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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004468
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】電流検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20230110BHJP
   G01R 15/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G01R15/20 B
G01R15/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106139
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晶裕
(72)【発明者】
【氏名】河村 隼也
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA15
2G025AB01
2G025AB04
2G025AC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】各バスバを流れる電流にて発生する磁界が電流検出センサに及ぼす影響を抑制し、電流の検出精度を向上させることができる電流検出装置を提供する。
【解決手段】3相モータと3相インバータとの間に取り付けられ、3相インバータから3相モータに電流を流すバスバと、バスバを流れる電流を検出可能な電流検出センサ4とを具備した電流検出装置において、バスバは、平板状に形成された第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cを有するとともに、第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cが絶縁部材3を介在しつつ積層されて一体的な積層部品Yとされ、且つ、電流検出センサ4は、積層部品Yの側方の位置に配設されたものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相モータと3相インバータとの間に取り付けられ、前記3相インバータから3相モータに電流を流すバスバと、
前記バスバを流れる電流を検出可能な電流検出センサと、
を具備した電流検出装置において、
前記バスバは、平板状に形成された第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバを有するとともに、当該第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバが絶縁部材を介在しつつ積層されて一体的な積層部品とされ、且つ、前記電流検出センサは、前記積層部品の側方の位置に配設されたことを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記電流検出センサは、前記バスバを流れる電流から分流した電流で発生する磁界の強度を検出可能とされるとともに、検出された磁界の強度に基づいて前記バスバを流れる電流を検出可能とされたことを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバのうち少なくとも2枚のバスバの側面には側方に突出したサブバスバが形成され、当該サブバスバにて分流して流れる電流を前記電流検出センサが検出可能とされたことを特徴とする請求項2記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記電流検出センサは、電気回路が印刷されたプリント基板に取り付けられるとともに、当該プリント基板が前記積層部品の側面に取り付けられたことを特徴とする請求項3記載の電流検出装置。
【請求項5】
前記サブバスバは、前記バスバの延設方向に対して所定寸法離間して突出した2つの突出部から成り、前記プリント基板に挿通して当該プリント基板を連結するとともに、一方の前記突出部を流れる電流が前記プリント基板に形成された所定の電気回路を流れて他方の前記突出部まで流れるよう構成されたことを特徴とする請求項4記載の電流検出装置。
【請求項6】
前記サブバスバが形成されたバスバは、当該サブバスバに電流を分流するためのスリットが形成されたことを特徴とする請求項2~5の何れか1つに記載の電流検出装置。
【請求項7】
前記第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバは、上層、下層及び中間層の3層にて積層されるとともに、前記電流検出センサは、前記中間層のバスバの側方に位置することを特徴とする請求項1~6の何れか1つに記載の電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相モータと3相インバータとの間に取り付けられたバスバと、バスバを流れる電流を検出可能な磁気検出センサとを具備した電流検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3相モータと3相インバータとの間に接続された電流検出装置として、3相インバータから3相モータに電流を流すバスバと、バスバを流れる電流を検出可能な磁気検出センサとを具備するものが提案されている。かかる電流検出装置におけるバスバは、U/V/W相毎に接続される3枚の板状金属部材から成り、3相インバータから3相モータに電流を流し得るようになっている。
【0003】
従来の電流検出装置は、例えば特許文献1にて開示されているように、絶縁部材を介在しつつU/V/W相の3枚のバスバが積層されて一体的な積層部品とされるとともに、電流検出センサ(ICチップ)が上層のバスバの上面及び下層のバスバの下面にそれぞれ配設され、上層のバスバ及び下層のバスバを流れる電流を電流検出センサにてそれぞれ検出可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-118629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電流検出装置においては、バスバが積層されて一体的な積層部品とされるとともに、電流検出センサが上層のバスバの上面及び下層のバスバの下面にそれぞれ配設されているので、各バスバを流れる電流により発生した磁界の影響が電流検出センサに及ぼされ、電流の検出精度が低下してしまう虞があった。特に、3相モータを駆動させるため、バスバには比較的大きな電流が流れるので、その電流により発生する磁界の影響は大きいものである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各バスバを流れる電流にて発生する磁界が電流検出センサに及ぼす影響を抑制し、電流の検出精度を向上させることができる電流検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、3相モータと3相インバータとの間に取り付けられ、前記3相インバータから3相モータに電流を流すバスバと、前記バスバを流れる電流を検出可能な電流検出センサとを具備した電流検出装置において、前記バスバは、平板状に形成された第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバを有するとともに、当該第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバが絶縁部材を介在しつつ積層されて一体的な積層部品とされ、且つ、前記電流検出センサは、前記積層部品の側方の位置に配設されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電流検出装置において、前記電流検出センサは、前記バスバを流れる電流から分流した電流で発生する磁界の強度を検出可能とされるとともに、検出された磁界の強度に基づいて前記バスバを流れる電流を検出可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電流検出装置において、前記第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバのうち少なくとも2枚のバスバの側面には側方に突出したサブバスバが形成され、当該サブバスバにて分流して流れる電流を前記電流検出センサが検出可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の電流検出装置において、前記電流検出センサは、電気回路が印刷されたプリント基板に取り付けられるとともに、当該プリント基板が前記積層部品の側面に取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の電流検出装置において、前記サブバスバは、前記バスバの延設方向に対して所定寸法離間して突出した2つの突出部から成り、前記プリント基板に挿通して当該プリント基板を連結するとともに、一方の前記突出部を流れる電流が前記プリント基板に形成された所定の電気回路を流れて他方の前記突出部まで流れるよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項2~5の何れか1つに記載の電流検出装置において、前記サブバスバが形成されたバスバは、当該サブバスバに電流を分流するためのスリットが形成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1~6の何れか1つに記載の電流検出装置において、前記第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバは、上層、下層及び中間層の3層にて積層されるとともに、前記電流検出センサは、前記中間層のバスバの側方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、バスバは、平板状に形成された第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバを有するとともに、当該第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバが絶縁部材を介在しつつ積層されて一体的な積層部品とされ、且つ、電流検出センサは、積層部品の側方の位置に配設されたので、第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバを流れる電流にてそれぞれ発生する磁界を確実に相殺させることができ、各バスバを流れる電流にて発生する磁界が電流検出センサに及ぼす影響を抑制し、電流の検出精度を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、電流検出センサは、バスバを流れる電流から分流した電流で発生する磁界の強度を検出可能とされるとともに、検出された磁界の強度に基づいてバスバを流れる電流を検出可能とされたので、分流した比較的小さな電流に基づいてバスバを流れる電流を精度よく検出することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバのうち少なくとも2枚のバスバの側面には側方に突出したサブバスバが形成され、当該サブバスバにて分流して流れる電流を電流検出センサが検出可能とされたので、サブバスバにより比較的小さな電流に分流させることができ、その小さな分流に基づいて電流検出センサにて精度よく電流を検出することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、電流検出センサは、電気回路が印刷されたプリント基板に取り付けられるとともに、当該プリント基板が積層部品の側面に取り付けられたので、積層部品に対する電流検出センサの組み付けを容易に行わせることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、サブバスバは、バスバの延設方向に対して所定寸法離間して突出した2つの突出部から成り、プリント基板に挿通して当該プリント基板を連結するので、プリント基板を積層部品の側面における所定位置に正確に支持させることができるとともに、一方の突出部を流れる電流がプリント基板に形成された所定の電気回路を流れて他方の突出部まで流れるよう構成されたので、プリント基板の所定の電気回路を介して分流した電流を流すことができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、サブバスバが形成されたバスバは、当該サブバスバに電流を分流するためのスリットが形成されたので、サブバスバによる電流の分流をより円滑且つ正確に流すことができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバは、上層、下層及び中間層の3層にて積層されるとともに、電流検出センサは、中間層のバスバの側方に位置するので、バスバを流れる電流にて発生する磁界をより正確に相殺させることができ、各バスバを流れる電流にて発生する磁界が電流検出センサに及ぼす影響を確実に抑制し、電流の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る電流検出装置を示す全体斜視図
図2】同電流検出装置を示す4面図
図3】同電流検出装置における積層部品(電流検出センサ及びプリント基板が取り付けられる前の状態)を示す斜視図
図4】同電流検出装置の積層部品を示す3面図
図5】同電流検出装置におけるバスバ(第1バスバ或いは第2バスバ)を示す斜視図
図6】同バスバを示す3面図
図7】同電流検出装置におけるバスバ(第3バスバ)を示す斜視図
図8】同バスバを示す2面図
図9】同電流検出装置におけるプリント基板を示す斜視図
図10】同プリント基板を示す2面図
図11】同電流検出装置における電流検出センサにて検出された電流を示すグラフ
図12図11中の時間tのときに発生する磁界を示す模式図
図13】同電流検出装置が取り付けられる3相インバータ及び3相モータの接続関係を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る電流検出装置1は、図13に示すように、3相インバータIのケース内に取り付けられ、当該3相インバータIから3相モータMのU相コイル、V相コイル及びW相コイルにそれぞれ交流電流を流し、これらU相コイル、V相コイル及びW相コイルで生じた回転磁界によりモータMを駆動させるよう構成されたものである。
【0023】
本実施形態に係る電流検出装置1は、図1、2に示すように、3相モータMと3相インバータIとの間に取り付けられ、3相インバータIから3相モータMに電流を流すバスバ(2a~2c)と、バスバ(2a~2c)を流れる電流を検出可能な電流検出センサ4とを具備したものであり、バスバは、平板状に形成された第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cを有するとともに、当該第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cが絶縁部材3を介在しつつ積層されて一体的な積層部品Yとされている。
【0024】
第1バスバ2a及び第2バスバ2bは、図5、6に示すように、銅などの導電性金属を例えばプレス加工にて平板状に形成して成るもので、第1バスバ2aにはサブバスバa1及びスリットb1、第2バスバ2bにはサブバスバa2及びスリットb2が形成されている。サブバスバ(a1、a2)は、第1バスバ2a及び第2バスバ2bのそれぞれの側面において側方に突出するとともに、第1バスバ2a及び第2バスバ2bの延設方向Bに対して所定寸法離間して突出した2つの突出部から成る。
【0025】
本実施形態に係るサブバスバ(a1、a2)は、第1バスバ2a及び第2バスバ2bに一体形成された突出部から成るもので、例えばプレス加工にて一体的にトリミングして形成され得るようになっている。なお、サブバスバ(a1、a2)を別体のものとし、第1バスバ2a及び第2バスバ2bの側面から側方に突出するように接続することにより、第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流を分流するようにしてもよい。
【0026】
スリット(b1、b2)は、サブバスバ(a1、a2)が形成された第1バスバ2a及び第2バスバ2bにおいて幅方向Aに形成され、当該第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流をサブバスバ(a1、a2)に分流させるものとされている。すなわち、スリット(b1、b2)は、サブバスバ(a1、a2)に対応した位置(本実施形態においては、サブバスバ(a1、a2)と隣接する位置)に形成されており、その位置で電流抵抗を増加させてサブバスバ(a1、a2)に対して第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流を分流させるようになっている。
【0027】
第3バスバ2cは、図7、8に示すように、銅などの導電性金属を例えばプレス加工にて平板状に形成して成るもので、サブバスバ及びスリットは形成されず、平面視において第1バスバ2a及び第2バスバ2bと略同一の矩形状とされている。そして、図3、4に示すように、第1バスバ2aを上層、第2バスバ2bを下層及び第3バスバ2cを中間層として積層するとともに、第1バスバ2a及び第3バスバ2cの間と第2バスバ2b及び第3バスバ2cの間には、絶縁部材3を介装することにより積層部品Yが形成されている。
【0028】
また、積層部品Yにおいて、第1バスバ2aのサブバスバa1と第2バスバ2bのサブバスバa2とは、延設方向Bにずれて突出形成されており、それぞれの位置で後述するプリント基板5が取り付けられるようになっている。なお、絶縁部材3は、絶縁材料から成るもので、その表面及び裏面において粘着性物質が塗布されている。これにより、絶縁部材3にて互いに接着して積層された第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cが一体化され、一体的な積層部品Yとされている。また、粘着性物質による接着に限らず、樹脂ホルダ等で第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cを固定するようにしてもよい。
【0029】
ここで、本実施形態に係る電流検出センサ4は、積層部品Yの側方の位置(側面F1又は側面F1から側方に離間した位置)に配設されており、具体的には積層部品Yの側面F1に取り付けられている。この電流検出センサ4は、第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流からサブバスバ(a1、a2)に分流した電流で発生する磁界の強度を検出可能な磁気検出素子(例えばMR(Magnet Resistance)センサやGMR(Giant Magnet Resistive effect)センサ等)から成るとともに、検出された磁界の強度に基づいて第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流をそれぞれ検出可能とされている。
【0030】
本実施形態に係る電流検出センサ4は、電気回路が印刷されたプリント基板5に取り付けられるとともに、当該プリント基板5が積層部品Yの側面F1に取り付けられるようになっている。すなわち、積層部品Yは、図1、2に示すように、幅方向Aに対して直交する2つの側面F1、F2を有しており、このうち一方の側面F1に電流検出センサ4を実装したプリント基板5が取り付けられているのである。
【0031】
また、プリント基板5は、図9、10に示すように、サブバスバ(a1、a2)に合致して挿通可能な一対の挿通孔5aが形成されており、これら挿通孔5aにサブバスバ(a1、a2)を挿通することにより、積層部品Yにプリント基板5が連結されるようになっている。したがって、サブバスバ(a1、a2)は、第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流を流す機能と、電流検出センサ4を実装したプリント基板5を積層部品Yの側面F1に支持させる機能とを有するものとされている。
【0032】
さらに、プリント基板5には、挿通孔5aに挿通したサブバスバ(a1、a2)を電気的に接続する所定の電気回路Hが印刷されており、一方のサブバスバ(a1、a2)を流れる電流が所定の電気回路Hを流れて他方のサブバスバ(a1、a2)まで流れるよう構成されている。そして、一方のサブバスバ(a1、a2)から所定の電気回路Hを介して他方のサブバスバ(a1、a2)に流れる電流により発生した磁界を電流検出センサ4にて検出することにより、第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流を検出することができる。
【0033】
またさらに、本実施形態に係る電流検出センサ4は、図2に示すように、積層部品Yを構成する中間層である第3バスバ2cの側方に位置している。すなわち、図2に示すように、第1バスバ2aのサブバスバa1にて支持されたプリント基板5においては、電流検出センサ4をサブバスバa1の下方の位置に形成するとともに、第2バスバ2bのサブバスバa2にて支持されたプリント基板5においては、電流検出センサ4をサブバスバa2の上方の位置に形成することにより、各電流検出センサ4が第3バスバ2cの側方に位置するようになっている。
【0034】
このように、電流検出センサ4により第1バスバ2a及び第2バスバ2bを流れる電流を検出することにより、第3バスバ2cを流れる電流も算出することができる。本実施形態においては、3相インバータIを介して3相モータMに交流電流を流すと、図11に示すように、第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ3bにおいてU相電流α、V相電流β及びW相電流γが流れることとなる。
【0035】
これらU相電流α、V相電流β及びW相電流γは、位相が120°ずれた交流信号とされており、ある時点の3相交流の電流値は、Iu+Iv+Iw=0なる関係式を満たすようになっている。しかるに、電流検出装置1の周囲においては、例えば時間tのとき、図12に示すように、U相電流αに伴う磁界G1と、V相電流βに伴う磁界G2とが生じることとなり(時間tにおいてはW相電流γが0であり磁界は生じない)、これら磁界G1及び磁界G2の磁力線の向きは逆となっている。
【0036】
ここで、磁界G1における積層部品Yの幅方向Aに対して平行な磁力線(上方又は下方位置の磁力線)をG1a、積層方向Cに対して平行な磁力線(側方位置の磁力線)をG1bとし、磁界G2における積層部品Yの幅方向Aに対して平行な磁力線をG2a、積層方向Cに対して平行な磁力線G2bとすると、磁力線G1aと磁力線G2aとは、第1バスバ2a及び第2バスバ2bの離間寸法に応じて強弱が異なるので、磁界を相殺するのが困難とされている。
【0037】
これに対し、積層部品Yの側方に位置する磁力線G1bと磁力線G2bとは、第1バスバ2a及び第2バスバ2bの離間寸法に関わらず強弱がほぼ等しくなるので、磁界を確実に相殺することができる。なお、Iu+Iv+Iw=0なる関係式を満たすことから、時間t以外においても、磁力線G1bと磁力線G2bとの関係は上述した通りとなる。よって、本実施形態に係る電流検出装置1は、電流検出センサ4が積層部品Yの側方の位置に配設されたので、第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cを流れる電流で生じる磁界を確実に相殺させることができるのである。
【0038】
本実施形態によれば、バスバは、平板状に形成された第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cを有するとともに、当該第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cが絶縁部材3を介在しつつ積層されて一体的な積層部品Yとされ、且つ、電流検出センサ4は、積層部品Yの側方の位置に配設されたので、第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cを流れる電流にてそれぞれ発生する磁界を確実に相殺させることができ、各バスバ(2a、2b、2c)を流れる電流にて発生する磁界が電流検出センサ4に及ぼす影響を抑制し、電流の検出精度を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る電流検出センサ4は、バスバ(第1バスバ2a及び第2バスバ2b)を流れる電流を分流させ、その分流した電流で発生する磁界の強度を検出可能とされるとともに、検出された磁界の強度に基づいてバスバ(第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2c)を流れる電流を検出可能とされたので、分流した比較的小さな電流に基づいてバスバを流れる電流を精度よく検出することができる。
【0040】
さらに、第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cのうち少なくとも2枚のバスバ(本実施形態においては、第1バスバ2a及び第2バスバ2b)の側面には側方に突出したサブバスバ(a1、a2)が形成され、当該サブバスバ(a1、a2)にて分流して流れる電流を電流検出センサ4が検出可能とされたので、サブバスバ(a1、a2)により比較的小さな電流に分流させることができ、その小さな分流に基づいて電流検出センサ4にて精度よく電流を検出することができる。
【0041】
またさらに、本実施形態に係る電流検出センサ4は、電気回路が印刷されたプリント基板5に取り付けられるとともに、当該プリント基板5が積層部品Yの側面F1に取り付けられたので、積層部品Yに対する電流検出センサ4の組み付けを容易に行わせることができる。特に、本実施形態においては、サブバスバ(a1、a2)が形成されたバスバ(第1バスバ2a及び第2バスバ2b)は、当該サブバスバ(a1、a2)に電流を分流するためのスリット(b1、b2)が形成されたので、サブバスバ(a1、a2)による電流の分流をより円滑且つ正確に流すことができる。
【0042】
加えて、本実施形態に係るサブバスバ(a1、a2)は、バスバ(第1バスバ2a及び第2バスバ2b)の延設方向Bに対して所定寸法離間して突出した2つの突出部から成り、プリント基板5に挿通して当該プリント基板5を連結するので、プリント基板5を積層部品Yの側面F1における所定位置に正確に支持させることができるとともに、一方の突出部を流れる電流がプリント基板5に形成された所定の電気回路Hを流れて他方の突出部まで流れるよう構成されたので、プリント基板5の所定の電気回路Hを介して分流した電流を流すことができる。
【0043】
さらに、第1バスバ2a、第2バスバ2b及び第3バスバ2cは、上層、下層及び中間層の3層にて積層されるとともに、電流検出センサ4は、中間層のバスバ(本実施形態においては、第3バスバ2c)の側方に位置するので、バスバ(2a、2b、2c)を流れる電流にて発生する磁界をより正確に相殺させることができ、各バスバ(2a、2b、2c)を流れる電流にて発生する磁界が電流検出センサ4に及ぼす影響を確実に抑制し、電流の検出精度を向上させることができる。
【0044】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば積層部品Yの側方であって、側面F1から所定寸法離間した位置(例えば3相インバータIのケースの内壁等)に取り付けるようにしてもよい。また、本実施形態に係る電流検出センサ4は、バスバ(2a、2b、2c)を流れる電流から分流した電流で発生する磁界の強度を検出可能とされるとともに、検出された磁界の強度に基づいてバスバ(2a、2b、2c)を流れる電流を検出可能とされているが、バスバ(2a、2b、2c)を流れる電流から分流した電流を直接検出するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
バスバは、平板状に形成された第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバを有するとともに、当該第1バスバ、第2バスバ及び第3バスバが絶縁部材を介在しつつ積層されて一体的な積層部品とされ、且つ、電流検出センサは、積層部品の側方の位置に配設された電流検出装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電流検出装置
2a 第1バスバ(上層)
2b 第2バスバ(下層)
2c 第3バスバ(中間層)
3 絶縁部材
4 電流検出センサ
5 プリント基板
5a 挿通孔
a1、a2 サブバスバ(突出部)
b1、b2 スリット
Y 積層部品
F1、F2 側面
H 所定の電気回路
M 3相モータ
I 3相インバータ
A 幅方向
B 延設方向
C 積層方向
図1
図2
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図5
図6
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図13