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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044540
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】全館空調システム、集合住宅
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20230323BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230323BHJP
   F24F 3/16 20210101ALI20230323BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230323BHJP
   F24F 1/02 20190101ALI20230323BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F13/02 D
F24F3/16
F24F8/108 110
F24F1/02 446
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152612
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】若林 徹
(72)【発明者】
【氏名】大西 豊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 健
【テーマコード(参考)】
3L053
3L080
【Fターム(参考)】
3L053BB01
3L053BB06
3L053BB10
3L053BD03
3L080AA02
3L080AC01
(57)【要約】
【課題】全館空調を実行する場合であっても空間の利用効率の低下を抑制する技術を提供する。
【解決手段】空調機300は、廊下14の上方に設けられ、かつ空調した空気を廊下14に吹き出すバッファ吸気口352を備える。バッファ空間150は、廊下14の上部側方に廊下14と隣接して設けられ、かつ第1側面152aが廊下14に対して開かれている。循環ユニット350は、バッファ空間150の上面154に配置され、かつバッファ空間150の空気を吸い込むバッファ吸気口352と、バッファ吸気口352から吸い込んだ空気を居室に送風する送風部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関から居室までに至る共有空間の上方に設けられ、かつ空調した空気を前記共有空間に吹き出す吹出口を備える空調機と、
前記共有空間の上部側方に前記共有空間と隣接して設けられ、かつ側面が前記共有空間に対して開かれたバッファ空間と、
前記バッファ空間の前記側面とは異なる他面に配置され、かつ前記バッファ空間の空気を吸い込むバッファ吸気口と、前記バッファ吸気口から吸い込んだ空気を前記居室に送風する送風部とを備える循環ユニットと、を備え、
前記バッファ空間の体積は、前記共有空間の体積よりも小さく、
前記空調機は、前記バッファ空間の前記側面に前記吹出口を向ける風向制御部を備え、
前記空調機が前記吹出口から吹き出す空調した空気は、前記共有空間を経由して前記バッファ空間に送り込まれる、全館空調システム。
【請求項2】
前記バッファ空間は、
前記側面が前記共有空間に対して開かれ、
前記他面を介して前記循環ユニットと接続し、
前記側面と前記他面とを除く面は他の空間に対して閉じられた請求項1に記載の全館空調システム。
【請求項3】
前記バッファ空間の下方は、前記共有空間に隣接する前記居室に属する請求項1または2に記載の全館空調システム。
【請求項4】
前記バッファ空間の下方は、前記共有空間に属する請求項1または2に記載の全館空調システム。
【請求項5】
前記共有空間は、廊下および玄関の少なくとも1つを含む請求項1から4のいずれかに記載の全館空調システム。
【請求項6】
前記空調機の吹出風量は、前記循環ユニットの吸気風量よりも小さい請求項1から5のいずれか1項に記載の全館空調システム。
【請求項7】
前記居室と前記共有空間の少なくとも1つを含む室内の内気を室外に排気するとともに前記室外の外気を吸気し、前記内気と前記外気との間で熱交換処理を行う熱交換器装置をさらに備え、
前記循環ユニットは、
前記熱交換器装置により熱交換された前記外気を吸い込む外気吸気口と、
前記外気吸気口から吸い込んだ外気と前記バッファ吸気口から吸い込んだ空気とを混合する混合空間と、を備える請求項1から6のいずれかに記載の全館空調システム。
【請求項8】
前記循環ユニットは、
前記混合空間の後段に配置され、かつ混合した空気を浄化する浄化フィルタをさらに備える請求項7に記載の全館空調システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の全館空調システムを備えた集合住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調技術に関し、特に複数の居室の空調を制御する全館空調システム、集合住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
全館空調では、空調ユニットにおいて、空調機で温度調整された空気を建物の各部屋に送風している。空調ユニットには、温度調節された空気を各居室に供給するための複数のダクトが接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-39610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調ユニットは、壁で囲まれた空間である空調室に設置される。つまり、全館空調を実現するためには住宅に空調室が必要になる。一方、マンション等の集合住宅における各住宅では、広さが制限されることが多い。このような住宅において空調室を確保することは困難である。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、全館空調を実行する場合であっても空間の利用効率の低下を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の全館空調システムは、玄関から居室までに至る共有空間の上方に設けられ、かつ空調した空気を共有空間に吹き出す吹出口を備える空調機と、共有空間の上部側方に共有空間と隣接して設けられ、かつ側面が共有空間に対して開かれたバッファ空間と、バッファ空間の側面とは異なる他面に配置され、かつバッファ空間の空気を吸い込むバッファ吸気口と、バッファ吸気口から吸い込んだ空気を居室に送風する送風部とを備える循環ユニットと、を備える。バッファ空間の体積は、共有空間の体積よりも小さく、空調機は、バッファ空間の側面に吹出口を向ける風向制御部を備える。空調機が吹出口から吹き出す空調した空気は、共有空間を経由してバッファ空間に送り込まれる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、全館空調を実行する場合であっても空間の利用効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例に係る住宅の構成を示す図である。
図2図2(a)-(b)は、図1の住宅の一部の拡大図である。
図3図3(a)-(c)は、図1の循環ユニットの構成を示す図である。
図4図1のシステムコントローラの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、複数の住宅が集合した集合住宅、例えばマンションに設けられ、1つの住宅に対する全館空調を実行する全館空調システムに関する。全館空調システムでは、全館空調ユニットにおいて空調された空気が、各居室に設けられた吹出口から吐出される。これまでの全館空調システムにおいて、全館空調ユニットを設置するために専用の空間である空調室が必要になる。一方、住宅では広さが制限されることが多いので、住宅において空調室を確保することは困難である。
【0011】
これに対応するために、本実施例に係る全館空調システムは、全館空調ユニットを、空調機能を有する空調機と、送風機能を有する循環ユニットとに分離する。また、廊下等の共有空間の天井に空調機が設置されるとともに、廊下の壁面の上側部分に凹形状の空間をバッファ空間として設け、バッファ空間に循環ユニットが設定される。このような構成において、空調機は、バッファ空間の方向に向かって、空調した空気を吹き出す。循環ユニットは、空調機からバッファ空間に向かって吹き出された空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、各居室に設けられた吹出口から吐出する。
【0012】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ(工程)およびステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
図1は、住宅500の構成を示す。住宅500は、マンション等の集合住宅における一世帯の住居である。ここでは、一例として、図1の上側を北側とし、下側を南側とし、左側を西側とし、右側を東側とする。住宅500には、居室10と総称される第1居室10aから第6居室10f、玄関12、廊下14、バッファ空間150が含まれる。第1居室10aはキッチンであり、第2居室10bはリビングであり、第3居室10c、第4居室10d、第5居室10eは洋室であり、第6居室10fはサニタリーである。また、玄関12と廊下14の少なくとも1つは共有空間16と呼ばれてもよい。
【0014】
住宅500に設置される全館空調システムは、外気導入口100、外気導入ダクト102、熱交換器装置104、排気ダクト106、排気口108、給気ダクト110、搬送ダクト122と総称される第1搬送ダクト122aから第3搬送ダクト122c、分岐チャンバー124と総称される第1分岐チャンバー124a、第2分岐チャンバー124b、分岐搬送ダクト126と総称される第1分岐搬送ダクト126aから第8分岐搬送ダクト126h、吹出口128と総称される第1吹出口128aから第8吹出口128hを含む。外気導入ダクト102、排気ダクト106、給気ダクト110、搬送ダクト122、分岐搬送ダクト126は、空気を運ぶ管、つまり風路である。また、全館空調システムは、空調機300、循環ユニット350、システムコントローラ400、温度センサ402を含む。
【0015】
外気導入口100は、住宅500の南側の壁面に設置される。外気導入口100から住宅500の内部に向かって延びる外気導入ダクト102は、熱交換器装置104に接続される。熱交換器装置104は、例えば、第6居室10fの天井裏に配置される。熱交換器装置104には、排気ダクト106も接続され、排気ダクト106は住宅500の南側の壁面に向かって延び、南側の壁面に設置された排気口108に接続される。熱交換器装置104には、給気ダクト110も接続される。
【0016】
熱交換器装置104は、熱交換形換気扇とも呼ばれる。熱交換器装置104は、外気導入口100から外気導入ダクト102を通って外気200を取り込む。外気導入口100から吸い込まれた外気200が給気に相当する。また、熱交換器装置104は、換気口114から換気RA(Return Air:還気)202を取り込む。換気RA202は、住宅500の内部、例えば、居室10と共有空間16の少なくとも1つを含む室内から流入された内気である。熱交換器装置104は、これらの間で熱交換を行う。熱交換器装置104は、熱交換の結果、排気ダクト106を通って排気口108から排気204を排出する。また、熱交換器装置104は、熱交換された給気を給気ダクト110経由で循環ユニット350に供給する。
【0017】
全館空調システムにおける空調機300、バッファ空間150、循環ユニット350を説明するために、ここでは、図2(a)-(b)も使用する。図2(a)-(b)は、住宅500の一部の拡大図である。図2(a)は、図1の廊下14を玄関12の方から見た場合の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)を玄関12の方から見た場合の正面図である。廊下14は、上側に配置された天井30と、下側に配置された床面32と、左右の両側に配置された第1壁面40と第2側面42とにより囲まれた空間である。
【0018】
空調機300は、玄関12から居室10までに至る廊下14の上方、つまり天井30の上側である天井裏34に設置される。空調機300の下側面には吸込口302と吹出口304とが配置され、吸込口302と吹出口304は、天井30から廊下14に向かって露出される。吸込口302には、住宅500の内部である廊下14から循環RA206が流入される。循環RA206は、換気RA202と同様に、住宅500内を移動した給気に相当する。空調機300は、エアコンディショナであり、循環RA206に対して空調を実行する。空調機300は、廊下14の温度が設定された温度(以下、「設定温度」という)となるように、循環RA206に対して、温度、湿度等を制御する。設定温度は、システムコントローラ400により設定される。吹出口304は、空調した空気を廊下14に吹き出す。
【0019】
空調機300が設置される廊下14に隣接した空間として、第1壁面40の上側にはバッファ空間150が設けられる。バッファ空間150は箱形形状を有しており、バッファ空間150における廊下14側の第1側面152aは、廊下14に対して開かれた開口である。また、バッファ空間150における上側の上面154は天井30とつながっており、上面154では、天井裏34に設置された循環ユニット350のバッファ吸気口352が露出する。バッファ空間150における第1側面152a以外の側面(以下、「第2側面152b」と総称する)と、バッファ空間150における下側の下面156は、閉じられた平面である。
【0020】
図3(a)-(c)は、循環ユニット350の構成を示す。図3(a)の循環ユニット350は、バッファ吸気口352、外気吸気口354、混合空間360、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ362、送風部364を含む。バッファ吸気口352は、バッファ空間150の空気、つまり空調機300から吹き出された空気を吸い込む。外気吸気口354は、熱交換器装置104により熱交換された外気を吸い込む。外気吸気口354は、給気ダクト110に接続され、熱交換器装置104により熱交換された外気を吸い込む。
【0021】
混合空間360は、バッファ吸気口352に接続されるとともに、外気吸気口354にも接続される空間である。混合空間360は、外気吸気口354から吸い込んだ外気とバッファ吸気口352から吸い込んだ空気とを混合する。HEPAフィルタ362は、エアフィルタ、浄化フィルタであり、混合空間360の後段に配置され、かつ混合空間360において混合された空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された空気を出力する。送風部364は、HEPAフィルタ362において清浄された空気を、送風口356に接続された第1搬送ダクト122aから搬送する。そのため、送風口356は、混合した空気を第1搬送ダクト122aに送風する。循環ユニット350は、空調機300とは独立して制御可能であり、例えばシステムコントローラ400により制御される。図3(a)-(c)は後述し、図1図2(a)-(b)に戻る。
【0022】
以上の構成において、空調機300の吹出口304はバッファ空間150の第1側面152aに向けられるので、空調機300は、バッファ空間150に向かって、空調した空気を吹き出す。また、バッファ空間150の体積は、廊下14の体積よりも小さくされ、空調機300の吸込口302からの吹出風量は、循環ユニット350のバッファ吸気口352への吸気風量よりも小さくされる。これらにより、空調機300が吸込口302から吹き出す空調した空気は、廊下14を経由してバッファ空間150に送り込まれるが、空調した空気によりバッファ空間150が満たされやすくなる。循環ユニット350のバッファ吸気口352により吸い込まれる空気には、空調した空気が主として含まれる。このように、バッファ空間150を設けること、バッファ空間150の近くの廊下14に空調機300を設置すること、バッファ空間150に循環ユニット350を設置することによって、空調室が不要になる。また、バッファ空間150の下方は、廊下14に隣接する第5居室10eに属する。
【0023】
第1搬送ダクト122aは、第2搬送ダクト122bと第3搬送ダクト122cに分岐される。第2搬送ダクト122bは第1分岐チャンバー124aまで延びて、第1分岐チャンバー124aにおいて第1分岐搬送ダクト126aから第4分岐搬送ダクト126dに分岐される。第1分岐搬送ダクト126aは、第1居室10aに設置された第1吹出口128aに接続される。第2分岐搬送ダクト126bは、第2居室10bに設置された第2吹出口128bに接続され、第3分岐搬送ダクト126cは、第2居室10bに設置された第3吹出口128cに接続される。第4分岐搬送ダクト126dは、第3居室10cに設置された第4吹出口128dに接続される。
【0024】
第3搬送ダクト122cは、第2分岐チャンバー124bまで延びて、第2分岐チャンバー124bにおいて第5分岐搬送ダクト126eから第8分岐搬送ダクト126hに分岐される。第5分岐搬送ダクト126eは、第4居室10dに設置された第5吹出口128eに接続され、第6分岐搬送ダクト126fは、第4居室10dに設置された第6吹出口128fに接続される。第7分岐搬送ダクト126gは、第5居室10eに設置された第7吹出口128gに接続される。第8分岐搬送ダクト126hは、廊下14に設置された第8吹出口128hに接続される。
【0025】
空調機300は、空調された空気を第1搬送ダクト122a、第2搬送ダクト122b、第1分岐チャンバー124a、第1分岐搬送ダクト126aから第4分岐搬送ダクト126d、第1吹出口128aから第4吹出口128d経由で第1居室10aから第3居室10cに搬送する。空調機300は、空調された空気を第1搬送ダクト122a、第3搬送ダクト122c、第2分岐チャンバー124b、第5分岐搬送ダクト126eから第8分岐搬送ダクト126h、第5吹出口128eから第8吹出口128h経由で第4居室10d、第5居室10e、廊下14に搬送する。
【0026】
各吹出口128は、各居室10の側壁の面もしくは天井の面に設置され、循環ユニット350から送風された空気を各居室10に吐出する。各居室10は廊下14に接続されるので、吹出口128から空気が吹き出されることによって、居室10にもともと存在した空気は、廊下14にも循環する。循環する空気の一部は循環RA206として吸込口302から空調機300に流入される。また、循環する空気の別の一部は換気RA202として換気口114から熱交換器装置104に取り込まれる。
【0027】
温度センサ402は、第2居室10bに設置され、住宅500、例えば第2居室10bの温度を検知する。温度センサ402は、無線通信等の通信機能を有し、検知した温度をシステムコントローラ400に送信する。
【0028】
システムコントローラ400は、全館空調システム全体を制御するコントローラである。システムコントローラ400は、空調機300、循環ユニット350、温度センサ402と、無線通信により通信可能に接続される。これらのうちの少なくとも一部が有線通信により通信可能に接続されてもよい。システムコントローラ400は、温度センサ402から温度を受信する。
【0029】
また、システムコントローラ400は、全館空調システムを構築するために必要な情報の入力を受けつけるためのインターフェースを備える。例えば、システムコントローラ400は、全館空調システムにおいて設定すべき温度(以下、「設定温度」という)を受けつける。システムコントローラ400は、受信した温度と、設定温度とをもとに、空調機300と循環ユニット350に対する制御を実行する。システムコントローラ400は、空調機300に対する動作の指示を空調機300に送信し、循環ユニット350の送風部364に対する動作の指示を循環ユニット350に送信する。
【0030】
システムコントローラ400におけるインターフェース機能は、システムコントローラ400とは別の通信装置であって、かつシステムコントローラ400と通信可能な通信装置に備えられてもよい。通信装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末である。
【0031】
図4は、システムコントローラ400の構成を示す。システムコントローラ400は、温度センサ402、操作部410、空調機300、循環ユニット350に接続され、制御部412、記憶部414を含む。操作部410は、前述のインターフェースであり、設定温度を受けつける。操作部410は設定温度をシステムコントローラ400に出力する。温度センサ402は、居室10の温度を検知すると、居室10の温度をシステムコントローラ400に出力する。
【0032】
制御部412は、居室10の温度と、設定温度とをもとに、空調機300に対する温度制御を実行し、循環ユニット350に対する風量制御を実行する。温度制御と風量制御には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略するが、温度制御と風量制御において記憶部414に記憶されたデータが使用されてもよい。空調機300の風向制御部310は、バッファ空間150の第1側面152aに吹出口304を向ける制御を実行する。なお、風向制御部310は風向を一方向に固定する風向板でもよい。
【0033】
図3(b)は、図3(a)の循環ユニット350の変形例である。図3(b)では、図3(a)における循環ユニット350が第1循環ユニット350aと第2循環ユニット350bに分離される。第1循環ユニット350aは、バッファ吸気口352、外気吸気口354、混合空間360、HEPAフィルタ362を含み、第2循環ユニット350bは、送風部364を含む。図3(c)も、図3(a)の循環ユニット350の変形例である。図3(c)では、図3(a)における循環ユニット350と分岐チャンバー124とが一体的に組み合わされる。
【0034】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0035】
本実施例によれば、共有空間16の上方に空調機300を設け、共有空間16に隣接したバッファ空間150に循環ユニット350を設けるので、全館空調のための空調室を不要にできる。また、全館空調のための空調室が不要になるので、全館空調を実行する場合であっても空間の利用効率の低下を抑制できる。また、バッファ空間150の体積を共有空間16の体積よりも小さく、空調機300は、バッファ空間150の側面に吹出口304を向けるので、空調した空気でバッファ空間150を満たしやすくできる。また、空調した空気でバッファ空間150が満たされるので、空調室を設けなくでも全館空調を実行できる。
【0036】
また、バッファ空間150は、第1側面152aで共有空間16に対して開かれ、上面154を介して循環ユニット350と接続し、これら以外の面は他の空間に対して閉じられるので、空調した空気を取り込み可能な小さい空間を形成できる。また、バッファ空間150の下方は、共有空間16に隣接する居室10に属するので、空間を有効に利用できる。また、共有空間16は、廊下14および玄関12の少なくとも1つを含むので、構成の自由度を向上できる。また、空調機300の吹出風量は、循環ユニット350の吸気風量よりも小さいので、空調機300から吹き出された空気を効率的にバッファ空間150に導くことができる。また、循環ユニット350は、熱交換器装置104により熱交換された外気と、バッファ吸気口352から吸い込んだ空気とを混合するので、全館空調を実行できる。また、循環ユニット350はHEPAフィルタ362を含むので、空気を浄化できる。
【0037】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の全館空調システムは、玄関(12)から居室(10)までに至る共有空間(16)の上方に設けられ、かつ空調した空気を共有空間(16)に吹き出す吹出口(304)を備える空調機(300)と、共有空間(16)の上部側方に共有空間(16)と隣接して設けられ、かつ側面が共有空間(16)に対して開かれたバッファ空間(150)と、バッファ空間(150)の側面とは異なる他面に配置され、かつバッファ空間(150)の空気を吸い込むバッファ吸気口(352)と、バッファ吸気口(352)から吸い込んだ空気を居室(10)に送風する送風部(364)とを備える循環ユニット(350)と、を備える。バッファ空間(150)の体積は、共有空間(16)の体積よりも小さく、空調機(300)は、バッファ空間(150)の側面に吹出口(304)を向ける風向制御部(310)を備える。空調機(300)が吹出口(304)から吹き出す空調した空気は、共有空間(16)を経由してバッファ空間(150)に送り込まれる。
【0038】
バッファ空間(150)は、側面が共有空間(16)に対して開かれ、他面を介して循環ユニット(350)と接続し、側面と他面とを除く面は他の空間に対して閉じられた。
【0039】
バッファ空間(150)の下方は、共有空間(16)に隣接する居室(10)に属してもよい。
【0040】
バッファ空間(150)の下方は、共有空間(16)に属してもよい。
【0041】
共有空間(16)は、廊下(14)および玄関(12)の少なくとも1つを含んでもよい。
【0042】
空調機(300)の吹出風量は、循環ユニット(350)の吸気風量よりも小さい。
【0043】
居室(10)と共有空間(16)の少なくとも1つを含む室内の内気を室外に排気するとともに室外の外気を吸気し、内気と外気との間で熱交換処理を行う熱交換器装置(104)をさらに備えてもよい。循環ユニット(350)は、熱交換器装置(104)により熱交換された外気を吸い込む外気吸気口(354)と、外気吸気口(354)から吸い込んだ外気とバッファ吸気口(352)から吸い込んだ空気とを混合する混合空間(360)と、を備えてもよい。
【0044】
循環ユニット(350)は、混合空間(360)の後段に配置され、かつ混合した空気を浄化する浄化フィルタ(362)をさらに備えてもよい。
【0045】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0046】
本実施例におけるバッファ空間150の下方は、共有空間16に隣接する居室10に属している。しかしながらこれに限らず例えば、バッファ空間150の下方は、共有空間16に属していてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0047】
本実施例における全館空調システムでは、システムコントローラ400、温度センサ402を使用して空調機300、循環ユニット350が動作している。しかしながらこれに限らず例えば、システムコントローラ400、温度センサ402を使用せず、空調機300と循環ユニット350がそれぞれ連携なく動作してもよい。つまり、空調機300と循環ユニット350とが単独運転してもよい。本変形例によれば、構成を簡易にできる。
【符号の説明】
【0048】
10 居室、 12 玄関、 14 廊下、 16 共有空間、 30 天井、 32 床面、 34 天井裏、 40 第1壁面、 42 第2側面、 100 外気導入口、 102 外気導入ダクト、 104 熱交換器装置、 106 排気ダクト、 108 排気口、 110 給気ダクト、 114 換気口、 122 搬送ダクト、 124 分岐チャンバー、 126 分岐搬送ダクト、 128 吹出口、 150 バッファ空間、 152 側面、 154 上面、 156 下面、 200 外気、 202 換気RA、 204 排気、 206 循環RA、 300 空調機、 302 吸込口、 304 吹出口、 310 風向制御部、 350 循環ユニット、 352 バッファ吸気口、 354 外気吸気口、 356 送風口、 360 混合空間、 362 HEPAフィルタ、 364 送風部、 400 システムコントローラ、 402 温度センサ、 410 操作部、 412 制御部、 414 記憶部、 500 住宅。
図1
図2
図3
図4