(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044237
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】ワーク回転支持装置及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 31/36 20060101AFI20230323BHJP
B23B 19/02 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B23B31/36 Z
B23B19/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152155
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 章
【テーマコード(参考)】
3C032
3C045
【Fターム(参考)】
3C032GG15
3C045FD04
(57)【要約】
【課題】より簡単にワーク支持部の位置を偏心させることができるワーク回転支持装置及び工作機械を提供する。
【解決手段】ワーク回転支持装置は、ワークWを軸線方向の両端から支持しつつ回転させる一対の主軸ユニット20及び心押ユニット30を有する。主軸ユニット20及び心押ユニット30は、それぞれ、ワークWを支持するセンタ34,74と、ワークWを回転させるためにセンタ34,74とともに回転させられる回転軸部23と、回転軸部23の回転軸J1に対してセンタ34,74の位置を偏心させる偏心機構31A,70Aと、偏心機構31A,70Aを、回転軸部23の回転軸J1に対してセンタ34,74の位置を偏心させた偏心状態と回転軸部23の回転軸J1にセンタ34,74の位置を一致させた非偏心状態の間で切り替える流体供給部24と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを軸線方向の両端から支持しつつ回転させる一対のワーク回転支持ユニットを有するワーク回転支持装置であって、
前記一対のワーク回転支持ユニットは、それぞれ、
前記ワークを支持するワーク支持部と、
前記ワークを回転させるために前記ワーク支持部とともに第1回転軸を中心に回転させられる回転軸部と、
前記回転軸部の前記第1回転軸に対して前記ワーク支持部の位置を偏心させる偏心機構と、
前記偏心機構を、前記回転軸部の前記第1回転軸に対して前記ワーク支持部の位置を偏心させた偏心状態と前記回転軸部の前記第1回転軸に前記ワーク支持部の位置を一致させた非偏心状態の間で状態を切り替える偏心駆動部と、を備える、
ワーク回転支持装置。
【請求項2】
前記ワークは、中心線の位置が互いにずれた偏心部及び非偏心部を有し、
前記ワーク回転支持装置は、前記非偏心部の前記中心線上に位置する一対の前記ワーク支持部により前記ワークが支持された状態において、前記ワークの前記偏心部を加工する際には前記偏心駆動部を通じて前記偏心機構を前記偏心状態に設定し、前記ワークの前記非偏心部を加工する際には前記偏心駆動部を通じて前記偏心機構を前記非偏心状態に設定する制御部を備える、
請求項1に記載のワーク回転支持装置。
【請求項3】
前記一対のワーク回転支持ユニットは、それぞれ、
前記ワーク支持部であるセンタを支持するセンタ支持部と、
前記センタ支持部の外周に設けられ、前記センタの位置を偏心させるために前記センタ支持部を第2回転軸を中心に回転可能に収容する収容部と、を備え、
前記センタの中心軸と前記センタ支持部の前記第2回転軸は互いにずれた位置に設けられ、
前記偏心機構は、
前記センタ支持部に固定されるアームと、
前記偏心駆動部により進退することにより前記センタ支持部を前記収容部内で前記第2回転軸を中心に回転させるアーム駆動部材と、
前記アームとの接触を通じて前記アームを、前記センタの位置を偏心させた偏心位置で止めるストッパ部と、を備え、
前記ストッパ部は、
本体部と、
前記本体部に螺合されている偏心位置決め部と、を備え、
前記偏心位置決め部は、回転操作されることにより、前記偏心位置を調整可能に構成されている、
請求項1又は2に記載のワーク回転支持装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のワーク回転支持装置と、
前記ワーク回転支持装置により回転させられた状態の前記ワークを加工する加工ユニットと、を備える、
工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク回転支持装置及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のクランク軸用偏心チャック装置は、チャック本体にクランク軸を主軸軸線に対して偏心した位置で把持するクランプ装置と、この偏心量を変更するためにチャック本体を偏心方向に移動させるシリンダと、偏心方向に高さの異なる段差部を有するエンドキャップと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、偏心させるにあたっては、エンドキャップのボルト締めを緩めて180度回転させ、段差部のシリンダに当接する高さを変えたうえで、エンドキャップのボルト締めを行う必要がある。このため、偏心量を変更するのに手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、より簡単にワーク支持部の位置を偏心させることができるワーク回転支持装置及び工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るワーク回転支持装置は、ワークを軸線方向の両端から支持しつつ回転させる一対のワーク回転支持ユニットを有するワーク回転支持装置であって、前記一対のワーク回転支持ユニットは、それぞれ、前記ワークを支持するワーク支持部と、前記ワークを回転させるために前記ワーク支持部とともに第1回転軸を中心に回転させられる回転軸部と、前記回転軸部の前記第1回転軸に対して前記ワーク支持部の位置を偏心させる偏心機構と、前記偏心機構を、前記回転軸部の前記第1回転軸に対して前記ワーク支持部の位置を偏心させた偏心状態と前記回転軸部の前記第1回転軸に前記ワーク支持部の位置を一致させた非偏心状態の間で状態を切り替える偏心駆動部と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る工作機械は、前記ワーク回転支持装置と、前記ワーク回転支持装置により回転させられた状態の前記ワークを加工する加工ユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より簡単にワーク支持部の位置を偏心させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る円筒研削盤の平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る円筒研削盤の正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る主軸ユニットの断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る円筒研削盤の側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る
図3の矢印Zから見た図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る偏心状態にある
図3のL-L線の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る非偏心状態にある
図3のL-L線の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るセンタの偏心量を示す説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る
図1のワークの周辺を拡大した図である。
【
図10】(a)は本発明の一実施形態に係る偏心状態でワークの偏心部を回転させたときの模式図であり、(b)は比較例に係る非偏心状態でワークの偏心部を回転させたときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るワーク回転支持装置及び工作機械の一例である円筒研削盤について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、円筒研削盤1は、円筒研削盤1全体の台であるベッド10と、主軸ユニット20と、心押ユニット30と、直進テーブル40と、テーブル移動機構45と、砥石ユニット60と、砥石移動機構65と、制御部300と、位置決め部材12(
図2参照)と、を備える。主軸ユニット20及び心押ユニット30は、それぞれワーク回転支持ユニットの一例であり、ワーク回転支持装置5を構成する。
以下では、ワークWの回転軸に沿う軸線方向をZ軸方向と規定し、Z軸方向に直交する高さ方向をY軸方向と規定し、Y軸方向及びZ軸方向に直交する奥行き方向をX軸方向と規定する。
図9に示すように、円筒研削盤1にて加工されるワークWは、例えば、中心線C1に沿って延びる非偏心部W1と、中心線C2に沿って延びる偏心部W2と、を備える。非偏心部W1及び偏心部W2は、それぞれ円柱状をなし、中心線C1,C2が互いにずれた状態で連結されている。偏心部W2は、非偏心部W1よりも小径で形成されている。ワークWの第1端面E1には後述する主軸センタ74の先端部が嵌まるセンタ穴Eaが形成され、ワークWの第2端面E2には後述する心押センタ34の先端部が嵌まるセンタ穴Ebが形成されている。ワークWのうち非偏心部W1は、中心線C1が2つのセンタ穴Ea,Ebを結ぶ線に一致する部位を指す。ワークWのうち偏心部W2は、中心線C2が2つのセンタ穴Ea,Ebを結ぶ線からずれている部位を指す。ワークWは、例えば、減速機に用いられる偏心軸又は電動アクチュエータ(モータ)のモータシャフトである。
【0011】
直進テーブル40は、ベッド10の上面に位置し、テーブル移動機構45によりZ軸方向(送り方向S)に移動可能に構成されている。
直進テーブル40の上面には主軸ユニット20と心押ユニット30が設置されている。詳しくは、
図2に示すように、ベッド10の上面には、Z軸方向に沿って延びるレール11が設けられている。レール11には、主軸ユニット20(正確には後述するケース部22)と心押ユニット30(正確には後述する心押台32)がZ軸方向に移動可能に嵌め込まれている。主軸ユニット20及び心押ユニット30は、複数の位置決め部材12によりレール11上で位置決めされている。位置決め部材12は、締め駒である。作業者は、位置決め部材12を緩めて、主軸ユニット20と心押ユニット30をレール11に沿って手動で移動させることにより主軸ユニット20と心押ユニット30の間の距離調整を行う。その後、位置決め部材12を締めることによりワークWの長さに応じた主軸ユニット20と心押ユニット30の間の距離に調整できる。
主軸ユニット20と心押ユニット30は、ワークWを回転軸に沿うZ軸方向から挟み込むように支持し、ワークWを支持した状態で軸回転させる。
主軸ユニット20と心押ユニット30の具体的な構成については後述する。
【0012】
図1に示すように、砥石ユニット60は、砥石61と、砥石台62と、砥石回転駆動機構63と、を備える。
砥石61は略円板状に形成されている。砥石台62は、砥石61の中心を貫く回転軸61oを中心に砥石61を回転可能に支持する。回転軸61oは、Z軸方向に沿って延びる。
砥石回転駆動機構63は、回転軸61oを中心に砥石61を回転させる。
砥石回転駆動機構63は、モータ63aと、プーリ63b,63cと、ベルト63dと、を備える。プーリ63bは、モータ63aの出力軸に固定されている。プーリ63cは、砥石台62の砥石61を回転可能に支持する回転支持部(図示略)の後端に固定されている。ベルト63dは、X軸方向に沿って延び、プーリ63b,63cの間に掛け回されている。モータ63aが駆動すると、プーリ63bの回転がベルト63dを介してプーリ63cに伝達され、プーリ63cが回転することにより、砥石61が回転する。
【0013】
砥石移動機構65は、砥石ユニット60をX軸方向に移動させることにより、砥石61の外周面を主軸ユニット20と心押ユニット30の間に支持されるワークWに接触させる。
【0014】
テーブル移動機構45及び砥石移動機構65は、それぞれ、モータ、ボールねじ及びナットを有し、モータの回転力をボールねじ及びナットにより直線運動に変換することにより、対応する直進テーブル40又は砥石ユニット60を直線的に移動させる構成からなる。
【0015】
次に、主軸ユニット20について具体的に説明する。
図3に示すように、主軸ユニット20は、ワークWの第1端面E1を支持しつつワークWを回転させる。詳しくは、主軸ユニット20は、主軸部70と、ケース部22と、流体供給部24と、流体通過軸部25と、プーリ21を有する回転軸部23と、
図1に破線で示す主軸センタ回転駆動部26と、を備える。
【0016】
図1に示すように、主軸センタ回転駆動部26は、回転軸部23、ひいては主軸部70に回転力を加えて回転軸部23を回転軸J1を中心に回転させる。主軸センタ回転駆動部26は、モータ26aと、モータ26aの出力軸に固定されるプーリ26bと、プーリ21,26bの間で回転力を伝達するタイミングベルト26cと、を備える。モータ26aは、X軸方向において、回転軸部23の後端部の隣に設けられる。タイミングベルト26cは、プーリ21,26bの間に掛け回されている。モータ26aが駆動すると、プーリ26bが回転し、このプーリ26bの回転力がタイミングベルト26cを介してプーリ21に伝わり、回転軸部23が回転軸J1を中心に回転する。
【0017】
図3に示すように、ケース部22は、Z軸方向に開口した箱状をなす。
回転軸部23は、Z軸方向に沿って延びる円筒状をなし、ケース部22内で複数の軸受22aを介して軸回転可能に支持される。回転軸部23の後端側の周囲には、プーリ21が固定されている。
【0018】
流体通過軸部25は、回転軸部23内にZ軸方向に沿って延び、回転軸部23とともに回転可能に構成されている。流体通過軸部25の後端には流体供給部24が配管を通じて接続されている。流体通過軸部25内には流体通過路25aが形成されている。流体供給部24からの流体(エア)は、流体通過路25aを介して後述する流体供給室78(
図6参照)に供給される。
【0019】
図3に示すように、主軸部70は、回転軸部23の先端側に固定されていて、回転軸部23とともに回転可能に構成されている。
主軸部70は、
図6に示すように、偏心機構70Aと、センタ支持部73と、複数のバランスウエイト75aと、
図3の下部に拡大して示すように、主軸センタ74と、複数のバランスウエイト75bと、収容部79と、を備える。
図6に示すように、偏心機構70Aは、アーム71と、アーム駆動部材72と、ストッパ部77と、流体供給室78と、を備える。
【0020】
図3に示すように、主軸センタ74はワークWの第1端面E1を支持する。主軸センタ74は先端が円錐状に先細りする形状をなす。
収容部79は、センタ支持部73の外周に位置し、複数の軸受79aを介して偏心量調整用回転軸73oを中心にセンタ支持部73を回転可能に支持する。
図6に示すように、収容部79は、複数のバランスウエイト75aが装着される保持部材76a,76bを備える。保持部材76aは、アーム71と接触することによりアーム71を非偏心位置に位置決めする非偏心位置決め部76a1を備える。保持部材76aの上方には流体供給室78が形成されている。
【0021】
図3の下部に拡大して示すように、センタ支持部73は、Z軸方向に延びる略円柱状をなす。センタ支持部73には、後述する心押センタ34(
図9参照)に対向する側の面に凹部73aが形成されている。凹部73aには主軸センタ74の後端部が嵌まる。主軸センタ74は、センタ支持部73に複数のボルトである締結部材73bにより固定されている。センタ支持部73は、大径部73cと、小径部73dと、中径部73eと、を備える。小径部73dは、センタ支持部73において回転軸部23に最も近く、大径部73cは、センタ支持部73において回転軸部23から最も遠くに位置する。中径部73eは、大径部73c及び小径部73dの間に位置し、大径部73cよりも小径で、かつ小径部73dよりも大径である。
図6に示すように、中径部73eの外周面には、2つの平面部73f,73gが形成されている。2つの平面部73f,73gは、互いに平行をなし、センタ支持部73の外周に180度離れた位置に設けられる。2つの平面部73f,73gは、X軸方向に対して傾斜している。
センタ支持部73の偏心量調整用回転軸73oは、主軸センタ74の中心軸74oに対してずれた位置、本例では、Y軸方向にずれた位置に設けられている。
【0022】
図6に示すように、アーム71は、アーム駆動部材72により動かされる部位であり、
アーム駆動部材72により動かされることによりセンタ支持部73を偏心量調整用回転軸73oを中心に回転させる。アーム71は、センタ支持部73の外周面に固定されており、センタ支持部73の径方向、本例では、Y軸方向に延びる。
アーム71は、アーム駆動部材72により押される被押圧部71aと、ストッパ部77に接触する接触部71bと、センタ支持部73に固定される固定部71cと、を備える。
【0023】
固定部71cは、センタ支持部73の中径部73eの平面部73gに複数のボルトである締結部材71tにより固定されている。締結部材71tの頭部は平面部73fに形成される頭部収容凹部に嵌まり、締結部材71tの軸部の先端は平面部73gから突出して固定部71cに螺合されている。
【0024】
接触部71bは、被押圧部71aと固定部71cの間に位置する。接触部71bは、
図6に示すように、偏心位置にあるアーム71に当接する第1当接部71b1と、
図7に示すように、非偏心位置にあるアーム71に当接する第2当接部71b2と、を備える。第1当接部71b1及び第2当接部71b2は、それぞれ接触部71bのZ軸方向の両側に設けられ、球面形状を持つボルト頭部により構成される。
【0025】
被押圧部71aは、2つの曲面部71a1,71a2(
図6参照)と、ロッド通過孔部71a3(
図3の下部参照)と、を備える。
図3に示すように、ロッド通過孔部71a3は、X軸方向に貫通するアーム駆動部材72の後述するロッド72bが通過する貫通孔を有する。ロッド通過孔部71a3は、センタ支持部73からアーム71を取り外し可能となるようにロッド72bの上方向及び下方向にロッド72bよりも大きい面積の丸孔が形成されている。
図6に示すように、曲面部71a1,71a2は、それぞれ凸状に膨らむ湾曲状をなし、X軸方向に互いに反対側を向くように配置されている。
図3の下部に示すように、曲面部71a1,71a2は、それぞれ、Z軸方向においてロッド72bを挟み込むようにロッド72bの両側に形成されている。
【0026】
図6に示すように、アーム駆動部材72は、ピストン部72aと、ロッド72bと、を備える。ピストン部72aは、流体供給室78内に位置し、流体供給室78を2つの部屋78a,78bに区画する。部屋78aには流体供給口78a1が設けられ、部屋78bには流体供給口78b1が設けられている。
ロッド72bは、偏心量調整用回転軸73oに交わる方向、本例では、X軸方向に延びる。ロッド72bの先端部は、ストッパ部77の後述する軸受77c内に支持されている。ロッド72bは、曲面部71a1に接触する押圧面72b1と、曲面部71a2に接触する押圧面72b2と、を備える。押圧面72b1,72b2はそれぞれY軸方向に沿って延びる。
【0027】
図6に示すように、ストッパ部77は、ロッド72bの先端部を支持するとともに、アーム71を偏心位置に位置決めする。詳しくは、ストッパ部77は、本体部77aと、偏心位置決め部77bと、軸受77cと、を備える。
本体部77aは、ロッド72bの先端側に位置する。軸受77cは、本体部77aに形成される孔内に位置し、ロッド72bをその軸方向に移動可能となるようにロッド72bの先端部を支持する。偏心位置決め部77bは、外周にねじが切られたスクリュー軸であり、アーム71の可動方向、すなわち、X軸方向に延び、本体部77aに螺合されている。偏心位置決め部77bは、軸受77cよりもセンタ支持部73に近い位置に設けられる。偏心位置決め部77bの先端部は、第1当接部71b1に当接することで、アーム71を偏心位置に位置決めする。偏心位置決め部77bが回転操作されることにより、偏心位置決め部77bがアーム71に対して進退する。この進退により、偏心位置の調整が可能となる。
【0028】
図5及び
図6に示すように、複数のバランスウエイト75a,75bは、偏心機構70Aが設けられた構成であっても、主軸部70の回転バランスを保つために設けられている。
図6に示すように、複数、本例では3つのバランスウエイト75aは、保持部材76a,76bに固定され、主軸部70の回転方向において偏心機構70Aが配置される部位を除いて、略90°間隔で配置されている。
図5に示すように、複数、本例では3つのバランスウエイト75bは、主軸部70の外周に等角度、本例では120°間隔で配置されている。各バランスウエイト75bには長孔75b1が形成されている。長孔75b1は、各バランスウエイト75bの位置調整のために主軸部70の回転方向に沿って湾曲して形成されている。長孔75b1に締結部材であるボルト75b2が挿通されることにより、各バランスウエイト75bが主軸部70の外ケース部76cに対して固定されている。各バランスウエイト75bは、主軸部70の回転方向に沿って位置調整が可能である。この位置調整により、主軸部70の回転バランスを調整することができる。
なお、
図6及び
図7においては、偏心機構70Aが上方に位置している状態が図示されており、この状態を基準に上記のように構成を説明したが、主軸部70は回転軸部23とともに全体が回転するため、偏心機構70Aの位置は上方に限られない。
【0029】
次に、心押ユニット30について具体的に説明する。
図9に示すように、心押ユニット30は、ワークWの第2端面E2を支持しつつワークWを回転させる。詳しくは、
図4に示すように、心押ユニット30は、心押センタ34を有する心押部31と、心押部31を支持する心押台32と、心押部31を回転させる心押センタ回転駆動機構35(
図2参照)と、心押ユニット30をZ軸方向に進退させる心押駆動部(図示略)と、を備える。さらに、心押ユニット30は、主軸ユニット20と同様に、回転軸部(図示略)と、流体供給部(図示略)と、流体通過軸部(図示略)と、を備える。
図2に示すように、心押センタ回転駆動機構35は、モータ35aと、タイミングベルト35bと、を備える。タイミングベルト35bは、モータ35aの出力軸に固定されるプーリ(図示略)と心押台32内を通過する回転軸部に固定されるプーリ(図示略)の間に掛け回されている。モータ35aの駆動力がタイミングベルト35bを介して心押台32内を通過する回転軸部(図示略)に伝達されて、この回転軸部とともに心押センタ34が回転する。
【0030】
図4に示すように、心押部31は、正面から見て、主軸部70と左右方向(X軸方向)に対称な構成をなす。心押部31は、主軸部70と同様の構成を有する。心押部31は、主軸センタ74に相当する心押センタ34と、偏心機構70Aに相当する偏心機構31Aと、センタ支持部73に相当するセンタ支持部33と、複数のバランスウエイト75bに相当する複数のバランスウエイト35cと、バランスウエイト75aに相当するバランスウエイト(図示略)と、収容部79に相当する収容部(図示略)と、を備える。偏心機構31Aは、偏心機構70Aと同様に、何れも図示しない、アーム(図示略)と、アーム駆動部材(図示略)と、ストッパ部(図示略)と、流体供給室(図示略)と、を備える。心押部31の機能及び構造は、主軸部70と同様であるため、その説明を省略する。
【0031】
図1に示すように、制御部300は、主軸ユニット20、心押ユニット30、テーブル移動機構45と、砥石ユニット60及び砥石移動機構65を制御する。制御部300は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の処理部と、この処理部による処理の手順を定義したプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備える。
【0032】
次に、制御部300により実行される加工処理について説明する。制御部300は、事前に作成されたNC(Numerical Control)プログラムに従って、この加工処理を実行する。この加工処理を開始するにあたって、手動又はワークローダにより、主軸センタ74と心押センタ34の間にワークWがセットされる。
【0033】
ワークWがセットされた状態で、まず、制御部300は、心押駆動部(図示略)を介して心押センタ34を前進させる。これにより、主軸センタ74と心押センタ34の間にワークWが支持される。この際、
図9に示すように、主軸センタ74の先端部がワークWの第1端面E1のセンタ穴Eaに入り、心押センタ34の先端部がワークWの第2端面E2のセンタ穴Ebに入る。センタ穴Ea,Ebが非偏心部W1の中心線C1上に位置するため、心押センタ34の先端部及び主軸センタ74の先端部は、非偏心部W1の中心線C1上に位置する。
【0034】
次に、偏心部W2の加工を行うにあたって、まず、制御部300は、主軸部70及び心押部31を偏心状態に設定する。そして、主軸センタ回転駆動部26及び心押センタ回転駆動機構35を介して主軸センタ74と心押センタ34をワークWとともに偏心部W2の中心線C2と同軸線上の回転軸を中心に同期回転させる。この際、主軸センタ74と心押センタ34はワークWのセンタ穴Ea,Ebとの接触による摩擦力によりワークWとともに回転する。この偏心状態とは、ワークWが偏心部W2の中心線C2を中心に回転するように主軸センタ74と心押センタ34の位置が回転軸部23の回転軸J1に対してずらされた状態である。主軸部70及び心押部31が偏心状態にあると、
図10(a)に模式的に示すように、主軸センタ74と心押センタ34が偏心部W2の中心線C2及び回転軸部23の回転軸J1を中心に回転する。偏心状態では、偏心部W2の振れをなくすことができるため、偏心部W2の加工が可能となる。非偏心状態から偏心状態への切り替え方法については後で詳述する。
一方、比較例として、主軸部70及び心押部31を非偏心状態でワークWを回転させると、
図10(b)に模式的に示すように、中心線C2からずれた主軸センタ74と心押センタ34の位置を中心に偏心部W2が振れながら回転する。このため、非偏心状態で偏心部W2の加工はできない。
【0035】
制御部300は、主軸部70と心押部31を偏心状態に設定した後、砥石回転駆動機構63を介して砥石61を回転させた状態で、砥石移動機構65を介して砥石61を、偏心状態で回転するワークWの偏心部W2に接触させる。これにより、偏心部W2の加工、すなわち、研削が行われる。この際、制御部300は、偏心部W2の加工幅が砥石61の幅よりも大きい場合には、テーブル移動機構45を介してワークWを送る。また、この際、制御部300は、テーブル移動機構45を介して、砥石61を加工開始位置から加工終了位置まで移動させつつ研削する。その後に、加工終了位置にて砥石61をワークWの径方向にさらに切り込んだうえで、加工終了位置から加工開始位置まで移動させる工程を繰り返す、いわゆるトラバース加工を行ってもよい。
偏心部W2の加工が完了すると、非偏心部W1の加工へ移行する。
【0036】
非偏心部W1の加工を行うにあたって、まず、制御部300は、主軸部70及び心押部31を非偏心状態に設定する。非偏心状態は、ワークWが非偏心部W1の中心線C1を中心に回転するように主軸センタ74と心押センタ34の位置が回転軸部23の回転軸J1に一致した状態である。主軸部70及び心押部31が非偏心状態にあると、非偏心部W1が中心線C1を中心に回転する。このため、非偏心状態では、非偏心部W1の振れをなくすことができるため、非偏心部W1の加工が可能となる。
偏心状態から非偏心状態への切り替え方法については後で詳述する。
【0037】
制御部300は、主軸部70及び心押部31を非偏心状態に設定した後、上述した偏心部W2の加工と同様に、非偏心部W1の加工を行う。
本例では、偏心部W2の加工後に、非偏心部W1の加工が行われていたが、反対に、非偏心部W1の加工後に、偏心部W2の加工が行われてもよい。
制御部300は、非偏心部W1の加工完了後に、主軸センタ74と心押センタ34の回転を停止し、砥石移動機構65を介して砥石61をワークWから離れた原位置に戻す。
そして、制御部300は、心押駆動部(図示略)を介して心押センタ34を後退させ、ワークWを手動又はローダ等で排出する。
以上で、加工処理が終了となる。この加工処理は、ワークWが供給される毎に繰り返し実行される。
【0038】
次に、非偏心状態から偏心状態への切り替え方法について説明する。
図3及び
図6に示すように、制御部300は、流体供給部24を駆動させて正圧の流体(エア)を、流体通過路25aを介して流体供給室78の流体供給口78b1に供給する。これにより、流体供給室78の部屋78b内に流体が供給され、アーム駆動部材72が前進する。これにより、
図6に示すように、アーム71が偏心位置決め部77bに接触することにより偏心位置まで移動し、これに伴いセンタ支持部73が偏心量調整用回転軸73oを中心に回転する。詳しくは、
図8に示すように、センタ支持部73が偏心量調整用回転軸73oを中心に反時計回りに角度αにわたって回転し、これにより、回転軸J1に対する主軸センタ74の中心軸74oが旋回半径Rで偏心量調整用回転軸73oを中心に偏心量Hだけ偏心する。偏心量Hは、本例では、X軸方向に設定されている。旋回半径Rは、中心軸74oと偏心量調整用回転軸73oの間の距離d(
図3の下部拡大図参照)に設定される。
心押部31は、主軸部70と同様に、非偏心状態から偏心状態へ切り替えられる。主軸部70と心押部31は、それぞれ正面から見て偏心方向が左右対称であり、主軸部70の主軸センタ74と心押部31の心押センタ34の偏心量Hは同一である。このため、主軸センタ74と心押センタ34が偏心しても、主軸センタ74と心押センタ34の間で支持されたワークWの中心線C1,C2が回転軸部23の回転軸J1に平行をなした状態に保たれる。
【0039】
次に、偏心状態から非偏心状態への切り替え方法について説明する。
図3及び
図7に示すように、制御部300は、流体供給部24を駆動させて流体(エア)を、流体通過路25aを介して流体供給室78の流体供給口78a1に供給する。これにより、流体供給室78の部屋78a内に流体が供給され、アーム駆動部材72が後退する。これにより、アーム71が非偏心位置決め部76a1に接触することにより非偏心位置まで移動し、これに伴いセンタ支持部73が偏心量調整用回転軸73oを中心に回転する。詳しくは、
図8に示すように、センタ支持部73が偏心量調整用回転軸73oを中心に時計回りに角度αにわたって回転し、これにより、主軸センタ74の中心軸74oが回転軸部23の回転軸J1に一致し、偏心量Hがゼロとなる。心押部31は、主軸部70と同様に、偏心状態から非偏心状態へ切り替えられる。
【0040】
次に、主軸センタ74の偏心量Hの調整方法について説明する。この調整方法は、作業者によって行われてもよいし、プログラムに従って自動で行われてもよい。
まず、主軸部70が偏心状態に設定されたうえで、主軸センタ回転駆動部26を介して主軸センタ74を回転させる。次に、例えばダイヤルゲージ及び測定子を有する振れ量測定部により、主軸センタ74の回転振れ量が測定される。詳しくは、ダイヤルゲージをスタンドで固定し、測定子を主軸センタ74に当て、回転中の主軸センタ74におけるダイヤルゲージにより測定された値の最大値と最小値の差分が振れ量として取得される。この取得される振れ量は、目的とする偏心量Hの2倍となるように偏心位置決め部77bが回転操作される。このように、偏心位置決め部77bの回転方向及び回転量により偏心量Hを調整することができる。なお、偏心位置決め部77bは、回転操作が完了した位置で、図示しない止めねじにより止められる。この止めねじは、ストッパ部77の本体部77aに形成されるねじ孔に螺合され、この止めねじの先端は偏心位置決め部77bの外周面に接触する。
心押センタ34の偏心量Hの調整も、上述した主軸センタ74の偏心量Hの調整と同様に行われる。
【0041】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ワーク回転支持装置5は、ワークWを軸線方向(Z軸方向)の両端から支持しつつ回転させる一対のワーク回転支持ユニットの一例である主軸ユニット20及び心押ユニット30を有する。主軸ユニット20及び心押ユニット30は、それぞれ、ワークWを支持するワーク支持部の一例であるセンタ34,74と、ワークWを回転させるためにセンタ34,74とともに回転させられる回転軸部23と、回転軸部23の第1回転軸の一例である回転軸J1がワークWの偏心部W2の中心線C2に合うように回転軸部23の回転軸J1に対してセンタ34,74の位置を偏心させる偏心機構31A,70Aと、偏心機構31A,70Aを、回転軸部23の回転軸J1に対してセンタ34,74の位置を偏心させた偏心状態と回転軸部23の回転軸J1にセンタ34,74の位置を一致させた非偏心状態の間で切り替える偏心駆動部の一例である流体供給部24と、を備える。
この構成によれば、偏心機構31A,70Aは、人手を介在させることなく自動でセンタ34,74の位置を偏心させることができるため、より簡単にセンタ34,74の位置を偏心させることができる。
【0042】
(2)ワークWは、中心線C1,C2の位置が互いにずれた非偏心部W1及び偏心部W2を有する。ワーク回転支持装置5は、非偏心部W1の中心線C1上に位置する一対のセンタ34,74によりワークWが支持された状態において、偏心部W2を加工する際には流体供給部24を通じて偏心機構31A,70Aを偏心状態に設定し、非偏心部W1を加工する際には流体供給部24を通じて偏心機構31A,70Aを非偏心状態に設定する制御部300を備える。
この構成によれば、非偏心部W1と偏心部W2の間で加工する部位が切り替えられるときには、偏心機構31A,70Aを加工サイクル中に偏心状態と非偏心状態の間で切り替えればよく、段取り替えを伴わない。このため、より簡単に、非偏心部W1と偏心部W2の加工が可能となる。
また、従来、センタの位置を偏心させずに砥石を支持する砥石台を揺動させる手法もあるが、この手法では、ワークを高速で精度良く加工することが困難であった。この点、上記構成では、ワークWを高速で精度良く加工することが可能となる。
【0043】
(3)主軸ユニット20及び心押ユニット30は、それぞれ、センタ34,74を支持するセンタ支持部33,73と、センタ支持部33,73の外周に設けられ、センタ34,74の位置を偏心させるためにセンタ支持部33,73を第2回転軸の一例である偏心量調整用回転軸73oを中心に回転可能に収容する収容部79と、を備える。センタ34,74の中心軸74oとセンタ支持部33,73の偏心量調整用回転軸73oは互いにずれた位置に設けられる。偏心機構31A,70Aは、センタ支持部33,73に固定されるアーム71と、流体供給部24により進退することによりセンタ支持部33,73を収容部79内で偏心量調整用回転軸73oを中心に回転させるアーム駆動部材72と、アーム71との接触を通じてアーム71を、センタ34,74の位置を偏心させた偏心位置で止めるストッパ部77と、を備える。ストッパ部77は、本体部77aと、本体部77aに螺合されている偏心位置決め部77bと、を備える。偏心位置決め部77bは、回転操作されることにより、偏心位置を調整可能に構成されている。
この構成によれば、偏心位置決め部77bの回転操作により、偏心位置を簡単に調整することができる。
【0044】
(4)工作機械の一例である円筒研削盤1は、ワーク回転支持装置5と、ワーク回転支持装置5により回転させられた状態のワークWを加工する加工ユニットの一例である砥石ユニット60と、を備える。
この構成によれば、円筒研削盤1において、より簡単にセンタ34,74の位置を偏心させることができる。
さらに、1台の円筒研削盤1で非偏心部W1と偏心部W2の両方の加工が同一の加工サイクル中に可能となり、複数台の機械が不要となる。
【0045】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0046】
(変形例)
上記実施形態においては、センタ34,74がワーク支持部としてワークWを支持していたが、これに限らず、チャックがワーク支持部としてワークWを支持してもよい。
【0047】
上記実施形態においては、工作機械として円筒研削盤1が採用されていたが、工作機械であればよく、例えば、旋盤又は転造盤であってもよい。
【0048】
上記実施形態における砥石台62は砥石61とともに送り方向Sに移動するように構成されてもよい。この場合、直進テーブル40及びテーブル移動機構45は省略されてもよい。
【0049】
上記実施形態における流体供給部24は、エア以外のオイル等の流体を供給することにより主軸部70を偏心状態と非偏心状態の間で切り替えてもよい。
また、流体供給部24に限らず、モータやソレノイド等のアクチュエーターが、偏心駆動部として、主軸部70を偏心状態と非偏心状態の間で切り替えてもよい。この場合、アーム71が省略されて、センタ支持部73が偏心量調整用回転軸73oを中心に直接に回転させられてもよい。
また、上記実施形態においては、偏心状態の偏心量は1つに設定されていたが、これに限らず、無段階(複数)の偏心量が設定可能に構成されてもよい。この場合、例えば、モータ等の駆動部により偏心位置決め部77bを回転させて自動で偏心量を調整可能に構成されてもよい。また、無段階(複数)の偏心量を設定可能に構成するために、偏心位置決め部77bを使用せずに、例えば、油圧サーボ機構等を用いて、ロッド72bを複数の停止位置の間で進退可能に構成されてもよい。この場合、偏心位置決め部77b及び非偏心位置決め部76a1を省略可能である。
【0050】
上記実施形態においては、偏心位置決め部77bは回転操作可能に構成されていたが、これに限らず、回転操作不能に構成されてもよい。
また、上記実施形態においては、偏心量Hは、本例では、X軸方向に設定されていたが、これに限らず、Y軸方向に設定されていてもよい。
また、上記実施形態においては、ワークWのセンタ穴Ea,Ebは、非偏心部W1の中心線C1上に位置していたが、これに限らず、偏心部W2の中心線C2上に位置していてもよい。この場合、非偏心部W1が偏心部となり、偏心部W2が非偏心部となる。
さらに、ワークWのセンタ穴Ea,Ebが省略されてもよい。この場合、センタ34,74の先端部がそれぞれワークWの第1端面E1及び第2端面E2に接触した状態で、センタ34,74の間でワークWが支持される。センタ穴Ea,Ebが省略された場合でも、センタ34,74の先端部が中心線C1上に位置するようにワークWが支持されると、上記実施形態と同様に、非偏心部W1及び偏心部W2となる。一方、センタ34,74の先端部が中心線C2上に位置するようにワークWが支持されると、上記変形例と同様に、非偏心部W1が偏心部となり、偏心部W2が非偏心部となる。
また、上記実施形態においては、主軸センタ回転駆動部26及び心押センタ回転駆動機構35は、タイミングベルトを用いて駆動力を伝達する、いわゆるベルト駆動方式であったが、このベルト駆動方式に限らず、互いに噛み合う複数のギアを用いて駆動力を伝達する、いわゆるギア駆動方式であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…円筒研削盤、5…ワーク回転支持装置、10…ベッド、11…レール、12…位置決め部材、20…主軸ユニット、21,26b…プーリ、26c…タイミングベルト、63b,63c…プーリ、22…ケース部、22a,79a…軸受、23…回転軸部、24…流体供給部、25…流体通過軸部、25a…流体通過路、26…主軸センタ回転駆動部、26a,35a,63a…モータ、30…心押ユニット、31…心押部、31A,70A…偏心機構、32…心押台、33,73…センタ支持部、34…心押センタ、35…心押センタ回転駆動機構、35b…タイミングベルト、63d…ベルト、35c,75a,75b…バランスウエイト、40…直進テーブル、45…テーブル移動機構、60…砥石ユニット、62…砥石台、61…砥石、63…砥石回転駆動機構、65…砥石移動機構、70…主軸部、71…アーム、71a…被押圧部、71b…接触部、71a1,71a2…曲面部、71c…固定部、71b1…第1当接部、71b2…第2当接部、71a3…ロッド通過孔部、71t,73b…締結部材、72…アーム駆動部材、72a…ピストン部、72b…ロッド、72b1,72b2…押圧面、73a…凹部、73c…大径部、73d…小径部、73e…中径部、73f,73g…平面部、73o…偏心量調整用回転軸、74…主軸センタ、74o…中心軸、75b1…長孔、75b2…ボルト、76a,76b…保持部材、76a1…非偏心位置決め部、76c…外ケース部、77…ストッパ部、77a…本体部、77b…偏心位置決め部、77c…軸受、78…流体供給室、78a,78b…部屋、78a1,78b1…流体供給口、79…収容部、300…制御部、α…角度、C1,C2…中心線、E1…第1端面、E2…第2端面、H…偏心量、J1,61o…回転軸、R…旋回半径、S…送り方向、W…ワーク、W1…非偏心部、W2…偏心部、d…距離