(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044228
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20230323BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L31/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152143
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123375
【弁理士】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
【テーマコード(参考)】
5F142
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
5F142AA22
5F142BA32
5F142CB14
5F142CD15
5F142CD16
5F142CG32
5F142DB12
5F142DB24
5F142GA01
5F149BB03
5F149DA41
5F149JA12
5F149XB24
5F849BB03
5F849DA41
5F849JA12
5F849XB24
(57)【要約】
【課題】光学素子フィルムを積層した半導体装置において、その表面にマイクロレンズを配置することでより高性能化が実現できるが、積層した光学素子フィルムによってレンズからの距離が異なるため、光学素子フィルムによってレンズによる集光率に差が出てしまうため、一つのレンズで効率よく望ましい色特性を実現することは困難であった。
【解決手段】本発明による半導体装置は、緑色発光素子14Gを含むG層12Gと、緑色発光素子14Gよりも変換効率が低い赤色発光素子14Rを含むR層12Rと、マイクロレンズ115とを有し、緑色発光素子14Gと赤色発光素子14Rとが、マイクロレンズ115の光軸方向においてマイクロレンズ115とその焦点115aとの間にあって、同光軸方向からみて少なくとも一部が重なり、緑色発光素子14Gより赤色発光素子14Rが前記焦点の近くとなるように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光半導体素子を含む第1の層と、
前記第1の光半導体素子よりも変換効率が低い第2の光半導体素子を含む第2の層と、
レンズ部材と
を有し、
前記第1の光半導体素子と前記第2の光半導体素子とが、
前記レンズ部材の光軸方向において前記レンズ部材と前記レンズ部材の焦点との間にあって、前記光軸方向からみて少なくとも一部が重なり、前記第1の光半導体素子より前記第2の光半導体素子が前記焦点の近くとなるように配置されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第3の光半導体素子を含む第3の層と、
前記第1の光半導体素子と前記第2の光半導体素子と前記第3の光半導体素子を制御する制御基板を有し、
前記第2の層は前記制御基板上に配置され、
前記第1の層は前記第2の層上に配置され、
前記第3の層は前記第1の層上に配置され、
前記レンズ部材は、前記第3の層上に配置されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記焦点が、前記制御基板の内部に位置することを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
第3の光半導体素子を含む第3の層と、
前記第1の光半導体素子と前記第2の光半導体素子と前記第3の光半導体素子を制御する制御基板を有し、
前記第3の層は前記制御基板上に配置され、
前記第2の層は前記第3の層上に配置され、
前記第1の層は前記第2の層上に配置され、
前記レンズ部材は、前記第1の層上に配置されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の光半導体素子及び第2の光半導体素子は発光層を備え、前記発光層が、前記レンズ部材の外周と前記焦点とで囲まれる円錐内に配置されることを特徴とする請求項1から4までの何れかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の光半導体素子は、第1の発光素子であり、
前記第2の光半導体素子は、第2の発光素子であり、
前記第2の発光素子は、
前記第1の発光素子が発光する光よりも波長の長い光を発光することを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の光半導体素子及び第2の光半導体素子は光電変換素子を備え、前記光電変換素子が、前記レンズ部材の外周と前記焦点とで囲まれる円錐内に配置されることを特徴とする請求項1から4までの何れかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の光半導体素子は、光を検出する第1の受光素子であり、
前記第2の光半導体素子は、光を検出する第2の受光素子であり、
前記第2の受光素子は、前記第1の受光素子が検出する光よりも波長の長い光を検出することを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の光半導体素子と前記第2の光半導体素子と前記レンズ部材とからなる集合部が、前記光軸方向と垂直な平面に沿って複数、互いに隣接して配置されたことを特徴とする請求項1から8までの何れかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ受発光装置における、光半導体素子とレンズの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対角サイズが1インチ未満で高解像度のマイクロディスプレイ、或いは高解像度の撮像素子において、高輝度、高精細、フルカラーなどの要望がある。高精細を実現するための方策としては、100μm以下の発光素子や受光素子を用いることが提案されている。しかし、例えば従来のLED実装技術であるフリップチップ実装では、1インチ未満のマイクロディスプレイに、マイクロLEDを高精度で実装することは難しかった。他方、フリップチップ実装に対して、ウェハ接合によるモノリシック構造により、高精度の加工が可能になるが、モノリシック構造においては、フルカラーを実現することが難しかった。
【0003】
その対策として、薄膜化したLEDフィルムを積層することで、フルカラーを実現する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、マイクロLEDは有機ELなどの他のマイクロ発光素子に対して高輝度であるが、さらなる高輝度化を実現するために、マイクロLEDの直上に微細なマイクロレンズを形成し、光の出射方向を制御することで、直上の輝度を向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-62351号公報(第6頁、
図1)
【特許文献2】特開2014-153385号公報(第5頁、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光半導体素子フィルムを積層した半導体装置において、その表面にマイクロレンズを配置することでより高性能化が実現できるが、積層した光半導体素子フィルムによってレンズからの距離が異なるため、光半導体素子フィルムによってレンズによる集光率に差が出てしまうため、一つのレンズで効率よく望ましい色特性を実現することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体装置は、
第1の光半導体素子を含む第1の層と、前記第1の光半導体素子よりも変換効率が低い第2の光半導体素子を含む第2の層と、レンズ部材とを有し、
前記第1の光半導体素子と前記第2の光半導体素子とが、前記レンズ部材の光軸方向において前記レンズ部材と前記レンズ部材の焦点との間にあって、前記光軸方向からみて少なくとも一部が重なり、前記第1の光半導体素子より前記第2の光半導体素子が前記焦点の近くとなるように配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高密度実装を可能とする半導体装置において、変換効率の低い光半導体素子の変換効率をレンズ部材の集光率で補うことができるため、望ましい色特性を備えた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による実施の形態1の半導体装置の一部分を拡大した平面図である。
【
図4】実施の形態1の半導体装置を用いたディスプレイモジュールを示す概略平面図である。
【
図5】マイクロレンズとその焦点距離f等の説明に供する図である。
【
図6】本発明による実施の形態2の半導体装置の一部分を拡大した平面図である。
【
図9】本発明による実施の形態3の半導体装置の一部分を拡大した平面図である。
【
図12】実施の形態3の変形例1の半導体装置の一部分を拡大した平面図である。
【
図15】光線追跡による光学シミュレーションの説明に供する図であり、(a)は、下地絶縁層上に発光素子が形成された状態を基準としたその場合の全光束L(All)を示し、(b)は、発光素子からマイクロレンズへ入射する光束L(Lens-in)、更にそのマイクロレンズ115から出射される全光束L(Lens-out)を示し、(c)は、マイクロレンズから上面の片側15度範囲の立体角に出射された光束L(Lens15)を示す。
【
図16】(a)は、表1の結果から、距離と、E(ins)及びE(15)の関係をプロットしたグラフであり、(b)は、表1の結果から、距離と、E(lens)の関係をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1の半導体装置100の一部分を拡大した平面図であり、
図2は、
図1におけるA-A断面図であり、
図3は、
図1におけるB-B断面図である。
【0011】
図2、
図3の各断面図に示すように、半導体装置100は、下から駆動回路基板11、R(Red)層12R、G(Green)層12G、及びB(Blue)層12Bが積層した構成を成している。これ等の各層は、下地絶縁層13R,13G,13Bによって仕切られ、各下地絶縁層13R,13G,13Bには、上方からみて重なる位置に、赤色発光素子14R、緑色発光素子14G,青色発光素子14Bが配置されている。これ等の発光素子14R,14G,14B及、及び後述するマイクロレンズ115からなる集合部としてのカラー発光部15は、
図1に示すように、格子状に互いに隣接して複数形成されている。
【0012】
ここで、各下地絶縁層13R,13G,13Bは、可視光に対して透明の絶縁材料で形成されている。また、それぞれの下地絶縁層13R,13G,13Bは同一材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
【0013】
各カラー発光部15は、同一の構成を有し、また各カラー発光部15内の、R(Red)層12Rに形成された赤色発光素子14R、G(Green)層12Gに形成された緑色発光素子14G、及びB(Blue)層12Bに形成された青色発光素子14Bは、互いに対応する箇所が略同一形状に形成されているため同一番号を付し、その番号末尾に大文字の(R)、(G)、(B)を付して区別する。同様に、互いに同一の機能を有する構成要素には同一番号を付し、その番号末尾に関連する発光素子14の色に応じて大文字の(R)、(G)、(B)を付して区別する。但し説明過程で、特に区別する必要のない場合には(R)、(G)、(B)を省略する場合がある。
【0014】
第2の層としてのR層12Rに形成された第2の光半導体素子としの赤色発光素子14Rは、積層された、アノード層101R、発光層117R、及びカソード層102Rを有し、各層が、例えばGaAs、AlGaInP、GaN、AlGaN、InGaNなどの材料で構成される単層又は複数の層からなり、赤色の発光素子として機能する。
【0015】
また第1の層としてのG層12Gに形成された第1の光半導体素子としての緑色発光素子14Gは、積層された、アノード層101G、発光層117G、及びカソード層102Gを有し、各層が、例えばGaN、AlGaN、InGaNなどの材料で構成される単層又は複数の層からなり、緑色の発光素子として機能する。
【0016】
また第3の層としてのB層12Bに形成された第3の光半導体素子としての青色発光素子14Bは、積層されたアノード層101B、発光層117B、及びカソード層102Bを有し、各層が、例えばGaN、AlGaN、InGaNなどの材料で構成される単層又は複数の層からなり、青色の発光素子として機能する。
【0017】
各アノード電極103は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜、AuやAl、Pt、Tiなどの金属、又はそれらの合金の、単層又は複数積層されたものからなり、対応するアノード層101及び後述のアノード電極パッド108と電気的に接続されている。各カソード電極104は、ITOなどの透明導電膜、AuやAlなどの金属、又はそれらの合金の、単層又は複数積層されたものからなり、対応するカソード層102及び後述のカソード電極パッド109G,109Bと電気的に接続されている。
【0018】
層間絶縁層16R,16G,16Bは、各下地絶縁層13R,13G,13B上に形成された各発光素子14を埋めるように形成される。また、可視光に対して透明な有機膜や無機膜からなる。各絶縁層107は、有機絶縁膜や無機絶縁膜であり、アノード層101、発光層117、及びカソード層102とアノード電極103との間、アノード層101、発光層117、及びカソード層102とカソード電極104との間に形成され、両者を電気的に絶縁している。
【0019】
各アノード電極パッド108は、本実施の形態においては各下地絶縁層13を貫通した穴を覆うように形成され、各アノード電極パッド108の下面は各下地絶縁層13の下面と同一平面に形成され、AuやAl、Pt、Tiなどの金属、又はそれらの合金の単層又は複数層積層されたものからなり、各アノード電極103と、後述のアノード電極ピラー110G,110Bや対応する後述のアノードパッド113と電気的に接続されている。しかしそれに限らず、各アノード電極パッド108の下面が各下地絶縁層13の下面よりも突出している構造でもよい。
【0020】
カソード電極パッド109G、109Bは、本実施の形態においては各下地絶縁層13を貫通した穴を覆うように形成され、カソード電極パッド109G、109Bの下面は各下地絶縁層13の下面と同一平面に形成され、AuやAl、Pt、Tiなどの金属、又はそれらの合金の、単層又は複数層積層されたものからなり、カソード電極104と後述の各カソード電極ピラー111とに電気的に接続されている。しかしそれに限らず、カソード電極パッド109G、109Bの下面が各下地絶縁層13の下面よりも突出している構造でもよい。
【0021】
アノード電極ピラー110G,110Bは、アノード電極103上に形成され、アノード電極ピラー110G,110Bの上面は層間絶縁層16G、16Bの上面と同一平面上に形成され、CuやNi、Tiなどの金属の単層又は複数層積層されたものからなり、対応するアノード電極103及びアノードパッド113と電気的に接続されている。各カソード電極ピラー111は、カソード電極104上に形成され、アノード電極ピラー110G,110Bの上面は層間絶縁層16G、16Bの上面と同一平面上に形成され、CuやNi、Tiなどの金属の単層又は複数層積層されたものからなり、各カソード電極104、図示しないカソードパッド、及び後述のカソード共通配線114と電気的に接続されている。
【0022】
制御基板としての駆動回路基板11は、Siやガラス基板上に、公知のCMOS技術やTFT技術により発光素子の駆動回路を形成したもので、発光素子14の点灯を駆動制御する。アノードパッド113R,113G,113Bは駆動回路基板11の表面に形成され、対応する各発光素子14と、アノード電極パッド108やアノード電極ピラー110を介して電気的に接続されており、駆動回路から発光素子へ電流を供給する。尚、カソード電極ピラー111に対応する位置にはダミーパッド116が形成されている。
【0023】
カソード共通配線114は、AuやAl、Tiなどの金属、又はそれらの合金の単層又は複数積層されたものからなり、各カソード電極ピラー111、各カソード電極104、及び各カソード電極パッド109を介して、半導体装置100内の全てのカソード層102と駆動回路基板11上に設けられた図示しないカソードパッドとに電気的に接続されている。
【0024】
尚、ここでは、カソード共通配線114を駆動回路基板11上の図示しないカソードパッドに接続する形態を説明したが、カソードパッドは必ずしも駆動回路基板11上にある必要はなく、別の回路基板上のカソードパッドへ例えば公知のワイヤボンディングなどにより接続する構成としてもよい。また、ダミーパッドをカソードパッドとして構成し、下地絶縁層13Rにカソード電極パッド109R(図示しない)を形成し、カソード電極パッド109Rを介して各発光素子と電気的に接続されてもよい。
【0025】
以上のように各カラー発光部15において、赤色発光素子14R、緑色発光素子14G、及び青色発光素子14Bに流す電流経路が形成されているため、各アノードパッド113R,113G,113Bとカソードパッド間に所定の電流を流すことにより、これ等を個別に発光することができる。
【0026】
また、赤色発光素子14Rが発光する光は、緑色発光素子14G及び青色発光素子14Bよりも、波長の長い光であり、緑色発光素子14Gが発光する光は、青色発光素子14Bよりも波長の長い光である。例えば、赤色発光素子14Rが発光する光の波長は、601~780nmであり、緑色発光素子14Gが発光する光の波長は、491~600nmであり、青色発光素子14Bが発光する光の波長は、400~490nmである。
【0027】
また、各カラー発光部において、発光効率(与える電力(W=ワット)に対する光源から発する全光束(lm=ルーメン)の効率)が異なる。それによって、発光効率はR<G<Bという関係になっている。
【0028】
レンズ部材としてのマイクロレンズ115は、層間絶縁層16B及びカソード共通配線114上に、可視光において透明な有機材料又は無機材料により形成されており、後述するように、マイクロレンズ115の曲率半径及び屈折率、層間絶縁層16、下地絶縁層13の各材料の屈折率等により焦点距離fが設定される。
【0029】
図4は、半導体装置100を用いたディスプレイモジュール200を示す概略平面図である。
【0030】
同図に示すように、ディスプレイモジュール200は、半導体装置100と、半導体装置100の駆動回路基板11の上面に形成された接続パッド11aと、接続パッド11aと図示しない異方性導電フィルムなどを介して電気的に接続されたフレキシブル基板120からなる。尚、
図1に示す平面図は、
図4に点線で示す半導体装置100の一部領域190の部分拡大図に相当する。
【0031】
フレキシブル基板120は、ここではディスプレイとして動作する半導体装置100で表示する画像のデータ信号や半導体装置100の電源電圧等を供給する外部装置に電気的に接続され、これ等のデータ信号や電源等がフレキシブル基板120を介して半導体装置100に供給される。
【0032】
図5は、マイクロレンズ115とその焦点距離f等の説明に供する図である。
図5を参照しながら、これらについて説明する。
【0033】
マイクロレンズ115の直径をW1、マイクロレンズ115の光軸と垂直に、且つその中心が光軸上に配置される発光素子14の発光層117の下面119の直径をW2、マイクロレンズ115の焦点距離をf、マイクロレンズ115の外周とその焦点115aとで形成される円錐の内面に接する発光層117の下面119の、マイクロレンズ115の下面からの内接距離をd0とすると、d0は、下式で求められる。尚、ここでは、発光層117の下面119が、直径W2の円で囲まれた領域に形成されているものとする。
【数1】
【0034】
更にマイクロレンズ115の焦点距離fは下式で求められる。
【数2】
ここで、rはマイクロレンズ115の曲率半径、n1はマイクロレンズ115の屈折率、n2は層間絶縁層16の屈折率である。尚、本実施の形態においては、マイクロレンズは球面レンズとしているが、それに限らず非球面レンズで形成されてもよい。
【0035】
ここで、層間絶縁層16の屈折率n2は、RGBのうち、発光層117の下面119の直径W2のサイズの発光素子14における発光効率が最も低い波長(ここでは赤色)における値である。
【0036】
一般的に、レンズの集光率が最も良いのはレンズの焦点であるが、
図5に示すようにマイクロレンズ115の直径W1と発光素子14の発光層117の下面119の直径W2の差が小さい場合において、下面119を焦点距離fの位置に配置した場合、発光素子14の中央の集光率は良くなるが、中央以外の領域から出射された光は、マイクロレンズ115に入射した後、マイクロレンズ115から出射する際に、屈折により外側に広がる方向に曲がってしまい、結果的に発光素子14全体からの出射光の集光率を十分にあげることができない。
【0037】
そこで、
図5に示すように、発光素子14の発光層117の下面119を、マイクロレンズ115からの内接距離d0の位置に配置することにより、発光素子14全体からの全出射光の、マイクロレンズ115への入射効率を上げつつ、集光率を最大化することができる。
【0038】
上記構造を実証するために、光線追跡による光学シミュレーションを行った結果を
図15を参照して説明する。
【0039】
シミュレーションは、まず
図15(a)に示すように、下地絶縁層13上に発光素子14が形成された状態を基準としてその場合の全光束をL(All)とし、次に、
図15(b)に示すように、発光素子14を層間絶縁層16で覆い、その上にマイクロレンズ115を形成した状態で、発光素子14からマイクロレンズ115へ入射する光束をL(Lens-in)、更にそのマイクロレンズ115から出射される全光束Lを(Lens-out)とし、
図15(c)に示すように、マイクロレンズ115から上面の片側15度範囲の立体角に出射された光束をL(Lens15)とする。
【0040】
この時、マイクロレンズ115への入射効率E(ins)を
E(ins)=L(Lens-in)/L(All) と定義し、
マイクロレンズ115に入射した光の中で片側15度範囲の立体角の範囲に出射される光束の割合E(15)を
E(15)=L(Lens15)/L(Lens-in) と定義し、
発光素子14から出射された全光束の中で、マイクロレンズ115透過後の片側15度範囲の立体角における光束割合E(lens)を
E(lens)=L(Lens15)/L(All)=E(in)×E(15)
と定義し、
マイクロレンズ115と発光素子14との距離を変えた場合に、それぞれの割合がどの程度になるかを表1に示す。
【表1】
【0041】
図16(a)は、表1の結果から、距離と、E(ins)及びE(15)の関係をプロットしたグラフであり、
図16(b)は、表1の結果から、距離と、E(lens)の関係をプロットしたグラフである。これらの結果が示すように、E(ins)は、マイクロレンズ115に発光素子14を近づけることで向上するが、E15は、マイクロレンズ115の焦点fに近づけることで向上する。その結果、マイクロレンズ115透過後の片側15度範囲の立体角における光束割合E(lens)は、焦点fよりもマイクロレンズ115側に近づいたところが最も高くなる。
【0042】
本実施の形態の半導体装置100は、
図2に示すように、下から駆動回路基板11、R層12R、G層12G、及びB層12Bが積層した構成で、マイクロレンズ115の光軸に対して
図5で説明した関係で配置された各発光層117R,117G,117Bの下面が、マイクロレンズ115の下面からそれぞれ距離d1、d2、d3の位置に配置されている。
【0043】
そして上記した考察を踏まえて、赤色発光素子14R、緑色発光素子14G、及び青色発光素子14Bのうち、最も発光効率の悪い赤色発光素子14Rの発光層117Rの距離d1に、内接距離d0が最も接近するようにマイクロレンズ115の焦点距離fが設定されている。ここでは
図2に示すように、内接距離d0と、発光層117Rの下面の、マイクロレンズ115の下面からの距離d1がほぼ等しくなるように焦点距離fが設定されている。
【0044】
本実施形態では、駆動回路基板11とR層12Rとの界面よりもマイクロレンズ115から離れるように焦点115aが位置している。言い換えると、駆動回路基板11の内部に焦点115aが位置する。しかし、それに限らず、少なくとも発光層117よりもマイクロレンズ115から離れるように焦点115aが配置されていてもよい。
【0045】
これにより、赤色発光素子14Rの発光効率の低さが、他の位置に配置された発光素子14G,14Bに対してよりも向上するマイクロレンズ115の集光率によって補われ、各色の発光素子14の光量差が補われる。
【0046】
尚、本実施の形態では、下から駆動回路基板11、R層12R、G層12G、及びB層12Bが積層した構成としたが、これに限定されるものではなく、下から駆動回路基板11、R層12R、B層12B、及びG層12Gが積層した構成としてもよい。
【0047】
以上のように、本実施の形態の半導体装置100によれば、積層された発光効率の異なる複数の発光素子14のうち、発光効率が最も低い発光素子14Rの発光効率の低さをマイクロレンズ115の集光率で補い、各色の発光素子14の光量差を補うことが可能となり、例えば効率よく白色を実現することできる。
【0048】
また、内接距離d0と、発光層117Rの下面の、マイクロレンズ115の下面からの距離d1がほぼ等しくなるように焦点距離fが設定されていると説明したが、本実施形態はそれに限らず、赤色発光素子14Rと緑色発光素子14Gと青色発光素子14Bをマイクロレンズ115と焦点との間(例えば、焦点115aとマイクロレンズ115の外周とで囲まれた円錐(
図2に点線で示す)内)に配置し、赤色発光素子14Rを、発光素子14G,14Bよりも焦点距離fの近くに配置するようにすればよい。それによって、例えば、マイクロレンズ115と赤色発光素子14Rを、発光素子14G又は14Bよりも離れた位置に配置した場合よりも、発光素子14Rの発光効率の低さをマイクロレンズ115の集光率で補い、各色の発光素子14の光量差を補うことが可能となる。
【0049】
尚、発光素子の発光効率の差を補うには、各発光素子に流す電流量を調整するなどの方法があるが、この方法では、発光効率の低い発光素子に対しては電流調整のためのレンジを広げる必要があるなど、制御が複雑になりコストアップにつながる恐れがあった。
【0050】
実施の形態2.
図6は、本発明による実施の形態2の半導体装置400の一部分を拡大した平面図であり、
図7は、
図6におけるA-A断面図であり、
図8は、
図6におけるB-B断面図である。
【0051】
この半導体装置400の構成が、前記した
図1、
図2、
図3に示す実施の形態1の半導体装置100の構成と主に異なる点は、積層構造の積層順が下から、駆動回路基板11、B(Blue)層12B、R(Red)層12R、G(Green)層12Gになっている点である。従って、本実施の形態の半導体装置400が、前記した実施の形態1の半導体装置100と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0052】
図7、
図8に示すように、本実施の形態の半導体装置400は、下から駆動回路基板11、B(Blue)層12B、R(Red)層12R、及びG(Green)層12Gが積層した構成を成している。これ等の各層は、下地絶縁層13B,13R,13Gによって仕切られ、各下地絶縁層13B,13R,13Gには、上方からみて重なる位置に、青色発光素子14B、赤色発光素子14R、緑色発光素子14Gが配置されている。これ等の発光素子14及びレンズ部材としてのマイクロレンズ415からなる集合部としてのカラー発光部25は、
図6に示すように(
図1のカラー発光部15に相当)、格子状に互いに隣接して複数形成されている。
【0053】
また半導体装置400は、各層12の発光素子14の発光層117B,117R,117Gの下面が、マイクロレンズ415の下面からそれぞれ距離d1、d2、d3の位置に配置されている。
【0054】
そして
図5を参照して記述した上記考察を踏まえて、青色発光素子14B、赤色発光素子14R、及び緑色発光素子14Gのうち、最も発光効率の悪い赤色発光素子14Rの発光層117Rの距離d2に、内接距離d0が最も接近するようにマイクロレンズ415の焦点距離fが設定されている。ここでは
図7に示すように、内接距離d0と、発光層117Rの下面の、マイクロレンズ415の下面からの距離d2がほぼ等しくなるように焦点距離fが設定されている。
【0055】
これにより、赤色発光素子14Rの発光効率の低さが、他の位置に配置された発光素子14G,14Bに対してよりも向上するマイクロレンズ415の集光率によって補われ、各色の発光素子14の光量差が補われる。
【0056】
以上のように、本実施の形態の半導体装置400によれば、積層された発光効率の異なる複数の発光素子14のうち、最も発光効率が低い発光素子14の発光効率の低さをマイクロレンズ415の集光率で補い、各色の発光素子14の光量差を補うことが可能となる。更に、最も発光効率が低い赤色発光素子14Rが、実施の形態1の場合と比較して、マイクロレンズ415に近い位置に配置されているため、よりマイクロレンズ415への入射効率を高めることが可能となる。
【0057】
また、内接距離d0と、発光層117Rの下面の、マイクロレンズ115の下面からの距離d2がほぼ等しくなるように焦点距離fが設定されていると説明したが、本実施形態はそれに限らず、赤色発光素子14Rと緑色発光素子14Gをマイクロレンズ415と焦点との間(例えば、焦点115aとマイクロレンズ115の外周とで囲まれた円錐(
図2に点線で示す)内)に配置し、赤色発光素子14Rを、発光素子14Gよりも焦点距離fの近くに配置するようにすればよい。それによって、例えば、マイクロレンズと赤色発光素子14Rを、発光素子14Gよりも離れた位置に配置した場合よりも発光素子14Rの発光効率の低さをマイクロレンズ415の集光率で補い、各色の発光素子14の光量差を補うことが可能となる。
【0058】
尚、青色発光素子14Bは、実施の形態1の場合と比較してマイクロレンズ415への入射効率が下がってしまうが、青色は、赤色よりも発光効率が高く、且つ白色を実現する際の混色においてその比率が低いため、マイクロレンズ415への入射効率が下がっても、それを補うだけ赤色の入射効率が向上し、結果として効率よく白色を実現することが可能となる。
【0059】
実施の形態3.
図9は、本発明による実施の形態3の半導体装置500の一部分を拡大した平面図であり、
図10は、
図9におけるC-C断面図であり、
図11は、
図9におけるD-D断面図である。
【0060】
この半導体装置500の構成が、前記した
図1~
図3に示す実施の形態1の半導体装置100の構成と主に異なる点は、発光素子14に代えて受光素子514が配置されている点である。従って、本実施の形態の半導体装置500が、前記した実施の形態1の半導体装置100と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0061】
図10、
図11の各断面図に示すように、半導体装置500は、下から個別電極選択回路基板511、R(Red)層512R、G(Green)層512G、及びB(Blue)層512Bが積層した構成を成している。これ等の各層は、下地絶縁層13R,13G,13Bによって仕切られ、各下地絶縁層13R,13G,13Bには、上方からみて重なる位置に、赤色受光素子514R、緑色受光素子514G,青色受光素子514Bが配置されている。これ等の受光素子514R,514G,514B、及び後述するマイクロレンズ115からなる集合部としてのカラー受光部515は、
図9に示すように、格子状に互いに隣接して複数形成されている。
【0062】
各カラー受光部515は、同一の構成を有し、また各カラー受光部515内の、R層512Rに形成された赤色受光素子514R、G層512Gに形成された緑色受光素子514G、及びB層512Bに形成された青色受光素子514Bは、互いに対応する箇所が略同一形状に形成されているため同一番号を付し、その番号末尾に大文字の(R)、(G)、(B)を付して区別する。同様に、互いに同一の機能を有する構成要素には同一番号を付し、その番号末尾に関連する受光素子514の色に応じて大文字の(R)、(G)、(B)を付して区別する。但し説明過程で、特に区別する必要のない場合には(R)、(G)、(B)を省略する場合がある。
【0063】
第2の層としてのR層512Rに形成された第2の光半導体素子としの赤色受光素子514Rは、積層された、個別電極601R、光電変換素子617R、及び共通電極602Rを有して赤色の受光素子として機能し、第1の層としてのG層512Gに形成された第1の光半導体素子としての緑色受光素子514Gは、積層された、個別電極601G、光電変換素子617G、及び共通電極602Gを有して緑色の受光素子として機能し、第3の層としてのB層512Bに形成され第3の光半導体素子としての青色受光素子514Bは、積層された、個別電極601B、光電変換素子617B、及び共通電極602Bを有して青色の受光素子として機能する。
【0064】
光電変換素子617は有機半導体からなり、特定の波長の光を吸収して電子-正孔対を発生させる。例えば、光電変換素子617Rは赤色、光電変換素子617Gは緑色、光電変換素子617Bは青色をそれぞれ選択的に吸収し、個別電極601R,601G,601B、及び共通電極602R,602G,602Bは、例えばITOなどの透明導電膜からなり、光電変換素子617を個別電極601と共通電極602で挟み込み、光電変換素子617で発生した電荷を取り出す。
【0065】
各個別電極パッド608及び共通電極パッド609は、ITOなどの透明導電膜、AuやAlなどの金属、又はそれらの合金の、単層又は複数積層されたものからなり、対応する個別電極601及び共通電極602と、後述の対応する個別電極ピラー610及び共通電極ピラー611に電気的に接続されている。個別電極ピラー610G、610B及び共通電極ピラー611R,611G,611Bは、CuやNi、Tiなどの金属の単層又は複数層積層されたものからなり、対応する上下の、個別電極パッド608間又は共通電極パッド609間を電気的に接続している。
【0066】
制御基板としての個別電極選択回路基板511は、Siやガラス基板上に、公知のCMOS技術やTFT技術により個別電極選択回路を形成したもので、選択した受光素子514(画素)からの信号を取り出す。個別パッド613R,613G,613Bは、個別電極選択回路基板511の表面に形成され、対応する各受光素子514と、個別電極パッド608や個別電極ピラー610を介して電気的に接続されており、受光素子514からの信号を個別電極選択回路基板511の個別電極選択回路へ伝達する。尚、共通電極ピラー611に対応する位置にはダミーパッド116が形成されている。
【0067】
共通電極配線614は、AuやAlなどの金属、又はそれらの合金の単層又は複数積層されたものからなり、各共通電極ピラー611及び各共通電極パッド609を介して、半導体装置500内の全ての共通電極602と個別電極選択回路基板511上に設けられた図示しない共通電極接続パッドとに電気的接続されている。
【0068】
マイクロレンズ115は、層間絶縁層16B及び共通電極配線614上に、可視光において透明な有機材料又は無機材料により形成されており、マイクロレンズ115の曲率半径及び屈折率、層間絶縁層16の屈折率等により、式(2)で求めた焦点距離fが設定される。
【0069】
本実施の形態において、各光電変換素子617の光電変換効率の関係は、
光電変換素子617R<光電変換素子617G<光電変換素子617B
となっており、
図10に示すように、マイクロレンズ115の光軸に対して、
図5で説明した発光層117の下面119の関係で配置された各光電変換素子617R,617G,617Bの各下面が、マイクロレンズ115の下面からそれぞれ距離d1、d2、d3の位置に配置され、式(1)で求められるマイクロレンズ115の下面からの、光電変換素子617の下面の内接距離をd0としている。
【0070】
尚、ここでの内接距離d0は、
図5において、発光層117の下面119の代わりに、直径W2の光電変換素子617の下面を配置した場合を想定して求めている。つまり、ここでの式(1)のW2は、光電変換素子617の下面の直径である。
【0071】
そして
図5を参照して前記した考察を踏まえて、赤色受光素子514R、緑色受光素子514G、及び青色受光素子514Bのうち、最も光電変換効率の悪い赤色受光素子514Rの光電変換素子617Rの距離d1に、内接距離d0が最も接近するようにマイクロレンズ115の焦点距離fが設定されている。ここでは
図10に示すように、内接距離d0と、光電変換素子617Rの下面の、マイクロレンズ115の下面からの距離d1がほぼ等しくなるように焦点距離fが設定されている。
【0072】
これにより、赤色受光素子514Rの光電変換効率の低さが、他の位置に配置された受光素子514G,514Bに対してよりも向上するマイクロレンズ115の集光率によって補われる。
【0073】
また、内接距離d0と、赤色受光素子514Rの下面の、マイクロレンズ115の下面からの距離d1がほぼ等しくなるように焦点距離fが設定されていると説明したが、本実施形態はそれに限らず、第2の光半導体素子としての赤色受光素子514R、第1の光半導体素子としての緑色受光素子514G、及び青色受光素子514Bをマイクロレンズ115と焦点との間に配置し、赤色受光素子514Rを、緑色受光素子514G及び青色受光素子514Bよりも焦点距離fの近くに配置するようにすればよい。それによって、例えば、マイクロレンズ115と赤色受光素子514Rを、緑色受光素子514G及び青色受光素子514Bよりも離れた位置に配置した場合よりも、赤色受光素子514Rの光電変換効率の低さをマイクロレンズ115の集光率で補い、各色の受光素子の光電変換効率差を補うことが可能となる。
【0074】
(変形例1)
図12は、本発明による実施の形態3の変形例1の半導体装置700の一部分を拡大した平面図であり、
図13は、
図12におけるC-C断面図であり、
図14は、
図12におけるD-D断面図である。
【0075】
この変形例1の半導体装置700の構成が、前記した
図9、
図10、
図11に示す実施の形態3の半導体装置500の構成と主に異なる点は、各受光素子514の光電変換素子717(
図10では617)の形成範囲が広がっている点である。従って、変形例1の半導体装置700が、前記した実施の形態3の半導体装置500と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0076】
図9~
図11に示すように、実施の形態3の半導体装置500では、光電変換素子617が、個別電極601と共通電極602によって挟まれる領域にのみ形成されているが、本変形例1の半導体装置700では、
図12~
図14に示すように、光電変換素子717が、個別電極601と共通電極602によって挟まれる領域を超えて形成されている。
【0077】
ここでは、光電変換素子717の形成領域を、個別電極601及び共通電極602に合わせる必要がないため、その分製造過程が容易となる。但し、光電変換素子717によって実際に光電変換が行われる領域は、個別電極601と共通電極602によって挟まれる領域に限られる。
【0078】
尚、本実施の形態では、下から個別電極選択回路基板511、R層512R、G層512G、及びB層512Bが積層した構成としたが、これに限定されるものではなく、下から個別電極選択回路基板511、R層512R、B層512B、及びG層512Gが積層した構成としてもよいし、更に前記実施の形態2と同様に、下から個別電極選択回路基板511、B層512B、R層512R、及びG層512Gが積層した構成としてもよい。
【0079】
以上のように、本実施の形態の半導体装置(500、700)によれば、積層された光電変換効率の異なる複数の受光素子514のうち、光電変換効率が最も低い受光素子514の光電変換効率の低さをマイクロレンズ115の集光率で補い、各色の受光素子514の光電変換効率の差を補うことが可能となり、各色の変換効率を均一にすることが可能となる。
【0080】
また、前記した特許請求の範囲、及び実施の形態の説明において、「上」、「下」といった言葉を使用したが、これらは便宜上であって、半導体装置を配置する状態における絶対的な位置関係を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
上記した実施形態では、マイクロディスプレイ或いは撮像素子単体として本発明を説明したが、本発明は、映像装置、カメラ、ビデオカメラ等に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
11 駆動回路基板、 11a 接続パッド、 12R R層、 12G G層、 12B B層、 13 下地絶縁層、 14R 赤色発光素子、 14G 緑色発光素子、 14B 青色発光素子、 15 カラー発光部、 16 層間絶縁層、 25 カラー発光部、 100 半導体装置、 101 アノード層、 102 カソード層、 103 アノード電極、 104 カソード電極、 107 絶縁層、 108 アノード電極パッド、 109G カソード電極パッド、 109B カソード電極パッド、 110G アノード電極ピラー、 110B アノード電極ピラー、 111 カソード電極ピラー、 113 アノードパッド、 114 カソード共通配線、 115 マイクロレンズ、 115a マイクロレンズの焦点、 116 ダミーパッド、 117 発光層、 119 発光層117の下面、 120 フレキシブル基板、 200 ディスプレイモジュール、 302 光軸、 400 半導体装置、 415 マイクロレンズ、 500 半導体装置、 511 個別電極選択回路基板、 512R R層、 512G G層、 512B B層、 514R 赤色受光素子、 514G 緑色受光素子、 514B 青色受光素子、 515 カラー受光部、 601 個別電極、 602 共通電極、 608 個別電極パッド、 609 共通電極パッド、 610 個別電極ピラー、 611 共通電極ピラー、 613 個別パッド、 614 共通電極配線、 617 光電変換素子、 700 半導体装置、 717 光電変換素子。