(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044651
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】エアゾール剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20230323BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230323BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230323BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230323BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230323BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20230323BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230323BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20230323BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20230323BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20230323BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230323BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230323BHJP
B65D 83/14 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K31/506
A61K9/12
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/08
A61P17/14
A61Q7/00
A61K8/365
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/02
B65D83/14 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141864
(22)【出願日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2021151700
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有泉 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 啓輔
【テーマコード(参考)】
3E014
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC02
3E014PD02
3E014PE02
3E014PF06
4C076AA24
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD43
4C076FF36
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083DD08
4C083EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086NA03
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】
ミノキシジル含有液剤を樹脂でコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器に保存した場合のブリスター発生が抑制された、安定な外用組成物提供すること。
【解決手段】
(A)ミノキシジル、酒石酸及び/又はその塩、並びにプロピレングリコールを含む原液と
ジメチルエーテルを含む噴射剤、
からなる内容物;及び
(B) 内容物との接触面が樹脂でコーティングされた金属製マウンテンカップを有するエアゾール剤容器
からなるエアゾール剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ミノキシジル、酒石酸及び/又はその塩、並びにプロピレングリコールを含む原液と
ジメチルエーテルを含む噴射剤、
からなる内容物;及び
(B) 内容物との接触面が樹脂でコーティングされた金属製マウンテンカップを有するエアゾール剤容器
からなるエアゾール剤。
【請求項2】
原液に、1,3-ブチレングリコールを含む請求項1に記載のエアゾール剤。
【請求項3】
樹脂がポリアミドイミドである請求項1又は2に記載のエアゾール剤。
【請求項4】
原液中のミノキシジルの含有量が5w/v%以上である、請求項1又は2に記載のエアゾール剤。
【請求項5】
原液のpHが4.0~8.0である、請求項1又は2に記載のエアゾール剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを含有する経時的に安定なエアゾール剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2,4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
【0003】
ミノキシジルを頭皮に適用する形態として、主に液剤やローション剤が知られている。一方、別の形態としてエアゾール剤も知られている。噴射剤の気化により冷感を得られることや、容器の材質によっては優れた遮光性を有し成分の保存安定性に優れるといった特徴を有する剤形であるが、高圧下で保存することになるため通常の容器とは成分の動態が異なることがある。
【0004】
ミノキシジルを含む原液とジメチルエーテルを含む噴射剤からなる内容物を、特定のコーティング剤により被覆したマウンテンカップおよび特定の材質からなるハウジングを有する特定のコーティングがなされたエアゾール剤容器に封入することにより、安定なミノキシジル配合エアゾール剤の提供に関する技術が開示されている(特許文献2)。また、特許文献3には、噴射剤をジメチルエーテルとしたミノキシジル含有エアゾール剤が記載されている。しかしながら、ミノキシジル含有エアゾール剤は、製品化されているものも少なく、製剤安定性や使用感向上等、より優れた製剤の提供を目的とし種々の検討が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4139619号
【特許文献2】特許5194337号
【特許文献3】特開2017-186309
【特許文献4】特開2006-342090
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、酸を含有するミノキシジル配合エアゾール剤において、ポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器に保存すると、マウンテンカップにブリスターが発生することを発見した。本発明は、ミノキシジル含有液剤を樹脂でコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器に保存した場合のブリスター発生が抑制された、安定な外用組成物提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、意外にも、酸として酒石酸又はその塩を配合することにより、樹脂コーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器に保存していても、ブリスターの発生を抑制できるミノキシジル配合エアゾール剤を提供できることを見出した。さらに、特定の多価アルコールを配合することで、経時的に安定な製剤となることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)(A)ミノキシジル、酒石酸及び/又はその塩、並びにプロピレングリコールを含む原液と
ジメチルエーテルを含む噴射剤、
からなる内容物;及び
(B) 内容物との接触面が樹脂でコーティングされた金属製マウンテンカップを有するエアゾール剤容器
からなるエアゾール剤、
(2)原液に、1,3-ブチレングリコールを含む(1)に記載のエアゾール剤、
(3)樹脂がポリアミドイミドである(1)又は(2)に記載のエアゾール剤、
(4)原液中のミノキシジルの含有量が5w/v%以上である、(1)~(3)のいずれかに記載のエアゾール剤、
(5)原液のpHが4.0~8.0である、(1)~(4)のいずれかに記載のエアゾール剤、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、酸を含有するミノキシジル配合外用剤において、樹脂でコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器に保存していても、ブリスターの発生を抑制できるエアゾール剤を提供することが可能になった。また、経時的な安定な、特に着色の進行を抑制できるエアゾール剤となった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のエアゾール剤は、ミノキシジル、酒石酸及び/又はその塩、プロピレングリコールを含む原液と、ジメチルエーテルを含む噴射剤からなる内容物、並びに内容物との接触面が樹脂でコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器からなるエアゾール剤である。
【0011】
本発明のエアゾール剤を構成する原液は、ミノキシジル、酒石酸及び/又はその塩、プロピレングリコールが必須であり、さらに、1,3-ブチレングリコールを配合でき、必要に応じてアルコール類、その他一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。
【0012】
本発明の原液中のミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明におけるエアゾール剤において、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれ、溶解性を確保するために酸の必要性が増すため、ブリスター発生の課題という観点で、原液中のミノキシジル濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、ミノキシジルの含有量は、本発明の原液中1w/v%以上が好ましく、より好ましくは3w/v%以上であり、更に好ましくは5w/v%以上である。また、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれ、着色しやすい傾向にある。本発明においては、ミノキシジル含有量の上限は、好ましくは10w/v%以下であり、より好ましくは5w/v%以下である。
【0013】
本発明の原液中における酒石酸の塩とは、特に限定されないが、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸二ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、酒石酸二ナトリウムである。本発明における酒石酸及び/又はその塩においては酒石酸が特に好ましい。本発明における酒石酸及び/又はその塩の含有量は、原液中好ましくは0.01~0.7w/v%であり、より好ましくは0.05~0.7w/v%であり、さらに好ましくは0.05~0.5w/v%であり、よりさらに好ましくは0.05~0.25w/v%であり、特に好ましくは0.1~0.2w/v%である。
【0014】
本発明の原液のpHは、ミノキシジルの安定性、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性、使用感等の点から、4.0~8.0の範囲に調整することが好ましく、5.0~7.0の範囲がより好ましく、5.5~7.0の範囲が更に好ましい。
【0015】
本発明の原液中におけるプロピレングリコールの含有量は、原液中好ましくは2~40w/v%であり、より好ましくは5~37.5w/v%であり、更に好ましくは7.5~35w/v%である。
【0016】
本発明の原液中において1,3ブチレングリコールを含む場合、プロピレングリコール及び1,3ブチレングリコールの合計含有量は、原液中好ましくは2~40w/v%であり、より好ましくは5~37.5w/v%であり、更に好ましくは7.5~35w/v%である。
【0017】
本発明の原液には、使用感、ミノキシジルの溶解性及び安定性の点から、低級アルコール類を配合するのが好ましい。低級アルコールとしては、炭素数1~5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用しても良い。本発明の原液中における低級アルコールの含有量は、原液中好ましくは25w/v%以上であり、より好ましくは30w/v%であり、更に35w/v%以上であり、更により好ましくは40w/v%以上である。上限は80w/v%以下が好ましい、より好ましくは70w/v%以下であり、更に好ましくは60w/v%以下である。
【0018】
本発明のミノキシジルを含む原液には、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェンヒドラミン等)、抗炎症剤(グアイアズレン、グリチルレチン酸等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン、ヒノキチオール等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸トコフェロール、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、塩酸ピリドキシン、酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(メントール、ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0019】
本発明を構成する噴射剤としては、ジメチルエーテルを使用することが必須である。原液との相溶性が優れたものとなり、また、安定性及び使用感も良好となるからである。さらに、原液とジメチルエーテルの比率は容積比で同量、もしくは原液のほうを多くすることが好ましい。原液とジメチルエーテルの配合比率は容積比で原液1に対してジメチルエーテルは1以下が好ましく、より好ましくは0.25~1であり、更に好ましくは0.35~1であり、より更に好ましくは0.35~0.75であり、特に好ましくは0.35~0.5である。容積比が原液1に対してジメチルエーテルが1を上回ると使用時の噴射剤臭が強くなるためである。また、0.25を下回ると冷感が得られにくくなる。また、安定性、使用感を損なわない範囲でジメチルエーテルとともに他の圧縮ガス等の噴射剤を使用することができる。他の圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素、亜酸化窒素等が挙げられる。
【0020】
本発明を構成するマウンテンカップは金属製であり、内容物と接する面が樹脂でコーティングされている。樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタラートラミネートが挙げられ、ポリアミドイミドが好ましい。ポリアミドイミドは加工性に優れているからである。マウンテンカップ部の金属は一般的なものが使用できるが、アルミニウムが好ましい。なお、内容物と接する面とは、エアゾール剤容器の内側の面である。
【0021】
本発明においてブリスターとは塗膜の表面に生じる水泡や膨れのことを指し、様々な原因により素地と塗膜、塗膜と塗膜の密着力が低下し、塗膜内の水分などが熱などで膨張し、塗膜を押し上げて膨れることで生じる。マウンテンカップにブリスターが発生するとは、マウンテンカップの表面に数mm程度の水泡が生じることである。
【0022】
本発明のエアゾール剤を充填する容器は、エアゾールの内圧に耐える耐圧性と、内容物が洩れない気密性を有していることが必要である。法規で規定される耐圧性能(1.3MPaで変形せず、1.5MPaで破壊されないこと)が維持されていれば、素材は、アルミニウム、ガラス、ブリキ、合成樹脂のいずれであってもよい。ブリキ容器、アルミニウム容器を用いる場合には、腐食防止のために樹脂による表面コートを行うことができるが、汎用性の観点からアルミニウム容器が好ましい。また、本発明のエアゾール剤に用いる容器は、耐圧容器の他、バルブ、ボタン、スパウト、キャップ等が、公知のエアゾール容器と同様に備わっている。
【0023】
本発明のエアゾール剤は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例0025】
下記の原液1~10を調製した。
【0026】
※原液1
ミノキシジル5g、プロピレングリコール15g、エタノール50g、酒石酸0.2g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。
【0027】
※原液2
ミノキシジル5g、プロピレングリコール10g、1,3-ブチレングリコール5g、エタノール50g、酒石酸0.2g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。
【0028】
※原液3
ミノキシジル5g、プロピレングリコール15g、エタノール50g、乳酸0.25g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。
【0029】
※原液4
ミノキシジル5g、プロピレングリコール10g、1,3-ブチレングリコール5g、エタノール50g、乳酸0.25g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。
【0030】
※原液5
ミノキシジル5g、マクロゴール400 25g、エタノール50g、酒石酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。
【0031】
※原液6
ミノキシジル5g、プロピレングリコール35g、エタノール25g、酒石酸0.7g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH5.5の原液を得た。
【0032】
※原液7
ミノキシジル5g、プロピレングリコール30g、エタノール40g、酒石酸0.05g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH7.0の原液を得た。
【0033】
※原液8
ミノキシジル5g、プロピレングリコール15g、エタノール45g、酒石酸0.2g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4の原液を得た。
【0034】
※原液9
ミノキシジル5g、プロピレングリコール7.5g、エタノール45g、酒石酸0.4g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の原液を得た。
【0035】
※原液10
ミノキシジル5g、プロピレングリコール30g、エタノール40g、酒石酸0.15g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4の原液を得た。
【0036】
原液1~10の処方を表1に示す。
【0037】
【0038】
(実施例1)
原液1をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0039】
(実施例2)
原液2をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0040】
(比較例1)
原液3をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0041】
(比較例2)
原液4をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0042】
(実施例3)
原液1を透明ガラス耐圧容器に充填した。次に、透明ガラス耐圧容器にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0043】
(実施例4)
原液2を透明ガラス耐圧容器に充填した。次に、透明ガラス耐圧容器にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0044】
(比較例3)
原液5を透明ガラス耐圧容器に充填した。次に、透明ガラス耐圧容器にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0045】
(参考例1)
原液3をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。
【0046】
(参考例2)
原液4をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。
【0047】
(参考例3)
原液5を透明ガラス耐圧容器に充填した。
【0048】
(実施例5)
原液1をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0049】
(実施例6)
原液6をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0050】
(実施例7)
原液7をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0051】
(実施例8)
原液8をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/1になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0052】
(実施例9)
原液8をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.75になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0053】
(実施例10)
原液8をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.35になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0054】
(実施例11)
原液9をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0055】
(実施例12)
原液10をポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するスプレー式噴射口付きアルミニウム容器に充填した。次に、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるようにジメチルエーテルを充填し、エアゾール剤を得た。
【0056】
実施例1~実施例12、比較例1~比較例3、参考例1~参考例3の原液と噴射剤を表2に示す(なお、表中のDMEはジメチルエーテルの略である)。
【0057】
【0058】
<試験例1:マウンテンカップの観察>
実施例1~実施例2、比較例1~比較例2及び参考例1~参考例2に関し、容器を倒立させ50℃条件下1箇月経過後、噴射剤を放出させたのちに容器を開きマウンテンカップの状態を目視にて観察した。実施例5~実施例12に関しても、同条件で実施、観察した。マウンテンカップにブリスターが発生していないものを○、ブリスターが発生したものを×と表記した。結果を表3に示す。
【0059】
【0060】
表3から明らかなように、酸として乳酸を配合している比較例1及び比較例2ではブリスターが認められたのに対し、酒石酸を配合している実施例1、実施例2、実施例5~12ではブリスターが認められなかった。なお、噴射剤としてジメチルエーテルを含まない参考例1及び参考例2ではブリスターが認められなかった。
【0061】
<試験例2:製剤の安定性>
実施例3~実施例4、比較例3及び参考例3に関し、5℃条件下1週間及び50℃条件下1週間経過後、製剤の状態を目視にて観察した。実施例5~実施例12に関し、5℃条件下1週間及び50℃条件下1週間経過後、噴射剤を放出させたのちに容器を開き、製剤の状態を目視にて観察した。5℃条件下1週間経過の製剤は析出を観察し、析出が認められていないものを○、析出が認められたものを×と表記した。50℃条件下1週間経過の製剤は製剤の着色度合いを評価した。結果を表4に示す。
【0062】
【0063】
表4から明らかなように、多価アルコールとしてマクロゴール400を配合している比較例3では析出および着色が認められたのに対し、プロピレングリコール、又はプロピレングリコール及び1,3-ブチレングリコールを配合している実施例3~実施例12では析出及び着色が認められなかった。なお、噴射剤としてジメチルエーテルを含まない参考例3では着色が認められるものの、析出は認められなかった。また、ジメチルエーテルを含む比較例3は、参考例3よりも着色の度合いは大きかった。
【0064】
上記実施例、比較例、参考例をまとめて表5に示した。
【0065】
本発明により、酸を含有するミノキシジル配合エアゾール剤において、ポリアミドイミドでコーティングされている金属製のマウンテンカップを有するエアゾール剤容器に保存していても、ブリスターの発生を抑制できるエアゾール剤を提供することが可能になった。