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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004456
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】電動機制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/64 20160101AFI20230110BHJP
   H02P 29/024 20160101ALI20230110BHJP
【FI】
H02P29/64
H02P29/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106115
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 瑜
(72)【発明者】
【氏名】高野 裕理
(72)【発明者】
【氏名】高田 英人
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501BB20
5H501CC05
5H501DD04
5H501GG03
5H501HB08
5H501HB16
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501JJ18
5H501JJ22
5H501JJ25
5H501KK06
5H501LL14
5H501LL22
5H501LL35
5H501LL51
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】
低コストで電動機の消費電力を計算する電動機制御装置を提供することにある。
【解決手段】
交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、コンバータ部からの直流電圧から交流電圧に変換し、前記交流電圧を電動機に供給するインバータ部と、
前記インバータ部を制御するインバータ制御部と、前記電動機に流れる電流を検出する電流検出部と、検出した前記電流から前記電動機の温度を推定し、推定した前記温度から前記電動機の抵抗値を計算し、計算した前記抵抗値から銅損を計算する電力計算部とを有する電動機制御装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、
コンバータ部からの直流電圧から交流電圧に変換し、前記交流電圧を電動機に供給するインバータ部と、
前記インバータ部を制御するインバータ制御部と、
前記電動機に流れる電流を検出する電流検出部と、
検出した前記電流から前記電動機の温度を推定し、推定した前記温度から前記電動機の抵抗値を計算し、計算した前記抵抗値から銅損を計算する電力計算部とを有する電動機制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機制御装置において、
前記電力計算部は、
q軸検出電流値と速度検出値から機械出力を計算する機械出力計算部を有する電動機制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動機制御装置において、
前記電力計算部は、
前記銅損と前記機械出力に基づいて消費電力積算値を計算する積算処理部を有する電動機制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電動機制御装置において、
前記銅損もしくは前記機械出力の開始時間における値と、前記銅損もしくは前記機械出力の終了時間における値との差分を、閾値を比較し、
前記差分が前記閾値を超える場合には、アラーム信号を出力する異常検知部を有する電動機制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電動機制御装置において、
前記銅損と前記機械出力の和の消費電力として計算し、前記消費電力がポジティブな時間を運転時間とし、
運転時間と通電時間とから稼働率を計算し、
前記稼働率と前記消費電力と前記通電時間から総電力消費量を計算する総電力消費量計算部を有する電動機制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電動機制御装置において、
前記電力計算部は、
前記電流検出部からの負荷電流と前記温度との対応関係から前記電動機の温度を推定する電動機制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電動機制御装置において、
前記電力計算部は、
前記電流検出部からのd軸電流検出値とq軸電流検出値から前記負荷電流の値を計算する電動機制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動機制御装置の直流側の電流Iと電圧Vを検出する手段と、電動機制御装置の一部であるインバータで制御しているd軸分電流値Idとq軸分電流値Iqとを検出する手段と、誘導機内部の温度tを検出する手段と、誘導機の回転数Nを検出する手段と、これら検出信号に基づいて軸トルクを算出するとともに温度補正を行うトルク演算装置とを備え、トルク演算装置は、T=K/N・[IV-K1・α・r1・(Id+Iq)-K2・α・r2・Iq -E]に基づいて軸トルクTを算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-194240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、高価な電力検出変換器なしで電力計算ができるが、銅損を計算のために使う抵抗値は、温度変化によって変わるため、温度検出器を使わないと正しい値を計算することができない。また、温度検出器を追加すると、温度検出器の原価だけではなく、基板の設計変更、製造ラインの金型変更等諸々な所で費用が発生するので、コストが高くなる。
【0005】
本発明の目的は、低コストで電動機の消費電力を計算する電動機制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい一例としては、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部と、コンバータ部からの直流電圧から交流電圧に変換し、前記交流電圧を電動機に供給するインバータ部と、前記インバータ部を制御するインバータ制御部と、前記電動機に流れる電流を検出する電流検出部と、検出した前記電流から前記電動機の温度を推定し、推定した前記温度から前記電動機の抵抗値を計算し、計算した前記抵抗値から銅損を計算する電力計算部とを有する電動機制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コストで電動機の消費電力を計算する電動機制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1における電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施例1における電力計算部の機能ブロック図の一例である。
図3】サーマル動作時間と電動機に流れる電流の関係を示す図である。
図4】実施例2における電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施例2における異常検知部の機能ブロック図である。
図6】実施例3における電動機制御装置の構成を示すブロック図である。
図7】実施例3における総消費量計算部の機能ブロック図である。
図8】負荷電流から推定温度を出力する温度推定部の構成を示す図。
図9】推定温度と経過時間と負荷電流の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例0010】
図1から図3を用いて実施例1を説明する。
【0011】
図1は、実施例1の電力計算部を追加した電動機制御装置の構成を示すブロック図の一例である。図1には、電動機制御装置007に加えて、電動機制御装置007へ電源を供給する三相電源100と、電動機制御装置007からの電力が供給される負荷等が示される。
【0012】
負荷は、例えば、PM電動機(三相の永久磁石式同期電動機)008である。電動機制御装置007は、インバータ回路004と、コンバータ回路001と、電流検出器005と、制御器002と、電力計算部003、電流センサ006、メモリ009とを備える。
【0013】
コンバータ回路001は、外部の三相電源100からの三相交流電圧を直流電圧Vdcに変換してインバータ回路004に供給する。インバータ回路004は当該直流電圧Vdcを交流電圧(三相電圧Vu、Vv、Vw)に変換し、当該三相交流電圧Vu、Vv、VwをPM電動機(PMモータ)008に供給(通電)する。
【0014】
電流センサ006は、当該三相交流電圧Vu、Vv、Vwの供給ラインに繋がるように設置される。電流検出器005は、電流センサ006に介して、PM電動機008に流れる負荷電流を検出する。
【0015】
この例では、電流検出器005は、電流センサ006に介してu相電流Iuとw相電流Iwを検出し、IuとIwの電流値を基づいてIvを算出、当該三相電流Iu、Iv、Iwを座標変化し、d軸電流検出値Idとq軸電流検出値Iqを算出する。そして、電流検出器005は、d軸電流検出値Idとq軸電流検出値Iqをベクトル合成することで、負荷電流値Iを検出する。
【0016】
制御器002(インバータ制御部)は、PM電動機008の動作状態を目標状態に近づけるようにインバータ回路004を制御する。この例では、制御器002は、外部からの速度指令値Nrefを受け、PM電動機を当該速度指令値Nrefに基づく回転速度で回転させるための三相電圧指令値Vuref、Vvref、Vwrefを、位置センサレスのベクトル制御を用いて生成する。
【0017】
具体的には、制御器002は、例えば、誘起電圧オバーザーバ等を用いてPM電動機008の回転速度を推定し、当該回転速度と速度指令値Nrefとの誤差に基づきd軸およびq軸の電流指令値を算出し、当該電流指令値とd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqとの誤差に基づき三相電圧指令値Vuref、Vvref、Vwrefを算出する。
【0018】
インバータ回路004は、三相電圧指令値Vuref、Vvref、Vwrefに基づくPWM(Pulse Width Modulation)信号でスイッチング動作を行うことで三相交流電圧Vu、Vv、Vwを生成する。また、PM電動機008が位置検出器付きの場合などは、その位置検出器出力の時間差分結果によりPM電動機008の回転速度を導出して、制御器002へ入力しても良い。
【0019】
ここで、三相電源100からの出力電力について、以下の式(1)のように表される。
【0020】
【数1】
【0021】
ここで、式(1)の中のコンバータ損(Pconv)は電動機制御装置007内部のコンバータ回路001による発生した損失である。変換損(Ptrans)は電動機制御装置007内部のインバータ回路004による発生した損失である。鉄損(Ps)はPM電動機008の内部の磁性材料コアの磁気ヒステリシスと渦電流による損失である。銅損(Pc)はPM電動機008の内部の巻き線の電流により電力の損失である。機械損(Pmechaloss)は回転時各部分の摩擦による損失である。機械出力(Pmecha)は最終的にPM電動機008から負荷に出力された有効に利用された電力である。
【0022】
銅損(Pc)と比べると、他の損失が小さいため、この発明の電力を計算する際は銅損だけを考慮する。したがって、電力の計算が式(2)のように簡略される。
【0023】
【数2】
【0024】
そして、式(2)の機械出力(Pmecha)と銅損(Pc)の計算はそれぞれ、式(3)と式(4)で表される。
【0025】
【数3】
【0026】
ここで、τはPM電動機008のトルクである。ωはPM電動機008の速度検出値310である。Kmechaは機械出力ゲイン314である。
【0027】
【数4】
【0028】
ここで、Iqは電流検出器005から検出されたq軸電流検出値312である、Idは電流検出器005から検出されたd軸電流検出値311である、RtはPM電動機008の相抵抗である、Kcは銅損ゲイン317である。
【0029】
相抵抗RtはPM電動機008の温度Tにより変化する。PM電動機008の温度Tはサーマル動作時間tと負荷電流Iのサーマル曲線から求めることができる。PM電動機のサーマル動作時間t(縦軸)とPM電動機に流れる負荷電流I(横軸)のサーマル曲線の一例を、図3で表す。
【0030】
図9は、電子サーマル処理において利用される、PM電動機の推定温度とPM電動機に流れる負荷電流と経過時間との関係を示す。実線や点線などで示したように負荷電流が増加するに従い推定温度が増加する。このような負荷電流と推定温度との対応関係をテーブルとして、温度推定部のメモリなどに記録させ、負荷電流に基づいてPM電動機の温度を推定することができる。
【0031】
式(5)で相抵抗Rtと温度Tの関係を表す。ここで、Tはその時のPM電動機008の温度である。RtはPM電動機008の温度がTになった時のPM電動機008相抵抗の抵抗値である。R20は20℃の時のPM電動機008の相抵抗の抵抗値である。α20は金属の銅が温度20℃の時の抵抗温度係数である。
【0032】
【数5】
【0033】
電力計算部003は、式(2)、式(3)、式(4)および式(5)を使用し、PM電動機008の消費電力を算出する。電流検出器005からのd軸電流検出値311とq軸電流検出値312と、制御器002から速度検出値ω310を受け、機械出力と銅損を算出し、実際の電力消費量Pを変数としてメモリ009に保存し、外部機器に表示される。具体的には図2を用いて説明する。
【0034】
制御器002、電流検出器005、および電力計算部003は、マイコン(マイクロコンピュータ)やDSP(Digital Signal Processor)などの半導体集積回路(演算制御手段)によって構成される。制御部は、いずれかまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアで構成することができる。制御器002、電流検出器005、電力計算部003を構成するCPU(Central Processing Unit)が、メモリなどの記録装置に保持するプログラムを読み出して、制御器002、電流検出器005、および電力計算部003の処理を実行する。
【0035】
図2は、本実施例における電力計算部003の機能ブロック図の一例である。図2は、入力データを機械出力計算部323、銅損計算部324、積算処理部325介して出力データの算出過程が示される。入力データは、例えば、速度検出値ω310、d軸電流検出値311、q軸電流検出値312である。出力データは、例えば、機械出力320、消費電力積算値321、銅損322である。機械出力計算部323はトルクゲイン313と、機械出力ゲイン314とを備える。銅損計算部324は温度推定部315と、抵抗ゲイン316と、銅損ゲイン317とを備える。積算処理部325は積分ゲイン318と、1/z(ユニット遅延部)319とを備える。
【0036】
トルクゲイン、抵抗ゲイン、機械出力ゲインなど各種のゲインは、定数などの値としてあらかじめ設定しておく。
【0037】
機械出力計算部323について説明する。機械出力計算部323は、制御器002から受け取る速度検出値ω310と、電流検出器005から受け取るq軸電流検出値312を入力する。
【0038】
機械出力計算部323は、q軸電流検出値312をトルクゲイン313に乗算し、実際のPM電動機008のトルクτを算出する。機械出力計算部323は、算出したトルクτを速度検出値ω310と乗算し、機械出力の内部量を算出する。そして、機械出力計算部323は、算出した機械出力の内部量を機械出力ゲイン314に乗算し、PM電動機008の機械出力320を算出する。
【0039】
銅損計算部324について説明する。図8に示すように、電動機の温度を保護する電子サーマル処理部701の入力である負荷電流Iを、温度推定部315の入力にする構成とすることができる。
【0040】
電流検出器005からのd軸電流検出値311とq軸電流検出値312に基づいて、温度推定部315は、負荷電流Iの値(d軸電流検出値311の2乗とq軸電流検出値312の2乗の和の平方根)を入力する。温度推定部315は、記録しておいた負荷電流と推定温度との対応関係から、温度推定部はPM電動機008の推定温度Tを推定する。銅損計算部324は、推定温度を抵抗ゲインと乗算し、PM電動機008の実際の抵抗値Rtを算出する。
【0041】
銅損計算部324は、算出した抵抗値Rtをd軸電流検出値311の平方とq軸電流検出値312の平方の和と乗算し、銅損の内部量を算出する。銅損計算部324は、算出した銅損の内部量を銅損ゲイン317に乗算し、PM電動機008の銅損322を算出する。
【0042】
最後に、積算処理部325について説明する。積算処理部325は、算出された機械出力320と銅損322の和を積分ゲイン318と乗算し、毎処理サンプリング周期の消費電力を算出する。ユニット遅延部319は前回値を持って、今回のサンプリング周期の消費電力に加算する。積算処理部325の最後の出力は消費電力積算値321となる。
【0043】
本実施例における電力計算部003の出力となる機械出力320、銅損322と消費電力積算値321は変数としてメモリ009に保存される。
【0044】
本実施例によれば、検出電流値から温度を推定し、抵抗の値の補正計算を行うことにより高精度な銅損計算ができ、温度検出器を使わなくても、PM電動機の消費電力を計算することができる。温度検出器の代わりに、検出電流値から温度を推定することにより、実際の抵抗値を補正することができる。また、この抵抗値を使用する銅損計算により、温度計を利用した銅損計算と同精度のPM電動機の消費電力計算をすることができる。
【実施例0045】
図4図5を用いて実施例2を説明する。
【0046】
図4は、本実施例における電力計算部003、メモリ009、タイマ011と異常検知部010を追加した電動機制御装置007の構成を示すブロック図の一例である。図4に記載の構成のうち、図1と同じ符号を付した構成は図1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
異常検知部010は、メモリ009に保存されたデータ(機械出力320と銅損322)とタイマ011の時間の情報を入力する。そして、異常発見時はアラームALsts信号810を出力する。
【0048】
図5は、本実施例における異常検知部010の機能ブロック図の一例である。入力変数801の値としては銅損322と機械出力320のなかの一つをユーザなどが予め定めて選択しておく。異常検知部010は、開始時間802と終了時間803が設定されている。異常検知部010は、タイマ011を使用する。
【0049】
開始時間802の入力変数801の値は第1のスイッチ821を通過し、開始時間802以外がゼロとして第1のスイッチ821において積算され第1のスイッチ821の出力は開始時間802における開始時変数値805(開始時の銅損322もしくは機械出力320)となる。
【0050】
また、終了時間803の入力変数801の値は第2のスイッチ822を通過し、終了時間803以外がゼロとして第2のスイッチ822おいて積算され第2のスイッチ822の出力は終了時間803における終了時変数値806(終了時の銅損322と機械出力320)となる。
【0051】
異常検知部010は、第1のスイッチ821と第2のスイッチ822の出力である開始時変数値805と終了時変数値806の差を取り、実際変化量808を算出する。また、異常検知部010には、理想の計算量とする想定変数変化量804を設定しておく。
【0052】
異常検知部010は、想定変数変化量804に調整ゲインKPm807に乗算し、安全運転ための閾値809を算出する。当該閾値809を実際変化量808と比較し、閾値809を超える時は異常であるとしてアラームALsts信号810を出力する。
【0053】
アラームALsts信号810を外部装置などが受け取ると、物理的な音声、光のアラームで異常通知として出す。例えば、警告音を鳴らす、ランプを点滅する。
【0054】
本実施例によれば、例えば、負荷装置に異常な負荷を加えて、異常な電流が流れる、電力が異常に大きくなる等の異常が発生する際に素早く通知され、対応することができる。
【実施例0055】
図6図7を用いて実施例2を説明する。
【0056】
図6は本実施例における電力計算部003、メモリ009、タイマ011と総電力消費量計算部012を追加した電動機制御装置の構成を示すブロック図の一例である。図6に記載の構成のうち、図1と同じ符号を付した構成は図1の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
総電力消費量計算部012は、メモリ009から消費電力902(機械出力320と銅損322の和)、通電時間903とタイマ011から時間の情報を入力する。総電力消費量計算部012の出力Pyは、総電力消費量904である。
【0058】
図7は、本実施例の総電力消費量計算部012の機能ブロック図の一例である。例えば総電力消費量を計算すると式(6)を参照する。
【0059】
【数6】
【0060】
ここで、予想通電時間909は予想された一定の時間(例えば年間、月間、週間等)の通電時間である。消費電力902は、式(2)に示したようにメモリ009からの機械出力320と銅損322の和である。
【0061】
通電時間903はタイマ011からのこのサンプリング周期の時間である。運転時間901はサンプリング周期の時間の中で実際に消費電力がポジティブな時間である。
【0062】
消費電力902がポジティブな時は、スイッチ905が、運転時間901と消費電力902を稼働率計算部906に渡す。そして、総電力消費量計算部012の稼働率計算部906は、PM電動機008における実際の通電時間903と合わせて、稼働率計算部906で稼働率を計算する。
【0063】
総電力消費量計算部012は、稼働率と消費電力902を乗算する。その乗算結果は積分処理部(1/z)907に入力される。積分処理部907が年間通電時間909まで積分し、年間電力消費量908を計算して出力する。
【0064】
本実施例によれば、実際の運転数値から、予測したい週間、月間、年間等の総電力消費量を推定することができ、電力の消費量が把握できるから、より効率的な工場管理につながる。
【0065】
実施例2もしくは実施例3に示した、異常検知部010、タイマ011、および総電力消費量計算部012は、上述した制御器などと同じくマイコン(マイクロコンピュータ)やDSP(Digital Signal Processor)などの半導体集積回路(演算制御手段)によって構成され、CPU(Central Processing Unit)が、メモリなどの記録装置に保持するプログラムを読み出して、異常検知部010などの処理を実行する。
【0066】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
001…コンバータ回路、002…制御器、003…電力計算部、004…インバータ回路、010…異常検知部、012…総電力消費量計算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9