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特開2023-44636充電パイルクラスタの電力共有制御方法、電力共有制御システム及び電力共有制御装置
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  • 特開-充電パイルクラスタの電力共有制御方法、電力共有制御システム及び電力共有制御装置 図1
  • 特開-充電パイルクラスタの電力共有制御方法、電力共有制御システム及び電力共有制御装置 図2
  • 特開-充電パイルクラスタの電力共有制御方法、電力共有制御システム及び電力共有制御装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044636
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】充電パイルクラスタの電力共有制御方法、電力共有制御システム及び電力共有制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20230323BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230323BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230323BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127677
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】202111094782.6
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】511268432
【氏名又は名称】台達電子企業管理(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F&7F&8F, Building 1, No.1675, Huadong Road, Pudong, Shanghai, 201209, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】言超
(72)【発明者】
【氏名】代富▲ぎ▼
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB12
5G064CB21
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】各充電パイルに割り当てられる電力出力上限をリアルタイムで自動調整し、充電ステーションの設備利用率および負荷利用率を高める。
【解決手段】電力共有制御方法は、充電パイルクラスタの現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点における充電パイルクラスタの残余電力を算出し、各充電パイルの性能状態に基づき各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、かつ現時点の残余電力、各充電パイルの重み付け及び実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得することを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電パイルクラスタの現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点の充電パイルクラスタの残余電力を算出するステップ1と、
各充電パイルの性能状態に基づき、各充電パイルの前記残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、現時点の前記残余電力、各充電パイルの前記重み付け及び前記実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得するステップ2と
を含むことを特徴とする、充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項2】
前記ステップ2において、前記総電力上限、前記充電パイルの総数および前記実際出力電力を更新し、かつ前記ステップ1から前記ステップ2へと繰り返し実行することを含む、請求項1に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項3】
前記ステップ1において、下記式に従って現時点の前記残余電力△P(κ)を算出することを含み、
【数1】

式中、PTotal(κ)は、第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は、第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは、第κ時点の充電パイル総数である、請求項1に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項4】
前記ステップ2における性能状態は、充電パイルの定格電力であり、
前記ステップ2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数2】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得することを含み、
【数3】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力である、請求項3に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項5】
前記ステップ2における性能状態は、充電パイルの現時点の実際出力電力であり、
前記ステップ2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数4】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得することを含み、
【数5】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力である、請求項3に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項6】
前記ステップ2における性能状態は、充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、
前記ステップ2は、下記式に従って第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【数6】

下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数7】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得することを含み、
【数8】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力であり、かつ
【数9】

が0であるとき、充電パイルの総数に基づき前記残余電力△P(κ)を均等に割り当てる、請求項3に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項7】
前記総電力上限は、充電パイル全体の定格電力の合計より小さく、かつ各充電パイルに割り当てられる前記電力出力上限は、対応する充電パイルの定格電力以下である、請求項1に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御方法。
【請求項8】
充電パイルクラスタの現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点における充電パイルクラスタの残余電力を算出するモジュール1と、
各充電パイルの性能状態に基づき、各充電パイルの前記残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、かつ現時点の前記残余電力、各充電パイルの前記重み付け及び前記実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得するモジュール2と
を備えることを特徴とする、充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項9】
前記モジュール2は、さらに、前記総電力上限、前記充電パイルの総数および前記実際出力電力のうち1つ以上を更新し、
前記充電パイルクラスタの電力共有制御装置は、前記モジュール1から前記モジュール2へと繰り返し呼び出して使用する、請求項8に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項10】
前記モジュール1は、下記式に従って現時点の前記残余電力△P(κ)を算出し、
【数10】

式中、PTotal(κ)は、第κ時点の前記総電力上限であり、PReal_i(κ)は、第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは、前記第κ時点の充電パイル総数である、請求項8に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項11】
前記性能状態は、各充電パイルの定格電力であり、
前記モジュール2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数11】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数12】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力である、請求項10に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項12】
前記性能状態は、各充電パイルの現時点の実際出力電力であり、
前記モジュール2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数13】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数14】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力である、請求項10に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項13】
前記性能状態は、各充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、
前記モジュール2は、下記式に従って第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【数15】

下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数16】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数17】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力であり、かつ
【数18】

が0であるとき、充電パイルの総数に基づき前記残余電力△P(κ)を均等に割り当てる、請求項10に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項14】
前記総電力上限は、前記充電パイル全体の定格電力の合計より小さく、かつ各充電パイルに割り当てられる前記電力出力上限は、対応する前記充電パイルの定格電力以下である、請求項8に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御装置。
【請求項15】
充電ステーション監視管理システム、該充電ステーション監視管理システムに繋がる充電パイルクラスタ制御装置、および充電パイルクラスタを備え、前記充電パイルクラスタは、複数の充電パイルで構成され、前記充電パイルクラスタ制御装置は、前記複数の充電パイルに接続されている充電パイルクラスタの電力共有制御システムであって、
前記充電ステーション監視管理システムは、前記充電パイルクラスタの現時点の総電力上限を取得し、
前記充電パイルクラスタ制御装置は、現時点の前記総電力上限、および前記充電パイルクラスタが保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点における前記充電パイルクラスタの残余電力を算出し、
かつ各充電パイルの性能状態に基づき各充電パイルの前記残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、現時点の前記残余電力、各充電パイルの前記重み付けおよび前記実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得することを特徴とする、充電パイルクラスタの電力共有制御システム。
【請求項16】
前記充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って現時点の前記残余電力△P(κ)を算出し、
【数19】

式中、PTotal(κ)は、第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は、第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは、前記第κ時点の充電パイル総数である、請求項15に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御システム。
【請求項17】
前記性能状態は、充電パイルの定格電力であり、
前記充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数20】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数21】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力である、請求項16に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御システム。
【請求項18】
前記性能状態は、各充電パイルの現時点の実際出力電力であり、
前記充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数22】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数23】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力である、請求項16に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御システム。
【請求項19】
前記性能状態は、各充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、
前記充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【数24】

下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数25】

下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【数26】

式中、PA_i(κ+1)は、前記第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は、前記第i個の充電パイルの定格電力であり、かつ
【数27】

が0であるとき、充電パイルの総数に基づき前記残余電力△P(κ)を均等に割り当てる、請求項16に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御システム。
【請求項20】
前記充電ステーション監視管理システムは、さらに、各時点ごとに前記総電力上限を1回更新する、請求項15に記載の充電パイルクラスタの電力共有制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電パイルクラスタの電力を管理するための技術に関わり、特に、充電パイルクラスタの電力共有制御方法、電力共有制御システム及び電力共有制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
急速充電を行う際、充電電力は電池充電率(以下、「SOC」とも称する)の変化に伴って大きく変動し、同一のステーションに配置される各充電パイルの常時使用可能な電力を精密に制御することは総配電容量の節約に大きく寄与する。
【0003】
充電ステーション設置区域の定格負荷が一定であるため、住民の電気使用負荷を優先させ、残りの使用可能な容量を充電ステーションに割り当てるのが原則であるが、住民の電気使用がラッシュ時においては、充電ステーションの使用可能な負荷電力が充電パイル全体の定格電力の合計よりも小さくなる可能性があるため、このとき使用可能な充電パイルの数が減り、充電ステーションの設備使用率が低下し、充電ステーションの運営収益にも影響を与える。
【0004】
以上の現状を踏まえ、充電ステーションに配される充電パイル同士が充電ステーションの使用可能な負荷電力を共有する必要があり、かつ該使用可能な負荷電力が時間推移や周囲住民の電気使用量などにつれて活発に変化するため、充電パイル同士の電力共有を制御する仕組みが特に重要である。
【0005】
現在、上述の設定場面での電力共有制御について業界から様々な提案がなされている。例えば、従来の電力共有対策としては各充電パイルの定格電力(すなわち充電パイルの最大充電電力であり、充電パイル設備そのものの制限を受け、設備の経年劣化による性能低下要素を除けば一定値である)に基づき比例に合わせて電力割り当てを行うことで活発に変化する充電ステーションの使用可能な負荷電力を満たし、かつ電力共有・割当のタイミングが充電パイルの加入又は離脱と重なった場合に限って電力の再割り当てを行い、或いは一部の充電パイルに優先的に割り当てて定格電力を維持できるようにし、それでも電力が余った場合には他の充電パイルに均等に割り当てることが挙げられる。
【0006】
つまり、従来の技術の電力共有制御方法としては、各充電パイルの定格電力に基づいて充電電力を割り当てるのが基本的であり、各充電パイルの使用状態および各充電パイルに繋がる要充電設備(例えば、新エネルギー車)の電力需要の活発な変化に完全に対応できていない。
【0007】
したがって、瞬時に変化する充電ステーションの使用可能な負荷電力および瞬時に変化する各充電パイルの実際電力需要に合わせて、各充電パイルの電力の動的割り当てを実現できる電力共有制御方法が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされ、充電パイルクラスタの電力共有制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく、本発明は、充電パイルクラスタの電力共有制御方法を提供し、該電力共有制御方法は、
充電パイルクラスタの現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点の充電パイルクラスタの残余電力を算出するステップ1と、
各充電パイルの性能状態に基づき、各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、現時点の残余電力、各充電パイルの重み付け及び実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得するステップ2と、を含む。
【0010】
本発明の一実施形態において、ステップ2では、総電力上限、充電パイルの総数及び実際出力電力を更新し、ステップ1からステップ2へと繰り返し実行することを含む。
【0011】
本発明の一実施形態において、ステップ1では、下記式に従って現時点の残余電力△P(κ)を算出することを含み、
【0012】
【数1】
【0013】
式中、PTotal(κ)は第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは第κ時点の充電パイル総数である。
【0014】
本発明の一実施形態において、ステップ2における性能状態は充電パイルの定格電力であり、ステップ2では、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0015】
【数2】
【0016】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得することを含み、
【0017】
【数3】
【0018】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0019】
本発明の一実施形態において、ステップ2における性能状態は充電パイルの現時点の実際出力電力であり、ステップ2では、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0020】
【数4】
【0021】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得することを含み、
【0022】
【数5】
【0023】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0024】
本発明の一実施形態において、ステップ2における性能状態は充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、ステップ2では、下記式に従って第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【0025】
【数6】
【0026】
下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0027】
【数7】
【0028】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得することを含み、
【0029】
【数8】
【0030】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力であり、かつ
【0031】
【数9】
【0032】
が0であるとき、充電パイルの総数に基づき残余電力△P(κ)を均等に割り当てる。
【0033】
本発明の一実施形態において、総電力上限は、充電パイル全体の定格電力の合計より小さく、各充電パイルに割り当てる電力出力上限は、対応する充電パイルの定格電力以下である。
【0034】
本発明は、さらに、充電パイルクラスタの電力共有制御装置を提供し、該電力共有制御装置は、
充電パイルクラスタの現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点における充電パイルクラスタの残余電力を算出するモジュール1と、
各充電パイルの性能状態に基づき各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、かつ現時点の残余電力、各充電パイルの重み付け及び実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得するモジュール2と、を備える。
【0035】
本発明の一実施形態において、モジュール2は、さらに総電力上限、充電パイルの総数および実際出力電力のうち1つ以上を更新し、充電パイルクラスタの電力共有制御装置は、モジュール1からモジュール2へと繰り返し呼び出して使用する。
【0036】
本発明の一実施形態において、モジュール1は、下記式に従って現時点の残余電力△P(κ)を算出し、
【0037】
【数10】
【0038】
式中、PTotal(κ)は第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは第κ時点の充電パイル総数である。
【0039】
本発明の一実施形態において、性能状態は各充電パイルの定格電力であり、モジュール2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0040】
【数11】
【0041】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0042】
【数12】
【0043】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0044】
本発明の一実施形態において、性能状態は各充電パイルの現時点の実際出力電力であり、モジュール2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0045】
【数13】
【0046】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0047】
【数14】
【0048】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0049】
本発明の一実施形態において、性能状態は各充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、モジュール2は、下記式に従って第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【0050】
【数15】
【0051】
下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0052】
【数16】
【0053】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0054】
【数17】
【0055】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力であり、かつ
【0056】
【数18】
【0057】
が0であるとき、充電パイルの総数に基づき残余電力△P(κ)を均等に割り当てる。
【0058】
本発明の一実施形態において、総電力上限は充電パイル全体の定格電力の合計よりも小さく、各充電パイルに割り当てる電力出力上限は、対応する充電パイルの定格電力以下である。
【0059】
本発明は、さらに、充電パイルクラスタの電力共有制御システムを提供し、該制御システムは、充電ステーション監視管理システム、該充電ステーション監視管理システムに繋がる充電パイルクラスタ制御装置、および充電パイルクラスタを備え、充電パイルクラスタは複数の充電パイルで構成され、充電パイルクラスタ制御装置は、複数の充電パイルに接続され、そのうち、
充電ステーション監視管理システムは、充電パイルクラスタの現時点の総電力上限を取得し、
充電パイルクラスタ制御装置は、現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点における充電パイルクラスタの残余電力を算出し、かつ各充電パイルの性能状態に基づき各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、かつ現時点の残余電力、各充電パイルの重み付けおよび実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得する。
【0060】
本発明の一実施形態において、充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って現時点の残余電力△P(κ)を算出し、
【0061】
【数19】
【0062】
式中、PTotal(κ)は第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは第κ時点の充電パイル総数である。
【0063】
本発明の一実施形態において、性能状態は充電パイルの定格電力であり、充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0064】
【数20】
【0065】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0066】
【数21】
【0067】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0068】
本発明の一実施形態において、性能状態は各充電パイルの現時点の実際出力電力であり、充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0069】
【数22】
【0070】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0071】
【数23】
【0072】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0073】
本発明の一実施形態において、性能状態は各充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、充電パイルクラスタ制御装置は、下記式に従って第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【0074】
【数24】
【0075】
下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0076】
【数25】
【0077】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0078】
【数26】
【0079】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力であり、かつ
【0080】
【数27】
【0081】
が0であるとき、充電パイルの総数に基づき残余電力△P(κ)を均等に割り当てる。
【0082】
本発明の一実施形態において、充電ステーション監視管理システムは、さらに各時点ごとに総電力上限を1回更新する。
【発明の効果】
【0083】
本発明によれば、充電ステーション監視管理システムによって設定された共有総電力上限に基づき、充電パイルクラスタ制御装置を利用して各充電パイルに割り当てられる電力出力上限をリアルタイムで自動調整することにより、電気使用がラッシュ時に達した場合に一部の充電パイルが使用中止されることを避け、充電ステーションの設備利用率および負荷利用率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】本発明の一実施形態に係る充電パイルクラスタの電力共有制御システムを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る充電パイルクラスタの電力共有制御方法を示す流れ図である。
図3】本発明の一実施形態に係る充電ステーションの各充電パイルの電力を動的に調整する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下、本発明の技術的特徴および技術効果をより深く理解できるよう、実施形態とパラメータ数値を挙げて且つ図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。また、以下において本発明の構成や詳細をより直感的に示すために交流充電の場合を例示して説明するが、本発明は交流に限らず直流充電にも適用可能である点に留意されたい。
【0086】
本発明に係るパラメータとして、PTotal(κ)は、κ時点における充電ステーションの総電力上限であり、Nは、充電ステーションが保有する充電パイルの総数であり、PReal_i(κ)およびPRated_i(κ)は、それぞれκ時点における第i個の充電パイルの実際出力電力および定格電力であり、PA_i(κ+1)は、κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てられる電力出力上限である。そのうち、
【0087】
【数28】
【0088】
とは、充電ステーションの総電力上限が充電パイル全体の定格電力の合計よりも小さいことを意味し、κ時点における充電パイルの実際出力電力は、
【0089】
【数29】
【0090】
の条件を満たす。
【0091】
本発明の一好適な実施形態において、上記総電力上限PTotal(κ)、実際出力電力PReal_i(κ)および定格電力PRated_i(κ)、割り当てられる電力出力上限PA_i(κ)における電力は、何れも交流電力を指すものである。
【0092】
本発明は、充電パイルクラスタの電力共有制御方法および電力共有制御システムを提供し、図1は、本発明に係る充電パイルクラスタの電力共有制御システムを示すブロック図である。該システムの通信ネットワークとしてはイーサネット、シリアル、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、Zigbeeおよび無線通信モジュールなどを利用することができる。本発明の充電パイルクラスタの電力共有制御システム10は、充電ステーション監視管理システム11、該充電ステーション監視管理システム11に繋がる充電パイルクラスタ制御装置12、および充電パイルクラスタを備え、充電パイルクラスタとしては、充電パイル131(充電パイル1)、充電パイル132(充電パイル2)、充電パイル133(充電パイル3)などの複数の充電パイルで構成され、充電パイルクラスタ制御装置12は複数の充電パイルに接続される。そのうち充電ステーション監視管理システム11は、充電パイルクラスタの現時点(第κ時点)における総電力上限PTotal(κ)を取得し、かつ上述の何れか1種の通信ネットワークを介して総電力上限PTotal(κ)を充電パイルクラスタ制御装置12に伝送する。充電パイルクラスタ制御装置12は、現時点の総電力上限PTotal(κ)、充電パイルクラスタが保有する充電パイルの総数N及び各充電パイルの実際出力電力PReal_i(κ)に基づき、現時点における充電パイルクラスタの残余電力△P(κ)を算出し、かつ各充電パイルの性能状態に基づき各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、さらに、残余電力△P(κ)、各充電パイルの重み付け及び実際出力電力PReal_i(κ)に基づき、次の時点(第κ+1時点)で各充電パイルに割り当てる電力出力上限(最大使用可能な電力)PA_i(κ+1)を取得する。電力出力上限は、さらに上記通信手段によって各充電パイル又は要充電設備(例えば、電気自動車など)に伝送され、電気自動車はその電力実際需要に基づいて対応する充電パイルから電気エネルギーを獲得するが、電気自動車が獲得した電気エネルギー(すなわち、充電パイルの実際出力電力)は、充電パイルクラスタ制御装置12によって算出された該時点における充電パイルの電力出力上限を超えることはない。
【0093】
言うまでもないが、電気自動車の電力需要は常時変動し、例えば、電池のSOC変化に従って変動するため、充電パイルの実際出力電力も常時変動する。
【0094】
充電ステーション監視管理システム11は、さらに、各時点ごとに該総電力上限及び/又は各充電パイルの実際出力電力を1回検出して更新する。本発明の一部の実施形態において、各充電パイルの実際出力電力をリアルタイムで検出し、かつ検出された各充電パイルの実際出力電力を充電パイルクラスタ制御装置に伝送する電力検出装置を更に設けることができる。本実施形態において、該充電パイルクラスタ制御装置12は、各時点で更新した総電力上限、充電パイルの総数および各充電パイルの実際出力電力に基づき次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を算出することにより、各充電パイルの最大出力電力を制限し、並びにかような処理を繰り返し実行することにより、充電ステーションの電力の動的割り当てを実現する。
【0095】
本発明の一好適な実施形態において、充電パイルクラスタ制御装置12は、下記式に従って現時点の残余電力△P(κ)を算出し、
【0096】
【数30】
【0097】
式中、PTotal(κ)は第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは第κ時点の充電パイル総数である。
【0098】
本発明の一好適な実施形態において、各充電パイルの性能状態は各充電パイルの定格電力PRated_i(κ)であり、充電パイルクラスタ制御装置12は、初期時点κ=0で各充電パイルの実際出力電力を何れも0とし、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0099】
【数31】
【0100】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0101】
【数32】
【0102】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力であり、そのうちκは0以上の整数である。
【0103】
そのうち、システムの初期時点における各充電パイルの実際出力電力PReal_i(0)は0である。
【0104】
本発明の別の実施形態において、各充電パイルの性能状態は各充電パイルの現時点における実際出力電力PReal_i(κ)であり、充電パイルクラスタ制御装置12は、初期時点κ=0で各充電パイルの実際出力電力を何れも0とし、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0105】
【数33】
【0106】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0107】
【数34】
【0108】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、PRated_i(κ)は第i個の充電パイルの定格電力である。
【0109】
本発明の別の実施形態において、各充電パイルの性能状態は各充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、充電パイルクラスタ制御装置12は、下記式に従ってκ≧1のとき、第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値を取得し、
【0110】
【数35】
【0111】
初期時点κ=0で各充電パイルの実際出力電力を何れも0とし、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0112】
【数36】
【0113】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0114】
【数37】
【0115】
式中、PA_i(κ+1)は第κ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てる電力出力上限であり、かつ
【0116】
【数38】
【0117】
が0であるとき、充電パイルの総数に基づき残余電力△P(κ)を均等に割り当てる。
【0118】
上述の実施形態において、総電力上限PTotal(κ)は、複数の充電パイルの定格電力の合計より小さく、かつ各充電パイルに割り当てられる電力出力上限PA_i(κ)は、対応する充電パイルの定格電力PRated_i(κ)以下である。
【0119】
本発明は、上記充電パイルクラスタの電力共有制御システムに基づき、さらに充電パイルクラスタの電力共有制御装置を提供し、該電力共有制御装置は、
充電パイルクラスタの現時点の総電力上限PTotal(κ)、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数Nと各充電パイルの実際出力電力PReal_i(κ)に基づき、現時点における充電パイルクラスタの残余電力△P(κ)を算出するモジュール1と、
各充電パイルの性能状態に基づき各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、かつ現時点の残余電力△P(κ)、各充電パイルの重み付け及び実際出力電力PReal_i(κ)に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限PA_i(κ+1)を取得するモジュール2と、を備える。
【0120】
モジュール2は、さらに、総電力上限、充電パイルの総数および実際出力電力のうち1種以上を更新する。
【0121】
言うまでもないが、充電パイルクラスタ電力共有制御装置は、モジュール1からモジュール2へと繰り返し呼び出して使用する。繰り返し呼び出して使用するときの頻度は、実際応用場面に応じてそれぞれ設定を行い、すなわち予め設定した時間を隔てて総電力上限、充電パイルの総数および各充電パイルの実際出力電力を1回更新し、かつ更新済みのデータを用いて次の時点における各充電パイルの電力出力上限を算出することにより電力の動的割り当てを実現する。
【0122】
モジュール1は、下記式に従って現時点の残余電力△P(κ)を算出し、
【0123】
【数39】
【0124】
式中、PTotal(κ)は第κ時点の総電力上限であり、PReal_i(κ)は第i個の充電パイルの第κ時点における実際出力電力であり、Nは第κ時点の充電パイル総数である。
【0125】
本発明の一好適な実施形態において、各充電パイルの性能状態は各充電パイルの定格電力であり、モジュール2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0126】
【数40】
【0127】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0128】
【数41】
【0129】
本明細書において、同一の符号については同じ規定がなされ、各式における同一の符号が同じことを意味するため、以下では重複説明を省略する。
【0130】
本発明の別の実施形態において、各充電パイルの性能状態は各充電パイルの現時点における実際出力電力であり、モジュール2は、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0131】
【数42】
【0132】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得する。
【0133】
【数43】
【0134】
本発明の別の実施形態において、各充電パイルの性能状態は各充電パイルの現時点における実際出力電力の変化値であり、モジュール2は、下記式に従ってκ≧1のとき、第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値ΔPreal_i(κ)を取得し、
【0135】
【数44】
【0136】
下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0137】
【数45】
【0138】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0139】
【数46】
【0140】
そのうち
【0141】
【数47】
【0142】
が0であるとき、充電パイルの総数Nに基づき残余電力△P(κ)を均等に割り当て、すなわち各充電パイルの実際出力電力の変化値が何れも0であるとき、
【0143】
【数48】
【0144】
の条件を満たす。
【0145】
そのうち、総電力上限は充電パイル全体の定格電力の合計より小さく、かつ各充電パイルに割り当てられる電力出力上限は、対応する充電パイルの定格電力以下である。
【0146】
以下では上述のシステムおよび装置に対応する方法について説明するが、これらの方法は上述のシステムや装置と連携して実施することができる。また、以上で説明した構成要素は、下記方法に関わる実施形態にも適用することができ、これらの構成要素に関する重複説明を省略する。また、以下で説明する構成要素を上述の実施形態に適用することも勿論可能である。
【0147】
本発明に係る電力共有制御方法は、充電パイルクラスタの総電力上限、各充電パイルの実際出力電力をリアルタイムで監視し、各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を周期的に調整することにより、充電過程において充電需要に合わせて各充電パイルの充電電力を動的に調整する。
【0148】
図2は、本発明に係る電力共有制御方法の流れを示し、該電力共有制御方法は、
充電パイルクラスタの現時点の総電力上限、および充電パイルクラスタが現時点で保有する充電パイルの総数と各充電パイルの実際出力電力に基づき、現時点の充電パイルクラスタの残余電力を算出するステップ1と、
各充電パイルの性能状態に基づき、各充電パイルの残余電力を割り当てるときの重み付けを算出し、かつ現時点の残余電力、各充電パイルの重み付け及び実際出力電力に基づき、次の時点で各充電パイルに割り当てられる電力出力上限を取得するステップ2と、を含む。
【0149】
具体的には、ステップ1において、充電パイルクラスタに割り当てる総電力上限PTotal(κ)をリアルタイムで取得し、かつ各充電パイルのκ時点における実際出力電力PReal_i(κ)を取得する必要がある。これは、異なる時間帯で総電力上限に変化が生じる可能性があり、各処理周期ごとに総電力上限を1回取得する必要があるからである。また、各充電パイルの運行状態において、各充電パイルの実際出力電力も活発に変化するため、該実際出力電力についても各処理周期ごとに1回取得する必要がある。
【0150】
次に、ステップ2において、充電ステーションが保有する充電パイルの総数Nおよび総電力上限PTotal(κ)に基づき、さらに各充電パイルの実際出力電力PReal_i(κ)および各充電パイルの定格電力PRated_i(κ)を用い、本発明では下記方法1~3によりκ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てられる電力出力上限PA_i(κ+1)を算出し、具体的には、実際需要に合わせて下記方法1~3のうち何れかの方法によってκ+1時点で第i個の充電パイルに割り当てられる電力出力上限PA_i(κ+1)を算出することができる。
【0151】
方法1では、各充電パイルの定格電力を用いて確定した重み付けに基づき残余電力△P(κ)を割り当てる。
【0152】
つまり、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0153】
【数49】
【0154】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得する。
【0155】
【数50】
【0156】
上記式において、
【0157】
【数51】
【0158】
とは、定格電力の重み付けに基づき△P(κ)を割り当てることを意味する。
【0159】
方法2では、現時点における各充電パイルの実際出力電力を用いて確定した重み付けに基づき△P(κ)を割り当てる。
【0160】
つまり、下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0161】
【数52】
【0162】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得する。
【0163】
【数53】
【0164】
上記式において、
【0165】
【数54】
【0166】
とは、各充電パイルの実際出力電力の重み付けに基づき△P(κ)を割り当てることを意味する。PReal_i(κ)が全部0である場合に△P(κ)を均等に割り当て、一部のPReal_i(κ)が0である場合には、PReal_i(κ)が0でない充電パイルを優先して各自の実際出力電力の重み付けに基づき△P(κ)を割り当てる。それでも電力が余った場合には、余った電力をPReal_i(κ)が0である充電パイルに均等に割り当てる。
【0167】
方法3では、現時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値を用いて確定した重み付けに基づき△P(κ)を割り当てる。
【0168】
つまり、下記式に従ってκ>0のとき、第κ時点における各充電パイルの実際出力電力の変化値△PReal_i(κ)を取得し、
【0169】
【数55】
【0170】
下記式に従って初期時点κ=0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0171】
【数56】
【0172】
下記式に従ってκ>0のとき、第κ+1時点で各充電パイルに割り当てる電力出力上限を取得し、
【0173】
【数57】
【0174】
そのうち
【0175】
【数58】
【0176】
が0である場合、充電パイルの総数Nに基づき残余電力△P(κ)を均等に割り当てる。
【0177】
上記式において、
【0178】
【数59】
【0179】
とは、現時点における各充電パイルの実際出力電力変化値の重み付けに基づき△P(κ)を割り当てることを意味する。△PReal_i(κ)が何れも0である場合に△P(κ)を均等に割り当て、一部の△PReal_i(κ)が0である場合には、△PReal_i(κ)が0でない充電パイルを優先させ、実際出力電力の変化値を用いて確定した重み付けに基づき△P(κ)を割り当てる。それでも電力が余った場合には、余った電力を△PReal_i(κ)が0である充電パイルに均等に割り当てる。図3に示すように、充電パイルクラスタ制御装置は、ステップ2で算出した次の時点の電力出力上限を対応する充電パイルに伝送することにより、次の時点における各充電パイルの実際出力電力が対応する電力出力上限を超えないようにし、かつステップ1からステップ2へと繰り返し実行することにより、充電ステーションにおける各充電パイルの電力をリアルタイムで且つ動的に調整する。
【0180】
以下、実施例を挙げて本発明の構成を詳述する。以下の実施例は、何れも上記方法1を用いて充電ステーションの電力を動的に割り当てる場合を例示するものである。
【0181】
実施例1
本実施例の設定1としては、
a)充電パイルクラスタの総電力上限が一定であり、PTotal=600kW
b)充電パイルの総数N=4
c)各充電パイルの定格電力PRated_i(κ)=350kW
d)各充電パイルの電力実際需要は、順にPRequest_0(κ)=100kW、PRequest_1(κ)=100kW、PRequest_2(κ)=200kW、PRequest_3(κ)=0kWであり、かつ短期間内において各充電パイルの電力実際需が変化しない設定であった。
【0182】
表1に、各充電パイルへ電力を動的に割り当てる設定1の流れを纏めて示す。
【0183】
【表1】
【0184】
表1において、時点6からPReal_i(κ)およびPA_i(κ+1)が安定に保持され、すなわち隣接する2つの更新周期において各充電パイルの実際出力電力および算出した次の時点の電力出力上限に何れも変化がない設定とした。
【0185】
実施例2
本実施例の設定2としては、
a)上記設定1に基づき変化し、
すなわち設定2において電力を動的に調整する前の準安定状態が上記設定1の時点6であり、
b)まず、充電パイル3への充電を行い、その電力実際需要が350kWであり、すなわち各充電パイルの電力実際需要をPRequest_0(κ)=100kW、PRequest_1(κ)=100kW、PRequest_2(κ)=200kW、PRequest_3(κ)=350kWに変更した。
【0186】
表2に、各充電パイルへ電力を動的に割り当てる設定2の流れを纏めて示す。
【0187】
【表2】
【0188】
表2において、時点17からPReal_i(κ)およびPA_i(κ+1)が安定に保持され、充電パイル3に割り当てる電力出力上限が197kWであり、350kWの電力需要を満たさないため、充電パイル3の実際出力電力が197kWであった。
【0189】
c)続いて、充電パイル2への充電を停止させ、すなわち充電パイル2の電力実際需要PRequest_2(κ)=0kWであり、下記表3に示された通り、各充電パイルへ電力を動的に割り当てた。
【0190】
【表3】
【0191】
表3において、時点6からPReal_i(κ)およびPA_i(κ+1)が安定に保持され、つまり、充電パイル2への充電を停止させた後、本発明の電力共有制御アルゴリズムに従って充電パイル3に割り当てられる電力出力上限および実際出力電力が何れも上昇し、結果として350kWの電力需要を満足できた。
【0192】
実施例3
本実施例の設定3としては、
a)上記設定1に基づき変化し、すなわち設定3において電力を動的に調整する前の準安定状態が上記設定1の時点6であり、
b)充電パイルクラスタの総電力上限PTotal(κ)が600kWから500kWへと変動し、かつ下記表4に示された通り、各充電パイルへ電力を動的に割り当てた。
【0193】
【表4】
【0194】
表4において、時点1からPReal_i(κ)およびPA_i(κ+1)が安定に保持され、PTotal(κ)が600kWから500kWへと変動したとき、各充電パイルに割り当てられる未使用の残余電力(充電パイルに割り当てる電力出力上限とその実際出力電力との差)が50kWから25kWへと変動した。
【0195】
上記の実施形態は本発明を例示したに過ぎず、本発明はこれらの実施形態に制限されない。なお、本発明の宗旨から逸脱しない前提で当業者が本発明に対して種々の変更や変化を施してもよく、これらの変更や変化も本発明の範囲内である点に留意されたい。
図1
図2
図3