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特開2023-44281電動工具システム、電動工具、電動工具制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044281
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】電動工具システム、電動工具、電動工具制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230323BHJP
   B25H 7/04 20060101ALI20230323BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 G
B25H7/04 E
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152222
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖田 篤志
【テーマコード(参考)】
3C064
3C100
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA02
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC01
3C064BA12
3C064BB84
3C064BB89
3C064CA80
3C064CB56
3C064CB62
3C064CB70
3C064CB71
3C064CB84
3C064EA04
3C064EA05
3C100AA27
3C100AA38
3C100AA59
3C100BB17
3C100BB19
3C100BB34
(57)【要約】
【課題】電動工具を用いて作業現場の作業位置に対して作業を行う際の作業効率を向上できる。
【解決手段】電動工具システム1は、作業位置表示装置3と、電動工具2と、工具位置検出部36と、工具位置判定部384とを備える。作業位置表示装置3は、作業現場において収束性を有する可視光8を投光することで作業位置7を指示する。電動工具2は、可視光8によって指示された作業位置7に対して作業を実行する。工具位置検出部36は、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。工具位置判定部384は、電動工具2が作業位置7に対して作業を実行する前に、工具位置検出部36の検出結果に基づいて電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場において収束性を有する可視光を投光することで作業位置を指示する作業位置表示装置と、
前記可視光によって指示された前記作業位置に対して作業を実行する電動工具と、
前記作業位置に対する前記電動工具の相対位置を検出する工具位置検出部と、
前記電動工具が前記作業位置に対して前記作業を実行する前に、前記工具位置検出部の検出結果に基づいて前記電動工具が前記作業位置にセットされているか否かを判定する工具位置判定部と、を備える、
電動工具システム。
【請求項2】
前記電動工具が前記作業位置にセットされていないと前記工具位置判定部が判定した場合、前記電動工具は、停止させられる又は前記電動工具が前記作業位置にセットされていない事を前記電動工具の周囲に報知する、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項3】
前記工具位置検出部及び前記工具位置判定部はそれぞれ、前記作業位置表示装置、前記電動工具、又は、前記作業位置表示装置及び前記電動工具以外の別装置に備えられている、
請求項1又は2に記載の電動工具システム。
【請求項4】
前記工具位置検出部は、前記作業位置表示装置に備えられており、
前記工具位置検出部は、収束性を有する電磁波を前記作業位置に向けて発信し、
前記電動工具は、前記作業位置で反射した前記電磁波の反射波を受信し、受信した前記反射波の受信強度に関する受信強度信号を前記作業位置表示装置に送信し、
前記工具位置検出部は、前記作業位置表示装置が受信した前記受信強度信号に基づいて、前記相対位置を検出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項5】
前記工具位置検出部は、前記電動工具に備えられており、
前記作業位置表示装置は、収束性を有する電磁波を前記作業位置に向けて発信し、
前記工具位置検出部は、前記作業位置で反射した前記電磁波の反射波を受信し、受信した前記電磁波の受信強度を用いて、前記相対位置を検出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項6】
前記工具位置検出部は、前記作業位置表示装置に備えられており、
前記電動工具は、電磁波を発信し、
前記工具位置検出部は、前記電動工具から発信された前記電磁波を受信し、受信した前記電磁波の受信強度及び受信方向を用いて、前記相対位置を検出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項7】
前記工具位置検出部は、前記電動工具に備えられており、
前記作業位置表示装置は、収束性を有する電磁波を、発信方向を変化させながら、前記作業現場における前記作業位置を含む一定範囲に発信し、かつその発信時の前記発信方向に関する発信方向情報を前記電磁波に重畳して前記電磁波を発信し、
前記工具位置検出部は、受信した前記電磁波の受信強度、及び受信した前記電磁波に重畳された前記発信方向情報を用いて、前記相対位置を検出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項8】
前記工具位置検出部は、前記作業位置表示装置、並びに、前記作業位置表示装置及び前記電動工具以外の別装置の一方に備えられており、
前記工具位置検出部は、前記作業位置表示装置からの前記可視光によって指示された前記作業位置及び前記電動工具を含む撮像画像を撮像し、前記撮像画像に基づいて前記相対位置を検出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項9】
前記電動工具は、前記電動工具に設定された動作設定に基づいて前記電動工具に装着された先端工具を駆動し、
前記作業位置表示装置は、前記動作設定を変更するための変更条件を前記電磁波に重畳して発信し、
前記電動工具は、前記電磁波を受信すると、前記動作設定を、受信した前記電磁波に重畳された前記変更条件を満たす動作設定に変更する、
請求項7に記載の電動工具システム。
【請求項10】
前記電動工具は、前記作業が終了すると、作業終了情報を前記作業位置表示装置に送信し、
前記作業位置表示装置は、前記作業終了情報を受信すると、前記作業現場において前記可視光によって次の作業位置を指示する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項11】
前記電動工具は、前記作業が終了すると、前記作業の作業中の前記電動工具の動作波形を前記作業位置表示装置に送信し、
前記作業位置表示装置は、受信した前記動作波形を前記作業位置に対応付けて、外部システムに直接送信し又は中継端末を介して前記外部システムに送信する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項12】
前記作業位置表示装置は、前記作業現場の3Dデータ、前記作業位置の位置データ、前記作業の作業種別、及び前記作業の作業条件に関する各種情報を、外部システムから直接に又は前記外部システムから中継端末を介して受信する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項13】
作業現場において収束性を有する可視光によって指示された作業位置に対して作業を実行する電動工具であって、
前記作業位置に対する前記電動工具の相対位置を検出する工具位置検出部と、
前記電動工具が前記作業位置に対して前記作業を実行する前に、前記工具位置検出部の検出結果に基づいて前記電動工具が前記作業位置にセットされているか否かを判定する工具位置判定部と、を備える、
電動工具。
【請求項14】
作業位置表示装置を用いて作業現場において収束性を有する可視光を投光することで作業位置を指示する第1工程と、
前記可視光によって指示された前記作業位置に対して、電動工具を用いて作業を実行する第2工程と、
前記作業位置に対する前記電動工具の相対位置を検出する第3工程と、
前記電動工具が前記作業位置に対して前記作業を実行する前に、前記第3工程の検出結果に基づいて前記電動工具が前記作業位置にセットされているか否かを判定する第4工程と、を備える、
電動工具制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載の電動工具制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具システム、電動工具、電動工具制御方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、作業位置表示装置からの可視光によって指示された作業位置に対して電動工具を用いて作業を行う電動工具システム、当該電動工具システムを構成する電動工具、電動工具制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動工具は、駆動部と、操作部と、検知部と、制御部とを備える。駆動部は工具を駆動する。操作部は、駆動部を動作させるための操作を受け付ける。検知部は、電動工具本体が使用者によって持たれている保持状態であるか否かを検知する。制御部は、駆動部の作動状態を、操作部からの入力信号と検知部の検知結果とに基づいて設定された作動状態に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-205824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電動工具を用いた作業では、作業者は、作業現場において目視で作業位置を決定する必要がある。このため、作業者は、正しい作業位置を決定するのに手間が掛かり、上記作業の効率が良くない。
【0005】
本開示の目的は、上記の事情を鑑みたものであり、電動工具を用いて作業現場の作業位置に対して作業を行う際の作業効率を向上できる、電動工具システム、電動工具、電動工具制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、作業位置表示装置と、電動工具と、工具位置検出部と、工具位置判定部と、を備える。前記作業位置表示装置は、作業現場において収束性を有する可視光を投光することで作業位置を指示する。前記電動工具は、前記可視光によって指示された前記作業位置に対して作業を実行する。前記工具位置検出部は、前記作業位置に対する前記電動工具の相対位置を検出する。工具位置判定部は、前記電動工具が前記作業位置に対して前記作業を実行する前に、前記工具位置検出部の検出結果に基づいて前記電動工具が前記作業位置にセットされているか否かを判定する。
【0007】
本開示の一態様に係る電動工具は、作業現場において収束性を有する可視光によって指示された前記作業位置に対して作業を実行する電動工具である。前記電動工具は、工具位置検出部と、工具位置判定部と、を備える。前記工具位置検出部は、前記作業位置に対する前記電動工具の相対位置を検出する。前記工具位置判定部は、前記電動工具が前記作業位置に対して前記作業を実行する前に、前記工具位置検出部の検出結果に基づいて前記電動工具が前記作業位置にセットされているか否かを判定する。
【0008】
本開示の一態様に係る電動工具制御方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を備える。前記第1工程は、作業位置表示装置を用いて作業現場において収束性を有する可視光を投光することで作業位置を指示する。前記第2工程は、前記可視光によって指示された前記作業位置に対して、電動工具を用いて作業を実行する。前記第3工程は、前記作業位置に対する前記電動工具の相対位置を検出する。前記第4工程は、前記電動工具が前記作業位置に対して前記作業を実行する前に、前記第3工程の検出結果に基づいて前記電動工具が前記作業位置にセットされているか否かを判定する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記電動工具制御方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、電動工具を用いて作業現場の作業位置に対して作業を行う際の作業効率を向上できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る電動工具システムの構成図である。
図2図2は、同上の電動工具システムを構成する作業位置表示装置の構成図である。
図3図3は、同上の電動工具システムを構成する電動工具の構成図である。
図4図4は、同上の電動工具システムの動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、同上の電動工具システムの動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、変形例1及び変形例3に係る電動工具システムを構成する電動工具の構成図である。
図7図7は、変形例2に係る電動工具システムを構成する作業位置表示装置及び電動工具の構成図である。
図8図8は、変形例4に係る電動工具システムの構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る電動工具システムについて説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の例に過ぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)実施形態
(1-1)電動工具システムの概要
図1を参照して、実施形態に係る電動工具システム1の概要を説明する。
【0014】
電動工具システム1は、建築現場などの作業現場において、作業者6に対して、電動工具2を用いて、決められた作業位置7に対して所定作業(例えばねじ締め)を所定の作業条件d4(例えばどの程度のトルク値で締めるか)で行わせるためのシステムである。つまり、作業現場では、作業位置7が正確に決められており、各作業位置7に応じて所定作業の作業条件d4が異なる。作業位置7は、作業現場の床面又は壁面での位置である。
【0015】
より詳細には、電動工具システム1では、作業位置表示装置3を作業現場に配置し、作業位置表示装置3によって収束性を有する可視光8を投光させることで作業位置7を指示する。また、作業位置表示装置3から電動工具2に作業条件d4を送信することで電動工具2の動作設定を、作業条件d4を満たす動作設定に自動的に設定する。そして、作業者6は、可視光8で指示された作業位置7に電動工具2をセットして電動工具2を作動させると、電動工具2が自動的に作業条件d4を満たす動作設定で動作して所定作業を実行する。このように、作業者6は、可視光8で指示された作業位置7に電動工具2をセットして電動工具2を作動させるだけで、可視光8で指示された作業位置7に対して所定作業を所定の作業条件d4で行うことができる。
【0016】
なお、「電動工具2を作業位置7にセットする」とは、電動工具2の先端工具を作業位置7に接触又は接近させた状態であって、電動工具2を用いて、作業位置7に対して所定作業を実行する準備が整った状態である。
【0017】
電動工具2は、作業開始時及び作業終了時にそれぞれ作業開始情報u1及び作業終了情報u2を作業位置表示装置3に送信し、作業位置表示装置3は、作業終了情報u2を受信すると、次の作業位置7を可視光8で指示しかつ作業条件d4を電動工具2に送信する。作業者6は、順番に可視光8で指示される作業位置7に対して、電動工具2を用いて、所定作業をその所定作業に設定された作業条件d4で行っていく。
【0018】
(1-2)電動工具システムの構成
図1を参照して、電動工具システム1の構成を説明する。
【0019】
電動工具システム1は、電動工具2と、作業位置表示装置3と、施工管理端末4(中継端末)と、施工管理システム5(外部システム)とを備える。本実施形態では、施工管理システム5は、電動工具システム1の構成であるが、電動工具システム1の構成に含まれなくてもよい。
【0020】
電動工具2、施工管理端末4及び作業位置表示装置3は、作業現場に配置される。他方、施工管理システム5は、作業現場とは別の場所(非作業現場)に設置された外部装置(例えば施工管理するためのサーバ)に搭載される。
【0021】
電動工具2と作業位置表示装置3は、互いに無線通信(例えばwi-fi(登録商標)等の短距離無線通信)が可能である。作業位置表示装置3と施工管理端末4は、互いに無線通信(例えば、wi-fi(登録商標)等の短距離無線通信)が可能である。施工管理システム5と施工管理端末4は、互いに無線通信(例えば携帯回線等の長距離無線通信)が可能である。
【0022】
施工管理システム5は、建築物の施工を管理するシステムであり、上記外部装置に搭載されている。上記建築物には、上記建築物に組み込まれる組込物も含まれる。施工管理システム5は、上記建築物の施工を管理するための管理情報を記憶するデータベース511を有する。施工管理システム5が管理する上記管理情報は、BIM(Building Information Modeling)を構成する。BIMとは、コンピュータ上に現実と同じ建築物の立体モデル(BIMモデル)を再現するための情報であり、建築物に組み込まれる組込物(壁、柱、階段など)の形状データの他に、各組込物の価格などの各種情報を含むことができる。
【0023】
本実施形態では、上記管理情報は、例えば、3Dデータd1、位置データd2、作業種別d3、作業条件d4および作業結果d5を含む。
【0024】
3Dデータd1は、上記建築物の構造に関する3次元データである。3Dデータd1は、上記建築物を施工する際の作業場所に関する3次元データを含む。位置データd2は、上記作業現場での作業位置7であって、電動工具2を用いて各種作業が実行される作業位置7に関するデータである。作業種別d3は、上記各種作業の作業内容(例えばねじ締め)に関する情報である。作業条件d4は、上記作業位置7に対して実行される所定作業(例えばねじ締め)の作業条件d4(例えば締付トルク値)に関する情報である。作業結果d5は、作業位置7の情報と、その作業位置7に対して実行された作業で用いられた電動工具2の作業中の動作波形の情報と、その作業の作業開始に関する作業開始情報と、その作業の作業終了に関する作業終了情報とを含む。
【0025】
施工管理システム5は、上記管理情報のうち作業結果d5以外の各種情報(3Dデータd1、位置データd2、作業種別d3及び作業条件d4)を、施工管理端末4を介して作業位置表示装置3に送信する。そして、作業位置表示装置3は、受信した各種情報d1-d4に基づいて、可視光8を投光することで作業位置7を指示し、かつ指示した作業位置7に対して実行される作業の作業条件d4を電動工具2に送信する。これに対し、電動工具2は、当該電動工具2を用いて実行された上記作業に関する作業結果d5を作業位置表示装置3に送信する。上記作業結果d5は、上述のように、電動工具2の動作波形、作業開始情報及び作業終了情報を含む。そして、作業位置表示装置3は、受信した作業結果d5を、施工管理端末4を介して施工管理システム5に送信する。施工管理システム5は、このようにして、作業結果d5を取得して管理する。
【0026】
施工管理システム5は、管理する作業結果d5に基づいて、建築物に関する全ての作業位置での作業を作業未実施箇所及び作業完了箇所のいずれかに分類する。上記「作業未実施箇所」とは、作業が実施されていない箇所(作業位置)であり、上記「作業完了箇所」とは、作業が完了された箇所(作業位置)である。これにより、施工管理システム5は、上記建築物の施工の進捗状況を管理する。
【0027】
施工管理端末4は、携帯型の通信端末であり、例えば作業者6が携帯する。施工管理端末4は、施工管理システム5から随時又は一括で送信される上記各種データ(3Dデータd1、位置データd2、作業別種及び作業条件d4)を受信し、受信した各種情報と同等(同じ内容)の各種情報(3Dデータd1、位置データd2、作業別種d3及び作業条件d4)を作業位置表示装置3に送信する。施工管理端末4は、作業位置表示装置3から作業結果d5を受信し、受信した作業結果d5を随時又は一括で施工管理システム5に送信する。
【0028】
作業位置表示装置3は、作業現場に配置される。作業位置表示装置3は、施工管理端末4から受信する上記各種情報(3Dデータd1、位置データd2、作業種別d3、作業条件d4)に基づいて、作業現場において可視光8を投光することで作業位置7を指示する。また、作業位置表示装置3は、可視光8で指示した作業位置7に対して実行される作業の作業種別d3及び作業条件d4を電動工具2に送信する。可視光8は、収束性を有する可視域の電磁波(例えば可視光レーザー)である。
【0029】
作業位置表示装置3は、作業現場において可視光8によって作業位置7を指示する前に、作業現場に描かれた基準目印(例えば基準点又は基準線)に基づいて、作業現場での作業位置表示装置3の配置位置を特定する。以下、この配置位置を単に「装置位置」とも記載する場合がある。なお、3Dデータd1は、上記基準目印の位置データを含む。作業位置表示装置3は、特定した装置位置に基づいて、3Dデータd1上の作業位置7に対応する作業現場での作業位置7を特定し、特定した作業現場での作業位置7を可視光8で指示する。以下の説明で単に「上記装置位置」と記載したときは、作業現場での作業位置表示装置3の配置位置を意味する。
【0030】
電動工具2は、可視光8によって指示された作業位置7に対して実行される作業で用いられる電動工具2である。電動工具2は、例えば携帯型の電動工具である。電動工具2は、作業位置表示装置3から作業条件d4を受信し、電動工具2の動作設定を、受信した作業条件d4を満たす動作設定に設定する。これにより、作業者6が電動工具2を作動させると、作業条件d4を満たす動作設定で自動的に動作する。これにより、作業者6は、電動工具2を、可視光8によって指示された作業位置7にセットして電動工具2を作動させるだけで、当該作業位置7に対する作業を、作業条件d4を満たすように実行可能である。
【0031】
電動工具2は、可視光8によって指示された作業位置7に対する作業に関する作業結果d5を作業位置表示装置3に送信する。より詳細には、電動工具2は、作業結果d5として、上記作業の作業開始時に作業開始情報を作業位置表示装置3に送信し、上記作業の作業終了時に作業終了情報を作業位置表示装置3に送信する。なお、電動工具2は、電動工具2の動作波形から作業開始及び作業終了を判定する。また、電動工具2は、作業結果d5として、上記作業の作業中の電動工具2の動作波形を作業位置表示装置3に送信する。
【0032】
(1-3)作業位置表示装置3の構成
図1及び図2を参照して、作業位置表示装置3の構成を説明する。
【0033】
作業位置表示装置3は、図1に示すように、配置台10(例えば三脚)を介して作業現場の床面に配置される。より詳細には、配置台10は、作業現場の床面の所定位置に配置されており、作業位置表示装置3は、配置台10の上部に固定されている。作業位置表示装置3は、配置台10に対して作業位置表示装置3の向きが変更可能に固定されている。本実施形態では、作業位置表示装置3は、配置台10に対して互いに交差(例えば直交)する2つの回転軸(例えば鉛直軸A1及び水平軸A2)の回りに回転可能に固定されている。
【0034】
作業位置表示装置3は、第1通信部31と、第2通信部32と、投光部33と、回転駆動部34と、装置位置検出部35と、工具位置検出部36と、記憶部37と、制御部38と、を備える(図2参照)。
【0035】
第1通信部31は、施工管理端末4の間で無線通信を行う。第2通信部32は、電動工具2との間で無線通信を行う。第1通信部31と第2通信部32は、互いに異なる通信方式であってもよいし、互いに同じ通信方式であってもよい。本実施形態では、第1通信部31と第2通信部32は別構成であるが、第1通信部31の通信方式と第2通信部32の通信方式が同じである場合は、第1通信部31及び第2通信部32は、1つの通信部で構成されてもよい。
【0036】
投光部33は、可視光8を作業現場の作業位置7に投光することで、作業位置7を作業者6に視認させるために、作業位置7を指示する。投光部313は、光源及び光学系を含む。
【0037】
回転駆動部34は、作業位置表示装置3の向きを変更するための駆動部であり、例えばモータ、駆動機構及び駆動回路などを含む。回転駆動部34は、作業位置表示装置3を2つの回転軸A1,A2回りに回転駆動させる。
【0038】
装置位置検出部35は、作業現場に描かれている基準目印(例えば基準点又は基準線分)の位置に基づいて、作業現場での作業位置表示装置3の配置位置を検出する。すなわち、装置位置検出部35は、作業現場での基準目印に対する作業位置表示装置3の相対位置を検出する。以後、作業現場での作業位置表示装置3の配置位置を単に「装置位置」と記載する場合がある。作業現場に描かれている基準目印は、3Dデータ上にも規定されている。このため、上述のように、作業現場に描かれている基準目印の位置に基づいて上記装置位置を検出することで、3Dデータ上の作業位置表示装置3の配置位置を特定可能である。なお、作業現場に複数の基準目印が描かれている場合は、装置位置検出部35は、複数の基準目印のうち予め決められた基準目印を用いて、上記装置位置を検出する。以下の説明では、単に「基準目印」と記載したときは、作業現場に描かれている基準目印を意味する。
【0039】
より詳細には、装置位置検出部35は、作業位置表示装置3と基準目印との間の相対距離と、作業位置表示装置3から基準目印に向かう方向を規定する方向角とを計測し、この計測結果に基づいて上記装置位置を検出する。このために、装置位置検出部35は、測距部351と、測角部352とを備える。
【0040】
測距部351は、基準目印と作業位置表示装置3との間の相対距離を計測する。測距部351は、発光部、受光部及び測距処理部を備える。発光部は、計測対象(基準目印)に向けて可視光レーザを投光する。受光部は、計測対象で反射した可視光レーザの反射光を受光する。測距処理部は、受光部の受光強度に基づいて上記相対距離を計測する。上記可視光レーザは、収束性を有する可視光の一例である。測距部351から基準目印に可視光レーザが投光されるため、測距部351の計測対象を目視で確認できて正確に上記相対距離を計測できる。なお、測距部351の発光部は、投光部33の光源と兼用されてもよい。すなわち、作業位置7を指示する可視光8を用いて上記相対距離を計測してもよい。
【0041】
測角部352は、作業位置表示装置3から基準目印(すなわち測距部351の計測対象)に向かう方向を規定する方位角を計測する。より詳細には、測角部352は、作業者6の手動で測距部351を基準目印に向けたときの回転駆動部34の駆動量を計測することで、上記方向角を計測する。なお、上記「回転駆動部34の駆動量」とは、回転駆動部34の2つの回転軸A1,A2回りの各々の回転量である。本実施形態では、測距部351から計測対象に可視光レーザが投光されるため、この可視光レーザによって測角部352の計測対象を目視で確認できて正確に上記方向角を計測できる。
【0042】
本実施形態では、装置位置検出部35が上記相対距離及び上記方向角を計測するときは、事前に作業者6が、手動で、測距部351からの可視光レーザが基準目印に投光されるように作業位置表示装置3を2つの回転軸A1,A2回りに回転させる。測距部351は、この回転に対して上記相対距離を計測する。また、測角部352は、上記の回転による回転駆動部34の駆動量を計測することで上記方向角を計測する。
【0043】
本実施形態では、上記基準目印は、例えば2つの基準線分である。上記2つの基準線分は互いに交差しないが、上記2つの基準線分の各々の延長線は互いに直交する。この場合は、装置位置検出部35は、上記2つの基準線分の各々の延長線の交点の位置(作業現場での位置)を計測し、その交点の位置に基づいて上記装置位置を検出する。具体的には、装置位置検出部35は、測距部351によって、上記2つの基準線分上に配置する3つの計測点の位置(作業現場での位置)を計測する。上記3つの計測点は、作業者6が適宜選択した計測点である。上記3つの計測点のうちの2つは、上記2つの基準線の一方の基準線上に配置し、残り1つは、上記2つの基準線の他方の基準線上に配置している。そして、装置位置検出部35は、計測した3つの計測点から幾何学的知識を用いた演算によって上記交点の位置(作業現場での位置)を求め、求めた交点の位置から上記装置位置を検出する。
【0044】
工具位置検出部36は、作業現場での作業位置7(可視光8で指示された作業位置)に対する電動工具2の相対位置を検出する。本実施形態では、電動工具2は、投光部33から投光された可視光8の作業位置7での反射光を受信し、その受信の際の受信強度を示す受信強度信号t1を作業位置表示装置3の第2通信部32に送信する。工具位置検出部36は、第2通信部32が受信した受信強度信号t1に基づいて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。すなわち、作業位置7での可視光8の反射光の信号強度は、作業位置7から離れるほど小さくなる。この特性を利用して、工具位置検出部36は上記相対位置を検出する。つまり、作業位置7での可視光8の反射光は、作業位置7の一定範囲内(例えば作業位置7の付近)だけに届くため、電動工具2が或る程度(所定値以上)の信号強度の反射光を受信する間は、電動工具2は作業位置7の一定範囲内(例えば作業位置7の付近)に配置されている(すなわち作業位置7に対する電動工具2の相対位置はほとんど作業位置7と同じ位置である、換言すれば、電動工具2は作業位置7にセットされている)。このため、工具位置検出部36が受信する受信強度信号t1が所定値以上の受信強度を示している間は、電動工具2が作業位置7に正しくセットされていることが分かる。
【0045】
記憶部37は、半導体メモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の記憶部である。記憶部37は、施工管理端末4から受信した各種情報(例えば、3Dデータd1、位置データd2、作業種別d3、作業条件d4)を記憶する。また、記憶部37は、電動工具2から受信した各種情報(例えば作業結果d5)を記憶する。また、記憶部37は、作業位置表示装置3の各種の動作に必要な制御プロクラムなどを記憶している。
【0046】
制御部38は、作業位置表示装置3の制御部38以外の各処理部(第1通信部31、第2通信部32、投光部33、回転駆動部34、装置位置検出部35、工具位置検出部36、及び記憶部37)を制御する。
【0047】
制御部38は、処理部381と、装置位置特定部382と、投光方向制御部383と、工具位置判定部384と、工具制御部385と、作業完了判定部386と、を備える。
【0048】
処理部381は、第1通信部31が施工管理端末4から受信した各種情報(例えば、3Dデータd1、位置データd2、作業種別d3、作業条件d4)を記憶部37に記憶する。また、処理部381は、第2通信部32が電動工具2から受信した各種情報(例えば作業結果d5)を記憶する。また、処理部381は、第2通信部32が電動工具2から受信した各種情報(例えば作業結果d5)を第1通信部31から施工管理端末4に送信する。
【0049】
装置位置特定部382は、装置位置検出部35の検出結果(すなわち作業現場での基準目印に対する作業位置表示装置3の相対位置(装置位置))に基づいて、3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置を特定する。より詳細には、作業現場に描かれた基準目印は、3Dデータd1上にも規定されている。このため、装置位置検出部35の検出結果に含まれる基準目印と、3Dデータd1に含まれる基準目印とを同定することで、装置位置検出部35の検出結果から3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置を特定する。
【0050】
投光方向制御部383は、投光部33の向き及び投光部33の投光を制御する。
【0051】
より詳細には、投光方向制御部383は、施工管理端末4から受信した各種情報(3Dデータd1及び位置データd2)及び装置位置特定部382の特定結果に基づいて、作業位置表示装置3の投光部33が作業現場の作業位置7に向くように回転駆動部34を制御する。これにより、投光部33からの可視光8が作業位置7に投光されて、可視光8によって作業位置7が指示される。
【0052】
より詳細には、投光方向制御部383は、施工管理端末4から受信した各種情報(すなわち3Dデータd1及び位置データd2)及び装置位置特定部382の特定結果(すなわち3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置)に基づいて、作業位置表示装置3の配置位置に対する作業位置7の相対位置を求める。そして、投光方向制御部383は、求めた上記相対位置に基づいて、作業位置表示装置3から作業位置7に向かう方向の方位角を求める。そして、投光方向制御部383は、求めた上記方向角に基づいて回転駆動部34を制御することで、作業位置表示装置3の投光部33を作業現場の作業位置7に向ける。そして、投光方向制御部383は、投光部33から可視光8を投光させることで、可視光8によって作業位置7を指示する。
【0053】
工具位置判定部384は、可視光8で指示された作業位置7に対する作業が作業者が電動工具2を用いて実行される前に、工具位置検出部36の検出結果に基づいて、可視光8によって指示された作業位置7に電動工具2がセットされているか否かを判定する。より詳細には、工具位置判定部384は、工具位置検出部36の検出結果に基づいて、作業位置7を中心とする一定範囲(例えば作業位置7の近傍)内に電動工具2が配置しているか否かに応じて、電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。すなわち、工具位置判定部384は、電動工具2が上記一定範囲内に配置する場合は、電動工具2が作業位置7にセットされていると判定する。工具位置判定部384は、電動工具2が上記一定範囲内に配置されていない場合は、電動工具2が作業位置7にセットされていないと判定する。つまり、工具位置判定部384は、工具位置検出部36が、電動工具2が上記一定範囲内に配置しているという検出結果を出力する間だけ、電動工具2は作業位置7にセットされていると判定する。これにより、電動工具2が作業位置7に対して所定作業を行うときに、電動工具2が作業位置7に正しくセットされたか否かの管理を精度良く行うことができる。
【0054】
工具制御部385は、工具位置判定部384の判定結果に応じて、第2通信部32を介して電動工具2に制御信号を送信することで電動工具2を制御する。より詳細には、工具制御部385は、電動工具2が作業位置7にセットされていると工具位置判定部384が判定した場合は、第2通信部32から電動工具2に作動許可信号s1(制御信号)を送信する。これにより、作業者6による電動工具2の操作(例えば作動)を許可する。これにより、作業者6は、可視光8で指示された作業位置7に対して電動工具2を用いて作業を実行することが可能になる。
【0055】
また、工具制御部385は、電動工具2が作業位置7にセットされていないと工具位置判定部384が判定した場合は、第2通信部32から電動工具2に作動拒否信号s2(制御信号)を送信することで、電動工具2を停止させる。これにより、作業者6が、可視光8で指示された作業位置7に対して電動工具2を用いて作業を実行することを禁止する。また、工具制御部385は、電動工具2が作業位置7にセットされていないと工具位置判定部384が判定した場合は、工具位置判定部384の判定結果(電動工具2が作業位置7にセットされていないこと)を電動工具2の後述の報知部26(例えば音出力部)によって電動工具2の周囲に報知させる。これにより、作業者6に電動工具2が作業位置7にセットされていないことを知らせて、電動工具2を作業位置7にセットすることを促す。
【0056】
工具制御部385は、施工管理端末4から受信した作業条件d4に基づいて、可視光8で指示された作業位置7に対して実行される作業の作業条件d4を特定し、特定した作業条件d4を第2通信部32から電動工具2に送信する。これにより、電動工具2の動作設定が作業条件d4を満たす動作設定に自動的に設定される。これにより、作業者6が電動工具2を作動させると、電動工具2が作業条件d4を満たす動作設定で自動的に動作する。
【0057】
作業完了判定部386は、作業者6に作業させる作業位置7が複数有る場合、その複数の作業位置7の全てに対して電動工具2を用いた作業が実行されたか否かを判定する。より詳細には、作業完了判定部386は、電動工具2が各作業位置7に対する作業を終了する毎に、電動工具2から、当該作業に関する作業終了情報u2及び当該作業中の電動工具2の動作波形情報を第2通信部32を介して受信する。作業完了判定部386は、電動工具2から作業終了情報u2を受信すると、投光方向制御部383、工具位置判定部384及び工具制御部385に対して、次の作業位置7に対して、上記の処理と同じ処理を行わせる。そして、作業完了判定部386は、作業者6に対して、次の作業位置7に対して電動工具2を用いて作業を実行させる。
【0058】
作業完了判定部386は、上記複数の作業位置7の個数と同じ回数、電動工具2から作業終了情報u2を受信すると、上記複数の作業位置7の全てに対して電動工具2を用いた作業が実行されたと判定する。そして、作業完了判定部386は、その判定結果(上記複数の作業位置7の全てに対して電動工具2を用いた所定作業が実行されたこと)と、各作業位置での電動工具2の動作波形情報とを作業結果d5として第1通信部31を介して施工管理端末4に送信する。上記動作波形情報とは、作業中の電動工具2の動作波形を示す情報である。
【0059】
本実施形態では、作業位置表示装置3の各構成要素(第1通信部31、第2通信部32、装置位置検出部35、工具位置検出部36、制御部38)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成としており、メモリに格納されているプログラムをCPUで実行することにより、上記各構成要素の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよい。
【0060】
(1-4)電動工具2の構成
図3を参照して、電動工具2の構成を説明する。
【0061】
電動工具2は、通信部21と、操作部22と、駆動部23と、先端工具23aと、状態検出部24と、受光部25と、記憶部27と、報知部26と、制御部28とを備える。
【0062】
通信部21は、作業位置表示装置3の第2通信部32と無線通信(例えばWi-Fi(登録商標))を行う。
【0063】
操作部22は、電動工具2に対する作業者6の操作を入力する部分であり、例えば、電動工具2の作動及び停止を切り替える。操作部22は、例えばトリガー式の操作部22であり、トリガーの引込操作で電動工具2が作動し、トリガーを元の位置に戻す操作で電動工具2が停止する。
【0064】
駆動部23は、先端工具23aを着脱可能に固定しかつ先端工具23aを駆動する部分である。駆動部23は、先端工具23aを着脱可能に固定するビット、先端工具23aを駆動するためのモータ及び駆動機構などを含む。先端工具23aは、例えばドリル、ドライバ、インパクトドライバ等である。
【0065】
状態検出部24は、電動工具2の作動状態を検出するセンサである。電動工具2の作動状態とは、電動工具2の始動・停止、及び電動工具2の出力(先端工具23aに与えるトルク量など)の状態などである。状態検出部24は、操作部22の操作量、及び駆動部23内のモータの動作波形を検出することで、電動工具2の作動状態を検出する。モータの動作波形とは、例えば、モータへの印加電圧の波形、又はモータの出力電圧の波形である。上記モータの動作波形は、電動工具2の動作波形である。
【0066】
受光部25は、作業位置表示装置3が作業位置7に投光して作業位置7で反射した可視光8の反射光を受光するセンサである。受光部25は、受光素子などを含む。
【0067】
報知部26は、各種情報を電動工具2の周囲に居る人(例えば作業者6)に報知する装置であり、例えば、音出力装置又は表示装置である。音出力装置は、音又は音声を出力する装置である。表示装置は、画像を表示可能な表示装置であり、例えば液晶表示装置である。報知部26は、電動工具2が可視光8で指示された作業位置7にセットされていない場合にその旨を報知する。また、報知部26は、可視光8で指示された作業位置7に対して実行されるべき作業の作業種別を報知する。
【0068】
記憶部27は、半導体メモリなどの電気的に書換可能な不揮発性の記憶部27である。記憶部27は、作業位置表示装置3から受信した各種情報(例えば、作業種別d3及び作業条件d4)を記憶する。また、記憶部27は、状態検出部24が検出した電動工具2の作業状態に関する情報(作業状態情報)を記憶する。また、記憶部27は、電動工具2の各種の動作に必要な制御プロクラムなどを記憶している。
【0069】
制御部28は、電動工具2の制御部28以外の各処理部281(通信部21、状態検出部24、受光部25、記憶部27及び報知部26)を制御する。制御部28は、処理部281と、動作設定部282と、許可/拒否判定部283と、駆動制御部284と、作業結果処理部285と、報知処理部286とを備える。
【0070】
処理部281は、通信部21が作業位置表示装置3から受信した各種情報(例えば、作業種別d3及び作業条件d4)を記憶部27に記憶する。処理部281は、状態検出部24の検出結果を記憶する。
【0071】
また、処理部281は、受光部25の受光結果を受信強度信号t1として通信部21から作業位置表示装置3に送信する。受光部25の受信結果(受信強度)は、電動工具2が作業位置7にセットされているときだけ、所定値以上の受信強度になる。したがって、処理部281は、電動工具2が作業位置7にセットされているときだけ、所定値以上の受信強度の受信強度信号t1を通信部21から作業位置表示装置3に送信する。他方、処理部281は、電動工具2が作業位置7にセットされていないときは、所定値未満の受信強度の受信強度信号t1を通信部21から作業位置表示装置3に送信する。これにより、作業位置表示装置3の工具位置検出部36が電動工具2から所定値以上の受信強度の受信強度信号t1を受信することで、その受信中は、電動工具2が作業位置7にセットされていることが担保される。これにより、電動工具2が作業位置7に対して所定作業を行うときに、電動工具2が作業位置7に正しくセットされたか否かの管理を精度良く行うことができる。
【0072】
動作設定部282は、通信部21が作業位置表示装置3から受信した作業条件d4に基づいて、電動工具2の動作設定を、当該作業条件d4を満たす動作設定に設定する。例えば、作業条件が、「トルク値=A値」という条件である場合、動作設定部282は、電動工具2の動作設定をトルク値=A値に設定する。
【0073】
許可/拒否判定部283は、通信部21が作業位置表示装置3から受信した作動許可信号s1及び作動拒否信号s2に基づいて、電動工具2の作動を許可するか拒否するかを判定する。すなわち、許可/拒否判定部283は、通信部21が作動許可信号s1を受信した場合は、電動工具2の作動を許可し、他方、通信部21が作動拒否信号s2を受信した場合は、電動工具2の作動を拒否する。
【0074】
駆動制御部284は、操作部22への入力操作、動作設定部282の設定結果及び作動許可/拒否判定部283の判定結果に基づいて、駆動部23を駆動制御する。
【0075】
より詳細には、駆動制御部284は、操作部22への入力操作に応じて駆動部23を制御するときに、作動許可/拒否判定部の判定結果に基づいて駆動部23を制御する。つまり、駆動制御部284は、操作部22への入力操作に応じて駆動部23を制御するときに、作動許可/拒否判定部283が電動工具2の作動を許可する判定をしている場合は、操作部22への入力操作に応じて駆動部23を制御する。他方、駆動制御部284は、操作部22への入力操作に応じて駆動部23を制御するときに、作動許可/拒否判定部が電動工具2の作動を拒否する判定をしている場合は、操作部22への入力操作に関わらず、駆動部23を停止させる。
【0076】
また、駆動制御部284は、操作部22への入力操作に応じて駆動部23を制御するとき、操作部22の操作量に関わらず、動作設定部282が設定した動作設定(すなわち受信した作業条件d4を満たす動作設定)に基づいて、駆動部23を制御する。例えば、駆動制御部284は、動作設定部282が設定した設定動作が先端工具23aのトルク値を或る値(A値)に設定する内容である場合を想定する。この場合は、駆動制御部284は、操作部22の操作量に関わらず、先端工具23a2の出力がA値となるように駆動部23を制御する。これにより、作業者6は、操作部22を介して電動工具2を操作するとき、作動許可/拒否判定部283が電動工具2の作動を許可する判定をしているときのみ、動作設定部282が設定した動作設定に従って電動工具2を操作することが可能である。
【0077】
作業結果処理部285は、状態検出部24の検出結果を作業結果d5として通信部21から作業位置表示装置3に送信する。より詳細には、作業結果処理部285は、状態検出部24が電動工具2の作業開始を検出すると、その検出結果(作業開始情報)を作業結果d5として通信部21から作業位置表示装置3に送信する。また、作業結果処理部285は、状態検出部24が電動工具2の作業終了を検出すると、その検出結果(作業終了情報)を作業結果d5として通信部21から作業位置表示装置3に送信する。また、作業結果処理部285は、状態検出部24が電動工具2の作業終了を検出すると、その作業中の電動工具2の動作波形(すなわちモータの動作波形)を作業結果d5として通信部21から作業位置表示装置3に送信する。
【0078】
報知処理部286は、通信部21が作業位置表示装置3から作動拒否信号s2を受信すると、その旨(電動工具2が可視光8で指示された作業位置7にセットされていない事)を報知部26から電動工具2の周囲(作業者6を含む)に報知させる。これにより、作業者6は、電動工具2を、可視光8で指示された作業位置7にセットする。このセットが作業位置表示装置3の工具位置検出部36に検出されると、電動工具2は、作業位置表示装置3からの作動許可信号s1を受信して作動可能になる。
【0079】
また、報知処理部286は、作業位置表示装置3から作業種別d3を受信すると、作業位置表示装置3が可視光8で指示する作業位置7に対する作業の作業種別(作業内容)を報知部26から電動工具2の周囲(作業者6を含む)に報知される。これにより、作業者6は、電動工具2に装着される先端工具23aを作業種別d3に対応する先端工具23aに換装する。
【0080】
本実施形態では、電動工具2の各構成要素(通信部21、状態検出部24、報知部26、制御部28)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成としており、メモリに格納されているプログラムをCPUで実行することにより、上記各構成要素の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよい。
【0081】
(1-5)動作説明
図4及び図5を参照して、電動工具システム1の動作を説明する。
【0082】
施工管理端末4は、作業者6が携帯しており、作業位置表示装置3は、作業現場に配置されているものとする。
【0083】
施工管理システム5は、各種データd1~d4を施工管理端末4に送信する(ステップS1)。施工管理端末4は、施工管理システム5から各種データd1~d4を受信すると、受信した各種データd1~d4を作業位置表示装置3に送信する(ステップS2)。作業位置表示装置3は、施工管理端末4から各種データd1~d4を受信すると、受信した各種データd1~d4を記憶する(ステップS3)。
【0084】
また、施工管理端末4は、後述のステップS5の処理で作業者6に使用させる基準目印を作業者6に通知する(ステップS4)。例えば、当該基準目印を含む作業現場の3D画像を施工管理端末4の表示部に表示することで、当該基準目印を作業者6に通知する。
【0085】
作業者6は、ステップS3で施工管理端末4から通知された基準目印に対応する基準目印を作業現場で特定する。そして、作業者6は、作業位置表示装置3を手動で動かして、特定した基準目印を用いて作業位置表示装置3の配置位置(すなわち基準目印に対する作業位置表示装置3の相対位置)を特定するための作業を行う(ステップS5)。この作業によって、作業位置表示装置3は、3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置を特定する(ステップS6)。
【0086】
ステップS5及びS6では、より詳細には、作業者6が、手動で、作業位置表示装置3の向きを、作業位置表示装置3の測距部351が当該基準目印に向かう方向に変更させる。そして、この変更状態で、作業位置表示装置3の装置位置検出部35が、作業位置表示装置3と当該基準目印との間の相対距離と、作業位置表示装置3から当該基準目印に向かう方向を規定する方向角とを計測する。そして、作業位置表示装置3の装置位置特定部382が、上記の計測の結果に基づいて作業位置表示装置3と当該基準目印との相対配置を求め、この求めた相対配置を用いて3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置を特定させる。
【0087】
そして、作業位置表示装置3は、電動工具2に、後述のステップS10で指示される作業位置7に対して実行される作業の作業種別d3及び作業条件d4を送信する(ステップS7)。電動工具2は、作業位置表示装置3から作業条件d4を受信すると、電動工具2の動作設定を、受信した作業条件d4を満たす動作設定に変更する(ステップS8)。また、電動工具2は、作業位置表示装置3から作業種別d3を受信すると、受信した作業種別d3を電動工具2の報知部26から作業者6に報知する(ステップS9)。これにより、作業者6は、電動工具2の先端工具23aを、報知された作業種別d3に対応する先端工具に変更する。
【0088】
そして、作業位置表示装置3の投光方向制御部383は、ステップS3で受信した3Dデータd1及び位置データd2とステップS6の特定結果とに基づいて、投光部33が作業現場の作業位置7に向くように回転駆動部34を制御する。そして、作業位置表示装置3の投光方向制御部383は、投光部33から可視光8を発光させて、可視光8によって作業現場の作業位置7を指示する(ステップS10)。作業者6は、このように可視光8で指示された作業位置7に対して、電動工具2を用いて作業を行う。
【0089】
作業位置表示装置3の工具位置検出部36は、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する(ステップS11)。作業位置表示装置3の工具位置判定部384は、工具位置検出部36の検出結果に基づいて、可視光8で指示された作業位置7に電動工具2がセットされているか否かを判定する(ステップS12)。この判定の結果、電動工具2が当該作業位置にセットされていない場合(ステップS12:No)は、作業位置表示装置3の工具位置判定部384は、作動拒否信号s2を電動工具2に送信する(ステップS13)。そして、電動工具2は、その作動拒否信号s2を受信すると、電動工具2の許可/拒否判定部283が電動工具2の作動を拒否する判定を行う(ステップS14)。
【0090】
ステップS14の判定結果に応じて、電動工具2の駆動制御部284は、電動工具2を停止する(ステップS14B)。これにより、電動工具2に対する作業者6の操作に対して、電動工具2が作動しないようにする。また、ステップS14の判定結果に応じて、電動工具2の報知部26は、電動工具2が当該作業位置7にセットされていないことを報知する(ステップS14C)。これにより、作業者6は、電動工具2を当該作業位置7にセットする。
【0091】
他方、ステップS12の判定の結果、電動工具2が当該作業位置にセットされている場合(ステップS12:Yes)は、作業位置表示装置3の工具位置判定部384は、作動許可信号s1を電動工具2に送信する(ステップS15)。そして、電動工具2は、その作動許可信号s1を受信すると、電動工具2の許可/拒否判定部283が電動工具2の作動を許可する判定を行う(ステップS16)。この判定に応じて、電動工具2の駆動制御部284は、電動工具2を作動可能にする。具体的には、駆動制御部284は、電動工具2をイネーブル状態にする。
【0092】
そして、作業者6は、電動工具2を用いて、可視光8で指示された作業位置7に対して作業を開始する(ステップS17)。電動工具2の状態検出部24は、作業者6の当該作業の開始を検出し、電動工具2の作業結果処理部285は、状態検出部24の検出結果(作業開始情報)を作業結果d5として作業位置表示装置3に送信する(ステップS18)。そして、作業位置表示装置3は、電動工具2からの作業開始情報(作業結果d5)を受信し(ステップS19)、受信した作業開始情報(作業結果d5)を、当該作業位置7に対応する位置データd2と対応付けて記憶部37に記憶する(ステップS20)。
【0093】
そして、作業者6が作業を終了すると(ステップS21)、電動工具2の状態検出部24がその作業終了を検出する。また、状態検出部24は、電動工具2の当該作業中の動作波形を検出している。電動工具2の作業結果処理部285は、状態検出部24の検出結果(作業終了情報及び動作波形情報)を作業結果d5として作業位置表示装置3に送信する(ステップS22)。上記動作波形情報は、状態検出部24が検出した電動工具2の作業中の動作波形に関する情報である。そして、作業位置表示装置3は、電動工具2からの作業終了情報及び動作波形情報を受信する(ステップS23)。そして、作業位置表示装置3は、受信した作業終了情報及び動作波形情報(作業結果d5)を、当該作業位置7に対応する位置データd2に対応付けて記憶部37に記憶する(ステップS20)。
【0094】
そして、作業位置表示装置3の作業完了判定部386は、作業者6に作業させる複数の作業位置7の全てに対して、電動工具2を用いた作業が実行されたか否かを判定する(ステップS24)。作業完了判定部386が、複数の作業位置7の全てに対して電動工具2を用いた作業が実行されていないと判定した場合(ステップS24:No)は、次の作業位置7に対してステップS7移行の処理が繰り替えされる。他方、作業完了判定部386が、複数の作業位置7の全てに対して電動工具2を用いた所定作業が実行されたと判定した場合(ステップS24:Yes)は、上記複数の作業位置7の各々の作業結果d5を施工管理端末4に送信する(ステップS25)。
【0095】
そして、施工管理端末4は、作業位置表示装置3から作業結果d5を受信すると、受信した作業結果d5を施工管理システム5に送信する(ステップS26)。施工管理システム5は、施工管理端末4から作業結果d5を受信すると、受信した作業結果d5を、その作業結果d5に対応する位置データd2に対応付けて記憶する(ステップS27)。そして、電動工具システム1の処理が終了する。
【0096】
(1-6)主要な効果
以上で説明した電動工具システム1は、作業位置表示装置3と、電動工具2と、工具位置検出部36と、工具位置判定部384と、工具制御部385とを備える。作業位置表示装置3は、作業現場において収束性を有する可視光8を投光することで作業位置7を指示する。電動工具2は、可視光8によって指示された作業位置7に対して作業を実行する。工具位置検出部36は、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。工具位置判定部384は、電動工具2が作業位置7に対して作業を実行する前に、工具位置検出部36の検出結果に基づいて電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。本実施形態では、一例として、工具位置検出部36及び工具位置判定部384は、作業位置表示装置3に備えられている。
【0097】
この構成によれば、作業現場において作業位置表示装置3が可視光8を投光することで作業位置7を指示する。そして、電動工具2が当該作業位置7に対して作業を実行する前に、工具位置検出部36の検出結果に基づいて電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。このため、電動工具2を正しい作業位置7に速やかにセットでき、これにより、正しい作業位置7に対して電動工具2で速やかに作業を実行できる。この結果、作業位置表示装置3によって次の作業位置を速やかに指示可能になり、電動工具2を用いて作業現場の作業位置7に対して作業を行う際の作業効率を向上できる。
【0098】
(2)電動工具、電動工具制御方法、及びプログラム
上記の実施形態に係る電動工具システム1と同様の機能は、電動工具2、電動工具制御方法、コンピュータプログラム(プログラム)、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0099】
一態様に係る電動工具(図6参照)は、作業現場において収束性を有する可視光によって指示された作業位置7に対して作業を実行する電動工具2である。電動工具2は、工具位置検出部50と、工具位置判定部51とを備える。工具位置検出部50は、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。工具位置判定部51は、工具位置検出部50の検出結果に基づいて電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。
【0100】
一態様に係る電動工具制御方法(図4及び図5参照)は、第1工程(ステップS10)と、第2工程(ステップS17)と、第3工程(ステップS11)と、第4工程(ステップS12)とを、備える。第1工程は、作業位置表示装置3を用いて作業現場において可視光8(可視光)を投光することで作業位置7を指示する。第2工程は、可視光8によって指示された作業位置7に対して、電動工具2を用いて作業を実行する。第3工程は、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。第4工程は、電動工具2が作業位置7に対して作業を実行する前に、第3工程の検出結果に基づいて電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。
【0101】
一態様に係るプログラムは、上記の電動工具制御方法を1以上のプロセッサに実行させる。
【0102】
一態様に係る非一時的記録媒体は、上記の電動工具制御方法を1以上のプロセッサに実行させるプログラムを一時的に記録する。
【0103】
(3)変形例
以下、上記の実施形態の変形例を説明する。なお、上記の実施形態と下記の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0104】
(3-1)変形例1
上記実施形態では、工具位置検出部36及び工具位置判定部384は作業位置表示装置3に備えられるが、本変形例では、図6に示すように、工具位置検出部50及び工具位置判定部51は電動工具2に備えられる。
【0105】
本変形例の作業位置表示装置3は、上記実施形態の作業位置表示装置3と比べて、工具位置検出部36及び工具位置判定部384を備えない点が異なる他に、工具制御部385を備えない点が異なる。また、本変形例の電動工具2は、上記実施形態の電動工具2と比べて、工具位置検出部50及び工具位置判定部51を備える点が異なる他に、受光部25を備えない点と、許可/拒否判定部283の動作が異なる点とが異なる。以下、本変形例における工具位置検出部50、工具位置判定部51、及び許可/拒否判定部283の各々の動作を説明する。
【0106】
工具位置検出部50は、作業位置表示装置3から作業位置7に発信された収束性を有する電磁波(例えば可視光8)の作業位置7での反射波を受信し、その受信時の受信強度に基づいて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。本変形例では、作業位置表示装置3の投光部33から投光される可視光8が、工具位置検出部50が上記相対位置を検出するために用いる上記電磁波と兼用されている。
【0107】
工具位置判定部51は、電動工具2の制御部28に備えられている。工具位置判定部51は、可視光8で指示された作業位置7に対して電動工具2が作業を実行する前に、工具位置検出部50の検出結果に基づいて、可視光8で指示される作業位置7に電動工具2がセットされているか否かを判定する。
【0108】
本変形例の許可/拒否判定部283は、作動許可信号s1及び作動拒否信号s2の代わりに、工具位置判定部51の判定結果に基づいて、電動工具2の作動を許可するか拒否するかを判定する。すなわち、許可/拒否判定部283は、可視光8で指示される作業位置7に電動工具2がセットされていると工具位置判定部51が判定した場合は、電動工具2の作動を許可する。他方、許可/拒否判定部283は、可視光8で指示される作業位置7に電動工具2がセットされていないと工具位置判定部51が判定した場合は、電動工具2の作動を拒否する。
【0109】
本変形例によれば、作業位置表示装置3から発信して作業位置7で反射した電磁波(例えば可視光8)の反射波の受信強度を用いて、電動工具2において、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出できる。特に、作業位置7で反射した電磁波は、作業位置7から離れると急速に受信強度が低下するため、作業位置7の付近のみで実質的に受信可能である。このため、作業位置7で反射した電磁波の反射波を電動工具2で実質的に受信できるか否かによって、電動工具2が作業位置7の付近に配置されているか(すなわち電動工具2が作業位置7にセットされているか)を容易に検出できる。
【0110】
(3-2)変形例2
上記実施形態では、作業位置表示装置3の工具位置検出部36は、作業位置7での可視光8の反射波の受信強度に基づいて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。これに対し、本変形例では、図7に示すように、工具位置検出部36は、電動工具2から発信された電磁波60を受信し、その受信した電磁波60の受信強度及び受信方向を用いて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。
【0111】
本変形例の電動工具2は、電磁波60を発信する発信部61を備える。本変形例の電動工具2は、上記実施形態の電動工具2において、受光部25を省略して発信部61を追加した構成である。図7では、電動工具2の構成のうち、発信部61以外の構成は図示省略されている。
【0112】
本変形例の作業位置表示装置3の工具位置検出部36は、複数の受信部62と、処理部63とを備える。複数の受信部62は、所定配置に並べられている。図7では、受信部62は、作図都合上の理由で1つだけ図示されている。複数の受信部62は、電動工具2からの電磁波60を受信する。処理部63は、複数の受信部62の出力(受信強度)の分布から、複数の受信部62が受信した電磁波60の受信方向と受信強度とを検出する。また、処理部63は、検出した受信方向及び受信強度から、作業位置表示装置3に対する電動工具2の相対位置を検出する。より詳細には、処理部63は、検出した受信方向から、作業位置表示装置3から電動工具2への相対方向を検出し、検出した受信強度から、作業位置表示装置3に対する電動工具2の相対距離を検出する。そして、処理部63は、この検出結果(作業位置表示装置3に対する電動工具2の相対位置)と、装置位置特定部382の特定結果(3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置)と、位置データd2(3Dデータd1上の作業位置7の位置)とから、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。
【0113】
本変形例によれば、電動工具2からの電磁波60を用いて、作業位置表示装置3において、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出できる。
【0114】
(3-3)変形例3
上記実施形態では、工具位置検出部36及び工具位置判定部384は、作業位置表示装置3に備えられており、工具位置検出部36は、作業位置7での可視光8の反射波の受信強度に基づいて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。これに対し、本変形例では、図6に示すように、工具位置検出部70及び工具位置判定部71は、電動工具2に備えられている。そして、作業位置表示装置3は、収束性を有する電磁波(例えば可視光8)を発信方向を変化させながら発信し、かつ上記電磁波に発信方向情報を重畳して発信する。上記発信方向情報とは、上記電磁波の発信時の発信方向に関する情報である。そして、工具位置検出部70は、受信した上記電磁波の受信強度、及び受信した電磁波に重畳された発信方向情報を用いて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。
【0115】
本変形例の作業位置表示装置3は、上記実施形態の作業位置表示装置3(図2参照)と比べて、工具位置検出部36及び工具位置判定部384を備えない点が異なる他に、工具制御部385を更に備えない点が異なる。また、本変形例の電動工具2は、上記実施形態の電動工具2と比べて、工具位置検出部70及び工具位置判定部71を備える点が異なる他に、受光部25を備えない点と、許可/拒否判定部283の動作が異なる点とが異なる。
【0116】
本変形例の作業位置表示装置3では、投光方向制御部383は、上記実施形態の投光方向制御部383の動作に加えて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出するための下記の動作が追加される。すなわち、投光方向制御部383は、投光部33からの可視光8によって作業位置7を指示する前に、回転駆動部34を制御して、投光部33の方向(すなわち可視光8の発信方向)を水平方向及び垂直方向に少しずつ変化させながら可視光8を、作業現場において作業位置7を含む一定範囲(例えば作業現場全体)に渡って発信させる。このように、可視光8の発信方向を少しずつ変化させて可視光8を発信することで、可視光8を、作業現場において作業位置7を含む一定範囲に走査させなら投光する。これにより、投光方向制御部383は、作業現場での電動工具2の位置を特定していなくても電動工具2に可視光8を受信させることができる。また、投光方向制御部383は、可視光8の発信時に、その発信時の可視光8の発信方向に関する発信方向情報を可視光8に重畳して発信させる。上記「発信時の発信方向」は、発信時の回転駆動部34の回転軸A1,A2回りの回転量に基づいて決められる。
【0117】
本変形例の作業位置表示装置3は、作業条件d4及び作業種別d3と一緒に、位置データd2及び装置位置特定部382の特定結果を、第2通信部32から電動工具2に送信する。
【0118】
本変形例の電動工具2では、工具位置検出部70は、作業位置表示装置3から発信方向を変化させながら発信された可視光8を受信すると、受信した可視光8の受信強度と、受信した可視光8に重畳された発信方向情報とを用いて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。より詳細には、工具位置検出部70は、受信した可視光8の受信強度と、受信した可視光8に重畳された発信方向情報とから、作業位置表示装置3に対する電動工具2の相対位置を求める。つまり、工具位置検出部70は、受信した発信方向情報から、作業位置表示装置3から電動工具2への相対方向を検出し、受信した受信強度から、作業位置表示装置3に対する電動工具2の相対距離を検出する。そして、工具位置検出部70は、この求めた相対位置と、第2通信部32を介して受信した位置データd2(3Dデータd1上の作業位置7の位置)と、装置位置特定部382の特定結果(3Dデータd1上の作業位置表示装置3の配置位置)とから、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。
【0119】
本変形例の電動工具2の工具位置判定部71及び許可/拒否判定部283は、変形例1の工具位置判定部51及び許可/拒否判定部283と同じ動作を行う。
【0120】
本変形例によれば、作業位置表示装置3からの電磁波(可視光8)を用いて、電動工具2において、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出できる。
【0121】
(3-4)変形例4
上記実施形態では、工具位置検出部36(図2参照)は、可視光8の反射波の受信強度に基づいて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。これに対し、本変形例では、工具位置検出部81(図8参照)は、可視光8によって指示された作業位置7及びその周辺(電動工具2を含む)を撮像し、その撮像画像に基づいて上記相対位置を検出する。
【0122】
本変形例では、工具位置検出部81は、画像センサ装置80に備えられている。画像センサ装置80は、作業位置表示装置3及び電動工具2以外の別装置である。より詳細には、画像センサ装置80は、作業位置表示装置3、施工管理端末4及び電動工具2以外の別装置である。画像センサ装置80は、例えば、作業現場の所定位置(例えば作業現場の全体を見渡せる位置)に設置される。本変形例において、画像センサ装置80は、本変形例の電動工具システム1の構成要素である。
【0123】
図8に示すように、画像センサ装置80は、工具位置検出部81と、通信部82とを備える。工具位置検出部81は、撮像部811と、画像処理部812とを備える。
【0124】
撮像部811は、可視光8によって指示された作業位置7及びその周辺(電動工具2を含む)を撮像する。本変形例では、撮像部811は、静止画像を撮像するが動画像を撮像してもよい。画像処理部812は、画像処理によって撮像部811の撮像画像から可視光8の光点(すなわち作業位置7)及び電動工具2を認識する。そして、画像処理部812は、認識した光点及び電動工具2の各々の大きさとそれらの間の相対配置とから、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出する。通信部82は、作業位置表示装置3の第2通信部32と無線通信を行う。通信部82は、工具位置検出部81の検出結果(すなわち画像処理部812の処理結果)g1を作業位置表示装置3の第2通信部32に送信する。そして、作業位置表示装置3の工具位置判定部384は、第2通信部32が受信した工具位置検出部81の検出結果に基づいて、電動工具2が作業位置7にセットされているか否かを判定する。
【0125】
本変形例によれば、撮像画像を用いて、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出できる。
【0126】
なお、本変形例において、作業位置表示装置3の工具位置判定部384も、工具位置検出部81と一緒に画像センサ装置80に備えられてもよい。この場合、作業位置表示装置3の工具制御部385は、省略される。また、この場合、画像センサ装置80において、工具位置判定部384は、工具位置検出部81の検出結果に基づいて電動工具2が作業位置7にセットされているか否かの判定を行う。そして、工具位置判定部384は、その判定結果を、作動許可信号s1又は作動拒否信号s2として通信部82から電動工具2に送信する。
【0127】
なお、本変形例では、工具位置検出部81(撮像部811及び画像処理部812)は、作業位置表示装置3、電動工具2及び施工管理端末4以外の別装置である画像センサ装置80に備えられるが、作業位置表示装置3に備えらえてもよい。この場合の作業位置表示装置3の構成は、図2において、工具位置検出部36を図8の工具位置検出部81に置換した構成となる。この場合、画像センサ装置80は省略される。
【0128】
(3-5)変形例5
本変形例は、変形例3において、作業位置表示装置3が発信する上記電磁波(例えば可視光8)を用いて、電動工具2に設定した動作設定を変更可能とする。
【0129】
本変形例の作業位置表示装置3は、変形例3の作業位置表示装置3において、下記の動作が追加される。つまり、本変形例の作業位置表示装置3(投光方向制御部383)が上記電磁波を発信方向を少しずつ変化させながら発信するときに、上記電磁波に、上記発信方向情報と一緒に変更条件を重畳する。これにより、上記電磁波を用いて、変更条件が作業位置表示装置3から電動工具2に送信される。なお、変更条件とは、電動工具2に既に設定された動作設定とは異なる動作設定を規定する作業条件である。
【0130】
本変形例の電動工具2の動作設定部282は、通信部21が上記電磁波を受信すると、受信した電磁波に重畳された変更条件に基づいて、電動工具2に既に設定されている動作設定を、上記変更条件を満たす動作設定に変更する。これにより、電動工具2の動作設定が変更条件を満たす動作設定に変更される。
【0131】
本変形例によれば、工具位置検出部36が、作業位置7に対する電動工具2の相対位置を検出するために用いる電磁波を利用して、電動工具2に設定された動作設定を変更することができる。
【0132】
なお、本変形例では、電動工具2の動作設定を変更するための変更条件を送信する場合を例示するが、変更条件以外の情報(例えば作業種別d3及び作業条件d4など)を上記電磁波に重畳して電動工具2に送信してもよい。
【0133】
本変形例は、変形例3に適用される場合を例示する。ただし、本変形例は、上記実施形態又は変形例1に適用されてもよい。本変形例が上記実施形態に適用される場合は、作業位置表示装置3(投光方向制御部383)は、作業位置7を指示するために投光部33から投光される可視光8に、変更条件を重畳する。そして、電動工具2の動作設定部282は、受光部25が作業位置7での可視光8の反射波を受信すると、受信した反射波に重畳された変更条件に基づいて、電動工具2に既に設定されている動作設定を、上記変更条件を満たす動作設定に変更する。
【0134】
(3-6)変形例6
上記実施形態は、工具位置検出部36及び工具位置判定部384が作業位置表示装置3に備えられる場合を例示する。ただし、工具位置検出部36及び工具位置判定部384はそれぞれ、作業位置表示装置3に備えられる代わりに、電動工具2に備えられてもよいし、又は、作業位置表示装置3及び電動工具2以外の別装置に備えられてもよい。この構成によれば、工具位置検出部36及び工具位置判定部384はそれぞれ、電動工具2又は上記別装置に備えられる場合に、本開示を適用できる。
【0135】
(3-7)変形例7
上記実施形態の電動工具システム1では、施工管理端末4(中継端末)を備える場合を例示するが、施工管理端末4は無くてもよい。この場合は、施工管理システム5は、施工管理端末4を介さずに各種データ(3Dデータd1、位置データd2、作業別種及び作業条件d4)を作業位置表示装置3に送信する。また、作業位置表示装置3は、施工管理端末4を介さずに作業結果d5を施工管理システム5に送信する。
【0136】
(4)態様
上記の実施形態及び変形例から本開示は下記の態様を取り得る。
【0137】
第1の態様の電動工具システム(1)は、作業位置表示装置(3)と、電動工具(2)と、工具位置検出部(36;50;70)と、工具位置判定部(384;51;71)と、を備える。作業位置表示装置(3)は、作業現場において収束性を有する可視光(8)を投光することで作業位置(7)を指示する。電動工具(2)は、可視光(8)によって指示された作業位置(7)に対して作業を実行する。工具位置検出部(36;50;70)は、作業位置(7)に対する電動工具(2)の相対位置を検出する。工具位置判定部(384;51;71)は、電動工具(2)が作業位置(7)に対して作業を実行する前に、工具位置検出部(36;50;70)の検出結果に基づいて電動工具(2)が作業位置(7)にセットされているか否かを判定する。
【0138】
この構成によれば、作業位置表示装置(3)によって作業現場において収束性を有する可視光(8)を投光することで作業位置(7)を指示する。そして、電動工具(2)が作業位置(7)に対して作業を実行する前に、工具位置検出部(36)の検出結果に基づいて電動工具(2)が作業位置(7)にセットされているか否かを判定する。このため、電動工具(2)を正しい作業位置(7)に速やかにセットでき、これにより、正しい作業位置(7)に対して電動工具(2)で速やかに作業を実行できる。この結果、作業位置表示装置(3)によって次の作業位置(7)を速やかに指示可能になり、電動工具(2)を用いて作業現場の作業位置(7)に対して作業を行う際の作業効率を向上できる。
【0139】
第2の態様の電動工具システム(1)では、第1の態様において、電動工具(2)が作業位置(7)にセットされていないと工具位置判定部(384)が判定した場合、電動工具(2)は、停止させられる又は電動工具(2)が作業位置(7)にセットされていない事を電動工具(2)の周囲に報知する。
【0140】
この構成によれば、電動工具(2)が作業位置(7)にセットされていないと工具位置判定部(384)が判定した場合、電動工具(2)が作業位置(7)にセットされていない事を電動工具(2)の周囲に居る人(作業者6)に報知できる。これにより、電動工具(2)を作業位置(7)にセットするように作業者(6)に促すことができる。また、電動工具(2)が停止されるため、正しくない作業位置に対して電動工具(2)を用いて作業されることを防止できる。
【0141】
第3の態様の電動工具システム(1)では、第1又は第2の態様において、工具位置検出部(36)及び工具位置判定部(384)はそれぞれ、作業位置表示装置(3)、電動工具(2)、又は、作業位置表示装置(3)及び電動工具(2)以外の別装置(80)に備えられている。
【0142】
この構成によれば、工具位置検出部(36)及び工具位置判定部(384)はそれぞれ、作業位置表示装置(3)、電動工具(2)、又は別装置(80)に備えられる場合に、本開示を適用できる。
【0143】
第4の態様の電動工具システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、工具位置検出部(36)は、作業位置表示装置(3)に備えられている。工具位置検出部(36)は、収束性を有する電磁波(8)を作業位置(7)に向けて発信する。電動工具(2)は、作業位置(7)で反射した電磁波(8)の反射波を受信し、受信した反射波の受信強度に関する受信強度信号(t1)を作業位置表示装置(3)に送信する。工具位置検出部(36)は、作業位置表示装置(3)が受信した受信強度信号(t1)に基づいて、上記相対位置を検出する。
【0144】
この構成によれば、作業位置表示装置(3)から発信して作業位置(7)で反射した電磁波(8)の反射波の受信強度を用いて、作業位置表示装置(3)において、上記相対位置を検出できる。特に、作業位置(7)で反射した電磁波(8)は、作業位置(7)から離れると急速に受信強度が低下するため、作業位置(7)の付近のみで実質的に受信可能である。このため、作業位置(7)で反射した電磁波(8)の反射波を電動工具(2)で実質的に受信できるか否かによって、電動工具(2)が作業位置(7)の付近に配置されているか(すなわち電動工具(2)が作業位置(7)にセットされているか)を容易に検出できる。
【0145】
第5の態様の電動工具システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、工具位置検出部(50)は、電動工具(2)に備えられている。作業位置表示装置(3)は、収束性を有する電磁波(8)を作業位置(7)に向けて発信する。工具位置検出部(50)は、作業位置(7)で反射した電磁波(8)の反射波を受信し、受信した反射波の受信強度を用いて、上記相対位置を検出する。
【0146】
この構成によれば、作業位置表示装置(3)から発信して作業位置(7)で反射した電磁波(8)の反射波の受信強度を用いて、電動工具(2)において、上記相対位置を検出できる。特に、作業位置(7)で反射した電磁波(8)は、作業位置(7)から離れると急速に受信強度が低下するため、作業位置(7)の付近のみで実質的に受信可能である。このため、作業位置(7)で反射した電磁波(8)の反射波を電動工具(2)で実質的に受信できるか否かによって、電動工具(2)が作業位置(7)の付近に配置されているか(すなわち電動工具(2)2が作業位置(7)7にセットされているか)を容易に検出できる。
【0147】
第6の態様の電動工具システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、工具位置検出部(36)は、作業位置表示装置(3)に備えられている。電動工具(2)は、電磁波(60)を発信する。工具位置検出部(36)は、電動工具(2)から発信された電磁波(60)を受信し、受信した電磁波(60)の受信強度及び受信方向を用いて、上記相対位置を検出する。
【0148】
この構成によれば、電動工具(2)からの電磁波(60)を用いて、作業位置表示装置(3)において上記相対位置を検出できる。
【0149】
第7の態様の電動工具システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、電磁波を第1電磁波(8)とする。工具位置検出部(36)は、電動工具(2)に備えられている。作業位置表示装置(3)は、収束性を有する電磁波(8)を発信方向を変化させながら、作業現場における作業位置(7)を含む一定範囲に発信し、かつその発信時の発信方向に関する発信方向情報を電磁波(8)に重畳して電磁波(8)を発信する。工具位置検出部(36)は、受信した電磁波(8)の受信強度、及び受信した電磁波(8)に重畳された発信方向情報を用いて、上記相対位置を検出する。
【0150】
この構成によれば、作業位置表示装置(3)からの電磁波(8)を用いて、電動工具(2)において上記相対位置を検出できる。
【0151】
第8の態様の電動工具システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、工具位置検出部(81)は、作業位置表示装置(3)及び別装置(80)の一方に備えられている。工具位置検出部(81)は、作業位置表示装置(3)からの可視光(8)によって指示された作業位置(7)及び電動工具(2)を含む撮像画像を撮像し、撮像画像に基づいて上記相対位置を検出する撮像センサである。
【0152】
この構成によれば、撮像画像を用いて上記相対位置を検出できる。
【0153】
第9の態様の電動工具システム(1)では、第7の態様において、電動工具(2)は、電動工具(2)に設定された動作設定に基づいて電動工具(2)に装着された先端工具(23a)を駆動する。作業位置表示装置(3)は、動作設定を変更するための変更条件を上記電磁波(8)に重畳して発信する。電動工具(2)は、電磁波(8)を受信すると、上記動作設定を、受信した電磁波(8)に重畳された変更条件を満たす動作設定に変更する。
【0154】
この構成によれば、工具位置検出部(36)が、作業位置(7)に対する電動工具(2)の相対位置を検出するために用いる電磁波(8)を利用して、電動工具(2)に設定された動作設定を変更することができる。
【0155】
第10の態様の電動工具システム(1)では、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、電動工具(2)は、作業が終了すると、作業終了情報を作業位置表示装置(3)に送信する。作業位置表示装置(3)は、作業終了情報を受信すると、作業現場において可視光(8)によって次の作業位置(7)を指示する。
【0156】
この構成によれば、作業位置表示装置(3)は、作業終了情報を受信することで、電動工具(2)が作業を終了したことを速やかに検出でき、速やかに次の作業位置(7)を可視光(8)によって指示できる。
【0157】
第11の態様の電動工具システム(1)では、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、電動工具(2)は、作業が終了すると、当該作業の作業中の電動工具(2)の動作波形を作業位置表示装置(3)に送信する。作業位置表示装置(3)は、受信した動作波形を作業位置(7)に対応付けて、外部システム(5)に直接送信し又は中継端末(4)を介して外部システム(5)に送信する。
【0158】
この構成によれば、電動工具(2)による作業の終了後、当該作業の作業中の電動工具(2)の動作波形を作業位置(7)に対応付けて外部システム(5)に送信できる。これにより、当該作業の作業中の電動工具(2)の動作波形を作業位置(7)に対応付けて、外部システム(5)で管理できる。
【0159】
第12の態様の電動工具システム(1)では、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、作業位置表示装置(3)は、作業場所の3Dデータ(d1)、作業位置(7)の位置データ(d2)、作業の作業種別(d3)、作業の作業条件(d4)に関する各種情報を、外部システム(5)から直接に又は外部システム(5)から中継端末(4)を介して受信する。
【0160】
この構成によれば、作業現場において可視光(8)で指示する作業位置(7)を、外部システム(5)からの各種データ(3Dデータ、位置データ、作業種別及び作業条件)によって指定することができる。
【0161】
第13の態様の電動工具(2)は、作業現場において収束性を有する可視光(8)によって指示された作業位置(7)に対して作業を実行する電動工具である。電動工具(2)は、工具位置検出部(36;50;70)と、工具位置判定部(384;51;71)と、を備える。工具位置検出部(36;50;70)は、作業位置(7)に対する電動工具(2)の相対位置を検出する。工具位置判定部(384;51;71)は、電動工具(2)が作業位置(7)に対して上記作業を実行する前に、工具位置検出部(36;50;70)の検出結果に基づいて電動工具(2)が作業位置(7)にセットされているか否かを判定する。
【0162】
この構成によれば、第1の態様の工具位置検出部(36;50;70)及び工具位置判定部(384;51;71)を備える電動工具(2)を提供できる。すなわち第1の態様の作用効果を有する電動工具(2)を提供できる。
【0163】
第14の態様の電動工具制御方法は、第1工程(ステップS10)と、第2工程(ステップS17)と、第3工程(ステップS11)と、第4工程(ステップS12)と、を備える。第1工程(ステップS10)は、作業位置表示装置(3)を用いて作業現場において可視光(8)を投光することで作業位置(7)を指示する。第2工程(ステップS17)は、可視光(8)によって指示された作業位置(7)に対して、電動工具(2)を用いて作業を実行する。第3工程(ステップS11)は、作業位置(7)に対する電動工具(2)の相対位置を検出する。第4工程(ステップS12)は、電動工具(2)が作業位置(7)に対して作業を実行する前に、第3工程の検出結果に基づいて電動工具(2)が作業位置(7)にセットされているか否かを判定する。
【0164】
この構成によれば、第1の態様の電動工具システム(1)と同じ作用効果を奏する電動工具制御方法を提供できる。
【0165】
第15の態様のプログラムは、第14の態様の電動工具制御方法を1以上のプロセッサに実行させる。
【0166】
この構成によれば、上記電動工具制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0167】
1 電動工具システム
2 電動工具
3 作業位置表示装置
4 施工管理端末(中継端末)
5 施工管理システム(外部システム)
7 作業位置
8 可視光レーザ(可視光、電磁波、第1電磁波)
23a 先端工具
36,50,70 工具位置検出部
60 電磁波
80 画像センサ装置
384,51,71 工具位置判定部
d1 3Dデータ
d2 位置データ
d3 作業種別
d4 作業条件
t1 受信強度信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8