(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044512
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】情報交換システム、及び作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20230323BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20230323BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20230323BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230323BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20230323BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230323BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20230323BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230323BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20230323BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20230323BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/26 A
G06Q50/26
G06Q50/30
G06Q10/08 300
G16Y10/40
G16Y20/10
G16Y20/20
G16Y40/10
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152567
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】李 蒙萌
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5L049
【Fターム(参考)】
2D003BA02
2D003BA06
2D015HA03
5L049AA16
5L049CC35
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】作業効率を向上させる。
【解決手段】作情報交換システムは、産業廃棄物の処理に関する情報交換システムであって、所定の場所に産業廃棄物を運搬する運搬車両側に存在する第1の通信装置と、所定の場所に存在する産業廃棄物の処理を行う作業機械側に存在する第2の通信装置と、第1の通信装置と第2の通信装置との間で、少なくとも一方から他方に、産業廃棄物の処理に関する情報を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業廃棄物の処理に関する情報交換システムであって、
所定の場所に前記産業廃棄物を運搬する運搬車両側に存在する第1の通信装置と、
前記所定の場所に存在する前記産業廃棄物の処理を行う作業機械側に存在する第2の通信装置と、
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で、少なくとも一方から他方に、前記産業廃棄物の処理に関する情報を送信する、
情報交換システム。
【請求項2】
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から、前記運搬車両が前記所定の場所に到着することに関する情報を受信する、
請求項1に記載の情報交換システム。
【請求項3】
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から、前記運搬車両が運搬する前記産業廃棄物に関する情報を受信する、
請求項1又は2に記載の情報交換システム。
【請求項4】
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から前記産業廃棄物の処理に関する情報を受信した場合に、前記産業廃棄物の処理に関する情報を表示装置に出力する、
請求項1に記載の情報交換システム。
【請求項5】
前記第2の通信装置は、複数の前記第1の通信装置から、前記産業廃棄物の処理に関する情報として、前記運搬車両が前記所定の場所に到着する時刻の情報を受信した場合に、前記所定の場所に最も早く到着する前記運搬車両の情報を前記表示装置に出力する、
請求項4に記載の情報交換システム。
【請求項6】
前記第2の通信装置は、複数の前記第1の通信装置から、前記産業廃棄物の処理に関する情報として、前記運搬車両が前記所定の場所に到着する時刻の情報を受信した場合に、複数の前記第1の通信装置から受信した前記運搬車両の情報の一覧を前記表示装置に出力する、
請求項4に記載の情報交換システム。
【請求項7】
前記第2の通信装置は、前記運搬車両の情報の一覧から、一つ以上の前記運搬車両の情報の選択を受け付け、
前記選択を受け付けた前記情報に対応する前記運搬車両が前記所定の場所に到着する時刻を変更する要求を、前記第1の通信装置に送信する、
請求項6に記載の情報交換システム。
【請求項8】
前記第2の通信装置は、所定の条件を満たした場合に、前記産業廃棄物の処理に関する情報を、強調表示するよう前記表示装置に出力する、
請求項4乃至7のいずれか一つに記載の情報交換システム。
【請求項9】
産業廃棄物の処理に関する情報交換システムであって、
前記産業廃棄物の処理するための所定の場所の状況を示した情報を入力又は出力する第1の通信装置と、
前記所定の場所に搬送される前記産業廃棄物の処理に関する情報を入力又は出力する第2の通信装置と、
前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との間で、少なくとも一方から他方に情報を送信する、
情報交換システム。
【請求項10】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記アタッチメントの先端に設けられる作業具と、
外部の装置と通信する通信装置と、を有し、
前記通信装置が、所定の場所に産業廃棄物を運搬する運搬車両側に存在する第1の通信装置との間で、前記産業廃棄物の処理に関する情報を送信又は受信する、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報交換システム、及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械が利用される現場では、土砂などの物体の荷下ろし等が行われている。当該現場においては、作業可能な領域が限られており、作業機械や積み込み機械の効率的な作業が求められるため、当該作業を最適化するシステムが種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、土砂の積み込み現場において、運搬車両に積載する土砂の重量を管理する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、運搬対象が土砂に限定されている。したがって、運搬対象(土砂)の重量のみ管理すればよいが、現場によっては運搬対象が複数種類存在する。
【0006】
例えば、産業廃棄物の保管ヤードでは、複数種類の産業廃棄物が運搬対象であって、産業廃棄物の種類に応じた保管場所に格納している。
【0007】
このような保管ヤードにおいては、種類ごとに区切られた保管場所に産業廃棄物を格納する前に、入り口や通路に産業廃棄物が一時的に積まれることが多い。このような現場においては、運搬車両が産業廃棄物を運搬してくる場合に、作業機械は、運搬される産業廃棄物の種類に応じた準備が必要となる。
【0008】
本発明の一態様は、運搬対象が複数種類存在する現場において、作業機械側に存在する通信装置と、運搬車両側に存在する通信装置と、の間で、運搬される産業廃棄物の処理に応じた情報の送受信を行うことで、作業効率を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る情報交換システムは、産業廃棄物の処理に関する情報交換システムであって、所定の場所に産業廃棄物を運搬する運搬車両側に存在する第1の通信装置と、所定の場所に存在する産業廃棄物の処理を行う作業機械側に存在する第2の通信装置と、第1の通信装置と第2の通信装置との間で、少なくとも一方から他方に、産業廃棄物の処理に関する情報を送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、運搬されてくる産業廃棄物に応じた情報を送信することで、現在の状況を認識できるので、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る運搬情報交換システムの構成の一例を示す概要図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る運搬情報交換システムの構成の一例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るショベルが作業を行う、産業廃棄物の保管ヤードを例示した図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示制御部が表示する、到着情報入力画面を例示した図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る表示制御部が表示する、運搬通知画面を例示した図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る表示制御部が表示する、運搬通知画面を例示した図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る表示制御部が表示する、運搬地図画面を例示した図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る運搬情報交換システムにおいて、ショベルが情報を表示するまでの処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る表示制御部が表示する、運搬一覧画面を例示した図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る運搬情報交換システムにおいて、ショベルが運搬車両に遅れ要求を送信するまでの処理の流れを示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0014】
[運搬情報交換システムの概要]
まず、
図1を参照して、運搬情報交換システムSYSの概要について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSの構成の一例を示す概要図である。
【0016】
運搬情報交換システムSYSは、産業廃棄物の処理に関して情報を交換するシステムであって、ショベル100と、管理装置200と、運搬車両(例えば、トラック)300とを含む。そして、運搬情報交換システムSYSは、ショベル100と、運搬車両300と、の間で管理装置200を介して情報を送受信する。運搬情報交換システムSYSに含まれるショベル100は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。同様に、運搬情報交換システムSYSに含まれる運搬車両も、一台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0017】
本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSは、産業廃棄物の保管ヤードに搬入される産業廃棄物の状況を把握するために設けられたシステムである。
【0018】
産業廃棄物の保管ヤードでは、運搬車両300が来た時に、入り口や通路に産業廃棄物が大量に積んであるという状況が生じる。この場合、運搬車両300は、保管ヤードに入れなかったり、荷下ろしの位置まで移動できなかったりする。このため、産業廃棄物の保管ヤードで作業を行うショベル100は、運搬車両300に搭載されている産業廃棄物に対応した準備作業を行う必要がある。
【0019】
そこで、本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSでは、運搬車両側に設けられた通信装置(第1の通信装置の例)と、ショベル100に設けられた通信機器60(第2の通信装置の例)と、の間で、少なくとも一方から他方に、産業廃棄物の処理に関する情報を送信する。
【0020】
<ショベルの概要>
ショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能(旋回自在)に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、キャビン10等とを備える。
【0021】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(
図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
【0022】
上部旋回体3は、旋回油圧モータ2A(
図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0023】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及び、バケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0024】
また、エンドアタッチメントとしてのバケット6には、クレーン作業用のフック80が取り付けられる。フック80は、基端が、アーム5とバケット6との間を連結するバケットピンに回動可能に連結される。これにより、フック80は、掘削作業等のクレーン作業(吊り作業)以外の作業が行われる場合、2本のバケットリンクの間に形成される空間に収納される。
【0025】
また、バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、ショベル100には、バケット6とは異なる種類のエンドアタッチメント(例えば、破砕機、リフティングマグネット等、バケット6と用途の異なるエンドアタッチメントや、大型バケット等、バケット6と用途以外の仕様が異なるエンドアタッチメント)が取り付けられてもよい。つまり、ショベル100は、作業内容等に合わせて、適宜、エンドアタッチメントの種類を交換可能に構成されてよい。
【0026】
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、内部に操作装置26(
図2参照)等が設けられる。キャビン10は、例えば、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0027】
ショベル100は、所定の通信ネットワークNWと通信するための通信機器60を備えている。ショベル100の通信機器60は、所定の通信ネットワークNWを通じて、管理装置200と相互に通信を行う。
【0028】
通信ネットワークNWには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。また、通信ネットワークNWには、上空の通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてもよい。また、通信ネットワークNWには、インターネット等が含まれてもよい。また、通信ネットワークNWには、Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)等のプロトコルに準拠する近距離通信網を含んでもよい。
【0029】
ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動する。
【0030】
また、ショベル100は、キャビン10のオペレータにより操作されるのに代えて、或いは、加えて、所定の外部装置(例えば、管理装置200)のオペレータによって遠隔操作されてもよい。この場合、ショベル100は、例えば、後述の空間認識装置40が出力する画像情報(撮像画像)を外部装置に送信する。これにより、オペレータは、例えば、外部装置に設けられる表示装置に表示される画像情報を確認しながら、ショベル100を遠隔操作できる。そして、ショベル100は、外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、油圧アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部装置のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0031】
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動で油圧アクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能を実現してもよい。
【0032】
ショベル100は、表示装置50を備えている。ショベル100の表示装置50は、管理装置200から受信した情報を表示する。これにより、表示装置50は、後述する運搬車両300の現在の状況を表示できる。
【0033】
本実施形態は、ショベル100に通信機器60及び表示装置50が設けられている例について説明する。しかしながら、本実施形態は、作業機械(ショベル100)側に存在する通信装置(第2の通信装置の一例)を、ショベル100に設けられた通信機器60に制限するものではない。作業機械(ショベル100)側に存在する通信装置としては、例えば、ショベル100に搭乗しているオペレータが所有する携帯通信端末(例えば、スマートフォン又はタブレット端末)等であってもよい。さらには、保管ヤード1300に設置された通信機能を備えた大画面を有する表示装置であってもよい。
【0034】
<管理装置の概要>
管理装置200(外部装置、情報処理装置の一例)は、ショベル100及び運搬車両300を所持するユーザ等と地理的に離れた位置に配置される。管理装置200は、例えば、ショベル100が作業する作業現場外に設けられる管理センタ等に設置され、一又は複数のサーバコンピュータ等を中心に構成されるサーバ装置である。この場合、サーバ装置は、運搬情報交換システムSYSを運用する事業者、又は当該事業者に関連する関連事業者が運営する自社サーバであってもよいし、レンタルサーバであってもよい。また、このサーバ装置は、いわゆるクラウドサーバであってもよい。また、管理装置200は、ショベル100の作業現場内の管理事務所等に配置されるサーバ装置(いわゆるエッジサーバ)であってもよいし、定置型或いは携帯型の汎用のコンピュータ端末であってもよい。
【0035】
管理装置200は、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100及び運搬車両300のそれぞれと相互に通信できる。これにより、管理装置200は、ショベル100から受信した各種情報を、運搬車両300に送信できる。同様に、管理装置200は、運搬車両300から受信した各種情報を、ショベル100に送信できる。
【0036】
<運搬車両の概要>
運搬車両300(例えばトラック)は、産業廃棄物の保管ヤード(所定の場所の一例)に産業廃棄物を運搬するための車両である。例えば、運搬車両300(例えばトラック)に設けられた荷台360に産業廃棄物が積み込まれる。そして、運搬車両300が産業廃棄物の保管ヤードに到着した際に、産業廃棄物が荷台360から下ろされる。運搬車両300の荷台360は、ダンプアップ可能であってもよい。
【0037】
運搬車両300は、GPS(Global Positioning System)ユニット350を備えている。GPSユニット350は、GPS衛星からの電波を受信することで、運搬車両300の現在の位置を測定する。
【0038】
運搬車両300は、所定の通信ネットワークNWと通信するための通信機器320を備えている。運搬車両300の通信機器320は、所定の通信ネットワークNWを通じて、管理装置200と相互に通信を行う。
【0039】
運搬車両300は、表示装置340を備えている。運搬車両300の表示装置340は、管理装置200から受信した情報を表示する。これにより、表示装置340は、ショベル100から送信された情報を表示できる。
【0040】
本実施形態は、運搬車両300に通信機器320及び表示装置340が設けられている例について説明する。しかしながら、本実施形態は、運搬車両300側に存在する通信装置(第1の通信装置の一例)を、運搬車両300に設けられた通信機器320に制限するものではない。運搬車両300側に存在する通信装置としては、例えば、運搬車両300に搭乗している運転者が所有する携帯通信端末(例えば、スマートフォン又はタブレット端末)等であってもよい。
【0041】
[運搬情報交換システムの構成]
次に、
図1に加えて、
図2を参照して、本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSの具体的な構成について説明する。
【0042】
図2は、本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSの構成の一例を示す構成図である。
【0043】
なお、図中、機械的動力系は二重線、作動油ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示される。
【0044】
本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSにおいては、運搬車両300が産業廃棄物の保管ヤードに産業廃棄物を運び入れ、当該産業廃棄物を下ろす。そして、ショベル100は、下ろされた産業廃棄物の処理を行う。
【0045】
図3は、本実施形態に係るショベル100が作業を行う、産業廃棄物の保管ヤードを例示した図である。
【0046】
図3に示される保管ヤード1300には、粉砕機1301、1302が設けられている。粉砕機1301、1302は、粉砕を行う産業廃棄物の種類ごとに設けられている。例えば、粉砕機1301は、木くずを粉砕するために用いられ、粉砕機1302は、プラスチックを粉砕するために用いられる。
【0047】
粉砕機1301、1302で粉砕された産業廃棄物は、粉砕機1301、1302毎に設けられたベルトコンベア1303、1304によって、処理後の保管場所1321、1322(例えば、処理後の木くずの保管場所1321、処理後の廃プラスチックの保管場所1322)に格納される。
【0048】
さらに、保管ヤード1300には、(図示しない)圧縮梱包機が設けられている。圧縮梱包機は、種類ごとに分類された産業廃棄物を圧縮、梱包を行う。
【0049】
さらに、保管ヤード1300には、処理前の木くず保管場所1311、がれきの保管場所1312、処理前の金属の屑の保管場所1313、処理前の廃プラスチックの保管場所1314、圧縮後の産業廃棄物の保管場所1315、1316が設けられている。
【0050】
保管ヤード1300は、公道に面している。そして、運搬車両300は、公道から保管ヤード1300に出入りする。
【0051】
運搬車両300の荷台360は、ダンプアップ可能であってもよいし、ダンプアップできなくてもよい。ダンプアップできない場合には、ショベル100や(図示しない)フォークリフトによって、産業廃棄物の荷下ろしが行われる。なお、産業廃棄物は、直接、産業廃棄物の種類に対応する保管場所に下ろされてもよい。
【0052】
フォークリフト又はショベル100は、必要に応じて、下ろされた産業廃棄物に対して、当該産業廃棄物の種類に応じた保管場所への移動や、産業廃棄物の切断等を行う。このため、ショベル100は、産業廃棄物の切断を行うためのアタッチメントを装着していてもよい。また、保管ヤード1300には、フォークリフト及びショベル100がそれぞれ複数存在してもよい。
【0053】
その後、フォークリフト又はショベル100は、保管場所に保管された産業廃棄物を必要に応じて、粉砕機1301、1302や、圧縮梱包機まで移動させる。
【0054】
ところで、運搬車両300が運搬してきた産業廃棄物を各種保管場所に下ろすことができない場合、又は産業廃棄物が複数種類混在している場合に、運搬車両300は、保管ヤード1300の通路のうちの領域1350に産業廃棄物を下ろす。そのため、荷下ろされた産業廃棄物は、領域1350に一時的に堆積される傾向になる。
【0055】
図3に示される例では、領域1353に、木くずと金属の屑が混在した産業廃棄物が下ろされる。その後に、領域1353に堆積された産業廃棄物を分別することで、金属の屑が領域1351に堆積され、木くずが領域1352に堆積される。なお、産業廃棄物の分別は、ショベル100やフォークリフトが行ってもよいし、保管ヤード1300内の作業者が行ってもよい。
【0056】
このような状況で、運搬車両300が産業廃棄物を運搬してきた場合に、通路に下ろすことも、産業廃棄物の種類ごとに設けられた保管場所に下ろすこともできない。
【0057】
例えば、領域1352に存在する木くずを移動させれば、運搬車両300は、通路を通ることが可能になる。よって運搬車両300が木くずのみ運搬してきた場合、処理前の木くず保管場所1311に下ろしたり、廃プラスチックのみ運搬してきた場合、処理前の廃プラスチックの保管場所1314に産業廃棄物を下ろしたりできる。
【0058】
他の例では、領域1353に存在する、木くずと金属の屑が混在した産業廃棄物を移動させれば、運搬車両300が金属の屑のみ運搬してきた場合、運搬車両300は、処理前の金属の屑の保管場所1313に、その金属の屑を下ろすことができる。
【0059】
このように、ショベル100は、次に運搬車両300が運搬してくる産業廃棄物に応じて、準備を行うことで、運搬車両300が、待機することなく、産業廃棄物の下ろしが可能となる。
【0060】
そこで、本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSは、運搬車両300の待機時間を抑制するために、運搬車両300と、ショベル100と、の間で産業廃棄物の処理に関する情報の交換を実現する。
【0061】
<運搬車両の構成>
図2に戻り、運搬車両300は、制御装置310と、通信機器320と、操作装置330と、表示装置340と、GPSユニット350とを含む。
【0062】
制御装置310は、運搬車両300の各種動作を制御する。制御装置310は、例えば、不揮発性の補助記憶装置等にインストールされる一以上のプログラムを実行することにより実現される機能部として、入力受付部3101と、送信制御部3102と、受信制御部3103と、表示制御部3104と、を実現する。
【0063】
入力受付部3101、送信制御部3102、受信制御部3103、及び表示制御部3104等の機能は、ユーザの操作装置330(例えば、表示装置340に実装されるタッチパネル)に対する所定操作に応じて、制御装置310にインストールされる所定のアプリケーションプログラム(以下、「運搬予約アプリケーション」)が起動されることにより有効になる態様であってもよい。
【0064】
運搬予約アプリケーションとは、運搬車両300が産業廃棄物の保管ヤード1300に到着する前に、保管ヤード1300で作業を行っているショベル100等の作業機械に対して、これから産業廃棄物が運搬車両300によって運び込まれることを通知するために用いるアプリケーションである。
【0065】
通信機器320は、通信ネットワークNWを通じて、管理装置200等の外部装置と通信を行う任意のデバイスである。通信機器320は、例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールである。
【0066】
操作装置330は、ユーザからの運搬車両300における各種操作を受け付ける。操作装置330は、例えば、ボタン、表示装置340に実装されるタッチパネル等のハードウェアによる操作部を含む。また、操作装置330は、表示装置340に実装されるタッチパネル等のハードウェアによる操作部と、表示装置340に表示される操作画面上のボタンアイコン等のソフトウェアによる操作部との組み合わせでもよい。
【0067】
表示装置340(表示部の一例)は、各種情報画像を表示する。表示装置340は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。
【0068】
GPS(Global Positioning System)ユニット350は、上空に存在する複数のGPS衛星からの信号を受け取ることで、運搬車両300の現在位置を計測する。
【0069】
表示制御部3104は、運搬予約アプリケーションに関する画面を、表示装置340に表示する制御を行う。
【0070】
図4は、本実施形態に係る表示制御部3104が表示する、到着情報入力画面を例示した図である。
図4に示される例では、表示装置340に、到着情報入力画面が表されている。
【0071】
到着情報入力画面には、到着時間の入力欄1401と、位置情報の入力欄1402と、が表されている他、到着時間の選択ボタン1411と、位置情報の選択ボタン1412と、が表されている。ユーザは、到着時間の選択ボタン1411、及び位置情報の選択ボタン1412のうちいずれか一方を選択可能とする。選択ボタン1411、1412は、ショベル100側に送信する情報を選択するためのボタンである。
【0072】
到着時間の入力欄1401は、運搬車両300が保管ヤード1300に到着するまでの時間を入力するための欄である。また、位置情報の入力欄1402は、運搬車両300が現在の位置を入力するための欄である。本実施形態においては、取得ボタン1403を押下することで、GPSユニット350が計測した運搬車両300の現在の位置が、自動的に入力欄1402に入力される。
【0073】
さらに、到着情報入力画面には、廃棄物1の入力欄1421と、廃棄物2の入力欄1422と、廃棄物3の入力欄1423と、積載量の入力欄1424と、が表されると共に、廃棄物1のチェックボタン1431と、廃棄物2のチェックボタン1432と、廃棄物3のチェックボタン1433と、が表される。
【0074】
廃棄物1の入力欄1421、廃棄物2の入力欄1422、及び廃棄物3の入力欄1423は、産業廃棄物の種類を選択するためのプルダウンメニューである。プルダウンメニューで選択可能な産業廃棄物の種類は、産業廃棄物の保管ヤード1300で保管可能な産業廃棄物である。当該プルダウンメニューで選択可能な産業廃棄物としては、例えば"廃プラ(廃プラスチック)"、"木くず"、"金属の屑"、"がれき"である。
【0075】
なお、本実施形態は、保管可能な産業廃棄物の種類を制限するものではなく、"廃プラ(廃プラスチック)"、"木くず"、"金属の屑"、"がれき"以外の産業廃棄物の種類を選択可能としてもよい。他の産業廃棄物の種類としては、例えば、紙くず、ガラスくず、コンクリートくず等が存在し、あらゆる産業廃棄物の種類が含まれる。
【0076】
チェックボタン1431、1432、1433は、ユーザが、チェック有またはチェック無を選択可能なボタンであって、チェック有の場合には、当該チェックボタンに対応する入力欄に入力された産業廃棄物の種類が、ショベル100側に送信される。
【0077】
積載量の入力欄1424は、運搬車両300に搭載している産業廃棄物の積載量を入力するための欄である。
【0078】
さらに、到着情報入力画面には、運搬車両300の車両情報に関する入力欄が存在する。当該入力欄としては、例えば、運搬車両300の最大積載量の入力欄1451が存在する。さらに、運搬車両300がダンプアップ可能か否かの(図示しない)選択欄も存在する。
【0079】
さらに、到着情報入力画面には、送信ボタン1441と、キャンセルボタン1442と、が存在する。送信ボタン1441は、入力された情報を送信するためのボタンである。キャンセルボタン1442は、入力された情報をキャンセルするためのボタンである。
【0080】
図2に戻り、運搬車両300の入力受付部3101は、運搬予約アプリケーションに関する画面の入力欄から入力された情報を受け付ける。
【0081】
例えば、入力受付部3101は、
図4に示される到着情報入力画面において、選択ボタン1411、1412で選択された、到着時間の入力欄1401で入力された情報、又は位置情報の入力欄1402で入力された情報を受け付ける。本実施形態では、運搬車両300の位置情報によって、保管ヤード1300の位置との間の距離から、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する時刻を導出できる。
【0082】
また、入力受付部3101は、
図4に示される到着情報入力画面において、チェックボタン1431、1432、1433で選択された、廃棄物の入力欄1421、1422、1423で入力された情報(産業廃棄物の種類)を受け付ける。
【0083】
さらに、入力受付部3101は、
図4に示される到着情報入力画面において、運搬車両300の車両情報(例えば、最大積載量、ダンプアップ可能か否か等)の入力を受け付ける。
【0084】
さらに、入力受付部3101は、送信ボタン1441、キャンセルボタン1442の押下を受け付ける。
【0085】
送信制御部3102は、通信機器320を用いて、管理装置200に対する情報の送信を制御する。例えば、入力受付部3101が送信ボタン1441の押下を受け付けた場合に、送信制御部3102は、入力受付部3101が入力を受け付けた情報を、管理装置200に送信する。本実施形態においては、入力を受け付けた情報として、到着する時刻に関する情報(例えば、運搬車両300が保管ヤード1300に到着するまでの時間、又は運搬車両300の現在の位置)、産業廃棄物の種類、積載量、及び車両情報が含まれるが、他の情報が含まれてもよい。
【0086】
受信制御部3103は、通信機器320を用いて、管理装置200からの情報の受信を制御する。受信制御部3103が受信する情報については後述する。
【0087】
本実施形態に係る運搬車両300は、上述した構成を備えることで、運搬している産業廃棄物に関する情報(例えば、産業廃棄物の種類、積載量)、及び保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報(例えば到着するまでに要する時間や、運搬車両300の現在の位置)を、管理装置200に送信できる。これにより、保管ヤード1300に存在するショベル100は、運搬車両300が運搬する産業廃棄物に対応する準備が可能となる。
【0088】
本実施形態は、保管ヤード1300が準備するために必要な情報を、運搬車両300が送信する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、当該情報の送信を、運搬車両300が行う態様に制限するものでない。例えば、運搬車両300を管理している事業所の担当者が、情報処理装置に、上述した情報を入力し、管理装置200に送信してもよいし、運搬車両300に搭乗している運転手等が、携帯端末にインストールされたアプリケーションに、上述した情報を入力し、管理装置200に送信してもよい。
【0089】
<管理装置の構成>
管理装置200は、制御装置210と、通信機器220とを含む。
【0090】
制御装置210は、管理装置200における各種動作を制御する。制御装置210は、例えば、不揮発性の補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、受信制御部2101と、送信制御部2102と、保存部2103とを含む。また、制御装置210は、例えば、補助記憶装置等の不揮発性の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部2104を含む。
【0091】
なお、記憶部2104に相当する記憶領域は、制御装置210と通信可能に接続される外部記憶装置に設けられてもよい。
【0092】
通信機器220は、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100及び運搬車両300等の外部装置と通信を行う任意のデバイスである。
【0093】
受信制御部2101は、通信機器220を用いて、運搬車両300又はショベル100からの情報の受信を制御する。例えば、受信制御部2101は、運搬車両300からの、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報、運搬車両300が運搬する産業廃棄物の種類、産業廃棄物の積載量、及び運搬車両300の車両情報を受信する。
【0094】
受信制御部2101は、保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報が、運搬車両300の現在位置の場合、地図情報を参照して、現在位置から保管ヤード1300に到着するまでの時間を算出する。
【0095】
なお、本実施形態では、運搬車両300の現在の位置から、保管ヤード1300に到着するまでの時間の算出を、管理装置200が行う例について説明するが、管理装置200で行う例に制限するものではなく、運搬車両300又はショベル100で行ってもよい。
【0096】
保存部2103は、受信制御部2101が受信制御した、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報、運搬車両300が運搬する産業廃棄物の種類、産業廃棄物の積載量、及び運搬車両300の車両情報を、記憶部2404に保存する。これにより、記憶部2104には、運搬車両300が運搬している産業廃棄物の処理に関する情報が保存される。
【0097】
送信制御部2102は、通信機器220を用いて、運搬車両300又はショベル100に対する情報の送信を制御する。例えば、送信制御部2102は、記憶部2104に保存されている、運搬車両300が運搬している産業廃棄物の処理に関する情報(例えば、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報、運搬車両300が運搬する産業廃棄物の種類、産業廃棄物の積載量、及び運搬車両300の車両情報)を、ショベル100に送信する。
【0098】
本実施形態においては、管理装置200は、運搬車両300と、運搬車両300が運搬する保管ヤード1300で作業している作業機械(例えば、ショベル100)と、の対応関係を記憶部2104等に保持している。これにより送信制御部2102は、情報を送信してきた運搬車両300に対応する、ショベル100に対して情報を送信できる。
【0099】
送信制御部2102が、記憶部2104に保存されている、運搬車両300が運搬している産業廃棄物の処理に関する情報を、ショベル100に送信する頻度は、1回だけでもよいし、所定時間毎でもよい。
【0100】
さらに、受信制御部2101がショベル100から運搬車両300に対する要求を受信した場合に、送信制御部2102が、当該要求を、運搬車両300に対して送信する。
【0101】
管理装置200は、上述した構成を備えることで、運搬車両300とショベル100との間で情報の送受信を制御できる。
【0102】
<ショベルの構成>
本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述したように、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9を含んでいる。以下、走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9の一部又は全部を便宜的に「油圧アクチュエータ」と称する場合がある。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、エンジン11と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含んでいる。
【0103】
エンジン11は、ショベル100の駆動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。
【0104】
メインポンプ14は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、作動油ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、コントローラ30による制御下で、レギュレータ14aにより斜板の角度(傾転角)が制御されることにより、ピストンのストローク長を変化させ、吐出流量(吐出圧)を調整することができる。
【0105】
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる被駆動要素(油圧アクチュエータ)に関する操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。具体的には、コントロールバルブ17は、オペレータの被駆動要素に関する操作に応じて、それぞれの油圧アクチュエータに対する作動油の給排を制御する。走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等は、作動油ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。コントロールバルブ17は、メインポンプ14とそれぞれの油圧アクチュエータとの間に設けられ、メインポンプ14からそれぞれの油圧アクチュエータに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁とも称する)を含むバルブユニットである。
【0106】
本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、操作圧センサ15aとを含む。
【0107】
パイロットポンプ15は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して操作装置26にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
【0108】
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6等)の操作を行う操作手段である。換言すれば、操作装置26は、それぞれの動作要素(被駆動要素)を駆動する油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9等)の操作を行う操作手段である。操作装置26は、例えば、レバー装置やペダル装置等を含む。
【0109】
図2に示すように、操作装置26は、例えば、操作内容に対応する油圧(パイロット圧)を出力する油圧パイロット式である。操作装置26は、パイロットライン25を通じてパイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、操作内容(例えば、操作方向及び操作量)に対応する所定のパイロット圧を油圧ライン25aに出力する。そして、操作装置26は、油圧ライン25aを介して、コントロールバルブ17に接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26の操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
【0110】
また、操作装置26は、例えば、操作内容に対応する電気信号(以下、「操作信号」)を出力する電気式であってもよい。操作装置26の出力(操作信号)は、例えば、コントローラ30に取り込まれ、コントローラ30は、所定の油圧制御弁(例えば、電磁比例弁)(以下、「操作用制御弁」)に操作信号に対応する制御指令、即ち、操作装置26の操作内容に対応する制御指令を出力する。そして、操作用制御弁は、パイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧、即ち、操作装置26の操作内容に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17に作用させてよい。これにより、コントロールバルブ17は、操作装置26の操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
【0111】
操作圧センサ15aは、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26における各動作要素の操作状態に対応するパイロット圧(以下、「操作圧」)を検出する。操作圧センサ15aは、コントローラ30に接続され、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に対応する操作圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、ショベル100の下部走行体1、上部旋回体3、及び、アタッチメント(ブーム4、アーム5、及び、バケット6)の操作状態を把握することができる。
【0112】
なお、操作装置26が電気式である場合、操作圧センサ15aは、省略されてよい。コントローラ30は、操作装置26から取り込まれる操作信号に基づき、操作装置26の操作内容を把握することができるからである。
【0113】
本実施形態に係るショベル100は、上述した構成を備えることで、産業廃棄物の保管ヤードにおいて、産業廃棄物を処分するための動作を行う。
【0114】
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、空間認識装置40と、計時装置42と、表示装置50と、音声出力装置52と、入力装置54と、ホーン56と、通信機器60とを含む。
【0115】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が、任意のハードウェア、又は任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてもよい。コントローラ30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(「主記憶装置」とも称する)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部と入出力用のインタフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行させることにより、各種機能を実現させる。以下、後述する管理装置200の制御装置210及び運搬車両300の制御装置310についても同様であってよい。
【0116】
例えば、コントローラ30は、空間認識装置40により撮像されるショベル100の周辺の撮像画像に基づき、ショベル100に比較的近い範囲(以下、「監視エリア」)に存在する物体を把握する。把握対象となる物体としては、例えば、作業者や作業現場の監督者等の人だけでなく、作業車両等の移動する物体(移動体)や、定置された資材、岩等の地形的な障害物等の静止している物体等の任意の物体を含む。
【0117】
コントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、受信制御部301と、表示制御部302と、入力受付部303と、送信制御部304と、保存部305とを備えている。また、コントローラ30は、補助記憶装置等の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部306を備えている。
【0118】
なお、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラにより実現されてもよい。つまり、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより、分散して実現されてもよい。また、記憶部307に対応する記憶領域は、コントローラ30の外部に設けられ、コントローラ30と通信可能に接続される外部記憶装置に規定されてもよい。
【0119】
空間認識装置40は、上部旋回体3の上部に取り付けられ、ショベル100の周辺を撮像し、撮像画像を出力する。出力される撮像画像には、ショベル100の周辺に存在する物体が含まれる。空間認識装置40は、ショベル100の周辺に存在する物体に関する検出情報としての撮像画像を出力する。本実施形態に係る空間認識装置40としては、例えば、カメラ40B,40F,40L,40Rで構成される。本実施形態では、空間認識装置40は、カメラ40B,40F,40L,40Rの場合について説明するが、空間に存在する物体を認識できる装置であればよく、例えばLider(light detection and ranging)を用いてもよい。
【0120】
カメラ40B,40F,40L,40Rは、それぞれ、上部旋回体3の後端上部、前端上部(例えば、キャビン10の前端上部)、左端上部、及び、右端上部に取り付けられ、上部旋回体3の後方、前方、左側方、及び、右側方を撮像する。また、カメラ40Fは、キャビン10の内部に取り付けられ、キャビン10の前面を覆うフロントウィンドウ越しに上部旋回体3の前方を撮像してもよい。例えば、カメラ40B,40F,40L,40Rは、それぞれ、非常に広い画角を有する単眼の広角カメラである。具体的には、カメラ40B,40F,40L,40Rは、それぞれ、上部旋回体3の上部において、光軸が斜め下方に向くように取り付けられ、ショベル100の近傍の地面からショベル100の遠方までを含む上下方向の撮像範囲を撮像する。また、カメラ40Fの撮像範囲には、アタッチメントの先端部、つまり、バケット6及びフック80やフック80に吊られた吊荷等が含まれる。カメラ40F、カメラ40B、カメラ40L、及び、カメラ40Rは、それぞれ、例えば、ショベル100の運転中、所定周期(例えば、1/30秒)ごとに、撮像画像を出力し、出力された撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。
【0121】
計時装置42は、例えばRTC(Real Time Clock)であって、現在の日付、曜日、時刻を含む日時情報を取得する。計時装置42は、取得した日時情報をコントローラ30に出力する。
【0122】
表示装置50は、キャビン10内の操縦席の周辺、具体的には、操縦席に着座するオペレータから視認し易い位置に設けられ、コントローラ30の制御下で、オペレータに通知する各種画像情報を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイであり、操作部を兼ねるタッチパネル式であってもよい。表示装置50は、例えば、空間認識装置40の撮像画像に基づくショベル100の周囲の様子を表す画像(以下、「周囲画像」)を表示する。周囲画像は、空間認識装置40の撮像画像(スルー画像)であってもよいし、コントローラ30により空間認識装置40の撮像画像に基づき生成される画像(例えば、カメラ40F,40B,40L,40Rの撮像画像を合成した合成画像や視点変換画像)等を含む。
【0123】
音声出力装置52は、キャビン10内の操縦席の周辺に設けられ、コントローラ30の制御下で、所定の音を出力する。音声出力装置52は、例えば、ブザーやスピーカ等である。
【0124】
入力装置54は、キャビン10内の着座したオペレータから手が届く範囲に設けられ、オペレータによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をコントローラ30に出力する。入力装置54は、例えば、表示装置50のディスプレイに実装されるタッチパネル、操作装置26に含まれるレバー装置のレバー部の先端に設けられるノブスイッチ、表示装置50の周囲に設置されるボタンスイッチ、レバー、トグル、ダイヤル等を含みうる。より具体的には、入力装置54は、ホーンスイッチ54aを含む。入力装置54は、受け付けた操作に対応する信号を、コントローラ30に出力する。
【0125】
ホーンスイッチ54aは、ホーン56を吹鳴させるための操作入力を受け付ける。ホーンスイッチ54aは、例えば、バネ等の弾性力によりデフォルト位置に自己復帰することができ、操作力が負荷されている間だけ、操作入力に対応する電気信号を出力する。ホーンスイッチ54aの操作入力に対応する電気信号は、直接、ホーン56に作用し、当該電気信号に応じて、ホーン56が吹鳴する。また、ホーンスイッチ54aの操作入力に対応する電気信号は、コントローラ30にも入力される。これにより、コントローラ30は、ホーン56を吹鳴させる操作が行われたことを把握できる。
【0126】
ホーン56は、ホーンスイッチ54bからの電気信号で作動(吹鳴)し、ショベル100の周辺に注意喚起を促すための警笛音を出力する。
【0127】
通信機器60は、通信ネットワークNWを通じて、管理装置200等の外部との通信を行う任意のデバイスである。通信機器60は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の所定の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールである。
【0128】
次に、コントローラ30内に実現される機能部について説明する。受信制御部301、表示制御部302、入力受付部303、送信制御部304、及び保存部305等の機能は、操作者の入力装置54に対する所定操作に応じて、コントローラ30にインストールされる所定のアプリケーションプログラム(以下、「運搬通知アプリケーション」)が起動されることにより有効になる態様であってもよい。
【0129】
運搬通知アプリケーションとは、ショベル100が作業している保管ヤード1300に運搬車両300が到着することを通知するために用いるアプリケーションである。
【0130】
受信制御部301は、通信機器60を介して、外部装置(例えば、管理装置200)からの情報の受信制御を行う。例えば、受信制御部301は、管理装置200から、運搬車両300が運搬している産業廃棄物の処理に関する情報(例えば、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報、運搬車両300が運搬する産業廃棄物の種類、産業廃棄物の積載量、及び運搬車両300の車両情報)を受信する。本実施形態に係る受信制御部301は、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する時刻に関する情報を受信することで、ショベル100は、当該時刻までに運搬車両300が入れるように保管ヤード1300で作業を行うことが可能となる。さらに、本実施形態に係る受信制御部301は、運搬車両300が運搬する産業廃棄物の種類、及び産業廃棄物の積載量を受信することで、ショベル100は、産業廃棄物の種類及び積載量を下せるように準備を行うことが可能となる。これにより、運搬車両300の待機時間を抑制して、作業効率の向上を図ることができる。
【0131】
保存部305は、受信制御部301が受信した情報を、記憶部306に記憶する。保存部305は、受信制御部301が管理装置200から複数の情報を受信した場合に、複数の情報を順次記憶部306に記憶する。これにより、コントローラ30は、複数の運搬車両300の情報を参照できる。
【0132】
表示制御部302は、運搬通知アプリケーションに関する画面を、表示装置50に表示する制御を行う。
【0133】
図5は、本実施形態に係る表示制御部302が表示する、運搬通知画面を例示した図である。
図5に示される例では、表示装置50に、保管ヤード1300に最も早く到着する運搬車両300を通知するための表示画面1500が表されている。
【0134】
図5に示される表示画面1500では、複数のタブが表示されている。複数のタブとしては、"直近"タブ1511と、"一覧"タブ1502と、"地図"タブ1503と、が表示されている。
【0135】
"直近"タブ1511は、保管ヤード1300に最も早く到着する運搬車両300を表示するためのタブである。"一覧"タブ1502は、保管ヤード1300に到着する運搬車両300の一覧を表示するためのタブである。"地図"タブ1503は、保管ヤード1300に最も早く到着する運搬車両300の位置を表示するためのタブである。
【0136】
図5に示される表示画面1500では、"直近"タブ1511が選択されている例とする。
【0137】
図5に示される表示画面1500では、表示制御部302は、保管ヤード1300に運搬車両300の到着時間に関する情報の一例として、"5分後に到着"することを表示している。さらには、表示制御部302は、当該運搬車両300が運搬している産業廃棄物の種類が、"廃プラ(廃プラスチック)"であることを表示すると共に、産業廃棄物の積載量が、"5t"であることを表示している。
【0138】
これにより、ショベル100は、廃プラスチックを下ろすための準備を行うことができる。
【0139】
さらに、表示制御部302は、産業廃棄物を運搬している運搬車両300の車両情報として、ダンプアップ可、最大積載量を表示している。
【0140】
表示画面1500では、複数の運搬車両300のうち、保管ヤード1300に最も早く到着する運搬車両300の情報を表示している。表示される情報としては、当該運搬車両300が運搬している産業廃棄物の種類等、及び到着する時刻に関する情報である。これにより、ショベル100は、当該運搬車両300が到着する時刻までに、当該運搬車両300が運搬している産業廃棄物の荷下ろしができるように準備を行うことができる。したがって、運搬情報交換システムSYSは、運搬車両300の効率的な荷下ろしが実現できるので、作業効率の向上を図ることができる。
【0141】
また、表示制御部302は、表示画面1500を最初に表示する際に、表示装置50の最高輝度(強調表示の一例)で表示する。これにより、ショベル100のオペレータに、画面が更新されたことを認識させることができる。換言すれば、オペレータが、画面が更新されたことを気が付かないことを抑制できる。なお、本実施形態は最高輝度で表示する態様に制限するものではなく、オペレータが認識可能な強調表示であればよい。当該最高輝度の表示は、新規に運搬車両300の到着情報を受信した場合に行うが、当該条件に制限するものではなく、例えば、オペレータに認識させたい情報を受信した場合など、所定の条件を満たした場合であればよい。
【0142】
図5に示される表示画面1500では、運搬車両300が保管ヤード1300に到着する到着時刻に関する情報の一例として、"5分後に到着"を表示する例について説明した。例えば、現在の時刻が"12:00"の場合に、ショベル100のオペレータは、運搬車両300が"12:05"に到着することを認識できる。なお、本実施形態は、表示態様を制限するものではなく、到着時刻に関する情報として、具体的な到着時刻(例えば12:05)を表示してもよい。
【0143】
図3に戻り、ショベル100の入力受付部303は、運搬通知アプリケーションに関する画面に対する入力を受け付ける。
【0144】
例えば、入力受付部303は、
図5の表示画面1500に表示されている確認ボタン1504の押下を受け付ける。入力受付部303が確認ボタン1504の押下を受け付けた場合、表示制御部302は、表示画面1500の表示について、最高輝度から通常の輝度(予め設定されている輝度)に切り替える。
【0145】
表示制御部302が表示する画面は、
図5に示される表示画面1500に制限するものではなく、他の表示画面を表示してもよい。次に、"一覧"タブ1502が選択された場合について説明する。
【0146】
図6は、本実施形態に係る表示制御部302が表示する、運搬通知画面を例示した図である。
図6に示される例では、表示装置50に、保管ヤード1300に到着する運搬車両300の一覧を表示するための表示画面1600が表されている。
【0147】
図6に示される表示画面1600では、"一覧"タブ1611が選択された状態で表示する。さらに、表示画面1600では、"直近"タブ1501、及び"地図"タブ1503も表示されている。
【0148】
表示制御部302は、記憶部306に記憶されている複数の運搬車両300の情報を読み出して、表示画面1600を表示する。
【0149】
図6に示されるように、表示画面1600には、運搬車両ごとに、到着時間、積載量、廃棄物(産業廃棄物の種類)が一覧1621として表されている。さらに、表示画面1600には、
図5と同様に確認ボタン1504が表されている。
【0150】
これにより、ショベル100は、これから到着する複数の運搬車両300について到着時刻と運搬される産業廃棄物の種類を認識できる。したがって、ショベル100は、直近の運搬車両300だけでなく、その後の運搬車両300のことも考慮した上で、複数の運搬車両300に待機時間が生じないよう、保管ヤード1300で作業できるので、作業効率の向上を図ることができる。
【0151】
図6で示した運搬車両300の一覧は、一例として示したものであって、運搬車両300に関する他の情報(例えば、車両情報等)を表示してもよい。
【0152】
表示制御部302が表示する画面は、
図5に示される表示画面1500、及び
図6に示される表示画面1600以外の表示画面も表示できる。次に、"地図"タブ1503が選択された場合について説明する。
【0153】
図7は、本実施形態に係る表示制御部302が表示する、運搬地図画面を例示した図である。
図7に示される例では、表示装置50に、地図情報1721と共に、当該地図情報1721上に存在する運搬車両300の位置を示すアイコン1731を示した表示画面1700が表されている。さらに、アイコン1731で示される運搬車両300の情報が、枠1732に表示されている。なお、保管ヤード1300は、地図情報1721で現在地として示された位置に存在する。
【0154】
図7に示される表示画面1700では、"地図"タブ1711が選択された状態で表示する。さらに、表示画面1700では、"直近"タブ1501、及び"一覧"タブ1502も表示されている。
【0155】
表示制御部302は、記憶部306に記憶されている運搬車両300の位置情報を読み出して、表示画面1700を表示する。なお、記憶部306に、運搬車両300の位置情報が保存されていない場合、運搬車両300の位置を示すアイコン1731は非表示となる。本実施形態では、保管ヤード1300に最も近い運搬車両300の位置情報に基づいた表示画面1700を表示する例について説明するが、複数の運搬車両300の位置情報に基づいた表示画面1700を表示してもよい。
【0156】
枠1732には、アイコン1731で示される運搬車両300が運搬している産業廃棄物に関する情報(産業廃棄物の積載量、及び産業廃棄物の種類)が表示されるが、運搬車両300に関する情報など、他の情報を表示してもよい。
【0157】
これにより、ショベル100は、これから到着する運搬車両300の位置情報を考慮して、運搬車両300が運搬している産業廃棄物に対応する準備を行うことができる。
【0158】
本実施形態においては、ショベル100の表示制御部302は、計時装置42が計測している時刻に基づいて、
図5又は
図6で示した、表示画面に表示されている運搬車両300が保管ヤードに到着するまでの時間を更新する。なお、到着するまでの時間の更新は、計時装置42に基づくものに制限するものではない。例えば、表示制御部302は、管理装置200から定期的に送信される情報に基づいて、保管ヤード1300に到着するまでの時間や、運搬車両300の位置を更新してもよい。さらに、本実施形態では、
図5~
図7で示した表示画面に制限するものではなく、ショベル100のオペレータが、運搬車両300が運搬している産業廃棄物に関する情報を認識できれば、どのような表示態様であってもよい。
【0159】
送信制御部304は、入力受付部303がオペレータから受け付けた要求を、管理装置200に送信する。
【0160】
次に本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSにおいて、ショベル100が情報を表示するまでの処理の流れについて説明する。
図8は、運搬情報交換システムSYSにおいて、ショベル100が情報を表示するまでの処理の流れを示したシーケンス図である。
図8に示される例では、運搬車両300の表示装置340に、
図4に示されるような到着情報入力画面が、既に表示されている。さらに、運搬車両300が、
図4に示されるような到着情報入力画面を表示する前に、ログイン画面からユーザID及びパスワード等によってログインを受け付けてもよい。
【0161】
運搬車両300の入力受付部3101は、
図4の到着情報入力画面に入力された情報(以下、到着情報と称する)を受け付ける(S1801)。運搬車両300の送信制御部2102は、受け付けた到着情報を、管理装置200に送信する(S1802)。
【0162】
管理装置200の受信制御部2101は、受信した到着情報に対応する処理を行う(S1811)。例えば、到着情報に、位置情報が含まれている場合、受信制御部2101は、当該位置情報及び地図情報に基づいて、保管ヤード1300に到着する時間を取得する。
【0163】
保存部2103が、受信した到着情報を、記憶部2104に保存する(S1812)。さらに、送信制御部2102が、到着情報をショベル100に送信する(S1813)。なお、到着情報に位置情報が存在する場合、送信制御部2102は、位置情報と共に、取得した到着する時間を含めた到着情報を送信する。
【0164】
これにより、ショベル100の受信制御部301は、到着情報を受信する。ショベル100の表示制御部302は、受信した到着情報に基づいた運搬通知画面又は運搬地図画面を最大輝度で表示する(S1821)。
【0165】
入力受付部303は、確認ボタンの押下を受け付ける(S1822)。ショベル100の表示制御部302は、運搬通知画面又は運搬地図画面を通常の輝度で表示する(S1823)。
【0166】
本実施形態では上述した処理手順によって、ショベル100のオペレータに対して、運搬車両300が運搬している産業廃棄物に関する情報、及び到着する時刻を認識させることができる。
【0167】
ところで産業廃棄物の保管ヤード1300においては、ショベル100が、運搬車両300の到着時間を予め認識していたとしても、当該運搬車両300が到着するまでに準備が整わない場合がある。このような場合に、保管ヤード1300に運搬車両300が到着しても、産業廃棄物を荷下ろすのは難しい。
【0168】
そこで、本実施形態に係るショベル100は、準備が間に合わない場合に、運搬車両300に対して、遅れてくるよう要求を行うことができる。
【0169】
図9は、本実施形態に係る表示制御部302が表示する、運搬一覧画面を例示した図である。
図9は、入力受付部303が、
図6で示した表示画面で示された運搬車両の一覧に対して、遅らせたい運搬車両300を示した列1901の選択を受け付けた例である。
図9で示される例では、遅らせたい運搬車両300として"10分後"に到着する"木くず"を運搬する運搬車両300を示した列1901が選択されている。
【0170】
そして、表示制御部302が、選択された運搬車両300に対して遅らせる時間の選択欄1902を表示する。そして、入力受付部303は、選択欄1902に表示された時間の選択を受け付ける。
【0171】
その後、入力受付部303が、送信ボタン1903の押下を受け付けた場合に、運搬車両300に対して保管ヤード1300に遅れて到着する旨の要求(以下、遅れ要求)を、管理装置200に送信する。これにより、管理装置200から、対応する運搬車両300に対して遅れ要求が送信される。
【0172】
次に本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSにおいて、ショベル100が情報を表示するまでの処理の流れについて説明する。
図10は、運搬情報交換システムSYSにおいて、ショベル100が運搬車両300に遅れ要求を送信するまでの処理の流れを示したシーケンス図である。
【0173】
まずショベル100の表示制御部302は、運搬車両300の一覧情報が示された運搬通知画面を表示する(S1011)。
【0174】
次に、入力受付部303が、遅らせたい運搬車両300の選択を受け付ける(S1012)。これに伴い、表示制御部302は、遅らせたい時間が示された選択欄1902を表示する。
【0175】
そして、入力受付部303が、選択欄1902から、遅らせたい時間の選択を受け付ける(S1013)。
【0176】
そして、送信制御部304が、遅らせたい時間、及び遅らせたい運搬車両300を示した情報と共に、遅れ要求を、管理装置200に送信する(S1021)。
【0177】
管理装置200の受信制御部2101が遅れ要求を受信した場合、送信制御部2102が、遅れ要求と共に受信した運搬車両300を示した情報から、遅れ要求の送信先を特定する(S1022)。
【0178】
送信制御部2102は、特定した送信先に対して、遅らせたい時間と共に、遅れ要求を送信する(S1031)。
【0179】
運搬車両300の表示制御部3104は、受信した遅れ要求と共に、遅らせたい時間を、表示装置340に表示する(S1032)。
【0180】
図10に示される処理を行うことで、運搬車両300に対して遅れ要求を送信できる。当該要求を受け取った運搬車両300は、保管ヤードと異なる場所で待機等を行う。これにより、本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSでは、保管ヤード1300又は保管ヤード1300周辺で待機する運搬車両300の数の抑制と、運搬車両300が保管ヤード1300で待機している時間の抑制と、を可能とする。また、保管ヤード1300に存在する運搬車両300を低減できるので、ショベル100は、待機している運搬車両300を考慮せずに、保管ヤード1300で作業できる。これにより、ショベル100の作業効率を向上できる。
【0181】
本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSでは、上述した構成を備えることで、保管ヤード1300で作業を行うショベル100に対して、運搬車両300によって運搬される産業廃棄物に関する情報や、運搬車両300が保管ヤードに到着する時刻を認識させることができる。
【0182】
なお、ショベル100に送信される情報は、産業廃棄物に関する情報(例えば、産業廃棄物の種類又は積載量)や、運搬車両300が保管ヤードに到着する時刻に制限するものではなく、産業廃棄物の処理に関する情報であればよい。なお、産業廃棄物の処理に関する情報とは、産業廃棄物の種類や積載量、産業廃棄物が保管ヤード1300に到着する時刻だけではなく、保管ヤード1300において産業廃棄物の処理を行うために必要な情報であれば、どのような情報であってもよい。
【0183】
また、産業廃棄物の処理に関する情報の送信は、運搬車両300からショベル100への送信に制限するものではなく、ショベル100から運搬車両300への送信も含まれる。ショベル100から運搬車両300に送信する、産業廃棄物の処理に関する情報としては、例えば、上述した遅れ要求が含まれている。
【0184】
本実施形態では、運搬車両300が到着する場所が、産業廃棄物の保管ヤードの場合について説明した。しかしながら、本実施形態は、運搬車両300が到着する場所は、所定の場所であればよく、産業廃棄物の保管ヤードに制限するものではない。
【0185】
本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSでは、管理装置200を介して情報を送受信する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、情報の送受信を、管理装置200を介する例に制限するものではなく、運搬車両とショベルとが直接情報を送受信してもよい。
【0186】
本実施形態に係る運搬情報交換システムSYSでは、ショベル100の表示装置50及び運搬車両300の表示装置340に情報を表示する例について説明した。しかしながら、本実施形態は、運転手やオペレータに認識させる手法として、情報の表示に制限するものではなく、音声に出力であってもよいし、音声と表示とを組わせてもよい。
【0187】
(変形例)
上述した実施形態では、通信機器60及び表示装置50を備えたショベル100と、通信機器320及び操作装置330を備えた運搬車両300と、の間で情報を送受信する例について説明した。しかしながら、このような実施態様に制限するものではなく、他の通信装置間で通信を行ってもよい。
【0188】
例えば、運搬車両300に搭乗している運転手が所有する携帯通信装置(例えばスマートフォン)が、上述した制御装置310、通信機器320、操作装置330、及び表示装置340と同様の機能を有してもよい。これにより、運転手が所有する携帯通信装置は、所定の場所(例えば、産業廃棄物の保管ヤード)に搬送される産業廃棄物の処理に関する情報を入力又は出力する通信装置として機能する。産業廃棄物の処理に関する情報としては、産業廃棄物の種類や積載量、さらに所定の場所で産業廃棄物の処理するための到着時刻に関する情報などが含まれる。
【0189】
そして、ショベル100に搭乗しているオペレータが所有する携帯通信装置(例えばスマートフォン)が、上述したコントローラ30、入力装置54、表示装置50、及び通信機器60と同様の機能を有してもよい。これにより、オペレータが所有する携帯通信装置は、産業廃棄物の処理するための所定の場所(例えば、産業廃棄物の保管ヤード)の情報を入力又は出力する通信装置として機能する。所定の場所の情報としては、例えば、保管ヤード(所定の場所の一例)で荷下ろしができないことを示した、運搬車両300に対する到着の遅れ要求などが含まれる。
【0190】
運搬車両300に搭乗している運転手が所有する携帯通信装置と、ショベル100に搭乗しているオペレータが所有する携帯通信装置と、の間で上述した実施形態と同様に情報の送受信を行う。また、携帯通信装置は、上述した実施形態と同様の表示を行う。さらに本変形例では、携帯通信装置で通信を行う場合に、管理装置200を介する例に制限するものではなく、運搬車両300に搭乗している運転手が所有する携帯通信装置と、ショベル100に搭乗しているオペレータが所有する携帯通信装置と、の間で公衆ネットワーク介した通信を行ってもよい。これにより、本変形例では、新たにハードウェアを設けることなく、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0191】
上述した実施形態及び変形例は、産業廃棄物に関する情報の送受信に制限するものではない。例えば、運搬車両が(産業廃棄物ではない)物体を運搬している場合に、当該物体を用いて所定の作業を行っている作業機械と運搬車両との間で、当該物体の処理に関する情報の送信、又は受信するものあればよい。例えば、運搬車両が(複数種類存在する)土砂を運搬している場合に、運搬車両が当該土砂に関する情報を作業機械に送信する場合にも適用できる。
【0192】
さらに、上述した実施形態及び変形例は、情報の送受信を行う作業機械を、ショベルに制限するものではなく、例えば、建設機械など、他の作業機械であってもよい。
【0193】
上述した実施形態及び変形例においては、運搬車両側の通信装置と作業機械(ショベル)側の通信装置との間で、産業廃棄物の処理に関する情報を送受信することで、現在の状況を認識させることができる。これにより、保管ヤードのおける準備や、保管ヤードにおける待機時間の減少を図ることができる。つまり、運搬情報交換システムSYSでは、上述した構成を備えることで、作業効率を向上させることができる。
【0194】
以上、本発明に係る作業機械の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0195】
100 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム(アタッチメント)
5 アーム(アタッチメント)
6 バケット(作業具)
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
30 コントローラ
40 空間認識装置
42 計時装置
50 表示装置
60 通信機器
301 受信制御部
302 表示制御部
303 入力受付部
304 送信制御部
305 保存部
306 記憶部
200 管理装置
210 制御装置
220 通信機器
2101 受信制御部
2102 送信制御部
2103 保存部
2104 記憶部
300 運搬車両
310 制御装置
320 通信機器
330 操作装置
340 表示装置
350 GPSユニット
3101 入力受付部
3102 送信制御部
3103 受信制御部
3104 表示制御部