IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図1
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図2
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図3
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図4
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図5
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図6
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図7
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図8
  • 特開-検査用ハンド及び検査装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044371
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】検査用ハンド及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/28 20060101AFI20230323BHJP
   G01N 29/265 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G01N29/28
G01N29/265
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152368
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 康之
(72)【発明者】
【氏名】堀内 晴彦
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AB07
2G047BA03
2G047BB01
2G047DB16
2G047EA12
2G047GE04
(57)【要約】
【課題】被検査部の検査の効率を向上できる検査用ハンド、及び検査装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、検査用ハンドは、基部と、供給部と、検査用プローブと、吸引部と、を備える。前記基部は、ロボットアームに接続される。前記供給部は、前記基部に設けられ、接触媒質を被検査部に供給する。前記検査用プローブは、前記基部に設けられ、超音波を送受信する。前記吸引部は、前記基部に設けられ、前記被検査部に供給された前記接触媒質を吸引する。
【選択図】 図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに接続される基部と、
前記基部に設けられ、接触媒質を被検査部に供給する供給部と、
前記基部に設けられ、超音波を送受信する検査用プローブと、
前記基部に設けられ、前記被検査部に供給された前記接触媒質を吸引する吸引部と、
を備える検査用ハンド。
【請求項2】
前記基部に設けられ、前記検査用プローブ、前記供給部、及び前記吸引部の相対位置を変位させる移動部を備える、
請求項1に記載の検査用ハンド。
【請求項3】
前記供給部、前記吸引部及び前記移動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記吸引部により前記被検査部に供給された前記接触媒質を吸引する状態において、前記供給部及び前記検査用プローブの双方よりも、前記被検査部側に前記吸引部を移動するよう前記移動部を制御する、
請求項2に記載の検査用ハンド。
【請求項4】
前記供給部は、前記接触媒質を吐出し、
前記移動部は、前記吸引部を、前記供給部による前記接触媒質の吐出方向に沿う一軸方向に移動する、
請求項3に記載の検査用ハンド。
【請求項5】
前記移動部は、前記吸引部を、前記被検査部の前記接触媒質の塗布範囲に沿って移動する、
請求項3または請求項4に記載の検査用ハンド。
【請求項6】
前記検査用プローブは、前記ロボットアームと同軸に配置される、
請求項1に記載の検査用ハンド。
【請求項7】
基部、前記基部に設けられ、接触媒質を被検査部に供給する供給部、前記基部に設けられ、超音波を送受信する検査用プローブ、及び前記基部に設けられ、前記被検査部に供給された前記接触媒質を吸引する吸引部を備える検査用ハンドと、
前記検査用ハンドを移動する移動装置と、
前記吸引部に接続され、前記吸引部で吸引された前記接触媒質を貯留する貯留部と、
前記供給部、前記吸引部及び前記移動装置を制御する制御部と、
を備える検査装置。
【請求項8】
前記移動装置は、前記吸引部を、前記被検査部の前記接触媒質の塗布範囲に沿って移動する、請求項7に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査用ハンド及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査装置の一例として、溶接箇所が適切に溶接されているか否かを検査する、超音波非破壊検査装置が知られている。超音波非破壊検査装置は、液状の接触媒質を供給する供給ノズル、及び超音波を送受信する検査用プローブを備える検査用ハンドと、検査用ハンドを移動するロボットと、を備える構成が知られている。
【0003】
この種の超音波非破壊検査装置は、溶接箇所に供給ノズルにより接触媒質を供給し、検査用プローブを接触媒質を介して溶接箇所に当接して検査用プローブから超音波を送信し、超音波の反射波を検査用プローブにより受信する。そして、超音波非破壊検査装置は、受信した超音波に基づいて溶接箇所が適切に溶接されているか否かを検査する。溶接箇所に供給された接触媒質は、例えば作業者により拭き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6570600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、被検査部の検査の効率を向上できる検査用ハンド、及び検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、検査用ハンドは、基部と、供給部と、検査用プローブと、吸引部と、を備える。前記基部は、ロボットアームに接続される。前記供給部は、前記基部に設けられ、接触媒質を被検査部に供給する。前記検査用プローブは、前記基部に設けられ、超音波を送受信する。前記吸引部は、前記基部に設けられ、前記被検査部に供給された前記接触媒質を吸引する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る検査装置の構成を示す斜視図。
図2】同検査装置の構成を示すブロック図。
図3】同検査装置の検査装置検査用ハンドの構成を示す斜視図。
図4】同検査装置用検査用ハンドの構成を示す正面図。
図5】同検査装置の動作の一例を示す説明図。
図6】同検査装置の動作の一例を示す説明図。
図7】同検査装置の動作の一例を示す説明図。
図8】同検査装置の吸引部の移動の一例を示す説明図。
図9】同検査装置の変形例に用いられる検査装置用検査用ハンドの構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態に係る検査装置1を、図1乃至図8を用いて説明する。
図1は、検査装置1の構成を示す斜視図である。図2は、検査装置1の構成を示すブロック図である。図3は、検査装置1の検査用ハンド3の構成を示す斜視図である。図4は、検査用ハンド3の構成を示す正面図である。図4は、検査用ハンド3を、後述する第1方向V1に沿って見た状態を示している。図5は、検査装置1の動作の一例を示す説明図である。図6は、検査装置1の動作の一例を示す説明図である。図7は、検査装置1の動作の一例を示す説明図である。図8は、検査装置1の吸引部34の移動の一例を示す説明図である。
【0009】
検査装置1は、例えば、超音波を用いて検査対象物100の被検査部の一例である溶接箇所101を検査する。検査装置1は、検査の一例として、溶接箇所101が適切に溶接されているか否かを検査する。溶接箇所101は、複数の部材、例えば2つの部材をスポット溶接により固定する溶接箇所である。検査対象物100は、例えば、自動車のドアパネルである。
【0010】
検査装置1は、図1及び図2に示すように、例えば、移動装置2と、検査用ハンド3と、第1タンク4と、第1配管5と、第1ポンプ6と、第2タンク7と、第2配管8と、第2ポンプ9と、制御装置10と、を備える。
【0011】
移動装置2は、検査用ハンド3を所望の位置に移動可能に構成される。ここで、所望の位置は、検査用ハンド3の、後述する検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34のそれぞれに対して設定される、溶接箇所101に対する位置である。例えば、検査用プローブ32については、一例として、後述する接触媒質102を介して溶接箇所101に接触する位置である。供給部33については、一例として、溶接箇所101に接触媒質102を供給できる位置である。吸引部34については、溶接箇所101に供給された接触媒質102を吸引できる位置である。
【0012】
移動装置2は、例えば、検査用ハンド3を、上下方向、前後方向、左右方向に移動可能に構成される。移動装置2は、例えば、6軸の多関節ロボットである。移動装置2は、例えば、ロボット本体21と、ロボット用制御部22と、を備える。ロボット本体21は、例えば、複数のアーム23を備える。ここで、複数のアームのうち、先端のアームを先端アーム23aとする。先端アーム23aは、一軸回りに回転可能に構成される。ロボット用制御部22は、制御装置10の後述する第2制御部62の制御に基づいて、ロボット本体21を制御する。
【0013】
図3に示すように、検査用ハンド3は、例えば、基部31と、検査用プローブ32と、供給部33と、吸引部34と、移動部35と、を備える。ここで、検査用ハンド3に、互いに直交する第1方向V1、第2方向V2及び第3方向V3を設定する。検査用ハンド3は、第1方向V1が先端アーム23aの軸方向と平行となる姿勢で、先端アーム23aに、例えば着脱可能に取り付けられる。先端アーム23aの軸方向とは、先端アーム23aの回転中心となる軸である。
また、検査用ハンド3は、制御部を備える。この制御部は、供給部33、吸引部34、及び移動部35を制御する。本実施形態では、検査用ハンド3の制御部として、制御装置10の後述する第2制御部62が用いられる構成を一例として説明する。換言すると、検査用ハンド3は、制御部として、第2制御部62を備える。
【0014】
基部31は、先端アーム23aに、着脱可能に固定される。基部31は、検査用プローブ32、供給部33、吸引部34、及び移動部35を支持する。基部31は、例えば、複数の板部材36、複数の板部材36を第1方向V1に連結する連結部材37を備える。基部31は、例えば第1方向V1に長い形状に構成される。
【0015】
基部31は、例えば、検査用プローブ固定部38と、移動部固定部39と、を備える。検査用プローブ固定部38には、検査用プローブ32が固定される。検査用プローブ固定部38は、例えば基部31の第1方向V1で、ロボット本体21とは反対側の一端に設けられる。移動部固定部39には、図3及び図4に示すように、移動部35が固定される。移動部固定部39は、図4に示すように検査用ハンド3を第1方向V1に沿って見た状態で、検査用プローブ固定部38に対して例えば第2方向V2に沿って離れた位置に形成される。
【0016】
検査用プローブ32は、例えば一方向に長い形状に形成される。検査用プローブ32は、例えば、長手方向が第1方向V1に平行となる姿勢で検査用プローブ固定部38に固定される。検査用プローブ32は、例えば、先端アーム23aと同軸に配置される。検査用プローブ32の先端32aは、例えば、第1方向V1に直交する平面に形成される。
【0017】
検査用プローブ32は、制御装置10の後述される第1制御部61に、例えば配線41により、電気的に接続される。配線41は、例えば、移動装置2のロボット本体21内に配線される。検査用プローブ32は、先端32aを介して超音波を送受信可能に構成される。
【0018】
供給部33は、接触媒質102を、溶接箇所101に供給可能に構成される。供給部33は、移動部35の後述される固定部53に固定される。接触媒質102は、例えば液状である。供給部33は、例えば、接触媒質102を吐出するノズルである。供給部33は、供給口33aを備える。
【0019】
供給部33は、例えば、接触媒質102の吐出方向に長い形成に形成される。供給部33は、例えば、吐出方向が第1方向V1と平行となり、かつ、供給口33aが、第1方向V1でロボット本体21とは反対側の一端となる姿勢で移動部35に固定される。供給部33は、例えば、図4に示すように第1方向V1に沿って検査用ハンド3を見た状態で、第3方向V3方向に沿って検査用プローブ32に並ぶ位置に配置される。
【0020】
吸引部34は、検査対象物100の表面の接触媒質102を吸引可能に構成される。吸引部34は、移動部35の固定部53に固定される。吸引部34は、接触媒質102を吸引する吸引口34aを有する。吸引部34は、例えば、ノズルである。吸引部34は、例えば一方向に長い形状に形成される。吸引部34は、例えば、長手方向が第1方向V1と平行となり、吸引口34aが第1方向V1でロボット本体21とは反対側の一端となる姿勢で、移動部35の固定部53に固定される。吸引部34は、例えば、図4に示すように第1方向V1に沿って検査用ハンド3を見た状態で、第2方向V2に沿って供給部33に並ぶ位置に配置される。
【0021】
また、吸引部34は、図6に示すように、検査対象物100の表面の接触媒質102を吸引する状態において、検査用プローブ32及び供給部33よりも、供給部33による接触媒質102の吐出方向で前方に配置される。吸引部34は、本実施形態では一例として、移動部35に、供給部33による接触媒質102の吐出方向で供給部33よりも前方に配置されるとともに、移動部35により第1方向V1に移動されることで、検査対象物100の表面の接触媒質102を吸引する状態において、検査用プローブ32よりも、供給部33による接触媒質102の吐出方向で前方に配置される。
【0022】
なお、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置が固定される構成の場合では、吸引部34が、検査用プローブ32及び供給部33に対して、供給部33による接触媒質102の吐出方向で前方に配置される構成であってもよい。または、吸引部34が基部31に固定され、検査用プローブ32及び供給部33が移動可能な構成である場合は、検査用プローブ32及び供給部33が移動されることで、吸引部34が、供給部33による接触媒質102の吐出方向で前方に配置されてもよい。
【0023】
移動部35は、移動部固定部39に固定される。移動部35は、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位可能に構成される。移動部35は、例えば、検査用プローブ32に対する、供給部33及び吸引部34の第1方向V1の相対位置を変位可能に構成される。また、移動部35は、吸引部34により接触媒質102を吸引する状態で、吸引部34を、検査用プローブ32及び供給部33に対して、供給部33による接触媒質102の吐出方向で前方に配置可能に構成される。
【0024】
移動部35は、図3及び図7に示すように、例えば、移動部本体51と、駆動部52と、固定部53と、を備える。移動部本体51は、移動部固定部39に固定される。移動部本体51は、例えば、駆動部52を第1方向V1で進退する。移動部本体51は、制御装置10の第2制御部62に電気的に接続される。
【0025】
駆動部52は、移動部本体51により駆動されることで、移動部本体51に対して第1方向V1に進退される。駆動部52は、例えば第1方向V1に長い棒状に構成される。
【0026】
固定部53は、駆動部52に固定される。固定部53には、供給部33及び吸引部34が固定される。固定部53は、図4に示すように第1方向V1に沿って検査用ハンド3を見た状態で、検査用プローブ32に対して例えば第3方向V3にずれた位置に供給部33及び吸引部34配置する。固定部53は、例えば、供給部固定部53aと、吸引部固定部53bと、を備える。供給部固定部53aは、例えば、検査用プローブ固定部38に対して第3方向V3に沿って並ぶ位置に配置される。吸引部固定部53bは、例えば、供給部固定部53aに対して第2方向V2に沿って並ぶ位置に配置される。
【0027】
第1タンク4は、図1に示すように、供給部33に供給する接触媒質102を貯留する貯留部の一例である。第1タンク4は、例えば、検査装置1が設置される設置場所103に設置される。
【0028】
第1配管5は、供給部33及び第1タンク4を接続する。第1配管5は、第1タンク4内の接触媒質102を供給部33に導く流路を構成する。第1配管5の一部は、例えばロボット本体21内に配置される。
【0029】
第1ポンプ6は、図2に示すように、第1タンク4に貯留された接触媒質102を供給部33に移動する。第1ポンプ6は、例えば、第1タンク4、第1配管5、または、供給部33に設けられる。
【0030】
第2タンク7は、吸引部34で吸引された接触媒質102を貯留する貯留部の一例である。第2タンク7は、例えば設置場所103に設置される。
第2配管8は、吸引部34及び第2タンク7を接続する。第2配管8は、吸引部34が吸引した接触媒質102を、第2タンク7に導く流路を構成する。第2配管8の一部は、例えばロボット本体21内に配置される。
第2ポンプ9は、吸引部34で接触媒質102を吸引する負圧を生じさせる。第2ポンプ9は、例えば、第2タンク7、第2配管、または、吸引部34に設けられる。
【0031】
制御装置10は、検査用プローブ32、供給部33、吸引部34、及び移動部35を制御する。図2に示すように、制御装置10は、例えば、第1制御部61と、第2制御部62と、を備える。
【0032】
第1制御部61は、検査用プローブ32の超音波の送受信を制御する。第1制御部61は、検査用プローブ32が受信する超音波に基づいて、溶接箇所101が適切に溶接されているか否かを判定する。
【0033】
第1制御部61は、例えば、制御部及び記憶部を備えている。制御部は、例えば、プロセッサである。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。記憶部は、例えば、メモリや、ストレージである。メモリは、読み出し専用のデータメモリであるROM(Read Only Memory)又はデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの大容量ストレージであってよい。メモリ又はストレージは、制御プログラムや各種データを記憶している。プロセッサは、メモリ又はストレージに記憶されているプログラム等に基づいて種々の処理を行う。つまり、プロセッサは、ソフトウェア機能部として各種プログラムを実行する。制御部は、CPUに代わって、ハードウェア機能部としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などが用いられてもよい。
【0034】
なお、移動装置2のロボット用制御部22も第1制御部61と同様に、制御部及び記憶部を備えている。
【0035】
第2制御部62は、駆動部52を制御することで供給部33及び吸引部34の移動の制御を行い、第1ポンプ6を制御することで供給部33による接触媒質102の供給の制御を行い、第2ポンプ9を制御することで、吸引部34による接触媒質102の吸引の制御を行う。
【0036】
また、第2制御部62は、溶接箇所101の位置の情報に基づいて、接触媒質102を供給するときの供給部33の位置を求める。溶接箇所101の位置は、例えば、溶接箇所101の検査を行う前に、外部装置から第2制御部62に入力される。本実施形態の例では、溶接箇所101に接触媒質102を供給するときの供給部33の位置は、供給口33aが溶接箇所101の直上の位置であって溶接箇所101から所定距離離れた位置である。
【0037】
また、第2制御部62は、溶接箇所101の位置の情報に基づいて、検査用プローブ32から超音波を送受信するときの検査用プローブ32の位置を求める。検査用プローブ32の超音波を送受信する位置は、例えば、検査用プローブ32の先端32aが接触媒質102を介して溶接箇所101に接触する位置である。先端32aが溶接箇所101に接触することで、接触媒質102は、先端32aで広げられる。
【0038】
また、第2制御部62は、溶接箇所101の位置の情報に基づいて、接触媒質102を吸引するときの吸引部34の位置をも求める。例えば、接触媒質102を吸引するときの吸引部34の位置は、吸引部34の吸引口34aが、検査対象物100に当接する位置、または、検査対象物100及び吸引口34aの間に若干の隙間を有する位置である。
【0039】
また、第2制御部62は、ロボット用制御部22を制御することで、ロボット本体21を制御する。第2制御部62は具体的には溶接箇所101に接触媒質102を供給するときの供給部33の位置の情報をロボット用制御部22に送信する。また、第2制御部62は、接触媒質102を吸引するときの吸引部34の位置の情報をロボット用制御部22に送信する。
第2制御部62及びロボット用制御部22は、供給部33、吸引部34、及び移動装置2を制御する制御部の一例を構成する。
【0040】
また、第2制御部62は、移動部35を制御する。第2制御部62は、供給部33により溶接箇所101に接触媒質102を供給する第1動作、検査用プローブ32により超音波を送受信する第2動作、及び、吸引部34により溶接箇所101の接触媒質102を吸引する第3動作のそれぞれで、移動部35を制御してもよい。第2制御部62は、例えば、第1動作、第2動作、及び第3動作のそれぞれを行う際に移動部35を制御することで、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位して、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34を、検査対象物100に干渉しない位置に配置する。
【0041】
第2制御部62は、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位する場合は、移動部35による移動後の検査用ハンド3に基づいて、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の位置の情報をロボット用制御部22に送信する。第2制御部62は、第1制御部61と同様に、制御部及び記憶部を備えている。
【0042】
次に、検査装置1による溶接箇所101の検査の一例を説明する。
【0043】
まず、第2制御部62は、溶接箇所101の位置の情報に基づいて、溶接箇所101に接触媒質102を供給するときの供給部33の位置を求める。第2制御部62は、供給部33の位置の情報を、ロボット用制御部22に送信する。
【0044】
ロボット用制御部22は、第2制御部62の制御に基づいて、ロボット本体21を制御して、供給部33を、溶接箇所101に接触媒質102を供給する位置に移動する。
【0045】
第2制御部62は、供給部33が接触媒質102を供給する位置に移動されると、第1ポンプ6を駆動して接触媒質102を供給口33aから吐出して、接触媒質102を溶接箇所101に供給する。なお、供給部33は、接触媒質102を供給する状態では、移動部35が駆動されることで、溶接箇所101側に移動されてもよい。
【0046】
第2制御部62は、接触媒質102を供給すると、検査用プローブ32の、溶接箇所101を検査するときの位置を求め、求めた検査用プローブ32の位置の情報をロボット用制御部22に送信する。
【0047】
ロボット用制御部22は、第2制御部62の制御により、検査用プローブ32を、超音波を送受信する位置に移動する。なお、検査用プローブ32により検査を行う状態では、供給部33及び吸引部34は、移動部35が駆動されることで、検査用プローブ32よりもロボット本体21側に移動されてもよい。換言すると、供給部33及び吸引部34は、引っ込んだ位置に移動される。
【0048】
検査用プローブ32が超音波を送受信する位置に移動されると、第1制御部61は、検査用プローブ32を制御して、超音波を送信させる。検査用プローブ32は、超音波を溶接箇所101に送信し、反射した超音波を受信する。検査用プローブ32は、受信した超音波の情報を第1制御部61に送信する。第1制御部61は、検査用プローブ32が受信した超音波の情報に基づいて、溶接箇所101が適切に溶接されているか否かを判定する。
【0049】
第1制御部61による検査が完了すると、第2制御部62は、検査対象物100の接触媒質102を吸引する吸引部34の位置を求める。また、第2制御部62は、図6に示すように、移動部35の駆動部52を制御して、吸引部34の吸引口34aを、検査用プローブ32の先端32aよりも、供給部33による接触媒質102の突出方向で前方に移動する。この位置は、吸引部34による接触媒質102の吸引工程において、検査用プローブ32及び供給部33が検査対象物100に干渉しない位置である。
【0050】
第2制御部62は、求めた吸引部34の位置の情報をロボット用制御部22に送信する。ロボット用制御部22は、第2制御部62の制御に基づいてロボット本体21を制御して、吸引部34を接触媒質102を吸引する位置に移動する。
【0051】
第2制御部62は、吸引部34が接触媒質102を吸引する位置に移動されると、第2ポンプ9を制御して、吸引部34により接触媒質102を吸引する。
【0052】
このとき、第2制御部62は、図6及び図8に示すように、ロボット本体21を制御することで溶接箇所101に対して吸引部34を移動しながら、接触媒質102を吸引する。吸引部34の移動経路は、接触媒質102を効率よく吸引できる移動経路が好ましい。
【0053】
第2制御部62は、例えば図8に示すように、吸引部34を、溶接箇所101の表面に沿って、接触媒質102の塗布範囲に対して円方向に移動させながら、接触媒質102を吸引する。第2制御部62は、例えば吸引部34の吸引口34aの開口面積が接触媒質102が塗布された範囲の面積より小さい場合に、吸引部34を移動しながら接触媒質102を吸引する。第2制御部62は、例えば、接触媒質102の塗布範囲の位置情報を、接触媒質102の供給量、検査用プローブ32の先端32aの面積等から求めることができる。
【0054】
このような工程により、1つの溶接箇所101の検査が完了する。検査対象物100が、検査を行う溶接箇所101を複数有する場合は、他の溶接箇所101に対して上述と同様の工程を行う。
【0055】
このように、検査用ハンド3は、吸引部34により溶接箇所101の接触媒質102を除去することが可能となる。この為、接触媒質102の供給、溶接箇所101の検査、及び接触媒質102の除去の工程を自動化できるので、人が溶接箇所101の接触媒質102を例えばふき取る等の除去作業を行う必要がない。人による接触媒質102の除去作業が不要となることで、溶接箇所101の検査の効率を向上できる。特に、検査対象物100が複数例えば多数の溶接箇所101を有する場合では有効である。さらに、人による接触媒質102の除去作業では、接触媒質102の除去漏れが生じる可能性があるが、吸引部34により接触媒質102を吸引することで、接触媒質102の除去漏れが生じることを防止できる。
【0056】
さらに、検査用ハンド3は、移動部35を備え、移動部35により、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位可能に構成される。この為、供給部33による接触媒質102の供給時、検査用プローブ32による超音波の送受信時、吸引部34による接触媒質102の吸引時に、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位することで、接触媒質102の供給時、検査用プローブ32による超音波の送受信時、吸引部34による接触媒質102の吸引時に、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34が検査対象物100と干渉することを防止できる。さらに、移動部35により、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位可能であることで、検査用ハンド3を使用していない状態では、移動部35により、検査用プローブ32、供給部33、及び吸引部34の相対位置を変位することで、検査用プローブ32をコンパクトにすることができる。
【0057】
さらに、移動部35は、供給部33及び吸引部34を、供給部33による接触媒質102の吐出方向に沿う第1方向V1に一体に移動する構成であるので、供給部33及び吸引部34を移動する構成を、簡単な構成にすることができる。
【0058】
さらに、吸引部34により接触媒質102を吸引する状態では、吸引部34の吸引口34aは、供給部33による接触媒質102の吐出方向で、検査用プローブ32より前方に配置される。この為、吸引部34による接触媒質102の吸引時に、検査用プローブ32が検査対象物100に干渉することを防止できる。
【0059】
さらに、検査装置1は、吸引部34により接触媒質102を吸引するときに、吸引部34を接触媒質102の塗布範囲に沿って移動することで、接触媒質102を効率よく吸引できる。さらに、吸引部34を円方向に沿って移動することで、接触媒質102を効率よく吸引できる。
【0060】
さらに、検査装置1は、吸引部34で吸引された接触媒質102を貯留する第2タンク7を備える。この為、吸引した接触媒質102を再利用することが可能となる。
【0061】
このように、本実施形態によれば、検査用ハンド3が吸引部34を備え、吸引部34により接触媒質102を吸引するので、接触媒質102の供給、検査用プローブ32による検査、接触媒質102の除去を自動化することが可能となる。この為、溶接箇所101の検査の効率を向上できる。
【0062】
なお、検査装置1は、上述の例に限定されない。上述の例では、検査装置1は、吸引部34により吸引された接触媒質102を貯留する第2タンク7が検査用ハンド3と別体であり、その一例として、第2タンク7が、検査装置1の設置場所103に配置される構成が一例として説明された。そして、第2ポンプ9は、検査用ハンド3と別体であり、第2タンク7、第2配管8、または吸引部34に設けられる構成が一例として説明された。しかしながら、第2タンク7、第2配管8及び第2ポンプ9は、検査用ハンド3と別体であることに限定されない。他の例では、第2タンク7、第2配管8及び第2ポンプ9は、検査用ハンド3に設けられてもよい。
【0063】
また、上述の例では、検査装置1は、検査対象物100の1つの溶接箇所101に対して、供給部33により接触媒質102を供給し、その後検査用プローブ32によりこの溶接箇所101を検査し、その後吸引部34によりこの溶接箇所101の表面の接触媒質102を吸引した。そして、これらの、供給、検査、吸引のそれぞれの工程が完了すると、別の溶接箇所101に対して同様の供給、検査、吸引の工程を行った。しかしながら、これに限定されない。例えば、複数の溶接箇所101のそれぞれに対して、供給の工程及び検査の工程を行い、これら複数の溶接箇所101のそれぞれに対する供給及び検査の工程が完了させた後に、これら複数の溶接箇所101の接触媒質102を順に吸引する工程を行ってもよい。または、複数の溶接箇所101のそれぞれに対して供給工程を行い、複数の溶接箇所101のそれぞれに対して供給工程が完了すると、複数の溶接箇所101のそれぞれに対して検査工程を行い、複数の溶接箇所101のそれぞれに対する検査工程が完了すると、複数の溶接箇所101のそれぞれに対して吸引工程を行ってもよい。
【0064】
また、上述の例では、吸引部34による接触媒質102の吸引時に、吸引部34をロボット本体21により移動する例が説明されたが、これに限定されない。他の例では、移動部35が、吸引部34を溶接箇所101の接触媒質102の塗布範囲を移動可能に構成されてもよい。
【0065】
また、上述の例では、吸引部34は、円方向に移動されながら接触媒質102を吸引する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。吸引部34は、検査対象物100の接触媒質102の塗布範囲を、円方向以外の方向に沿って移動されてもよい。この例としては、吸引部34は、直線方向に沿って移動することで、接触媒質102を吸引してもよい。
【0066】
また、上述の例では、検査用ハンド3は、図9に示すように、カメラ71を備えてもよい。カメラ71は、溶接箇所101、及び溶接箇所101に塗布された接触媒質102を撮影可能に構成される。カメラ71は、撮影した情報を第2制御部62に送信する。カメラ71は、例えば、図9に示すように、第1方向V1に沿って見た状態で、供給部33及び吸引部34を挟んで検査用プローブ32と反対側に配置される。
また、上述の例では、供給部33及び吸引部34は、移動部35により一体に移動される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、移動部35は、吸引部34を移動し、供給部33は基部31に固定されまたは他の移動部に移動可能に支持されてもよい。そして、吸引部34により接触媒質102を吸引する状態において、吸引部34が、移動部35により、供給部33及び検査用プローブ32よりも、被検査部である溶接箇所101側に移動されてもよい。
【0067】
また、上述の例では、検査装置1は、制御装置10は、第1制御部61及び第2制御部62を備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、例えば第1制御部61を備えず、第2制御部62が、第1制御部61の機能を有してもよい。また、検査装置1は、ロボット用制御部22を備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、ロボット用制御部22を備えず、制御装置10が、ロボット用制御部22の機能を有してもよい。
【0068】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、検査用ハンド3が吸引部34を備え、吸引部34により接触媒質102を吸引するので、接触媒質102の供給、検査用プローブ32による検査、接触媒質102の除去を自動化することが可能となる。この為、溶接箇所101の検査の効率を向上できる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…検査装置、2…移動装置、3…検査用ハンド、4…第1タンク、5…第1配管、6…第1ポンプ、7…第2タンク、8…第2配管、9…第2ポンプ、10…制御装置、21…ロボット本体、22…ロボット用制御部、32…検査用プローブ、33…供給部、33a…供給口、34…吸引部、34a…吸引口、35…移動部、51…移動部本体、52…駆動部、53…固定部、61…第1制御部、62…第2制御部、71…カメラ、100…検査対象物、101…溶接箇所(被検査部)、102…接触媒質。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9