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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044215
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】二輪車ハンドルバー用グリップ
(51)【国際特許分類】
   B62K 21/26 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
B62K21/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152124
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137443
【氏名又は名称】株式会社マルイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
【テーマコード(参考)】
3D013
【Fターム(参考)】
3D013CG01
3D013CG09
(57)【要約】
【課題】容易に角度を調整でき、かつ汎用性の高い二輪車用グリップを提供する。
【解決手段】グリップ本体2及び固定具5から成る。グリップ本体2は、硬質プラスチック製のコア部4と合成ゴム製のグリップ部3が二層式射出成型で一体に成形される。グリップ部3は、上部8と下部9の何れについても、開口端面6から反対側端面7にかけて、略同一の厚みで形成される。コア部4は、上部8については、開口端面6から反対側端面7にかけて、略同一の厚みで形成されるが、下部9については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に肉厚となるように形成される。外周面21の中心軸31と、テーパ形状の外周面21とのなす角度θは1°である。グリップ本体2は、ハンドルバーを差し込む開口端面6における外周円と内周円の中心が中心位置30において一致している。中心軸31と中心軸32が非共軸となり生じるズレ角の角度θは、1°である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形のグリップ本体の外周面と内周面の2つの円柱の中心軸が非共軸であることを特徴とする二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項2】
前記グリップ本体は、
ハンドルバーを差し込む開口端面における外周円と内周円の中心が一致していることを特徴とする請求項1に記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項3】
前記グリップ本体の前記外周面は、ハンドルバーを差し込む開口端面から反対側端面に向かって、外径が拡がるテーパ形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項4】
前記グリップ本体の前記外周面の前記中心軸と、テーパ形状の前記外周面とのなす角と、
前記非共軸のズレ角と、
が略同一であることを特徴とする請求項3に記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項5】
前記グリップ本体の前記外周面の前記中心軸と、テーパ形状の前記外周面とのなす角が、0.5~2.5°であることを特徴とする請求項3又は4に記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項6】
前記非共軸のズレ角が、0.5~2.5°であることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項7】
前記グリップ本体は、
前記内周面を形成する硬質材から成るコア部と、該コア部の外周を被覆し前記外周面を形成する弾性材から成るグリップ部とで構成されることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項8】
前記グリップ本体において、
前記コア部の外周と内周の間の肉厚が、偏肉であり、
前記グリップ部の外周と内周の間の肉厚が、略均一であることを特徴とする請求項7に記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項9】
前記グリップ本体において、
前記コア部の外周と内周の間の肉厚が、略均一であり、
前記グリップ部の外周と内周の間の肉厚が、偏肉であることを特徴とする請求項7に記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項10】
前記グリップ本体は、
前記内周面と前記外周面を形成する弾性材から成り、外周と内周の間の肉厚が偏肉であることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【請求項11】
ハンドルバーに前記グリップ本体を固定するための固定リングと、該固定リングをハンドルバーの周囲に締付ける締付具を更に備える請求項1~10の何れかに記載の二輪車ハンドルバー用グリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車のハンドルバーに取り付けて使用するグリップであって、ハンドルバーに対する組付け固定角度が調整可能な機構を備えるグリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車のハンドルバーをライダーの体躯や乗車スタイルに合わせて適宜な位置に組付け固定することは、快適な乗車にとって必要不可欠な要素であり、そのためにハンドルバーやステムには各種サイズバリエーションがあり、かつ、組付け位置や角度等の調整が可能になっている。通常は、ライダーの体躯や乗車スタイルに合ったハンドルバーやステムを選択して適宜に取り付けるが、ハンドルバーのステムに対する組付け角度を変えるだけでもハンドルバーの前後位置を微調整することが可能であり、実使用において、ユーザがこのような微調整を行うことは珍しくない。
【0003】
但し、ハンドルバーのステムに対する組付け角度を変えることにより、ハンドルバーの前後位置を微調整すると、ハンドルバーのアップスウィープやバックスウィープが本来の設計値からずれてしまう。図11は、一般的なハンドルバーの取付説明図を示している。アップスウィープとは、図11(1)に示すように、ハンドルバーを正面から見たときの曲がり角度101のことである。また、バックスウィープとは、図11(2)に示すように、ハンドルバーを上方から見たときの手前の曲がり角度102のことである。ハンドルバーのアップスウィープやバックスウィープは、それ自体が快適な乗車に必要不可欠な要素であるため、この組付け角度の相対関係が設計値から大きく逸脱してズレることは望ましくない。
そこで、ハンドルバーとステムの組付け角度を変えることによるハンドルバーの前後位置の微調整によって生じたハンドルバーのアップスウィープやバックスウィープのズレを補正する手段を提供することができれば、ライダーを乗車中の違和感や不快感から解放することができる。
【0004】
この点、ステムに取り付けられたハンドルバーの両端部に、略U字状のグリップ部の一端をハンドルバーの先端部の軸心回りに回動自在に取り付けて成る自転車用ハンドルが知られている(特許文献1を参照)。これによれば、グリップ部をハンドルバーに組付け固定する際に挿入位相を変えることでグリップの固定角度の調整が可能である。
しかしながら、特許文献1の自転車用ハンドルは、専用のハンドルバーに専用のグリップ部を取り付けるものであるため、既存の自転車に設けられたハンドルバーをそのまま利用できず、汎用性が低いという問題がある。
ハンドルバーに取り付けるグリップとしては、フランジ付きのテーパ形状のグリップが知られている(特許文献2を参照)。但し、特許文献2のグリップでは、外周円と内周円について、軸は共通(同軸)であるため、グリップの固定角度の調整ができるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全昭58-085582号公報
【特許文献2】米国特許公開US2019-0375479
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる状況に鑑みて、本発明は、ハンドルバーのアップスウィープやバックスウィープのズレを容易に調整でき、かつ汎用性の高い二輪車ハンドルバー用グリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の二輪車ハンドルバー用グリップは、円筒形のグリップ本体の外周面と内周面の2つの円柱の中心軸が非共軸であることを特徴とする。これにより、ハンドルバーに対する組付け固定時の挿入位相を変えるだけで、容易にグリップの固定角度を調整できる。また、公知の略円柱形状の二輪車のハンドルバーに嵌合して取り付けられる構造であるため、幅広いハンドルバーに利用できる。ここで、グリップ本体の円筒形の外周面と内周面の2つの円柱は、幾何学的な円柱ではなく、実質的に円柱形状を呈しているというものである。円筒形の外周面で形成される円柱は、グリップ性を高めるために外周面表面が凹凸形状であってもよいし、ハンドルバーを差し込む開口端面から反対側端面に向かって拡がるテーパ形状を呈してもよい。
【0008】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップにおいて、グリップ本体は、ハンドルバーを差し込む開口端面における外周円と内周円の中心が一致していることが好ましい。開口端面における外周円と内周円の中心が一致することにより、開口端面を起点としてグリップの固定角度を調整でき、違和感なく利用できる。
【0009】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップにおいて、グリップ本体の外周面は、ハンドルバーを差し込む開口端面から反対側端面に向かって、外径が拡がるテーパ形状であることが好ましい。グリップ本体の外周面がテーパ形状とされることにより、グリップの厚みが過度に大きくなることを防止でき、握りやすく違和感の生じにくい形状となっている。
【0010】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップは、グリップ本体の外周面の中心軸と、テーパ形状の外周面とのなす角と、非共軸のズレ角と、が略同一であることが好ましい。
テーパ形状の外周面と中心軸とのなす角と、非共軸のズレ角とが略同一とされることにより、外周面の傾きと内周面の傾きが略同一となり、グリップ本体の内周面を、外周面の一部に沿うように設けることが可能になる。これにより、対向する外周面とのなす角は、非共軸のズレ角の略2倍となり、外周面のテーパ形状を最大限に生かすことができる。
【0011】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップは、グリップ本体の外周面の中心軸と、テーパ形状の外周面とのなす角が、0.5~2.5°であることが好ましく、より好ましくは、0.75~1.25°、更に好ましくは略1°である。テーパ形状の外周面と中心軸とのなす角が、0.5°未満とされると、角度調整の範囲が狭く、機能性が低下する。また、2.5°を超えると、グリップの厚みが大きくなり過ぎ、握り難くなる。したがって、0.5~2.5°とされることで、機能性と快適性を両立させることができる。
【0012】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップにおいては、非共軸のズレ角が、0.5~2.5°であることが好ましく、より好ましくは、0.75~1.25°、更に好ましくは略1°である。非共軸のズレ角が、0.5°未満とされると、角度調整の範囲が狭く、機能性が低下する。また、2.5°を超えると、グリップの厚みが大きくなり過ぎ、握り難くなる。したがって、0.5~2.5°とされることで、機能性と快適性を両立させることができる。例えば、1°とされた場合は、ハンドルバーに対する組付け固定時の挿入位相を変えることで、中心軸との関係では、グリップの固定角度を±1°の範囲で調整できる。
【0013】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップにおいて、グリップ本体は、内周面を形成する硬質材から成るコア部と、該コア部の外周を被覆し外周面を形成する弾性材から成るグリップ部とで構成されることでもよい。コア部を形成する硬質材とは、硬質プラスチックが好適に用いられるが、樹脂に限られず、金属などでもよい。また、グリップ部を形成する弾性材とは、合成ゴムが好適に用いられるが、その他の樹脂でもよい。コア部とグリップ部は、二層式射出成型で一体に成形されることが好ましい。
【0014】
グリップ本体が、コア部とグリップ部とで構成される場合は、本発明の二輪車ハンドルバー用グリップは、グリップ本体において、コア部の外周と内周の間の肉厚が、偏肉であり、グリップ部の外周と内周の間の肉厚が、略均一であることが好ましい。
コア部の外周と内周の間の肉厚が偏肉とされることにより、コア部の形状だけで、グリップ本体の外周面と内周面の2つの円柱の中心軸を非共軸とすることができる。また、グリップ部の外周と内周の間の肉厚を略均一とすることにより、握る位置によってグリップ部の変形加減が変わることに起因して、違和感が生じることを防止できる。
【0015】
また、グリップ本体が、コア部とグリップ部とで構成される場合は、本発明の二輪車ハンドルバー用グリップは、グリップ本体において、コア部の外周と内周の間の肉厚が、略均一であり、グリップ部の外周と内周の間の肉厚が、偏肉であることでもよい。グリップ部の外周と内周の間の肉厚が偏肉とされることにより、グリップ部を握る強さに応じて、グリップの角度を変化させることができる。
【0016】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップにおいて、グリップ本体は、内周面と外周面を形成する弾性材から成り、外周と内周の間の肉厚が偏肉であることでもよい。ここでの弾性材とは、合成ゴムが好適に用いられるが、その他の樹脂でもよい。
【0017】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップは、ハンドルバーにグリップ本体を固定するための固定リングと、該固定リングをハンドルバーの周囲に締付ける締付具を更に備えることでもよい。固定リングと締付具を備えることにより、ユーザの好みに合わせて任意の角度でグリップ本体を安定的に固定できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二輪車ハンドルバー用グリップによれば、ハンドルバーのアップスウィープやバックスウィープのズレを容易に調整でき、かつ汎用性が高いといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの外観斜視図
図2】実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの正面図
図3】実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの断面イメージ図
図4】実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの断面模式図
図5】実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの説明図
図6】実施例2の二輪車ハンドルバー用グリップの断面模式図
図7】実施例3の二輪車ハンドルバー用グリップの正面図
図8】実施例3の二輪車ハンドルバー用グリップの断面イメージ図
図9】実施例4の二輪車ハンドルバー用グリップの断面模式図
図10】実施例5の二輪車ハンドルバー用グリップの断面模式図
図11】一般的なハンドルバーの取付説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0021】
図1は、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの外観斜視図を示している。また、図2は、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの正面図を示している。なお、本明細書では、一対のグリップの内、片方のみを示して説明するが、左右いずれのグリップとしても適用可能である。また、一対のグリップは、左右同様の仕様としてもよいし、左右で異なる仕様としてもよい。
図1に示すように、二輪車ハンドルバー用グリップ1は、二輪車用のハンドルバー(図示せず)に対する固定機構を有するものであり、グリップ本体2及び固定具5から成る。
グリップ本体2は、硬質プラスチック製のコア部4と合成ゴム製のグリップ部3が二層式射出成型で一体に成形されたものである。グリップ本体2は、貫通孔20が形成され、貫通孔20の開口端面6にハンドルバーを挿入できる構造である。また、貫通孔20の反対側端面7についても開口部が設けられているが、封止部が設けられる構成でもよいし、封止部が設けられ、かつ、空気抜き用の小孔が設けられることでもよい。開口端面6には、固定具5が設けられている。固定具5は、図2に示すように、C字型アルミ製の固定リング5aと、固定リング5aを締め付け螺合する締付具5bで構成される。
【0022】
図3は、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの断面イメージ図であり、図1におけるA-A断面図を示している。図3に示すように、グリップ本体2において、コア部4の外周と内周の間の肉厚は偏肉であり、グリップ部3の外周と内周の間の肉厚は略均一となっている。具体的には、グリップ部3は、上部8と下部9の何れについても、開口端面6から反対側端面7にかけて、略同一の厚みで形成されている。
これに対して、コア部4は、上部8については、開口端面6から反対側端面7にかけて、略同一の厚みで形成されているが、下部9については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に肉厚となるように形成されている(本明細書において、上部8又は下部9とは、説明の便宜上のものであり、取付の向き等を限定する趣旨ではない)。
したがって、グリップ本体2の内径は、開口端面6から反対側端面7まで同一の内径φであるが、グリップ本体2の外径は、開口端面6の外径φに比べて、反対側端面7の外径φの方がより大きく設けられている。ここで、参考までに、グリップの寸法について説明すると、例えば、グリップ本体の軸方向の長さは130~150mmであり、グリップ本体の外径φ,φは29~32mmであるが、これらに限定されるものではない。
なお、グリップ部3ではなく、コア部4を肉厚としたのは、グリップ部3の厚みを変化させると、握る位置によってグリップ部3の変形加減が変わることに起因して、違和感が生じることを防止するためである。
【0023】
図4は、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの断面模式図を示している。図4に示すように、グリップ本体2の外周面21は、ハンドルバーを差し込む開口端面6から反対側端面7に向かって、外径が拡がるテーパ形状となっており、円錐台柱形状を呈している。グリップ本体2の外周面21の中心軸31と、テーパ形状の外周面21とのなす角である角度θは1°である。
グリップ本体2において、外周面21の中心軸31と、内周面22の中心軸32は、非共軸となっており、ハンドルバーを差し込む開口端面6における外周円と内周円の中心が中心位置30において一致している。中心軸31と中心軸32が非共軸となることにより生じるズレ角の角度θは、1°である。
したがって、グリップ本体2では、外周面21の中心軸31と、テーパ形状の外周面21とのなす角である角度θと、非共軸のズレ角の角度θは何れも1°で同一となっている。
なお、図3に示すように、グリップ部3は把持しやすいように凹凸(山と溝)が設けられた形状となっている。本明細書においては、外周面とは、該凹凸形状の凸部を基準としているが、凹部を基準としてもよい。
【0024】
図5は、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップの説明図であり、(1)はグリップ本体の右側面イメージ図、(2)は角度調整イメージ図を示している。図5(1)に示すように、グリップ本体2は、右側面イメージでは、内周面22が略円形状となっており、外周面21についても略円形状となっている。前述のように、グリップ本体2の下部9は、上部8よりも肉厚となるように設けられている。
ハンドルバーにグリップ本体2を取り付ける場合、グリップ本体2の内周面22は略円形状であるため、図5(2)に示すように、グリップ本体2の内周の軸中心に、グリップ本体2を自在に回転させて組付け位置を調整することが可能である。
例えば、図5(1)に示すグリップ本体2を90°右回転させると、肉厚の下部9が左方に配置され、逆に90°左回転させると、肉厚の下部9が右方に配置されることになる。また、図5(1)に示すグリップ本体2を180°右回転又は左回転させると、肉厚の下部9が上方に配置されることになる(図示せず)。組付け角度は、ユーザのニーズに合わせて調整可能である。ユーザのニーズに合わせて組付け角度を調整した後、図1~4に示す固定具5を用いてグリップ本体2をハンドルバーに固定する。
このように、グリップ本体2をハンドルバーに組付け固定する際に、グリップ本体2を回転させて、挿入位相を変えることで、グリップの固定角度が容易に調整可能である。
【0025】
図4に示すように、非共軸のズレ角の角度θは1°である。したがって、組付け固定時の挿入位相を変えることでグリップの固定角度を±1°の範囲で調整できる。コア部4とグリップ部3の角度のズレが大きいほど調整可能な角度範囲も広くなるが、コア部4、グリップ部3ともに成型可能な最低厚みを確保する必要がある為、グリップ部3の外径φが大きくなることを許容しなければならない。
しかしながら、過度に外径φが大きくなると、用途やユーザの体躯を限定してしまうため、グリップの外径φが過度に大きくならないように、非共軸のズレ角の角度θは、1°とされている。
【0026】
また、グリップの外径φが過度に大きくならないように、中心軸31とテーパ形状の外周面21とのなす角である角度θと、非共軸のズレ角の角度θを同一とする構造にして、外周面21のテーパ形状を最大限に生かすことができる。すなわち、中心軸31と中心軸32のズレ角は1°であるが、グリップ本体2の内周面22が外周面21の上部8側に沿うように設けられるため、図4に示すように、内周面22の中心軸32(ハンドルバーの中心軸に相当する)と、下部9側の外周面21とのなす角である角度θは、2°となり、実質的には、ハンドルバーに対して、グリップの固定角度を±2°の範囲で調整できることとなる。
【実施例0027】
図6は、実施例2の二輪車ハンドルバー用グリップの断面模式図を示している。図6に示すように、実施例2の二輪車ハンドルバー用グリップ11は、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップ1と同様に、ハンドルバーに対する固定機構を有するものであり、グリップ本体2a及び固定具5から成る。
グリップ本体2aは、硬質プラスチック製のコア部4aと合成ゴム製のグリップ部3aが二層式射出成型で一体に成形されたものである。グリップ本体2aには、開口端面6に開口部が設けられた孔部20aが形成されている。
【0028】
しかしながら、グリップ本体2aは、実施例1の二輪車ハンドルバー用グリップ1とは異なり、厚みが均一に設けられたコア部4aと、厚みを変化させたグリップ部3aで構成されている。すなわち、コア部4aは、開口端面6から反対側端面7にかけて、略均一な厚みで形成される。これに対して、グリップ部3aは、下部9については、開口端面6から反対側端面7にかけて、略均一な厚みで形成されるが、上部8については、開口端面6から反対側端面7にかけて肉厚となるように形成されている。なお、中心軸31と中心軸32が非共軸となることにより生じるズレ角の角度θは、実施例1と同様に1°である。また図示しないが、グリップ本体2aの外周面21の中心軸31と、テーパ形状の外周面21とのなす角についても実施例1と同様である。
かかる構成では、グリップ部3aの厚みが不均一となるものの、軽く握った場合には、グリップ部3aの形状に沿った感覚が得られ、また、強く握ることで、コア部4aの形状に沿った感覚が得られるというように、握る強さに応じて、グリップの角度を変化させる効果が得られる。
【実施例0029】
実施例1及び2では、C字型アルミ製の固定リング5aと締付具5bでハンドルバーに対して固定される機構を有するものを例に述べてきたが、固定具5が無くても組付け角度調整機構は機能する。
図7は、実施例3の二輪車ハンドルバー用グリップの正面図を示している。図7に示すように、実施例3の二輪車ハンドルバー用グリップ12は、合成ゴム製のグリップ本体2bのみから成り、ハンドルバーに対する別途の固定機構を有しない構造である。
【0030】
図8は、実施例3の二輪車ハンドルバー用グリップの断面イメージ図を示している。グリップ本体2bは、孔部20bが形成され、開口端面6がハンドルバーの差込口であり、反対側端面7には空気抜き用の小孔23が設けられている。
図8に示すように、グリップ本体2bは、上部8については、開口端面6から反対側端面7にかけて、略同一の厚みで形成されているが、下部9については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に肉厚となるように形成されている。
したがって、グリップ本体2bの内径は、開口端面6から反対側端面7まで同一の内径φであるが、グリップ本体2bの外径は、開口端面6の外径φに比べて、反対側端面7の外径φの方がより大きく設けられている。
このようなシンプルな単層のグリップであっても、グリップ本体の外周面と内周面の2つの円柱の中心軸が非共軸であれば、同様に組付け角度調整機構が機能する。
【実施例0031】
実施例1~3では、開口端面6から反対側端面7にかけて、二輪車ハンドルバー用グリップの外径が次第に大きくなる例を説明したが、内径と外径の何れについても一定の大きさとすることも可能である。
図9は、実施例4の二輪車ハンドルバー用グリップの断面イメージ図を示している。図9に示すように、二輪車ハンドルバー用グリップ13は、グリップ本体2c及び固定具5から成る。
グリップ本体2cは、硬質プラスチック製のコア部4cと合成ゴム製のグリップ部3cが二層式射出成型で一体に成形されたものである。グリップ本体2cには、貫通孔20cが形成されている。
【0032】
図9に示すように、グリップ部3cは、上部8と下部9の何れについても、開口端面6から反対側端面7にかけて、略同一の厚みで形成されている。
これに対して、コア部4cは、上部8については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に厚みが薄くなるように形成されており、これとは逆に、下部9については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に肉厚となるように形成されている。
したがって、グリップ本体2cの内径は、開口端面6から反対側端面7まで同一の内径φであるが、グリップ本体2cの外径についても、開口端面6から反対側端面7まで同一の内径φとなっている。なお、中心軸31と中心軸32が非共軸となることにより生じるズレ角の角度θは、実施例1と同様に1°であるが、本実施例のグリップ本体2cは、ハンドルバーを差し込む開口端面6における外周円と内周円の中心は一致しない構成である。
このように、外径を一定の大きさとすることで、握る位置を変更しても厚みが一定となり、違和感なく使用することができる。
なお、実施例4の二輪車ハンドルバー用グリップ13は、実施例1と同様に、位置によってコア部4cの厚みを変化させる構造としたが、これとは異なり、グリップ部3cの厚みを変化させる構造としてもよい。
【実施例0033】
図10は、実施例5の二輪車ハンドルバー用グリップの断面イメージ図を示している。図10に示すように、二輪車ハンドルバー用グリップ14は、実施例3と同様に、合成ゴム製のグリップ本体2dのみから成り、ハンドルバーに対する別途の固定機構を有しない構造である。グリップ本体2dは、孔部20dが形成され、開口端面6がハンドルバーの差込口であり、反対側端面7には空気抜き用の小孔23aが設けられている。
また、グリップ本体2dは、実施例4と同様に、内径と外径の何れについても一定の大きさとする構造である。
すなわち、グリップ本体2dは、上部8については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に厚みが薄くなるように形成されており、これとは逆に、下部9については、開口端面6から反対側端面7にかけて、次第に肉厚となるように形成されている。
したがって、グリップ本体2dの内径は、開口端面6から反対側端面7まで同一の内径φであるが、グリップ本体2dの外径についても、開口端面6から反対側端面7まで同一の内径φとなっている。
このように、外径を一定の大きさとすることで、握る位置を変更しても厚みが一定となり、違和感なく使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、二輪車のハンドルバーに取り付けて使用するグリップに有用である。
【符号の説明】
【0035】
1,11~14 二輪車ハンドルバー用グリップ
2,2a~2d グリップ本体
3,3a~3c グリップ部
4,4a~4c コア部
5 固定具
5a 固定リング
5b 締付具
6 開口端面
7 反対側端面
8 上部
9 下部
20,20c 貫通孔
20a,20b,20d 孔部
21 外周面
22 内周面
23,23a 小孔
30 中心位置
31,32 中心軸
101,102 曲がり角度
θ 角度
φ 径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11