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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044183
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152079
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 好久
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138AA07
3E138GA03
3E138MA02
3E138MB08
3E138MB10
3E138MB12
3E138MB20
3E138MC06
3E138MC13
3E138MD03
3E138MD05
(57)【要約】
【課題】 周囲に存在する車両又は人物を特定できる情報を記録できる車載装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、車載装置は、車両に搭載される。車載装置は、クロックとメモリインターフェースと無線通信部とプロセッサとを有する。クロックは、現在の日時を計時する。メモリインターフェースは、情報を記憶する記憶装置に接続する。無線通信部は、通信範囲内に存在する他の車両に存在する通信器から個人を特定可能な識別情報を取得する。プロセッサは、無線通信部により取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とを対応づけて記憶装置に記憶する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
現在の日時を計時するクロックと、
情報を記憶する記憶装置に接続するメモリインターフェースと、
通信範囲内に存在する他の車両に存在する通信器から個人を特定可能な識別情報を取得する無線通信部と、
前記無線通信部により取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とを対応づけて前記記憶装置に記憶するプロセッサと、
を有する車載装置。
【請求項2】
当該車載装置を搭載した前記車両が受けた衝撃を検知する衝撃検知部を有し、
前記プロセッサは、前記衝撃検知部が衝撃を検知した場合に前記無線通信部が取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とを対応づけて前記記憶装置に記憶する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
当該車載装置を搭載した前記車両内に設けた記録釦を有し、
前記プロセッサは、前記記録釦が押された場合に前記無線通信部が取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とを対応づけて前記記憶装置に記憶する、
請求項1又は2の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項4】
当該車載装置を搭載した前記車両の周囲を撮影するカメラに接続するカメラインターフェースを有し、
前記プロセッサは、前記無線通信部が取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とに加えて前記カメラが撮影する前記車両の周囲の映像も対応づけて前記記憶装置に記憶する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
当該車載装置を搭載した前記車両の位置を検知する位置検出部を有し、
前記プロセッサは、前記無線通信部が取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とに加えて位置検出部が検知する位置情報も対応づけて前記記憶装置に記憶する、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記無線通信部は、前記他の車両内に存在する通信器としての携帯端末に搭載された運転免許証を管理するプログラムによって発信される前記識別情報を取得する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車や自動二輪車などの車両には、周囲の映像や音などを記憶するドライブレコーダと称する車載装置を搭載することが多くなってきている。ドライブレコーダは、設置した車両の周辺の映像を撮影し、撮影した映像を常時又は衝撃などを検知した場合に記憶装置に保存する機能を有する。ドライブレコーダが保存した映像は、例えば、交通事故などのトラブルが発生した場合にトラブル発生時の状況を確認するための映像として利用されることがある。
【0003】
しかしながら、ドライブレコーダが記録する映像だけでは、交通事故などのトラブルを起こした他の車両や他の車両を運転している人物を特定することが難しい場合がある。このため、車載装置としては、車両の周辺の映像や音だけでなく、交通事故や当て逃げなどのトラブルが発生した場合に、トラブルを引き起こした可能性がある他の車両や他の車両を運転していた運転者などを特定できる情報が記録できるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-020774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した課題を解決するために、周囲に存在する車両又は人物を特定できる情報を記録できる車載装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、車載装置は、車両に搭載される。車載装置は、クロックとメモリインターフェースと無線通信部とプロセッサとを有する。クロックは、現在の日時を計時する。メモリインターフェースは、情報を記憶する記憶装置に接続する。無線通信部は、通信範囲内に存在する他の車両に存在する通信器から個人を特定可能な識別情報を取得する。プロセッサは、無線通信部により取得する識別情報と前記クロックが計時する日時を示す情報とを対応づけて記憶装置に記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る車載装置が記録する情報によって他車の人物と特定するシステムの運用例を説明するための図である。
図2図2は、実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る車載装置が取得する識別情報としてのトークンを発信する通信器としての携帯端末の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る車載装置が他車から取得する識別情報としてのトークンを記録する処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、実施形態に係る車載装置11が取得する情報を用いて自車1に周辺に存在する他車2内の個人を特定する運用例について説明する。
図1は、実施形態に係る車載装置11が取得する情報を用いて自車1の周辺に存在する他車2内の個人を特定する運用例を概略的に説明するための図である。
図1に示す例においては、車両(自車)1が他の車両(他車)2に衝突した状況を模式的に示すものとする。実施形態に係る車載装置11は、車両1に搭載される。携帯端末12は、車両1と衝突したものとする他の車両(他車)2の運転者が所持する。携帯端末12は、運転免許証として利用されるアプリケーションプログラムとしてのモバイル運転免許証(mDL)12aが登録されている。
【0009】
車載装置11は、車両1に搭載される。車載装置11は、例えば、ドライブレコーダであっても良いし、車両1が備えるナビゲーション装置であっても良い。車載装置11は、所定の通信範囲Rに存在する通信器と通信する無線通信機能を有する。車載装置11が備える無線通信機能は、他車2内に存在する通信器から識別情報としてのトークンを受信する。車載装置11が備える無線通信機能は、車両1に接触又は接近した他の車両2が通信範囲R内となるように設計される。
【0010】
携帯端末12は、車載装置11が備える無線通信機能に対応する無線通信機能を備える通信器である。携帯端末12は、個人又は車両を特定するための識別情報としてのトークンを発信する通信器(発信装置)の一例である。例えば、携帯端末12は、mDL12aの機能として車載装置11が受信可能なトークンを出力する。
【0011】
なお、本実施形態においては、車載装置11が他車2から運転者又は他車2を特定するための識別情報としてのトークンを取得できるようにすれば良い。このため、トークンを発信する通信器は、車両に搭載され、トークンとして利用可能な信号を発信する発信器であっても良い。ただし、トークンを発信する通信器を運転者等の車両に搭乗する人物が所持する携帯端末に変えて車両に搭載される発信器とする場合、通信器は、当該車両を特定するための識別情報を発信するトークンを発信するものとしても良い。この場合、後述する公的機関3では、車載装置11に記録されたトークンから車両を特定することできる運用として実現できる。
【0012】
携帯端末12に搭載するmDL12aは、スマートフォンなどの携帯型の情報処理装置にインストールされる所持者の運転免許証情報を管理するアプリケーションプログラムによって実現される。携帯端末12に搭載するmDL12aは、携帯端末12の所持者の運転免許証として利用され、必要に応じて利用者の操作によって免許証情報を携帯端末12の表示部に表示させる機能などを備える。
【0013】
本実施形態において、携帯端末12の所持者は、運転者が車両の運転時に携帯すべき運転免許証として有効に設定されたmDL12を搭載した当該携帯端末12を所持しているものとする。携帯端末12に搭載するmDL12aは、運転免許証の発行時又は携帯端末12にインストールしたmDL12aを運転免許証として有効に設定(発行)する場合、携帯端末12の所持者に関する運転免許証に関する情報が情報管理サーバ4に登録される。
【0014】
携帯端末12は、mDL12aによって車載装置11が任意のタイミングを受信できる識別情報としてのトークンを出力する機能を備える。例えば、mDL12aを搭載した携帯端末12は、車載装置11からの要求に応じてトークンを発信する。また、mDL12aを搭載した携帯端末12は、所定周期で常時トークンを発信するようにしても良い。携帯端末12が発信するトークンは、そのデータ自体から直接的に個人又は車両を特定できる情報ではないものとする。例えば、トークンは、mDL12aを発行(登録)する場合に設定される任意の乱数や文字列などである。
【0015】
情報管理サーバ4は、個人が運転免許証を取得した場合、あるいは、携帯端末12のmDL12aに運転免許証として有効な情報を登録(又は更新)する場合、運転免許証の所持者を示すユーザ情報に対応づけて種々の情報を管理する。例えば、情報管理サーバ4は、ユーザ情報に対応づけて、識別情報としてのトークン、車両情報、過去の運転経歴、事故歴などの情報を記憶して管理する。
【0016】
トークンは、情報管理サーバ4が携帯端末12のmDL12aに運転免許証として有効な情報を登録する場合(mDLを発行する場合)、当該携帯端末12の所持者である人物を特定するための識別情報として発行される。トークンは、本人の個人情報を含まないように、任意の乱数や文字列などを用いて生成され、生成されたトークンがユーザ情報に対応づけて情報管理サーバ4に登録される。また、携帯端末12のmDL12aは、情報管理サーバ4にユーザ情報に対応づけて管理するトークンが設定(登録)され、トークンが設定された状態で運転免許証として利用可能となるものとする。
【0017】
公的機関3は、車載装置11が記録したトークンから当該トークンの発信元である携帯端末12の所持者(あるいは車両2)を特定する。公的機関3は、例えば、車載装置11に記録された情報に基づいて、交通事故などのトラブルにおける事実関係を調査する警察などの機関である。車載装置11は、他車2の携帯端末12から取得したトークンと日時を示す日時情報とを対応づけて記録する。車載装置11が記録した情報は、必要に応じて公的機関3に報告される。公的機関3は、情報管理サーバ4に問い合わせることにより、車載装置11が記録したトークンの発信元である携帯端末12の所持者(あるいは他車2)を特定する。
【0018】
次に、実施形態に係わる車載装置11の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る車載装置11における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
図2に示す構成例において、車載装置11は、プロセッサ21、システムメモリ22、クロック23、近距離無線通信部24、衝撃検知部25、位置検出部26、表示部27、操作部28、記録釦29、カメラインターフェース(I/F)30、メモリインターフェース(I/F)31、および、メモリデバイス32などを有する。
【0019】
プロセッサ21は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。システムメモリ22は、車載装置11が動作するための各種のメモリを含む。クロック23は、現在の日時を計時する。
【0020】
システムメモリ22は、例えば、プロセッサ21が実行するプログラムや制御データなどを記憶するROM(Read Only Memory)などの不揮発性のメモリを含む。システムメモリ22は、データを一時的に保持するワーキングメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)などのメモリを含む。システムメモリ22は、設定情報などの各種のデータを記憶するNVM(Non Volatile Memory)などの書き換え可能な不揮発性のメモリを含む。
【0021】
これらの構成により、プロセッサ21は、システムメモリ22を用いてプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。ただし、後述するようなプロセッサ21が実行する各種の機能のうちの一部又は全部は、ハードウエア回路により実現されるようにしても良い。
【0022】
近距離無線通信部24は、携帯端末12と通信する通信インターフェースである。近距離無線通信部24は、当該車載装置11から所定の通信範囲にある通信器としての携帯端末12からトークンを受信する。近距離無線通信部24は、所定の通信範囲内に存在する他の車両2内にある通信器としての携帯端末12が発信するトークンを任意のタイミングで受信できるものであればよく、特定の通信方式に限定されるものではない。例えば、近距離無線通信部24は、ブルートゥース(登録商標)などにより近距離無線通信を行うものであっても良い。
【0023】
衝撃検知部25は、当該車載装置11を搭載した車両1が衝撃を受けたことを検知する。衝撃検知部25は、加速度センサなどを用いて車載装置11又は車両1に与えられた衝撃を検知するように構成する。また、衝撃検知部25は、車両1が衝撃を受けたことを検知した場合に車両1から衝撃を受けたことを示す信号を取得するインターフェースで構成しても良い。衝撃検知部25が衝撃を検知すると、プロセッサ21は、当該車両1の周囲(所定の通信範囲内)に存在する他車2からトークンを取得し、取得したトークンをクロック23が計時する日時、位置検出部26が検知する現在位置、カメラ13が撮影する映像などと共にメモリデバイス32に記録する。
【0024】
位置検出部26は、当該車載装置11又は当該車載装置11を搭載した車両1の位置を検知する。位置検出部26は、当該車載装置11の位置を検出するGPSなどのシステムで構成する。また、位置検出部26は、車両1から位置を示す情報を取得するインターフェースで実現しても良い。
【0025】
表示部27は、プロセッサ21の制御に応じて種々の情報を表示する表示装置である。操作部28は、操作者が操作指示を入力するためのデバイスである。表示部27および操作部28は、ユーザインターフェースとして機能する。例えば、表示部27および操作部28は、タッチパネル付の表示装置によって構成される。また、表示部27は、動作状態などに応じて点灯するLEDを含むものであっても良い。また、操作部28は、ハードキーなどを含むものであっても良い。
【0026】
記録釦29は、周囲に存在する他車2から取得するトークンの記録を指示するボタンである。記録釦29は、車両1内の人物が指示するボタンである。車両1内の人物は、周囲に存在する他車2を記録したい場合に、記録釦29を押す。記録釦29が押されると、プロセッサ21は、当該車両1の周囲(所定の通信範囲内)に存在する他車2からトークンを取得し、取得したトークンをクロック23が計時する日時、位置検出部26が検知する現在位置、カメラ13が撮影する映像などと共にメモリデバイス32に記録する。
【0027】
カメラインターフェース30は、カメラ13が接続される。カメラ13は、車載装置11に一体的に設けられたものであっても良いし、車載装置11の外部に設けられたものであっても良い。カメラ13は、車両1の周囲の映像を撮影する。カメラ13が撮影する映像は、常時メモリデバイス32に記録されるようにしても良いし、衝撃検知部25が衝撃を検知した場合あるいは記録釦29が押された場合にメモリデバイス32に記録されるようにしても良い。
【0028】
メモリインターフェース31は、記憶装置としてのメモリデバイス32を接続するインターフェースである。メモリデバイス32は、随時、書き込みおよび書き換えが可能な不揮発性のメモリである。メモリインターフェース31は、メモリデバイス32に対応するインターフェースであれば良い。例えば、メモリデバイス32は、車載装置11に対して脱着可能なメモリカードなどの記憶装置であっても良い。メモリデバイス32は、車載装置11に内蔵する記憶装置であっても良い。
【0029】
次に、実施形態に係わる車載装置11が受信するトークンを発信する通信器としての携帯端末12の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る車載装置11が受信するトークンを発信する通信器としての携帯端末12の構成例を示すブロック図である。
携帯端末12は、オペレーティングシステム(OS)上で種々のアプリケーションプログラムが実行される携帯型の電子装置である。例えば、携帯端末12は、スマートフォンあるいはタブレット端末などの携帯型の情報処理装置である。携帯端末12は、本人の運転免許証情報を登録したmDL12aを搭載する。携帯端末12は、mDL12aによって車載装置11が任意のタイミングで取得できるトークンを発信する。
【0030】
図3に示す構成例において、携帯端末12は、プロセッサ41、システムメモリ42、通信部43、記憶部44、近距離無線通信部45、表示部46、および、操作部47などを有する。
【0031】
プロセッサ41は、プログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ41は、例えば、CPUである。プロセッサ41は、システムバスを介して携帯端末12内の各部と接続され、各部との間でデータを送受信する。
【0032】
システムメモリ42は、車載装置11が動作するための各種のメモリを含む。システムメモリ42は、携帯端末12の基本的な動作を実現するためのプログラムおよび制御データなどを記憶するROMなどの不揮発性のメモリを含む。例えば、システムメモリ42のROMは、オペレーティングシステム(OS)などの基本動作を司るプログラムを記憶する。また、システムメモリ42は、データを一時的に記憶するRAMなどの揮発性のメモリを含む。
【0033】
プロセッサ41は、システムメモリ42と協働して携帯端末12における制御およびデータ処理などの動作を実行する。プロセッサ41は、システムメモリ42内あるいは記憶部44に記憶されているアプリケーションプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。例えば、プロセッサ41は、記憶部44に登録したmDL12aを実行し、モバイル運転免許証として動作する。
【0034】
通信部43は、外部装置と通信するための通信インターフェースである。通信部43は、無線で通信を行うものであって良いし、有線で通信を行うものであっても良い。例えば、通信部43は、移動体通信用の無線通信を行うインターフェースを含むものであっても良いし、無線LANなどの通信を行うインターフェースを含むものであっても良い。
【0035】
記憶部44は、各種のデータを記憶する記憶部である。記憶部44は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリで構成される。例えば、記憶部44は、フラッシュROM、SSD(Solid State Drive)などの半導体素子メモリ、あるいは、HDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置が用いられる。記憶部44は、アプリケーションプログラム、動作設定値、個人情報などを記憶する。本実施形態において、記憶部44は、mDL12aを記憶する記憶領域を有する。
【0036】
近距離無線通信部45は、車載装置11が受信可能な信号としてのトークンを発信する通信インターフェースである。例えば、近距離無線通信部45は、所定の通信範囲内に存在する機器と無線通信するブルートゥースなどの近距離無線通信用の通信インターフェースである。また、近距離無線通信部45は、車載装置11が受信する特定の識別情報としてのトークンを発信する発信器であっても良い。
【0037】
表示部46は、液晶パネル等の表示デバイスである。操作部47は、携帯端末12に対して操作指示を入力する操作デバイスである。操作部47は、例えば、タッチパネルを含む。表示部46と操作部47とは、タッチパネル付き表示装置(以下、タッチスクリーンと称する)で構成しても良い。また、操作部47は、ボタンスイッチで構成する操作キー、静電容量の変化に基づいて操作者の手指が触れたことを検出するタッチセンサなどを含むものであっても良い。
【0038】
次に、実施形態に係る車載装置11の動作について説明する。
図4は、実施形態に係る車載装置11が他車から取得する識別情報としてのトークンを記録する処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【0039】
まず、車載装置11のプロセッサ21は、ドライブレコーダとしてカメラ13が撮影する車両1の周辺の映像をメモリデバイス32に記憶する(ステップS11)。ここで、カメラ13は、常時、車両1の周辺の映像を撮影しているものとし、プロセッサ21は、カメラインターフェース30を介してカメラ13が常時撮影する映像を取得し、取得した映像をメモリデバイス32に記憶するものとする。例えば、プロセッサ21は、カメラ13が撮影する映像をメモリデバイス32の記憶容量に応じた所定データ量で記憶し、所定データ量を超えると最も古い映像の記憶部分に上書き保存することにより、カメラ13が撮影した所定時間分の映像をメモリデバイス32に常時記録するものとする。
【0040】
ただし、プロセッサ21は、カメラ13が撮影する映像を所定時間分システムメモリ22に蓄積し、衝撃検知部25が衝撃を検知した場合あるいは記録釦29の押下があった場合に所定時間分をさかのぼった映像をメモリデバイス32に記録するようにしても良い。
【0041】
プロセッサ21は、カメラ13が撮影する映像を記憶しながら、衝撃検知部25が検知する車両1への衝撃の有無および記録釦29への押下の有無を監視する。すなわち、衝撃検知部25による衝撃の検知がない場合(ステップS12、NO)、および、記録釦29の押下がない場合(ステップS13、NO)、プロセッサ21は、カメラ13が撮影する映像の記憶を継続的に実行する。
【0042】
衝撃検知部25が衝撃を検知した場合(ステップS12、YES)、プロセッサ21は、クロック23が計時する日時を示す日時情報を取得すると共に(ステップS14)、当該車両1の周辺に存在する他車2からのトークンの取得処理を行う(ステップS15)。トークンの取得処理として、プロセッサ21は、近距離無線通信部24を用いて衝撃を検知した場合に所定の通信範囲内に存在する通信器としての携帯端末12からトークンを取得する。
【0043】
例えば、プロセッサ21は、近距離無線通信部24により所定の通信範囲にある携帯端末12に対してトークンを要求する。mDL12aを搭載した携帯端末12は、近距離無線通信部45により車載装置11からのトークンの要求を受信する。携帯端末12のプロセッサ21は、トークンの要求を受信すると、mDL12aに設定されているトークンを発信する。車載装置11は、近距離無線通信部24により携帯端末12からのトークンを受信する。これにより、車載装置11のプロセッサ21は、近距離無線通信部24により通信範囲内にあるmDL12aを搭載した各携帯端末12からトークンを取得する。
【0044】
また、他車2内にあるmDL12aを備えた携帯端末12は、車載装置11の近距離無線通信部24が受信可能なトークンを発信しているようにしても良い。この場合、車載装置11のプロセッサ21は、衝撃検知部25が衝撃を検知したタイミングで近距離無線通信部24により通信範囲内にある通信器としての携帯端末12が発信しているトークンを受信する。
【0045】
車載装置11のプロセッサ21は、トークンを取得した場合(ステップS16、YES)、衝撃を検知した日時に対応づけて、所得したトークン、カメラ13が撮影した映像、および、位置検出部26が検知する現在位置情報などをメモリデバイス32に記録する(ステップ17)。
【0046】
すなわち、プロセッサ21は、衝撃検知部25が衝撃を検知してから所定期間内でトークンを取得し、取得した全てのトークンを日時に対応づけてメモリデバイス32に記録する。この場合、プロセッサ21は、衝撃を検知したタイミングの前後の所定時間でカメラ13が撮影した映像を日時およびトークンに対応づけて記録する。これにより、車載装置11は、衝撃検知部25が衝撃を検知した場合に取得したトークンと衝撃を検知した時の前後の映像とを日時に対応づけてメモリデバイス32に記録できる。
【0047】
また、トークンが取得できなかった場合(ステップS16、NO)、プロセッサ21は、衝撃を検知した日時に対応づけてトークンが取得できなかった旨をメモリデバイス32に記録する(ステップS18)。衝撃を検知した日時に対応づけてトークンが取得できなかった旨を記録する場合も、プロセッサ21は、衝撃を検知した時の前後の所定時間でカメラ13が撮影した映像を日時に対応づけてメモリデバイス32に記録するようにしても良い。これにより、車載装置11は、衝撃を検知した場合にトークンが取得できなった旨と衝撃を検知した前後の映像とを日時に対応づけてメモリデバイス32に記録することもできる。
【0048】
また、記録釦29が押された場合(ステップS13、YES)、プロセッサ21は、クロック23が計時する日時情報を取得すると共に(ステップS14)、当該周辺に存在する他車2からのトークンの取得処理を行う(ステップS15)。すなわち、プロセッサ21は、記録釦29が押された場合も衝撃を検知した場合と同様に、近距離無線通信部24を用いて所定の通信範囲内に存在する通信器としての携帯端末12からトークンを取得するトークンの取得処理を実行する。
【0049】
車載装置11のプロセッサ21は、トークンを取得した場合(ステップS16、YES)、記録釦29が押された日時に対応づけてトークンおよび映像をメモリデバイス32に記録する(ステップ17)。すなわち、プロセッサ21は、記録釦29が押されてから所定期間内でトークンを取得し、取得した全てのトークンを日時に対応づけてメモリデバイス32に記録する。この場合、プロセッサ21は、記録釦29が押されたタイミングを基準に前後の所定時間でカメラ13が撮影した映像を日時およびトークンに対応づけて記録する。これにより、車載装置11は、記録釦29が押された場合に取得したトークンと記録釦29が押された時の前後の映像とを日時に対応づけてメモリデバイス32に記録できる。
【0050】
また、トークンが取得できなかった場合(ステップS16、NO)、プロセッサ21は、記録釦29が押された日時に対応づけて、所得したトークン、カメラ13が撮影した映像、および、位置検出部26が検知する現在位置情報などをメモリデバイス32に記録する(ステップS18)。
【0051】
記録釦29が押された日時に対応づけてトークンが取得できなかった旨を記録する場合も、プロセッサ21は、記録釦29が押された時の前後の所定時間でカメラ13が撮影した映像を日時に対応づけてメモリデバイス32に記録するようにしても良い。これにより、車載装置11は、記録釦29が押された場合にトークンが取得できなった旨と記録釦29が押された時の前後の映像とを日時に対応づけてメモリデバイス32に記録することもできる。
【0052】
上述したような処理によってメモリデバイス32に記録された情報は、公的機関3に提示できる。例えば、メモリデバイス32が車載装置11に脱着可能なメモリカードであれば、車載装置11から取り出したメモリデバイス32を公的機関3に提示することが可能である。これにより、車載装置11は、事故や事件などで車両1に衝撃が与えられた場合、あるいは、車両1内の人物が異常を感じて記録釦29を押した場合、当該車両の近辺に存在した携帯端末12などの通信器から取得したトークンを日時情報と共に公的機関3に開示できる。
【0053】
公的機関3は、車載装置11がメモリデバイス32に記録したトークンなどの情報の提供を受け付ける。公的機関3は、提供されたメモリデバイス32に記録されているトークンを読み出す。公的機関3は、メモリデバイス32から読み出したトークンに対応する個人又は車両を特定する情報を情報管理サーバ4から取得する。
【0054】
情報管理サーバ4は、例えば、公的機関3からのトークンの問い合わせに対して当該トークンが設定されているmDLの所持者を示す情報を提供する。また、情報管理サーバ4は、公的機関3からのトークンの問い合わせに対して、当該トークンの所持者を示す情報だけでなく、当該トークンに対応して管理している情報(例えば、車両情報、過去の運転経歴、事故歴など)を公的機関3の提供するようにしても良い。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る車載装置は、車両が事故あるいは事件などを受けた場合に携帯端末などの通信器が発信する個人又は車両が特定される識別情報としてのトークンを取得し、取得したトークンを日時に対応づけて記録するようにしたものである。これにより、事故あるいは事件などが発行した後(例えば、後日)であっても、車載装置に記録した情報から事故あるいは事件に関係している可能性がある個人又は車両(他車)を特定でき、事故あるいは事件に関する客観的な事実を特定することができる。
【0056】
また、車載装置が取得する携帯端末などの通信器が発信するトークンは、個人情報ではなく、特定の機関(例えば公的な機関)が情報管理サーバに問い合わせることで個人又は車両を特定できる情報である。これにより、実施形態に係る車載装置が取得したトークンからユーザ自身がトークンの発信元である個人や車両を直接特定することがなく、携帯端末などの個人情報の保護を確保することもできる。
【0057】
また、実施形態に係る車載装置は、搭載した車両が受けた衝撃を検知する衝撃検知部を有する。車載装置のプロセッサは、衝撃検知部が衝撃を検知した場合に所定の通信範囲内からトークンを取得し、取得したトークンとクロックが計時する日時とを対応づけてメモリデバイスに記録する。これにより、車両が衝撃を受けた場合に、衝撃を受けた日時に対応づけて周囲に存在する他車から個人又は車両を特定できるトークンをメモリデバイスに記録でき、メモリデバイスに記憶されたトークンから事故や当て逃げに関与した個人又は車両を公的機関などの特定機関で特定することができる。
【0058】
また、実施形態に係る車載装置は、搭載した車両内に設けた記録釦を有する。車載装置のプロセッサは、記録釦が押された場合に所定の通信範囲内からトークンを取得し、取得したトークンとクロックが計時する日時とを対応づけてメモリデバイスに記録する。これにより、車両内の人物が記録釦を押した場合に、記録釦が押された日時に対応づけて周囲に存在する他車から個人又は車両を特定できるトークンをメモリデバイスに記録でき、メモリデバイスに記憶されたトークンから車内の人物が記録釦を押した場合に周囲に存在した個人又は車両を公的機関などの特定機関で特定することができる。
【0059】
さらに、実施形態に係る車載装置は、衝撃検知部が衝撃を検知した場合、あるいは、記録釦が押された場合、取得するトークンと日時とに加えて、カメラが撮影する当該車両の周囲の映像、あるいは、位置検出部が検知する現在位置情報などもメモリデバイスに記録する。これにより、メモリデバイスに記憶されたトークンから周囲に存在した個人又は車両を特定できるだけでなく、当時の当該車両の周辺映像や位置などを確認することができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…車両(自車)、2…車両(他車)、3…公的機関、4…情報管理サーバ、11…車載装置、12…携帯端末(通信器)、12a…モバイル運転免許証(mDL)、13…カメラ、21…プロセッサ、22…システムメモリ、23…クロック、24…近距離無線通信部(無線通信部)、25…衝撃検知部、26…位置検出部、29…記録釦、30…カメラインターフェース、31…メモリインターフェース、32…メモリデバイス(記憶装置)。
図1
図2
図3
図4