(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044511
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】圧縮機システム
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20230323BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
F04B49/10 331N
F04B39/00 106Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152566
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】内田 光
(72)【発明者】
【氏名】大畠 瑛人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 浩介
【テーマコード(参考)】
3H003
3H145
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC02
3H003CF01
3H003CF07
3H145AA03
3H145AA14
3H145AA26
3H145AA42
3H145BA28
3H145BA41
3H145EA48
(57)【要約】
【課題】圧縮機の適正寿命での使用を推進する。
【解決手段】圧縮機システムは、圧縮機と外部端末を備える。圧縮機の圧縮機制御装置は、複数のセンサにより検出される稼働情報に基づいてエラーが発生しているか否かを判定し、エラーが発生していることを表すエラーフラグを外部端末に送信する。外部端末の端末制御装置は、圧力情報を表示する表示領域、及び圧縮機の運転を操作する操作領域を含むメイン画面をタッチパネルに表示させる。端末制御装置は、エラーフラグを受信した場合に、表示領域に対するスワイプ操作を有効とするスワイプ有効状態とし、スワイプ有効状態であるときに、表示領域に対してスワイプ操作が行われると、エラーの内容及びエラーの判定に用いられた稼働情報を含むエラー詳細画面をタッチパネルに表示させる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、前記圧縮機と通信を行う外部端末と、を備える圧縮機システムであって、
前記圧縮機は、
前記圧縮機の複数の稼働情報を検出する複数のセンサと、
前記稼働情報を前記外部端末に送信する圧縮機通信装置と、
前記稼働情報に基づいてエラーが発生しているか否かを判定し、エラーが発生していると判定した場合に、前記圧縮機通信装置を介して、前記エラーが発生していることを表すエラーフラグを前記外部端末に送信する圧縮機制御装置と、を有し、
前記複数の稼働情報には、前記圧縮機により圧縮された気体の圧力情報と、前記エラーの判定に用いられる判定用稼働情報と、が含まれ、
前記外部端末は、
タッチパネルと、
前記圧縮機から送信された前記稼働情報を受信する端末通信装置と、
前記タッチパネルを制御する端末制御装置と、を有し、
前記端末制御装置は、
前記圧力情報を表示する表示領域、及び前記圧縮機の運転を操作する操作領域を含むメイン画面を前記タッチパネルに表示させ、
前記端末通信装置を介して、前記エラーフラグを受信した場合に、前記表示領域に対するスワイプ操作を有効とするスワイプ有効状態とし、
前記スワイプ有効状態であるときに、前記表示領域に対してスワイプ操作が行われると、前記エラーの内容及び前記エラーの判定に用いられた前記判定用稼働情報を含むエラー詳細画面を前記タッチパネルに表示させる
圧縮機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記端末制御装置は、
前記スワイプ有効状態であるときに、前記表示領域に対してスワイプ操作が行われると、前記タッチパネルに、現在発生している前記エラーの内容及び前記エラーの判定に用いられた前記判定用稼働情報を含む、現在の前記エラー詳細画面を表示させ、
前記タッチパネルに対するスワイプ操作に応じて、少なくとも1回分の過去に発生した前記エラーの内容及び前記エラーの判定に用いられた前記判定用稼働情報を含む、過去の前記エラー詳細画面を表示させる
圧縮機システム。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記外部端末は、物理スイッチを有し、
前記端末制御装置は、
前記スワイプ有効状態であるときに、前記物理スイッチに対する操作に、前記エラー詳細画面を表示させるスワイプ操作、前記エラーを解除する復帰操作、及び、前記圧縮機の運転を開始する運転開始操作の少なくとも一つを割り当てる
圧縮機システム。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記エラー詳細画面には、前記複数の稼働情報のうちの一部のみが含まれる
圧縮機システム。
【請求項5】
請求項1に記載の圧縮機システムにおいて、
前記端末制御装置は、
前記スワイプ有効状態であるときに、前記表示領域に対してスワイプ操作が行われると、前記端末通信装置を介して、前記エラーが発生したときの前記稼働情報の要求指令を前記圧縮機に送信し、
前記圧縮機制御装置は、
前記圧縮機通信装置を介して前記要求指令を受信すると、圧縮機記憶装置に記憶されている、前記エラーが発生したときの複数の前記稼働情報の中から前記要求指令に応じた稼働情報を選択し、選択した前記稼働情報を前記圧縮機通信装置を介して、前記外部端末に送信し、
前記端末制御装置は、
端末記憶装置に記憶されている複数のエラーの詳細基準画面の中から前記エラーフラグに対応するエラー詳細基準画面を選択し、選択した前記エラー詳細基準画面と前記端末通信装置を介して受信した前記エラーが発生したときの前記稼働情報に基づいて前記エラー詳細画面を生成し、前記タッチパネルに表示させる
圧縮機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータと、モータの駆動により圧縮空気を生成する圧縮空気生成部と、圧縮空気生成部によって生成された圧縮空気を溜めるタンクと、モータの駆動を制御する制御基板と、本体情報である運転モードまたはタンク内の空気圧力を外部端末へ送信する本体側通信部と、を有する空気圧縮機が開示されている。
【0003】
また、特許文献1には、空気圧縮機にて発生した異常が検出された場合、本体側通信部が、異常が発生したことを警告するための警告情報または本体情報の少なくとも一方を外部端末へ送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、圧縮機に異常が発生した場合に外部端末に表示される情報は、異常が発生したことを警告するための警告情報や、通常運転時にも表示されるようなタンク内の空気圧力及び運転モードである。このため、例えば、電圧異常、温度異常といったエラーが発生した場合、作業者は、外部端末の表示情報に基づいて、どのような対応をとればよいのか判断することが難しい。このため、適切な対応をとることができず、圧縮機の寿命を縮めてしまうような対応をとってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、作業者に対して、エラー発生時に適切な対応を促し、圧縮機の適正寿命での使用を推進することが可能な圧縮機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による圧縮機システムは、圧縮機と、前記圧縮機と通信を行う外部端末と、を備える圧縮機システムであって、前記圧縮機は、前記圧縮機の複数の稼働情報を検出する複数のセンサと、前記稼働情報を前記外部端末に送信する圧縮機通信装置と、前記稼働情報に基づいてエラーが発生しているか否かを判定し、エラーが発生していると判定した場合に、前記圧縮機通信装置を介して、前記エラーが発生していることを表すエラーフラグを前記外部端末に送信する圧縮機制御装置と、を有し、前記複数の稼働情報には、前記圧縮機により圧縮された気体の圧力情報と、前記エラーの判定に用いられる判定用稼働情報と、が含まれ、前記外部端末は、タッチパネルと、前記圧縮機から送信された前記稼働情報を受信する端末通信装置と、前記タッチパネルを制御する端末制御装置と、を有し、前記端末制御装置は、前記圧力情報を表示する表示領域、及び前記圧縮機の運転を操作する操作領域を含むメイン画面を前記タッチパネルに表示させ、前記端末通信装置を介して、前記エラーフラグを受信した場合に、前記表示領域に対するスワイプ操作を有効とするスワイプ有効状態とし、前記スワイプ有効状態であるときに、前記表示領域に対してスワイプ操作が行われると、前記エラーの内容及び前記エラーの判定に用いられた前記判定用稼働情報を含むエラー詳細画面を前記タッチパネルに表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者に対して、エラー発生時に適切な対応を促し、圧縮機の適正寿命での使用を推進することが可能な圧縮機システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、圧縮機システムについて示す図である。
【
図5】
図5は、圧縮機の構成について示す図である。
【
図6】
図6は、外部端末の構成について示す図である。
【
図7】
図7は、外部端末に表示されるメイン画面の一例について示す図である。
【
図8】
図8は、圧縮機システムの機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、圧縮機及び外部端末による制御の流れの一例について示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、メイン画面のエラー概要の表示例について示す図である。
【
図11】
図11は、メイン画面から低電圧異常停止時のエラー詳細画面への切り替えについて説明する図である。
【
図12】
図12は、メイン画面から低温度警告時のエラー詳細画面への切り替えについて説明する図である。
【
図13】
図13は、現在のエラー詳細画面から過去のエラー詳細画面への切り替えについて説明する図である。
【
図14】
図14は、前回のエラー詳細画面から前々回のエラー詳細画面への切り替え、及び、前々回のエラー詳細画面から3回前のエラー詳細画面への切り替えについて説明する図である。
【
図15】
図15は、低電圧異常停止時のエラー詳細画面の変形例について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る圧縮機システムについて説明する。以下では、圧縮機が可搬型の空気圧縮機である場合について説明するが、圧縮機は、可搬型の空気圧縮機に限定されず、固定型(据付型)の空気圧縮機であってもよい。また、圧縮機は、空気を圧縮する空気圧縮機に限られず、空気以外の気体を圧縮する圧縮機であってもよい。
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る圧縮機システム10の概略について説明する。
図1に示すように、圧縮機システム10は、可搬型の圧縮機100と、圧縮機100と無線通信を行う外部端末110とを備える。外部端末110には、圧縮機100の運転状態を監視したり、圧縮機100を遠隔から操作したりするための監視アプリケーションがインストールされている。圧縮機100及び外部端末110は、相互の情報を無線通信により、やり取りしている。
【0012】
圧縮機100と外部端末110との通信方法は、種々の方法を採用することができる。例えば、圧縮機100と外部端末110とは、通信回線50を介さずに、直接的に情報の授受を行うことが可能な近距離無線通信方式として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等を採用することができる。また、圧縮機100と外部端末110とは、広域ネットワークである通信回線50を介して、間接的に情報の授受を行うようにしてもよい。通信回線50は、インターネット、4G,5G等の携帯電話通信網(移動通信網)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
【0013】
本実施形態では、外部端末110が、作業者によって携帯可能なスマートフォンである場合について説明するが、外部端末110はスマートフォンに限定されない。外部端末110としては、作業者によって携帯可能なタブレットPC、ノートPC等を採用することができる。さらに、外部端末110は、携帯できるものである必要もない。
【0014】
図2~
図5を参照して圧縮機100の構成を説明する。
図2~
図5に示すように、圧縮機100は、空気を圧縮する圧縮機本体1と、圧縮機本体1を駆動するモータ(電動機)6と、圧縮機本体1で圧縮された空気を貯留するタンク24と、タンク24内に貯留された空気を減圧する複数の減圧弁(不図示)と、減圧弁と空気工具(不図示)とを接続する継手83と、冷却風を発生させる冷却ファン9と、圧縮機100の各部を制御する制御基板30及びスイッチ基板40と、作業者により操作される操作パネル34とを備える。
【0015】
図2において、破線で描かれる大きな枠で囲んだ領域は空気を圧縮する圧縮機本体1であり、破線で描かれる小さな枠で囲んだ領域は圧縮機本体1を駆動するモータ6である。モータ6は、ステータ2、ロータ8、及びロータ8に固定されるシャフト6Aを有する。
【0016】
圧縮機本体1は、クランクケース1Aとクランクケース1Aに取り付けられたシリンダ18A,18Bとを備えている。クランクケース1A内には、モータ6のシャフト6Aが貫通している。クランクケース1Aは、圧縮機本体1及びモータ6を覆っている。クランクケース1Aの一端側にはステータ2が固定されている。クランクケース1Aには、シャフト6Aの一端側を軸支するベアリング3が装着されている。クランクケース1Aにおけるステータ2の取り付け側の反対側には、シャフト6Aの他端側を軸支するベアリング4が装着された軸受箱5が嵌合されている。
【0017】
シャフト6Aにはキー12が埋め込まれている。このキー12が埋め込まれたシャフト6Aの中央部には、偏心したエキセントリック16Aとベアリング15Aを介して、空気を圧縮するための連接棒組14Aが取り付けられている。また、シャフト6Aの中央部には、偏心したエキセントリック16Bとベアリング15Bを介して、空気を圧縮するための連接棒組14Bが、バランス17と共に取り付けられている。
【0018】
連接棒組14A,14B及びバランス17は、クランクケース1A及び軸受箱5に装着された2個のベアリング3,4によって両側から支持されている。この構造により、連接棒組14A,14Bは、ベアリング15A,15Bを介してエキセントリック16A,16Bに対して回転自在に接続されている。
【0019】
低圧側のシリンダ18Aと高圧側のシリンダ18Bがクランクケース1Aを挟んで互いに対向するように取り付けられている。シリンダ18Aと連接棒組14Aによって圧縮室23Aが形成される。連接棒組14Aには、シリンダ18Aの内周面と連接棒組14Aの隙間をシールするピストンリング13Aが設けられる。シリンダ18Bと連接棒組14Bによって圧縮室23Bが形成される。連接棒組14Bには、シリンダ18Bの内周面と連接棒組14Bとの隙間をシールするピストンリング13Bが設けられる。
【0020】
冷却ファン9はシャフト6Aの端部に取り付けられ、モータ6によって回転して冷却風を生成する。生成された冷却風によって、圧縮機本体1、モータ6などの圧縮機100の各構成要素が冷却される。タンク24は、圧縮機本体1の下部に配置されている。
【0021】
図2を参照して圧縮機本体1の動作について説明する。圧縮機本体1は、モータ6によってシャフト6Aが回転すると、エキセントリック16Aによって連接棒組14Aが圧縮室23A内を往復運動するとともに、エキセントリック16Bによって連接棒組14Bが圧縮室23B内を往復運動する。連接棒組14Aが上死点から下死点へ向かう吸い込み工程では、低圧側のシリンダ18Aのシリンダヘッド21A、空気弁20Aを通じて圧縮室23A内に空気(外気)が吸い込まれる。連接棒組14Aが下死点から上死点へ向かう吐き出し工程では、圧縮室23A内に吸い込まれた空気が圧縮され、空気弁20A、シリンダヘッド21Aから吐き出される。
【0022】
シリンダヘッド21Aから吐き出された空気は、配管(不図示)を通じてシリンダ18Bに送られる。連接棒組14Bが上死点から下死点へ向かう吸い込み工程では、高圧側のシリンダ18Bのシリンダヘッド21B、空気弁20Bを通じて圧縮室23B内に低圧側のシリンダ18Aで圧縮した空気が吸い込まれる。連接棒組14Bが下死点から上死点へ向かう吐き出し工程では、吸い込まれた空気が更に圧縮され、空気弁20B、シリンダヘッド21Bを通じて吐き出される。シリンダヘッド21Bから吐き出された圧縮空気は、タンク24に貯留される。
【0023】
本実施形態に係る圧縮機100は、シリンダ18Aで圧縮した空気をシリンダ18Bで更に圧縮する、2段圧縮を行う。2段圧縮は、1段圧縮の場合よりも効率がよい。
【0024】
図3に示すように、カバー26の正面側には、操作パネル34が取り付けられている。操作パネル34は、作業者によって操作される複数のスイッチ34aを有している。複数のスイッチ34aには、運転開始と運転停止を指示するための運転・停止スイッチ34a1、運転モードの変更を指示するためのモード切替スイッチ34a2、及び、エラー発生後、運転に復帰するための復帰スイッチ34a3が含まれる。また、操作パネル34は、作業者に圧縮機100の運転状態を知らせるための複数の表示部34bを有している。表示部34bは、LEDなどから構成される。複数の表示部34bには、タンク24内の空気の圧力の大きさを表す表示部、及び、現在の運転モードを表す表示部が含まれる。
【0025】
図4に示すように、スイッチ基板40は操作パネル34の下方に設けられ、制御基板30は2つのタンク24の間に設けられている。制御基板30及びスイッチ基板40は、圧縮機100の運転を制御する圧縮機制御装置である制御ユニット60を構成する。
図5を参照して、圧縮機100の制御ユニット60について説明する。
【0026】
図5に示すように、制御ユニット60は、制御基板30とスイッチ基板40とを有する。制御基板30はメインコントローラ30aを有し、スイッチ基板40はサブコントローラ40aを有する。メインコントローラ30aとサブコントローラ40aとは電気的に接続されており、相互に情報(データ)の授受を行うことができる。
【0027】
メインコントローラ30a及びサブコントローラ40aは、CPU、FPGA等の処理装置181,184、記憶装置としての所謂RAMと呼ばれる揮発性メモリ182,185、記憶装置としてのEEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ183,186、入出力インタフェース、及び、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。
【0028】
メインコントローラ30a及びサブコントローラ40aの不揮発性メモリ183,186には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ183,186は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。処理装置181,184は、不揮発性メモリ183,186に記憶されたプログラムを揮発性メモリ182,185に展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入出力インタフェース及び不揮発性メモリ183,186、揮発性メモリ182,185から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
【0029】
メインコントローラ30aは、電源部(交流電源)41から供給される電力によってモータ6を駆動する。制御基板30は、コンバータ30b、コンデンサ30c、インバータ回路30d、電圧センサ30e、及び、電流センサ30fを有する。
【0030】
インバータ回路30dは、複数のスイッチング素子を有する。コンバータ30bは、電源部41から供給される交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ回路30dは、コンデンサ30cで平滑された直流電圧をスイッチング素子によって交流電圧に変換する。
【0031】
電圧センサ30eは、電源部41に並列に接続され、交流電圧を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。電流センサ30fは、モータ6に供給される電流を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。
【0032】
メインコントローラ30aには、圧力センサ31、基板温度センサ32、回転速度センサ33、周囲温度センサ35、及び、モータ温度センサ38が接続されている。
【0033】
圧力センサ31は、タンク24に取り付けられ、タンク24内の空気の圧力(以下、タンク内圧力とも記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。基板温度センサ32は、制御基板30に取り付けられ、制御基板30の温度(以下、基板温度とも記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。回転速度センサ33は、モータ6に取り付けられ、モータ6の回転速度(以下、モータ速度とも記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。周囲温度センサ35は、操作パネル34に取り付けられ、圧縮機100の周囲の温度(以下、周囲温度とも記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。モータ温度センサ38は、モータ6に取り付けられ、モータ6の温度(以下、モータ温度とも記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ30aに出力する。
【0034】
メインコントローラ30aは、操作パネル34あるいは外部端末110に対する操作によってサブコントローラ40aから出力される操作指令、並びに、圧力センサ31等の各種センサでの検出結果に基づいて、モータ6の制御を行う。メインコントローラ30aは、インバータ回路30dに対して駆動制御信号を出力し、インバータ回路30dのスイッチング素子を駆動する。また、メインコントローラ30aは、各種センサ(圧力センサ31、基板温度センサ32、回転速度センサ33、周囲温度センサ35、モータ温度センサ38、電圧センサ30e、電流センサ30f)の検出結果と、検出結果に基づく各種判定の結果をサブコントローラ40aに出力する。メインコントローラ30aによる各種判定の内容の詳細については後述する。
【0035】
スイッチ基板40は、通信アンテナを有し外部端末110と無線通信可能な通信装置(圧縮機通信装置)42を備える。本実施形態では、サブコントローラ40aは外部端末110とBluetoothを用いたペアリングを行う。ペアリングとは、圧縮機100と外部端末110との間で無線通信を行い、認証及び暗号化通信のためのキー交換等を行う処理のことを指す。
【0036】
サブコントローラ40aは、操作パネル34におけるスイッチ34aに対する操作がなされると、操作されたスイッチ34aに対応する操作指令をメインコントローラ30aに出力する。サブコントローラ40aは、メインコントローラ30aから入力される情報(データ)に基づいて、表示部34bの表示制御を行う。
【0037】
また、サブコントローラ40aは、外部端末110のタッチパネル171(
図7参照)に対する操作がなされることにより、外部端末110から送信される操作指令をメインコントローラ30aに出力する。
【0038】
本実施形態では、圧力制御運転方式によって圧縮機100の運転が制御される。圧力制御運転方式とは、タンク24内の圧力に応じて、モータ6の回転を制御する方式である。サブコントローラ40aは、操作パネル34の運転・停止スイッチ34a1(
図3参照)または外部端末110のタッチパネル171の運転・停止ボタン75f(
図7参照)が操作されると、圧力制御運転の開始と停止を指示するための操作指令である運転制御指令をメインコントローラ30aに出力する。
【0039】
メインコントローラ30aは、スタンバイ状態であるときに運転制御指令が入力されると、圧力制御運転を開始する。スタンバイ状態とは、圧縮機100が通電された状態であって、圧力制御運転が行われていない状態のことを指す。メインコントローラ30aは、圧力制御運転状態のときに運転制御指令が入力されると、圧力制御運転を終了する。これにより、圧縮機100は、スタンバイ状態に戻る。
【0040】
圧力制御運転が開始されると、メインコントローラ30aは、モータ6を回転させることにより、空気を圧縮してタンク24に蓄積させる空気圧縮運転を行う。圧力センサ31で検出された圧力が上限側閾値以上になると、メインコントローラ30aは、モータ6の回転を停止させ空気圧縮運転を停止させる。圧力センサ31で検出された圧力が下限側閾値以下になると、メインコントローラ30aは空気圧縮運転を再び行う。
【0041】
次に、圧縮機100の運転モードの一例について説明する。圧縮機では、作業内容、環境等に応じて、何パターンかの運転モードを備えることが一般的であり、設定される運転モードに応じて、タンク内圧力の制御範囲、モータの回転速度の制御範囲が決定される。本実施形態に係る圧縮機100は、釘打ち作業及び塗装作業用の空気工具の空気供給源として使用されることを想定し、ノーマルモード、パワフルモード、低速モードの3つの運転モードを備えている。
【0042】
ノーマルモードは、タンク24内の圧力の制御範囲が3.2~4.2MPaに設定され、モータ6の回転速度の制御範囲が1800~2850min-1に設定されるモードである。ノーマルモードが設定されると、モータ6の回転速度が1800~2850min-1の範囲で可変制御され、タンク24内の圧力が4.2MPa(上限側閾値)になると圧縮機100の動作が停止する(すなわち、モータ6の回転が停止する)。そして、タンク24内の圧力が低下し、3.2MPa(下限側閾値)になると圧縮機100が再起動し、再びモータ6の回転速度が1800~2850min-1の範囲で可変制御される。
【0043】
パワフルモードは、モータ6の回転速度がノーマルモードと同じ範囲で可変制御され、圧力制御範囲が3.8MPa(下限側閾値)~4.2MPa(上限側閾値)とされた運転モードである。低速モードは、圧力制御範囲がノーマルモードと同じであるが、モータ6の回転速度が1500min-1で維持される運転モードである。
【0044】
サブコントローラ40aは、モード切替スイッチ34a2(
図3参照)または外部端末110のタッチパネル171のモード切替ボタン75d(
図7参照)が操作されると、運転モードの切り替えを指示するための操作指令であるモード切替指令をメインコントローラ30aに出力する。メインコントローラ30aは、ノーマルモードが設定されているときにモード切替指令が入力されると、運転モードをパワフルモードに設定する。メインコントローラ30aは、パワフルモードが設定されているときにモード切替指令が入力されると、運転モードを低速モードに設定する。メインコントローラ30aは、低速モードが設定されているときにモード切替指令が入力されると、運転モードをノーマルモードに設定する。つまり、メインコントローラ30aは、モード切替指令が入力されるたびに、運転モードを切り替える。
【0045】
メインコントローラ30aは、圧縮機100の運転状態を監視し、種々の情報をサブコントローラ40aに出力する。サブコントローラ40aは、メインコントローラ30aから入力される情報(データ)を、通信装置42を介して外部端末110へ送信する。
【0046】
メインコントローラ30aからサブコントローラ40a及び通信装置42を介して外部端末110に送信される情報(データ)には、圧縮機100の複数の稼働情報、すなわち、電圧センサ30eにより検出される電圧(電源電圧)、電流センサ30fにより検出される電流(モータ駆動電流)、圧力センサ31により検出されるタンク内圧力、基板温度センサ32により検出される基板温度、回転速度センサ33により検出されるモータ速度、周囲温度センサ35により検出される周囲温度、モータ温度センサ38により検出されるモータ温度が含まれる。
【0047】
また、メインコントローラ30aからサブコントローラ40a及び通信装置42を介して外部端末110に送信される情報(データ)には、圧縮機100の運転状態(圧力制御運転状態、異常停止状態等)を表す運転状態情報が含まれる。なお、運転状態情報には、圧縮機100の現在の運転モードの設定情報も含まれる。
【0048】
次に、
図6及び
図7を参照して、外部端末110について説明する。
図6に示すように、外部端末110は、タッチパネル171と、押し込み操作可能な複数の物理スイッチ(電源スイッチ172a、音量増加スイッチ172b及び音量低下スイッチ172c)と、通信アンテナを有し圧縮機100と無線通信可能な通信装置(端末通信装置)173と、音出力装置175と、端末コントローラ130とを備える。端末コントローラ130は、タッチパネル171、通信装置173、音出力装置175等の外部端末110の各部を制御する端末制御装置として機能する。音出力装置175は、スピーカを有し、端末コントローラ130からの音制御信号に基づき、所定の音を出力する。
【0049】
図7に示すように、タッチパネル171は、外部端末110の前面(正面)に設けられている。タッチパネル171は、各種情報を表示する表示装置と、タッチセンサとを有する。表示装置は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。タッチパネル171のタッチセンサは、例えば、手指等が触れることにより発生する静電容量(電荷)の変化に基づいてタッチ操作された位置を検知する周知の静電容量方式の入力装置である。
【0050】
外部端末110の右側面の上部には、外部端末110の電源のオン・オフを操作するための電源スイッチ172aが設けられている。外部端末110の左側面の上部には、音出力装置175から出力される音の大きさの増加・低下を操作するための音量増加スイッチ172b及び音量低下スイッチ172cが設けられている。
【0051】
図6に示すように、端末コントローラ130は、CPU等の処理装置131、記憶装置としての所謂RAMと呼ばれる揮発性メモリ132、記憶装置としてのEEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ133、入出力インタフェース、及び、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。
【0052】
端末コントローラ130の不揮発性メモリ133には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ133は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。処理装置131は、不揮発性メモリ133に記憶されたプログラムを揮発性メモリ132に展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入出力インタフェース及び不揮発性メモリ133、揮発性メモリ132から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
【0053】
不揮発性メモリ133に記憶されるプログラムには、監視アプリケーション136を含む複数のアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する支援プログラム134とが含まれる。監視アプリケーション136は、圧縮機100の操作及び監視を行うためのアプリケーションである。監視アプリケーション136を含む複数のアプリケーション136は、支援プログラム(OS)134の管理下で動作する。
【0054】
タッチパネル171のホーム画面(不図示)に表示される監視アプリケーション136のアプリケーションアイコンがタッチ操作されると、端末コントローラ130は、監視アプリケーション136を実行する。監視アプリケーション136が実行されると、端末コントローラ130は、
図7に示すように、タッチパネル171の表示画面にメイン画面75を表示させる。
【0055】
メイン画面75は、所定の情報を表示する図示上側の表示領域75aと、圧縮機100の運転を操作する図示下側の操作領域75bとを有している。表示領域75aには、圧縮機100のタンク内圧力(圧縮された気体の圧力情報)が表示され、操作領域75bには、圧縮機100の運転を操作する複数の操作ボタンが表示されている。図に示す例では、操作領域75bにおいて、複数の操作ボタンとして、モード切替ボタン75d、通信接続ボタン75e、運転・停止ボタン75f、及び、復帰ボタン75gが配置されている。また、操作領域75bには、ノーマル運転モードアイコン75c1、パワフル運転モードアイコン75c2、低速運転モードアイコン75c3が表示されている。なお、表示領域75aの図示上側には、メニューボタン75mが配置されている。メニューボタン75mは、各種設定画面、問い合わせ画面等を表示させる際に用いられる操作ボタンである。
【0056】
表示領域75aには、タンク内圧力、及び、運転状態を表す情報が表示される。圧力制御運転状態では、「運転中」が表示され、異常停止状態では「異常停止中」が表示される。表示領域75a内の下部には、メッセージ領域75hが形成される。エラーが発生した場合、メッセージ領域75hにはエラーの概要が表示される。
【0057】
通信接続ボタン75eは、タッチ操作されると、外部端末110と圧縮機100とを相互に通信可能な状態にしたり、通信接続状態を解除したりするための操作領域である。この通信接続ボタン75eがタッチ操作されると、圧縮機100と外部端末110とがBluetoothにより相互に通信可能となる。
【0058】
モード切替ボタン75dは、運転モードを切り替える際にタッチ操作される操作領域である。モード切替ボタン75dがタッチ操作されると、外部端末110からモード切替指令が圧縮機100に送信される。したがって、モード切替ボタン75dをタッチ操作することにより、圧縮機100の運転モードをノーマルモードからパワフルモードへ、パワフルモードから低速モードへ、低速モードからノーマルモードへ切り替えることができる。
【0059】
運転・停止ボタン75fは、圧縮機100を運転させたり、停止させたりする際にタッチ操作される操作領域である。運転・停止ボタン75fがタッチ操作されると、外部端末110から運転制御指令が圧縮機100に送信される。したがって、圧縮機100がスタンバイ状態であるときに、運転・停止ボタン75fをタッチ操作することにより、圧縮機100の運転を開始できる。また、圧縮機100が圧力制御運転状態であるときに、運転・停止ボタン75fをタッチ操作することにより、圧縮機100の運転を停止できる。
【0060】
復帰ボタン75gは、低電圧異常、高温度異常等のエラーの発生により圧縮機100の運転が制限、あるいは強制的に停止された後、エラーを解除するためにタッチ操作される操作領域である。つまり、運転・停止ボタン75f、モード切替ボタン75d、復帰ボタン75gは、操作パネル34の運転・停止スイッチ34a1、モード切替スイッチ34a2、復帰スイッチ34a3と同じ機能を有している。復帰ボタン75gが操作されると、後述するエラーフラグの設定が解除されるとともに、後述するスワイプ有効状態がスワイプ無効状態に切り替えられる。
【0061】
このように、メイン画面75の表示領域75aには、タンク内圧力及び圧力制御運転状態が表示されるため、作業者は、メイン画面75を目視することにより、圧縮機100の運転状態を遠隔から監視することができる。また、メイン画面75の操作領域75bには、運転・停止ボタン75f等のタッチ操作可能なボタンが設けられているため、圧縮機100を遠隔から操作することができる。
【0062】
ところで、本実施形態に係る圧縮機100は、可搬型という特性上、その使用環境が不安定である。作業現場では、圧縮機100を含む種々の機械が使用される。このため、屋外の仮設電源に接続されるコードリールに複数の機械の電源ケーブルが接続されることにより、圧縮機100への供給電圧が不安定になることがある。例えば、通常の電源電圧が100Vであるのに対し、作業環境によっては電源電圧が50Vよりも低くなることもある。
【0063】
本実施形態では、後述するように、電源電圧の不足によって圧縮機100が異常停止してしまった場合に、表示領域75aに圧縮機動作状況が異常停止中であることが表示され、メッセージ領域75hに電源電圧の不足に起因して停止していることを表すメッセージが表示される(
図10(a)参照)。このため、作業者は、圧縮機100が異常停止した理由を知ることができる。
【0064】
しかしながら、
図10(a)に示す表示内容だけでは、作業者は、電圧がどの程度足りていないのかを定量的に知ることはできない。このため、作業者は、作業現場で対応が可能であるのか否か、修理が必要であるか否かなど、その後の適切な対応を決定するのが難しい。また、作業者は、修理を行うサービス業者に対して、具体的な電圧値を伝えることができない。このため、サービス業者は、サービス工場から作業現場に移動し、圧縮機100の不揮発性メモリ183に記憶されている異常停止時(エラー発生時)の稼働情報を確認し、圧縮機100が異常停止した原因を特定する必要がある。原因が特定された結果、部品交換が必要な場合には、サービス業者はサービス工場に戻って部品を手配し、再度、作業現場に移動して、部品の交換を行う。このように、
図10(a)に示す表示内容だけでは、作業者は、適切な対応をとることができず、無理に運転を続けてしまうことにより圧縮機100の寿命を縮めてしまうおそれがある。また、サービス業者に具体的な情報を提示することができないため、修理にどの程度の時間を要するのかを予測することが難しく、その後の作業工程に影響を及ぼすおそれがある。サービス業者にとっても、修理の作業効率が悪く、修理コストが増加するおそれがある。
【0065】
そこで、本実施形態に係る圧縮機システム10は、圧縮機100の状態を監視し、エラーが発生した場合に、メイン画面75の表示領域75aに対するスワイプ操作を受け付け可能なスワイプ有効状態とし、スワイプ有効状態であるときに、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われた場合に、エラーの内容及びエラーに対応する具体的な物理量の情報を含むエラー詳細画面をタッチパネル171に表示する。
【0066】
図8を参照して、圧縮機システム10によるエラー発生時の表示処理の内容について、詳しく説明する。
図8に示す検出装置39は、各種センサ(30e,30f,31~33,35,38)によって構成される。
図8に示すように、メインコントローラ30aは、不揮発性メモリ183に記憶されているプログラムを実行することにより、モータ制御部161、稼働情報取得部162、エラー判定部163及び情報選択部164として機能する。
【0067】
稼働情報取得部162は、検出装置39により検出された複数の稼働情報を取得する。稼働情報取得部162は、取得した稼働情報をサブコントローラ40aに出力する。サブコントローラ40aは、上述したように、取得した稼働情報を通信装置42を介して外部端末110に送信する。
【0068】
モータ制御部161は、サブコントローラ40aからの指令に基づき、運転モードを設定する。モータ制御部161は、稼働情報取得部162により取得された稼働情報(例えば、タンク内圧力等)と、設定した運転モードに基づいて、インバータ回路30dに駆動制御信号を出力することによりモータ6を制御する。
【0069】
エラー判定部163は、稼働情報と、不揮発性メモリ183に記憶されている閾値とに基づいてエラーが発生しているか否かを判定する。エラー判定部163は、エラーが発生していると判定した場合に、エラーが発生していることを表すエラーフラグを設定し(フラグオン)、エラーフラグをサブコントローラ40aに出力する。エラー判定部163は、エラーが発生していないと判定した場合には、エラーフラグを設定しない(フラグオフ)。なお、エラーには、様々なエラーがある。エラー判定部163は、エラーが発生していると判定した場合、エラーフラグを特定する情報(エラーフラグの番号)と、エラーが発生していると判定したときの稼働情報の値を不揮発性メモリ183に対応付けて記憶する。以下、エラーの具体例について説明する。
【0070】
エラー判定部163は、電圧センサ30eで検出された電圧が第1低電圧閾値以下であって第2低電圧閾値よりも高い場合、第1低電圧エラーが発生していると判定し、第1低電圧エラーフラグを設定する。第1低電圧閾値は、第2低電圧閾値よりも高い値である。例えば、第1低電圧閾値は80V程度に設定され、第2低電圧閾値は65V程度に設定される。エラー判定部163は、電圧センサ30eで検出された電圧が第2低電圧閾値以下である場合、第2低電圧エラーが発生していると判定し、第2低電圧エラーフラグを設定する。
【0071】
エラー判定部163は、電圧センサ30eで検出された電圧が第1高電圧閾値以上であって第2高電圧閾値よりも低い場合、第1高電圧エラーが発生していると判定し、第1高電圧エラーフラグを設定する。第1高電圧閾値は、第2高電圧閾値よりも低い値である。例えば、第1高電圧閾値は120V程度に設定され、第2高電圧閾値は135V程度に設定される。エラー判定部163は、電圧センサ30eで検出された電圧が第2高電圧閾値以上である場合、第2高電圧エラーが発生していると判定し、第2高電圧エラーフラグを設定する。
【0072】
エラー判定部163は、電圧センサ30eで検出された電圧が、第1低電圧閾値よりも高く第1高電圧閾値よりも低い場合には、電圧に関するエラーは発生していないと判定する。この場合、エラーフラグは設定されない。
【0073】
エラー判定部163は、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が第1高温度閾値以上であって第2高温度閾値未満である場合、第1高温度エラーが発生していると判定し、第1高温度エラーフラグを設定する。第1高温度閾値は、第2高温度閾値よりも低い値である。例えば、第1高温度閾値は45℃程度に設定され、第2高温度閾値は55℃程度に設定される。エラー判定部163は、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が第2高温度閾値以上である場合、第2高温度エラーが発生していると判定し、第2高温度エラーフラグを設定する。
【0074】
エラー判定部163は、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が第1低温度閾値以下であって第2低温度閾値よりも高い場合、第1低温度エラーが発生していると判定し、第1低温度エラーフラグを設定する。第1低温度閾値は、第2低温度閾値よりも高い値である。例えば、第1低温度閾値は0℃程度に設定され、第2低温度閾値は-20℃程度に設定される。
【0075】
エラー判定部163は、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が第2低温度閾値以下である場合、第2低温度エラーが発生していると判定し、第2低温度エラーフラグを設定する。
【0076】
エラー判定部163は、周囲温度センサ35で検出された周囲温度が、第1低温度閾値よりも高く第1高温度閾値よりも低い場合には、周囲温度に関するエラーは発生していないと判定する。この場合、エラーフラグは設定されない。
【0077】
エラー判定部163は、電流センサ30fで検出された電流が電流閾値以上であり、かつ、回転速度センサ33で検出されたモータ速度が速度閾値以下である場合、モータロックエラーが発生していると判定し、モータロックエラーフラグを設定する。
【0078】
エラー判定部163は、電流センサ30fで検出された電流が電流閾値よりも小さい場合、あるいは、回転速度センサ33で検出されたモータ速度が速度閾値よりも大きい場合、モータロックエラーは発生していないと判定する。この場合、モータロックエラーフラグは設定されない。
【0079】
第1低電圧エラーフラグ、第1高電圧エラーフラグ、第1高温度エラーフラグ、第1低温度エラーフラグのいずれかが設定されると、モータ制御部161は、タンク24の最高圧力(圧力の上限側閾値)を低下させた制限運転(縮退運転)により、製品の保護を行う。第2低電圧エラーフラグ、第2高電圧エラーフラグ、第2高温度エラーフラグ、第2低温度エラーフラグのいずれかが設定されると、モータ制御部161は、圧力制御運転をタンク内圧力にかかわらず強制的に停止させる。モータエラーフラグが設定されると、モータ制御部161は、圧力制御運転をタンク内圧力にかかわらず強制的に停止させる。
【0080】
サブコントローラ40aは、エラー判定部163によりエラーフラグが設定されると、エラーフラグに対応する表示部34bを点灯させる。また、サブコントローラ40aは、エラー判定部163によりエラーフラグが設定されると、通信装置42を介して、外部端末110にエラーフラグを送信する。外部端末110の端末コントローラ130は、通信装置173を介してエラーフラグを受信した場合に、メイン画面75の表示領域75aに対するスワイプ操作を有効とするスワイプ有効状態とする。スワイプ操作とは、タッチパネル171に手指等を触れた状態で左右方向に滑らせる操作である。
【0081】
端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、エラーの稼働情報を要求する要求指令を圧縮機100に送信する。また、端末コントローラ130は、不揮発性メモリ133に記憶されている複数のエラー詳細基準画面の中から受信したエラーフラグの番号に応じたエラー詳細基準画面を選択し、タッチパネル171に表示させる。エラー詳細基準画面には、エラーフラグの番号に応じたエラーの内容が含まれている。
【0082】
情報選択部164は、外部端末110からエラーの稼働情報の要求指令を受信すると、不揮発性メモリ183に記憶されているエラー発生時の稼働情報の中から、そのエラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含むエラーの原因を特定するための稼働情報を選択する。情報選択部164は、選択した稼働情報をサブコントローラ40a及び通信装置42を介して外部端末110に送信する。端末コントローラ130は、圧縮機100から現在発生しているエラーの原因を特定するための稼働情報を取得すると、エラー詳細基準画面に取得した稼働情報を表す数値やグラフを合成したエラー詳細画面76(
図11参照)をタッチパネル171に表示させる。
【0083】
このように、端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、エラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報(電圧、周囲温度等)を含むエラー詳細画面76(
図11参照)をタッチパネル171に表示させる。
【0084】
次に、
図9を参照して本実施形態に係る圧縮機100及び外部端末110による制御の流れの一例について説明する。
図9に示すように、ステップc1において、作業者が圧縮機100の電源プラグを電源部41に接続すると、圧縮機100の制御ユニット60は初期設定を行う。これにより、圧縮機100は、スタンバイ状態になる。ステップs1において、作業者が、外部端末110の監視アプリケーション136を起動操作すると、端末コントローラ130が監視アプリケーション136を起動し、タッチパネル171にメイン画面75を表示させる。なお、メイン画面75の通信接続ボタン75eがタッチ操作されることにより、圧縮機100と外部端末110との通信接続が行われる。
【0085】
圧縮機100と外部端末110とが相互に通信可能な状態になると、ステップc2において、圧縮機100の制御ユニット60は、運転操作が行われたか否かを判定する。ステップc2において、制御ユニット60は、操作パネル34の運転・停止スイッチ34a1が操作された場合、運転操作が行われたと判定し、ステップc3へ進む。ステップc3において、制御ユニット60は、圧縮機100の圧力制御運転を開始する。
【0086】
圧縮機100と外部端末110とが相互に通信可能な状態になると、ステップs2において、外部端末110の端末コントローラ130は、運転操作が行われたか否かを判定する。ステップs2において、端末コントローラ130は、タッチパネル171に表示されているメイン画面75の運転・停止ボタン75fがタッチ操作された場合、運転操作が行われたと判定し、ステップs3に進む。ステップs3において、端末コントローラ130は、運転開始指令を圧縮機100に送信する。制御ユニット60は、運転開始指令を受信すると、圧縮機100の圧力制御運転を開始する(ステップc3)。
【0087】
圧力制御運転が開始されると、処理がステップc4へ進む。ステップc4において、圧縮機100の制御ユニット60は、圧縮機100の各種情報(タンク内圧力等の稼働情報、運転状態情報、モード設定情報等)の送信を開始し、ステップc5へ進む。圧縮機100の各種情報の送信は、圧縮機100の運転が停止するまで、所定の制御周期で繰り返し行われる。
【0088】
外部端末110の端末コントローラ130は、圧縮機100から送信される各種情報をタッチパネル171に表示させる(ステップs4)。これにより、
図7に示すように、メイン画面75の表示領域75aに、タンク内圧力の数値、運転状態情報(圧縮機動作状況)が表示される。
図7に示す例では、タンク内圧力の数値を表す「3.8MPa」と、運転状態情報を表す「運転中」が表示されている。
【0089】
なお、図示しないが、圧力制御運転が開始された後、モード切替スイッチ34a2あるいは外部端末110に表示されるメイン画面75のモード切替ボタン75dが操作されると、制御ユニット60は、圧縮機100の運転モードを切り替える。
【0090】
図9に示すように、ステップc5において、圧縮機100の制御ユニット60は、検出装置39により検出された稼働情報に基づいて、圧縮機100にエラーが発生しているか否かを判定する。ステップc5において、圧縮機100にエラーが発生していると判定されると処理がステップc6へ進み、圧縮機100にエラーが発生していないと判定されると処理がステップc9へ進む。
【0091】
ステップc6において、圧縮機100の制御ユニット60は、発生したエラーに応じたエラーフラグを設定し、設定されたエラーフラグを外部端末110に送信する。
【0092】
ステップs5において、外部端末110の端末コントローラ130は、エラーフラグを受信すると、
図10(a)~
図10(c)に示すように、エラーフラグの番号に応じたエラーの概要をメイン画面75のメッセージ領域75hに表示する。
図9に示すステップc6において、第2低電圧エラーフラグが設定された場合、
図10(a)に示すように、端末コントローラ130は、タッチパネル171に第2低電圧エラー(低電圧異常)画面を表示させる。
図9に示すステップc6において、第2高温度エラーフラグが設定された場合、
図10(b)に示すように、端末コントローラ130は、タッチパネル171に第2高温度エラー(高温度異常)画面を表示させる。
図9に示すステップc6において、第1、第2低電圧エラーフラグ、第1、第2高温度エラーフラグ、第1、第2低温度エラーフラグ以外のエラー(モータ速度の異常等)を表すエラーフラグが設定された場合、
図10(c)に示すように、端末コントローラ130は、タッチパネル171にその他のエラー(その他の異常)画面を表示させる。
【0093】
また、ステップs5において、端末コントローラ130は、表示領域75aに対するスワイプ操作を無効とするスワイプ無効状態から、表示領域75aに対するスワイプ操作を有効とするスワイプ有効状態に切り換えてステップs6へ進む。
【0094】
ステップs6において、端末コントローラ130は、スワイプ操作が行われたか否かを判定する。ステップs6において、端末コントローラ130は、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われた場合、肯定判定してステップs7へ進む。ステップs6において、端末コントローラ130は、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われていない場合、否定判定してステップs9へ進む。
【0095】
ステップs7において、端末コントローラ130は、不揮発性メモリ133に記憶されている複数のエラーの詳細基準画面の中からエラーフラグに対応するエラー詳細基準画面を選択し、タッチパネル171に表示する。エラー詳細基準画面は、
図11に示すエラー詳細画面のうち、エラーフラグの番号、エラーの内容、エラーの発生要因を示唆する文章、作業者がとるべき対応を示す文章等で構成される。つまり、エラー詳細基準画面は、エラーフラグに対応するエラー発生時の稼働情報の具体的な数値(
図11に示す例では、電圧55V、電流14.9A)、及びエラーの発生回数(
図11に示す例では、6回)以外の部分である。
【0096】
また、ステップs7において、端末コントローラ130は、通信装置173を介して、エラーフラグに対応するエラーが発生したときの稼働情報(エラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含む)の具体的な数値及びエラーの発生回数の要求指令を圧縮機100に送信する。
【0097】
ステップc7において、制御ユニット60は、通信装置42を介して、要求指令を受信すると、不揮発性メモリ183に記憶されている、エラーが発生したときの複数の稼働情報の中から要求指令に応じた稼働情報(エラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含む)を選択し、ステップc8へ進む。ステップc8において、制御ユニット60は、選択した稼働情報を通信装置173を介して、外部端末110に送信し、ステップc9へ進む。なお、図示しないが、ステップc5において発生したエラーが、圧力制御運転を強制的に停止させるエラーである場合、処理がステップc9へ進むことなく、
図9に示すフローチャートが終了する。
【0098】
ステップs8において、端末コントローラ130は、通信装置173を介して受信した稼働情報を、ステップs7で表示したエラー詳細基準画面に反映し、エラー詳細画面76を生成して、タッチパネル171に表示させ、ステップs9へ進む。なお、図示しないが、エラー詳細画面76が表示された後、さらにスワイプ操作された場合、端末コントローラ130は、エラー詳細画面76をメイン画面75に切り替える。また、図示しないが、ステップc5において発生したエラーが、圧力制御運転を強制的に停止させるエラーである場合、処理がステップs9へ進むことなく、端末コントローラ130は、スワイプ操作が行われたか否かの判定を行い、スワイプ操作に応じて、エラー詳細画面76とメイン画面75との切り替えを行う。
【0099】
エラー詳細画面76は、エラーフラグの番号に応じて異なる。エラー詳細画面76には、圧縮機100において検出される複数の稼働情報のうち、発生したエラーの原因を特定するために用いられる稼働情報(すなわち、複数の稼働情報のうちの一部)のみが含まれる。
【0100】
図11に示すように、例えば、第2低電圧エラーが発生した場合、メイン画面75において、スワイプ操作が行われると、端末コントローラ130は、メイン画面75から第2低電圧エラー(低電圧異常)の内容及びエラー発生時の電圧を含むエラー詳細画面(低電圧異常画面)76に切り替える。エラー詳細画面76においてスワイプ操作が行われた場合には、端末コントローラ130は、エラー詳細画面76からメイン画面75に切り替える。なお、エラー詳細画面76において、スワイプ操作が可能な表示領域76aは、メイン画面75の表示領域75aよりも大きい。
【0101】
図示するように、エラー詳細画面76には、エラーの内容を表すメッセージとして、「圧縮機に供給されていた電源電圧が所定の値を下回りました。」が表示される。エラー詳細画面76には、エラーの判定に用いられた判定用稼働情報として、電圧センサ30eにより検出された電圧値を表すグラフと数値「55V」が表示される。エラー詳細画面76には、電圧センサ30eにより検出された電圧値だけでなく、電流センサ30fにより検出された電流値を表すグラフと数値「14.9A」も表示される。エラー詳細画面76には、エラーの発生原因を示唆するメッセージとして「たこ足配線や延長コードによって電圧が下がっている可能性があります。」が表示される。エラー詳細画面76には、エラーを解消するために作業者がとるべき対応を表すメッセージとして「圧縮機を使用するには最低でも90V以上となる様電源を調整ください。」が表示される。なお、電圧の表示方法は
図11に示す例に限らず、標準値(100V)を100としたパーセント[%]によって電圧を表示してもよい。さらに、エラー詳細画面76に、電圧と電流とを乗算した電力を表示してもよい。
【0102】
このように、圧縮機100において第2低電圧エラー(低電圧異常)が発生した場合、作業者は、メイン画面75の表示領域75aをスワイプ操作することによって、エラーの内容及びエラーの判定に用いられた電圧(判定用稼働情報)を含むエラー詳細画面76を確認することができる。したがって、作業者は、具体的な電圧の数値に基づき、電源に接続される機器、配線の見直しといった適切な対応をとることができる。
【0103】
図12に示すように、例えば、第1低温度エラーが発生した場合、メイン画面75において、スワイプ操作が行われると、端末コントローラ130は、メイン画面75から第1低温度エラー(低温度警告)の内容及びエラー発生時の周囲温度を含むエラー詳細画面(低温度警告画面)76に切り替える。エラー詳細画面76においてスワイプ操作が行われた場合には、端末コントローラ130は、エラー詳細画面76からメイン画面75に切り替える。
【0104】
図示するように、エラー詳細画面76には、エラーの内容を表すメッセージとして、「周囲温度が使用温度範囲を下回っております。」が表示される。エラー詳細画面76には、エラーの判定に用いられた判定用稼働情報として、周囲温度センサ35により検出された周囲温度を表す数値「0℃」が表示される。エラー詳細画面76には、低温度に起因する制限運転状態にあることを示す「低温警告モード」が表示される。エラー詳細画面76には、制限運転状態での運転圧力範囲及びモータ速度の大きさを示す情報が表示されている。エラー詳細画面76には、エラーを解消するために作業者がとるべき対応を表すメッセージとして「通常通りの動作に戻すためには周囲温度が5℃以上になる場所に移動させてください。」が表示される。エラー詳細画面76には、運転が強制的に停止する条件を知らせるメッセージとして「周囲温度が-20℃を下回る場合、緊急停止いたします。」が表示される。
【0105】
このように、圧縮機100において第1低温度エラー(低温度警告)が発生した場合、作業者は、メイン画面75の表示領域75aをスワイプ操作することによって、エラーの内容及びエラーの判定に用いられた周囲温度(判定用稼働情報)を含むエラー詳細画面76を確認することができる。したがって、作業者は、具体的な周囲温度の数値に基づき、圧縮機100の周囲の環境の改善やその後の作業計画の見直しといった適切な対応をとることができる。
【0106】
図9に示すように、ステップc9において、圧縮機100の制御ユニット60は、停止操作が行われたか否かを判定する。ステップc9において、制御ユニット60は、操作パネル34の運転・停止スイッチ34a1が操作された場合、停止操作が行われたと判定し、ステップc10へ進む。ステップc9において、停止操作が行われていないと判定した場合にはステップc5へ戻る。ステップc10において、制御ユニット60は、圧縮機100の圧力制御運転を停止し、
図9のフローチャートに示す処理を終了する。
【0107】
ステップs9において、端末コントローラ130は、停止操作が行われたか否かを判定する。ステップs9において、端末コントローラ130は、タッチパネル171に表示されているメイン画面75の運転・停止ボタン75fがタッチ操作されると、停止操作が行われたと判定し、ステップs10へ進む。ステップs10において、停止操作が行われていないと判定した場合にはステップs6へ戻る。ステップs10において、端末コントローラ130は、運転停止指令を圧縮機100に送信する。制御ユニット60は、運転停止指令を受信すると、圧縮機100の圧力制御運転を停止する(ステップc10)。
【0108】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0109】
(1)圧縮機100の制御ユニット(圧縮機制御装置)60は、複数のセンサ(30e,30f,31~33,35,38)により検出された稼働情報に基づいてエラーが発生しているか否かを判定し、エラーが発生していると判定した場合に、通信装置(圧縮機通信装置)42を介して、エラーが発生していることを表すエラーフラグを外部端末110に送信する。外部端末110の端末コントローラ(端末制御装置)130は、通信装置(端末通信装置)173を介して、エラーフラグを受信した場合に、表示領域75aに対するスワイプ操作を有効とするスワイプ有効状態とする。端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、エラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含むエラー詳細画面76をタッチパネル171に表示させる。
【0110】
圧縮機100にエラーが発生した場合、作業者は、メイン画面75の表示領域75aをスワイプ操作することにより、エラー詳細画面76を確認することができる。このため、作業者は、エラー発生時に適切な対応をとることができる。例えば、作業者は、圧縮機100の使用環境を改善するなどの対応をとることができる。つまり、本実施形態によれば、作業者に対して、エラー発生時に適切な対応を促し、圧縮機100の適正寿命での使用を推進することが可能な圧縮機システム10を提供することができる。
【0111】
端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、メイン画面75の操作領域75bに対してスワイプ操作が行われたとしても、エラー詳細画面76をタッチパネル171に表示させない。つまり、操作領域75bは、圧縮機100の運転を操作する専用の領域である。このため、操作領域75bに対してスワイプ操作が行われることを防止できるので、誤操作を防止することができる。
【0112】
(2)エラー詳細画面76には、複数の稼働情報のうちの一部のみが含まれる。具体的には、発生したエラーの原因を特定するための稼働情報のみが含まれる。したがって、本実施形態によれば、エラー詳細画面76に複数の稼働情報の全てが含まれる場合に比べて、エラーの原因を速やかに特定することができる。
【0113】
(3)端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、メイン画面75の表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、通信装置173を介して、エラーが発生したときの稼働情報の要求指令を圧縮機100に送信する。制御ユニット60は、通信装置42を介して要求指令を受信すると、不揮発性メモリ(圧縮機記憶装置)183に記憶されている、エラーが発生したときの複数の稼働情報の中から要求指令に応じた稼働情報を選択し、選択した稼働情報を通信装置42を介して、外部端末110に送信する。端末コントローラ130は、不揮発性メモリ(端末記憶装置)133に記憶されている複数のエラーの詳細基準画面の中からエラーフラグに対応するエラー詳細基準画面を選択し、選択したエラー詳細基準画面と通信装置173を介して受信したエラーが発生したときの稼働情報に基づいてエラー詳細画面76を生成し、タッチパネル171に表示させる。
【0114】
本実施形態では、圧縮機100にエラーが発生した場合にのみ、スワイプ有効状態とされる。本実施形態の比較例として、エラーが発生していないときにもスワイプ有効状態とする場合、メイン画面75が意図せずにエラー詳細画面76に切り替わってしまうおそれがある。例えば、比較例では、作業者が、メイン画面75が表示されたままの外部端末110をポケット等に入れて作業を行っている場合、ポケットの中の微弱な静電容量変化に応じて、メイン画面75からエラー詳細画面76に切り替わってしまうおそれがある。この場合、メイン画面75が表示されているときとは別の通信を行うことに起因して、エラーの検出にラグが生じるおそれがある。また、比較例では、作業者が、運転モードの切替等の操作を行う際、誤ってスワイプ操作をしてしまった場合にも、同様の不具合が生じるおそれがある。これに対して、本実施形態では、圧縮機100にエラーが発生した場合にのみスワイプ有効状態とされるため、エラーの発生有無にかかわらずスワイプ有効状態とされる場合に比べて、誤操作の発生を防止し、誤操作に起因する不具合を防止することができる。作業者は、エラーが発生していない状態には、圧力情報以外の稼働情報、すなわちエラーの判定に用いられる判定用稼働情報を確認する必要性は低い。このため、誤操作によるトラブルリスクを鑑みると、本実施形態のように、エラー発生時(警告時及び異常停止時)のみ判定用稼働情報を確認できるようにすることが好ましい。
【0115】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0116】
<変形例1>
上記実施形態では、端末コントローラ130は、エラー詳細画面76の表示領域76aに対してスワイプ操作が行われると、エラー詳細画面76からメイン画面75に切り換える例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
図13に示すように、端末コントローラ130は、現在発生しているエラーを表すエラー詳細画面(低電圧異常画面)76に対してスワイプ操作が行われると、前回発生したエラー(過去のエラー)を表すエラー詳細画面(高電圧異常画面)76p1をタッチパネル171に表示させる。過去のエラー情報(エラーフラグ、エラー発生時の稼働情報)は、圧縮機100の不揮発性メモリ183に記憶されている。
【0117】
このように、本変形例1に係る端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、タッチパネル171に、現在発生しているエラーの内容及びそのエラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含む、現在のエラー詳細画面76を表示させる。
【0118】
さらに、端末コントローラ130は、現在のエラー詳細画面76に対してさらにスワイプ操作が行われると、過去(前回)に発生したエラーの情報(エラーフラグ及びエラー発生時の稼働情報)を要求する要求指令を圧縮機100に送信する。圧縮機100の制御ユニット60は、外部端末110から過去のエラーの情報の要求指令を受信すると、不揮発性メモリ183に記憶されているエラーフラグ及びそのエラー発生時の稼働情報の中からエラーの原因を特定するための稼働情報を選択し、選択した稼働情報を外部端末110に送信する。端末コントローラ130は、圧縮機100から過去(前回)に発生したエラーの情報を取得すると、前回発生したエラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含む、過去(前回)のエラー詳細画面76p1を表示させる。
【0119】
端末コントローラ130は、過去1回分のエラー詳細画面76p1だけでなく、スワイプ操作に応じて、過去複数回分のエラー詳細画面を表示させる構成としてもよい。つまり、端末コントローラ130は、タッチパネル171に対するスワイプ操作に応じて、少なくとも1回分の過去に発生したエラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含む、過去のエラー詳細画面を表示させる構成とすることができる。
【0120】
一例として、
図13及び
図14を参照して、過去3回分のエラー詳細画面を表示可能な外部端末110について説明する。外部端末110の端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、メイン画面75の表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、
図13に示すように、タッチパネル171に現在のエラー詳細画面76を表示させる。
【0121】
端末コントローラ130は、現在のエラー詳細画面76に対してスワイプ操作が行われると、前回(過去)のエラー詳細画面76p1を表示させる。さらに、
図14に示すように、端末コントローラ130は、前回(過去)のエラー詳細画面76に対してスワイプ操作が行われると、前々回に発生したエラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報(周囲温度)を含む、前々回(過去)のエラー詳細画面76p2を表示させる。端末コントローラ130は、前々回(過去)のエラー詳細画面76に対してスワイプ操作が行われると、3回前(過去)に発生したエラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報(回転速度及び電流)を含む、3回前(過去)のエラー詳細画面76p3を表示させる。
【0122】
以上のとおり、本変形例1に係る端末コントローラ130は、タッチパネル171に対するスワイプ操作に応じて、少なくとも1回分の過去に発生したエラーの内容及びエラーの判定に用いられた判定用稼働情報を含む、過去のエラー詳細画面76p1,76p2,76p3を表示させる。この構成によれば、過去に起きたエラーを確認することができるので、エラーの発生を防止可能な作業計画を立てたり、作業環境を整えたりすることができるので、その後の作業効率の向上を図ることができる。
【0123】
なお、スワイプ操作に応じて表示される過去のエラー詳細画面の数は、作業者が監視アプリケーション136の設定によって選択できるようにしてもよい。なお、
図13及び
図14では、左方向のスワイプ操作に応じて、画面が切り替えられる例について示しているが、右方向のスワイプ操作に応じて、メイン画面75から現在のエラー詳細画面76、現在のエラー詳細画面76から過去のエラー詳細画面76p1へと切り替えられるようにしてもよい。また、上下方向にスワイプ操作されるなど、他の操作によって、過去のエラー詳細画面76p1,76p2,76p3からメイン画面75に戻る仕様としてもよい。
【0124】
<変形例2>
上記実施形態では、エラー発生時に検出された複数の稼働情報のうちの一部のみがエラー詳細画面76に表示される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。エラー発生時に検出された全ての稼働情報をエラー詳細画面に含めるようにしてもよい。
【0125】
例えば、
図15に示すように、第2低電圧エラーが発生した場合に、端末コントローラ130は、メイン画面75の表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、エラーの内容である「エラーコード:低電圧異常」と、そのエラーの判定に用いられた判定用稼働情報である電圧である「異常停止時電圧:AC50V」だけでなく、その他の稼働情報を含むエラー詳細画面76Bを表示させる。その他の稼働情報には、エラー発生時の電流の数値(異常停止時電流:14.9A)、電流と電圧の乗算結果である電力の数値(異常停止時電力:740W)、エラー発生時のモータ速度の数値(異常停止時回転数:1000rpm)、周囲温度、基板温度、モータ温度の数値(温度:外気20℃、制御90℃、モータ140℃)等が含まれる。エラー詳細画面76Bに、エラー発生時に各種センサにより検出された複数の稼働情報を表示させることにより、エラーの発生要因を詳細に検討することができる。
【0126】
<変形例3>
端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、外部端末110が有する物理スイッチ(音量増加スイッチ172b、音量低下スイッチ172c)に、エラー詳細画面76を表示させるスワイプ操作、エラーを解除する復帰操作、及び、圧縮機100の圧力制御運転を開始する運転開始操作の少なくとも一つを割り当ててもよい。
【0127】
例えば、端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、
図7に示す音量増加スイッチ172bの短押し操作(例えば、2秒未満の押し操作)に、現在のエラー詳細画面を表示させるスワイプ操作を割り当ててもよい。また、端末コントローラ130は、変形例1と同様、音量増加スイッチ172bの短押し操作に応じて少なくとも1回分の過去のエラー詳細画面を表示させてもよい。さらに、端末コントローラ130は、スワイプ有効状態であるときに、音量増加スイッチ172bの長押し操作(例えば、2秒以上の押し操作)に、タッチパネル171の表示画面をエラー詳細画面からメイン画面75に戻す操作を割り当ててもよい。
【0128】
釘打ち、塗装等の作業を行う作業者は、手袋をして作業をしていることが多い。本変形例では、エラー詳細画面を表示するための操作が物理スイッチである音量増加スイッチ172bに割り当てられているため、手袋をはめたまま、物理スイッチを操作することによりエラー詳細画面を確認することができる。つまり、手袋を外してスワイプ操作を行う手間を省略することができる。
【0129】
また、端末コントローラ130は、スワイプ有効状態になると、音量低下スイッチ172cの短押し操作に、エラーを解除する復帰操作(復帰ボタン75gに対する操作に相当)を割り当てるとともに、音量低下スイッチ172cの長押し操作に、圧力制御運転の開始操作(運転・停止ボタン75fに対する操作に相当)を割り当ててもよい。
【0130】
作業者は、エラー詳細画面を確認し、適切な対応をとった後、音量低下スイッチ172cを短押し操作する。端末コントローラ130は、音量低下スイッチ172cが短押し操作されると、復帰指令を圧縮機100に送信する。圧縮機100の制御ユニット60は、復帰指令を受信すると、エラーフラグを解除し、圧縮機100の運転を再開可能な状態に復帰させる。作業者は、音量低下スイッチ172cを短押し操作した後、音量低下スイッチ172cを長押し操作する。端末コントローラ130は、音量低下スイッチ172cが長押し操作されると、運転開始指令を圧縮機100に送信する。圧縮機100の制御ユニット60は、運転開始指令を受信すると、圧力制御運転を開始する。このように、本変形例では、エラーの発生により圧縮機100が停止した場合において、手袋をはめたままでも、圧縮機100の運転を再開することができる。また、端末コントローラ130は、スワイプ無効状態のときには、音量低下スイッチ172cに対する押し操作に、圧縮機100の運転モードを切り替える運転モード切替操作を割り当ててもよい。これにより、作業者は、手袋をはめたままでも、運転モードの切替を行うことができる。
【0131】
端末コントローラ130は、スワイプ無効状態のときには、音量増加スイッチ172bに対する押し操作に、圧縮機100と外部端末110との通信の接続と解除の操作(通信接続ボタン75eの操作に相当)を割り当ててもよい。また、各種操作の物理スイッチへの割り当ては、作業者が、監視アプリケーション136によって設定できるようにしてもよい。また、一つの物理スイッチの操作に各種操作を割り当てることに限定されず、複数の物理スイッチの同時操作に各種操作を割り当ててもよい。
【0132】
<変形例4>
制御ユニット60は、タイマ機能により圧縮機100の稼働時間を計測し、稼働時間が予め定められた稼働時間閾値を超えた場合に、寿命フラグを設定し、外部端末110に送信してもよい。稼働時間閾値は、例えば、製品寿命の95%程度の値であり、予め制御ユニット60の不揮発性メモリ183に記憶されている。外部端末110の端末コントローラ130は、寿命フラグを受信した場合、上記実施形態で説明したエラーフラグを受信したときと同様の処理を行う。これにより、端末コントローラ130は、メイン画面75の表示領域75aに対してスワイプ操作が行われると、寿命までの残り稼働時間に関する情報を含むメンテナンス画面を表示する。これにより、作業者は、オーバーホール時期が近付いていることを知ることができる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0134】
10…圧縮機システム、30e…電圧センサ、30f…電流センサ、31…圧力センサ、32…基板温度センサ、33…回転速度センサ、35…周囲温度センサ、38…モータ温度センサ、42…通信装置(圧縮機通信装置)、60…制御ユニット(圧縮機制御装置)、75…メイン画面、75a…表示領域、75b…操作領域、76,76B,76p1,76p2,76p3…エラー詳細画面、100…圧縮機、110…外部端末、130…端末コントローラ(端末制御装置)、133…不揮発性メモリ(端末記憶装置)、171…タッチパネル、172b…音量増加スイッチ(物理スイッチ)、172c…音量低下スイッチ(物理スイッチ)、173…通信装置(端末通信装置)、183…不揮発性メモリ(圧縮機記憶装置)