IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社セブンテックの特許一覧

<>
  • 特開-液剤圧送装置及び液剤圧送方法 図1
  • 特開-液剤圧送装置及び液剤圧送方法 図2
  • 特開-液剤圧送装置及び液剤圧送方法 図3
  • 特開-液剤圧送装置及び液剤圧送方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044381
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】液剤圧送装置及び液剤圧送方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/26 20060101AFI20230323BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20230323BHJP
【FI】
B05B7/26
B05B12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152390
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】597129540
【氏名又は名称】有限会社セブンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠一朗
【テーマコード(参考)】
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QB03X
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD11
4F033QE06
4F033QF01X
4F033QF08X
4F033QF12X
4F033QK02X
4F033QK04X
4F033QK05X
4F033QK09X
4F033QK16X
4F033QK18X
4F033QK19X
4F033QK23X
4F033QK27X
4F035AA03
4F035BA12
4F035BA22
4F035BB21
4F035BB22
4F035BC06
(57)【要約】
【課題】簡易な構成ながら複数の液剤の混合比率を無段階に変更可能にする。
【解決手段】主剤タンク10と、主剤を供給する第1供給配管11と、第1供給配管を接続して主剤を圧送する第1ポンプ12と、第1ポンプから主剤を送り出す第1送出配管16と、硬化剤タンク20と、硬化剤を供給する第2供給配管21と、第2供給配管を接続して硬化剤を圧送する第2ポンプ22と、第2ポンプから硬化剤を送り出す第2送出配管26と、第1ポンプと第2ポンプを駆動する主駆動部40と、主剤タンク又は硬化剤タンクから主剤又は硬化剤を供給する第3供給配管31と、第3供給配管を接続して主剤又は硬化剤を圧送する第3ポンプ32と、一方が第3ポンプに接続され他方が第1送出配管又は第2送出配管に接続される第3送出配管36と、第3ポンプを駆動する補助駆動部42と、を備え、第3ポンプで主剤又は硬化剤のいずれかの流量を増加させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液剤を圧送する液剤圧送装置であって、
主剤を入れる主剤タンクと、
前記主剤タンクから前記主剤を供給する第1供給配管と、
前記第1供給配管をその入口に接続して前記主剤を圧送する第1ポンプと、
前記第1ポンプの出口に接続されて前記主剤を送り出す第1送出配管と、
硬化剤を入れる硬化剤タンクと、
前記硬化剤タンクから前記硬化剤を供給する第2供給配管と、
前記第2供給配管をその入口に接続して前記硬化剤を圧送する第2ポンプと、
前記第2ポンプの出口に接続されて前記硬化剤を送り出す第2送出配管と、
前記第1ポンプと前記第2ポンプを駆動する主駆動部と、
前記主剤タンク又は前記硬化剤タンクから前記主剤又は前記硬化剤を供給する第3供給配管と、
前記第3供給配管をその入口に接続して前記主剤又は前記硬化剤を圧送する第3ポンプと、
一方が前記第3ポンプの出口に接続され、他方が前記第1送出配管又は前記第2送出配管に接続される第3送出配管と、
前記第3ポンプを駆動する補助駆動部と、を備え、
前記第3ポンプで前記主剤又は前記硬化剤のいずれかの流量を増加させることを特徴とする液剤圧送装置。
【請求項2】
前記第1ポンプ及び前記第2ポンプが1つの前記主駆動部で駆動される請求項1に記載の液剤圧送装置。
【請求項3】
前記第3供給配管、前記第3ポンプ、前記第3送出配管、及び前記補助駆動部が、既存の装置に後付けされている請求項1又は2に記載の液剤圧送装置。
【請求項4】
前記第3ポンプの入口と出口を入れ替える入替機構を備え、
前記入替機構によって前記第3ポンプの入口と出口を入れ替えて、前記主剤又は前記硬化剤の一部を前記第1送出配管又は前記第2送出配管から前記主剤タンク又は前記硬化剤タンクに戻すことで、前記主剤又は前記硬化剤のいずれかの流量を減少させることができる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液剤圧送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液剤圧送装置を用いた液剤圧送方法であって、
前記第3ポンプが接続された側に対応する液剤を増加させるときは前記第3ポンプを順接続にして稼働させる増加モードと、
前記第3ポンプが接続された側に対応する液剤を減少させるときは前記第3ポンプを逆接続にして稼働させる減少モードと、
前記主剤又は前記硬化剤のいずれも流量を調整しないときは前記第3ポンプを停止させる無調整モードと、を使い分けることを特徴とする液剤圧送方法。
【請求項6】
主剤を入れる主剤タンクと、
前記主剤タンクから前記主剤を供給する第1供給配管と、
前記第1供給配管をその入口に接続して前記主剤を圧送する第1ポンプと、
前記第1ポンプの出口に接続されて前記主剤を送り出す第1送出配管と、
硬化剤を入れる硬化剤タンクと、
前記硬化剤タンクから前記硬化剤を供給する第2供給配管と、
前記第2供給配管をその入口に接続して前記硬化剤を圧送する第2ポンプと、
前記第2ポンプの出口に接続されて前記硬化剤を送り出す第2送出配管と、
前記第1ポンプと前記第2ポンプを駆動する1つの主駆動部と、を備える装置の主剤と硬化剤との比率を変更して圧送する液剤圧送方法であって、
前記主剤タンク又は前記硬化剤タンクから前記主剤又は前記硬化剤を供給する第3供給配管と、
前記第3供給配管をその入口に接続して前記主剤又は前記硬化剤を圧送する第3ポンプと、
一方が前記第3ポンプの出口に接続され、他方が前記第1送出配管又は前記第2送出配管に接続される第3送出配管と、
前記第3ポンプを駆動する補助駆動部と、
前記第3ポンプの入口と出口を入れ替える入替機構と、を前記装置に取付けて、
前記主剤又は前記硬化剤のいずれかの流量を前記第3ポンプによって増加又は減少させることを特徴とする液剤圧送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液剤を圧送する装置において、液剤の混合比率を変更することができる液剤圧送装置及び液剤圧送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば実昭公61-3495号公報(特許文献1)に、加圧用のシリンダーが取付けられる連結部に、複数本の大きさの異なる塗材ポンプを連結した塗付液混合送給装置が開示されている。また、特開2012-196605号公報(特許文献2)に、異なる種類の塗装を容易に実施することを目的として、主剤用の第1のポンプと硬化剤用の第2のポンプと、主剤と硬化剤の供給量比を調整可能な供給比調整機構と、を備える塗装用二液供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実昭公61-3495号公報
【特許文献2】特開2012-196605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている装置で複数の液剤の混合比率を変更しようとすると、混合比率に応じた大きさの専用のポンプが必要になってくる。このようなとき、多数の同じ装置を製造する場合は専用ポンプを製作してもよいが、そのようなことは希であり、1つ又は数個の専用ポンプを製作することはコストの面から困難である。また、専用ポンプを製作しても混合比率は固定されてしまい、その後の混合比率の変更に対応することが難しい。また、特許文献2に開示されている装置では、供給比調整機構によって複数の液剤の混合比率を変更することができるものの、混合比率が段階的でありかつ装置の構成が複雑になってしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、簡易な構成ながら複数の液剤の比率を無段階に変更可能な液剤圧送装置及び液剤圧送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液剤圧送装置は、
複数の液剤を圧送する液剤圧送装置であって、
主剤を入れる主剤タンクと、
前記主剤タンクから前記主剤を供給する第1供給配管と、
前記第1供給配管をその入口に接続して前記主剤を圧送する第1ポンプと、
前記第1ポンプの出口に接続されて前記主剤を送り出す第1送出配管と、
硬化剤を入れる硬化剤タンクと、
前記硬化剤タンクから前記硬化剤を供給する第2供給配管と、
前記第2供給配管をその入口に接続して前記硬化剤を圧送する第2ポンプと、
前記第2ポンプの出口に接続されて前記硬化剤を送り出す第2送出配管と、
前記第1ポンプと前記第2ポンプを駆動する主駆動部と、
前記主剤タンク又は前記硬化剤タンクから前記主剤又は前記硬化剤を供給する第3供給配管と、
前記第3供給配管をその入口に接続して前記主剤又は前記硬化剤を圧送する第3ポンプと、
一方が前記第3ポンプの出口に接続され、他方が前記第1送出配管又は前記第2送出配管に接続される第3送出配管と、
前記第3ポンプを駆動する補助駆動部と、を備え、
前記第3ポンプで前記主剤又は前記硬化剤のいずれかの吐出量を増加させることを特徴とする。
【0007】
本発明の液剤圧送装置によれば、第3ポンプによって主剤又は硬化剤の流量を増加させることができる。また、第3ポンプを駆動する補助駆動部は、第1ポンプ及び第2ポンプを駆動する主駆動部とは別に設置されている。このため第3ポンプを独立して駆動させることが可能となり、主剤と硬化剤との比率を任意の値に設定することができる。また、第3ポンプを停止させることで、主剤と硬化剤の比率を通常の1:1にすることもできる。
【0008】
本発明の液剤圧送装置の好ましい例は、
前記第1ポンプ及び前記第2ポンプが1つの前記主駆動部で駆動される。
【0009】
本発明の液剤圧送装置の好ましい例によれば、第1ポンプ、第2ポンプ、及び主駆動部の周辺の構成を簡素化することができる。
【0010】
本発明の液剤圧送装置の好ましい例は、
前記第3供給配管、前記第3ポンプ、前記第3送出配管、及び前記補助駆動部が、既存の装置に後付けされている。
【0011】
本発明の液剤圧送装置の好ましい例によれば、第3ポンプ等が、第1ポンプ及び第2ポンプ等を備える既存の装置に後付けされているため、既存の装置の有効活用ができる。
【0012】
本発明の液剤圧送装置の好ましい例は、
前記第3ポンプの入口と出口を入れ替える入替機構を備え、
前記入替機構によって前記第3ポンプの入口と出口を入れ替えて、前記主剤又は前記硬化剤の一部を前記第1送出配管又は前記第2送出配管から前記主剤タンク又は前記硬化剤タンクに戻すことで、前記主剤又は前記硬化剤のいずれかの吐出量を減少させることができる。
【0013】
本発明の液剤圧送装置の好ましい例によれば、入替機構によって主剤又は硬化剤のいずれかの流量を減少させることもできるため、液剤の比率の設定を幅広く行なうことができる。
【0014】
本発明の液剤圧送方法は、
上記の液剤圧送装置を用いた液剤圧送方法であって、
前記第3ポンプが接続された側に対応する液剤を増加させるときは前記第3ポンプを順接続にして稼働させる増加モードと、
前記第3ポンプが接続された側に対応する液剤を減少させるときは前記第3ポンプを逆接続にして稼働させる減少モードと、
前記主剤又は前記硬化剤のいずれも流量を調整しないときは前記第3ポンプを停止させる無調整モードと、を使い分けることを特徴とする。
【0015】
本発明の液剤圧送方法は、
主剤を入れる主剤タンクと、
前記主剤タンクから前記主剤を供給する第1供給配管と、
前記第1供給配管をその入口に接続して前記主剤を圧送する第1ポンプと、
前記第1ポンプの出口に接続されて前記主剤を送り出す第1送出配管と、
硬化剤を入れる硬化剤タンクと、
前記硬化剤タンクから前記硬化剤を供給する第2供給配管と、
前記第2供給配管をその入口に接続して前記硬化剤を圧送する第2ポンプと、
前記第2ポンプの出口に接続されて前記硬化剤を送り出す第2送出配管と、
前記第1ポンプと前記第2ポンプを駆動する1つの主駆動部と、を備える装置の主剤と硬化剤との比率を変更して圧送する液剤圧送方法であって、
前記主剤タンク又は前記硬化剤タンクから前記主剤又は前記硬化剤を供給する第3供給配管と、
前記第3供給配管をその入口に接続して前記主剤又は前記硬化剤を圧送する第3ポンプと、
一方が前記第3ポンプの出口に接続され、他方が前記第1送出配管又は前記第2送出配管に接続される第3送出配管と、
前記第3ポンプを駆動する補助駆動部と、
前記第3ポンプの入口と出口を入れ替える入替機構と、を前記装置に取付けて、
前記主剤又は前記硬化剤のいずれかの流量を前記第3ポンプによって増加又は減少させることを特徴とする。
【0016】
本発明の液剤圧送方法によれば、上記の液剤圧送装置と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0017】
上述したように、本発明の液剤圧送装置及び液剤圧送方法によれば、簡易な構成ながら複数の液剤の比率を無段階に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る液剤圧送装置を説明する図である。
図2】液剤圧送装置において、第3ポンプを順接続したときの液剤の流れを説明する図である。
図3】液剤圧送装置において、第3ポンプを逆接続したときの液剤の流れを説明する図である。
図4】他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の液剤圧送装置1及び液剤圧送方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。先ずは、液剤圧送装置1の実施形態を説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の液剤圧送装置1は、主剤タンク10と、第1供給配管11と、第1ポンプ12と、第1送出配管16と、硬化剤タンク20と、第2供給配管21と、第2ポンプ22と、第2送出配管26と、主駆動部40と、スプレーガン43と、センサー44と、第3供給配管31と、第3ポンプ32と、補助駆動部42と、第3送出配管36と、入替機構50と、を備える。また、上記の各構成要素の少なくとも一部は、図示しない制御部によって制御される。
【0021】
主剤タンク10は、複数の液剤のうち主剤を溜めておくものである。第1供給配管11は、主剤タンク10と第1ポンプ12の入口とを接続するもので、主剤タンク10から汲み上げた主剤を第1ポンプ12に供給するものである。第1ポンプ12は、その入口から供給された主剤を出口から圧送するものである。本実施形態では第1ポンプ12に往復ポンプを用いており、中でもシリンダー13、ピストン14、及びピストン14を駆動するロッド15を備えるピストンポンプを採用し、さらにピストン14の往復のどちらでも液剤を吐出できる複動ポンプを用いている。第1送出配管16は、第1ポンプ12の出口に設けられ、圧送される主剤を搬送するものであり、その先にはスプレーガン43が接続される。
【0022】
硬化剤タンク20は、複数の液剤のうち硬化剤を溜めておくものである。第2供給配管21は、硬化剤タンク20と第2ポンプ22の入口とを接続するもので、硬化剤タンク20から汲み上げた硬化剤を第2ポンプ22に供給するものである。第2ポンプ22は、その入口から供給された硬化剤を出口から圧送するものである。本実施形態では第2ポンプ22に第1ポンプ12同様の複動ポンプを用いており、第1ポンプ12と第2ポンプ22の容量(吐出量)も同じである。第2送出配管26は、第2ポンプ22の出口に設けられ、圧送される硬化剤を搬送するものであり、その先にはスプレーガン43が接続される。そして、スプレーガン43の内部で主剤と硬化剤とが混合され、スプレーガン43の先端から散布されて塗布される。
【0023】
また、第1ポンプ12と第2ポンプ22のロッド15,25は連結部41で連結されている。この連結部41は、第1ポンプ12と第2ポンプ22を同じ向き及び同じストロークで動作させるためのものである。また、連結部41には1つの主駆動部40が接続され、この主駆動部40によって連結部41が往復されることで、第1ポンプ12及び第2ポンプ22が同時に動作する。主駆動部40には、例えば空気圧や油圧等で作動する流体シリンダー等が用いられる。
【0024】
また、第1送出配管16と第2送出配管26の途中には、液剤の圧力、温度、流量等を測定するセンサー44が取付けられ、図示しない制御部やヒーター等によって液剤の温度が適正値に保たれるとともに、圧力や流量も適正値に保たれる。
【0025】
第3供給配管31は、主剤タンク10又は硬化剤タンク20と第3ポンプ32の入口とを接続するもので、主剤タンク10又は硬化剤タンク20から汲み上げた液剤を第3ポンプ32に供給するものである。第3ポンプ32は、入口から供給された液剤を出口から圧送するものである。この第3ポンプ32は、第1ポンプ12及び第2ポンプ22同様に複動ポンプが採用されるとともに、第1ポンプ12及び第2ポンプ22より小型のものが用いられることが好ましい。補助駆動部42は、第3ポンプ32のロッド35に接続されて、第3ポンプ32を駆動するものである。この補助駆動部42も主駆動部40同様に流体シリンダー等が用いられる。第3送出配管36は、第3ポンプ32の出口と第1送出配管16又は第2送出配管26とを接続するものである。
【0026】
入替機構50は、第3ポンプ32を順接続と逆接続とに入替可能な機構である。ここで、順接続とは、第3ポンプ32によってスプレーガン43に供給される主剤又は硬化剤の流量を増加させることが可能な配管の接続のことを意図する。一方、逆接続とは、第3ポンプ32によってスプレーガン43に供給される主剤又は硬化剤の流量を減少させることが可能な配管の接続のことを意図する。第3ポンプ32を順接続した場合は、主剤又は硬化剤は、主剤タンク10又は硬化剤タンク20から第3ポンプ32を経て、第1送出配管16又は第2送出配管26に追加で圧送されることで、主剤又は硬化剤のいずれかの流量を増加させる(図2参照)。一方、第3ポンプ32を逆接続にした場合は、主剤又は硬化剤の一部は、第1送出配管16又は第2送出配管26から第3ポンプ32を経て、主剤タンク10又は硬化剤タンク20に戻されることで、主剤又は硬化剤のいずれかの流量を減少させる(図3参照)。本実施形態ではこの入替機構50として、入側三方弁51と、抜取配管52と、出側三方弁53と、戻り配管54と、を備える。
【0027】
入側三方弁51は、第3供給配管31の途中に設けられ、第3ポンプ32に入ってくる液剤の流れを切替えるものである。抜取配管52は、その一方が第1送出配管16又は第2送出配管26に接続されて、他方が入側三方弁51に接続される。出側三方弁53は、第3送出配管36の途中に設けられ、第3ポンプ32から送出される液剤の流れを切替えるものである。戻り配管54は、その一方が出側三方弁53に接続され、他方が主剤タンク10又は硬化剤タンク20に接続される。なお、入替機構50としては、第3ポンプ32の入口と出口を切替えることができればよく、例えば入側三方弁51、抜取配管52、出側三方弁53、戻り配管54を備えず、第3ポンプ32の入口に接続されている第3供給配管31と、出口に接続されている第3送出配管36とを配管継手等で入れ替えるだけでもよい。また、出側三方弁53を四方弁として、該四方弁に抜取配管52の一方を接続してもよい。
【0028】
また、スプレーガン43より前での主剤と硬化剤との混合は厳禁であることから、第3供給配管31が主剤タンク10に接続されている場合は、抜取配管52と第3送出配管36は主剤側の配管である第1送出配管16に接続され、戻り配管54は主剤タンク10に接続されることは勿論である。一方、第3供給配管31が硬化剤タンク20に接続されている場合は、抜取配管52と第3送出配管36は硬化剤側の配管である第2送出配管26に接続され、戻り配管54は硬化剤タンク20に接続される。
【0029】
さらに、本実施形態の液剤圧送装置1は、主剤タンク10、第1供給配管11、第1ポンプ12、第1送出配管16、硬化剤タンク20、第2供給配管21、第2ポンプ22、第2送出配管26、主駆動部40、センサー44、スプレーガン43、及び制御部等から構成される既存の装置2に、第3供給配管31、第3ポンプ32、補助駆動部42、第3送出配管36、及び入替機構50等が後付けされて構成されている。この後付けの方法であるが、公知の配管部材や配線部材等を用いれば可能なことは自明である。
【0030】
次に、図4を参照して他の実施形態に係る液剤圧送装置101を説明する。本図では、上記の実施形態と同様のものには同じ符号を付してその説明を省略する。本実施形態の液剤圧送装置101も、既存の装置102に第3ポンプ32及びその周辺機構が後付けされて構成される。また、本実施形態では、既存の装置102に採用されている第1ポンプ112、第2ポンプ122は、主駆動部140の両側にそのロッド115,125が接続される対向ポンプ又は水平対向ポンプが用いられる。この主駆動部140が、例えば左右方向に動作することで、第1ポンプ112及び第2ポンプ122が同時に動作する。
【0031】
次に、図1ないし図3を参照して、液剤圧送方法の実施形態を説明する。本実施形態の液剤圧送方法では、主剤と硬化剤の流量を同じにする無調整モード、主剤又は硬化剤のいずれかの流量を増加させる増加モード、及び主剤又は硬化剤のいずれかの流量を減少させる減少モードを含む。なお、ここでは、第3ポンプ32等で主剤の流量を調整しているが、第3ポンプ32等を硬化剤の側に設けることで硬化剤の流量も調整できることは勿論である。また、既存の装置2が第3供給配管31、第3ポンプ32、補助駆動部42、第3送出配管36、及び入替機構50等を備えない構成であり、この装置に前記の構成を後付けする場合は、上記の各モードを実施する前に第3供給配管31、第3ポンプ32、補助駆動部42、第3送出配管36、及び入替機構50等を既存の装置2に取付ける作業を行なう。
【0032】
先ずは、図1を参照して無調整モードを説明する。この無調整モードでは第3ポンプ32を稼働させず、入側三方弁51及び出側三方弁53も液剤が流れないようにする。このため、主剤は、主剤タンク10から第1供給配管11を通じて第1ポンプ12に供給され(図中矢印a)、第1ポンプ12で圧送されて第1送出配管16を通じてスプレーガン43に送出される(図中矢印b)。一方、硬化剤も、硬化剤タンク20から第2供給配管21を通じて第2ポンプ22に供給され(図中矢印c)、第2ポンプ22で圧送されて第2送出配管26を通じてスプレーガン43に送出される(図中矢印d)。このとき、第1ポンプ12と第2ポンプ22の容量が同じであるとともに、連結部41で連結されて主駆動部40によって同じストロークで駆動される。これにより、主剤と硬化剤の比率は1:1と同じになる。
【0033】
次に、図2を参照して増加モードを説明する。この増加モードでは、入替機構50を順接続にした状態にする。先ず、第1ポンプ12と第2ポンプ22は、上記の無調整モードと同じように稼働させて主剤と硬化剤とを送出する(図中矢印a~d)。さらに、第3ポンプ32を補助駆動部42によって稼働させる。ここで、入側三方弁51を操作して、主剤を主剤タンク10から第3供給配管31を通じて第3ポンプ32に供給する(図中矢印e,f)。また、出側三方弁53も操作して、第3ポンプ32で圧送される主剤を第3送出配管36から第1送出配管16に追加で送出する(図中矢印g,h)。これにより、スプレーガン43に送出される主剤の流量を硬化剤より多くすることができる。
【0034】
次に、図3を参照して減少モードを説明する。この減少モードでは、入替機構50を逆接続にした状態にする。先ず、第1ポンプ12と第2ポンプ22は、上記の無調整モードと同じように稼働させて主剤と硬化剤とを送出する(図中矢印a~d)。さらに、第3ポンプ32を補助駆動部42によって稼働させる。ここで、入側三方弁51を操作して、第1ポンプ12から送出された主剤の一部を第1送出配管16から抜取配管52を通じて第3ポンプ32に供給する(図中矢印i,j)。また、出側三方弁53も操作して、第3ポンプ32で圧送される主剤を戻り配管54から主剤タンク10に戻す(図中矢印k,m)。これにより、スプレーガン43に送出される主剤の流量を硬化剤より少なくすることができる。
【0035】
なお、図4に示す実施形態については、上記の説明でその動作が理解できるため説明を省略する。
【0036】
以上、説明したように、本実施形態の液剤圧送装置1及び液剤圧送方法によれば、簡易な構成ながら主剤又は硬化剤の流量を増加又は減少させることが可能となり、主剤と硬化剤の比率を任意の値に変えることができる。
【0037】
また、上記の増加モード及び減少モードにおいては、補助駆動部42を制御部で任意の速度又はストロークで動作させることで、主剤の増加量又は減少量を所望の値に調整することができ、主剤と硬化剤との混合比率を無段階に調整することができる。
【0038】
また、主剤用の第1ポンプ12及び硬化剤用の第2ポンプ22を1つの主駆動部40によって駆動している既存の装置2において、主剤と硬化剤との比率を変更することは、実質的に主剤用ポンプ又は硬化剤用ポンプのいずれかの容量を変えた専用ポンプを用意するしかなく、これは特に装置の数が少ない場合においては現実的でない。仮に実現させたとしても、連結部41にかかる負荷が均等でなくなることで、主駆動部40等に捻れや横方向の力が加わり、装置の故障の原因となる。また、図4に示す対向ポンプを用いる例においても、第1ポンプ112と第2ポンプ122の大きさが異なると、主駆動部140が動作するときに左右で負荷が異なり、吐出量の変動等を招く恐れがあり、液剤の比率を変更することは容易ではない。一方、本実施形態の液剤圧送装置1,101及び液剤圧送方法では、既存の装置2,102に後付けが可能であるため、主駆動部40,140が1つしかない装置においても容易に主剤と硬化剤との混合比率を変更することができる。
【0039】
なお、上述した液剤圧送装置1,101及び液剤圧送方法は本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成を適宜変更することができる。例えば、液剤が本実施形態の主剤と硬化剤に限られず、第3の液剤を使用して別系統の配管やポンプをさらに備える構成であっても良い。また、主駆動部40と補助駆動部42については制御部による制御を実施することも必須ではない。さらに、第3ポンプ32等を主剤の側と硬化剤の側の双方に設置して、これらを無調整モード、増加モード、減少モードの組み合わせで運用することで、より幅広い混合比率の調整をすることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1,101・・液剤圧送装置、2,102・・既存の装置、
10・・主剤タンク、11・・第1供給配管、12,112・・第1ポンプ、13・・シリンダ(第1ポンプ)、14・・ピストン(第1ポンプ)、15,115・・ロッド(第1ポンプ)、16・・第1送出配管、
20・・硬化剤タンク、21・・第2供給配管、22,122・・第2ポンプ、25,125・・ロッド(第2ポンプ)、26・・第2送出配管、
31・・第3供給配管、32・・第3ポンプ、35・・ロッド(第3ポンプ)、36・・第3送出配管、
40,140・・主駆動部、41・・連結部、42・・補助駆動部、43・・スプレーガン、44・・センサー、
50・・入替機構、51・・入側三方弁、52・・抜取配管、53・・出側三方弁、54・・戻り配管、
図1
図2
図3
図4