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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044605
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022564
(22)【出願日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/118935
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】512020327
【氏名又は名称】ペガヴィジョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PEGAVISION CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2F-1,No.5,SHING YEH ST.,GUISHAN DIST.,TAOYUAN CITY 333,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ハン-イ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リ-タン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ワン-ロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イ-チョウ
(72)【発明者】
【氏名】フー,ユ-チェン
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC06
(57)【要約】
【課題】コンタクトレンズを提供する。
【解決手段】レンズ本体と、レンズ本体に埋め込まれ、互いに異なる複数のカラーインク膜厚を有するカラーインク層とを備え、カラーインク層は、M種類の面積を含む複数のカラーインク要素を含有し、Mが1よりも大きい自然数であり、且つカラーインク層は、第1のカラーインク膜厚~第1+nのカラーインク膜厚を更に含み、nが0よりも大きい自然数であり、カラーインク膜厚とM種類の面積は、M*(1+n)単位のカラーインク濃度を形成し、且つM*(1+n)単位のカラーインク濃度がレンズ本体にカラーパターンを形成するコンタクトレンズ。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ本体と、
前記レンズ本体に埋め込まれ、互いに異なる複数のカラーインク膜厚を有するカラーインク層と
を備え、
前記カラーインク層が、M種類の面積を含む複数のカラーインク要素を含有し、Mが1よりも大きい自然数であり、且つ前記カラーインク層が、第1のカラーインク膜厚~第1+nのカラーインク膜厚を更に含み、nが0よりも大きい自然数であり、前記カラーインク膜厚と前記M種類の面積が、M*(1+n)単位のカラーインク濃度を形成し、且つ前記M*(1+n)単位のカラーインク濃度が、前記レンズ本体にカラーパターンを形成する、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記カラーインク膜厚が、4マイクロメートル~316マイクロメートルの範囲内にある、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記カラーインク要素が、第1の直径を有する少なくとも1つの第1のカラーインク要素と、第2の直径を有する少なくとも1つの第2のカラーインク要素とを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記第1の直径及び前記第2の直径が、0.03ミリメートル~14ミリメートルの範囲内にある、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記カラーインク層が、第1の色を有する第1のサブ層と、第2の色を有する第2のサブ層とを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記第1のサブ層が、複数の第1のカラーインク膜厚を有し、前記第2のサブ層が、少なくとも1つの第2のカラーインク膜厚を有し、且つ前記カラーインク層が、前記第1のサブ層と前記第2のサブ層との重なり部分において、少なくとも1つの第3のカラーインク膜厚を有する、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記M*(1+n)単位のカラーインク濃度が、少なくとも1種類のカラーインク顔料を含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
互いに異なる複数のカラーインク膜厚を有するカラーインク層を下型に形成する工程と、
上型と前記下型とを結合させる工程と、
前記カラーインク層を覆うように、透明なゲル素材を前記上型と前記下型との間に充填する工程と、
前記透明なゲル素材をレンズ本体となるように硬化させることで、前記カラーインク層を前記レンズ本体に埋め込める工程と
を備える、コンタクトレンズの製造方法。
【請求項9】
透明保護層を前記下型に充填する工程を更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記透明保護層を前記下型に充填する前記工程が、前記カラーインク層を前記下型に形成する前記工程の前に行われ、これにより、前記カラーインク層を前記透明保護層に形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カラーインク層を前記下型に形成する前記工程が、
カラーインクを型板における異なる深さを有する複数の凹部に充填することと、
充填された前記カラーインクを前記下型に転写することと
を含み、
前記カラーインクが、前記下型に前記カラーインク層を形成する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記カラーインク層を前記下型に形成する前記工程が、
第1のカラーインクを第1の型板における異なる深さを有する複数の第1の凹部に充填することと、
充填された前記第1のカラーインクを前記下型に転写することと、
第2のカラーインクを第2の型板における異なる深さを有する複数の第2の凹部に充填することと、
充填された前記第2のカラーインクを前記下型に転写することと
を含み、
前記第1のカラーインク及び前記第2のカラーインクが、前記下型に前記カラーインク層を形成する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のカラーインクと前記第2のカラーインクとは、色が異なる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のカラーインクと前記第2のカラーインクとが、それぞれ前記カラーインク層の第1のサブ層及び第2のサブ層を形成し、前記第1のサブ層が、複数の第1のカラーインク膜厚を有し、前記第2のサブ層が、少なくとも1つの第2のカラーインク膜厚を有し、且つ前記カラーインク層が、前記第1のサブ層と前記第2のサブ層との重なり部分において、少なくとも1つの第3のカラーインク膜厚を有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンタクトレンズ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレーム付きの従来の眼鏡を着用することを好まない一部のユーザーのニーズを満たすために、コンタクトレンズは、現在市場で広く流通している製品となっている。近年、異なる色及びパターンが印刷されたコンタクトレンズも、化粧や美容に対する旺盛な需要のために次々と登場している。当業界における従来のコンタクトレンズの製造方法では、パターン転写を実行する作業者は、型板を用いて透明なゲル素材(例えば、コンタクトレンズのレンズ部分を形成する透明乾燥シート)を押圧することで、型板に付着したカラーインクを透明なゲル素材に転写することができ、コンタクトレンズにパターンを付与することとなる。
【0003】
しかしながら、従来のコンタクトレンズのパターンは、いくつかのカラーインク要素間の大きさと色の違いだけによってコントラスト又は階調を示すことができる。それに加えて、コンタクトレンズのパターン転写に関する先行技術にも限界がある。上記制限により、パターンは、カラーインク要素の直径の大きさと色との違いによりパターンコントラストを呈することができても、また他の手段によってパターンの視覚的なコントラスト、階層及び立体効果を更に突破させることはできない。
【0004】
従って、コンタクトレンズパターンの視覚的なコントラスト、階調及び立体効果を向上させることができるコンタクトレンズ及びその製造方法を如何に提供するかは、現在の業界で開発資源を早急に投入し解決しようとする問題の一つとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本開示の目的は、上記の課題を解決できるコンタクトレンズ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本開示の実施形態によれば、コンタクトレンズは、レンズ本体と、レンズ本体に埋め込まれ、互いに異なる複数のカラーインク膜厚を有するカラーインク層と、を含み、カラーインク層は、M種類の面積を含む複数のカラーインク要素を含有し、Mが1よりも大きい自然数であり、且つカラーインク層は、第1のカラーインク膜厚~第1+nのカラーインク膜厚を更に含み、nが0よりも大きい自然数であり、カラーインク膜厚とM種類の面積は、M*(1+n)単位のカラーインク濃度を形成し、且つM*(1+n)単位のカラーインク濃度がレンズ本体にカラーパターンを形成する。
【0007】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、カラーインク膜厚は、4マイクロメートル~316マイクロメートルの範囲内にある。
【0008】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、カラーインク要素は、第1の直径を有する少なくとも1つの第1のカラーインク要素と、第2の直径を有する少なくとも1つの第2のカラーインク要素と、を含む。
【0009】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、第1の直径及び第2の直径は、0.03ミリメートル~14ミリメートルの範囲内にある。
【0010】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、カラーインク層は、第1の色を有する第1のサブ層と、第2の色を有する第2のサブ層と、を含む。
【0011】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、第1のサブ層は、複数の第1のカラーインク膜厚を有し、第2のサブ層は、少なくとも1つの第2のカラーインク膜厚を有し、且つカラーインク層は、第1のサブ層と第2のサブ層との重なり部分において、少なくとも1つの第3のカラーインク膜厚を有する。
【0012】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、M*(1+n)単位のカラーインク濃度は、少なくとも1種類のカラーインク顔料を含む。
【0013】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、コンタクトレンズの製造方法は、互いに異なる複数のカラーインク膜厚を有するカラーインク層を下型に形成する工程と、上型と下型とを結合させる工程と、カラーインク層を覆うように、透明なゲル素材を上型と下型との間に充填する工程と、透明なゲル素材をレンズ本体となるように硬化させることで、カラーインク層をレンズ本体に埋め込める工程と、を備える。
【0014】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、コンタクトレンズの製造方法は、透明保護層を下型に充填する工程を更に備える。
【0015】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、透明保護層を下型に充填する工程は、カラーインク層を下型に形成する工程の前に行われ、これにより、カラーインク層を透明保護層に形成する。
【0016】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、カラーインク層を下型に形成する工程は、カラーインクを型板における異なる深さを有する複数の凹部に充填することと、充填されたカラーインクを下型に転写することと、を含み、カラーインクが下型にカラーインク層を形成する。
【0017】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、カラーインク層を下型に形成する工程は、第1のカラーインクを第1の型板における異なる深さを有する複数の第1の凹部に充填することと、充填された第1のカラーインクを下型に転写することと、第2のカラーインクを第2の型板における異なる深さを有する複数の第2の凹部に充填することと、充填された第2のカラーインクを下型に転写することと、を含み、第1のカラーインク及び第2のカラーインクが下型にカラーインク層を形成する。
【0018】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、第1のカラーインクと第2のカラーインクとは、色が異なる。
【0019】
本開示の一つ又は複数の実施形態において、第1のカラーインクと第2のカラーインクとは、それぞれカラーインク層の第1のサブ層及び第2のサブ層を形成し、第1のサブ層は、複数の第1のカラーインク膜厚を有し、第2のサブ層、少なくとも1つの第2のカラーインク膜厚を有し、且つカラーインク層は、第1のサブ層と第2のサブ層との重なり部分において、少なくとも1つの第3のカラーインク膜厚を有する。
【発明の効果】
【0020】
要するに、本開示のコンタクトレンズ及びその製造方法において、単一の型板に複数の異なる深さの複数の凹部を刻むことで、複数の異なる厚さを有するカラーインクをレンズ本体に一度に転写する効果が達成される。加えて、本開示のコンタクトレンズ及びその製造方法において、コンタクトレンズにおける複数のカラーインク膜厚及びカラーインク要素の面積が互いに異なるため、示されるパターンが市販のコンタクトレンズのパターンよりもより優れたコントラスト、階調及び立体効果を有する。
【0021】
上記は、本発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、及び発明の効果等を記述するためのものであり、本発明の具体的な細部については、下記の実施形態及び関連図面において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
下記添付図面についての説明は、本開示の上記及び他の目的、特徴、メリット及び実施例をより分かりやすくするためのものである。
図1】本開示の一実施形態に係る上型及び下型によるコンタクトレンズの製造を示す模式図である。
図2】本開示の一実施形態に係る上型及び下型によるコンタクトレンズの製造を示す模式図である。
図3】本開示の一実施形態に係る上型及び下型によるコンタクトレンズの製造を示す模式図である。
図4】本開示の一実施形態に係る上型及び下型によるコンタクトレンズの製造を示す模式図である。
図5】本開示の一実施形態に係る上型及び下型によるコンタクトレンズの製造を示す模式図である。
図6】本開示の一実施形態に係るコンタクトレンズの製造方法を示すフロー図である。
図7】本開示の一実施形態に係る型板を示す断面図である。
図8】本開示の一実施形態に係るカラーインクの型板の凹部への充填を示す模式図である。
図9】本開示の一実施形態に係る異なるインク厚さのインクとベースとの組み合わせにより肉眼で異なる視覚的な色を感知させることを示す模式図である。
図10】本開示の一実施形態に係るコンタクトレンズを示す断面図である。
図11】本開示の一実施形態に係るカラーインク要素を含むカラーインク層を示す正面図である。
図12】本開示の一実施形態に係る第1のカラーインク要素及び第2のカラーインク要素を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面で本開示の複数の実施形態を説明する。明らかに説明するために、下記で多くの実際の細部を合わせて説明する。しかしながら、理解すべきなのは、これらの実際の細部が、本開示を制限するためのものではない。つまり、本開示の実施形態の一部において、これらの実際の細部は、必ずしも必要ではない。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び素子については、図面において簡単で模式的に示される。全ての図面において同一の又は類似する素子を表すために同一の符号を使用する。
【0024】
以下、本実施形態のコンタクトレンズの製造方法600の詳しい工程を説明する。同時に図1図2図3図4図5図6図7及び図8に合わせて参照されたい。
【0025】
図1図2図3及び図4を参照されたい。本開示の一実施形態に係る上型UM及び下型LMによるコンタクトレンズ400の製造を示すシーケンス模式図である。図6は、本開示の一実施形態に係るコンタクトレンズの製造方法600を示すフロー図である。コンタクトレンズの製造方法600は、工程S601、工程S602、工程S603、工程S604及び工程S605を含む。以下、工程S601~工程S605の操作を詳しく説明する。
【0026】
まず、以下のような工程S601を行う。カラーインクCを型板における異なる深さを有する複数の凹部に充填する。具体的に、操作者は、コーティング又はインク吐出機能を持つ設備又は工具(図示せず。例えば、オイルブラシ、インクノズル等)によりカラーインクCを型板(図示せず。例えば、鋼板)の凹部に充填することができる。注意すべきなのは、これらの凹部の深さは実に互いに異なる。
【0027】
次に、以下のような工程S602を行う。充填されたカラーインクCを下型LMに転写しカラーインク層CLを形成する。具体的に、操作者は、転写工具(図示せず。例えば、ゴムヘッド)により転写工具の表面で凹部に充填されたカラーインクCを掻き取ったり抽出したりして、更にカラーインクCが付着した転写工具を下型LMの上方に移動させてよい。そして、操作者は、カラーインクCが付着した転写工具を操作して下型LMへ押し当てる。図1を参照されたい。転写工具が下型LMから離れる場合、カラーインクCが下型LMに付着して、下型LMにおけるカラーインクCがカラーインク層CLを形成する。図1に示すように、カラーインク層CLは、厚さが互いに異なる複数のカラーインク膜厚Tを有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、カラーインク膜厚Tの異なる厚さは、実質的に型板の凹部の異なる深さに等しい。
【0029】
次に、以下のような工程S603を行う。上型UMと下型LMとを結合させる。具体的に、図2に示すように、操作者は、上型UMと下型LMとを結合させるように、上型UMを操作して下型LMへ押し当てることができる。
【0030】
次に、以下のような工程S604を行う。カラーインク層CLを覆うように、透明なゲル素材TMを上型UMと下型LMとの間に充填する。具体的に、操作者は、例えば射出成形(injection molding)の原理によりカラーインク層CL(図3を参照されたい)を覆う溶融状態又は液状の透明なゲル素材TMを上型UMと下型LMとの間に形成させることができる。具体的に、図3に示すように、上型UMと下型LMとの間に形成された透明なゲル素材TMは、コンタクトレンズのレンズの外形となるように形成される。以上のような透明なゲル素材TMを上型UMと下型LMとの間に形成する方法又は手段は、単に簡単な説明として挙げられたものであるが、本開示は、透明なゲル素材TMを上型UMと下型LMとの間に形成する方法又は手段に対して制限する意図はない。
【0031】
いくつかの実施形態において、透明なゲル素材TMはシリコーンハイドロゲルである。いくつかの実施形態において、透明なゲル素材TMは、HEMA(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)ハイドロゲルであるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、透明なゲル素材TMは、如何なるコンタクトレンズのレンズ部分を形成可能な材料であってよい。
【0032】
次に、以下のような工程S605を行う。透明なゲル素材TMをレンズ本体LBとなるように硬化させることで、カラーインク層CLをレンズ本体LBに埋め込める。具体的に、透明なゲル素材TMを上型UMと下型LMとの間に充填した後、操作者は、溶融状態又は液状の透明なゲル素材TMを固態の透明なゲル素材TMに硬化させるように、透明なゲル素材TMに対して硬化プロセスを行うことができ、この固態の透明なゲル素材TMがレンズ本体LBを形成する。そして、図4に示すように、上型UMが下型LMから離れる場合、レンズ本体LBは依然として下型LMに付着して、レンズ本体LB及びそれに埋め込まれたカラーインクCを含むカラーインク層CLは、コンタクトレンズ400を形成する。
【0033】
コンタクトレンズの製造方法600の工程S601~工程S605を行うことで、コンタクトレンズ400を製造することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、カラーインク層CLは、型板を必要としなく、カラーインクCを下型LMに直接吐出することで形成されてよい。
【0035】
図5を参照されたい。いくつかの実施形態において、工程S601を行った後、透明保護層Pを下型LMに充填してから、工程S602を行ってもよい。これにより、具体的に、図5に示すように、カラーインク層CLが透明保護層Pに形成されるので、透明保護層Pがカラーインク層CLに対する保護を形成して、コンタクトレンズ500が製造される。
【0036】
いくつかの実施形態において、前記透明保護層Pは、コンタクトレンズの製造方法600を行うことで少なくともカラーインク層CLの上方と下方の何れもレンズ本体LBによって覆われるサンドイッチ構造(SW構造)のコンタクトレンズ500を形成するように、比較的に厚い厚さを有してよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記透明保護層Pは、コンタクトレンズの製造方法600を行うことで少なくともカラーインク層CLの上方と下方の何れもレンズ本体LBによって覆われるTC構造のコンタクトレンズ500を形成するように、比較的に薄い厚さを有してよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、工程S603及び工程S604において、まず透明なゲル素材TMを下型LMに充填し、上型UMと下型LMとを結合させ、透明材料TMを押し当てから、工程S605を行ってよい。
【0039】
まとめると、本開示は、工程S601~工程S605の順序及びその可能な調整又は変化に対して制限する意図はない。
【0040】
いくつかの実施形態において、カラーインク膜厚Tの範囲は、約4マイクロメートル~約316マイクロメートルの間にある。いくつかの実施形態において、カラーインク膜厚Tの好ましい範囲は、約4マイクロメートル~約40マイクロメートルの間にある。又は、いくつかの実施形態において、カラーインク膜厚Tの範囲は、約5マイクロメートル~約37マイクロメートルの間にある。
【0041】
本開示の一実施形態に係る型板700を示す断面図である図7を参照されたい。本開示は、表面700aを有し、そして表面700aから凹む第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3を有する型板700を提供する。いくつかの実施形態において、図8を参照されたい。工程S601において、操作者は、後続きの操作においてカラーインク層CLを形成するように、カラーインクCを型板700の第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3に充填することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、図7に示すように、第1の凹部R1は、第1の深さD1及び第1の幅W1を有し、第2の凹部R2は、第2の深さD2及び第2の幅W2を有し、第3の凹部R3は、第3の深さD3及び第3の幅W3を有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、図7及び図8に示すように、第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3の数は、実に複数であるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3の数は、それぞれ1つであってよく、且つ型板700は、単一の凹部(例えば、第1の凹部R1)だけを有してよい。言い換えれば、本開示は、第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3の数に対して制限する意図はない。
【0044】
いくつかの実施形態において、第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3は、レーザー(例えば、エキシマレーザー)彫刻による彫刻方法により型板700の表面700aから凹んで形成されるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3は、如何なる型板700の表面700aを凹ませる彫刻方法又はエッチング方法により形成されてよく、言い換えれば、本開示は、型板700の表面700aで第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3を形成する方法に対して制限する意図はない。
【0045】
いくつかの実施形態において、第1の深さD1、第2の深さD2及び第3の深さD3は実に互いに異なってよいが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の深さD1、第2の深さD2及び第3の深さD3は、共に2種類の深さ(例えば、第1の深さD1と第2の深さD2とは同じであるが、第3の深さD3と第1の深さD1又は第2の深さD2とは異なる)を含んでよい。ここで単に簡単な説明として挙げられたが、本開示は、これに対して制限する意図はない。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1の深さD1、第2の深さD2及び第3の深さD3は、約4マイクロメートル~約316マイクロメートルの範囲内にある。いくつかの実施形態において、第1の深さD1、第2の深さD2及び第3の深さD3の好ましい範囲は、約4マイクロメートル~約40マイクロメートルの間にある。又は、いくつかの実施形態において、第1の深さD1、第2の深さD2及び第3の深さD3の範囲は、約5マイクロメートル~約37マイクロメートルの間にある。
【0047】
説明すべきなのは、図7に示すように、深さの定義は、表面700aから表面700aから離れる側へ延伸する距離である。
【0048】
シングルトーン(tone)のパターン設計スキームにおいて、型板700の凹部の深さはランダムに組み合わせて配列されてよく、型板700の凹部の深さの配列は、「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが浅く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが深い」及び「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが深く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが浅い」ということを含んでよく、又は前記異なる凹部の深さによってランダムに分布し配列されて互いに異なる深さを形成して、後でレンズ本体LBにカラーインク層CLを形成することに寄与する。また、2色、3色又はマルチトーン(tones)のパターン設計スキームにおいて、型板700の凹部の深さもランダムに組み合わせて配列されてよく、型板700の凹部の深さの配列は、「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが浅く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが深い」及び「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが深く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが浅い」ということを含んでよく、又は前記異なる凹部の深さによってランダムに積み重ねられるか又は分布し配列されて互いに異なる深さを形成して、後でレンズ本体LBにカラーインク層CLを形成することに寄与する。上記は例だけであり、本開示は、これに対して制限する意図はない。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3は実に互いに異なるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3は、共に2種類の幅(例えば、第1の幅W1と第2の幅W2とは同じであるが、第3の幅W3と第1の幅W1又は第2の幅W2とは異なる)を含む。又は、いくつかの実施形態において、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3は、共に1種類の幅(例えば、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3は何れも同じである)を含んでよい。ここに単に簡単な説明として挙げられたものであるが、本開示は、これに対して制限する意図はない。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3の範囲は、約0.03ミリメートル~約14ミリメートルの間にある。いくつかの実施形態において、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3の好ましい範囲は、約0.04ミリメートル~約7.13ミリメートルの間にある。又は、いくつかの実施形態において、第1の幅W1、第2の幅W2及び第3の幅W3の範囲は、約0.07ミリメートル~約0.2ミリメートルの間にある。
【0051】
いくつかの実施形態において、特に第1の凹部R1、第2の凹部R2及び第3の凹部R3の数が何れも複数である実施形態において、複数の第1の凹部R1の複数の第1の幅W1の間は互いに異なってよい。同様に、複数の第2の凹部R2の複数の第2の幅W2の間は互いに異なってよく、且つ複数の第3の凹部R3の複数の第3の幅W3の間も互いに異なってよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、図7及び図8に示すように、型板700の数は1つである。説明すべきなのは、本開示の範囲と精神は、単一の型板700の表面700aに少なくとも異なる深さの複数の凹部を有してよいことにあるので、本実施形態において1つの型板700を例として説明する。シングルトーン(tone)のパターン設計スキームにいおて、単一の型板700の凹部の深さはランダムに組み合わせて配列されてよく、型板700の凹部の深さの配列は、「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが浅く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが深い」及び「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが深く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが浅い」ということを含んでよく、又は前記異なる凹部の深さによってランダムに分布し配列されて互いに異なる深さを形成して、後でレンズ本体LBにカラーインク層CLを形成することに寄与する。また、2色、3色又はマルチトーン(tones)のパターン設計スキームにおいて、各トーンのその型板700の凹部の深さもランダムに組み合わせて配列されてよく、型板700の凹部の深さの配列は、「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが浅く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが深い」及び「型板700の周縁領域においてその凹部の深さが深く、型板700の中央領域においてその凹部の深さが浅い」ということを含んでよく、又は前記異なる凹部の深さによってランダムに積み重ねられるか又は分布し配列されて互いに異なる深さを形成して、後でレンズ本体LBにカラーインク層CLを形成することに寄与する。
【0053】
いくつかの実施形態において、例として、3種類の凹部の深さを有する型板700があり、第1のトーンを有する第1の顔料はこの型板700を介して3種類のカラーインク濃度(即ち、視覚的に感知する色)の変化を呈することができ、第2のトーンを有する第2の顔料もこの型板700を介して3種類のカラーインク濃度(即ち、視覚的に感知する色)の変化を呈することができ、第3のトーンを有する第3の顔料もこの型板700を介して3種類のカラーインク濃度(即ち、視覚的に感知する色)の変化を呈することができる。従って、この型板700及び上記の第1の顔料、第2の顔料と第3の顔料からなるカラーパターンにより共に27種類のカラーインク濃度の変化を呈することができる。
【0054】
本開示の一実施形態に係る、それぞれ異なるインク厚さTa、Tb、Tcを有する第1のインクI1、第2のインクI2及び第3のインクI3とベースBの組み合わせにより肉眼NEで異なる視覚的な色A1、A2、A3を感知させることを示す模式図である図9を参照されたい。
【0055】
図9に示すように、インク(例えば、カラーインク)は厚い場合、下層の色を遮蔽することができ、下層の色が透けることが少ないので、本来のインクの色に近い色を呈することができる。インクは薄い場合、下層の色が大幅に透けて見え、下層の色に近い色を呈することができる。例として、インク厚さTaを有する第1のインクI1がベースB(例えば、コンタクトレンズ400の着用者の瞳孔)の上に位置する場合、第1のインクI1とベースBから透ける色が肉眼NE(例えば、コンタクトレンズ400の着用者と異なる観察者の肉眼NE)を介し、肉眼NEで第1の視覚的な色A1を感知させて、インク厚さTaが厚いので、第1の視覚的な色A1は比較的に第1のインクI1の色に近い。インク厚さTcを有する第3のインクI3がベースBの上に位置する場合、第3のインクI3とベースBから透ける色が肉眼NEを介し、肉眼NEで第3の視覚的な色A3を感知させて、インク厚さTcが薄いので、第3の視覚的な色A3は比較的にベースBの色に近い。インク厚さTbを有する第2のインクI2がベースBの上に位置する場合、第2のインクI2とベースBから透ける色が肉眼NEを介し、肉眼NEで第2の視覚的な色A2を感知させて、インク厚さTbがインク厚さTaとインク厚さTcとの間に介在するので、第2の視覚的な色A2は第2のインクI2とベースBとの混合色となる。
【0056】
以下、コンタクトレンズ1000の構造、及び如何にコンタクトレンズの製造方法600により別のコンタクトレンズ1000を製造することを詳しく説明する。
【0057】
本開示の一実施形態に係るコンタクトレンズ1000を示す断面図である図10を参照されたい。コンタクトレンズ1000は、レンズ本体LB及びカラーインク層CLを含む。カラーインク層CLはレンズ本体LBに埋め込まれる。カラーインク層CLは、第1のサブ層SL1及び第2のサブ層SL2を含む。第1のサブ層SL1は、第1のカラーインクC1を含み、第1の色を有する。第2のサブ層SL2は、第2のカラーインクC2を含み、第1の色と異なる第2の色を有する。。第1のサブ層SL1は、複数の第1のカラーインク膜厚T1を有し、第2のサブ層SL2は、少なくとも1つの第2のカラーインク膜厚T2を有し、且つカラーインク層CLは、第1のサブ層SL1と第2のサブ層SL2との重なり部分において、少なくとも1つの第3のカラーインク膜厚T3を有する。シングルトーン(tone)のパターン設計スキームにおいて、カラーインク膜厚Tの厚さはランダムに組み合わせて配列されてよく、カラーインク膜厚Tの配列は、「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク膜厚Tが薄く、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク膜厚Tが厚い」及び「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク膜厚Tが厚く、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク膜厚Tが薄い」ということを含んでよく、又は前記異なるカラーインク膜厚Tによってランダムに分布し配列されて互いに異なるカラーインク層CLを形成する。また、2色、3色又はマルチトーン(tones)のパターン設計スキームにおいて、カラーインク膜厚Tの厚さはランダムに組み合わせて配列されてよく、カラーインク膜厚Tの配列は、「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク膜厚Tが薄く、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク膜厚Tが厚い」及び「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク膜厚Tが厚く、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク膜厚Tが薄い」ということを含んでよく、又は前記異なるカラーインク膜厚Tによってランダムに積み重ねられるか又は分布し配列されて互いに異なるカラーインク層CLを形成する。
【0058】
次に、如何にコンタクトレンズの製造方法600により別のコンタクトレンズ1000を製造することを説明する。
【0059】
まず、操作者は、第1のカラーインクC1を異なる深さを有する複数の凹部の第1の型板(図示せず)に充填するように、工程S601を行ってから、充填された第1のカラーインクC1を下型LMに転写するように、工程S602を行う。そして、第2のカラーインクC2を異なる深さを有する複数の凹部の第2の型板(図示せず)に充填するように、再び工程S601を行ってから、充填された第2のカラーインクC2を下型LMに転写するように、工程S602を行う。下型LMに位置する第1のカラーインクC1及び第2のカラーインクC2は、カラーインク層CLを形成する。次に、順に工程S603、工程S604及び工程S605を行うと、例えば図10に示すようなコンタクトレンズ1000を製造することができる。
【0060】
本開示の一実施形態に係るコンタクトレンズ400、コンタクトレンズ500又はコンタクトレンズ1000を示す正面図である図11を参照されたい。図11に示すように、カラーインク層CLは、複数のカラーインク要素Eを含む。再び図4図5図8図10及び図11を同時に参照されたい。コンタクトレンズ400において、単一のカラーインク要素Eは、単一の第1の凹部R1、第2の凹部R2又は第3の凹部R3に充填されたカラーインクCからなる(図4図5及び図8に示す)。コンタクトレンズ1000において、単一のカラーインク要素Eは、単一の凹部に充填された第1のカラーインクC1又は単一の凹部に充填された第2のカラーインクC2からなり、又は単一の凹部に充填された第1のカラーインクC1と単一の凹部に充填された第2のカラーインクC2とが重なってなる(図10に示す)。本開示において、カラーインク要素Eは、面積を有してよい。カラーインク要素Eの面積は、X-Y平面におけるカラーインク要素Eの断面面積と定義される。本開示において、カラーインク要素Eは、形状を有してよい。カラーインク要素Eの形状は、X-Y平面におけるカラーインク要素Eの断面形状と定義される。シングルトーン(tone)のパターン設計スキームにおいて、カラーインク要素Eの大きさ及びその面積はランダムに組み合わせて配列されてよく、異なる寸法、大きさのカラーインク要素E及びその面積は、「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が小さく、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が大きい」並びに「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が大きく、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が小さい」ということを含んでよく、又は前記異なる寸法、大きさ、面積のカラーインク要素Eによってランダムにレンズ本体LBに分布し配列されてパターンを形成する。また、2色、3色又はマルチトーン(tones)のパターン設計スキームにおいて、カラーインク要素Eの大きさ及びその面積はランダムに組み合わせて配列されてよく、異なる寸法、大きさのカラーインク要素E及びその面積は、「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が小さく、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が大きい」並びに「レンズ本体LBの周縁領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が大きく、レンズ本体LBの中央領域においてそのカラーインク要素Eの寸法及び面積が小さい」ということを含んでよく、又は前記異なる寸法、大きさ、面積のカラーインク要素Eによってランダムに積み重ねられるか又はレンズ本体LBに分布し配列されてパターンを形成する。
【0061】
いくつかの実施形態において、カラーインク要素Eの面積は互いに異なってよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、カラーインク要素Eの形状は円形であってよいが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、カラーインク要素Eの形状は三角形、四角形又は多角形等の幾何学的図形である。又は、いくつかの実施形態において、カラーインク要素Eの形状は、不規則な形状の図形であってよい。言い換えれば、本開示は、カラーインク要素Eの形状に対して制限する意図はない。
【0063】
図12を参照されたい。カラーインク要素Eの形状が円形である実施形態において、カラーインク要素Eは、少なくとも1つの第1のカラーインク要素E1及び少なくとも1つの第2のカラーインク要素E2を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1のカラーインク要素E1は、第1の直径DM1を有し、少なくとも1つの第2のカラーインク要素E2は、第2の直径DM2を有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、第1の直径DM1及び第2の直径DM2が互いに異なるが、本開示はこれに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の直径DM1及び第2の直径DM2は同じであってよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、第1の直径DM1及び第2の直径DM2の範囲は、約0.03ミリメートル~約14ミリメートルの間にある。いくつかの実施形態において、第1の直径DM1及び第2の直径DM2の好ましい範囲は、約0.04ミリメートル~約7.13ミリメートルの間にある。又は、いくつかの実施形態において、第1の直径DM1及び第2の直径DM2の範囲は、約0.07ミリメートル~約0.2ミリメートルの間にある。
【0066】
カラーインク要素Eの形状が円形である実施形態において、第1の直径DM1及び第2の直径DM2は、実質的に型板700の凹部の幅に等しい。
【0067】
以下、更に例を挙げて本開示のコンタクトレンズのメリットを説明する。
【0068】
例として、本開示のコンタクトレンズに開示されたカラーインク要素Eの面積をM種類の大きさ(寸法)を有するように仮説し、且つ本開示のコンタクトレンズに開示されたカラーインク膜厚Tを1+n種類の厚さ(例えば、第1のカラーインク膜厚~第1+nのカラーインク膜厚を有し、nが0よりも大きい自然数である)を有するように仮説すると、本開示のコンタクトレンズのカラーインク層CLに呈されるカラーパターン(パターンは、例えば図11に示すようなコンタクトレンズを示す正面図である)は、M*(1+n)種類の組み合わせのカラーインク濃度(即ち、図9に示すような視覚的な色の概念)の変化を呈することができる。従って、本開示のコンタクトレンズのパターンは、従来技術のコンタクトレンズのパターンに比べるとより優れたコントラスト、階調及び立体効果を呈することができる。
【0069】
又は、本開示のいくつかの実施形態において、2種類以上の型板700によりカラーインク膜厚T及びカラーインク要素Eを形成して、より豊富なトーン(tones)の変化を呈することができる。例として、3種類の異なる凹部の深さを有する分布を持つ型板700及び第1のトーンを有する第1の顔料、第2のトーンを有する第2の顔料と第3のトーンを有する第3の顔料からなるカラーパターンにより、従来技術よりもより豊富なトーンの変化を呈することができる。
【0070】
又は、本開示のいくつかの実施形態において、単一の顔料を予め複数のトーン(tones)を有する顔料に調色すること及び/又は2種類以上の型板700を使用してカラーインク膜厚T及びカラーインク要素Eを形成することで、より豊富なトーン(tones)の変化を呈することができる。例として、2種類の異なる凹部の深さを有する分布の型板700を使用するとマルチトーンの変化(例えば、4~7種類のトーンの変化)を呈することができる。これにより、操作者は、コンタクトレンズを製造する時に従来技術よりも型板700の製造コストを更に低下させる効果を達成することができる。
【0071】
666
いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、前記硬化プロセス及び水和プロセスを経て、設計寸法、ドライシート寸法とウェットシート寸法等の異なる寸法を有する。以下、設計寸法、ドライシート寸法とウェットシート寸法の間の違いを説明する。
【0072】
設計寸法からドライシート寸法への変換について、説明書及び出願特許範囲に開示された数値は設計寸法である。しかし、実際のプロセスでは、設計寸法がドライシート寸法に変換した後、下型LMの曲率によってドライシート寸法に僅かに影響する。いくつかの実施形態では、下型LMの曲率の範囲は約0.114~約0.118の間にある。具体的には、インキが下型LMに印刷された後、型板700の凹部の深さが変化していない場合には、上記曲率によってパターンのドライシートへの寸法及びカラーインキ膜厚Tに影響する。
【0073】
ドライシート寸法からウェットシート寸法への変換について、ウェットシート寸法は、設計仕様の許容誤差値を考慮した後、10%~30%の膨張率によってパターンの水和プロセスを経た後のサイズを約1.12~約1.27倍増加させる。これもウェットシート上のパターンの水化プロセスを経た後の実際の(パターン)分布及び寸法である。
【0074】
説明すべきなのは、図1図12に示す方向X、Y、Zは座標軸の方向である。方向X、方向Yと方向Zの間は実に互いに垂直である。
【0075】
以上の本開示の具体的な実施形態の詳しい説明から明らかにわかるように、本開示のコンタクトレンズ及びその製造方法において、単一の型板に複数の異なる深さの複数の凹部を刻むことで、複数の異なる厚さを有するカラーインクをレンズ本体に一度に転写する効果を達成することができる。加えて、本開示のコンタクトレンズ及びその製造方法において、コンタクトレンズにおける複数のカラーインク膜厚及びカラーインク要素の面積が互いに異なるため、示されるパターンが市販のコンタクトレンズのパターンよりもより優れたコントラスト、階調及び立体効果を有する。
【0076】
上記は、複数の実施形態の特徴を概述したが、当業者が本発明の態様をよりよく理解できるようにする。当業者が了解すべきなのは、本文に説明された実施形態と同じ目的を実施すること及び/又は同じメリットを実現するために、本願の精神と範囲から逸脱することなく、上記内容をその他の変化例へ設計又は修正したりする基礎として容易に使用することができることである。上記の内容は、本開示の一例として理解されるべきであり、その保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0077】
400,500,1000 コンタクトレンズ
600 コンタクトレンズの製造方法
700 型板
700a 表面
A1 第1の視覚的な色
A2 第2の視覚的な色
A3 第3の視覚的な色
B ベース
C カラーインク
C1 第1のカラーインク
C2 第2のカラーインク
CL カラーインク層
D1 第1の深さ
D2 第2の深さ
D3 第3の深さ
DM1 第1の直径
DM2 第2の直径
E カラーインク要素
E1 第1のカラーインク要素
E2 第2のカラーインク要素
I1 第1のインク
I2 第2のインク
I3 第3のインク
LB レンズ本体
LM 下型
NE 肉眼
P 透明保護層
R1 第1の凹部
R2 第2の凹部
R3 第3の凹部
S601,S602,S603,S604,S605 工程
SL1 第1のサブ層
SL2 第2のサブ層
T カラーインク膜厚
T1 第1のカラーインク膜厚
T2 第2のカラーインク膜厚
T3 第3のカラーインク膜厚
Ta,Tb,Tc インク厚さ
TM 透明なゲル素材
UM 上型
W1 第1の幅
W2 第2の幅
W3 第3の幅
X,Y,Z 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12