれぞれの塗布層総数も限定するものでない。
【0047】
図7の対象物74にフラットな液膜72で塗布し、短冊シムによるストライプ液膜702で積層した略断面図である。膜厚やストライプ幅や凹凸の間隔は限定するものでない。ふらl液膜が乾燥前にインパクトを持って特にパルス的に粒子塗布をすると粒子を液膜内に侵入させかつ表面積を広くすることができる。また液膜を乾燥させながらあるいは乾燥させたのち凹凸の塗膜の上にインパクトを持ったパルス的スプレイをすることで粒子塗布を行うと凹部まで塗布ができ表面積を更に広くすることができる。
【0048】
図8は対象物84上に液膜塗布された層801と凸膜を形成したストライプ層802により液膜での凹凸膜が形成されている。図示していない粒子発生装置によりその上に粒子により積層した塗膜層803が形成されている。凹凸塗膜面に追従させ積層を希望する場合微粒子でインパクトパルス的な塗布を行うことで目的を達することができる。フラットな液膜層801を省いて液膜によるストライプ層と液膜塗布しない対象物の上に粒子塗布をすることもできる。
【0049】
図9の対象物94の移動方向と直交して液体を液膜塗布装置902をトラバースさせマイクロカーテン流909を形成させながら液膜塗布をし、次いでスプレイヘッド92a、92bを同じく対象物930の移動方向と直交してトラバースしパルス的にスプレイ流99a、99bで塗布し積層できる。スプレイ用液体は液膜用液体に対し異種でも同種でも良く積層順位を限定するものではない。また積層順番はスプレイ、液膜、スプレイでも良いが液体がスラリーで液膜塗布の場合液膜スプレイ流の両端の流量が多くなる傾向になるので塗膜を圧し潰しながら積層することもできる。その場合でもスプレイ粒子にインパクトを持たせたインパクトパルス工法が塗着効率の面からも好ましい。
【0050】
図10において移動する対象物134にチャンバーの液体121を回転するロール103とスクレーパー120の間で液膜を設けたロールに付着した液体を対象物に擦り付けて対象物に液膜塗布層131を形成している。本発明ではロールコートの種類を問わない。またロールへの材料供給方法も複数のロールに転写を繰り返して塗布しても良く限定するものでない。液膜上に粒子発生装置102で液体を粒子にして塗布し積層132することができる。。粒子発生装置102はスプレイ流109で直接塗布でき、スプレイ流を回転するロール103外周に衝突させて更に微粒子化し微粒子化流110を塗布しても良い。対象物の134の移動方向の下流に対象物に近接し循環移動するロールやベルト等を設けてスプレイ流を抑え込みながら塗布し塗着効率を上げることができる。また簡易なガイドカバー141を設けて粒子飛散を抑えることができる。対象物が導電性の場合粒子を静電気的に帯電して塗布することができる。特にロールやベルトを用いる方法は分速20メートルを超えるスピードの長尺の対象物例えば金属の集電体や二次電池のセパレーターのセラミックスコーティング等に効果的であり、特に微粒子は静電気的に帯電させパルス的にインパクトを持たせて塗布すると比較的早いスピードの風の流れにも影響されにくいのでで良い。またそれ等より遅いスピードの電解質膜やGDLへの電極を含む各種コーティング剤の積層にも当然のことながら効果的である。
【0051】
図11において対象物164とスロットノズル(液膜塗布装置)161及びスプレイノズル(粒子発生装置)162は相対移動している。対象物164が長尺のPEMや集電体等の場合対象物が移動するのが一般的である。スプレイノズルは対象物の移動方向と直交してトラバースし塗布しても良い。あるいは少なくとも一つの広幅のスリットノズルによるスプレイで基材164と直交して固定配置し瞬時に全幅に塗布することができる。基材164にスロットノズル161で液膜塗布し液膜塗布層181を得る。液膜181の上からスプレイノズルなどの粒子発生装置162で粒子をスプレイしスプレイ流169の粒子が液膜に潜り込みながら塗布され塗布層182を形成できる。液膜塗布層に至近距離でパルス的にスプレイするとインパクトが得られるので粒子の潜り込みはより効果的である。スロットノズルは他の液膜塗布装置例えばロールコーターやロータリースクリーンコーターや枚葉式スクリーンコーター等で良く、粒子発生も超音波スプレイやインクジェット等やそれを微粒子化した粒子あるいは単一または移動方向に複数配列した循環移動するスクリーンに充填した液体を圧縮気体等で押し出して粒子化して塗布しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば燃料電池、水電解、キャパシター、太陽電池、二次電池等の電極形成などの実験用装置から大型生産ラインで大量に成果物を生産する場合であっても高品質のもとに製造できる 。
【符号の説明】
【0053】
1、21、31、41、 スロットノズル(液膜塗布装置)
2、22、92a 、92b、102 粒子発生装置
3、23 加熱(吸着)ロール
4、5、24、25,211 巻き出し装置
6、26、212、230、270 巻取り装置
27 マスク
28 バックフィルム
31a 、41a 上ヘッド
31b、 41b、51b 下ヘッド
64、74、84、94、134 対象物
103 ロール(ロールコーター)
104 、204 PEM(対象物)
105、205、 250 通気性基材
109 一次スプレイ流
110 二次スプレイ流(微粒子流)
106、260 MEA
72、131、601、702、801、931 液膜塗布層
132、602、603、803 粒子塗布層
151、152、201、202、 ガイドロール(ニップロール)
203、204、220
350、360 液体開閉バルブ
351、352 液体循環流路
353、363、453、463 液体流路
476、510 下部シム
477、530 上部シム
420、520 セパレートプレート
480、521 プレート開口流路
475 液溜溝
512、531 シム開口部
470 シム流通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11