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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004427
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】介護用使い捨てオムツ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/495 20060101AFI20230110BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
A61F13/495
A61F13/532 200
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106072
(22)【出願日】2021-06-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】521279642
【氏名又は名称】馬塲 健輔
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100200573
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】馬塲 仁
(72)【発明者】
【氏名】馬塲 健輔
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BB09
3B200CA03
3B200CA08
3B200DA21
3B200DB05
3B200DB27
3B200DD07
3B200DD10
3B200DE04
3B200DE05
3B200DE06
(57)【要約】
【課題】排泄便で汚れることを抑制するのに適した介護用使い捨てオムツを提供する。
【解決手段】本発明の介護用使い捨てオムツXは、本体部10、山型パッド30、チューブ40、収容部50、および弾性台座部60を備える。本体部10は、外装内側シート12および外装外側シート13を含む多層構成を有する。山型パッド30は、着用者の臀裂部に当接可能であり、排泄便を受けるための開口部30aを有する。チューブ40は、山型パッド30の開口部30aから収容部50まで排泄便を導くためのものである。収容部50は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであり、外装内側シート12および外装外側シート13の間に位置する。弾性台座部60は、収容部50内に位置し、外装内側シート12の収容開口部12aまわりに固定された環状基部61と、これに対向配置された環状基部62と、これらを橋渡す複数の弾性ストリップ部63とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装内側シートおよび外装外側シートを含む多層構成を有する本体部と、
着用者の臀裂部に当接可能であり、且つ排泄便を受けるための受容開口部を有する、臀裂対向部と、
着用者身体から隔てて排泄便を収容するための収容部であって、前記外装内側シートおよび前記外装外側シートの間に位置し、且つ、前記外装内側シートに形成された収容開口部を有する、収容部と、
前記臀裂対向部の前記受容開口部から前記収容開口部を経て前記収容部まで排泄便を導くための送便管路であって、前記収容部側の出口開口端を有する、送便管路と、
前記収容部内に位置する弾性台座部であって、前記外装内側シートにおける前記収容開口部まわりに固定された第1環状基部、当該第1環状基部に対して対向配置された第2環状基部、並びに、これら第1および第2環状基部間を橋渡す複数の弾性ストリップ部を有する、弾性台座部と、を備える介護用使い捨てオムツ。
【請求項2】
前記弾性台座部において、前記第2環状基部は、前記第1環状基部よりも大きな外形サイズを有し、且つ、前記複数の弾性ストリップ部のそれぞれは、外方に膨らむ湾曲形状を有する、請求項1に記載の介護用使い捨てオムツ。
【請求項3】
前記送便管路は、前記出口開口端側の端部において、前記送便管路の延び方向に延びる複数の片持ち片を有し、当該片持ち片は、前記送便管路の内壁面側に、前記延び方向と交差する方向に延びる切り込みを有する、請求項1または2に記載の介護用使い捨てオムツ。
【請求項4】
前記送便管路は、前記出口開口端側の端部において、切欠き開口部を有する、請求項1から3のいずれか一つに記載の介護用使い捨てオムツ。
【請求項5】
前記臀裂対向部は、肛門まわりに貼着するための粘着部を前記受容開口部まわりに有する、請求項1から4のいずれか一つに記載の介護用使い捨てオムツ。
【請求項6】
前記臀裂対向部および前記送便管路は一体成形されている、請求項1から5のいずれか一つに記載の介護用使い捨てオムツ。
【請求項7】
前記収容部は、前記本体部における前記外装内側シートおよび前記外装外側シートの間に配置された収容袋体を備える、請求項1から6のいずれか一つに記載の介護用使い捨てオムツ。
【請求項8】
前記本体部は、前記外装内側シートよりも着用者側に位置するトップシートを更に含む多層構成を有し、
前記トップシートと前記外装内側シートとの間に位置する吸収ユニットを更に備える、請求項1から7のいずれか一つに記載の介護用使い捨てオムツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用使い捨てタイプのオムツに関する。
【背景技術】
【0002】
介護用オムツとして、使い捨てのオムツが多用されている。介護用使い捨てオムツは、パンツタイプやいわゆるテープタイプなどのタイプに応じた形態を有するオムツ本体部、および、排泄物を吸収する役割を担う吸収ユニットを、備える。吸収ユニットは、水分吸収容量の大きな例えば高分子吸水材を内部に有し、介護用使い捨てオムツの着用者からの排泄尿の多くは、この吸収ユニットによって吸収されることとなる。このような介護用使い捨てオムツに関する技術については、例えば下記の特許文献1~3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-74113号公報
【特許文献2】特開2017-86565号公報
【特許文献3】特開2017-93931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、介護用使い捨てオムツの着用者から排泄される便は、オムツの着用者身体側内部で受けられて、その全部または大部分が着用者身体とオムツとの間に留め置かれる。この留め置かれた排泄便によって着用者身体は汚れてしまう。また、排泄後におけるオムツ替えの作業時には、その作業者の手など身体が、オムツ内に留め置かれた排泄便によって汚れてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適した介護用使い捨てオムツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により提供される介護用使い捨てオムツは、本体部と、臀裂対向部と、送便管路と、収容部と、弾性台座部とを備える。本体部は、外装内側シートおよび外装外側シートを含む多層構成を有する。外装内側シートは、外装外側シートよりも、オムツの内方側(着用者身体側)に位置する。臀裂対向部は、着用者の臀裂部に当接可能であり、且つ、排泄便を受けるための受容開口部を有する。収容部は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであり、外装内側シートおよび外装外側シートの間に位置し、且つ、外装内側シートに形成された収容開口部を有する。送便管路は、臀裂対向部の受容開口部から収容開口部を経て収容部まで排泄便を導くためのものであり、収容部側の出口開口端を有する。弾性台座部は、収容部内に位置し、外装内側シートにおける収容開口部まわりに固定されている第1環状基部と、当該第1環状基部に対して対向配置された第2環状基部と、これら第1および第2環状基部間を橋渡す複数の弾性ストリップ部とを有する。各弾性ストリップ部は、第1・第2環状基部間で弾性変形可能である。このような構成の介護用使い捨てオムツは、着用者の肛門に臀裂対向部の受容開口部が対向する位置および姿勢で臀裂対向部が着用者の臀裂部に当接するように、使用者に着用される。そして、着用者から排泄される便は、着用者の臀裂部に当接する臀裂対向部の受容開口部に受容され、送便管路を通って収容部に至る。
【0007】
本発明の介護用使い捨てオムツは、上記のように、本体部の外装内側シートと外装外側シートとの間に位置する収容部を備える。このような構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、着用者の身体が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。そして、本オムツについて、収容部内に排泄便が収容された状態でオムツ替え作業が行われる場合、作業者の手など身体は、汚れにくい。
【0008】
また、本発明の介護用使い捨てオムツは、上記のように、排泄便受容口である受容開口部を有して着用者臀裂部に当接可能な臀裂対向部を備える。このような構成は、着用者からの排泄便を適切に受けて収容部に導くのに役立ち、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。
【0009】
加えて、本発明の介護用使い捨てオムツは、上記のように、臀裂対向部の受容開口部から収容開口部を経て収容部まで排泄便を導くための送便管路を備える。この送便管路は、臀裂対向部の受容開口部から収容部側に延出する。このような送便管路は、着用者からの排泄便を収容部に収容させるのに役立つのに加えて、収容部に一旦収容された排泄便が収容部から臀裂対向部の受容開口部に戻りにくくする(即ち、排泄便の逆流を抑制する)のにも役立つ。そして、このような逆流の抑制は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。
【0010】
更に加えて、本発明の介護用使い捨てオムツは、上記のように、収容部内に位置する弾性台座部を備える。弾性台座部は、上記のように、外装内側シートの収容開口部まわりに固定された第1環状基部と、これに対向配置された第2環状基部と、これらを橋渡す複数の弾性ストリップ部とを有する。このような弾性台座部は、収容部内において、クッション性を有しつつ、送便管路まわりの空間を確保するのに適する(上述のように臀裂対向部の受容開口部から収容部側に延出する送便管路の少なくとも一部は、弾性台座部によって確保された空間内に位置する)。収容部内での空間確保機能を担う弾性台座部を本オムツが備えるという構成は、送便管路内の排泄便の良好な通過を実現するのに適するとともに、収容部の排泄便収容空間の確保維持に適し、従って、送便管路通過中の排泄便の逆流や、収容部に既に収容された排泄便の逆流を、抑制するのに適する。そして、これら逆流の抑制は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。このような機能を担う弾性台座部がクッション性を有することは、本オムツにおいて、着用者への異物感を低減して良好な装着感を確保するのに適する。また、弾性台座部における複数の弾性ストリップ部は、臀裂対向部を着用者臀裂部に向けて付勢して、着用者臀裂部に対する臀裂対向部の良好な当接状態を実現するのにも、役立つ。
【0011】
以上のように、本発明の介護用使い捨てオムツでは、臀裂対向部と、送便管路と、弾性台座部と、収容部とが、汚れ抑制に向けて協働する。したがって、本発明の介護用使い捨てオムツは、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適するのである。また、このような汚れ抑制は、感染防止に役立ち、ひいては、感染症の蔓延防止に役立つ。
【0012】
上述の弾性台座部において、好ましくは、第2環状基部は、第1環状基部よりも大きな外形サイズを有し、且つ、複数の弾性ストリップ部のそれぞれは、外方に膨らむ湾曲形状を有する。このような構成は、収容部内において送便管路まわりの空間を確保して、排泄便の上述の逆流を抑制するのに好ましく、従って、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに好ましい。また、各弾性ストリップ部が外方に膨らむ湾曲形状を有することは、弾性台座部におけるクッション性の発現に役立つ。
【0013】
送便管路は、好ましくは、出口開口端側の端部において、送便管路の延び方向に延びる複数の片持ち片を有し、当該片持ち片は、送便管路の内壁面側に、延び方向と交差する方向に延びる切り込みを有する。このような構成によると、送便管路において、その出口開口端に対して他端側に向けて圧縮する力が作用したときに、上記の各片持ち片が外方に開きやすい。圧縮力作用時に片持ち片がこのように外方変形しやすいことは、送便管路において、その流路を確保しつつクッション性を付与するのに適する。送便管路がクッション性を有することは、本オムツにおいて、着用者への異物感を低減して良好な装着感を確保するのに役立つ。また、片持ち片に関する上記構成は、送便管路について、本オムツが例えば使用前に折りたたまれている状態でのコンパクト化と、オムツ使用時の送便管路長さの確保とを、両立するのにも役立つ。
【0014】
送便管路は、好ましくは、出口開口端側の端部において、切欠き開口部を有する。このような構成は、送便管路の出口開口端が収容部内面や排泄便に当接する場合であっても、送便管路の内から外への排泄便の出口を確保するのに適する。
【0015】
臀裂対向部は、好ましくは、肛門まわりに貼着するための粘着部を受容開口部のまわりに有する。このような構成は、着用者からの排泄便を、臀裂対向部の受容開口部によって受容するのに好ましく、従って、収容部に導くのに好ましい。
【0016】
好ましくは、臀裂対向部および送便管路は一体成形されている。このような構成は、本オムツを効率よく製造するうえで好ましい。
【0017】
収容部は、好ましくは、本体部における外装内側シートと外装外側シートとの間に配された収容袋体を有する。このような構成において、本オムツの着用者からの排泄便は、収容袋体内に収容されることとなる。当該構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、オムツ着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。
【0018】
本発明の介護用使い捨てオムツにおける本体部は、上述の外装内側シートおよび外装外側シートとともにトップシートを更に含む多層構成を有するのが好ましい。当該多層構成において、両外装シートよりもトップシートはオムツの内方側すなわち着用者身体側に位置する。そして、本オムツは、排泄尿など排泄物を吸収する機能を担う吸収ユニットをトップシートと外装内側シートの間に更に備えるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る介護用使い捨てオムツの斜視図である。
図2図1に示す介護用使い捨てオムツの展開平面図である。
図3図1に示す介護用使い捨てオムツの一部省略展開平面図である。
図4図2のIV-IV線に沿った断面模式図である。
図5図1に示す介護用使い捨てオムツの概念断面模式図である。
図6】臀裂対向部と送便管路とが一体化された複合ユニットの斜視図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図6中に示される片持ち片の拡大斜視図である。
図9】弾性台座部の斜視図である。
図10図9に示す弾性台座部の縦断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る介護用使い捨てオムツの一の状態における部分拡大断面図である。
図12】本発明の実施形態に係る介護用使い捨てオムツの他の状態における部分拡大断面図である。
図13図6および図7に示す複合ユニットの一の変形例の断面図である。
図14図6および図7に示す複合ユニットの他の変形例の斜視図である。
図15図14中に示される片持ち片の拡大斜視図である。
図16図8および図9に示す複合ユニットの一の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から図4は、本発明に係る介護用使い捨てオムツの一の実施形態であるオムツXを表す。図1は、オムツXの斜視図である。図2は、オムツXの展開平面図であり、図3はオムツXの一部省略展開平面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿った断面模式図である。また、図5はオムツXの概念断面模式図である。
【0021】
オムツXは、本体部10と、吸収ユニット20と、山型パッド30(臀裂対向部)と、チューブ40(送便管路)と、収容部50とを備える介護用使い捨てオムツであり、本実施形態ではパンツタイプとして構成されている。オムツXの使用にあたっては、山型パッド30が着用者の臀裂部に当接するように、オムツXは使用者に着用される。
【0022】
本体部10は、本実施形態では図1に示すように、ウエスト開口部10aと脚開口部10b,10bとを伴うパンツ型の形状を有する。この本体部10は、展開状態にて図2に示す平面視形状を有するシート体であって、図3図4に表れているように、トップシート11と、外装内側シート12と、外装外側シート13とを含む多層構成を有する。本体部10においては、トップシート11と外装内側シート12との間の所定箇所が接合され、且つ、外装内側シート12と外装外側シート13との間の所定箇所が接合されている。接合の手法としては、例えば、ホットメルト型接着剤による接着、熱溶着(ヒートシール)、および縫製が挙げられる(後記の各接合の手法についても同様である)。このような多層シート体における図2に示す端部E,Eどうしの接合、および、図2に示す端部E',E'どうしの接合を経て、本体部10ないしオムツXは立体化されたものである。
【0023】
トップシート11は、本体部10において着用者側最表層をなし、且つ、液透過性を有する。また、トップシート11は、山型パッド30の配設箇所にて開口する開口部11aを有する。トップシート11における開口部11aまわりは、図11および図12によく表れているように、外装内側シート12における後述の開口部12aまわりと接合されている(ただし、図11および図12では、図の簡潔化の観点から、シート11,12を一体的なシート体として示す)。このようなトップシート11の素材としては、例えば、不織布、織布、メッシュシート、および、液透過孔の形成されたプラスチックフィルムが、挙げられる。トップシート用素材の不織布や織布をなすための繊維の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セルロース、レーヨン、およびコットンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。また、トップシート用素材の不織布や織布をなすための繊維は、好ましくは、親水性繊維、または、界面活性剤での表面処理によって表面の親水化が図られた疎水性繊維である。
【0024】
本体部10における外装内側シート12および外装外側シート13は、排泄物における液分がオムツXの内側から外側に透過するのを防止するための液不透過性を有し、且つ、それらの外縁端部どうしが本実施形態では全周にわたって接合されている。外装内側シート12は、山型パッド30の配設箇所にて開口する開口部12a(例えば図5に示す)を有する。外装内側シート12における開口部12aまわりは、本実施形態では、トップシート11における上述の開口部11aまわりと接合されている。各外装シートの素材としては、例えば、不織布、プラスチックフィルム、および、不織布とプラスチックフィルムとのラミネート材が、挙げられる。外装シート用素材の不織布をなすための繊維の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、およびナイロンが挙げられる。外装シート用素材の不織布をなすための繊維は、好ましくは疎水性繊維である。このような外装内側シート12および外装外側シート13は、防水処理が施されていてもよい。
【0025】
吸収ユニット20は、オムツXにおいて排泄物中の排泄尿など液分を吸収する機能を担うものであり、図4に示すように、本体部10におけるトップシート11と外装内側シート12との間に配置されている。また、吸収ユニット20は、トップシート11および/または外装内側シート12に対して接合されてもよい。
【0026】
このような吸収ユニット20は、例えば、水分吸収容量の大きなシート状の高分子吸水材と、この高分子吸水材を被覆して保持するための液透過性シートとを有する。高分子吸水材の構成材料としては、例えば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアスパラギン酸系樹脂、セルロース系樹脂が挙げられる。液透過性シートとしては、例えば綿状パルプが挙げられる。また、吸収ユニット20ないしその表面の液透過性シートと上述のトップシート11との間には、吸収ユニット20に向けての液分移動速度を高める目的で例えば、吸水紙が配置されてもよい。
【0027】
山形パッド30とチューブ40とは、一体化されているのが好ましい。図6および図7は、山形パッド30とチューブ40とが一体化された複合ユニットUを表す。
【0028】
山型パッド30は、着用者臀裂部に当接可能な臀裂対向部であり、本実施形態では山型の形状を有する。具体的には、山型パッド30は、図6および図7によく表れているように、頂辺部31と、一対の傾斜面部32とを有する。一対の傾斜面部32は、好ましくは、頂辺部31を対称軸とする対称的な形状を有する。また、山型パッド30は、頂辺部31およびその近傍領域に開口形成された開口部30aを有する。開口部30aは、排泄便を受けるための受容開口部である。
【0029】
図2に示す平面視形状において、山型パッド30は例えば略円形であり、山形パッド30の外形サイズ(方向によって寸法が異なる場合には最大寸法)は、例えば5~12cmであり、開口部30aの外形サイズ(方向によって寸法が異なる場合には最大寸法)は、例えば3~8cmである。山型パッド30の厚さ(肉厚)は、例えば1~8mmである。一対の傾斜面部32がなす角度α(図7に示す)は、例えば60°~150°である。
【0030】
このような山型パッド30は、柔軟性を有する材料からなる。山型パッド30用の柔軟性材料としては、例えば、ゴム系素材、スポンジ材、これら以外の樹脂材料が挙げられる。ゴム系素材としては、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、およびエチレンプロピレンゴムが挙げられる。スポンジ材としては、例えば、セルローススポンジ、ポリウレタンスポンジ、およびメラミンスポンジが挙げられる。上記樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、および軟質塩化ビニルが挙げられる。
【0031】
本実施形態では、山形パッド30は、着用者臀裂における肛門まわりに貼着するための粘着部33を開口部30aまわりに有する。粘着部33の材料としては、例えば、ウレタンゲルおよび粘着剤が挙げられる。ウレタンゲルとしては、例えば、エクシール社製の超軟質ウレタン樹脂素材が挙げられる。同素材は、ポリオールブレンドとイソシアネート(それぞれが適度に濃度調整されている)の例えば1対1での混合を経て、形成することができる。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、およびハイドロコロイドが挙げられる。山形パッド30が開口部30aまわりに粘着部33を有するという構成は、着用者からの排泄便を、山型パッド30の開口部30aによって受容するのに好ましく、従って、収容部50に導くのに好ましい。
【0032】
また、山型パッド30は、その着用者側表面とは反対側の面(裏面)が、好ましくはトップシート11と接合されている(接合されていなくてもよい)。山型パッド30の裏面がトップシート11と接合される場合、山型パッド30の裏面の全体がトップシート11と接合されてもよいし、山型パッド30の裏面の一部がトップシート11と接合されてもよい。この接合の手法としては、ホットメルト型接着剤による接着が好ましい。接合されなくてもよい
【0033】
本発明の臀裂対向部は、山型パッド30が有する上述のような山型の形状以外の形状を有してもよい。臀裂対向部は、例えば、着用者身体側の少なくとも露出面側が全体として平坦な形状(但し柔軟素材よりなる)を有するものでもよい。
【0034】
チューブ40は、送便管路であって、山型パッド30の開口部30aから後述の収容部50側に延出し、開口部30aから収容部50まで排泄便を導くための経路をなす。本実施形態では、チューブ40は、柔軟素材よりなるフレキシブル管路である。また、チューブ40は、排泄便経路の始端側の入口開口端41と、終端側の出口開口端42とを有する。チューブ40の入口開口端41は、山型パッド30の開口部30aと繋がって連続している。
【0035】
チューブ40は、本実施形態では、出口開口端42側の端部において、チューブ40の延び方向Dに延びる複数の片持ち片43を有する。片持ち片43は、例えば、チューブ40の出口開口端42側の端部に、延び方向Dに延びる複数のスリットを形成することにより、形成できる。各片持ち片43は、図8に示すように、チューブ40の内壁面側に、延び方向Dと交差する方向に延びる切り込み43aを有する(図8は、一つの片持ち片43を示す拡大斜視図である)。このようなチューブ40においては、その出口開口端42に対して他端側に向けて圧縮する力が作用したときには、各片持ち片43が外方に開きやすい。また、チューブ40は、本実施形態では、出口開口端42側の端部において、切欠き開口部44を有する。
【0036】
このようなチューブ40は、柔軟性を有する材料からなる。チューブ40用の柔軟性材料としては、例えば、ゴム系素材、および、ゴム系素材以外の樹脂材料が挙げられる。ゴム系素材としては、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、およびエチレンプロピレンゴムが挙げられる。ゴム系素材以外の樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、および軟質塩化ビニルが挙げられる。
【0037】
以上のような山形パッド30およびチューブ40を備える複合ユニットUは、例えば、樹脂材料から一体成形することによって作製することができる(第1の方法)。この方法は、オムツXの製造効率の観点から好ましい。すなわち、製造効率の観点からは、上述の山形パッド30およびチューブ40は一体成形されているのが好ましい。また、複合ユニットUは、山形パッド30とチューブ40とを個別に作製した後に両者を接合することによって作製することもできる。この方法は、異なる機能・特性が求められる山形パッド30とチューブ40とで、構成材料の最適化を図るうえで好ましい。山形パッド30は、着用者身体と接触しうる部位であるため、例えば、柔軟性および低刺激性などが求められる。チューブ40は、排泄便の流路確保の観点から、例えば、柔軟性を有しつつもコシが求められる。
【0038】
収容部50は、着用者身体から隔てて排泄便を収容するためのものであって、図4および図5に示すように、本体部10における外装内側シート12および外装外側シート13の間に位置し、外装内側シート12に形成された開口部12aを収容開口部として有する。また、収容部50は、好ましくは、収容袋体51を有する。収容袋体51は、開口部51aを有し、且つ、外装内側シート12と外装外側シート13との間に配置されている。収容袋体51の開口部51aは、外装内側シート12の開口部12aまわりに沿って接合されている。
【0039】
弾性台座部60は、収容部50内に位置し、環状基部61と、環状基部62と、弾性ストリップ部63とを有する。環状基部61は、外装内側シート12における開口部12aまわりに固定されている。環状基部62は、環状基部61に対して対向配置されている。環状基部61,62は、円形の環形状を有してもよいし、矩形など他の形状の環形状を有してもよい(円形の環形状を有する場合を例示的に図示する)。各弾性ストリップ部63は、環状基部61,62間を橋渡すように設けられ、環状基部61,62間で弾性変形可能である。本実施形態では、弾性ストリップ部63の環状基部62側端部は、環状基部62の外周縁部と連結されている。これら環状基部61,62および弾性ストリップ部63は、好ましくは、樹脂材料から一体成形されている。また、弾性台座部60において、好ましくは、環状基部62は、環状基部61よりも大きな外形サイズを有し、且つ、複数の弾性ストリップ部63のそれぞれは、外方に膨らむ湾曲形状を有する。このような弾性台座部60の構成材料としては、例えば、スチロール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、およびアクリル樹脂が挙げられる。
【0040】
以上のような構成を有するオムツXの使用にあたっては、着用者の肛門に山型パッド30の開口部30aが対向する位置・姿勢で山型パッド30が着用者の臀裂部に当接するように、オムツXは使用者に着用される。そして、着用者から排泄される便は、着用者の臀裂部に当接する山型パッド30の開口部30aに受容され、チューブ40を通って収容部50に至る。その排泄便は、収容部50ないしその収容袋体51内に収容されることとなる。
【0041】
オムツXは、上述のように、本体部10の外装内側シート12と外装外側シート13との間に位置する収容部50を備える。このような構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、着用者の身体が排泄便で汚れることを抑制するのに適する。そして、オムツXについて、収容部50内に排泄便が収容された状態でオムツ替え作業が行われる場合、作業者の手など身体は、汚れにくい。
【0042】
また、オムツXは、上述のように、排泄便受容口である開口部30aを有して着用者臀裂部に当接可能な山型パッド30を備える。このような構成は、着用者からの排泄便を適切に受けて収容部50に導くのに役立ち、ひいては、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。
【0043】
加えて、オムツXは、上述のように、山型パッド30の開口部30aから外装内側シート12の開口部12a(収容開口部)を経て収容部50まで排泄便を導くためのチューブ40を備える。このチューブ40は、山型パッド30の開口部30aから収容部50側に延出する。このようなチューブ40は、着用者からの排泄便を収容部50に収容させるのに役立つのに加えて、収容部50に一旦収容された排泄便が収容部50から山型パッド30の開口部30aに戻りにくくする(即ち、排泄便の逆流を抑制する)のにも役立つ。そして、このような逆流の抑制は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。
【0044】
更に加えて、オムツXは、上述のように、収容部50内に位置する弾性台座部60を備える。弾性台座部60は、上述のように、外装内側シート12の開口部12aまわりに固定された環状基部61と、これに対向配置された環状基部62と、これらを橋渡す複数の弾性ストリップ部63とを有する。このような弾性台座部60は、図11および図12に示すように、収容部50内において、クッション性を有しつつ、チューブ40まわりの空間を確保するのに適する(山型パッド30の開口部30aから収容部50側に延出するチューブ40の少なくとも一部は、弾性台座部60によって確保された空間内に位置する)。図12に示す状態では、図11に示す状態と比較して、外側外装シート12と外側外装シート13との間の相対距離が近いものの、弾性台座部60の弾性ストリップ部63が弾性変形してクッション性を発現しつつ、外側外装シート12と外側外装シート13との間の更なる接近を抑制するように作用している。例えばこのようにして、弾性台座部60はその空間確保機能を発揮するのである。収容部50内での空間確保機能を担う弾性台座部60をオムツXが備えるという構成は、チューブ40内の排泄便の良好な通過を実現するのに適するとともに、収容部50の排泄便収容空間の確保維持に適し、従って、チューブ40通過中の排泄便の逆流や、収容部50に既に収容された排泄便の逆流を、抑制するのに適する。そして、これら逆流の抑制は、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。このような機能を担う弾性台座部60がクッション性を有することは、オムツXにおいて、着用者への異物感を低減して良好な装着感を確保するのに適する。また、弾性台座部60における複数の弾性ストリップ部63は、山型パッド30を着用者臀裂部に向けて付勢して、着用者臀裂部に対する山型パッド30の良好な当接状態を実現するのにも、役立つ。
【0045】
以上のように、オムツXでは、山型パッド30と、チューブ40と、収容部50と、弾性台座部60とが、汚れ抑制に向けて協働する。したがって、オムツXは、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに適するのである。このような汚れ抑制は、感染防止に役立ち、ひいては、感染症の蔓延防止に役立つ。オムツXは、上述のようなパンツタイプの介護用使い捨てオムツとして構成されるのに代えて、オムツ止着用の例えば一対のファスニングテープを伴うテープタイプの介護用使い捨てオムツとして構成されてもよい。
【0046】
山型パッド30は、上述のように、肛門まわりに貼着するための粘着部33を受容開口部のまわりに有する。このような構成は、着用者からの排泄便を、山型パッド30の受容開口部によって受容するのに好ましく、従って、収容部50に導くのに好ましい。
【0047】
チューブ40は、上述のように、出口開口端42側の端部において、チューブ40の延び方向Dに延びる複数の片持ち片43を有し、当該片持ち片43は、チューブ40の内壁面側に、延び方向Dと交差する方向に延びる切り込み43aを有する。このような構成によると、チューブ40において、その出口開口端42に対して他端側に向けて圧縮する力が作用したときに、各片持ち片43が外方に開きやすい。圧縮力作用時に片持ち片43がこのように外方変形しやすいことは、チューブ40において、その流路を確保しつつクッション性を付与するのに適する。チューブ40がクッション性を有することは、オムツXにおいて、着用者への異物感を低減して良好な装着感を確保するのに役立つ。また、片持ち片43に関する上記構成は、チューブ40について、オムツXが例えば使用前に折りたたまれている状態でのコンパクト化と、オムツ使用時のチューブ40長さの確保とを、両立するのにも役立つ。
【0048】
チューブ40は、上述のように、出口開口端42側の端部において、切欠き開口部44を有する。このような構成は、チューブ40の出口開口端42が収容部50内面や排泄便に当接する場合であっても、チューブ40の内から外への排泄便の出口を確保するのに適する。
【0049】
チューブ40は、図13に示すように、その延び方向Dの中間部位に厚肉部45を有してもよい。このような構成は、チューブ40において、正味の柔軟性とコシとのバランスをとるのに好ましい。
【0050】
チューブ40の片持ち片43は、図14および図15に示すように、先細り形状を有してもよい(図15は、先細り形状を有する一つの片持ち片43を示す拡大斜視図である)。このような構成によると、チューブ40の出口開口端42が外力を受けたときに、隣り合う片持ち片43が規制し合うことが抑制され、各片持ち片43が変形しやすくなる。片持ち片43が変形しやすいことは、チューブ40において、その流路を確保しつつクッション性を付与するのに役立つ。
【0051】
収容部50は、上述のように、本体部10における外装内側シート12と外装外側シート13との間に配された収容袋体51を有するのが好ましい。このような構成において、オムツXの着用者からの排泄便は、収容袋体51内に収容されることとなる。当該構成は、着用者からの排泄便を着用者身体から隔てた状態で留め置くのに適し、従って、オムツ着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに役立つ。
【0052】
弾性台座部60においては、上述のように、環状基部62が環状基部61よりも大きな外形サイズを有し、且つ、複数の弾性ストリップ部63のそれぞれが外方に膨らむ湾曲形状を有する。このような構成は、収容部50内においてチューブ40まわりの空間を確保して、排泄便の上述の逆流を抑制するのに好ましく、従って、着用者やオムツ替え作業者が排泄便で汚れることを抑制するのに好ましい。また、各弾性ストリップ部63が外方に膨らむ湾曲形状を有することは、弾性台座部60におけるクッション性の発現に役立つ。
【0053】
弾性台座部60において、弾性ストリップ部63の環状基部62側端部は、図16に示すように、環状基部62の内周縁部と連結されていてもよい。このような構成は、弾性ストリップ部63において、良好な弾性性を発現する所定の湾曲形状を設定したうえで、環状基部62の外形サイズを環状基部61の外形サイズに対して大きく設計するのに適する。弾性台座部60は、環状基部62の外形サイズが大きいほど、上述の空間確保機能を安定して発揮する傾向にある。
【符号の説明】
【0054】
X オムツ(介護用使い捨てオムツ)
10 本体部
11 トップシート
12 外装内側シート
12a 開口部(収容開口部)
13 外装外側シート
20 吸収ユニット
30 山型パッド(臀裂対向部)
30a 開口部(受容開口部)
31 頂辺部
32 傾斜面部
40 チューブ(送便管路)
41 入口開口端
42 出口開口端
43 片持ち片
43a 切り込み
44 切欠き開口部
45 厚肉部
50 収容部
51 収容袋体
60 弾性台座部
61 環状基部(第1環状基部)
62 環状基部(第2環状基部)
63 弾性ストリップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16