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  • 特開-冷凍食材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044306
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】冷凍食材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/36 20060101AFI20230323BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20230323BHJP
【FI】
A23L3/36 A
A23L7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152266
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】521411817
【氏名又は名称】有限会社ステンレス工房プロ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】尾川 昭
【テーマコード(参考)】
4B022
4B023
【Fターム(参考)】
4B022LA07
4B022LB02
4B022LT10
4B023LE11
4B023LP05
4B023LP15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】食材の食味を良好に維持しつつ、短時間で加熱調理を行うことができる冷凍食材の製造方法を提供する。
【解決手段】食材を水に浸漬させた状態で容器内に封入し、急速冷凍することにより冷凍食材を製造する方法であって、前記冷凍食材は、水を追加することなく加熱調理することができる冷凍食材の製造方法である。前記急速冷凍は、-1℃から-5℃の最大氷結晶生成帯を通過する時間が5分以内となるように行われることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を水に浸漬させた状態で容器内に封入し、急速冷凍することにより冷凍食材を製造する方法であって、
前記冷凍食材は、水を追加することなく加熱調理することができる冷凍食材の製造方法。
【請求項2】
前記急速冷凍は、-1℃から-5℃の最大氷結晶生成帯を通過する時間が5分以内となるように行われる請求項1に記載の冷凍食材の製造方法。
【請求項3】
前記食材は、生米である請求項1または2に記載の冷凍食材の製造方法。
【請求項4】
前記容器は、可撓性の樹脂シートにより偏平状に形成されており、食材および水を収容後の最大厚みが4cm以下である請求項1から3のいずれかに記載の冷凍食材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯後の米飯等を急速冷凍して製造される冷凍食品が従来から知られている。例えば、特許文献1には、冷凍槽内で氷スラリーを流動させて米飯食品等の被冷凍食品に衝突させることにより、被冷凍食品を急速冷凍する食品の冷凍方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-162524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の食品の冷凍方法は、米飯食品を急速冷凍しても急速冷凍前のような食味が得られるように、急速冷凍方法の工夫が図られているが、炊きたて直後の米飯の食味を再現するのは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、食材の食味を良好に維持しつつ、短時間で加熱調理を行うことができる冷凍食材の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、食材を水に浸漬させた状態で容器内に封入し、急速冷凍することにより冷凍食材を製造する方法であって、前記冷凍食材は、水を追加することなく加熱調理することができる冷凍食材の製造方法により達成される。
【0007】
この冷凍食材の製造方法において、前記急速冷凍は、-1℃から-5℃の最大氷結晶生成帯を通過する時間が5分以内となるように行われることが好ましい。
【0008】
前記食材は、生米であることが好ましい。
【0009】
前記容器は、可撓性の樹脂シートにより偏平状に形成されており、食材および水を収容後の最大厚みが4cm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食材の食味を良好に維持しつつ、短時間で加熱調理を行うことができる冷凍食材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る冷凍食材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍食材の製造方法を説明するためのフローチャートである。図1に示すように、本実施形態の冷凍食材の製造方法は、封入工程S1および急速冷凍工程S2を備えており、製造された冷凍食材は、加熱調理工程S3で加熱調理された後に喫食することができる。
【0013】
封入工程S1は、食材を水に浸漬させた状態で容器内に封入する。本実施形態の容器は、可撓性の樹脂シートにより偏平状に形成されており、平面視矩形状の一辺側に開口が形成されている。樹脂シートは、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂や、これらの積層フィルムにより形成される。
【0014】
容器に封入される食材は、加熱調理前の食材であり、本実施形態では生米を使用する。生米は、脱穀した後に炊飯等の加熱処理を施していない米であり、米飯食品の製造に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、硬質米または軟質米のいずれであってもよい。また、生米は、無洗米を好ましく例示することができるが、玄米、5分付き米、発芽米等であってもよい。
【0015】
食材と共に容器に封入される水は、加熱調理用の水を使用することができ、例えば、水道水を適宜浄水器で浄水した水や、市販のミネラルウォータ等を使用することができる。
【0016】
容器に封入する食材と水の割合は、そのまま加熱調理するのに適した割合であればよく、例えば、一食分の米に対して、当該米を炊飯するのに適した量の水を収容する。食材および水が封入された容器は、開口部が熱融着により封止される。
【0017】
急速冷凍工程S2は、食材および水が封入された容器を急速冷凍機に収容して急速冷凍を行う。本実施形態の急速冷凍機は、冷凍槽の保持棚に容器を載置して、冷却液(例えば、-35℃のブライン)に浸漬させ、物品保持棚を冷却液中で容器と一緒に運動させて冷却液を撹拌するように構成されており、一般的な急速冷凍機よりも急速な冷凍を行うことができる。このような急速冷凍機としては、例えば、株式会社ゼロカラの超高速凍結機「ZERO-03」を好ましく例示することができる。
【0018】
急速冷凍においては、食品を常温から凍結温度まで冷却する過程で、-1℃から-5℃の最大氷結晶生成帯を短時間で通過させることにより、食品へのダメージを抑制できることが知られている。本発明は、この最大氷結晶生成帯を、従来の急速冷凍よりも更に短時間で通過させることにより、容器内で吸水した米から旨味成分が流出するのを効果的に抑制できることを、種々の実験を通じて見出したものである。具体的には、容器内の中心部における食材の温度が、上記の最大氷結晶生成帯を5分以内で通過することがより好ましい。
【0019】
容器内の中心部までの均一な急速冷却を容易にするため、容器の形状は偏平状であることが好ましい。食材および水を収容後の容器の最大厚みは、4cm以下がより好ましい。容器内の冷却を促すため、容器の表面には多数の凹凸を形成してもよい。
【0020】
このように、本実施形態の冷凍食材の製造方法は、急速冷凍時間の短縮によって製造効率を高めることができると共に、生米の品質低下を確実に防止することができる。
【0021】
加熱調理工程S3は、製造された冷凍食材を容器から取り出して、炊飯器で加熱調理することで、美味しい米飯を短時間で炊き上げることができる。加熱調理は、炊飯器以外に、電子レンジや飯盒等を使用してもよい。本実施形態の冷凍食材は、水を追加することなく炊飯することができるので、水の利用が困難な場所(例えば、外国やキャンプ地、被災地等)においても、手軽においしく喫食することができる。
【0022】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、食材は必ずしも生米に限定されるものではなく、水を用いて加熱調理を行う他の食材であってもよい。例えば、うどんやそば、ラーメン等の乾麺や生麺を、調理用の水と共に容器内に封入して、急速冷凍することにより、冷凍食材を製造することができる。
【符号の説明】
【0023】
S1 封入工程
S2 急速冷凍工程
S3 加熱調理工程
図1