(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044405
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】演算装置及びトレイの配置方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230323BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H05K13/02 D
H05K13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152426
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤池 大介
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353DD05
5E353EE36
5E353EE37
5E353HH52
5E353HH55
5E353HH56
5E353HH58
5E353JJ21
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】トレイをストッカのパレットに最適に配置すること。
【解決手段】演算装置は、同一種類の部品が複数収納されたトレイをストッカのパレットに配置するトレイの配置を最適化する。演算装置は、トレイに収納された部品の数を示すパレット部品数と部品の種類毎に定められた基板に実装される部品の数を示す搭載数とに基づいて、ストッカにおいてある種類の部品の残数を示す余り部品数がゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイにおいて余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種類の部品が複数収納されたトレイをストッカのパレットに配置するトレイの配置を最適化する演算装置であって、
トレイに収納された部品の数を示すパレット部品数と部品の種類毎に定められた基板に実装される部品の数を示す搭載数とに基づいて、ストッカにおいてある種類の部品の残数を示す余り部品数がゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイにおいて余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定する、
演算装置。
【請求項2】
ストッカの複数のパレットのそれぞれにトレイが配置され、且つ、他の種類の部品の余り部品数がパレット部品数未満になるように、ストッカに配置するトレイの枚数を決定する、
請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
他の種類の部品が収納されたトレイにおいて、余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定する、
請求項1又は請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
1つのストッカに配置されるパレットの枚数を示すパレット数の合計がストッカの容量を超えず、1つのストッカに配置される部品により生産可能な基板の枚数を示す生産可能枚数が最大になるように、パレットに配置するトレイを決定する、
請求項3に記載の演算装置。
【請求項5】
同一種類の部品が複数収納されたトレイをストッカのパレットに配置するトレイの配置方法であって、
トレイに収納された部品の数を示すパレット部品数を取得することと、
基板に実装される部品の数を示す搭載数を部品の種類毎に取得することと、
パレット部品数と搭載数とに基づいて、ストッカにおいてある種類の部品の残数を示す余り部品数がゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイにおいて余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定することと、を含む、
トレイの配置方法。
【請求項6】
ストッカの複数のパレットのそれぞれにトレイが配置され、且つ、他の種類の部品の余り部品数がパレット部品数未満になるように、ストッカに配置するトレイの枚数を決定する、
請求項5に記載のトレイの配置方法。
【請求項7】
他の種類の部品が収納されたトレイにおいて、余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定する、
請求項5又は請求項6に記載のトレイの配置方法。
【請求項8】
1つのストッカに配置されるパレットの枚数を示すパレット数の合計がストッカの容量を超えず、1つのストッカに配置される部品により生産可能な基板の枚数を示す生産可能枚数が最大になるように、パレットに配置するトレイを決定する、
請求項7に記載のトレイの配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、演算装置及びトレイの配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の生産において、基板に部品を実装する部品実装装置が使用される。特許文献1に開示されているように、トレイに収納された部品が基板に実装される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つのトレイには、同一種類の部品が複数収納される。トレイは、ストッカの複数のパレットのそれぞれに配置される。作業効率の低下を抑制するために、トレイをパレットに最適に配置できる技術が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、トレイをストッカのパレットに最適に配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、同一種類の部品が複数収納されたトレイをストッカのパレットに配置するトレイの配置を最適化する演算装置を開示する。演算装置は、トレイに収納された部品の数を示すパレット部品数と部品の種類毎に定められた基板に実装される部品の数を示す搭載数とに基づいて、ストッカにおいてある種類の部品の残数を示す余り部品数がゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイにおいて余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定する。
【0007】
また、本明細書は、同一種類の部品が複数収納されたトレイをストッカのパレットに配置するトレイの配置方法を開示する。トレイの配置方法は、トレイに収納された部品の数を示すパレット部品数を取得することと、基板に実装される部品の数を示す搭載数を部品の種類毎に取得することと、パレット部品数と搭載数とに基づいて、ストッカにおいてある種類の部品の残数を示す余り部品数がゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイにおいて余り部品数がパレット部品数未満になるように、パレットに配置するトレイを決定することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示する技術によれば、トレイがストッカのパレットに最適に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る部品実装装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るストッカを模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るトレイの配置の最適化を実施する演算装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るトレイの配置方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[部品実装装置]
図1は、実施形態に係る部品実装装置1を模式的に示す図である。部品実装装置1は、部品供給装置2と、実装ヘッド3とを備える。
【0011】
部品供給装置2は、複数のパレット4を有するストッカ5と、ストッカ5を収容する筐体6と、筐体6の内側においてストッカ5を昇降する昇降装置7とを有する。ストッカ5は、上下方向に配置された複数の支持部材8を有する。パレット4は、複数の支持部材8のそれぞれに配置される。複数のパレット4のそれぞれに、トレイ10が配置される。1つのトレイ10には、同一種類の部品が複数収納される。
【0012】
昇降装置7は、ストッカ5を昇降させてパレット4の高さを調整する。規定の高さに配置されたパレット4は、筐体6から供給位置Paに移送される。パレット4に配置されているトレイ10は、パレット4と一緒に筐体6から供給位置Paに移送される。
【0013】
実装ヘッド3は、部品供給装置2から供給された部品を基板Wに実装する。基板Wは、実装位置Pbに配置される。実装ヘッド3は、供給位置Paと実装位置Pbとの間を移動可能である。実装ヘッド3は、部品を解放可能に保持するノズル9を有する。実装ヘッド3は、ノズル9に保持された部品を基板Wに実装する。実装ヘッド3は、予め定められている実装条件に基づいて、規定の種類の部品を規定の数だけ基板Wに実装する。
【0014】
[ストッカ]
図2は、実施形態に係るストッカ5を模式的に示す図である。ストッカ5は、複数のパレット4を有する。複数のパレット4は、上下方向に配置される。ストッカ5の複数のパレット4のそれぞれにトレイ10が配置される。1枚のパレット4に1枚のトレイ10が配置される。
図2に示す例において、ストッカ5は、7枚のパレット4を有する。1つのストッカ5には、7枚のトレイ10が配置される。
【0015】
1枚のトレイ10は、同一種類の部品を複数収納する。トレイ10は、マトリクス状に配置された複数のポケットを有する。1つのポケットに1個の部品が収納される。新品状態の1枚のトレイ10に収納された部品の数を示すパレット部品数aは、予め定められた値である。
【0016】
複数のトレイ10の外形及び外形の寸法は、相互に等しい。そのため、部品の寸法が小さいほど、1枚のトレイ10に収納される部品の数は多くなる。部品の寸法が大きいほど、1枚のトレイ10に収納される部品の数は少なくなる。パレット部品数aは、例えば部品の寸法に基づいて一義的に決定される。なお、パレット部品数aは、例えば部品メーカーにより予め決定されてもよい。
【0017】
部品の品質を維持するために、トレイ10は、包装された状態で部品メーカーから供給される。トレイ10をパレット4に配置する場合、トレイ10の包装が解かれる。トレイ10は、包装を解かれた後、パレット4に配置される。
【0018】
図2に示す例において、ストッカ5が筐体6に搬入される前の初期状態において、ストッカ5には、A種類の部品を収納するトレイ10が3枚配置され、B種類の部品を収納するトレイ10が2枚配置され、C種類の部品を収納するトレイ10が3枚配置される。
【0019】
ストッカ5が筐体6に搬入された後、トレイ10に収納されている部品は、基板Wに実装される。基板Wに実装される部品の数を示す搭載数bは、予め定められた値である。
【0020】
予め定められている実装条件に基づいて、部品が基板Wに実装される。実装条件は、基板Wに実装する部品の種類及び部品の数を規定する生産プログラムを含む。搭載数bは、実装条件に基づいて決定される。実装条件により、部品の種類毎に、搭載数bが定められる。
【0021】
搭載数bが多くなると、ストッカ5における部品の残数を示す余り部品数fが少なくなる。
【0022】
ストッカ5において、A種類の部品、B種類の部品、及びC種類の部品のうち、ある種類の部品の余り部品数fがゼロになると、余り部品数fがゼロになったトレイ10と新規のトレイ10とを交換するために、ストッカ5が筐体6から搬出される。例えば、
図2のケース1に示すように、ストッカ5においてA種類の部品の余り部品数f(残数)がゼロになると、B種類の部品及びC種類の部品がストッカ5に残っていても、ストッカ5が筐体6から搬出される。
図2のケース1においては、B種類の部品が収納された2つのトレイ10のうち、一方のトレイ10の余り部品数f(残数)が0であり、他方のトレイ10の余り部品数f(残数)が5である。C種類の部品が収納された2つのトレイ10のうち、一方のトレイ10の余り部品数f(残数)が1であり、他方のトレイ10の余り部品数f(残数)がパレット部品数aと同一である。すなわち、C種類の部品が収納された2つのトレイ10のうち、他方のトレイ10の部品は、1個も実装に使用されていない。
【0023】
ストッカ5のパレット4に配置するトレイ10の組み合わせが適切でないと、
図2のケース1に示すように、収納された部品が1個も実装に使用されないトレイ10が発生する可能性がある。すなわち、ストッカ5のパレット4に配置するトレイ10の組み合わせが適切でないと、ストッカ5においてA種類の部品の残数を示す余り部品数fがゼロになったときに、C種類の部品が収納された他方のトレイ10において、余り部品数fがパレット部品数aと同一になってしまう。
【0024】
実装に使用されない部品を収納したトレイ10をパレット4に配置する作業は、無駄な作業である。また、実装に使用されない部品を収納したトレイ10をパレット4に配置することは、筐体6からストッカ5を搬出する頻度を高めることに繋がる。筐体6からストッカ5を搬出する頻度が高くなると、基板Wの生産性が低下する。また、上述のように、トレイ10は、包装を解かれた後、パレット4に配置される。包装を解かれたトレイ10の部品が実装に使用されない場合、その部品が大気に長時間晒されることとなる。その結果、部品の品質が低下する可能性がある。
【0025】
そこで、実施形態においては、ストッカ5が筐体6に搬入された時点と筐体6から搬出される時点との間において、ストッカ5のパレット4に配置される複数のトレイ10のそれぞれに収納された部品が少なくとも1個実装に使用されるように、トレイ10の配置を最適化する。すなわち、
図2のケース2に示すように、収納された部品が1個も実装に使用されないトレイ10がパレット4に配置されないように、トレイ10の配置を最適化する。
【0026】
[トレイの配置方法]
次に、トレイ10の配置方法について説明する。
図3は、実施形態に係るトレイ10の配置の最適化を実施する演算装置11を示すブロック図である。演算装置11は、コンピュータシステムを含む。演算装置11は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ11Aと、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ11Bと、ストレージ11Cと、入出力回路を含むインターフェース11Dとを有する。プロセッサ11Aは、コンピュータプログラムをストレージ11Cから読み出してメインメモリ11Bに展開し、コンピュータプログラムに従ってトレイ10の配置の最適化を実施する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介して演算装置11に配信されてもよい。
【0027】
以下の説明においては、パレット部品数a、搭載数b、パレット数c、生産可能枚数d、余り部品数f、部品切れ枚数e、及び部品切れ時の余り部品数f、の用語を用いて、トレイ10の配置方法について説明する。
【0028】
パレット部品数aとは、新品状態の1枚のトレイ10に収容された部品の数をいう。パレット部品数aは、予め定められた値である。パレット部品数aは、例えば部品の寸法に基づいて一義的に決定される。なお、パレット部品数aは、例えば部品メーカーにより予め決定されてもよい。
【0029】
搭載数bとは、1枚の基板Wに実装される部品の数をいう。搭載数bは、予め定められた値である。搭載数bは、予め定められている実装条件に基づいて決定される。実装条件は、基板Wに実装する部品の種類及び数を規定する生産プログラムを含む。実装条件により、部品の種類毎に、搭載数bが異なる。
【0030】
パレット数cとは、1つのストッカ5に配置されるトレイ10の枚数をいう。実施形態において、ストッカ5の複数のパレット4のそれぞれにトレイ10が1枚ずつ配置される。すなわち、1つのストッカ5に配置されるトレイ10の枚数と1つのストッカ5に配置されるパレット4の枚数とは、等しい。
【0031】
生産可能枚数dとは、1つのストッカ5に配置される部品により生産可能な基板Wの枚数をいう。生産可能枚数dは、以下の(1)式に基づいて算出される。
d=(a×c)/b …(1)
【0032】
余り部品数fとは、ストッカ5における部品の残数をいう。
【0033】
部品切れ枚数eとは、ストッカ5におけるある種類の余り部品数fがゼロになったときに生産された基板Wの枚数をいう。部品切れ枚数eは、以下の(2)式に基づいて算出される。
e=(a×c)/b …(2)、但し小数点以下は切り上げる。
【0034】
部品切れ時の余り部品数fとは、ストッカ5においてある種類の部品の余り部品数fがゼロになったときの、他の種類の部品が収納されたトレイ10における余り部品数fをいう。ある種類の部品の部品切れ時の他の種類の部品が収納されたトレイ10における余り部品数fは、以下の(3)式に基づいて算出される。
f=(a×c)-(b×e) …(3)
【0035】
演算装置11は、トレイ10に収納された部品の数を示すパレット部品数aを取得する。また、演算装置11は、基板Wに実装される部品の数を示す搭載数bを部品の種類毎に取得する。上述のように、パレット部品数a及び搭載数bのそれぞれは、予め定められた値である。そのため、演算装置11は、パレット部品数a及び搭載数bを取得することができる。
【0036】
演算装置11は、パレット部品数aと搭載数bとに基づいて、ストッカ5におけるある種類の部品の残数を示す余り部品数fがゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイ10において、そのトレイ10における余り部品数fがパレット部品数a未満になるように、パレット4に配置するトレイ10を決定する。部品切れ時の余り部品数fがパレット部品数aを下回るようにトレイ10がパレット4に配置されることにより、トレイ10の配置が最適化される。
【0037】
演算装置11は、ストッカ5の複数のパレット4のそれぞれにトレイ10が配置され、且つ、他の種類の部品の余り部品数fがパレット部品数a未満になるように、ストッカ5に配置するトレイ10の枚数を決定する。
【0038】
演算装置11は、他の種類の部品が収納されたトレイ10において、余り部品数fがパレット部品数aの100%未満になるように、パレット4に配置するトレイ10を決定する。
【0039】
以下、
図4を参照しながら具体例について説明する。
図4は、実施形態に係るトレイ10の配置方法を説明するための図である。以下、ストッカ5に40枚のパレット4が配置され、40枚のパレット4のそれぞれにトレイ10が1枚ずつ配置されることとする。
【0040】
また、以下の説明においては、A種類の部品を適宜、A部品、と称し、A種類の部品が複数収納されたトレイ10を適宜、Aトレイ10、と称する。B種類の部品を適宜、B部品、と称し、B種類の部品が複数収納されたトレイ10を適宜、Bトレイ10、と称する。C種類の部品を適宜、C部品、と称し、C種類の部品が複数収納されたトレイ10を適宜、Cトレイ10、と称する。
【0041】
A部品は、1つのAトレイ10に25個収納される。B部品は、1つのBトレイ10に70個収納される。C部品は、1つのCトレイ10に100個収納される。この場合、
図4に示すように、A部品のパレット部品数aは25であり、B部品のパレット部品数aは70であり、C部品のパレット部品数aは100である。上述のように、パレット部品数aは、予め定められた値である。
【0042】
A部品は、1枚の基板Wに3個実装される。B部品は、1枚の基板Wに6個実装される。C部品は、1枚の基板Wに2個実装される。この場合、
図4に示すように、A部品の搭載数bは3であり、B部品の搭載数bは6であり、C部品の搭載数bは2である。上述のように、搭載数bは、予め定められた値である。
【0043】
1つのストッカ5に21枚のAトレイ10を配置することとする。1つのストッカ5に15枚のBトレイ10を配置することとする。1つのストッカ5に4枚のCトレイ10を配置することとする。この場合、
図4に示すように、Aトレイ10のパレット数cは21であり、Bトレイ10のパレット数cは15であり、Cトレイ10のパレット数cは4である。1つのストッカ5には、パレット4の枚数と同じ枚数のトレイ10が配置される。
【0044】
上述の(1)式より、A部品の生産可能枚数dは175であり、B部品の生産可能枚数dは175であり、C部品の生産可能枚数dは200である。
【0045】
図4に示す例では、部品を基板Wに実装する処理が進行すると、A部品及びB部品の余り部品数fが同時にゼロになる。上述の(2)式より、A部品及びB部品の余り部品数fがゼロになったときに生産された基板Wの枚数である部品切れ枚数eは175である。
【0046】
上述の(3)式より、A部品及びB部品の余り部品数fがゼロになった部品切れ時のC部品の余り部品数fは50である。
【0047】
このように、
図4に示す例においては、A部品及びB部品の部品切れ時のC部品の余り部品数fがC部品のパレット部品数a未満なので、トレイ10の配置が最適化される。
図4に示す例において、C部品の余り部品数fが50であり、C部品のパレット部品数aが100なので、トレイ10の配置が最適化される。
【0048】
例えばA部品及びB部品の部品切れ時のC部品の余り部品数fが小さいほど、トレイ10の配置がより最適化される。演算装置11は、A部品及びB部品の部品切れ時のC部品の余り部品数fがC部品のパレット部品数a未満になるように、トレイ10の配置を最適化する。
図4に示す例においては、A部品及びB部品の部品切れ時のC部品の余り部品数fが50であり、C部品のパレット部品数aが100なので、A部品及びB部品の部品切れ時のC部品の余り部品数fは、C部品のパレット部品数aの100%未満の条件を満たす。
【0049】
一方、A部品及びB部品の部品切れ時のC部品の余り部品数fがC部品のパレット部品数a以上である場合、トレイ10の配置は最適化されない。
【0050】
演算装置11は、A部品、B部品、C部品のそれぞれについて、ある種類の部品の部品切れ時の他の種類の部品を収納したトレイ10における余り部品数fがパレット部品数a未満になり、パレット数cの合計がストッカ5の容量を超えず、生産可能枚数dが最大になるように、A部品、B部品、及びC部品のそれぞれのパレット数cを変化させながら、上述のような演算処理を繰り返し実施する。
【0051】
演算装置11により算出されたパレット数cに基づいて、ストッカ5の複数のパレット4のそれぞれに、Aトレイ10、Bトレイ10、及びCトレイ10が配置される。複数のトレイ10が配置されたストッカ5は、筐体6に搬入される。部品実装装置1の実装ヘッド3は、トレイ10から供給された部品を基板Wに実装する。
【0052】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、予め定められたパレット部品数aと部品の種類毎に予め定められた搭載数bとに基づいて、ストッカ5においてある種類の部品の部品切れ時の余り部品数fがゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイ10において、余り部品数fがパレット部品数a未満になるように、パレット4に配置するトレイ10の枚数を示すパレット数cが決定される。これにより、トレイ10がストッカ5のパレット4に最適に配置される。例えば、実装に使用されない部品を収納したトレイ10をパレット4に配置する無駄な作業の実施が抑制される。また、実装に使用されない部品を収納したトレイ10がパレット4に配置されないので、筐体6からストッカ5を搬出する頻度が高くなることが抑制される。そのため、基板Wの生産性の低下が抑制される。また、包装を解かれたトレイ10の部品が大気に長時間晒されることが抑制される。そのため、部品の品質の低下が抑制される。
【0053】
ストッカ5の複数のパレット4のそれぞれにトレイ10が配置され、且つ、他の種類の部品の余り部品数fがパレット部品数a未満になるように、複数の種類の部品のそれぞれに係るパレット数cが決定される。したがって、ストッカ5の全部のパレット4が有効に活用される。また、ストッカ5にトレイ10が満載されるので、筐体6からストッカ5を搬出する頻度が高くなることが抑制される。そのため、基板Wの生産性の低下が抑制される。
【0054】
ある部品の部品切れ時の余り部品数fがゼロになったときに、他の種類の部品が収納されたトレイ10において、余り部品数fが小さいほど、トレイ10の配置が最適化される。他の種類の部品が収納されたトレイ10において、余り部品数fがパレット部品数a未満になるように、パレット数cが決定されることにより、トレイ10の配置がより最適化される。
【0055】
また、パレット数cの合計が、スタッカ5の容量を超えず、生産可能枚数dが最大になるように、パレット4に配置するトレイ10が決定されることが好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1…部品実装装置、2…部品供給装置、3…実装ヘッド、4…パレット、5…ストッカ、6…筐体、7…昇降装置、8…支持部材、9…ノズル、10…トレイ、11…演算装置、11A…プロセッサ、11B…メインメモリ、11C…ストレージ、11D…インターフェース、Pa…供給位置、Pb…実装位置、W…基板。