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特開2023-447475-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044747
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/64 20060101AFI20230327BHJP
   C07C 49/497 20060101ALI20230327BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230327BHJP
【FI】
C07C45/64
C07C49/497
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152766
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182073
【弁理士】
【氏名又は名称】萩 規男
(72)【発明者】
【氏名】和田 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】香川 巧
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC41
4H006BA09
4H006BA37
4H006BD70
4H006BE53
4H039CA50
4H039CE20
(57)【要約】
【課題】従来公知の製造方法よりも経済的かつ簡便な工程で、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを製造する方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、脂肪族ハロゲン化物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させた後、水を加えて加水分解を行うことを特徴とする、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、脂肪族ハロゲン化物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させた後、水を加えて加水分解を行うことを特徴とする、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法。
【請求項2】
脂肪族ハロゲン化物が、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の脂肪族ハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ハロゲン化アルミニウムが、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、およびヨウ化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
臭化水素と、ハロゲン化アルミニウム水和物と、水の存在下、5-ブロモ-2-アダマンタノンを加水分解することを特徴とする、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの新規な製造方法に関する。
アダマンタン誘導体は、高い耐熱性や透明性などの特性から、各種の産業分野で用途が拡大している。例えば、半導体製造用フォトレジストなどの電子材料や、機能性材料、医農薬の原料として有用であることが知られている。
【背景技術】
【0002】
5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製法としては、例えば、2-アダマンタノンを過塩素酸ナトリウム水溶液や硝酸を用いて酸化する方法が提案されている(例えば特許文献1等参照)。
また、硫酸及び硝酸を用いて無置換アダマンタンを酸化する方法が提案されている(例えば特許文献2等参照)。
しかしながらこれら特許文献1又は特許文献2に記載の方法では、ジヒドロキシ化合物の副生や、原料の残存等により、高純度の5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを得ることが困難で、再結晶等の精製操作を繰り返し実施する必要がある。
【0003】
他の製造方法として、2-アダマンタノンを原料とし、四臭化炭素により臭素化して5-ブロモ-2-アダマンタノンを得た後、水酸化ナトリウムを用いて加水分解する方法が提案されている(例えば非特許文献1等参照)。
しかしながら非特許文献1に記載の方法では、臭素化反応に170℃という高温条件が必要で、また、有害な四臭化炭素を使用する必要があるという課題がある。さらに、臭素化反応後に5-ブロモ-2-アダマンタノンを一度単離しなければならないという課題もある。加えて、本発明者が非特許文献1に記載された製造方法を用いて5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造を試みたところ、加水分解反応が進行せず、目的の化合物を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第104725194号明細書。
【特許文献2】露国特許第2557249号明細書。
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Russian Journal of Organic Chemistry,2015年,第51巻,184頁-187頁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これら従来技術を鑑み、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを、経済的かつ簡便に製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの安価かつ簡便な製造方法について鋭意検討した。
すなわち、ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、様々な脂肪族ハロゲン化物の存在下、臭素を用いて2-アダマンタノンを臭素化して、中間体としての5-ブロモ-2-アダマンタノンを生成させる。その後、後処理として水を加え、ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムを失活させた状態の反応系内に、ハロゲン化アルミニウム・水和物、及び臭素化反応で副生する臭化水素酸等が存在する条件下で保持する。この保持により、5-ブロモ-2-アダマンタノンを単離することなく、当該5-ブロモ-2-アダマンタノンを加水分解でき、その結果、容易に5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンが製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に係る。
[1]ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、脂肪族ハロゲン化物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させた後、水を加えて加水分解を行うことを特徴とする、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法。
[2]脂肪族ハロゲン化物が、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の脂肪族ハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、項[1]に記載の製造方法。
[3]ハロゲン化アルミニウムが、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、及びヨウ化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、項[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]臭化水素と、ハロゲン化アルミニウム水和物と、水の存在下、5-ブロモ-2-アダマンタノンを加水分解することを特徴とする、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを経済的かつ簡便に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムと、脂肪族ハロゲン化物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させた後、水を加えてハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムを失活させた状態で保持し、5-ブロモ-2-アダマンタノンを単離することなく加水分解を行うことを特徴とする、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの製造方法に係る。
【0011】
本発明の方法において使用されるハロゲン化アルミニウムの具体例としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム等が挙げられ、これらを単独又は混合物として使用することができる。これらのうち通常は、反応性、経済性及び入手の容易さを考慮して塩化アルミニウム及び/又は臭化アルミニウムが選ばれる。
【0012】
本発明の方法において、金属アルミニウムを使用する場合、通常使用される公知の形状のアルミニウムをそのまま使用できる。具体的には、粉末、粒状、薄片、チップ、塊状等の形態を挙げることができる。
【0013】
本発明の方法において使用される、ハロゲン化アルミニウム又は金属アルミニウム、あるいは両者併用した場合の使用量については、格別の限定はないが、通常、1モルの2-アダマンタノンに対し、0.5倍モル~10倍モルの範囲で使用し、反応性や後処理工程での煩雑さを考慮すると、1.2倍モル~5倍モルの範囲であることが好ましい。
【0014】
本発明の方法において使用される脂肪族ハロゲン化物の具体例としては、エチルクロリド、エチルブロミド、エチルヨージド、n-プロピルクロリド、n-プロピルブロミド、n-プロピルヨージド、iso-プロピルクロリド、iso-プロピルブロミド、iso-プロピルヨージド、n-ブチルクロリド、n-ブチルブロミド、n-ブチルヨージド、sec-ブチルクロリド、sec-ブチルブロミド、sec-ブチルヨージド、iso-ブチルクロリド、iso-ブチルブロミド、iso-ブチルヨージド、tert-ブチルクロリド、tert-ブチルブロミド、tert-ブチルヨージド、n-ペンチルクロリド、n-ペンチルブロミド、n-ペンチルヨージド、n-ヘキシルクロリド、n-ヘキシルブロミド、n-ヘキシルヨージド、n-ヘプチルクロリド、n-ヘプチルブロミド、n-ヘプチルヨージド、n-オクチルクロリド、n-オクチルブロミド、n-オクチルヨージド、シクロペンチルクロリド、シクロペンチルブロミド、シクロペンチルヨージド、シクロヘキシルクロリド、シクロヘキシルブロミド、シクロヘキシルヨージド、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジブロモエタン、1,2-ジヨードエタン、1-ブロモ-3-クロロプロパン等の、炭素数2~8の直鎖、分岐、若しくは環式の脂肪族ハロゲン化物が挙げられ、これらを単独又はいずれかの任意の組み合わせの混合物として使用することができる。
【0015】
本発明の方法において、脂肪族ハロゲン化物の使用量については、格別の限定はないが、1モルの2-アダマンタノンに対し、0.1倍モル~10倍モルの範囲で使用し、反応性や経済性を考慮すると、0.5倍モル~3.0倍モルの範囲であることが好ましい。
【0016】
本発明の方法における臭素の使用量については、格別の限定はないが、1モルの2-アダマンタノンに対し、1.0倍モル~50倍モルの範囲で使用し、反応性や後処理工程での煩雑さを考慮すると、3.0倍モル~30倍モルの範囲であることが好ましい。
【0017】
本発明の方法において、臭素化剤として使用する臭素を溶剤として用いても良いが、必要に応じて、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤を用いても良い。ハロゲン化炭化水素系溶剤を使用する場合は、1重量部の2-アダマンタノンに対して、1重量部~20重量部使用する。
【0018】
本発明の方法における臭素化の反応温度については、20℃~65℃の範囲であり、好ましくは40℃~60℃の範囲である。反応時間は、使用する脂肪族ハロゲン化物により異なるが、通常、5時間~48時間反応を行うことにより、臭素化反応は完結する。
【0019】
本発明の方法における臭素化反応終了後は、ハロゲン化アルミニウム及び/又は金属アルミニウムを失活させるために水を添加する。添加する水の使用量に格別の限定はないが、1重量部の2-アダマンタノンに対して、2重量部~120重量部使用する。水を添加後、そのまま所定の温度で保持し、加水分解を行っても良いし、一旦加熱し、余剰の臭素を留去した後、所定の温度で保持し、加水分解を行っても良い。
【0020】
本発明の方法においては、2-アダマンタノンより5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを製造する際の中間体である5-ブロモ-2-アダマンタノンを単離精製することなく5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを製造することができる。
また本発明の方法においては、一旦、中間体である5-ブロモ-2-アダマンタノンを単離したり、又は市販等され入手可能な5-ブロモ-2-アダマンタノンを用いる場合は、臭化水素、ハロゲン化アルミニウム水和物及び水を加え、加熱等することで、加水分解させて目的物の5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを製造することができる。
【0021】
本発明の方法における臭化水素の使用量については、格別の限定はないが、1モルの5-ブロモ-2-アダマンタノンに対し、0.1倍モル~10倍モルの範囲、さらに好ましくは0.5倍モル~5倍モルの範囲で使用するとよい。
【0022】
本発明の方法におけるハロゲン化アルミニウム水和物の具体例としては、塩化アルミニウム(III)六水和物、臭化アルミニウム(III)六水和物等が挙げられ、これらを単独又は混合物として使用することができる。
【0023】
本発明の方法におけるハロゲン化アルミニウム水和物の使用量については、格別の限定はないが、1モルの5-ブロモ-2-アダマンタノンに対し、0.5倍モル~10倍モルの範囲、さらに好ましくは1.0倍モル~5倍モルで使用し、反応性や後処理工程での煩雑さを考慮すると、1.2倍モル~5倍モルの範囲であることが好ましい。
【0024】
本発明の方法における加水分解の反応温度については、50℃~110℃の範囲であり、好ましくは80℃~110℃の範囲である。反応時間は、通常、12時間~72時間反応を行うことにより、加水分解反応は完結する。
【0025】
加水分解反応終了後は、残存した臭素を常法に従って失活させた後、生成物を抽出する。続いて、有機層を水洗処理し、溶媒を留去した後、通常の精製操作、例えば、再結晶などの操作により、目的とする5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを得る。
【実施例0026】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されて解釈されるものではない。
【0027】
なお、収率については、ガスクロマトグラフィー(GC)で下記条件により求めた値である。
<ガスクロマトグラフィー(GC)による測定>
・装置:GC7820A(アジレント・テクノロジー株式会社製)
・カラム:キャピラリーカラムTC-1(ジーエルサイエンス株式会社製)
・内部標準:シクロドデカン
【0028】
また、質量分析の条件は以下の通りである。
<質量分析(GCMS)による測定>
・装置:GCMS-QP2010Plus(株式会社島津製作所製)
・カラム:キャピラリーカラムTC-1(ジーエルサイエンス株式会社製)
【0029】
実施例1 5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの調製
撹拌子を備えた100mLナスフラスコに、2-アダマンタノン(1.0g、6.66mmol)、塩化アルミニウム(1.78g、13.3mmol)、臭素(21.3g、133mmol)を加え、撹拌下に0℃まで冷却し、tert-ブチルブロミド(0.59g、4.33mmol)を同温にて滴下した。滴下後、50℃まで昇温し、24時間熟成した。
上記の操作によって得られた反応液を0℃まで冷却し、水(60g)を加えて塩化アルミニウムを失活させた。その後、反応液の入ったナスフラスコに単蒸留装置を取り付けて、60℃から100℃に加熱して臭素を留去した。臭素を留去後、ナスフラスコの油分及び水層からなる残留物を、さらに撹拌しながら、100℃で24時間保持した。
反応終了後、反応液に亜硫酸ナトリウム飽和水溶液(1mL)を加えて、微量残存する臭素を還元した。その後、ジクロロメタン(20mL)を加えて抽出し、有機層を分離した。得られた有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(10mL)で洗浄後、溶媒を減圧留去した。
上記の通り取得した化合物を質量分析により分析し、その結果、当該化合物は5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンであることを確認した。また、ガスクロマトグラフィーにより定量した収率は95.5%、純度は99.5%であった。この結果を表1に示す。
【0030】
実施例2~14 5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの調製
実施例1と同じ反応装置を用いて、表1中に示した条件下、脂肪族ハロゲン化物及びアルミニウム種を種々変更し、同様の反応を行った。得られた結果を表1に示す。
【0031】
実施例15 5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの調製
撹拌子を備えた100mLナスフラスコに、5-ブロモ-2-アダマンタノン(1.0g、4.36mmol)、塩化アルミニウム(III)六水和物(1.58g、6.54mmol)、48%-臭化水素酸(2.0g)、水(9g)を加え、ジムロート冷却器を取り付けた後、撹拌させながら100℃で20時間反応した。
反応終了後、実施例1と同じ後処理操作を行い、目的物の5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを収率82.0%(純度99.2%)で得た。
【0032】
比較例1 5-ブロモ-2-アダマンタノンの加水分解反応による、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの調製
撹拌子を備えた100mLナスフラスコに、5-ブロモ-2-アダマンタノン(1.0g、4.36mmol)、20%HSO水溶液(10mL)、エタノール(10mL)を加え、ジムロート冷却器を取り付けた後、撹拌させながら78℃で18時間熟成した。
反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ほとんど未反応で、収率は0.1%未満であった。この結果を他の例と共に表2に示す。
【0033】
比較例2~4 5-ブロモ-2-アダマンタノンの加水分解反応による、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの調製
比較例1と同じ反応装置を用いて、表2中に示した条件下、酸又は塩基を種々変更し、同様の加水分解反応を行った。得られた結果を表2に示す。
【0034】
以上の実施例1~14の結果を表1に、比較例1~4の結果を表2に示した。
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
上記表1及び表2に示す略号は以下の通り。
1)モル比及び重量比は全て2-アダマンタノンに対する値を示す。
2)tert-ブチルブロミドの略号を示す。
3)tert-ブチルクロリドの略号を示す。
4)tert-ブチルヨージドの略号を示す。
5)sec-ブチルブロミドの略号を示す。
6)iso-プロピルブロミドの略号を示す。
7)シクロヘキシルブロミドの略号を示す。
【0037】
表1によれば、AlCl等のハロゲン化アルミニウムや金属アルミニウム(Al粉末)と、tert-ブチルハロゲン化物等の脂肪族ハロゲン化物の存在下、2-アダマンタノンと臭素を反応させた後、水を加えることで、2-アダマンタノンの臭素化を50%以上の高収率で行なうことができる。
さらにこの反応液に水を加え熟成することで、目的物である5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを加水分解して、48%以上の高収率で、かつ高純度(実施例1では99.5%)にて、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンを得ることができる。
【0038】
表2によれば、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノン単体に対し、酸または塩基の水溶液を加えても、5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンの加水分解は起こらないか、起こっても48時間の反応で40%程度と収率が低いことが分かり、表1の結果と対比すると、大きな差異が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の方法により、工業的かつ安価な5-ヒドロキシ-2-アダマンタノンが製造でき、電子材料や機能性材料、医農薬中間体の原料として、産業上非常に有用である。