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特開2023-44727拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用した患者器官の領域のアブレーション
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  • 特開-拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用した患者器官の領域のアブレーション 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044727
(43)【公開日】2023-03-31
(54)【発明の名称】拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用した患者器官の領域のアブレーション
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230324BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022147698
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】17/479,272
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・コルゴスキ
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】イラン・ゴールデンバーグ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK23
4C160KK38
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用して組織をアブレーションするための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】方法は、(i)患者の器官内でアブレーションされることが意図され、且つ事前定義されたパターンを有する標的組織の位置、及び(ii)標的組織に印加されることを意図されるアブレーション信号のエネルギーレベルを受信することを含む。アブレーション信号を印加するときに、事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成する1つ以上の選択されたアブレーション電極が、器官に挿入され、アブレーション電極のアレイを有するカテーテル内で選択される。(i)1つ以上の選択されたアブレーション電極が標的組織上に位置付けられ、(ii)1つ以上の選択されたアブレーション電極と標的組織との間の接触力が力閾値よりも大きいことを確認したことに応答して、アブレーション信号は、1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して標的組織に印加される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用して患者器官の領域をアブレーションするためのシステムであって、
(i)患者の器官内でアブレーションされることが意図され、かつ事前定義されたパターンを有する標的組織の位置、及び(ii)前記標的組織に印加されることを意図されるアブレーション信号のエネルギーレベルを受信するように構成されたインターフェースと、
プロセッサであって、
前記器官に挿入され、アブレーション電極のアレイを有するカテーテル内で、前記アブレーション信号を印加するときに、前記事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成する1つ以上の選択されたアブレーション電極を選択することと、
前記1つ以上の選択されたアブレーション電極が前記標的組織上に位置付けられていることを確認したことに応答して、発生器を制御して前記1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して前記標的組織に前記アブレーション信号を印加することと、を行うように構成されたプロセッサと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、(i)前記標的組織に印加された前記アブレーション信号の累積エネルギーを監視することと、(ii)前記累積エネルギーが前記エネルギーレベルを超えたことを検出したことに応答して、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極への前記アブレーション信号を終了することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記アブレーション信号のアブレーション電力と、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して前記標的組織に前記アブレーション信号を印加する時間間隔と、を監視するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記標的組織は、第1の位置にある第1のセクションと、前記第1の位置とは異なる第2の位置にある第2のセクションと、を含み、前記インターフェースは、アブレーション電極の前記アレイの付加的な位置を示す位置信号を受信するように構成されており、前記プロセッサは、前記アレイの前記アブレーション電極の電極位置をそれぞれ計算するように構成されており、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極は少なくとも、前記第1のセクションを被覆する第1の損傷部を生成するように構成された第1のアブレーション電極と、前記第2のセクションを被覆する第2の損傷部を生成するように構成された第2のアブレーション電極と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1のアブレーション電極が前記第1のセクション上に位置付けられ、前記第2のアブレーション電極が前記第2のセクション上に位置付けられていることを確認し、続いて、(i)前記第1のアブレーション電極と前記第1のセクションとの間、及び(ii)前記第2のアブレーション電極と前記第2のセクションとの間の接触力が、力閾値よりも大きいことを確認するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
(i)少なくとも前記第1の電極が前記第1のセクションに対して移動されたこと、及び(ii)少なくとも前記第1のアブレーション電極と前記第1のセクションとの間の前記接触力が前記力閾値よりも小さいこと、の少なくとも一方を検知したことに応答して、前記プロセッサは、少なくとも前記第1のアブレーション電極への前記アブレーション信号を終了するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記インターフェースは、前記標的組織を示す領域、並びに(ii)前記第1のセクションを定義する第1の座標及び前記第2のセクションを定義する第2の座標を受信するように構成され、前記プロセッサは、(i)前記第1の座標上にくる前記第1のアブレーション電極、及び(ii)前記第2の座標上にくる前記第2のアブレーション電極を選択するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記インターフェースは、前記第1のセクションに印加されることを意図される第1のアブレーション信号の第1のエネルギーレベル、及び前記第2のセクションに印加されることを意図される第2のアブレーション信号の第2のエネルギーレベルを受信するように構成され、前記プロセッサは、(i)前記第1のセクション及び前記第2のセクションの幾何学的形状、及び(ii)前記第1のエネルギーレベル及び前記第2のエネルギーレベルのうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のセクション及び前記第2のセクションを定義するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のエネルギーレベルは前記第2のエネルギーレベルと異なる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記カテーテルは、前記第1のアブレーション電極及び前記第2のアブレーション電極、並びに前記プロセッサによって選択されていない第3のアブレーション電極を有する拡張可能な遠位端アセンブリを備え、前記プロセッサは、前記発生器を制御して前記第3のアブレーション電極に前記アブレーション信号を印加しないように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には医療用装置に関するものであり、具体的には、拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用して組織をアブレーションするための方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
選択されたアブレーション電極を使用して患者器官の組織をアブレーションするための様々な技術が公開されている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2020/0146743号は、脊椎腫瘍アブレーション装置並びに関連するシステム及び方法を記載したものである。いくつかの脊椎腫瘍アブレーション装置は、2つの導体及び1つ以上の熱電対を含む。導体のうちの1つの位置における温度を測定するために、1つ以上の熱電対が利用される。発生器によって、所望のアブレーション領域内の組織を介して第1の導体と第2の導体との間で伝導される交流電流が生成され得る。プロセッサによって、温度及びインピーダンスが監視され、組織のインピーダンスが増大したときに発生器の出力が制御され、組織に送達される熱エネルギーが標的閾値に到達したときに発生器が停止され得る。
【0004】
米国特許出願公開第2017/0128119号は、RFアブレーション中に測定された接触力に基づく心房壁電気再接続の予測について記載したものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、(i)患者の器官内でアブレーションされることが意図され、且つ事前定義されたパターンを有する標的組織の位置、及び(ii)標的組織に印加されることを意図されるアブレーション信号のエネルギーレベルを受信することを含む方法を提供する。アブレーション信号を印加するときに、事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成する1つ以上の選択されたアブレーション電極が、器官に挿入され、アブレーション電極のアレイを有するカテーテル内で選択される。1つ以上の選択されたアブレーション電極が標的組織上に位置付けられていることを確認したことに応答して、アブレーション信号が、1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して標的組織に印加される。
【0006】
いくつかの実施形態では、標的組織にアブレーション信号を印加することは、標的組織に印加されたアブレーション信号の累積エネルギーを監視することと、累積エネルギーがエネルギーレベルを超えたことを検知したことに応答して、1つ以上の選択されたアブレーション電極へのアブレーション信号を終了することと、を含む。他の実施形態では、累積エネルギーを監視することは、アブレーション信号のアブレーション電力、及び1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して標的組織にアブレーション信号を印加する時間間隔を監視することを含む。更に他の実施形態では、標的組織は、第1の位置にある第1のセクションと、第1の位置とは異なる第2の位置にある第2のセクションと、を含み、方法は、アブレーション電極のアレイの付加的な位置を示す位置信号を受信することと、アレイのアブレーション電極の電極位置をそれぞれ計算することと、を含み、1つ以上の選択されたアブレーション電極は少なくとも、第1のセクションを被覆する第1の損傷部を生成するための第1のアブレーション電極と、第2のセクションを被覆する第2の損傷部を生成するための第2のアブレーション電極と、を含む。
【0007】
ある実施形態では、方法は、1つ以上の選択されたアブレーション電極と標的組織との間の接触力が力閾値よりも大きいことを確認することを含み、アブレーション信号を印加することは、第1のアブレーション電極が第1のセクション上に位置付けられ、第2のアブレーション電極が第2のセクション上に位置付けられていることを確認することと、それに続いて、(i)第1のアブレーション電極と第1のセクションとの間、及び(ii)第2のアブレーション電極と第2のセクションとの間の接触力が、力閾値よりも大きいことを確認することと、を含む。別の実施形態では、アブレーション信号を印加するときに、(i)少なくとも第1の電極が第1のセクションに対して移動されたこと、及び(ii)少なくとも第1のアブレーション電極と第1のセクションとの間の接触力が力閾値よりも小さいこと、の少なくとも一方を検知したことに応答して、少なくとも第1のアブレーション電極へのアブレーション信号を終了する。更に別の実施形態では、第1及び第2の位置を受信することは、標的組織を示す領域を受信することと、第1のセクションを定義する第1の座標、及び第2のセクションを定義する第2の座標を受信することと、を含み、第1及び第2の電極を選択することは、(i)第1の座標上にくる第1のアブレーション電極、及び(ii)第2の座標上にくる第2のアブレーション電極を選択することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、エネルギーレベルを受信することは、第1のセクションに印加されることを意図される第1のアブレーション信号の第1のエネルギーレベル、及び第2のセクションに印加されることを意図される第2のアブレーション信号の第2のエネルギーレベルを受信することを含み、第1及び第2のセクションを定義することは、(i)第1及び第2のセクションの幾何学的形状、並びに(ii)第1及び第2のエネルギーレベルのうちの少なくとも1つに基づく。他の実施形態では、第1のエネルギーレベルは、第2のエネルギーレベルとは異なる。更に別の実施形態では、カテーテルは、第1及び第2のアブレーション電極、並びにプロセッサによって選択されていない第3のアブレーション電極を有する拡張可能な遠位端アセンブリを含み、アブレーション信号は、第3のアブレーション電極に印加されない。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、インターフェースと、プロセッサと、を含むシステムが追加的に提供される。インターフェースは、(i)患者の器官内でアブレーションされることが意図され、且つ事前定義されたパターンを有する標的組織の位置、及び(ii)標的組織に印加されることを意図されるアブレーション信号のエネルギーレベルを受信するように構成される。プロセッサは、(a)器官に挿入され、アブレーション電極のアレイを有するカテーテル内で、アブレーション信号を印加するときに、事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成する1つ以上の選択されたアブレーション電極を選択することと、(b)1つ以上の選択されたアブレーション電極が標的組織上に位置付けられていることを確認したことに応答して、発生器を制御して1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して標的組織にアブレーション信号を印加することと、を行うように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
図1】本発明の例示的な実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステムの概略描画図である。
図2A】本発明による、患者の心臓の領域の概略描写図である。
図2B】本発明の例示的な実施形態による、患者心臓のアブレーション領域にアブレーション信号を適用することを意図したカテーテルの遠位端アセンブリの概略描写図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による、図2のカテーテルの電極のうちのいくつかを使用して組織にアブレーション信号を適用するための方法を模式的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概論
バルーンカテーテル又はバスケットカテーテルなどの拡張可能な遠位端アセンブリを有するカテーテルが、患者の心臓などの患者器官内の組織をアブレーションするために使用され得る。そのような拡張可能なカテーテルは、典型的には、バルーンの外側表面又はバスケットのスプラインの上及び/又は周囲に配設されたアブレーション電極を有する。したがって、バルーンカテーテル又はバスケットカテーテルは、環状セクションに沿って全円(例えば、周囲)の形状を有する損傷部を得るために、患者心臓の肺静脈(PV)の小孔などの器官の環状セクションをアブレーションするために使用され得る。
【0012】
場合によっては、アブレーション処置は、小孔の部分的なセクションのみをアブレーションすることを必要とし得、或いは任意の他の標的組織のアブレーションは、非管状形状を有する。そのような処置では、アブレーション信号を印加することが意図されるアブレーション電極と、標的組織、例えば、非管状の形状を有する部分セクション又は組織と、の間に十分に高度な接触性を有することが重要である。
【0013】
更に、そのような手順では、各電極が、標的組織にアブレーション信号を適用している間も、組織と十分に高度に接触していることを確認するために、アブレーション処置を実行する医師は、カテーテルの正しいアブレーション電極を選択すること、及び選択された電極を監視することを必要とする。
【0014】
以下に記載される本発明の実施形態は、拡張可能なカテーテルを使用してアブレーション信号を管状器官の部分的セクションに適用するための、又は非管状の形状を有する他の任意の標的組織をアブレーションするための改善された技術を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、組織へのアブレーションを実行するためのシステムは、バルーンカテーテルなどの拡張可能な遠位端アセンブリを有するカテーテルを含む。カテーテルは、バルーンの外側表面に結合された複数のアブレーション電極を有し、典型的には、必ずしもそうではないが、外側表面上に均一に配置される。アブレーション電極は、標的組織と接触して配置されるように、また1つ以上のアブレーション信号を問題の組織に印加するように構成される。カテーテルが拡張位置にあるとき、アブレーション電極は、アブレーションされることを意図される組織に押圧され、したがって、アブレーション電極と組織との間に十分に高い接触力が加えられる。しかしながら、場合によっては、PVの非環状部分のみがアブレーションされる必要があるか、或いは標的組織は非管状形状を有し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、アブレーションされるように意図される標的組織の1つ以上のセクションの1つ以上の位置(例えば、座標)、及び、それぞれが標的組織の1つ以上のそれぞれのセクションに適用されることが意図される1つ以上のエネルギーレベルを受信するように構成されたインターフェースを備える。例えば、第1のセクションは、第1のエネルギーレベルを必要とし得、第2のセクションは、第1のエネルギーレベルとは異なる第2のエネルギーレベルを必要とし得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムは、アブレーション電極のアレイの中から、1つ以上のセクションに入る1つ以上のアブレーション電極を選択するように構成されたプロセッサを備える。例えば、アブレーションされることを意図される標的組織は、第1及び第2のセクションを含み、プロセッサは、それぞれが第1及び第2のセクションの位置に入る少なくとも第1及び第2の電極を選択するように構成されている。アレイの1つ以上の電極は、プロセッサによって選択されないことに留意されたい。
【0018】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1及び第2のアブレーション電極がそれぞれ第1及び第2のセクション上に位置付けられているかどうかをチェックするように構成される。プロセッサは、第1及び第2のアブレーション電極と、アブレーションされることが意図される組織の第1及び第2のそれぞれのセクションと、の間に加えられる必要な接触力を示す力閾値を保持するように更に構成される。本実施例では、閾値は、必要な最小接触力を示す。言い換えれば、印加された接触力が閾値よりも小さい場合、アブレーションによって、標的組織を通じた電気生理学波の伝播を遮断するために必要な特性を有する損傷部が生成されないことがある。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーション信号を印加することが意図される第1及び第2のアブレーション電極の各々について、第1のアブレーション電極と第1のセクションの組織との間、及び第2のアブレーション電極と第2のセクションの組織との間の接触力が力閾値よりも大きいかどうかをチェックするように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、(i)第1及び第2のアブレーション電極のうちの少なくとも1つ、典型的には各々が、アブレーションされるように意図されたそれぞれの第1及び第2のセクション上に位置付けられ、(ii)第1のアブレーション電極と第1のセクションとの間、及び第2のアブレーション電極と第2のセクションとの間の接触力がそれぞれ、力閾値よりも大きいことを確認したことに応答して、高周波(RF)発生器を制御して1つ以上のアブレーション信号を第1及び第2のセクションそれぞれに印加するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1及び第2のアブレーション電極に印加される第1及び第2のアブレーション信号をそれぞれ選択するように構成される。そのような実施形態では、プロセッサは、RF発生器、及び/又はアブレーション信号を選択された第1及び第2のアブレーション電極にルーティングするように構成された装置を制御するように構成される。そのような実施形態では、第1のセクションに正確に位置付けられ、組織との十分に高い接触力を有する第1のアブレーション電極は、第1のアブレーション信号を第1のセクションに印加するが、第2のセクションに位置付けられていないか、或いは力閾値よりも小さい接触力を印加する第2の電極は、第2のアブレーション信号を受信しない場合がある。代替的な実施形態では、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つがそれぞれのセクション上に位置付けられておらず、且つ/又は力閾値を超える接触力を印加しない場合、プロセッサは、第1の電極と第2の電極のいずれもが第1及び第2のアブレーション信号を印加するのを防止することになる。
【0022】
プロセッサによって選択されなかったアレイの1つ以上の他の電極は、いかなるアブレーション信号も受信しないことに留意されたい。
【0023】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1及び第2のアブレーション電極の各々によって印加される累積エネルギーを監視するように構成される。本実施例では、プロセッサは、アブレーションシグナルの電力を制御し、アブレーション信号が標的組織の第1及び第2のセクションに印加される時間間隔(すなわち、持続時間)を監視する。プロセッサは、第1のセクションに印加されることを意図されるアブレーションエネルギーに対応する第1のエネルギーレベルと、第2のセクションに印加されることを意図されるアブレーションエネルギーに対応する第2のエネルギーレベルと、を保持する。アブレーション中、プロセッサは、第1及び第2のセクションに印加された累積エネルギーを監視し、所与のセクションに印加された累積エネルギーがそれぞれのエネルギーレベルに等しい(或いはそれよりわずかに大きい)と、プロセッサは、所与のセクションに印加されるアブレーション信号を終了するように構成される。
【0024】
開示される技術は、多重電極カテーテル、特に、拡張可能な遠位端を有するカテーテル内の任意の選択された電極を使用して、アブレーション信号を組織に印加するための柔軟性を医師に提供する。更に、開示される技術は、非管状器官のアブレーションにおいて、或いは器官の環状セクションの一部分のアブレーションにおいて生成される損傷部の質を自動的に制御することを可能にする。
【0025】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な実施形態による、カテーテルベースの追跡及びアブレーションシステム20の概略描画図である。
【0026】
いくつかの実施形態では、システム20は、本実施例では心臓カテーテルであるカテーテル22と、制御コンソール24と、を備える。本明細書に説明される実施形態では、カテーテル22は、電気解剖学的信号を感知すること、及び/又は心臓26内の組織のアブレーションなど、任意の好適な治療目的及び/又は診断目的で使用され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、カテーテル22を介して信号を受信し、且つ本明細書に記載されたシステム20のその他の構成要素を制御する、好適なフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ34を備える。コンソール24は、プロセッサ34から心臓26のマップ27を受信し、且つマップ27を表示するように構成されたユーザディスプレイ35を更に備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、マップ27は、任意の好適な技術を使用して生成された任意の好適な種類の3次元(3D)解剖学的マップを含むことができる。例えば、解剖学的マップは、好適な医療用撮像システムを使用することによって生成された解剖学的画像を使用して、又はBiosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムで利用可能な高速解剖学的マッピング(fast anatomical mapping、FAM)技術を使用して、又は任意のその他の好適な技術を使用して、又は上記の任意の好適な組み合わせを使用して、生成されてもよい。
【0029】
ここで、挿入図23を参照する。いくつかの実施形態では、アブレーション処置を実行する前に、医師30は、心臓26の対象とする組織の電気解剖学的(EA)マッピングを実行するために、テーブル29上に横たわる患者28の脈管系を通して、感知電極を有するカテーテル(カテーテル22又は不図示の別のカテーテルであり得る)を挿入する。
【0030】
いくつかの実施形態では、カテーテル22は、心臓26の選択された標的組織をアブレーションするための1つ以上のアブレーション電極を有するバルーンなどの拡張可能な遠位端アセンブリ40を備える。遠位端アセンブリ40の構造、及び標的組織の特性が、以下の図2A及び図2Bに関して詳細に示され、説明される。
【0031】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、心臓26又は患者28の脈管系内の遠位端アセンブリ40の位置を追跡するように構成された位置センサ、本実施例では、磁気位置追跡システムの磁気位置センサ39を備える。本実施例では、コンソール24は、駆動回路41を備えるが、これは、テーブル29に横たわった患者28の外部の周知の位置、例えば、患者の胴体の下に配置された磁場発生器36を駆動するように構成されている。本実施例では、位置センサ39は、遠位端アセンブリ40に連結され、場発生器36からの検知された外部磁場に応答して位置信号を生成するように構成されている。位置信号は、位置追跡システムの座標系におけるカテーテル22の遠位端アセンブリ40の位置を示す。
【0032】
この位置感知の方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムにおいて実施されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に説明されており、これらの開示は全て、参照により本明細書に組み込まれている。
【0033】
いくつかの実施形態では、位置追跡システムの座標系は、システム20及びマップ27の座標系と位置合わせされており、その結果、プロセッサ34は、解剖学的又は(EA)マップ(例えば、マップ27)の上に遠位端アセンブリ40の位置を表示するように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、典型的には、汎用コンピュータを備え、この汎用コンピュータは、本明細書で説明される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされている。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる。或いは、代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、カテーテル22の近位端は、(i)EAマッピングを実行するためのプロセッサ34への検知信号、及び(ii)アブレーション電極から心臓26の組織へのアブレーション信号(例えば、パルス)を伝達するように、とりわけ、インターフェース回路(図示せず)に接続される。いくつかの実施形態では、EAマッピング中に、遠位端アセンブリ40のアブレーション電極によって生成された信号は、数千のデータポイント、例えば、約50,000個又は更にそれより多いデータポイントを含むことができ、これらはコンソール24のメモリ38内に記憶され得る。データポイントに基づいて、プロセッサ34は、心臓26の表面の上を伝搬する電気信号を示す波ベクトルをマップ27上に提示するように構成されている。
【0036】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、任意の数値又は数値の範囲に関する用語「約」又は「およそ」とは、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されたその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。
【0037】
いくつかの実施形態では、提示された波ベクトルに基づいて、医師30及び/又はプロセッサ34は、心臓26で発生した可能性のある1つ以上のタイプの不整脈を識別し得る。更に、以下の図2に詳細に示されるように、医師30は、例えば、心臓26の選択された組織をアブレーションすることによって、不整脈を治療するための1つ以上の部位を判定し得る。
【0038】
場合によっては、アブレーション部位は、心臓26の肺静脈(PV)(図示せず)などの管状要素を含み得、その結果、遠位端アセンブリ40のバルーンは、PVの環状セクションの組織をアブレーションするためにPVに挿入される。このアブレーションプロセスは、本明細書ではPV隔離アブレーション処置とも呼ばれる。
【0039】
本実施例では、医師30は、本明細書では領域55と呼ばれる、心臓26の標的組織の表面を含むアブレーション部位を定義し得、これは、医師30(及び/又はプロセッサ34)によってマップ27にマークされる。アブレーション部位が管状でない場合、バルーンの一部分のみが領域55と接触して配置されることに留意されたい。いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、以下の図2及び図3に詳細に記載される技術を使用して、バルーンの各電極に印加されるアブレーションパルスを制御するように構成される。
【0040】
アブレーション計画を決定した後、医師30は、例えば、カテーテル22を操作するためのマニピュレータ32を使用して、心臓26内の領域55の組織のすぐ近くに遠位端アセンブリ40をナビゲートする。その後、医師30は、アブレーション電極のうちの1つ又は2つ以上を標的組織と接触させて配置し、組織に1つ又は2つ以上のアブレーション信号を適用する。
【0041】
システム20のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を実証するために、実施例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なシステムに決して限定されるものではなく、本明細書に記載された原理は、その他の種類の医療システムにも同様に適用されてよい。
【0042】
バルーンカテーテルの電極のいくつかを使用した領域のアブレーション
図2Aは、本発明の実施形態による、マップ27の概略描写図であり、図2Bは、本発明の実施形態による、遠位端アセンブリ40の概略描写図である。
【0043】
ここで、遠位端アセンブリ40を参照する。いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、バルーン42の外側表面上に配設された複数のアブレーション電極44、44a、44b、44c、及び44dを有するバルーン42を備える。本実施例では、電極44、44a、44b、44c、及び44dは、心臓26の組織と接触して配置されるように、またカテーテル22から受け取られる1つ以上のアブレーション信号を心臓26の組織に印加するように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、拡張位置において、遠位端アセンブリ40の各アブレーション電極(例えば、電極44、44a、44b、44c、及び44d)は、位置センサ39に対して既知の位置に位置決めされる。位置センサ39から受信された位置信号に基づいて、プロセッサ34は、マップ27の座標系におけるアブレーション電極44、44a、44b、44c、及び44dの位置を推定するように構成されている。例えば、プロセッサ34は、上記の図1に記載されるように、位置センサ39と所与の電極44との間のベクトルを計算し、位置追跡システムによって報告されたセンサ39の位置にベクトルを追加してもよい。
【0045】
他の実施形態では、遠位端アセンブリ40は、限定するものではないが、複数のアブレーション電極をそれぞれの上に取り付けられた複数のスプラインを有するバスケットカテーテルなど、任意の他の好適な構成を有してよい。
【0046】
ここでマップ27を参照する。いくつかの実施形態では、医師30は領域55を規定し得るが、これはマップ27上に、医師30によって手動でマークされても、或いはプロセッサ34によって自動的にマークされてもよい。本実施例では、領域55は、線(例えば、一次元)の形状を有するが、他の実施形態では、領域55は、二次元(2D)の形状又は3次元(3D)の形状を有し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、医師30は、領域55内に位置するセクション(例えば、点又はエリア)に印加されることを意図されるアブレーションエネルギーの量を定義し得る。場合によっては、アブレーションエネルギーの量は、領域55の全体にわたって、且つ/又は領域55に沿って均一であるが、他の場合には、領域55の異なるセクションは、異なる量のアブレーションエネルギーを必要とし得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、(i)領域55の幾何学的形状(例えば、サイズ及び形状)、及び(ii)システム20のユーザ(例えば、医師30)によって事前定義された領域55の各部分に印加されることを意図されたアブレーションエネルギーの量に基づいて、セクション55a、55b、55c、及び55dを規定するように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、遠位端アセンブリ40のアブレーション電極のアレイの中から、(医師30によって定義された)領域55の事前定義されたパターンに、より具体的にはセクション55a~55dの事前定義されたパターンに入る1つ以上のアブレーション電極を選択するように構成される。本実施例では、プロセッサ34は、セクション55a、55b、55c、及び55dのパターンにそれぞれ入るアブレーション電極44a、44b、44c、及び44dを選択するように構成されている。プロセッサ34は、遠位端アセンブリ40の位置及びアブレーション電極の位置を受信するように構成されており、また、アブレーション電極の位置に基づいて、プロセッサ34は、最も好適なアブレーション電極を選択するように構成されていることに留意されたい。いくつかの実施形態では、医師30が心臓26の組織と接触させて遠位端アセンブリ40を配置するとき、プロセッサ34は、アブレーション電極44a、44b、44c、及び44dがアブレーションされることを意図される組織と接触して配置されていることを確かめるように構成される。言い換えれば、医師30が心臓26の組織と接触させて遠位端アセンブリ40を配置するとき、プロセッサ34は、位置センサ39から受信された位置信号及び/又はインピーダンスベースの有効電流位置特定(ACL)システムなどの他の適切な種類の位置追跡システムから受信された他の位置信号に基づいて、アブレーション電極44a、44b、44c、及び44dを自動的に選択するように構成されている。磁気ベース及びインピーダンスベースの位置追跡システムの例示的な実現形態の1つのセットが、Govariらの米国特許第7,536,218号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
そのような実施形態では、セクション55a、55b、55c、及び55dの事前定義されたパターンは、アブレーション電極44a、44b、44c、及び44dによって完全に被覆される。更に、アブレーション信号を選択されたアブレーション電極に印加するとき、アブレーション電極44a、44b、44c、及び44dは、領域55の事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成するように構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、医師が選択されたアブレーション電極44a~44dをセクション55a~55dの上にそれぞれ配置するのを支援するために、プロセッサ34は、領域55のセクションの各対の間に仮想セパレータ54を提示するように構成される。他の実施形態では、プロセッサ34は、セパレータ54を伴わずにディスプレイ35上にセクション55a、55b、55c、及び55dを提示するように構成される。
【0052】
本実施例では、プロセッサ34は、アブレーション電極のうちの1つ以上が領域55の1つ以上のセクションと接触して配置されるように、領域55のセクション55a~55dの位置(例えば、座標)を規定する。本実施例では、アブレーション電極44a、44b、44c、及び44dは、それぞれ、セクション55a、55b、55c、及び55dをアブレーションするために割り当てられる。アブレーション処置中、アブレーション電極44a、44b、44c、及び44dは、それぞれ、セクション55a、55b、55c、及び55dと接触して配置される。例えば、アブレーション電極44aは、セクション55aと接触して配置され、アブレーション電極44cは、セクション55cと接触して配置される。
【0053】
いくつかの実施形態では、遠位端アセンブリ40は、バルーン42と領域55の組織との間の接触力を感知するように構成される。接触力は、各アブレーション電極(例えば、電極44、及び電極44a~44d)と組織との間、又は遠位端アセンブリ40の表面と領域55の組織との間で感知され得る。接触力の感知は、限定するものではないが、その開示が全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,357,152号、同第9,050,105号、同第10,791,950号、及び米国特許出願公開第2020/0206479(A1)号に記載されている技術などの任意の好適な技術を使用して実行され得る。異なるタイプのカテーテル(例えば、フォーカルカテーテル、バスケットカテーテル、又はバルーンカテーテル)に、必要な変更を加えて、異なる種類の接触力感知技術が適用され得ることに留意されたい。
【0054】
いくつかの実施形態では、医師30(及び/又はプロセッサ34)は、本明細書では力閾値とも呼ばれる閾値を定義し得るが、これは、アブレーション中に、アブレーション電極(例えば、電極44a~44d)によって領域55のセクション55a~55dのうちの1つ以上の組織に印加されなければならない接触力の必要な最小レベルを示す。接触力が力閾値よりも小さい場合、組織は十分にアブレーションされないことに留意されたい。
【0055】
いくつかの実施形態では、医師30(及び/又はプロセッサ34)は、領域55のうちの少なくとも1つ、典型的には全てのセクション55a~55dに印加されることを意図されるエネルギーレベルを定義し得る。印加エネルギーは、とりわけ、(i)それぞれのセクション(複数可)に印加されるアブレーション信号の電力及び持続時間、並びに(ii)アブレーション電極と領域55のそれぞれのセクションとの間に印加される接触力と、に依存することに留意されたい。本開示の文脈及び特許請求の範囲において、「持続時間」という用語は、アブレーション電極がアブレーション信号を印加する時間間隔を指す。
【0056】
他の実施形態では、遠位端アセンブリ40のアブレーション電極のうちの1つ以上は、領域55の1つのセクションの表面と接触して配置される。例えば、アブレーション電極55a及び55bは、セクション55aと接触して配置される。更に、必要なアブレーションエネルギーの量が領域55の異なるセクション間で異なる場合、各セクションと接触して配置される電極の数は異なっていてもよい。例えば、2つの電極44がセクション55aと接触して配置されてもよく、1つの電極がセクション55dと接触して配置されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、印加されたアブレーション信号(複数可)の電力及び/又は持続時間は、領域55の異なるセクション間で異なり得る。各セクションは、約3ワット~50ワットの典型的な電力を受容し得、組織に電力を印加する典型的な持続時間は、約5秒~60秒であり得る。例えば、セクション55a及び55dは、約3ワットの電力レベルを約10秒間にわたって受容し得るが、セクション55b及び55cは、約20秒間にわたって同じ電力を受容し得る。上記の変数(例えば、電力、持続時間)のうちの1つ以上は、例えば、システム20の動作レシピを使用して、医師30によって事前構成されることに留意されたい。
【0058】
他の実施形態では、全てのセクション55a~55dに印加される電力の持続時間は同様であり得るが、各セクションに印加されるアブレーション信号の電力は異なってもよい。更に他の実施形態では、電力と持続時間の任意の好適な組み合わせがセクション55a~55dの各セクションに適用され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、アブレーション信号(複数可)を印加する前に、プロセッサ34は、それぞれの電極が領域55の意図されたセクションと接触して配置されているかどうかを(例えば、上記の図1に記載されたインターフェースによって受信された位置信号に基づいて)位置センサ39からチェックするように構成される。アブレーション電極が意図されたセクションと接触して位置付けられていない場合、プロセッサ34は、システム20の高周波(RF)発生器(図示せず)からそれぞれのアブレーション電極へのアブレーション信号(複数可)の印加を防止し得る。例えば、アブレーション電極44aがセクション55aと接触して配置されていない場合、プロセッサ34は、電極44aの位置を調整するためのメッセージを医師30に対して(例えば、ディスプレイ35上に)提示してもよい。更に、アブレーション電極44aがセクション55aと接触して配置された後、プロセッサ34は、電極44aとセクション55aとの間に印加されている接触力が十分に高いかどうかをチェックする。接触力が力閾値よりも小さい場合、プロセッサ34は、アブレーション信号(複数可)の印加を防止してもよく、また、電極44aによってセクション55aに印加される接触力を調整するためのメッセージを医師30に対して(例えば、ディスプレイ35上に)提示してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、接触力のチェックは、位置のチェック後に実行されてもよいが、他の実施形態では、両方のチェックが同時に実行されてもよく、それぞれのメッセージが医師30に対してディスプレイ30上に提示され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、全てのアブレーション電極44a~44dが、それぞれセクション55a~55dとの十分に高い接触力において適切に配置されていることを確認した後。プロセッサ34は、RF発生器を制御して各アブレーション信号を各それぞれのアブレーション電極に印加するように構成されている。更に、プロセッサ34は、各アブレーション電極(例えば、電極44a~44d)に印加される各アブレーション信号の電力及び持続時間を監視するように、また、それぞれの電極を介して、領域55のそれぞれのセクションに印加された累積アブレーションエネルギーを計算するように構成されている。
【0062】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、各アブレーション電極を介して領域55の各セクションに印加されることを意図されるエネルギーレベルを示す閾値を保持するように構成される。いくつかの実施形態では、所与の電極を介して所与のセクションに印加されたエネルギーの量が、エネルギーレベルを示す閾値を超えたことを算出したことに応答して、プロセッサ34は、RF発生器を制御して、それぞれのアブレーション電極に電力を印加することを停止するように構成される。他の実施形態では、プロセッサ34は、アブレーション信号を意図されたアブレーション電極にルーティングするように構成された装置を制御して、アブレーション信号をそれぞれのアブレーション電極にルーティングすることを停止するように構成される。言い換えれば、プロセッサ34は、それぞれのアブレーション電極に印加されるアブレーション信号を終了するように構成される。
【0063】
例えば、電極44aに印加された累積アブレーションエネルギーが、セクション55aに割り当てられた閾値を超える(すなわち、それより大きくない)場合、プロセッサ34は、RF発生器及び/又はルーティング装置(及び/又はアブレーション信号を電極44aに印加するように構成された任意の他の適切な機構)を制御して、アブレーション信号を電極44aに印加することを停止する。同様に、電極44bに印加された累積アブレーションエネルギーが、セクション55bに割り当てられた閾値を超えない場合、プロセッサ34は、RF発生器及び/又はルーティング装置を制御して、アブレーション信号を電極44bを介してセクション55bに印加することを継続する。
【0064】
いくつかの実施形態では、所与の電極の位置及び/又は接触力が、アブレーション信号を印加するときの指定レベルに対して変化したことを確かめたことに応答して、プロセッサ34は、それぞれの1つ以上のアブレーション電極(複数可)へのそれぞれのアブレーション信号の印加を保持するように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、アブレーションエネルギーの累積量が全てのセクション55a~55d内のエネルギーレベル閾値を超えるとすぐに、プロセッサ34は、医師30に対して、例えば、ディスプレイ35上に、アブレーション信号(複数可)の印加が完了したことを示すメッセージを提示してもよく、その結果、医師30は、(i)遠位端アセンブリ40を心臓26から抜き出し、アブレーション処置を完了すること、又は(ii)心臓26の別の場所において、或いは患者28の任意の他の器官において、組織への付加的なアブレーション信号の印加を実施するために、遠位端アセンブリ40を別のアブレーション部位に移動させることを決断し得る。
【0066】
図3は、本発明の一実施形態による、遠位端アセンブリ40の電極44a~44dを使用して領域55の組織にアブレーション信号を印加するための方法を概略的に示すフロー図である。
【0067】
この方法は、マーク受信ステップ100で始まり、プロセッサ34は、上記の図1並びに図2A及び図2Bに関して詳細に説明されるように、アブレーションされることを意図される標的組織(例えば、領域55)を示すマークをマップ27上に(例えば、医師30から)受信及び表示する。
【0068】
エネルギーレベル受信ステップ102では、プロセッサ34は、上記の図1に関して詳細に説明されるように、領域55の各セクションについて(例えば、セクション55a~55d)について、アブレーション処置中にそれぞれのセクションに印加されることを意図されるアブレーション信号の指定されたエネルギーレベルを受信する。
【0069】
電極配置ステップ104において、医師30は、遠位端アセンブリ40を領域55に向かって移動させ、プロセッサ34は、例えば、位置センサ39及び/又は上記の図2A及び図2Bに関して説明されたACLシステムなどの別の位置追跡システムから、遠位端アセンブリ40の位置を示す位置信号を受信する。位置信号に基づいて、プロセッサは、上記の図2に詳細に記載されるように、領域55のセクション55a~55dと接触して配置されることを意図された各アブレーション電極(例えば、電極44a~44d)の位置を計算するように構成されている。
【0070】
位置確認ステップ106において、プロセッサ34は、アブレーション電極の各々がそれぞれの意図された位置に位置付けられているかどうかをチェックする。例えば、プロセッサ34は、電極44a、44b、44c、及び44dが、それぞれセクション55a、55b、55c、及び55dと接触して配置されているかどうかをチェックする。位置調整ステップ108において、電極44a、44b、44c、及び44dのうちの1つ以上がそれぞれセクション55a、55b、55c及び55dのうちの1つ以上と接触して配置されていないことを確かめたことに応答して、プロセッサ34は、上記の図2A及び図2Bに関して詳細に説明されたように、1つ以上のそれぞれのアブレーション電極の位置を調整するためのメッセージを医師30に対して(例えば、ディスプレイ35上に)提示し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のアブレーション電極の位置を調整した後、本方法は、上記の図2に詳細に記載されたように、確認のためにステップ106に戻る。
【0071】
他の実施形態では、プロセッサ42は、領域55のセクション55a、55b、55c及び55dに入り、且つセクション55a、55b、55c及び55dとの十分な接触性を有するアブレーション電極を、遠位端アセンブリ40のアブレーション電極の中から選択するように構成されているため、ステップ108は任意であり、本方法から排除されてもよい。例えば、遠位端アセンブリ40が移動される場合、プロセッサ34は、セクション55a、55b、55c、及び55dに入る遠位端アセンブリ40のアブレーション電極の別のセットを選択するように構成される。
【0072】
接触力確認ステップ110において、プロセッサ34は、上記の図2A及び図2Bに関して詳細に説明されたように、アブレーション電極の各々が力閾値よりも大きい接触力でそれぞれの意図されたセクションと接触して配置されているかどうかをチェックする。接触力調整ステップ112において、電極44a、44b、44c、及び44dのうちの1つ以上が、それぞれセクション55a、55b、55c及び55dのうちの1つ以上と十分に高い接触力の下で配置されていないことを確かめたことに応答して、プロセッサ34は、上記の図2に詳細に記載されたように、1つ以上のそれぞれのアブレーション電極と領域55の1つ以上のそれぞれのセクションとの間に印加される接触力を調整するためのメッセージを医師30に対して(例えば、ディスプレイ35上に)提示し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、アブレーション電極のうちの1つ以上と領域55のそれぞれのセクションの組織との間の接触力を調整した後、本方法は、上記の図2A及び図2Bに関して詳細に説明されたように、確認のためのステップ110に戻る。
【0074】
他の実施形態では、位置信号に基づいて、プロセッサ42は、領域55のセクション55a、55b、55c及び55dに入り、且つセクション55a、55b、55c及び55dとの十分な接触性を有するアブレーション電極を、遠位端アセンブリ40のアブレーション電極の中から自動的に選択するように構成されているため、ステップ110及び112は任意であり、図3の方法から排除されてもよい。そのような実施形態では、接触力の測定及び/又は調整は必要ない。
【0075】
アブレーション信号アプリケーションステップ114において、全てのアブレーション電極44a~44dがそれぞれ、セクション55a~55d上に位置付けられ、それらと十分に高い接触性の下で配置されたことを確認したことに応答して、プロセッサ34は、RF発生器を制御して、遠位端アセンブリ40の電極44a~44dを使用してセクション55a~55dに事前定義されたアブレーション信号を印加する。更に、プロセッサ34は、上記の図2A及び図2Bに関して説明されたように、セクション55a~55dの各セクションに印加されることを意図されるエネルギーレベルを示す閾値を保持する。更に、プロセッサ34は、上記の図2A及び図2Bに関して説明されたように、セクション55a~55dの各セクションに印加されたアブレーションエネルギーの累積量を計算するために、印加されたアブレーション信号の電力及び持続時間を監視する。
【0076】
エネルギー比較ステップ116において、プロセッサ34は、領域55の各セクションについて、印加されたアブレーションエネルギーの累積量がエネルギーレベルの閾値よりも大きいかどうかを比較する。所与のアブレーション電極及びそれぞれのセクションにおいて、印加されたアブレーションエネルギーの累積量がエネルギーレベルの閾値よりも小さいことを確かめたことに応答して、本方法は、上記の図2A及び図2Bに関して詳細に説明されたように、所与のアブレーション電極にアブレーション信号を印加し続けるためにステップ114に戻る。
【0077】
印加されたアブレーションエネルギーの累積量がエネルギーレベルの閾値よりも大きい場合、本方法は決定ステップ118に進み、ここでプロセッサ34は、印加されたアブレーションエネルギーの累積量が全てのセクション55a~55dにおいてエネルギーレベルの閾値よりも大きいかどうかをチェックする。印加されたアブレーションエネルギーの累積量がエネルギーレベルの閾値よりも小さい1つ以上のセクションを確かめたことに応答して、本方法は、それぞれのセクションにアブレーション信号を印加することを意図されたアブレーション電極にアブレーション信号を印加し続けるためにステップ114に戻る。
【0078】
印加されたアブレーションエネルギーの累積量が全てのセクション55a~55dにおいてエネルギーレベルの閾値よりも大きいことを確かめたことに応答して、本方法は、本方法を終了する処置終了ステップ120に進む。遠位端アセンブリ40の選択されたアブレーション電極にアブレーション信号を印加するとき、選択されたアブレーション電極44a、44b、44c、及び44dは、領域55の事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成するように構成されることに留意されたい。
【0079】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、例えば、ディスプレイ35上に、全てのセクション55a~55dが事前定義された量のアブレーションエネルギーでアブレーションされたことを示すメッセージを医師30に対して提示してもよく、医師30は、上記の図2A及び図2Bに関して説明されたように、カテーテル22を心臓26から抜き出すか、或いは次のアブレーション部位に進み得る。
【0080】
図3の方法のこの具体的な順序は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を示すために、また、そのようなアブレーション処置の実行を強化する際のこれらの実施形態の適用を示すために、一例として示されたものである。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的なステップの順序に限定されるものではなく、本明細書に記載された原理は、心臓26又は患者28の任意の他の器官内の組織をアブレーションするための他の種類の方法にも同様に適用され得る。
【0081】
例えば、他の実施形態では、ステップ106とステップ110は同時に実行されても、逆の順序で実行されてもよく、ステップ108とステップ112は同時に実行されても、逆の順序で実行されてもよく、ステップ116とステップ118は同時に実行されてもよい。
【0082】
本明細書に記載の実施形態は、主にバルーンカテーテルを使用して患者の心臓の組織をアブレーションすることに対処するものであるが、本明細書に記載の方法及びシステムは、任意の他の好適なタイプのアブレーションカテーテルを使用した心臓のアブレーション、患者の他の器官で行われるアブレーション処置、他の種類のRFアブレーション技術及び/又は不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を使用したアブレーション処置など、他の用途にも用いられ得る。
【0083】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、且つ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に説明される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分とみなすものとする。
【0084】
〔実施の態様〕
(1) 拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用して患者器官の領域をアブレーションするための方法であって、
(i)患者の器官内でアブレーションされることが意図され、かつ事前定義されたパターンを有する標的組織の位置、及び(ii)前記標的組織に印加されることを意図されるアブレーション信号のエネルギーレベルを受信することと、
前記器官に挿入され、アブレーション電極のアレイを有するカテーテルにおいて、前記アブレーション信号を印加するときに、前記事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成する1つ以上の選択されたアブレーション電極を選択することと、
前記1つ以上の選択されたアブレーション電極が前記標的組織上に位置付けられていることを確認したことに応答して、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して前記標的組織に前記アブレーション信号を印加することと、を含む方法。
(2) 前記標的組織に前記アブレーション信号を印加することは、前記標的組織に印加された前記アブレーション信号の累積エネルギーを監視することと、前記累積エネルギーが前記エネルギーレベルを超えたことを検出したことに応答して、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極への前記アブレーション信号を終了することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記累積エネルギーを監視することは、前記アブレーション信号のアブレーション電力及び前記1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して前記標的組織に前記アブレーション信号を印加する時間間隔を監視することを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記標的組織は、第1の位置にある第1のセクションと、前記第1の位置とは異なる第2の位置にある第2のセクションと、を含み、前記方法は、アブレーション電極の前記アレイの付加的な位置を示す位置信号を受信することと、前記アレイの前記アブレーション電極の電極位置をそれぞれ計算することと、を含み、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極は少なくとも、前記第1のセクションを被覆する第1の損傷部を生成するための第1のアブレーション電極と、前記第2のセクションを被覆する第2の損傷部を生成するための第2のアブレーション電極と、を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記1つ以上の選択されたアブレーション電極と前記標的組織との間の接触力が力閾値よりも大きいことを確認することを含み、前記アブレーション信号を印加することは、前記第1のアブレーション電極が前記第1のセクション上に位置付けられ、前記第2のアブレーション電極が前記第2のセクション上に位置付けられていることを確認することと、それに続いて、(i)前記第1のアブレーション電極と前記第1のセクションとの間、及び(ii)前記第2のアブレーション電極と前記第2のセクションとの間の前記接触力が、前記力閾値よりも大きいことを確認することと、を含む、実施態様4に記載の方法。
【0085】
(6) 前記アブレーション信号を印加するときに、(i)少なくとも前記第1の電極が前記第1のセクションに対して移動されたこと、及び(ii)少なくとも前記第1のアブレーション電極と前記第1のセクションとの間の前記接触力が前記力閾値よりも小さいこと、の少なくとも一方を検知したことに応答して、少なくとも前記第1のアブレーション電極への前記アブレーション信号を終了する、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記第1の位置及び前記第2の位置を受信することは、前記標的組織を示す領域を受信することと、前記第1のセクションを定義する第1の座標、及び前記第2のセクションを定義する第2の座標を受信することと、を含み、前記第1の電極及び前記第2の電極を選択することは、(i)前記第1の座標上にくる前記第1のアブレーション電極、及び(ii)前記第2の座標上にくる前記第2のアブレーション電極を選択することを含む、実施態様4に記載の方法。
(8) 前記エネルギーレベルを受信することは、前記第1のセクションに印加されることを意図される第1のアブレーション信号の第1のエネルギーレベル、及び前記第2のセクションに印加されることを意図される第2のアブレーション信号の第2のエネルギーレベルを受信することを含み、前記第1のセクション及び前記第2のセクションを定義することは、(i)前記第1のセクション及び前記第2のセクションの幾何学的形状、及び(ii)前記第1のエネルギーレベル及び前記第2のエネルギーレベルのうちの少なくとも1つに基づく、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記第1のエネルギーレベルは前記第2のエネルギーレベルと異なっている、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記カテーテルは、前記第1のアブレーション電極及び前記第2のアブレーション電極、並びに前記プロセッサによって選択されていない第3のアブレーション電極を有する拡張可能な遠位端アセンブリを備え、前記アブレーション信号は、前記第3のアブレーション電極に印加されない、実施態様1に記載の方法。
【0086】
(11) 拡張可能なカテーテルの選択されたアブレーション電極を使用して患者器官の領域をアブレーションするためのシステムであって、
(i)患者の器官内でアブレーションされることが意図され、かつ事前定義されたパターンを有する標的組織の位置、及び(ii)前記標的組織に印加されることを意図されるアブレーション信号のエネルギーレベルを受信するように構成されたインターフェースと、
プロセッサであって、
前記器官に挿入され、アブレーション電極のアレイを有するカテーテル内で、前記アブレーション信号を印加するときに、前記事前定義されたパターンを被覆する形状を有する損傷部を一緒に生成する1つ以上の選択されたアブレーション電極を選択することと、
前記1つ以上の選択されたアブレーション電極が前記標的組織上に位置付けられていることを確認したことに応答して、発生器を制御して前記1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して前記標的組織に前記アブレーション信号を印加することと、を行うように構成されたプロセッサと、を備えるシステム。
(12) 前記プロセッサは、(i)前記標的組織に印加された前記アブレーション信号の累積エネルギーを監視することと、(ii)前記累積エネルギーが前記エネルギーレベルを超えたことを検出したことに応答して、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極への前記アブレーション信号を終了することと、を行うように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記プロセッサは、前記アブレーション信号のアブレーション電力と、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極を使用して前記標的組織に前記アブレーション信号を印加する時間間隔と、を監視するように構成されている、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記標的組織は、第1の位置にある第1のセクションと、前記第1の位置とは異なる第2の位置にある第2のセクションと、を含み、前記インターフェースは、アブレーション電極の前記アレイの付加的な位置を示す位置信号を受信するように構成されており、前記プロセッサは、前記アレイの前記アブレーション電極の電極位置をそれぞれ計算するように構成されており、前記1つ以上の選択されたアブレーション電極は少なくとも、前記第1のセクションを被覆する第1の損傷部を生成するように構成された第1のアブレーション電極と、前記第2のセクションを被覆する第2の損傷部を生成するように構成された第2のアブレーション電極と、を含む、実施態様11に記載のシステム。
(15) 前記プロセッサは、前記第1のアブレーション電極が前記第1のセクション上に位置付けられ、前記第2のアブレーション電極が前記第2のセクション上に位置付けられていることを確認し、続いて、(i)前記第1のアブレーション電極と前記第1のセクションとの間、及び(ii)前記第2のアブレーション電極と前記第2のセクションとの間の接触力が、力閾値よりも大きいことを確認するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
【0087】
(16) (i)少なくとも前記第1の電極が前記第1のセクションに対して移動されたこと、及び(ii)少なくとも前記第1のアブレーション電極と前記第1のセクションとの間の前記接触力が前記力閾値よりも小さいこと、の少なくとも一方を検知したことに応答して、前記プロセッサは、少なくとも前記第1のアブレーション電極への前記アブレーション信号を終了するように構成されている、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記インターフェースは、前記標的組織を示す領域、並びに(ii)前記第1のセクションを定義する第1の座標及び前記第2のセクションを定義する第2の座標を受信するように構成され、前記プロセッサは、(i)前記第1の座標上にくる前記第1のアブレーション電極、及び(ii)前記第2の座標上にくる前記第2のアブレーション電極を選択するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(18) 前記インターフェースは、前記第1のセクションに印加されることを意図される第1のアブレーション信号の第1のエネルギーレベル、及び前記第2のセクションに印加されることを意図される第2のアブレーション信号の第2のエネルギーレベルを受信するように構成され、前記プロセッサは、(i)前記第1のセクション及び前記第2のセクションの幾何学的形状、及び(ii)前記第1のエネルギーレベル及び前記第2のエネルギーレベルのうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のセクション及び前記第2のセクションを定義するように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記第1のエネルギーレベルは前記第2のエネルギーレベルと異なる、実施態様17に記載のシステム。
(20) 前記カテーテルは、前記第1のアブレーション電極及び前記第2のアブレーション電極、並びに前記プロセッサによって選択されていない第3のアブレーション電極を有する拡張可能な遠位端アセンブリを備え、前記プロセッサは、前記発生器を制御して前記第3のアブレーション電極に前記アブレーション信号を印加しないように構成されている、実施態様11に記載のシステム。
図1
図2A
図2B
図3
【外国語明細書】