IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 直本工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-アイロン掛け装置 図1
  • 特開-アイロン掛け装置 図2
  • 特開-アイロン掛け装置 図3
  • 特開-アイロン掛け装置 図4
  • 特開-アイロン掛け装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044304
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】アイロン掛け装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 81/08 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
D06F81/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152264
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000214939
【氏名又は名称】直本工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】金岡 明男
(72)【発明者】
【氏名】金澤 成祥
(72)【発明者】
【氏名】矢尾 五十二
【テーマコード(参考)】
4L029
【Fターム(参考)】
4L029NB06
(57)【要約】
【課題】 コンパクトで安価な構成により馬台の交換を迅速容易に行うことができるアイロン掛け装置を提供する。
【解決手段】 空気を吸引または吐出する通気ダクトを有する支持体10と、支持体10の上方に回転軸28を介して回転可能に支持された回転部材40とを備え、回転部材40の上面側には、馬台H1~H4が着脱可能に装着される保持部43a~43dが複数設けられ、各保持部43a~43dは、回転部材40の回転によって所定の作業位置Pに案内可能に配置されており、作業位置Pにおいて、馬台H1~H4が保持部43a~43dを介して前記通気ダクトに連通されるアイロン掛け装置1である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸引または吐出する通気ダクトを有する支持体と、前記支持体の上方に回転軸を介して回転可能に支持された回転部材とを備え、
前記回転部材の上面側には、馬台が着脱可能に装着される保持部が複数設けられ、
前記各保持部は、前記回転部材の回転によって所定の作業位置に案内可能に配置されており、
前記作業位置において、前記馬台が前記保持部を介して前記通気ダクトに連通されるアイロン掛け装置。
【請求項2】
前記通気ダクトは、先端の開口部を上方に向けて配置されており、
前記作業位置に案内された前記保持部に対して前記開口部を着脱可能に昇降させる昇降機構を更に備える請求項1に記載のアイロン掛け装置。
【請求項3】
前記回転部材は、前記回転軸から放射状に延びる複数のフレームと、複数の前記フレームに沿ってそれぞれ進退可能に設けられた複数のアームとを備え、
複数の前記保持部は、複数の前記アームにそれぞれ設けられており、
前記回転部材の回転により、前記保持部が前記作業位置に接近するにつれて前記アームを前記フレームから進出させ、前記保持部が前記作業位置から離隔するにつれて前記アームを前記フレームに退避させるカム機構を更に備える請求項1または2に記載のアイロン掛け装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記通気ダクトに接続されたファンと、前記作業位置に案内された前記馬台の種類に応じて前記ファンの出力を制御する制御装置とを更に備える請求項1から3のいずれかに記載のアイロン掛け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイロン掛け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の衣類用のアイロン掛け装置として、特許文献1には、各種形状の馬が着脱可能に装着される馬腕が、平台の上面に旋回可能に設けられたアイロン台装置が開示されている。アイロン台装置の内部にはブロワが収容されており、平台および馬台に対して切換弁の操作により選択的に吸引力を作用させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-79499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のアイロン台装置は、使用する馬台を変更する場合に、今まで使用していた馬台を馬腕から取り外した後、保管場所に保管されている複数の馬台の中から使用する馬台を取り出して、馬腕に取り付ける必要があるため、これら一連の作業が煩雑で時間がかかるという問題があった。また、保管された馬台をすぐに使用可能にするための保管スペースが過大になるおそれがあった。
【0005】
更に、上記従来のアイロン台装置は、馬台に対する吸引力の作用が、平台からの吸引経路の切り換えによって行われるため、吸引経路の構成が複雑になるだけでなく、平台に必要な吸引力に基づきブロワの出力が設計されているため、馬台用としてはブロワ性能が不十分になるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトで安価な構成により馬台の交換を迅速容易に行うことができるアイロン掛け装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、空気を吸引または吐出する通気ダクトを有する支持体と、前記支持体の上方に回転軸を介して回転可能に支持された回転部材とを備え、前記回転部材の上面側には、馬台が着脱可能に装着される保持部が複数設けられ、前記各保持部は、前記回転部材の回転によって所定の作業位置に案内可能に配置されており、前記作業位置において、前記馬台が前記保持部を介して前記通気ダクトに連通されるアイロン掛け装置により達成される。
【0008】
このアイロン掛け装置において、前記通気ダクトは、先端の開口部を上方に向けて配置されていることが好ましく、前記作業位置に案内された前記保持部に対して前記開口部を着脱可能に昇降させる昇降機構を更に備えることが好ましい。
【0009】
前記回転部材は、前記回転軸から放射状に延びる複数のフレームと、複数の前記フレームに沿ってそれぞれ進退可能に設けられた複数のアームとを備え、複数の前記保持部は、複数の前記アームにそれぞれ設けられていることが好ましく、前記回転部材の回転により、前記保持部が前記作業位置に接近するにつれて前記アームを前記フレームから進出させ、前記保持部が前記作業位置から離隔するにつれて前記アームを前記フレームに退避させるカム機構を更に備えることが好ましい。
【0010】
前記支持体は、前記通気ダクトに接続されたファンと、前記作業位置に案内された前記馬台の種類に応じて前記ファンの出力を制御する制御装置とを更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンパクトで安価な構成により馬台の交換を迅速容易に行うことができるアイロン掛け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るアイロン掛け装置の平面図である。
図2図1に示すアイロン掛け装置の側面図である。
図3図1に示すアイロン掛け装置の要部を示す側面図である。
図4図1に示すアイロン掛け装置の他の要部を示す正面図である。
図5図1に示すアイロン掛け装置の更に他の要部の作動示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアイロン掛け装置の平面図であり、図2は、図1に示すアイロン掛け装置の側面図である。図1および図2に示すように、アイロン掛け装置1は、支持体10と、支持体10に支持された回転部材40とを備えている。
【0014】
支持体10は、床面Fに設置される収容ケース20と、収容ケース20の上面の四隅にそれぞれ配置された複数の支柱27により支持される天板30とを備えている。天板30は、トレイ状に形成されており、底部が上方となる姿勢で、収容ケース20との間に間隔をあけて固定されている。
【0015】
収容ケース20の内部には、ファン22を内蔵するケーシング21が収容されている。ファン22はモータ23により駆動され、モータ23の作動は制御装置24により制御される。ケーシング21の一端側には、収容ケース20の背面を介して収容ケース20の外部に開口する通風口25が形成されており、ケーシング21の他端側には、通気ダクト26が接続されている。通気ダクト26は、変形および伸縮が可能な蛇腹状に形成されており、先端の開口部が天板30の開口を貫通して突出し、上方を向くように配置されている。
【0016】
収容ケース20には、鉛直上方に天板30を貫通して延びる回転軸28が固定されている。回転軸28の上端には、大部分の図示を省略したアイロンリフター用のポール29が連結されている。本実施形態の収容ケース20は、キャスターにより移動可能に構成されているが、キャスターを備えない構成であってもよい。
【0017】
回転部材40は、複数のフレーム41a~41dを備える本体41と、複数のアーム42a~42dと、複数の保持部43a~43dとを備えており、支持体10の上方に回転軸28を介して回転可能に支持されている。本体41は、回転軸28にベアリングを介して水平回転自在に支持されており、複数のフレーム41a~41dが回転軸28から放射状に延びるように配置されている。フレーム41a~41dの数は、複数であれば特に限定されないが、2から6の範囲であることが好ましく、本実施形態では4つのフレーム41a~41dが十字状に配置されている。
【0018】
複数のアーム42a~42dは、対応する複数のフレーム41a~41dに沿うように形成されており、両側部が複数のフレーム41a~41dにそれぞれ支持されている。各アーム42a~42dの両側面には断面コ字状のガイド溝44,44が長手方向に沿って形成されており、各フレーム41a~41d内の両側に設けられたガイドレール45,45に、ガイド溝44,44が係合している。これにより、複数のアーム42a~42dは、対応する複数のフレーム41a~41dに沿って進退可能に設けられている。
【0019】
複数の保持部43a~43dは、上下が開口する円筒状に形成されており、各アーム42a~42dの進退方向の進出側(先端側)にそれぞれ設けられている。各保持部43a~43dの上端開口には、図1に2点鎖線で示す各種形状の馬台H1~H4が、それぞれ着脱可能に装着される。
【0020】
また、本実施形態のアイロン掛け装置1は、回転部材40の回転により、各フレーム41a~41dに対して各アーム42a~42dが進退するカム機構50を備えている。カム機構50は、天板30の上面側に設けられた無端状の案内溝53と、各アーム42a~42dに設けられたカムフォロア54a~54dとを備える溝カム機構であり、カムフォロア54a~54dが案内溝53に沿って移動する。案内溝53は、リング部材51の内周面と板部材52の外周面との隙間によって形成されている。リング部材51および板部材52は、それぞれピン状の固定部材55によって支持部材56を介して天板30に固定されている。
【0021】
図3に示すように、カムフォロア54aは、案内溝53の壁面に接して摺動しながら回転するローラ状の部材であり、アーム42aの進退方向の退避側(基端側)に設けられている。案内溝53は、各アーム42a~42dが、正面側(図1の下側)に位置するときに各フレーム41a~41dから進出一方、背面側(図1の上側)に位置するときに各フレーム41a~41dに退避するように形成されており、各保持部43a~43dは、正面側で所定の作業位置Pに案内される。案内溝53の形状は特に限定されるものではなく、例えば、円形状に形成することができるが、カムフォロア54aがスムーズに移動可能であれば、他の湾曲形状であってもよい。
【0022】
また、本実施形態のアイロン掛け装置1は、作業位置Pに案内された各保持部43a~43dに通気ダクト26を連通させる昇降機構60を備えている。
【0023】
図4は、昇降機構60の正面図である。図4に示すように、昇降機構60は、通気ダクト26の先端部を挟んで両側に設けられた操作レバー61a,61bと、操作レバー61a,61bの基端側が固定部材62a,62bを介して固定されたカム板63a,63bと、通気ダクト26の両側に取り付けられたローラ状のカムフォロア67a,67bとを備えている。カム板63a,63bは、天板30の底部(上部)に固定されたブラケット64a;65a,64b;65bに回動軸66a,66bにより回動可能に支持されており、外周カム面にカムフォロア67a,67bが当接する。天板30の底部(上部)には、操作レバー61a,61bが上方に突出する長孔31a,31bと、通気ダクト26の先端部が上方に突出する開口32とが形成されており、操作レバー61a,61bの操作によりカム板63a,63bを回動させて、カムフォロア67a,67bが取り付けられた通気ダクト26の開口部261を昇降させることができる。固定部材62a,62bの間は連結板62により連結されており、通気ダクト26の両側の昇降を同期させて、通気ダクト26の全体をスムーズに昇降させることができる。
【0024】
次に、上記の構成を備えるアイロン掛け装置1の使用方法を説明する。まず、図1に示すように、形状や大きさ等が異なる複数種類の馬台H1~H4を保持部43a~43dにそれぞれ装着した後、回転部材40を回転させて、所望の馬台(例えば、馬台H3)を作業位置Pに移動させる。回転部材40の回転中は、図5(a)に示すように、昇降機構60の操作により、通気ダクト26が保持部43cと干渉しないように、通気ダクト26の開口部261を予め下降させておく。
【0025】
図1に示すように、馬台H3を作業位置Pに移動させた後、図5(a)に示す操作レバー61bを矢示方向に回動させると、カムフォロア67bがカム板63bのカム面を摺動して上昇することにより、通気ダクト26の開口部261が保持部43cに向けて上昇し、図5(b)に示すように、保持部43cの先端開口431cが開口部261内の段部にパッキン(図示せず)を介して当接した状態で、カムフォロア67bがカム板63bにロックされる。これにより、通気ダクト26の開口部261が保持部43cに対して気密に装着される。
【0026】
こうして、図2に示すように、保持部43cとケーシング21とを連通させた状態でファン22を作動させることにより、図1の馬台H3に対して空気の吸引または吐出を行い、馬台H3に適した衣類等に対するアイロン掛けを行うことができる。使用する馬台H3を交換する際には、操作レバー61bを図5(a)に示す位置に戻し、通気ダクト26を自重により降下させて、通気ダクト26と保持部43cとの装着状態を解除した後、回転部材40を回転させることで、所望の馬台H1~H4を作業位置Pに移動させることができる。
【0027】
このように、本実施形態のアイロン掛け装置1は、複数の馬台H1~H4を複数の保持部43a~43dに予め搭載しておくことができるため、交換用の馬台を保管する場所の省スペース化を図ることができる。また、予め搭載された複数の馬台H1~H4については、作業に必要な馬台を相互に切り替えて使用する際に、回転部材40および昇降機構60の操作のみによって、迅速容易に切り替えを行うことができる。更に、作業位置に移動させる馬台を、予め搭載された複数の馬台H1~H4の切り替えにより選択可能に構成することで、従来のアイロン台装置のような吸引経路の切り換え機構は不要になるため、製造コストの低減を図ることができる。
【0028】
また、本実施形態のアイロン掛け装置1は、回転部材40の回転により、保持部43a~43dが作業位置Pに接近するにつれてアーム42a~42dがフレーム41a~41dから進出し、保持部43a~43dが作業位置Pから離隔するにつれてアーム42a~42dがフレーム41a~41dに退避するカム機構50を備えているので、使用しない馬台を作業位置Pから離れた位置に集約させることができる。したがって、作業性を良好に維持しつつ、構成のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態の回転部材40は、手動で回転させるように構成しているが、電動モータ等により自動で回転させることも可能である。また、各保持部43a~43dが作業位置Pに確実に位置決めされるように、近接センサ等を利用して、回転部材40が所望の割出角度で間欠回転するように構成することもできる。
【0030】
また、本実施形態の昇降機構60は、カム板63a,63bを利用した手動操作により、各保持部43a~43dに対して通気ダクト26を着脱可能に昇降させる構成にしているが、通気ダクト26の昇降についても電動や空圧等を利用して自動で行ってもよい。
【0031】
各馬台H1~H4は、形状や大きさ等の相違により表面積が大きく異なる場合があるため、ファン22の出力が一定の場合には、馬台H1~H4によって吸引力や吹出力が変化し、作業性が低下するおそれがある。このため、制御装置24は、馬台H1~H4の交換後も適正な吸引力や吹出力が維持されるように、馬台H1~H4の種類に応じてファン22の出力を制御することが好ましい。制御装置24によるファン22の出力制御は、例えば、各保持部43a~43dに装着された馬台H1~H4の種類を制御装置24に入力して行うことが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 アイロン掛け装置
10 支持体
22 ファン
23 モータ
24 制御装置
26 通気ダクト
261 開口部
28 回転軸
30 天板
40 回転部材
41a~41d フレーム
42a~42d アーム
43a~43d 保持部
50 カム機構
60 昇降機構
H1~H4 馬台
P 作業位置
図1
図2
図3
図4
図5