(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044715
(43)【公開日】2023-03-31
(54)【発明の名称】列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置および方法
(51)【国際特許分類】
B61D 17/02 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
B61D17/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102092
(22)【出願日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】202111097310.6
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518309666
【氏名又は名称】中南大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】張潔
(72)【発明者】
【氏名】高広軍
(72)【発明者】
【氏名】劉堂紅
(72)【発明者】
【氏名】劉宏康
(72)【発明者】
【氏名】王家斌
(72)【発明者】
【氏名】熊小慧
(72)【発明者】
【氏名】姜▲ちん▼
(72)【発明者】
【氏名】韓帥
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼贊
(72)【発明者】
【氏名】郭展豪
(57)【要約】
【課題】列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を提供し、渦発生装置を含み、前記渦発生装置は偶数個設置され、偶数個の前記渦発生装置は列車端部の流線型領域ボディシェルの両側に対称的に設置され、前記渦発生装置は前記列車端部の流線型領域ボディシェルに垂直に設置され、前記渦発生装置と列車の中心線との角度はaである。本発明では、渦発生装置を列車端部の流線型領域ボディシェルに対称的に設置することにより、渦発生装置は上下に伸縮自在に調整することができる。本発明はさらに、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法を提供し、後流渦の強度を効果的に低減させ、列車の流線型最後尾の表面の正圧を増加させ、他の車両の空気抵抗に影響を与えることなく、最後尾車両の空気抵抗を効果的に低減させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置であって、
渦発生装置を含み、前記渦発生装置は偶数個設置され、偶数個の前記渦発生装置は列車端部の流線型領域ボディシェルの両側に対称的に設置され、前記渦発生装置は前記列車端部の流線型領域ボディシェルに垂直に設置され、前記渦発生装置と列車の中心線とは所定の角度をなす、ことを特徴とする列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項2】
前記渦発生装置は2つまたは4つ設置されている、ことを特徴とする
請求項1に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項3】
前記所定の角度は50°である、ことを特徴とする
請求項1に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項4】
前記渦発生装置は三角形構造または台形の板状構造である、ことを特徴とする
請求項1に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項5】
前記渦発生装置は直角台形の板状構造であり、前記渦発生装置の底辺の最大長さは0.65mであり、前記渦発生装置の最大高さは0.4mであり、前記渦発生装置の鋭角は35°である、ことを特徴とする
請求項4に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項6】
前記列車端部の流線型領域ボディシェルに複数のスロットが開設され、前記渦発生装置は前記スロット内にスライド可能に設置され、
前記列車端部の流線型領域ボディシェルが列車の先頭方向にある場合、前記渦発生装置は前記スロット内で後退し、
前記列車端部の流線型領域ボディシェルが列車の最後尾方向にある場合、前記渦発生装置はスロットから突出する、ことを特徴とする
請求項1に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項7】
前記列車端部の流線型領域ボディシェル内に複数組のスライド制御機構が設置され、前記渦発生装置は前記スライド制御機構を介して前記スロット内にスライド可能に設置され、前記渦発生装置は前記スライド制御機構を介して前記スロット内で上下に伸縮自在に調整可能に構成された、ことを特徴とする
請求項6に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項8】
前記スライド制御機構は、制御装置の下部サポート、スポイラーサポート、電動モータ、ボールねじおよび制御装置の上部サポートを含み、
前記制御装置の上部サポートは前記列車端部の流線型領域ボディシェルの底部に設置され、
前記制御装置の下部サポートは前記列車端部の流線型領域ボディシェル内に固定して設置され、前記制御装置の下部サポートの両端はいずれも前記列車端部の流線型領域ボディシェルに垂直で外向きにガイドレールが設置され、
前記ガイドレールは前記制御装置の上部サポートに接続され、
前記スポイラーサポートの両端はリニア軸受を介して2つの前記ガイドレールにスライド可能に設置され、
前記渦発生装置は前記スポイラーサポートに設置され、
前記電動モータは前記制御装置の下部サポートに取り付けられ、前記電動モータはカップリングを介して前記ボールねじに接続され、
前記ボールねじはボールナットを介して前記スポイラーサポートに伝動接続されている、ことを特徴とする
請求項7に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項9】
前記スロットにゴム製シールストリップが可動的に設置されている、ことを特徴とする
請求項6に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を適用する、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法であって、
列車端部の流線型領域ボディシェルに空気抵抗低減装置を取り付ける工程S1と、
空気抵抗低減装置によって列車最後尾の流れ場構造を改善し、列車最後尾の表面の正圧を増加させる工程S2と、
空気抵抗低減装置によって列車最後尾に列車の後流渦の巻き方向と反対の一対の渦を発生させ、後流渦の強度を弱める工程S3とを含む、ことを特徴とする列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速列車の技術分野に関し、特に列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置および列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
列車の高速化に伴い、列車が高速で運行する時に存在するいくつかの空気力学的問題も顕在化してきた。例えば、列車の空気抵抗は、その振幅が列車の運行速度の2乗に比例する。列車の運行速度が上がるにつれて、列車の前進を駆動するために必要な動力に占める空気抵抗の割合は大きくなっており、したがって、列車のエネルギー消費を削減するために、列車の空気抵抗をどのように低減させるかを研究する必要がある。
【0003】
従来の列車の空気抵抗低減のための技術的解決手段は、主に列車の流線型先頭、風防およびボギー台車領域に焦点を当てており、列車の表面を平滑化することを目的とする。しかしながら、このような抵抗低減のための解決手段による効果は次第に飽和状態になる傾向があり、列車先頭の長さは12mに達し、フルラッピング風防、沈み込み式パンタグラフ、ボギー台車のスカート等も列車の製造・運営において幅広く使用されている。従来の関連する抵抗低減のための技術的解決手段は列車表面の平滑化を中心に展開され、外形の流線化により空気抵抗低減効果をさらに向上させることは困難である。
【0004】
また、本願の出願人は、本分野に関して、渦発生器に基づく列車の増減抵抗装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第113997964号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を提供し、後流渦の強度を弱めることにより、最後尾車両の抵抗低減を実現すると同時に、他の車両の空気抵抗に影響を与えない、後流渦制御の観点から列車抵抗低減を実現する新しい空気抵抗低減装置および空気抵抗低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の実施例は、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を提供し、渦発生装置を含み、前記渦発生装置は偶数個設置され、偶数個の前記渦発生装置は列車端部の流線型領域ボディシェルの両側に対称的に設置され、前記渦発生装置は前記列車端部の流線型領域ボディシェルに垂直に設置され、前記渦発生装置と列車の中心線とは所定の角度をなして構成されている。
【0008】
ここで、前記渦発生装置は2つまたは4つ設置されている。
【0009】
ここで、前記所定の角度は50°である。
【0010】
ここで、前記渦発生装置は三角形構造または台形の板状構造である。
【0011】
ここで、前記渦発生装置は直角台形の板状構造であり、前記渦発生装置の底辺の最大長さは0.65mであり、前記渦発生装置の最大高さは0.4mであり、前記渦発生装置の鋭角は35°である。
【0012】
ここで、前記列車端部の流線型領域ボディシェルに複数のスロットが開設され、前記渦発生装置は前記スロット内にスライド可能に設置され、前記列車端部の流線型領域ボディシェルが列車の先頭方向にある場合、前記渦発生装置は前記スロット内で後退し、前記列車端部の流線型領域ボディシェルが列車の最後尾方向にある場合、前記渦発生装置はスロットから突出する。
【0013】
ここで、前記列車端部の流線型領域ボディシェル内に複数組のスライド制御機構が設置され、前記渦発生装置は前記スライド制御機構を介して前記スロット内にスライド可能に設置され、前記渦発生装置は前記スライド制御機構を介して前記スロット内で上下に伸縮自在に調整可能に構成されている。
【0014】
ここで、前記スライド制御機構は、制御装置の下部サポート、スポイラーサポート、電動モータ、ボールねじおよび制御装置の上部サポートを含み、前記制御装置の上部サポートは前記列車端部の流線型領域ボディシェルの底部に設置され、前記制御装置の下部サポートは前記列車端部の流線型領域ボディシェル内に固定して設置され、前記制御装置の下部サポートの両端はいずれも前記列車端部の流線型領域ボディシェルに垂直で外向きにガイドレールが設置され、前記ガイドレールは前記制御装置の上部サポートに接続され、前記スポイラーサポートの両端はリニア軸受を介して2つの前記ガイドレールにスライド可能に設置され、前記渦発生装置は前記スポイラーサポートに設置され、前記電動モータは前記制御装置の下部サポートに取り付けられ、前記電動モータはカップリングを介して前記ボールねじに接続され、前記ボールねじはボールナットを介して前記スポイラーサポートに伝動接続されている。
【0015】
ここで、前記スロットにゴム製シールストリップが可動的に設置されている。
【0016】
本発明はさらに、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を適用する、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法を提供し、列車端部の流線型領域ボディシェルに空気抵抗低減装置を取り付ける工程S1と、空気抵抗低減装置によって列車最後尾の流れ場構造を改善し、列車最後尾の表面の正圧を増加させる工程S2と、空気抵抗低減装置によって列車最後尾に列車の後流渦の巻き方向と反対の一対の渦を発生させ、後流渦の強度を弱める工程S3とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記解決手段は以下の有益な効果を有する。
【0018】
本発明に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置は、外形の平滑化により列車の空気抵抗低減を実現する従来の方法を突破し、後流渦の強度を弱めることにより、後流渦制御の観点から列車抵抗低減を実現する新しい方法を提供する。本発明は、渦発生装置を列車端部の流線型領域ボディシェルに対称的に設置することにより、後流渦の強度を効果的に弱めることができ、渦発生装置と列車の中心線との角度aが50°である場合、他の車両の空気抵抗に影響を与えることなく、最後尾車両の空気抵抗低減効果は6%に達することができる。本発明はさらに、渦発生装置の突出と後退をリアルタイムに制御できるスライド制御機構が設置されているため、渦発生装置の作用時間を効果的に制御し、装置全体の耐用年数を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置の4渦発生装置の概略図である。
【
図2】本発明の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置の2渦発生装置の概略図である。
【
図3】本発明の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置の渦発生装置の取り付けの上面図である。
【
図4】本発明の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置の渦発生装置の構造概略図である。
【
図5】本発明の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置のスライド制御機構の概略
図1である。
【
図6】本発明の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置のスライド制御機構の概略
図2である。
【
図7】本発明の気流が列車を通過した後の巻き方向の概略図である。
【
図8】本発明の気流が渦発生装置を通過した後の巻き方向の概略図である。
【
図9】本発明の渦発生装置により列車最後尾の正圧が増加する領域の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明が解決しようとする技術的問題、技術的解決手段および利点をより明確にするために、以下では図面および具体的な実施例を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
本発明は、従来の関連する抵抗低減のための技術的解決手段が主に列車の表面を平滑化することを中心に展開され、外形の流線化による空気抵抗低減効果のさらなる向上が難しいという問題に対して、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を提供する。
【0022】
実施例1
【0023】
図1~
図4に示すように、本発明の実施例は列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を提供し、渦発生装置1を含み、前記渦発生装置1は偶数個設置され、偶数個の前記渦発生装置1は列車端部の流線型領域ボディシェル2の両側に対称的に設置され、前記渦発生装置1は前記列車端部の流線型領域ボディシェル2に垂直に設置され、前記渦発生装置1と列車の中心線とは所定の角度をなし、その角度はaである。
【0024】
ここで、前記渦発生装置1は2つまたは4つ設置されている。
【0025】
ここで、前記渦発生装置1と列車の中心線との角度aは50°である。
【0026】
ここで、前記渦発生装置1は三角形構造または台形の板状構造である。
【0027】
ここで、前記渦発生装置1は直角台形の板状構造であり、前記渦発生装置1の底辺の最大長さは0.65mであり、前記渦発生装置1の最大高さは0.4mであり、本実施例では、前記渦発生装置1の底辺は0.65mであり、高さは0.4mであり、前記渦発生装置1の鋭角は35°である。
【0028】
本発明の実施例に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置では、前記渦発生装置1は2つまたは4つ設置され、前記渦発生装置1は下底辺を底面として列車端部の流線型領域ボディシェル2に設置され、前記渦発生装置1はそれぞれ列車の中心線を軸対称として列車端部の流線型領域ボディシェル2の両側に均等に設置され、前記渦発生装置1と列車の中心線との角度aが50°であり、前記渦発生装置1が4つ設置されている場合、装置の抵抗低減効果が最適に達し、風洞試験により、最後尾車両の抵抗を6%低減できることが証明された。
【0029】
図5および
図6に示すように、前記列車端部の流線型領域ボディシェル2に複数のスロット3が開設され、前記渦発生装置1は前記スロット3内にスライド可能に設置されている。
【0030】
ここで、前記列車端部の流線型領域ボディシェル2内に複数組のスライド制御機構が設置され、前記渦発生装置1は前記スライド制御機構を介して前記スロット3内にスライド可能に設置され、前記列車端部の流線型領域ボディシェル2が列車の先頭方向にある場合、前記渦発生装置1は前記スロット3内に後退し、前記列車端部の流線型領域ボディシェル2が列車の最後尾方向にある場合、前記渦発生装置1はスロットから突出し、双方向の運行条件が満たされ、即ち、車両が最後尾車両である場合に渦発生装置1は作動して効果を発揮し、車両が先頭車両である場合に渦発生装置1は後退して動作しない。
【0031】
ここで、前記スライド制御機構は、制御装置の下部サポート4、スポイラーサポート5、電動モータ6、ボールねじ7および制御装置の上部サポート8を含み、前記制御装置の上部サポート8は前記列車端部の流線型領域ボディシェル2の底部に設置され、前記制御装置の下部サポート4は前記列車端部の流線型領域ボディシェル2内に固定して設置され、前記制御装置の下部サポート4の両端はいずれも前記列車端部の流線型領域ボディシェル2に垂直で外向きにガイドレール9が設置され、前記ガイドレール9は前記制御装置の上部サポート8に接続され、前記スポイラーサポート5の両端はリニア軸受を介して2つの前記ガイドレール9にスライド可能に設置され、前記渦発生装置1は前記スポイラーサポート5に設置され、前記電動モータ6は前記制御装置の下部サポート4に取り付けられ、前記電動モータ6はカップリング10を介して前記ボールねじ7に接続され、前記ボールねじ7はボールナットを介して前記スポイラーサポート5に伝動接続されている。
【0032】
ここで、前記スロット3にゴム製シールストリップが可動的に設置されている。
【0033】
前記ボールねじ7は連結ねじの接触角を調整することによって伝動トルクを調整し、ボールナットのセルフロック機能を実現し、ねじリードを調整することによって伝動速度を調整し、ねじストロークを調整することによってスポイラーサポート5のストロークを調整する。
【0034】
本発明の実施例に記載の列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置では、渦発生装置1を突出展開させる必要がある場合、前記電動モータ6はボールねじ7を駆動して回転させ、ボールナットはスポイラーサポート5および渦発生装置1を駆動してガイドレール9に沿って上向きに移動させ、渦発生装置1はゴム製シールストリップを押し上げて列車端部の流線型領域ボディシェル2のスロット3から突出し、指定された位置に到達すると電動モータ6が停止し、ボールナットがセルフロックし、スポイラーサポート5および渦発生装置1はこの位置でロックされる。展開された渦発生装置1を後退させる必要がある場合、電動モータ6はボールねじを駆動して回転させ、ボールナットはスポイラーサポート5および渦発生装置1を駆動してガイドレール9に沿って下向きに移動させ、渦発生装置1がスロット1から後退するとゴム製シールストリップは自動的にリセットされ、完全に後退すると電動モータ6が停止し、ボールナットがセルフロックし、スポイラーサポート5および渦発生装置1はロックされる。
【0035】
本発明は、列車が運行する時に後流渦の強度を弱めて抵抗低減を実現できる空気抵抗低減装置を提供し、このような後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法は従来の解決手段を突破し、列車運行の空気抵抗をさらに低減でき、風洞試験により、本方法で達成できる最適な抵抗低減効果が6%であることが証明された。
【0036】
実施例2
【0037】
列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減装置を適用する、列車の後流渦制御に基づく空気抵抗低減方法であって、列車端部の流線型領域ボディシェルに空気抵抗低減装置を取り付ける工程S1と、空気抵抗低減装置によって列車最後尾の流れ場構造を改善し、列車最後尾の表面の正圧を増加させる工程S2と、空気抵抗低減装置によって列車最後尾に列車の後流渦の巻き方向と反対の一対の渦を発生させ、後流渦の強度を弱める工程S3とを含む。
【0038】
図7に示すように、列車が高速で運行する時、周囲の空気は車体の表面に沿って移動し、列車最後尾で流れが分離し、一対の内向きに巻く渦を形成する。列車の後流渦は列車の空気抵抗を引き起こす主な原因の1つであり、
図8に示すように、本発明の前記渦発生装置は列車の後流渦の巻き方向と反対の一対の渦を発生させることができ、これにより列車の後流渦の強度を弱めて列車の空気抵抗を低減させる。それと同時に、
図9に示すように、渦発生装置は流入流に対して遮断作用を果たし、列車最後尾の正圧が増加し、列車の先頭と最後尾の圧力差の抵抗が低減し、それにより空気抵抗が低減する。本発明の前記渦発生装置により最後尾車両の空気抵抗が低減する効果を表1に示す。
【0039】
【0040】
以上は本発明の好適な実施形態であり、当業者にとって、本発明に記載した原理から逸脱することなく、さらに複数の改善および修飾が可能であり、これらの改善および修飾も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 渦発生装置
2 列車端部の流線型領域ボディシェル
3 スロット
4 制御装置の下部サポート
5 スポイラーサポート
6 電動モータ
7 ボールねじ
8 制御装置の上部サポート
9 ガイドレール
10 カップリング