(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044359
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】排出データ管理システム及び排出データ管理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20230323BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20230323BHJP
【FI】
G16H10/60
G16Y10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152353
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】嶋澤 祐子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真人
(72)【発明者】
【氏名】西村 健志
(72)【発明者】
【氏名】松永 博
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】より適切に排出データを管理することができる排出データ管理システムを提供する。
【解決手段】排出データ管理システム10は、電気便座一体型便器20を識別するための便器IDを取得する第1取得部41と、ユーザのひとりを識別するためのユーザIDを取得する第2取得部42と、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得部43と、ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得部44と、記憶制御部45と、を備え、記憶制御部45は、第2取得部42がユーザIDを取得しなかった場合に、排出データと、便器IDとを紐づけた第2データセットを記憶装置46に格納し、格納済みの第2データセットに対応する補完データを取得すると、格納済みの第2データセットにおいて紐づけられている排出データ及び便器IDに、取得した補完データを紐づけて更新する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが排出物の処理に用いられる複数の便器装置から、一の便器装置を識別するための便器IDを取得する第1取得部と、
前記一の便器装置のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する第2取得部と、
前記便器装置によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得部と、
前記ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得部と、
記憶制御部と、を備え、
前記記憶制御部は、
前記第2取得部が前記ユーザIDを取得した場合に、前記排出データと、前記便器IDと、前記ユーザIDとを紐づけた第1データセットを記憶装置に格納し、
前記第2取得部が前記ユーザIDを取得しなかった場合に、前記排出データと、前記便器IDとを紐づけた第2データセットを前記記憶装置に格納し、
格納済みの前記第2データセットに対応する前記補完データを取得すると、格納済みの前記第2データセットにおいて紐づけられている前記排出データ及び前記便器IDに、取得した前記補完データを紐づけて格納済みの前記第2データセットを更新する
排出データ管理システム。
【請求項2】
前記記憶制御部は、特定の前記ユーザIDが取得された場合、あらかじめ設定された別の前記ユーザIDに変換して、変換後の前記ユーザIDが紐づけられた前記第1データセットを前記記憶装置に格納する
請求項1に記載の排出データ管理システム。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記一の便器装置と異なる、あらかじめ設定された特定の便器装置の特定便器IDを取得した場合に、前記特定便器IDと前記便器IDとをさらに紐づけて、前記第1データセット又は前記第2データセットを格納する
請求項1に記載の排出データ管理システム。
【請求項4】
前記第2取得部は、
前記一の便器装置と同じ個室内に設置された操作パネルであって、それぞれが押下されることにより、前記一の便器装置を共有する複数のユーザのそれぞれに対応する認証情報を送信する複数の操作ボタンを有する操作パネルに通信接続され、
前記一の便器装置を利用するユーザのひとりによって押下された操作ボタンに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDを取得する
請求項1~3のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項5】
前記第2取得部は、前記複数の操作ボタンのうち、2以上の操作ボタンが押下された場合に、最後に押下された操作ボタンに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDを取得する
請求項4に記載の排出データ管理システム。
【請求項6】
格納済みの前記第2データセットの更新では、
格納済みの前記第2データセットにおいて紐づけられている前記排出データを、閲覧権限を有する閲覧者に提示し、
前記閲覧者によって特定されたユーザの前記ユーザIDに対応する前記補完データの入力を受け付け、
前記第4取得部は、入力が受け付けられた前記補完データを取得し、
格納済みの前記第2データセットにおいて紐づけられている前記排出データ及び前記便器IDに、取得した前記補完データを紐づけて格納済みの前記第2データセットを更新する
請求項1~5のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項7】
前記閲覧者は、前記一の便器装置を共有する複数のユーザの全てである
請求項6に記載の排出データ管理システム。
【請求項8】
前記閲覧者は、前記一の便器装置を利用しない、前記一の便器装置の利用を管理する管理者である
請求項6に記載の排出データ管理システム。
【請求項9】
前記排出データは、
前記一の便器装置の利用時間に関する第1パラメータであって、前記閲覧者に提示される第1パラメータと、
前記一の便器装置を利用して処理された排出物の形状及び量の少なくとも一方の状態に関する第2パラメータであって、前記閲覧者に提示されない第2パラメータと、を含む
請求項6~8のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項10】
前記第3取得部は、前記一の便器装置と同じ個室内に設置された停止ボタンの押下によって、前記排出データの取得を停止する
請求項1~9のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項11】
前記排出物は、前記ユーザから排出される便である
請求項1~10のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項12】
前記排出物は、前記ユーザから排出される尿である
請求項1~10のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項13】
前記排出物は、前記ユーザから排出される経血である
請求項1~10のいずれか1項に記載の排出データ管理システム。
【請求項14】
それぞれが排出物の処理に用いられる複数の便器装置から、一の便器装置を識別するための便器IDを取得する第1取得ステップと、
前記一の便器装置のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する第2取得ステップと、
前記便器装置によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得ステップと、
前記ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得ステップと、
記憶制御ステップと、を備え、
前記記憶制御ステップでは、
前記ユーザIDを取得した場合に、前記排出データと、前記便器IDと、前記ユーザIDとを紐づけた第1データセットを記憶装置に格納し、
前記ユーザIDを取得しなかった場合に、前記排出データと、前記便器IDとを紐づけた第2データセットを前記記憶装置に格納し、
格納済みの前記第2データセットに対応する前記補完データを取得すると、格納済みの前記第2データセットにおいて紐づけられている前記排出データ及び前記便器IDに、取得した前記補完データを紐づけて格納済みの前記第2データセットを更新する
排出データ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出物に関する排出データを管理する排出データ管理システム、及び、排出データ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの健康状態等を管理するため、便器装置に設置された画像センサ等を介して、排出物の性状を推定する装置などが知られている。特許文献1には、便の性状を推定するために画像センサ(カメラ)を用いて落下便の静止画像を取得するように構成された便器装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、より適切に排出データを管理することができる排出データ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る排出データ管理システムは、それぞれが排出物の処理に用いられる複数の便器装置から、一の便器装置を識別するための便器IDを取得する第1取得部と、前記一の便器装置のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する第2取得部と、前記便器装置によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得部と、前記ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得部と、記憶制御部と、を備え、前記記憶制御部は、前記第2取得部が前記ユーザIDを取得した場合に、前記排出データと、前記便器IDと、前記ユーザIDとを紐づけた第1データセットを記憶装置に格納し、前記第2取得部が前記ユーザIDを取得しなかった場合に、前記排出データと、前記便器IDとを紐づけた第2データセットを前記記憶装置に格納し、格納済みの前記第2データセットに対応する前記補完データを取得すると、格納済みの前記第2データセットにおいて紐づけられている前記排出データ及び前記便器IDに、取得した前記補完データを紐づけて格納済みの前記第2データセットを更新する。
【0006】
本発明の一態様に係る排出データ管理方法は、それぞれが排出物の処理に用いられる複数の便器装置から、一の便器装置を識別するための便器IDを取得する第1取得ステップと、前記一の便器装置のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する第2取得ステップと、前記便器装置によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得ステップと、前記ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得ステップと、記憶制御ステップと、を備え、前記記憶制御ステップでは、前記ユーザIDを取得した場合に、前記排出データと、前記便器IDと、前記ユーザIDとを紐づけた第1データセットを記憶装置に格納し、前記ユーザIDを取得しなかった場合に、前記排出データと、前記便器IDとを紐づけた第2データセットを前記記憶装置に格納し、格納済みの前記第2データセットに対応する前記補完データを取得すると、格納済みの前記第2データセットにおいて紐づけられている前記排出データ及び前記便器IDに、取得した前記補完データを紐づけて格納済みの前記第2データセットを更新する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の排出データ管理システム等は、より適切に排出データを管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る排出データ管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る排出データ管理システムの排出データ送信動作のフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る送信ステップにおいて送信される送信データの一例を示す第1図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る送信ステップにおいて送信される送信データの一例を示す第2図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る排出データ管理システムのデータ管理動作のフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る排出データ管理システムの閲覧データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0011】
(実施の形態)
[構成]
以下、実施の形態に係る排出データ管理システムについて説明する。
図1は、実施の形態に係る排出データ管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0012】
実施の形態に係る排出データ管理システム10は、電気便座一体型便器20と、ルータ30と、サーバ40と、携帯端末50とを備える。
【0013】
排出データ管理システム10において、電気便座一体型便器20は、ルータ30を介して広域通信ネットワーク60に接続することにより、サーバ40と通信を行う。例えば、電気便座一体型便器20は、当該電気便座一体型便器20によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データをサーバ40へ送信する。これにより、サーバ40は、ユーザの排出データを管理することができる。ユーザは、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末50を用いてサーバ40へアクセスすることなどにより、排出データを、携帯端末50を通じてモニタすることができる。
【0014】
例えば、ユーザは、排出データをモニタすることで、自身又は電気便座一体型便器20を共有する家族等の排出物に関する各種パラメータの変動を把握でき、排出物に現れる健康状態の変化等を把握することができる。このように、排出データ管理システム10は、例えば、見守りシステムとして機能し、ユーザに見守りサービスを提供することができる。さらに、介護施設等に排出データ管理システム10を導入すれば、介護施設を利用する利用者の健康状態を介護施設の職員や提携医療機関の医師等によって把握することなどができる。
【0015】
ここで、排出物の状態をモニタするためには、同じユーザから排出された排出物の排出データと、他のユーザによって排出された排出物の排出データとが区別されて、蓄積(つまり記憶)されていく必要がある。そのため、本実施の形態では、排出データと、その排出データに関連する排出を行ったユーザを他のユーザから識別するためのユーザIDとが紐づけられて記憶される。このとき、ユーザIDの取得が失敗するなどにより、対応するユーザが不明の排出データが発生する場合がある。本実施の形態では、このようなユーザが不明の排出データについて、後から当該排出データを参照して、その排出データに関連する排出を行ったユーザを手動で入力することが可能となっている。これにより、ユーザIDが欠落していることで、健康状態の変化のモニタ等に利用できない排出データの量を低減することができ、より適切に、ユーザの健康状態の変化をモニタすることが可能となる。
【0016】
以下、排出データ管理システム10の各構成要素について説明する。以下の説明では、排出物として、ユーザから排出される便について例に挙げて説明するが、本開示の内容は、排出物としてユーザから排出される尿及びユーザから排出される経血についても適用することができる。なお、排出物は、排泄物と呼ばれる場合がある。
【0017】
電気便座一体型便器20は、便器洗浄機能、及び、温水便座機能などの機能を有する多機能の便器である。電気便座一体型便器20は、便器装置の一例である。電気便座一体型便器20は、具体的には、電源モジュール21と、排出データ管理モジュール22と、通信モジュール23と、操作パネル25と、を備える。電源モジュール21、排出データ管理モジュール22、及び、通信モジュール23は、例えば、互いに独立した基板モジュールである。電源モジュール21、排出データ管理モジュール22、及び、通信モジュール23は、例えば、電気便座一体型便器20の本体に取り付けられた筐体24内に収容される。また、操作パネル25は、電気便座一体型便器20が設置された個室内の壁部などに設置される。
【0018】
電源モジュール21は、電気便座一体型便器20が備える電源プラグ(図示せず)から得られる交流電力を直流電力に変換し、当該直流電力を、動作に電力を必要とする他の構成要素に供給する基板モジュールである。電源モジュール21は、例えば、基板に回路素子が実装されることによって実現される。当該回路素子には、AC-DCコンバータ、及び、DC-DCコンバータなどが含まれる。電源モジュール21は、例えば、通信モジュール23に含まれる通信制御部への電力の供給を行う。
図1では図示されないが、電源モジュール21は、排出データ管理モジュール22が有する構成要素、及び、通信モジュール23が有する構成要素以外の他の構成要素(例えば、電気便座一体型便器20の主機能である、便器洗浄機能、及び、温水便座機能のための構成要素)にも直流電力を供給する。
【0019】
排出データ管理モジュール22は、排出データを生成してサーバ40等の外部の装置へと送信する(又は出力する)ための基板モジュールである。排出データ管理モジュール22は、具体的には、基板に実装されたプロセッサ及びメモリによって所定のプログラムが実行されることによって実現される。排出データ管理モジュール22は、取得部22aと、検出部22bと、送信部22cとを有する。
【0020】
取得部22aは、ボウルに設置されたセンサ24aから、センシングによって得られたセンサ値を取得する処理部である。取得部22aは、センサ24aと通信するための通信モジュール(不図示)を介してセンサ24aからセンサ値を取得し、検出部22bにおいて処理可能な形式に変換して出力する。
【0021】
ここで、センサ24aについて説明する。センサ24aは、排出物の排出データに関する物理量をセンシングするための機器である。センサ24aは、例えば、排出物の形状に対応するセンシングを行う場合、画像センサ(つまり、カメラ)を用いて実現される。また、センサ24aは、排出物の臭気に対応するセンシングを行う場合、臭気センサを用いて実現される。センサ24aとしては、排出データ管理システム10において、検出部22bが排出物の状態として計測する内容(排出物の形状及び臭気等)に応じて、画像センサ及び臭気センサ等の適切なセンサを含んで実現される。つまり、センサ24aは、上記の他のセンサを含んでもよい。また、ユーザが便座に着座するため、ボウル内に届く外光(例えば、電気便座一体型便器20が設置された個室の照明光)は限られる。そのため、本実施の形態では、画像センサによるセンシング用の照明装置がボウル内に設けられる。このような照明装置は、ユーザが着座した後に点灯される。
【0022】
検出部22bは、ユーザから排出される排出物のセンサ値に基づいて、排出物の形状及び臭気等の状態を計測する処理部である。検出部22bは、画像センサから得られた画像、及び、臭気センサから得られた臭気の強度値等に基づいて、排出物の状態を計測する。
【0023】
検出部22bによる排出物の状態の計測は、センサ値が画像である場合、画像解析によって行われる。例えば、画像に写る落下中の排出物の通過断面積及び落下速度等によって、この排出物がどのような形状であるかを推定によって計測する。検出部22bによって検出された排出物の形状の計測結果は、例えば、7段階のスケールのどの段階に相当する形状であるかを示す数値として出力される。この排出物の形状を評価する7段階のスケールは、いわゆるブリストルスケールとして知られ、消化管の通過時間の長短に対応する便形状の変化を7つの閾値で分けて評価するスケールである。ブリストルスケールでは、数値が小さいほど、長い時間を要して消化管を通過した硬い便であることを示し、数値が大きいほど短い時間で消化管を通過した水分を多量に含む便であることを示している。そして、ブリストルスケールの数値が中間の値(つまり4)に近いほど便形状として健康的であるといえる。
【0024】
一方で、検出部22bによる排出物の状態の計測は、センサ値が臭気の強度値である場合、このセンサ値を検量線などにあてはめて標準化することによって行われる。例えば、臭気物質を特に区別することなく、その物質量によって評価する場合、臭気物質が多い場合、長い時間を要して消化管を通過して腸内細菌の繁殖が進んでいること臭気物質の増加を示している、又は、短い時間を要して消化管を通過したために未消化の食物が多く臭気物質が増加したことを示している。したがって、臭気物質が少ないほど便臭気、屁として健康的であるといえる。また、臭気物質を特定してその特定の臭気物質の物質量によって評価する場合、腸内細菌の繁殖によって発生する臭気物質の量と、未消化の食物が多い場合に発生する臭気物質の量とを個別に評価すればよい。これらいずれの臭気物質も少ないほど便臭気、屁として健康的であるといえる。
【0025】
また、これらの他に、便形状、便臭気、及び、屁を評価するための任意の評価方法が適用されてもよい。
【0026】
送信部22cは、排出物に関する排出データを外部の装置に送信する処理部である。送信部22cは、排出データの送信用の送信データを生成して、生成した送信データを、通信モジュール23を介して外部の装置へと送信する。このために、送信部22cは、生成した送信データを送受信用の形式に変換するなどの機能も有する。
【0027】
通信モジュール23は、電気便座一体型便器20がルータ30を介してサーバ40と通信を行うための基板モジュールである。通信モジュール23は、具体的には、基板に回路素子が実装されることによって実現される。通信モジュール23は、いずれも図示しないが、通信部と、通信制御部と、記憶部とを有する。
【0028】
通信部は、電気便座一体型便器20がルータ30を介して通信を行うためのアンテナ素子などを含む通信回路である。
【0029】
通信制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、通信部による通信を実現するための情報処理を行う。通信制御部は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0030】
記憶部は、通信制御部が実行するプログラムが記憶される記憶装置である。例えば、通信制御部に電力が投入されたときに通信制御部が実行する起動処理は、記憶部に記憶された起動プログラムに基づいて実行される。記憶部は、半導体メモリなどによって実現される。
【0031】
操作パネル25は、複数の操作ボタン25aが配置されたインタフェース装置である。複数の操作ボタン25aのそれぞれには、電気便座一体型便器20の各種機能を実行又は停止するといったスイッチ機能が割り当てられている。また、本実施の形態では、ユーザIDの特定のためにこの操作パネル25に配置された操作ボタン25aが用いられる。例えば、電気便座一体型便器20は、ユーザIDを特定するために、ユーザの認証受付を行う。この認証受付は、複数の操作ボタン25aのそれぞれに、あらかじめ複数のユーザのそれぞれに対して発番した番号が表示されており、ユーザが、自身に対応する番号の部分を押下するなどして、操作パネル25に認証情報(つまりユーザそれぞれの番号)を入力することで行われる。操作パネル25は、入力された認証情報を用いて、認証情報とユーザIDとを対応付けるデータテーブルを参照することにより、操作ボタン25aを押下したユーザのユーザIDを特定する。以下では認証情報の番号と、ユーザIDとを、番号およびユーザIDを示す数字として区別することなく用いる場合があるが、セキュリティなどの観点から、認証情報とユーザIDとは異なっていてもよい。
【0032】
また、認証受付は上記の他に、各ユーザが所有する端末装置(スマートフォン、タブレット端末、又は、専用の携行デバイス)により、電気便座一体型便器20と近距離無線通信を行うことで、入室しただけで行われてもよいし、個室内に設置されたカメラでの顔認証又は指紋認証デバイスでの指紋認証などの生体認証が行われてもよい。
【0033】
ルータ30は、電気便座一体型便器20とサーバ40との通信を中継する通信装置である。ルータ30は、電気便座一体型便器20が設置された施設と同一の施設内に設置される。ルータ30は、ゲートウェイの一例である。ルータ30は、具体的には、無線LAN(Local Area Network)ルータなどである。
【0034】
サーバ40は、電気便座一体型便器20が設置された施設の外に設置されたクラウドサーバである。サーバ40は、例えば、電気便座一体型便器20の製造事業者によって運用され、電気便座一体型便器20と通信を行うことにより、上述の見守りサービスなどを提供する。本実施の形態におけるサーバ40は、第1取得部41と、第2取得部42と、第3取得部43と、第4取得部44と、記憶制御部45と、記憶装置46と、を備える。
【0035】
第1取得部41は、それぞれが排出物の処理に用いられる複数の電気便座一体型便器20から、一の電気便座一体型便器20を識別するための便器IDを取得する。なお、便器IDを取得するとは、電気便座一体型便器20が設置された個室から通信を介して便器IDの情報を取得する動作である。本実施の形態では、送信データに含まれる便器IDを排出データと供に取得するサーバ40上の1つの機能として、第1取得部41が構成されている。また、最終的にサーバ40に設置された記憶装置46に便器IDを提供することができれば第1取得部41はどのように構成されてもよい。例えば、第1取得部41を電気便座一体型便器20が設置された個室内で動作する1つの装置として実現することもできる。この場合、例えば、第1取得部41は、便器IDを取得して送信データを生成する送信部22cの機能と一体化されている。
【0036】
第2取得部42は、一の電気便座一体型便器20のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する。なお、ユーザIDを取得するとは、電気便座一体型便器20が設置された個室から通信を介してユーザIDの情報を取得する動作である。本実施の形態では、送信データに含まれるユーザIDを排出データと供に取得するサーバ40上の1つの機能として、第2取得部42が構成されている。また、最終的にサーバ40に設置された記憶装置46にユーザIDを提供することができれば第2取得部42はどのように構成されてもよい。例えば、第2取得部42を電気便座一体型便器20が設置された個室内で動作する1つの装置として実現することもできる。この場合、例えば、第2取得部42は、ユーザIDを取得して送信データを生成する送信部22cの機能と一体化されている。
【0037】
第3取得部43は、電気便座一体型便器20によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する。なお、排出データを取得するとは、電気便座一体型便器20が設置された個室から通信を介して排出データの情報を取得する動作である。本実施の形態では、送信データに含まれる排出データを取得するサーバ40上の1つの機能として、第3取得部43が構成されている。また、最終的にサーバ40に設置された記憶装置46に排出データを提供することができれば第3取得部43はどのように構成されてもよい。例えば、第3取得部43を電気便座一体型便器20が設置された個室内で動作する1つの装置として実現することもできる。この場合、例えば、第3取得部43は、排出データを取得して送信データを生成する送信部22cの機能と一体化されていてもよいし、センサ24aからセンサ値を取得して排出データのパラメータに相当する排出物の状態を検出する検出部22bと一体化されていてもよい。
【0038】
第4取得部44は、ユーザIDを補う補完データを取得する。なお、補完データを取得するとは、携帯端末50から通信を介して、ユーザIDと同様の情報を取得する動作である。本実施の形態では、送信データとは別に補完データを取得するサーバ40上の1つの機能として、第4取得部44が構成されている。また、最終的にサーバ40に設置された記憶装置46に補完データを提供することができれば第4取得部44はどのように構成されてもよい。例えば、第4取得部44を電気便座一体型便器20が設置された個室内で動作する1つの装置として実現することもできる。この場合、例えば、第4取得部44は、電気便座一体型便器20が設置された個室内でユーザからの入力を受け付けることが可能な操作用の装置(例えば、操作パネル25等)と一体化されていてもよい。ただし、第4取得部44は、ユーザIDが欠落している排出データに関する情報を提示するための提示装置と組み合わせられて使用されるので、携帯端末50のように入出力のための機能が揃っている装置と接続されていることが好ましい。
【0039】
記憶制御部45は、取得した便器ID、ユーザID、排出データ、及び、補完データを組み合わせて、これらのうちの複数が紐づけられた状態のデータセットを記憶装置46に格納する装置である。記憶制御部45の詳細な動作については後述する。
【0040】
記憶装置46は、サーバ40が実行するプログラム及び排出データ等を含む各種のデータが記憶される装置である。記憶装置46は、半導体メモリなどによって実現される。
【0041】
携帯端末50は、電気便座一体型便器20のユーザ(又は、その家族等)が所有する携帯型の情報端末であり、具体的には、スマートフォン又はタブレット端末などである。上述のようにユーザは、携帯端末50を用いてサーバ40へアクセスするにより、排出データの記録などを、携帯端末50を通じてモニタすることができる。また、ユーザは、携帯端末50をユーザインターフェースとして、便座の温度、及び、シャワーの強さなどの個人設定を行うこともできる。
【0042】
[動作]
以上のように構成された排出データ管理システム10の動作について、
図2~
図6を用いて説明する。
図2は、実施の形態に係る排出データ管理システムの動作のフローチャートである。ここでは、排出データ管理システム10の動作として、電気便座一体型便器20の動作を中心に説明する。また、後述する
図6において、送信されたデータを記憶装置46に記憶させる際の動作について説明する。一方で、送信されたデータの利用等については、排出データ管理システム10の運用目的によって、利用方法等が異なるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
まず、電気便座一体型便器20が設置された個室へのユーザの入室が電気便座一体型便器20の人感センサ等によって検知される(S101)。すると、電気便座一体型便器20の電動開閉式の蓋が開かれ、便座が着座可能な状態になる。ユーザの入室時点では、センサ24aなどの、排出物のセンシングのためのセンサは起動されていないが、便座が着座可能になるとともにこれらのセンサが起動される(S102)。なお、センサ24aの起動タイミングはこれに限らず、ユーザの入室時点でもよいし、常時起動状態であってもよい。立小便の場合は、便座が開いた時点でセンサが起動してもよい。また、センサの起動とともに、画像センサでのセンシング用の照明装置が点灯される。詳細は述べないが、画像センサは、排出データに含まれる排出物の色の判定にも用いられることがあるため、このような場合には、画像における色ずれの影響を抑制するために白色の光色に近い光源が選択される。なお、電気便座一体型便器20を夜間に利用する場合があるため、画像センサでのセンシング用の照明装置の他に、視認性の観点でボウル内を照らす照明装置が備えられ、画像センサでのセンシング用の照明装置の点灯よりも前から点灯されていてもよい。このような視認性の観点での照明装置は、ユーザの覚醒を誘発しないように暖色(低い色温度)の光色の光源が選択される。照明装置は同じ照明装置で、自動的に暖色から白色に変更されるものであってもよい。
【0044】
次に、電気便座一体型便器20は、ユーザの認証受付を開始する(S103)。認証受付は、上記したように複数の操作ボタン25aのいずれが押下されたかによって行われる。また、誤ってユーザが押下した場合など、2以上の操作ボタン25aが押下された場合に、最後に押下された操作ボタン25aに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDを取得するとしてもよい。
【0045】
そして、送信部22cが送信データを生成する際に、入力された認証情報からユーザIDを特定し、特定したユーザIDを含む送信データを生成するようになっている。認証受付は、ユーザによる排出が終了(個室から退出、又は便座より離座)するまでの間継続される。これにより、ユーザが任意のタイミングで排出データ管理システム10への認証情報の入力を行うことができる。
【0046】
ユーザが便座に着座し、排出を開始すると、取得部22aは、センサ24aからセンサ値を取得する(S104)。センサ値の取得は、経時的に行われ、時間領域で連続したセンサ値が取得される。検出部22bは、センサ値に基づいて排出物の状態を計測する(S105)。検出部22bによる排出物の状態の計測は経時的に行われ、連続したセンサ値に対応して、連続的な計測結果が出力される。そして、検出部22bは、計測結果として、排出データの各種パラメータを出力する。
【0047】
ここで、例えば、来客など、一時的に電気便座一体型便器20を利用するユーザにおいて、このような、センサ値の取得から排出データの出力までの動作(言い換えると、排出データの取得)が好ましくない場合がある、このような場合には、センサ値の取得を停止するようにしてもよい。例えば、個室内にセンサ24aでのセンシングを停止させるための停止ボタンが設置されていればよい。このような停止ボタンの押下によって、センサ値の取得、すなわち、排出データの出力が停止される。この結果、第3取得部43は、排出データの取得を停止する。排出データが取得されない場合、送信部22cによる送信データの生成及び送信は行われてもよいし、行われなくてもよい。
【0048】
そして、送信部22cは、送信データを生成して(S106)。送信データに含まれる情報の少なくとも一部として排出データをサーバ40へと送信する(送信ステップ、S107)。
【0049】
ここで、
図3は、実施の形態に係る送信ステップにおいて送信される送信データの一例を示す第1図である。また、
図4は、実施の形態に係る送信ステップにおいて送信される送信データの一例を示す第2図である。
図3は、ユーザIDが正常に得られて、これを含む送信データが生成された場合の、当該送信データを示している。一方で
図4は、ユーザIDが正常に得られず、ユーザIDを含まない送信データが生成された場合の、当該送信データを示している。
【0050】
図3及び
図4に示すように、本実施の形態において送信部22cが送信する送信データは、便器ID及びユーザIDに加えて、排出が行われた日時と、排出物の種別と、排出物の形状と、排出物の量と、排出物の色と、排出物の臭気と、着座から排出開始までの所要時間と、排出前に行ったおしり洗浄の時間と、排出後に行ったおしり洗浄の時間と、の複数の排出物に関するパラメータを含む。その他のパラメータとして、排出物の太さ、排出物の途切れの有無、入室から着座までの時間、入室から便座を開くまでの時間、便座の開閉の有無、便座を開いた時点から排尿開始までの時間、ビデ洗浄の時間、臭気の成分、臭気の強度が考えられる。
【0051】
便器ID及びユーザIDは本実施の形態では、上位ケタ側の便器IDと下位ケタ側のユーザIDとのように1つの数値の中でけた違いの部分に分けて表現されている。具体的には、
図3では便器IDが「1001」であり、ユーザIDが「1」である。ここでは、ユーザIDは、1~9の整数によって表されている。ここで、
図4に示すように、ユーザIDが正常に得られず、ユーザIDを含まない送信データが生成された場合には、ユーザIDの部分が「0」となり、1~9番のいずれのユーザにも該当しない数値が付されている。このようなIDの表現は一例であり、10人以上のユーザを対応させることが可能なユーザID(例えば、10以上の2ケタでの表現又は16進数等)で表現されてもよいし、ユーザIDの欠落が「0」以外の文字(アルファベット及び記号等)で表現されてもよい。
【0052】
サーバ40では、送信データを受信すると、
図5のように動作する。
図5は実施の形態に係る実施の形態に係る排出データ管理システムのデータ管理動作のフローチャートである。
【0053】
図5に示すように、送信データを受信すると、サーバ40は、送信データ内のユーザIDにあたる記述を参照して、ユーザIDが含まれているか否かを判定する(S201)。ユーザIDが含まれていると判定された場合(S201でYes)、第1取得部41が便器IDを取得し(第1取得ステップ、S202)、第2取得部42がユーザIDを取得し(第2取得ステップ、S203)、第3取得部43が排出データを取得する(第3取得ステップ、S204)。これらのステップS202~S204は、順次行われてもよいし、並行して行われてもよい。さらに、その順番に限定はなく、上記と異なる順に処理がされてもよい。
【0054】
次に記憶制御部45は、便器IDと、ユーザIDと、排出データとが紐づけられた第1データセットを記憶装置46に格納して(記憶制御ステップ、S205)、処理を終了する。
【0055】
一方で、ユーザIDが含まれていないと判定された場合(S201でNo)、第1取得部41が便器IDを取得し(第1取得ステップ、S206)、第3取得部43が排出データを取得する(第3取得ステップ、S207)。これらのステップS206~S207は、順次行われてもよいし、並行して行われてもよい。さらに、その順番に限定はなく、上記と異なる順に処理がされてもよい。
【0056】
次に記憶制御部45は、便器IDと、排出データとが紐づけられた第2データセットを記憶装置46に格納する(記憶制御ステップ、S208)。
【0057】
その後、記憶装置46に格納された各種のデータセットを閲覧する権限を有する閲覧者から、第2データセットの閲覧の要求を受け付けた場合に、閲覧用の閲覧データを閲覧者の携帯端末50へと送信する。
図6は、実施の形態に係る排出データ管理システムの閲覧データの一例を示す図である。ここでの閲覧者とは、電気便座一体型便器20を共有する家族等の団体の全員であってもよいし、保護者など、この団体のうち代表された1以上の代表者であってもよい。また、閲覧者は、電気便座一体型便器20のユーザに限られない。例えば、介護施設の職員等、電気便座一体型便器20を利用しないものの、ユーザによる電気便座一体型便器20の利用を管理する立場にある管理者等であってもよい。
【0058】
閲覧者の携帯端末50には、ユーザの健康状態を管理するためのアプリケーションの1つの機能として、第2データセットを閲覧して、それぞれの第2データセットに対応する排出を行ったユーザを特定することが可能な機能が供えられる。この機能を起動すると、
図6に示すように、排出データの一部のパラメータが表示され、このパラメータから特定される排出を行ったユーザを入力するためのインタフェースが表示される。閲覧者は、表示されたインタフェースにユーザIDに対応する番号を選択するなどの入力を行うことにより、第2データセットにおいて欠落しているユーザIDを補う補完データを入力することができる。
【0059】
上記のように、閲覧データにおいて閲覧することができるのは、排出データに含まれるいくつかのパラメータのうちの一部である。具体的には、閲覧データでは、排出を行ったユーザを特定するために利用できる、電気便座一体型便器20の利用時間に関するパラメータが閲覧可能である。一方で、電気便座一体型便器20を利用して処理された排出物の形状及び量の少なくとも一方に関するパラメータは提示されておらず、閲覧不可能である。
【0060】
例えば、閲覧者が自身とは異なる別のユーザなどである場合、いかに閲覧者といえども、ユーザは排出物の形状又は量などのパラメータの閲覧がされることに心的抵抗を感じる場合がある。上記のようにすることで、ユーザの心的抵抗を抑制しつつ、欠損したユーザIDに対応する補完データを入力させることができる。なお、閲覧者が本人である場合や、心的抵抗感が少ないユーザ間の関係性などの場合、閲覧者は排出データの全てのパラメータを閲覧可能であってもよい。
【0061】
図5に戻り、サーバ40は、閲覧データを送信した後に、閲覧者からの入力等によって補完データを取得したか否か(つまり、補完データを取得する第4取得ステップが行われたか)を判定する(S209)。サーバ40によって補完データを取得したと判定された場合(S209でYes)、第2データセットにおいて紐づけられている排出データ及び便器IDに、取得した補完データを紐づけて第2データセットを更新する(記憶制御ステップ、S210)。一方で、サーバ40によって補完データを取得しなかったと判定された場合(S209でNo)、ステップS210をスキップして処理を終了する。
【0062】
以上のようにして、本実施の形態では、ユーザIDが欠損したデータセットが格納された場合にも、このユーザIDを補う補完データを取得することで、可能な限り多くのデータセットでユーザID又はユーザIDに対応する補完データが付与されたデータセットになるようにデータセットを更新する。この結果、ユーザの健康状態の変化を欠損データの数を抑制してモニタ出来るため、より適切に排出データを管理することができる。
【0063】
[効果等]
以上説明したように、排出データ管理システム10は、それぞれが排出物の処理に用いられる複数の電気便座一体型便器20から、一の電気便座一体型便器20を識別するための便器IDを取得する第1取得部41と、一の電気便座一体型便器20のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する第2取得部42と、電気便座一体型便器20によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得部43と、ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得部44と、記憶制御部45と、を備え、記憶制御部45は、第2取得部42がユーザIDを取得した場合に、排出データと、便器IDと、ユーザIDとを紐づけた第1データセットを記憶装置46に格納し、第2取得部42がユーザIDを取得しなかった場合に、排出データと、便器IDとを紐づけた第2データセットを記憶装置46に格納し、格納済みの第2データセットに対応する補完データを取得すると、格納済みの第2データセットにおいて紐づけられている排出データ及び便器IDに、取得した補完データを紐づけて格納済みの第2データセットを更新する。
【0064】
このような排出データ管理システム10は、ユーザIDが欠損したデータセットが格納された場合にも、このユーザIDを補う補完データを取得することで、可能な限り多くのデータセットでユーザID又はユーザIDに対応する補完データが付与されたデータセットになるようにデータセットを更新する。この結果、ユーザの健康状態の変化を欠損データの数を抑制してモニタ出来るため、より適切に排出データを管理することができる。
【0065】
また、例えば、第2取得部42は、一の電気便座一体型便器20と同じ個室内に設置された操作パネル25であって、それぞれが押下されることにより、一の電気便座一体型便器20を共有する複数のユーザのそれぞれに対応する認証情報を送信する複数の操作ボタン25aを有する操作パネル25に通信接続され、一の電気便座一体型便器20を利用するユーザのひとりによって押下された操作ボタン25aに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDを取得してもよい。
【0066】
これによれば、操作ボタン25aの押下によって送信された認証情報からユーザIDを取得できる。
【0067】
また、例えば、第2取得部42は、複数の操作ボタン25aのうち、2以上の操作ボタン25aが押下された場合に、最後に押下された操作ボタン25aに応じて送信された認証情報を用いて、当該ユーザのユーザIDを取得してもよい。
【0068】
これによれば、2以上の操作ボタン25aが押下された場合も、最後に押下された操作ボタン25aを正しいものとみなして送信された認証情報からユーザIDを取得できる。
【0069】
また、例えば、格納済みの第2データセットの更新では、格納済みの第2データセットにおいて紐づけられている排出データを、閲覧権限を有する閲覧者に提示し、閲覧者によって特定されたユーザのユーザIDに対応する補完データの入力を受け付け、第4取得部44は、入力が受け付けられた補完データを取得し、格納済みの第2データセットにおいて紐づけられている排出データ及び便器IDに、取得した補完データを紐づけて格納済みの第2データセットを更新してもよい。
【0070】
これによれば、閲覧者によって排出データから特定されるユーザに対応する補完データを取得して、第2データセットを更新することができる。
【0071】
また、例えば、閲覧者は、一の電気便座一体型便器20を共有する複数のユーザの全てであってもよい。
【0072】
これによれば、一の電気便座一体型便器20を共有する複数のユーザの全てが、補完データを入力するための排出データの閲覧をすることができる。
【0073】
また、例えば、閲覧者は、一の電気便座一体型便器20を利用しない、一の電気便座一体型便器20の利用を管理する管理者であってもよい。
【0074】
これによれば、一の電気便座一体型便器20を利用しない、一の電気便座一体型便器20の利用を管理する管理者が、補完データを入力するための排出データの閲覧をすることができる。
【0075】
また、例えば、排出データは、一の電気便座一体型便器20の利用時間に関する第1パラメータであって、閲覧者に提示される第1パラメータと、一の電気便座一体型便器20を利用して処理された排出物の形状及び量の少なくとも一方の状態に関する第2パラメータであって、閲覧者に提示されない第2パラメータと、を含んでもよい。
【0076】
これによれば、閲覧者の閲覧に供される排出データ上のパラメータを、排出物に対するプライバシーの観点で適切に区別して、一の電気便座一体型便器20の利用時間に関する第1パラメータを閲覧に供しつつ、排出物の形状及び量の少なくとも一方の状態に関する第2パラメータを閲覧に供しないということができる。
【0077】
また、例えば、第3取得部は、一の電気便座一体型便器20と同じ個室内に設置された停止ボタンの押下によって、排出データの取得を停止してもよい。
【0078】
これによれば、排出データの取得が適切でないようなユーザが電気便座一体型便器20を利用する際に、排出データの取得を停止することができる。
【0079】
また、例えば、排出物は、ユーザから排出される便であってもよい。
【0080】
これによれば、ユーザの便に関する排出データをより適切に管理することができる。
【0081】
また、例えば、排出物は、ユーザから排出される尿であってもよい。
【0082】
これによれば、ユーザの尿に関する排出データをより適切に管理することができる。
【0083】
また、例えば、排出物は、ユーザから排出される経血であってもよい。
【0084】
これによれば、ユーザの経血に関する排出データをより適切に管理することができる。
【0085】
また、排出データ管理方法は、それぞれが排出物の処理に用いられる複数の電気便座一体型便器20から、一の電気便座一体型便器20を識別するための便器IDを取得する第1取得ステップと、一の電気便座一体型便器20のユーザのひとりを他のユーザから識別するためのユーザIDを取得する第2取得ステップと、電気便座一体型便器20によって得られる、ユーザの排出物に関する排出データを取得する第3取得ステップと、ユーザIDを補う補完データを取得する第4取得ステップと、記憶制御ステップと、を備え、記憶制御ステップでは、ユーザIDを取得した場合に、排出データと、便器IDと、ユーザIDとを紐づけた第1データセットを記憶装置46に格納し、ユーザIDを取得しなかった場合に、排出データと、便器IDとを紐づけた第2データセットを記憶装置46に格納し、格納済みの第2データセットに対応する補完データを取得すると、格納済みの第2データセットにおいて紐づけられている排出データ及び便器IDに、取得した補完データを紐づけて格納済みの第2データセットを更新する。
【0086】
このような排出データ管理方法は、上記の排出データ管理システム10と同様の効果を奏することができる。
【0087】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0088】
上記実施の形態において、一つの電気便座一体型便器20を複数のユーザが使用することを記載したが、一つの家に複数の電気便座一体型便器20があるように、複数の電気便座一体型便器20を一人のユーザ、又は、複数のユーザが使用してもよい。その場合、異なる電気便座一体型便器20で排便が行われても、ひとりのユーザとして排便記録が保存されるように、記憶制御部45は、特定のユーザIDに対して、存在する別のユーザIDへ変換する変換機能を有してもよい。つまり、記憶制御部45は、特定のユーザIDが取得された場合、同一のユーザが別の電気便座一体型便器20を使用したときのあらかじめ設定された別のユーザIDに変換して、変換後のユーザIDが紐づけられた第1データセットを記憶装置に格納する。この結果、異なる便器で排便がなされても一つのユーザIDで排便の記録を残すことができる。
【0089】
また、記憶制御部45は、特定の便器IDに対して、存在する別の便器IDと紐づける便器ID連携機能を有してもよい。つまり、記憶制御部45は、一の電気便座一体型便器20と異なる、あらかじめ設定された特定の電気便座一体型便器20の便器ID(特定便器ID)を取得した場合に、特定便器IDと一の電気便座一体型便器20の便器IDとをさらに紐づけて、第1データセット又は第2データセットを格納する。この結果、異なる便器でなされた排便記録を一つの排便装置でなされた排便の記録として管理することができる。
【0090】
上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。例えば、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0091】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0093】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0094】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0095】
例えば、本発明は、コンピュータが実行する情報処理方法(排出データ管理方法)として実現されてもよいし、このような情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0096】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
10 排出データ管理システム
20 電気便座一体型便器(便器装置)
25 操作パネル
25a 操作ボタン
41 第1取得部
42 第2取得部
43 第3取得部
44 第4取得部
45 記憶制御部
46 記憶装置