(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044655
(43)【公開日】2023-03-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20230323BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145205
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021152370
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506201518
【氏名又は名称】株式会社ラーニングエージェンシー
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】眞▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】青山 結
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 光輝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳純
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】研修の受講対象者が所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行う。
【解決手段】サーバ10は、属性取得部120、テスト部121、レコメンド部122を備える。属性取得部120は1以上の講座の受講により研修が施される予定の1人以上の受講者(受講予定者)毎に1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)を取得する。テスト部121は、1以上の受講予定者について、ビジネス基礎力診断テストの結果を現在のスコアを現在スコアとして取得する。レコメンド部122は、1以上の受講予定者の1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)及び現在スコアに基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の1人以上の対象者毎に1以上の属性を取得する属性取得手段と、
前記1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得手段と、
前記1人以上の対象者の夫々の前記1以上の属性及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する推薦手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記対象者について、前記ビジネスに関する能力の、前記所定期間が経過した後の目標となる評価値が前記対象者の操作により入力された場合、当該評価値を目標評価値として取得する目標評価値取得手段、
をさらに備え、
前記推薦手段は、前記対象者の前記1以上の属性及び前記現在評価値に加えてさらに前記目標評価値に基づいて、前記受講計画と共にさらに前記所定期間として適切な期間を含む前記推薦情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定期間として目標の期間が前記対象者の操作により入力された場合、当該期間を目標期間として取得する目標期間取得手段と、
現在よりも前記目標期間よりも前に前記人材育成が既に施された者のうち、前記対象者と同一又は類似する属性を有する者を類似属性者として、前記目標期間の前記人材育成が施される前後の、前記ビジネスに関する能力の夫々の評価値を含む情報を実績情報として、前記1以上の類似属性者の夫々の前記実績情報を取得する類似実績取得手段と、
をさらに備え、
前記推薦手段は、前記対象者の前記1以上の属性及び前記現在評価値に加えてさらに前記1以上の類似属性者の夫々の前記実績情報に基づいて、前記受講計画と共に前記所定期間が経過した際に目標となる評価値を目標評価値として含む前記推薦情報を生成する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ビジネスに関する能力の評価値は、前記ビジネスのスキルを評価するための複数の評価要素の値である、
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記1人以上の対象者は、所定観点で分類された所定グループに属しており、
前記推薦手段は、前記推薦情報の生成の元になる情報として、前記1人以上の対象者の夫々の情報を用いて生成された前記所定グループの情報を用いて、当該所定グループに対する前記推薦情報を生成する、
請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の1人以上の対象者毎に1以上の属性を取得する属性取得ステップと、
前記1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得ステップと、
前記1人以上の対象者の夫々の前記1以上の属性及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する推薦ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
情報処理装置を制御するコンピュータに、
1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の1人以上の対象者毎に1以上の属性を取得する属性取得ステップと、
前記1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得ステップと、
前記1人以上の対象者の夫々の前記1以上の属性及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する推薦ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの技能(スキル)を診断し、診断結果に基づく人材育成の支援を図る人材育成支援システムは存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように、従来の人材育成のための研修等は、受講することでユーザ個人のスキルの向上に繋がることは分かるものの、研修が施されることで現在のスキルが将来どの程度先にどの程度成長するか等といったことまでは分からない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、研修の対象者が所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の1人以上の対象者毎に1以上の属性を取得する属性取得手段と、
前記1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得手段と、
前記1人以上の対象者の夫々の前記1以上の属性及び前記現在評価値に基づいて、前記1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する推薦手段と、
を備える。
本発明では、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の1人以上の対象者毎に属性を取得し、1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得し、1人以上の対象者の夫々の1以上の属性及び現在評価値に基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する。
このように、研修の受講対象者の将来像(スコアの成長)を実現するために、受講が必要な研修とその受講順序・要する期間(N年等)等の具体的な道筋を立てて推薦情報(適切な講座の受講計画を含む情報)を生成することで、研修の受講対象者が所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行うことができる。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、研修の受講対象者が所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムの全体構成を示している。
【
図2】
図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】ビジネススキルの評価指標と対応付けた個々のユーザのスキルの評価結果の一例を示す図である。
【
図5】
図2、
図3のサーバにおけるユーザの成長予測推薦動作を示すフローチャートである。
【
図6】サーバにおけるレコメンド算出ロジックの概要を示す図である。
【
図7】なりたい未来の姿がユーザにある場合のレコメンド部の動作を示す図である。
【
図8】なりたい未来の姿がユーザにない場合のレコメンド部の動作を示す図である。
【
図10】推奨受講研修テーマとその受講順が設定されたテーブルの具体例を示す図である。
【
図11】研修受講計画の立案に関する概要動作を示すフローチャートである。
【
図12】テストの受検結果から研修受講対象項目を抽出する処理を示すフローチャートである。
【
図13】テストの受検結果から研修受講対象項目を抽出する処理を示すフローチャートである。
【
図14】受講すべき研修サービスの受講テーマを抽出する処理を示すフローチャートである。
【
図15】項目別研修テーマリストの一例を示す図である。
【
図16】項目別研修テーマリストの一例を示す図である。
【
図17】研修テーマの受講順を設定する処理を示すフローチャートである。
【
図18】理想の姿を持つユーザの属性情報(第1事例:異業種への転職を望む場合)を示す図である。
【
図19】
図18の属性情報を持つユーザのスコアを示す図である。
【
図20】理想の姿を持つユーザの属性情報(第2事例:異職種への転職を望む場合)を示す図である。
【
図21】
図20の属性情報を持つユーザのスコアを示す図である。
【
図22】理想の姿を持たないユーザに対するレコメンドの例(第3事例:職種、業種等の希望が特にない場合)を示す図である。
【
図23】ユーザの現在スコアと理想スコアとが比較可能に表示されたビジネススキル特性(グラフ)を示す図である。
【
図24】レコメンド部が立案した適切な講座の受講計画の出力例を示す図である。
【
図25】レコメンド部が立案した適切な講座の受講計画の出力例を示す図である。
【
図27】
図26の属性情報を持つユーザのスコアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システム1の全体構成を示している。
図1に示す情報処理システム1は、サーバ10と、n台(nは1以上の任意の整数値)の受講者端末20-1乃至20-nとが、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されることによって構成されている。
なお、以下、受講者端末20-1乃至20-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「受講者端末20」と呼ぶ。
【0010】
受講者端末20は、受講者毎に管理される情報処理装置であって、例えばタブレット端末やスマートフォン等で構成される。
サーバ10は、本サービス提供者により管理される。サーバ10は、受講者端末20-1乃至20-nの夫々の各動作を制御しつつ各種処理を実行する。
【0011】
本サービス提供者は、企業からの申し込みにより社員を受講者として講座に参加させて受講させたりオンライン研修等を行う。また、サービス提供者は、受講者が受講した講座やオンライン研修の内容の理解度や習得度を確認するために当該受講者に対してテストを行い、そのテストの結果を評価して当該受講者に対して今後のアドバイス等を行う。
さらに、本サービス提供者は、企業或いはその企業内の部署等に属する複数の社員(受講者)の夫々のテストの結果に基づいて、当該企業或いは当該部署等に対し成長の支援を行うとともに、今後の成長の最適解を提示し、社会の発展に貢献できるようにする。
【0012】
具体的には、本実施形態では、サーバ10は、次のように受講者端末20と連携して動作する。
即ち、サーバ10は、先ずサーバ10に予め記憶されている複数の問題のうち1以上からなるビジネス基礎力診断テスト(以下単に「テスト」と称す)を、受講者端末20に送信し、これら1以上の問題の夫々に対して受講者が入力した解答を受信する。
【0013】
テストは、サービス提供者により実施される。当該テストの問題は、受講者のビジネスにおける基礎的な力(ビジネス基礎力)を評価するためのものであり、サービス提供者により1以上のビジネスの評価対象のスキル毎及び夫々のスキルの1以上のテーマ毎に出題される。ビジネス基礎力とは、社会人として仕事を行う上で役に立つ技術又は能力をいう。
【0014】
ビジネス基礎力を評価するためのスキルとテーマとの関係について説明する。
スキルは、m個(mは1以上の任意の整数値)に定義され、さらに1以上のスキルの夫々にp個(pは、mとは独立した1以上の任意の整数値)のテーマが定義されている。
テストでは、当該テーマの夫々に関連する内容の問題が項目毎に出題される。
【0015】
受講者端末20は、サーバ10が送信したテストを受信する。そして、受講者は、受講者端末20を操作して、当該テストを構成する複数の問題の夫々について解答を入力する。
受講者端末20は、受講者が入力したテストの解答(各問題の解答の集合体)を、サーバ10に送信する。
【0016】
サーバ10は、受講者端末20-1乃至20-nの夫々からテストの解答が送信される毎に、当該回答を順次取得し採点を行う。また、サーバ10は、採点結果を前記項目毎に正規化し、これをスコアとして受講者毎に記憶し管理する。
【0017】
サーバ10は、受講者毎に管理しているスコアから、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件を設定し記憶する。
なお、所定の母集団は、特に限定されず、例えば、受講者に関する各種属性情報のうち、所定の1以上の属性情報が一致する受講者からなる集団や、スコアが一定範囲内の受講者からなる集団等各種各様な集団を採用することができる。なおその前提として、サーバ10は、各受講者毎に、採点結果を示すスコアとともに、当該受講者の各種属性情報を対応付けて管理しているものとする。
この場合、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件としては、例えば、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、過去のスコアの値や範囲等を採用することができる。
【0018】
サーバ10は、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとを抽出し、両スコアを比較する。
具体的には、例えば当該所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアの平均値、最大値又は最小値とを比較することができる。
【0019】
また、サーバ10は、当該所定の受講者のスコアと当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとをプロットしたグラフを、当該所定の受講者の受講者端末20の画面に表示させる。
【0020】
これにより、受講者は、受講者端末20の画面に表示されたグラフの、各スキルの各テーマ夫々についての当該受講者自身のスコアの値と、当該受講者が含まれる所定の母集団のスコアの値との分布から、当該受講者の現在のスキルと、過去のスキルとを比べた成長の度合いや企業の教育効果を容易に視認することができる。
【0021】
このように、研修が既にN年間施された既存受講者のうち、研修を受ける予定の受講者と同一又は類似する属性を有する者を類似属性者として、1以上の類似属性者についてのスコアの過去N年間の成長の実績(受検ログ)を読み出し、受検ログに基づいて、現在のスコアを補正する属性係数を生成し、当該属性係数を含む係数群を用いて、研修を受ける予定の受講者の現在のスコアを補正し、補正後のスコアを当該受講者のN年間後のスコアとして予測し、今後研修の受講を継続してN年後になったときの受講者のスコアの予測値を受講者に提示することで、受講者は、研修を続ければN年後に成果が得られることが分かり、受講者にN年後の将来に向けて研修を継続しようという意欲(やる気)を持たせることができる。
【0022】
図2は、
図1の情報処理システム1のうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0024】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0025】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0026】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0027】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(
図1の例では受講者端末20)との間で通信を行う。
【0028】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア111が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア111から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア111は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0029】
図3は、
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ10の記憶部108(
図2)の一領域には、受検DB141が設けられている。
受検DB141には、受講者に関する情報と、受講者が現在までに受講した研修の実績やビジネス基礎力診断テストを受けた結果の実績等のログ(以下「受検ログ」と称す)とが記憶されている。
受講者に関する情報は、例えば企業等で就労する従業員が、自身のスキル向上のために、サービス提供者が開催する講座や研修等を受講するための情報であり、受講者に関する情報には、受講者が属する企業や業種等の情報が含まれる。
【0030】
具体的には、受検DB141には、会社等の企業において研修サービスを受講させる従業員の氏名、年齢、性別、職種等の基本属性、社内における現在や現在に至るまでの所属部署(部門等)、役職、企業の業種、受講する講座や研修に関する情報(講座名や講座番号、研修名や研修番号、受講日、受講履歴)、サービス提供者が受講者の夫々に対して行ったアンケート(質問)とその回答の組等が、受講者個人を識別する情報(受講者ID又は受講者番号等)に対応して記憶されている。
【0031】
受検DB141には、受講者の属性が、現在と理想の基本属性(年齢、性別、職種等の主属性)とその他の追加属性(役職、業種等の副属性)とに分けられて(具体例は
図9参照)、記憶されている。基本属性は、受講者であればすべて登録される。追加属性は、受講者からの積極的な入力により任意で登録される。なお、受講者の属性とスコアを、受講者に関する情報と呼ぶ場合がある。
なお、理想の属性については、理想を持っている受講者のみが登録する。理想の属性は、情報が多ければ多いほど、精度の高いレコメンドを提示することができる。
理想の属性の登録がない場合、現在のスコアと属性情報から、おすすめ属性とレコメンドを提示する。
受検DB141には、項目別研修テーマリスト(
図15参照)が記憶されている。項目別研修テーマリストには、各カテゴリの項目毎に研修テーマが設定されている。
【0032】
研修テーマの中から、受講者が受講する研修を受講することができる。研修としては、複数の講座が記憶されている。講座とは例えば研修プログラムを実施する研修会や講習会等であり、複数の講座に複数の受講者が参加することが可能である。複数の講座夫々には1つ以上の評価要素が対応している。
1つ以上の評価要素は、特に限定されないが、以下においては、テーマ又はサブテーマが採用されているものとして説明する。即ち、以下の例では、1つの講座に1以上(主に1つ)のテーマ又はサブテーマが対応付けられているものとする。
テーマは、ビジネスの技能要素の夫々をネーミングした主題であり、講座名と対応付けされる。サブテーマは、テーマの中に含まれる小テーマをいい、小テーマだけの講座も設定される。研修についても同様である。
【0033】
ビジネス基礎力を評価する指標は、例えば
図4に示すグラフに示されるように、「ビジネス知識」(Business knowledge)、「プランニング&コントロール」(Planning & Control)、「シンキング」(Thinking)、「コミュニケーション」(Communication)等の4つのスキルに定義(カテゴリ分け)される。4つに定義(カテゴリ分け)された夫々のスキルには、スキル項目が設定されている。スキル項目は、夫々のスキルの評価要素の1つである。各スキルには、スキル項目毎に研修(講座)が設定される。
【0034】
例えば「ビジネス知識」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営等がある。図示しないが、法務・人事・労務というスキル項目には、人事・労務、コンプライアンス等のサブ項目が含まれる。
【0035】
「プランニング&コントロール」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善等がある。図示しないが、目的及び目標というスキル項目には、目的思考というサブ項目が含まれる。また、計画というスキル項目には、アクションプラン立案というサブ項目が含まれる。
【0036】
「シンキング」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案等がある。図示しないが、思考法活用というテーマには、要素分解力というサブテーマが含まれる。
【0037】
「コミュニケーション」のスキルのビジネス基礎力を計るためのスキル項目は、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナー等がある。図示しないが、文書伝達というスキル項目には、スライド作成力というサブ項目が含まれる。
【0038】
ここでビジネススキルを評価するためのスキルのカテゴライズの仕方(分け方)について説明する。
スキルは、人材育成において成長するために必要なスキルを体系化して大きく4つに分けられる。
人が成果を出すためには、計画性・実行力「プランニング&コントロール」が必要となる。この計画性・実行力を上げるためには意思や判断等の考え方「シンキング」、人間関係を構築するコミュニケーション力「コミュニケーション」、前提となる知識「ビジネス知識」が同時に必要である。
このように4つのスキルに分けてビジネス基礎力を診断することで、診断対象者の持っているスキルの特長が見え易くなる。
【0039】
ビジネス基礎力は、個々のスキル項目の単位、又は複数のテーマで1つ設定される講座の単位で、受講者が研修を受講することにより、受講者のビジネススキルの向上が図られる。
受講者が研修を受講するにあたり、受講前と受講中及び受講後等にビジネス基礎力診断テストが実施される。
【0040】
受検DB141には、サービス提供者が実施するテストに関する情報が記憶されている。テストに関する情報は、例えばテストの問題、解答、個々の受講者のテスト結果(スキル項目毎の得点)やその総合的評価であるビジネス基礎力評価結果(カテゴリ毎のスコア)、研修サービス利用企業及び受講者へのアンケートと、アンケートに対する回答、研修利用企業数、受講人数、階層教育に着手している企業数、研修テーマ別・階層別の受講人数、教育導入までの意思決定にかかるリードタイム、サービス利用者ID登録数等を含む人材育成ログ情報が記憶されている。
スコアは、テストの項目毎の得点を、例えば5段階等で評価した数値(“1”から“5”)であり、1スキル毎に合計した数値も記憶されている。1カテゴリ5つのスキル項目とした場合に1カテゴリ25点満点とし、この場合の個々のスキル項目のスコアを合計した値等で、受講者のカテゴリ毎の評価が示される。
【0041】
受検DB141には、受講者が属する企業の情報(企業規模(人数)、組織構成(階層等)、部署、部門の配置等)が記憶されている。また、受検DB141には、企業における従業員(受講者)夫々の情報(例えば従業員の氏名、年齢、入社年月日、在職年数、組織上の職位、役職等)が社員番号等の従業員の個人特定情報に紐づけて記憶されている。
なお、上記で示した1年前や数年前等の受検ログは一例であり、3年前であってもよく過去の実績であれば足りる。
この他、受検DB141には、講座や研修を受講する企業の業績情報(例えば経済情報誌等で公開されている範囲の情報)が同業他社で比較可能に記憶されている。
【0042】
サーバ10のCPU101(
図2参照)においては、処理を実行する際に、
図3に示すように、属性取得部120と、テスト部121と、レコメンド部122と、目標評価値取得部123と、目標期間取得部124と、類似実績取得部125と、表示制御部126と、が機能する。
【0043】
属性取得部120は、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される予定の対象者(例えば会社の社員等の受講予定者等)の1以上の属性を取得する。1以上の属性は、基本属性と追加属性がある。基本属性は、例えば性別、年齢、職種、業種、役職等である。追加属性は、会社におけるその社員の役職、会社の業種等である。
【0044】
テスト部121は、対象者について、ビジネスに関する能力(ビジネス基礎力)の現時点の評価値(ビジネス基礎力診断テストによるスコア)を現在評価値として取得する。
具体的には、会社の組織に所属する1以上の社員の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報を受講者端末20を介して取得し受検DB141に記憶する。ビジネス基礎力を示す情報は、例えばビジネスの能力であるスキルを評価するためのテーマ毎のテストのスコア等である。
テスト部121は、受検DB141に予め記憶されている、受講者のスキルを評価するための問題の中から、受講者が受講者端末20を操作して解答をするための問題を、各テーマの項目毎に作成する。このようにして作成された各スキルの夫々のテーマ毎の問題と解答の集合体がテストである。
【0045】
テスト部121は、テストを、通信部109を介して受講者端末20に表示させることにより、受講者に対しテストを出題する。
受講者は、受講者端末20を操作することにより、テスト部121が出題したテストに対する解答(各問題毎の解答)を入力する。受講者が入力した解答は、受講者端末20からサーバ10に対して送信される。
【0046】
テスト部121は、受講者端末20から送信されたテストの解答(各問題毎の解答の集合体)を、通信部109を介して取得する。
テスト部121は、取得したテストの解答を、所定の採点基準に基づいて各問題毎に採点する。
テスト部121は、各問題毎の採点の結果を、各スキルの各テーマ毎に正規化(スコア化)し、当該スコアを受検DB141に評価結果として各テーマの項目名と紐付けて記憶し受講者毎に管理する。
【0047】
受講者端末20からの評価提示要求(作表指示)に応じて受検DB141で管理されている1以上の受講者のスコアの中から、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとを取得し表示制御部126へ出力する。なお、所定の受講者を第1受講者と言い換える場合がある。
【0048】
なお、当該所定の母集団は、受検DB141に予め記憶されている所定の抽出条件によって抽出される。具体的には例えば、上述した様に、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、又は所定の受講者本人の過去のスコアのうち、任意の数(1も含む)の任意の組合せを所定の抽出条件とした母集団を抽出することができる。
【0049】
テスト部121は、ビジネス基礎力向上のための研修がN年間施される予定の受講予定者について、ビジネス基礎力を評価した現在のスコアを取得する。
具体的には、テスト部121は、講座や研修をN年間受講予定の受講予定者のスコアを受検DB141より読み出すことで受講予定者の現在のスコアを取得する。
【0050】
レコメンド部122は、受講予定者(既存受講者を含む)の1以上の属性及び現在のスコアに基づいて、受講予定者が受講すべき1以上の講座として適切な講座の受講計画を立案して、受講予定者にレコメンド(推薦)する。
具体的には、レコメンド部122は、受講予定者の1以上の属性(性別、年齢、職種、業種、役職等)とテスト部121により受検DB141から読み出された受講予定者の現在のスコアとに基づいて、受講予定者が受講すべき1以上の講座として適切な講座の受講計画(
図22参照,どういった順に講座や研修を受講しN年で目標スコアに到達させるという計画)を立案し、立案したその受講計画を受講予定者にレコメンド(推薦)する。
受講計画の立案は、AIモデルにより実行される。
AIモデルにより実行される受講計画の立案には、受講予定者の属性と現在のスコアの数値だけでなく、属性により傾向、4つのビジネススキルのカテゴリによる得点傾向(ビジネススキルの適正)や受講予定者本人により入力される目標スコア等が考慮される。AIモデルの他、予め設定されたアルゴリズムに基づいて受講計画を立案してもよい。
【0051】
目標評価値取得部123は、受講予定者について、ビジネスに関する能力の、N年が経過した後の目標となるスコアが受講予定者の操作により入力されていた場合、当該スコアを目標評価値として取得する。
具体的には、目標評価値取得部123は、受検DB141の当該受講予定者の受講者情報に目標スコアが含まれていた場合、その目標スコアを受検DB141から読み出し目標評価値として取得しレコメンド部122へ出力する。
【0052】
目標期間取得部124は、所定期間として目標の期間が受講予定者の操作により入力された場合、当該期間を目標期間として取得する。
具体的には、目標期間取得部124は、受検DB141の当該受講予定者の受講者情報に目標期間が含まれていた場合、その目標期間を受検DB141から読み出し目標期間として取得しレコメンド部122へ出力する。
これにより、レコメンド部122は、受講予定者の1以上の属性及び現在スコアに加えてさらに受講予定者により入力された目標スコア及び目標期間に基づいて、受講計画を立案すると共にさらに受講期間として適切な期間を算出し、受講予定者にレコメンドする。
【0053】
類似実績取得部125は、現時点で受講予定者の目標期間よりも前に人材育成が既に施された既存受講者のうち、受講予定者と同一又は類似する属性を有する者を類似属性者として、目標期間の人材育成が施される前後の、ビジネススキルの夫々のスコアを含む情報を実績情報として、1以上の類似属性者の夫々の実績情報を取得する。
具体的には、類似実績取得部125は、受講予定者と同一又は類似する属性を有する1以上の既存受講者(類似属性者)の実績情報を受検DB141から取得し、レコメンド部122へ出力する。
これにより、レコメンド部122は、受講予定者の1以上の属性及び現在スコアに加えてさらに1以上の既存受講者(類似属性者)の夫々の実績情報に基づいて、受講計画を立案すると共に所定期間が経過した際に目標となるスコアを目標スコアとして算出し、既存受講者(類似属性者)にレコメンドする。
【0054】
表示制御部126は、レコメンド部122により立案された受講計画を受講者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0055】
また、表示制御部126は、レコメンド部122から出力される受講予定者の現在のスコアと理想のスコアとを円形の表示領域に夫々プロットした2つの折れ線グラフ(例えば
図22のレーダーチャート参照)を、通信部109を介して受講者端末20の画面に表示させる制御を行う。
この他、表示制御部126は、テスト部121により取得される受講予定者の現在のスコアと、当該受講予定者が含まれる所定の母集団のスコアとを円形の表示領域にプロットした2つの折れ線グラフ(例えば
図4参照)を重畳させて、通信部109を介して受講者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0056】
ここで、
図5を参照してサーバの動作を説明する。
図5は、サーバの動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、サーバ10では、ステップS11において、属性取得部120は、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される受講予定者の1以上の属性(年齢、性別、職種、役職、業種のうち少なくとも年齢、性別、職種を含む情報)を取得する。
ステップS12において、テスト部121は、対象者について、ビジネスに関する能力(ビジネス基礎力)の現時点の評価値(ビジネス基礎力診断テストによる4つのビジネススキルの夫々のスコア)を現在スコアとして取得する。
ステップS13において、レコメンド部122は、受講予定者(既存受講者を含む)の1以上の属性(年齢、性別、職種、役職、業種のうち少なくとも年齢、性別、職種を含む情報)及び現在のスコア(4つのビジネススキルの夫々のスコア)に基づいて、受講予定者が受講すべき1以上の講座として適切な講座の受講計画を立案して、受講予定者にレコメンド(推薦)する。
【0057】
このようなサーバ10の動作によれば、受講予定者の1以上の属性と現在スコアとを取得し、取得した1以上の属性と現在スコアに基づいて、受講予定者が受講すべき1以上の講座として適切な講座の受講計画を立案して、受講予定者にレコメンド(推薦)するので、研修の対象者が所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行うことができる。
【0058】
次に、
図6乃至
図8を参照してサーバにおけるレコメンド部(検出レコメンドロジック)の動作を説明する。
図6は、サーバにおけるレコメンド部の動作の概要を示す図である。
図6に示すように、サーバ10において、受検DB141に保存されている受講予定者(以下「ユーザ」と称す)の現在のスコア及び属性と、ユーザのなりたい未来の姿(理想)の属性がユーザにより事前に入力され受検DB141記憶されている場合は、なりたい未来の姿(理想)の属性が受検DB141から読み出されてレコメンド部122に入力される。
なりたい未来の姿(理想)のスコアは、ユーザのなりたい未来の姿(理想)の属性を持つ既存受講者(既存ユーザ)におけるスコア上位20%の平均値等とする。ここで示したスコア上位20%の平均値は、一例であり、他の値であってもよい。
【0059】
レコメンド部122は、ユーザのビジネススキル、例えば4カテゴリ×5項目、合計20項目の夫々における、現在のスコアと、なりたい姿のスコアとを比較し、現在となりたい姿の各項目の点数差に基づいて、研修受講計画(推奨期間とおすすめ研修)を生成する。
おすすめ研修としては、例えば研修テーマ、研修受講順序、研修受講とあわせて読む書籍等が生成される。推奨期間は、なりたい姿のスコアに到達するのに必要な年数が例えばN年やN年半等として算出される。
【0060】
ここで、
図7を参照して、なりたい未来の姿がユーザにある場合のレコメンド部(研修レコメンドロジック)の動作を説明する。
図7は、なりたい未来の姿がユーザにある場合のレコメンド部の動作を示す図である。
ユーザに、なりたい未来の姿がある場合、
図6の概要動作と同様であり、レコメンド部122は、ユーザのビジネススキル、例えば4カテゴリ×5項目、合計20項目の夫々における、現在のスコアと、なりたい姿のスコアとを比較し、現在となりたい姿の各項目の点数差に基づいて、研修受講計画(推奨期間とおすすめ研修)を生成する。
おすすめ研修としては、例えば研修テーマ、研修受講順序、あわせて読む書籍等が生成される。推奨期間は、なりたい姿のスコアに到達するのに必要な年数が例えばN年やN年半等として算出される。
【0061】
次に、
図8を参照して、なりたい未来の姿がユーザにない場合のレコメンド部(研修レコメンドロジック)の動作を説明する。
図8は、なりたい未来の姿がユーザにない場合のレコメンド部の動作を示す図である。
ユーザに、なりたい未来の姿がない場合、
図8に示すように、目標とする期間(N年)をユーザに決めてもらい、その期間(N年)がユーザにより受講者端末20を介してサーバ10に入力される。
【0062】
サーバ10では、受検DB141のユーザの現在のスコア及び属性が読み出されて、読み出された現在のスコア及び属性と、ユーザにより入力された期間(N年)とがレコメンド部122に入力される。
【0063】
レコメンド部122は、研修が既にN年間施された既存ユーザのうち、研修を受ける予定のユーザと同一又は類似する属性を有する者を類似属性者として、1以上の類似属性者についてのスコアの過去N年間(-N年~現在)の実績情報(N年前から現在に至るスコアの推移)を夫々読み出す。この例では、類似属性者3人分の実績情報が読み出される。
実績情報としては、類似属性者の夫々が理想の属性(職種や役職等)になったN年後のスコアがレコメンド部122により取得される。
【0064】
続いて、レコメンド部122は、類似属性者3人分の夫々のスコアと、ユーザの現在のスコアとに基づいて、1以上の研修受講計画(この例では3パターンの研修受講計画)を生成する。
そして、レコメンド部122は、生成した3パターンの研修受講計画夫々の理想のスコアを、ユーザのスコアや属性とのマッチ度の高さ別に、表示制御部126を介して受講者端末の画面に表示しユーザへ提示する。
このように実現可能性のあるユーザの未来の姿がマッチ度の高さ別に1以上(この例では3つ)提示されるので、ユーザは、提示された1以上の未来の姿の中から自らなりたい姿を選択することができる。
【0065】
以下、具体例を説明する。
図9は、ユーザの属性情報の一例を示す図である。
図9に示すように、ユーザの属性情報は、属性の項目毎に、現在と理想の夫々情報が対応して管理されている。属性は、例えば基本属性と追加属性がある。基本属性は、性別、年齢、職種である。追加属性は業種と役職(役割)である。
この例では、ユーザの基本属性としての性別は男、現在の年齢は26歳、現在の職種はプログラマーである。理想の職種は営業が入力されている。
追加属性の現在の業種はIT業、現在の役職は一般(一般職)である。理想の業種も現在と同じIT業、理想の役職も一般(一般職)である。役職は、この他、例えばリーダー、管理職、経営者等が入力可能である。
【0066】
図10は、推奨受講研修テーマとその受講順が設定されたテーブルの具体例を示す図である。
ビジネススキルは、4つのカテゴリ毎に5つの項目、合計20項目が設定されており、夫々の項目毎に、より研修効果が得られる受講順序と書籍等が設定されている。
例えば
図10に示すテーブルの、例えば「プランニング&コントロール」の「目的・目標」という項目には、項目識別情報として、項目ID_P1が設定されており、項目IDP1の項目に関連する研修を受講する前に先行して受講しておくとよい(研修の効果をより高められる)先行項目として、例えば項目ID_T4(「シンキング」の「課題設定」)が設定されている。
また、項目ID_P1の研修テーマ数は~20代で1つ、~30代で1つ設定されており、研修の受講に合わせて読んでおいた方がよい書籍として、例えば「目的・目標」が設定されている。
レコメンド部122は、このテーブルを参照して夫々の項目における現在と未来(理想とするスコア)との点数差から、推奨受講研修テーマとその受講順序を含む研修受講計画を生成する。
【0067】
図11乃至
図15を参照して研修受講計画の立案動作を説明する。
図11は、研修受講計画の立案に関する概要動作を示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS101において、レコメンド部122は、受講予定のユーザ(対象者)のスコア及び属性等の情報を受検DB141より読み出す。
【0068】
ステップS102(大処理[1])において、レコメンド部122は、読み出したスコア及び属性に基づいて、受検DB141より研修受講対象の項目を抽出しその項目の順序を設定する。
この際、対象者の現在のスコアと理想のスコアとを比較し、各項目の点数差(現在-理想)をそれぞれ算出する。
【0069】
ステップS103において、レコメンド部122は、ビジネススキルの20項目のうち、点数差が-1以下でかつ研修受講順序が付されていない項目を抽出し、研修受講対象項目リストを生成する。研修受講対象項目リストに上がった項目は、すべて研修受講を推奨する分野である。
【0070】
ステップS104(大処理[2_1])において、レコメンド部122は、研修受講対象項目リストに基づいて、ユーザ(対象者)が受講すべき研修の受講テーマを抽出する。
【0071】
ステップS105(大処理[2_1])において、レコメンド部122は、所定条件(後述の
図13のステップS119参照)に基づいて、抽出した受講テーマの受講順序を設定する。
【0072】
図12及び
図13は、研修受講計画の立案に関する詳細な動作を示すフローチャートである。
図12に示すように、ステップS111[処理1]において、レコメンド部122は、所定条件(現在スコアと理想スコアとの点数差が-1以下)に合致する項目を研修受講すべき項目として抽出する。
【0073】
ステップS112において、レコメンド部122は、ビジネススキルの20項目のうち、現在スコアと理想スコアとの点数差が-1以下でかつ研修受講順序が付されていない項目を抽出し、第1研修受講対象項目リスト(1)を生成する。
【0074】
ステップS113[処理2_1]において、レコメンド部122は、第1条件(先行項目が空欄の項目)に基づいて、第1研修受講対象項目リスト(1)の項目を絞り込み、フラグを設定する。
これにより、先行してクリアすべき項目がないことが分かり、その項目については、研修受検対象にしてよいことが分かる。
【0075】
ステップS114[処理2_2]において、レコメンド部122は、第2条件(先行項目に値があり、かつ対象の先行項目すべてが現在スコアと理想スコアとの点数差が-1以下[(現実-理想)≦-1]の項目)に基づいて、第1研修受講対象項目リスト(1)の項目を絞り込み、フラグを設定する。
これにより、先行してクリアすべき項目があるが、その対象項目をクリアできている項目かわかる。
【0076】
ステップS115[処理2_3]において、レコメンド部122は、第3条件(先行項目に値があり、かつステップS114の処理で抽出されていない項目)に基づいて、第1研修受講対象項目リスト(1)の項目を絞り込み、フラグを設定する。
これにより、先行してクリアすべき項目があるが、条件によっては受講対象にできる項目を抽出することができる。
【0077】
ステップS116において、レコメンド部122は、上記により抽出した項目の第2研修受講対象項目リスト(2)を生成する。
【0078】
続いて、
図13のステップS117[処理3]において、レコメンド部122は、第2研修受講対象項目リスト(2)から、現在スコアと理想スコアとの点数差の絶対値を項目毎に抽出する。
【0079】
ステップS118において、レコメンド部122は、抽出した項目の第3研修受講対象項目リスト(3)を生成する。
【0080】
ステップS119[処理4]において、レコメンド部122は、生成した第3研修受講対象項目リスト(3)から、ステップS113の処理で設定したフラグ及びステップS114の処理で設定したフラグが立っている項目に対して、所定条件に基づいて順序を割り振る。
このときの条件としては、差分絶対値が大きいものほど優先度が高い、またリストの項目が左のものほど優先度が高い、等であり、これらの条件に従って、フラグが立っている項目に順序を割り振る。
【0081】
ステップS120において、レコメンド部122は、上記により順序を割り振った項目の第4研修受講対象項目リストを生成する。
【0082】
図11で説明した大処理[2-1]の具体的な研修テーマの抽出処理を、
図14乃至
図16を参照して説明する。
図14は、受講すべき研修サービスの受講テーマを抽出する処理を示すフローチャートである。
図15、
図16は、項目別研修テーマリストの一例を示す図である。なお、
図15、
図16は、本来一つの図であるが、出願様式に対応するように分図したものである。
【0083】
図14のステップS131[処理5]において、レコメンド部122は、受検DB141に記憶されている項目別研修テーマリスト(
図15、
図16参照)を読み出し、読み出した項目別研修テーマリストから、抽出条件(現在スコアと理想スコアとの点数差の絶対値の数)に合致する数だけ、研修受講対象項目の研修タイトルを抽出する。例えば点数差が-2ならば、2つの研修タイトルを抽出する。
ここでは、項目別研修テーマリストの夫々の項目について、抽出条件に合致する受講推奨研修タイトルを抽出する。
【0084】
ステップS132において、レコメンド部122は、ユーザ(対象者)の属性から、年齢を確認し、この確認の結果、ユーザ(対象者)の年齢が30代以上であれば、ステップS133において、30代以上向けのタイトルリストから研修タイトルを抽出する。
また、上記ステップS132の確認の結果、ユーザ(対象者)の年齢が30代以上でなければ、ステップS134において、レコメンド部122は、20代向けのタイトルリストから研修タイトルを抽出する。
【0085】
ステップS135において、レコメンド部122は、抽出した研修タイトルが、既に他の項目で抽出されているか否かを確認する。これは、同じ研修を複数回受講させないための処理である。
【0086】
ステップS135の確認の結果、抽出した研修タイトルが、既に他の項目で抽出されている場合、ステップS136において、レコメンド部122は、抽出した研修タイトルを削除する。
【0087】
また、ステップS135の確認の結果、抽出した研修タイトルが、他の項目で抽出されていなければ、レコメンド部122は、受講テーマの抽出処理を終了する。
【0088】
ここで、
図11で説明した大処理[2-2]の研修テーマの受講順を設定する処理を、
図17を参照して説明する。
図17は、研修テーマの受講順を設定する処理を示すフローチャートである。
【0089】
図17のステップS141[処理6]において、レコメンド部122は、抽出した研修タイトルに対して、研修テーマリストの上位の項目から順に番号を付与することで、研修受講順序を採番する。
【0090】
ステップS142[処理7]において、レコメンド部122は、研修受講対象項目リストの順序未設定項目の順序を設定する。
そして、研修テーマリスト内の研修テーマ数より点数差(理想スコア-現在スコア)の方が大きいときは、項目に関連する書籍を読むことを当該ユーザにレコメンドする。つまり、研修が足りない場合は不足分を書籍で代用する。
【0091】
次に、
図18乃至
図22を参照して、具体的な事例を説明する。
図18は、理想の姿を持つユーザの属性情報(第1事例:異業種への転職を望む場合)を示す図である。
図19は、
図18の属性情報を持つユーザのスコアを示す図である。
図20は、理想の姿を持つユーザの属性情報(第2事例:異職種への転職を望む場合)を示す図である。
図21は、
図20の属性情報を持つユーザのスコアを示す図である。
図22は、理想の姿がないユーザに対するレコメンドの例(第3事例:職種、業種等の希望が特にない場合)を示す図である。
【0092】
第1事例は、ユーザに理想の姿があり、小売業界からIT業界への同職種、異業種への転職を望む場合の事例である。
この場合のユーザの属性情報は、例えば
図18に示すように、基本属性としての性別は男性、現在の年齢は32歳、現在の職種は営業職である。理想の職種も営業職が入力されている。
追加属性の現在の業種は小売業である。理想の業種はIT業が入力されている。現在の役職は一般職である。理想の役職も一般職が入力されている。
【0093】
図18の属性情報を持つユーザのスコアは、
図19に示すように、各カテゴリの項目毎に、現在スコアと理想スコアとが設定されており、互いのスコアの点数差も設定されているものとする。点数差については、現在と理想の夫々のスコアを読み出して互いを引き算して求めてもよい。
この場合、レコメンド部122は、現在のスコアと理想とする属性のスコア(上位者20%平均)との差分から、理想の姿に成長するために必要な期間(N年)、必要な研修受講計画(受講順序、関連書籍等)をレコメンド(推奨)する。
【0094】
ここで、レコメンド部122がAIモデルの場合の思考について説明する。
IT業界の特徴として、カテゴリ「プランニング&コントロール」と「シンキング」のスコアが高いことがあげられる。
また、営業職という職種のため理想の属性においても「コミュニケーション」の領域で高いスコアが必要とされるが、ユーザは既に求められるスコアに達していることが分かる。
ユーザがIT業界に求められるレベルに達するためには、「プランニング&コントロール」と「シンキング」を中心とした(現在-理想)のスコアがマイナスとなっている項目に関連する研修を受講することがレコメンド(推奨)される。
【0095】
理想とするスコアは、対象となる属性における過去受検データのスコア上位20%の平均を用いるものとする。
【0096】
第2事例は、ユーザに理想の姿があり、同業界で営業事務から経理への転職を望む場合の事例である。
この場合のユーザの属性情報は、例えば
図20に示すように、基本属性としての性別は女性、現在の年齢は26歳、現在の職種は営業事務である。理想の職種は経理が入力されている。
追加属性の現在の業種は製造業、理想の業種も製造業が入力されている。現在の役職は一般職である。理想の業種も一般職が入力されている。
【0097】
図20の属性情報を持つユーザのスコアは、
図21に示すように、各カテゴリの項目毎に、現在スコアと理想スコアとが設定されており、互いのスコアの点数差も設定されているものとする。
この場合、レコメンド部122は、現在のスコアと理想とする属性のスコア(上位者20%平均)との差分から、理想の姿に成長するために必要な期間(N年)、必要な研修受講計画(受講順序、関連書籍等)をレコメンド(推奨)する。
【0098】
ここで、レコメンド部122がAIモデルの場合の思考について説明する。
経理担当者の特徴として、カテゴリ「ビジネス知識」のスコアが他の職種に比較し高いことがあげられる。これは、日頃決算書の数字を扱っているため、「ビジネス知識」の中でも経営の項目で高いスコアが出ているためと推測される。また、「シンキング」の領域のスコアも高く、ユーザが経理職に求められるレベルに達するためには、「ビジネス知識」と「コミュニケーション」を中心として(現在-理想)のスコアがマイナスとなっている項目に関連する研修を受講することがレコメンド(推奨)される。
【0099】
第3事例は、ユーザに理想の姿がない場合の事例である。この場合のユーザの属性情報は、例えば
図22に示すように、基本属性としての性別は女性、現在の年齢は25歳、現在の職種は事務職である。追加属性の現在の業種はサービス業である。現在の役職は一般職である。
この場合、レコメンド部122は、現在の属性と受検DB141から読み出したスコアとから、今の自分におすすめの属性とその属性となるために必要な年数と研修受講計画(受講順序、関連書籍等)を夫々複数個(レコメンド(1)(2)(3)等)、レコメンド(推奨)する。
【0100】
ユーザが、受検結果の現在のスコアと、理想のスコアとを比較するにあたり、レコメンド部122は、受検DB141から読み出した現在のスコアと、理想のスコアとを、表示制御部126を介して受講者端末20に出力する。
【0101】
これにより、受講者端末20には、
図23に示すように、ユーザの現在のスコアと理想のスコアとが夫々レーターチャートとされて、領域で比較可能にビジネススキル特性としてグラフ表示される。
このビジネススキル特性をユーザが閲覧することで、ビジネススキル上で理想のスコアに対して現在のスコアがどの項目がどの程度劣っているかを一目で確認することができ、どの方向にスキルを伸ばすべきかといったことも明確に判断できる。
【0102】
ここで、
図24、
図25を参照してレコメンド部122が立案した適切な講座の受講計画の出力例について説明する。
図24、
図25は、レコメンド部122が立案した適切な講座の受講計画の出力例を示す図である。なお、
図24、
図25は、本来一つの図であるが、出願様式に対応するように分図したものである。
【0103】
適切な講座の受講計画は、
図24、
図25に示すような表の形式で出力される他、テストの受検結果が理想のスコアになるために必要な期間が、例えば「5年」等と具体的な年月で提示される。
表の左側の欄には、カテゴリ、項目、現在、理想、点数差等の既存の情報が配置されている。表の中央部には、1以上のおすすめ研修の欄(おすすめ研修1乃至3等)が配置されている。夫々のおすすめ研修1乃至3の欄には、研修名と研修受講順序が配置されている。
この他、表の中央部には、研修の受講に合わせて読むとよい書籍の欄等が配置されている。書籍の欄には、夫々の項目毎に、開始時期、終了時期、関連ワード等が示されている。
表の右側の欄には、受講すべき研修(講座)毎の受講期間が配置され、受講すべき研修名(講座名)が項目の行に対応して順番に配置されている。
【0104】
例えば最初(1番目)の受講期間として「4か月後」、受講すべき研修名(講座名)は、項目ID_T5の行に「[基礎]ロジカル・シンキング」が配置されている。
次(2番目)の受講期間として「8か月後」、受講すべき研修名(講座名)は、項目ID_T5の行に「[若手向け]アイデアを出すための発想法」が配置されている。
その次(3番目)の受講期間として「1年後」、受講すべき研修名(講座名)は、項目ID_C1の行に「ビジネスマナー研修1<良好な人間関係を築くための要素>」等が配置されている。以降、受講期間と受講順序が分かるように、受講すべき研修名(講座名)が夫々の項目の行に配置されている。
【0105】
このようにレコメンド部122により立案された受講計画の表を、ユーザ(研修予定の対象者)が受講端末20の画面で閲覧することで、ユーザは、自身があとどのくらいの期間、どのような講座をどのような順序で受講すれば、数年後に理想のスコアに到達する(成長目標を達成する)ことが分かるので、研修予定の対象者に対して具体性のある支援を行うことができる。
【0106】
上述の実施形態では、ビジネス基礎力を向上するための講座が3年間実施される予定のユーザ(受講予定者)個人に対して適切な講座の受講計画を立案してユーザに推薦することについて説明したが、受講予定者個人に対してだけでなく、企業全体や特定の組織に対しても適切な講座の受講計画を推薦(レコメンド)するようにしてもよい。
【0107】
以下、
図26、
図27を参照して第2実施形態を説明する。
図26は、ユーザの属性情報の一例を示す図である。
図27は、
図26の属性情報を持つユーザのスコアを示す図である。
第2実施形態は、例えば企業全体に対して今後の受講計画をレコメンドする実施形態である。なお、第2実施形態を説明するにあたり、第1実施形態の構成のうち機能が異なる構成については、第2実施形態として図示せず、
図3の構成名で説明する。
【0108】
第2実施形態においては、
図3に示すテスト部121は、企業を構成する複数の社員層(若手層、中堅層、管理職層等の階層)の夫々の社員層に含まれる社員のビジネス基礎力を示す現在スコア(現時点の評価値)を取得する。
【0109】
図3に示す属性取得部120は、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される予定の1人以上の対象者(例えば会社の社員等の受講予定者:ユーザ)毎に1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)を取得する。
図3に示すレコメンド部122は、1人以上の社員の夫々の1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)及び現在スコアに基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する。
具体的には、レコメンド部122は、社員層スコア算出部(図示せず)を有する。社員層スコア算出部は、企業の中で、受講予定者である社員を若手、中堅、管理職等で区分した社員層のスコアの平均値を算出する。
具体的には、社員層平均値算出部は、受検DB141から読み出された情報に基づいて、社員一人一人の現在スコア(現時点の現在評価値)と所定期間(3年等)後に得るべき理想のスコア(理想の評価値)との夫々の平均値(代表値)を、夫々が属する社員層(若手層、中堅層、管理職層)毎に算出する。
【0110】
レコメンド部122は、社員層平均値算出部により算出される現在のスコアと理想のスコアの夫々の社員層毎の夫々の平均値に基づいて、夫々の社員層に属する社員が受講すべき1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成し、当該推薦情報を複数の社員層の夫々に属する社員にレコメンド(推薦)する。
なお、ここでは各社員層のスコアの特徴を示す代表値として平均値を用いて説明したが、この他、偏差値や他の数値であってもよい。即ち、各社員層のスコアの特徴を示す代表値であればよい。
上述した例では、社員の区分を社員層(若手層、中堅層、管理職層等)としたが、これ以外の例えば所属部署や年齢等で区分してもよく、所定グループ単位に区分すればよい。
【0111】
図4のユーザのスキルの評価結果の例で説明すると、レコメンド部122は、ビジネス基礎力を示す4つのカテゴリと、各カテゴリの夫々に含まれる5項目(受講テーマ等)の計20項目について、夫々の項目における現在スコアと未来スコア(理想とするスコア)との点数差(傾向の違い)に基づいて、推薦する講座の受講テーマとその受講順序等を含む情報を推薦情報として生成する。
例えばある項目で未来スコアに対して現在スコアが低い社員に対して、レコメンド部122は、その項目のスキルを向上するための講座の受講テーマとその受講順序を含む情報を推薦情報として生成し当該推薦情報をレコメンドする。
レコメンド部122は、社員個人単位だけでなく、社員層毎に理想の未来スコアに対して現在スコアが低い項目の傾向を、
図23のビジネススキル特性のグラフ(分布図)から求め、低い項目のスキルを向上するための講座の受講テーマとその受講順序を含む推薦情報を社員層毎にレコメンドする。
【0112】
つまりこの第2実施形態では、会社という組織全体について、現在のスコアと、理想とするスコアとの差分から、組織が理想とするスコアに達するまでに必要とする期間(N年)及び受講すべき講座の受講計画(未来スコアに達するために受講する講座と受講順序、読むべき関連書籍等)が推薦情報としてレコメンドされる。
また、若手、中堅、管理職といった階層や年代等により、成長のために必要なスキルやアプローチは夫々異なるため、若手、中堅、管理職等の階層別や年代別等、組織の中の特定の階層、対象群に対してのレコメンドも提示することができる。その場合、現在のスコアと理想のスコアは同属性のものを使用して算出される。
【0113】
必要な期間(N年)及び必要な講座の受講計画(例えば受講順序、関連書籍等)は、各属性の現在のスコア(各属性に属する対象者の平均スコア)と未来スコア(例えば同属性におけるスコア上位20%の平均等の対象者が理想とするスコア)との差分に基づいて立案される。
階層毎に適切に立案された受講計画をレコメンドすることで、各階層の成長を促し、組織全体の成長を促進することができる。なお、レコメンドに至る受講計画の立案ロジックは、第1実施形態(ユーザ個人の場合)と同様である。
【0114】
以下、具体的な事例(
図26の社員の属性(IT業、技術職)と、
図27に示すスコア)に基づいて、その属性の社員又は各社員層の夫々に対するレコメンドを提示する例を説明する。
この場合、企業全体として全階層共通で例えば
図26に示す、既存属性と追加属性からなる属性情報を有するものとする。
そして、企業全体でテストを実施した結果、
図27に示すようなスコアが得られたものとする。
【0115】
図27に示すように、受検結果の社員層毎の社員のスコアの平均値を見ると、IT業界の特徴であるプランニング&コントロールとシンキングのスコアが高くなっている。
また、技術職の特徴として「コミュニケーション」のスコアが低いという特徴(傾向)も現れている。
この結果、組織全体としては、スコアの低い「コミュニケーション」を中心とした講座の受講計画を含む推薦情報が生成され、レコメンドされる。
【0116】
また、夫々の階層で見ても、「プランニング&コントロール」と「シンキング」のスコアが高いという特徴が若手中堅管理職のすべてで現れている。
その中でも階層によって各項目のスコア結果が異なるため、夫々の階層に対し、適切な講座を受講することがレコメンドされる。
若手層は、特に「コミュニケーション」のスコアが低いため、若手層には「コミュニケーション」を中心とした若手向けの講座の受講が提示される。
中堅層及び管理職層には、階層に応じた「コミュニケーション」の研修や、「ビジネス知識」関連の研修も推薦される。
【0117】
このようにこの第2実施形態によれば、1人以上の社員の夫々の1以上の属性及び現在スコアに基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成するので、今後受講すべき適切な受講計画を含む推薦情報が生成されて、社員又は社員が属する社員層(若手、中堅、管理職等)毎にレコメンドされるので、各社員層の成長を促し、組織全体の成長を促進することができる。
なお、上述した例では、階層の一例として、社員層(若手、中堅、管理職等)を例示したが、これ以外であってもよく、例えば部署や部門等の単位で組織の層を区分してもよい。
【0118】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0119】
例えば、
図2に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0120】
また、
図3に示したサーバ10の機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を情報処理装置が実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図3の例に限定されない。
【0121】
また、機能ブロック及びデータベースは、1台のサーバに配置する例を説明したが、配置場所は、
図3に限定されず、複数の情報処理装置に分散して配置してもよく任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、別々のハードウェアに備えてもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0122】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置のCPU等のコンピュータにネットワークや記録媒体から読み込まれる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムを読み込むことで、各種の機能を実行することが可能な情報処理装置、例えばサーバ等の他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータ等に実装されていてもよい。
【0123】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各受講者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各受講者に提供される記録媒体等で構成される。
【0124】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0125】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0126】
例えば、上述の実施形態では、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される予定の受講予定者(ユーザ)の1以上の属性を取得する属性取得部120を例示したが、これは一例にしか過ぎず、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者の1以上の属性を取得する属性取得手段であれば足りる。
【0127】
上述の実施形態では、ユーザについて、ビジネス基礎力の現在のスコアを取得するテスト部121を例示したが、これは一例にしか過ぎず、対象者について、ビジネスに関する能力の現時点の評価値を現在評価値として取得する現在評価値取得手段であれば足りる。
【0128】
上述の第1実施形態では、レコメンド部122が、ユーザの属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)と、現在と理想の夫々のスコアとに基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を立案して、立案した受講計画(
図23の表を参照)をユーザにレコメンドする例を説明したが、そこに示した例は一例にしか過ぎず、第2実施形態にように、1以上の対象者の1以上の属性及び現在評価値に基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報(受講すべき講座や講座の受講順序、受講期間等)として生成すれば足りる。
【0129】
上記実施形態では、ビジネス基礎力に関する評価を行うためのスキルとして、例えばビジネス知識、計画及びコントロール、コミュニケーション、並びにシンキング等の4つのカテゴリにビジネススキルを分けたが、これは例示に過ぎない。
即ち、ビジネス基礎力に関する任意のm個(mは1以上の整数値)夫々のスキルを採用することができる。この場合、各スキル毎に設けられるスキル項目も、上述の実施形態の例に特に限定されず、任意のp個(pは、mとは独立した1以上の整数値)のスキル項目を採用することができる。
【0130】
上記実施形態では、企業に所属する1以上の対象者の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報として、例えばビジネススキルを評価する1以上のスキルにおける項目毎のビジネス基礎力診断テストの得点を正規化したスコア等を取得したが、この例以外であってもよい。
例えば推薦情報をレコメンドする対象は、ユーザの他、例えば社員や所員、署員やユーザが属する所定グループ等であってもよく、所定グループは、会社(企業)の他、団体やコミュニティであってもよく、その中の部署単位や職務単位や役職単位であってもよく、所定グループであれば足りる。
また、ビジネス基礎力を示す情報として、各カテゴリのスキル項目毎にテストを実施し正規化したスコアを取得したが、この他、例えばテストの得点そのものを取得してもよく、ビジネス基礎力を示す情報であれば足りる。
【0131】
上記実施形態では、対象者である受講予定者の受講計画の立案をAIモデルが行うことを説明したが、例えば、とある受講計画について、受講予定者の1以上の属性、受講予定者の受講前のスコア(現在スコア)、受講予定者の受講後のスコア、受講期間等の情報群をデータセットとして、多数のデータセットが学習用データとして用いられて、機械学習が行われることで、AIモデルが生成又は更新されてもよい。
このAIモデルは、「1人以上の対象者の1以上の属性及び現在評価値」を入力すると、「1人以上の対象者や1人以上の対象者が所属する所定グループにとって適切な受講計画」を出力するものである。
またAIモデルに限らず、例えば、上述の多数のデータセットを用いて、「対象者の1以上の属性及び現在評価値」を入力すると、「対象者にとって適切な受講計画」を出力するルールベースのロジックが生成又は更新されてもよい。
【0132】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)は、
1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される予定の1人以上の対象者(例えば会社の社員等の受講予定者:ユーザ)毎に1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)を取得する属性取得手段(例えば
図3の属性取得部120等)と、
前記1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力(ビジネス基礎力)の現時点の評価値(ビジネス基礎力診断テストによるスコア)を現在評価値として取得する現在評価値取得手段(例えば
図3のテスト部121等)と、
前記1人以上の対象者(受講予定者等)の夫々の前記1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)及び前記現在評価値(現在のスコア)に基づいて、前記1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成する推薦手段(例えば
図3のレコメンド部122等)と、
を備える。
このように、所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される予定の1人以上の対象者(例えば会社の社員等の受講予定者:ユーザ)毎に1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)を取得し、1人以上の対象者の夫々について、ビジネスに関する能力(ビジネス基礎力)の現時点の評価値(ビジネス基礎力診断テストによるスコア)を現在評価値として取得し、1人以上の対象者(受講予定者等)の夫々の1以上の属性(例えば性別、年齢、職種、業種、役職等)及び現在評価値(現在スコア)に基づいて、1以上の講座として適切な講座の受講計画を含む情報を推薦情報として生成することで、対象者(講座の受講予定者)や対象者が属する所定グループ(会社の社員層)の単位で所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行うことができる。
【0133】
前記対象者について、前記ビジネスに関する能力の、前記所定期間が経過した後の目標となる評価値が前記対象者の操作により入力された場合、当該評価値を目標評価値として取得する目標評価値取得手段(例えば
図3の目標評価値取得部123等)、
をさらに備え、
前記推薦手段(例えば
図3のレコメンド部122等)は、前記対象者の前記1以上の属性及び前記現在評価値に加えてさらに前記目標評価値に基づいて、前記受講計画と共にさらに前記所定期間として適切な期間を含む前記推薦情報を生成する。
このように、推薦手段(例えば
図3のレコメンド部122等)は1人以上の対象者(ユーザ)の1以上の属性及び現在評価値に加えてさらに目標評価値に基づいて、受講計画と共にさらに所定期間として適切な期間を含む推薦情報を生成することで、対象者(ユーザ)や対象者が属する所定グループ(会社の社員層)の単位で成長目標を達成するためのレコメンドを、受講期間を含めた中で高精度に行うことができる。
【0134】
前記所定期間として目標の期間が前記対象者の操作により入力された場合、当該期間を目標期間として取得する目標期間取得手段(例えば
図3の目標期間取得部124等)と、
現在よりも前記目標期間よりも前に前記人材育成が既に施された者のうち、前記対象者と同一又は類似する属性を有する者を類似属性者として、前記目標期間の前記人材育成が施される前後の、前記ビジネスに関する能力の夫々の評価値を含む情報を実績情報として、前記1以上の類似属性者の夫々の前記実績情報を取得する類似実績取得手段(例えば
図3の類似実績取得部125等)と、
をさらに備え、
前記推薦手段(例えば
図3のレコメンド部122等)は、前記対象者の前記1以上の属性及び前記現在評価値に加えてさらに前記1以上の類似属性者の夫々の前記実績情報に基づいて、前記受講計画と共に前記所定期間が経過した際に目標となる評価値を目標評価値として含む前記推薦情報を生成する。
このように、推薦手段(例えば
図3のレコメンド部122等)は、対象者(ユーザ)の1以上の属性及び現在評価値(現在のスコア)に加えてさらに1以上の類似属性者の夫々の実績情報(N年前から現在までのスコア)に基づいて、受講計画を立案すると共に所定期間が経過した際に目標となる評価値を目標評価値(理想のスコア)として算出し、対象者に推薦することで、目標を持っていない対象者(ユーザ)に対しても、研修の対象者が所定期間(N年)後に成長目標を達成するための具体性のある支援を行うことができる。
【0135】
前記ビジネスに関する能力の評価値(スコア)は、前記ビジネスのスキルを評価するための複数の評価要素(例えば
図4に示す表の4つのカテゴリと夫々のカテゴリの5つの項目で表される計20項目の評価要素等)の値である。
このように、自身のビジネスに関するスキルの複数の評価要素(20項目の評価要素)に基づいて目標評価値(理想のスコア)を算出するので、所定期間(N年)後に研修の対象者が成長目標を達成するための受講講座の選定等を含めたより具体的な支援策(受講計画)をレコメンドすることができる。
【0136】
前記1人以上の対象者は、所定観点で分類された所定グループ(企業の若手、中堅、管理職等のグループ)に属しており、
前記推薦手段(例えば
図3のレコメンド部122等)は、前記推薦情報の生成の元になる情報として、前記1人以上の対象者(例えば社員等)の夫々の情報(属性やスコア)を用いて生成された前記所定グループの情報(例えば、若手、中堅、管理職等の社員層毎の複数人の社員のスコアの平均値等)を用いて、当該所定グループに対する前記推薦情報を生成する。
これにより、対象者(社員)個人に対してだけでなく、企業全体や特定の組織等のグループ、その中の一部のグループに対してもレコメンドを提示することができる。このようにグループ毎(社員層毎)に適切なレコメンドを提示することで各グループ(社員層)の成長を促し、さらに組織全体(会社全体)の成長を促進することができる。
ここで、「推薦情報の生成の元になる情報」とは、推薦情報が、「適切な講座の受講計画」を含むならば、属性及び現在評価値を指す。
また、推薦情報が、さらに「受講計画&適切な期間」を含むならば、「推薦情報の生成の元になる情報」とは、属性及び現在評価値、並びに目標評価値を指す。
【符号の説明】
【0137】
1・・・情報処理システム、10・・・サーバ、20、20-1、20-n・・・受講者端末、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、111・・・リムーバブルメディア、120・・・属性取得部、121・・・テスト部、122・・・レコメンド部、123・・・目標評価値取得部、124・・・目標期間取得部、125・・・類似実績取得部、126・・・表示制御部、141・・・受検DB、NW・・・ネットワーク