(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044763
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 8/02 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B43K8/02 100
B43K8/02 110
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152792
(22)【出願日】2021-09-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】518043287
【氏名又は名称】中辻 一裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141106
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 清志
(72)【発明者】
【氏名】中辻 一裕
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA04
2C350HA15
2C350KC11
2C350NA17
2C350NC02
2C350NC23
2C350NC32
(57)【要約】
【課題】耐久性があり、かつ描きやすい筆記具を提供する。
【解決手段】本体部2から先端部31が突出し、かつ本体部2内のインク吸蔵体21に尾端部33が接触して設けられたインク部材3を有する筆記具1であって、先端部31の先端面32は、各辺の長さが異なり、かつ隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上となる5角形以上の多角形状である。また、先端部31の先端面32は、本体部2の軸を中心とした円に各頂点が接する5角形以上の多角形状である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部から先端部が突出し、かつ前記本体部内のインク吸蔵体に尾端部が接触して設けられたインク部材を有する筆記具であって、
前記先端部の先端面は、各辺の長さが異なり、隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上であり、かつ前記本体部の軸を中心とした円に各頂点が接する5角形以上の多角形状である
ことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記先端部の先端面は、最も長い辺に隣り合う両辺が、最も短い辺および2番目に短い辺となるように構成された
ことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記先端部の先端面は、最も短い辺に隣り合う両辺が、最も長い辺および2番目に長い辺となるように構成された
ことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項4】
前記先端部は、前記先端面と相似形の中間断面を有し、前記中間断面を底面とする多角柱形状を有する第1部材と、前記中間断面を底面とし前記先端面を上面とする角錐台形状を有する第2部材とを有し、前記第1部材と前記第2部材とは、前記中間断面を介して結合されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の筆記具。
【請求項5】
前記先端面のそれぞれの角度が異なる
ことを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端部の先端面が多角形状である筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具は、インクが吸蔵されたインク吸蔵体を内部に備えた本体部と、本体部から先端部が突出して設けられ、インク吸蔵体のインクを先端部から浸出させるインク部材とを有している。
【0003】
筆記具による筆跡は、この先端部の形状、特に、先端部の先端面の形状により異なる。そのため、1本で幅が異なる文字を筆記できる筆記具が切望されていた。そこで、先端部の先端面の形状を多角形状とし、先端面のある一辺を用紙に接触させることにより、文字や線の筆跡を所望の幅にできる筆記具が開発されている。特に、POP(Point of purchase)広告は、商品名、価格、キャッチコピー、イラストなどが、消費者の注目を引くように、特徴のある様々な字体や図柄を描く必要がある。そのため、所望の幅で描くことができる筆記具はユーザにとって利便性が高い。
【0004】
例えば、特許文献1には、筆記用の尖端の先端面が、3辺以上の端辺を有する多角形状であると共に端辺の長さが各々異なる筆記用器具に関する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、先端部の先端面は、各辺の長さが異なり、かつ隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上となる5角形以上の多角形状である筆記具に関する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、六角形に成形された中空焼結部を有するマーキングペンに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5-78592号公報
【特許文献2】特開2020-066156号公報
【特許文献3】特開2004-155148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の筆記用器具では、隣り合った2辺が作る内角が、鋭角であるので、鋭角の部分に強い応力がかかり端部が潰れてしまうことがあった。
【0009】
また、POP広告などを描く場合、曲線を描くことが多いが、内角が鋭角であると、曲線を描く場合に鋭角の部分が用紙に引っ掛かり所望の字体や絵柄を描くことができない場合があった。
【0010】
特に、曲線を描きながら筆記具を回転させることにより用紙に接触させる辺を他の辺に移行させて自然に線幅を変える描画技法があるが、このような技法を用いる場合は特に鋭角の部分が用紙に引っ掛かることが多い。
【0011】
特許文献2に記載の筆記具は、筆記用の尖端の先端面が、3辺以上の端辺を有する多角形状であると共に端辺の長さが各々異なるが、いびつな形状になる場合、重心が偏り筆記具を回転させ難く描き難い場合があった。
【0012】
特許文献2に記載のマーキングペンについても、特許文献2に記載の筆記具と同様に、重心が偏り筆記具を回転させ難く描き難い場合があった。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性があり、かつ描きやすい筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を解決するため、本発明に係る筆記具の第1の特徴は、
本体部から先端部が突出し、かつ前記本体部内のインク吸蔵体に尾端部が接触して設けられたインク部材を有する筆記具であって、
前記先端部の先端面は、各辺の長さが異なり、隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上であり、かつ前記本体部の軸を中心とした円に各頂点が接する5角形以上の多角形状であることにある。
【0015】
本発明に係る筆記具の第2の特徴は、
前記先端部の先端面は、最も長い辺に隣り合う両辺が、最も短い辺および2番目に短い辺となるように構成されたことにある。
【0016】
本発明に係る筆記具の第3の特徴は、
前記先端部の先端面は、最も短い辺に隣り合う両辺が、最も長い辺および2番目に長い辺となるように構成されたことにある。
【0017】
本発明に係る筆記具の第4の特徴は、
前記先端部は、前記先端面と相似形の中間断面を有し、前記中間断面を底面とする多角柱形状を有する第1部材と、前記中間断面を底面とし前記先端面を上面とする角錐台形状を有する第2部材とを有し、前記第1部材と前記第2部材とは、前記中間断面を介して結合されていることにある。
【0018】
本発明に係る筆記具の第5の特徴は、
前記先端面のそれぞれの角度が異なることにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る筆記具によれば、耐久性があり、かつユーザにとって描き易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例1である筆記具の概略構成を示した概略構成図である。
【
図2】本発明の実施例1である筆記具のインク部材の形状を示した図である。
【
図3】本発明の実施例2である筆記具のインク部材の形状を示した図である。
【
図4】本発明の実施例3である筆記具の概略構成を示した概略構成図である。
【
図5】本発明の実施例3である筆記具のインク部材の形状を示した図である。
【
図6】本発明の実施例4である筆記具のインク部材の形状を示した図である。
【
図7】本発明の実施例5である筆記具のインク部材の形状を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0022】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0024】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1である筆記具の概略構成を示した概略構成図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施例1である筆記具1は、本体部2と、インク部材3と、保持部材4とを備えている。
【0026】
本体部2は、円筒形である筒体22の内部にインク吸蔵体21を有している。インク吸蔵体21は、極細繊維などで成形されており、インクが吸蔵されている。
【0027】
保持部材4は、筒体22にインク部材3を保持するための部材である。
【0028】
インク部材3は、繊維、フェルトまたは類似の外孔性若しくは毛状材料等の材料を用いて成形されており五角柱の形状を有している。そして、インク部材3は、本体部2から先端部31が突出し、かつ本体部2内のインク吸蔵体21に尾端部33が接触して設けられている。
【0029】
先端部31の先端面32は、5角形状を有している。
【0030】
図2は、本発明の実施例1である筆記具1のインク部材3の形状を示した図である。
【0031】
図2に示すように、先端面32Aは、頂点51a、頂点51b、頂点51c、頂点51d、頂点51eを頂点し、それぞれ長さが異なる辺41a~辺41eの5辺により5角形が形成されている。ここでは、辺の長さが長い順に、辺41a、辺41c、辺41d、辺41b、辺41eとなっている。例えば、辺41aが16mm、辺41cが13mm、辺41dが10mm、辺41bが7mm、辺41eが4mmである。
【0032】
5角形を形成する辺41a~辺41eにより、それぞれ作られる内角42a~42eは、全て直角以上の鈍角となっている。内角42a~42eは、それぞれ異なる角である。
【0033】
また、先端面32Aの頂点51a、頂点51b、頂点51c、頂点51d、頂点51eは、点Pを中心とする円(仮想円)40に接している。円40は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。そのため、ユーザが、曲線を描きながら筆記具1を回転させる際、点Pは回転軸となる。
【0034】
これにより、ユーザが描画する際、端部に強い応力がかかることがないので、端部が潰れ難い。また、全ての内角が直角以上であるので、曲線を描く場合に端部が用紙に引っ掛かり難く、ユーザはストレスなく所望の字体や絵柄を描くことができる。さらに、曲線を描きながら筆記具を回転させることにより、用紙に接触させる辺を他の辺に移行させて自然に線幅を変える描画技法で文字などを描く場合においても、筆記具1を回転させる際に用紙に接触している頂点51a~51eから点Pまでの距離は一定となるので、ユーザは筆記具1を回転させ易い。
【0035】
ユーザは、筒体22を持ち、下方向に押すことで先端部31の用紙との接地面に力を伝えることにより、文字などを描くことができる。筒体22は円筒形であるので、押す力は円の中心であり、回転軸である点Pを通ることになる。
【0036】
また、円40に内接するすべての辺41a~辺41eは、円40の点Pを頂点とする二等辺三角形の形状である。例えば、辺41aが用紙に接しているとすると、点P、頂点51a、頂点51eとを頂点とする三角形は、辺41aを底辺とし、辺61aと辺61bとが等しい二等辺三角形となる。そのため、円の中心である点Pと辺41aの中心Qとを結ぶ直線と、辺41aとは直交する。このように、点Pと辺41aの中心Qとを結ぶ直線と、辺41aとは直交することにより、先端部31を紙面に押し付ける力を均等に効率的に伝えられる。
【0037】
また、最も長い辺41aに隣り合う辺は、辺41b、41eとなる。辺41eは5辺のうち最も短い辺であり、辺41bは5辺のうち2番目に短い辺である。
【0038】
このように、
図2に示した先端面32Aは、最も長い辺41aに隣り合う41eが最も短い辺、そして、最も長い辺41aに隣り合う辺41bが2番目に短い辺となるように構成されている。そのため、ユーザは辺41aを用紙に接触させて最も太い線幅で線を描いたのち、本体部2を回転させて隣接する短い辺41b、41eのいずれかを用紙に接触させて描くことができる。このとき、端部が用紙に引っ掛かり難く、太線から細線、または細線から太線の線を自然に描くことができる。
【0039】
また、内角42a~42eは、それぞれ異なる角である。そのため、曲線を描きながら筆記具を回転させることにより、用紙に接触させる辺を他の辺に移行させて自然に線幅を変える描画技法で文字などを描く場合、同じ回転速度で回転させながら描いたとしても、線幅が変更するまでの距離が異なることになり、線幅に応じて文字の抑揚を表現することが可能となる。
【0040】
なお、ここでは、最も長い辺41aに最も短い辺である辺41eと2番目に短い辺である辺41bとが隣り合う例について説明したが、必ずしも、最も長い辺41aに最も短い辺である辺41eと2番目に短い辺である辺41bとが隣り合う必要はない。また、内角42a~42eは、同一角があってもよい。
【0041】
<実施例2>
図3は、本発明の実施例2である筆記具1Aのインク部材の形状を示した図である。本発明の実施例2である筆記具1Aは、先端面の形状が異なり、それ以外の構成は本発明の実施例1である筆記具1が備える構成と同一であるので、説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、インク部材の先端面32Bは、先端面32Aと同様に、各辺の長さが異なり、隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上であり、かつ本体部2の軸を中心とした円に各頂点が接する5角形である。
【0043】
具体的には、先端面32Bは、頂点52a、頂点52b、頂点52c、頂点52d、頂点52eを頂点し、それぞれ長さが異なる辺43a~辺43eの5辺により5角形が形成されている。ここでは、辺の長さが長い順に、辺43a、辺43d、辺43c、辺43b、辺43eとなっている。
【0044】
5角形を形成する辺43a~辺43eにより、それぞれ作られる内角44a~44eは、全て直角以上の鈍角となっている。内角44a~44eは、それぞれ異なる角である。
【0045】
また、先端面32Bの頂点52a、頂点52b、頂点52c、頂点52d、頂点52eは、点Pを中心とする円40に接している。円40は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。そのため、ユーザが、曲線を描きながら筆記具1を回転させる際、点Pは回転軸となる。
【0046】
また、最も短い辺43eに隣り合う辺は、辺43a、43dとなる。辺43aは5辺のうち最も長い辺であり、辺43dは5辺のうち2番目に長い辺である。
【0047】
これにより、ユーザは辺41aを用紙に接触させて最も細い線幅で線を描いたのち、本体部2を回転させて隣接する長い辺43a、43dのいずれかを用紙に接触させて描くことができる。このとき、端部が用紙に引っ掛かり難く、太線から細線、または細線から太線の線を自然に描くことができる。
【0048】
<実施例3>
本発明の実施例1では、五角柱の形状を有するインク部材3を備えた筆記具1を例に挙げて説明したがこれに限らない。
【0049】
本発明の実施例3では、テーパーを有するインク部材3Bを例に挙げて説明する。
【0050】
図4は、本発明の実施例3である筆記具1Bの概略構成を示した概略構成図である。
【0051】
図4に示すように、本発明の実施例3である筆記具1Bは、本体部2と、インク部材3Bと、保持部材4とを備えている。本体部2と、保持部材4とは、本発明の実施例1の筆記具1が備える本体部2と、保持部材4と同一構成を有するので、説明を省略する。
【0052】
インク部材3Bは、繊維、フェルトまたは類似の外孔性若しくは毛状材料等の材料を用いて成形されている。そして、インク部材3Bは、本体部2から先端部31Bが突出し、かつ本体部2内のインク吸蔵体21に尾端部33Bが接触して設けられている。
【0053】
インク部材3Bの先端部31Bは、中間断面35Dを底面とする五角柱形状を有する第1部材311と、中間断面35Dを底面とし先端面32Dを上面とする角錐台形状を有する第2部材312とで構成されている。第2部材312は、先端側が先細りとなるように傾斜面34が設けられている。
【0054】
第1部材311と第2部材312とは、中間断面35Dを介して結合されている。
【0055】
なお、第1部材311と第2部材312とは、それぞれ成形した後に接合してもよいし、一体成型してもよい。
【0056】
図5は、本発明の実施例3である筆記具1Bのインク部材3Bの形状を示した図である。
【0057】
図5に示すように、先端面32Dは、頂点54a、頂点54b、頂点54c、頂点54d、頂点54eを頂点とする5角形である。また、中間断面35Dは、頂点53a、頂点53b、頂点53c、頂点53d、頂点53eを頂点とする5角形であり、先端面32Dと相似形である。
【0058】
中間断面35Dは、それぞれ長さが異なる辺45a~辺45eの5辺により5角形が形成されている。ここでは、辺の長さが長い順に、辺45a、辺45c、辺45d、辺45b、辺45eとなっている。5角形を形成する辺45a~辺45eにより、それぞれ作られる内角46a~46eは、全て直角以上の鈍角となっている。
【0059】
先端面32Dは、それぞれ長さが異なる辺65a~辺65eの5辺により5角形が形成されている。
【0060】
辺45aと辺65a、辺45bと辺65b、辺45cと辺65c、辺45dと辺65d、辺45eと辺65eは、それぞれ平行となるように設けられている。
【0061】
また、先端面32Dの頂点54a、頂点54b、頂点54c、頂点54d、頂点54eは、点Pを中心とする円40に接している。円40は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。さらに、中間断面35Dの頂点53a、頂点53b、頂点53c、頂点53d、頂点53eは、点Pを中心とする円60に接している。円60は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。そのため、ユーザが、曲線を描きながら筆記具1を回転させる際、点Pは回転軸となる。
【0062】
これにより、本発明の実施例1である筆記具1の効果に加え、ユーザは、先端面32Dの辺65a~辺65eだけでなく、用紙に対する筆記具1Bの角度を変えることにより、中間断面35Dの辺45a~辺45eのいずれかを用紙に接触させることで描くことができる。そのため、より多くの線幅の線を描くことが可能となる。
【0063】
<実施例4>
本発明の実施例3では、中間断面35Dと先端面32Dとの対応する各辺がそれぞれ平行であるインク部材3Bを例に挙げて説明したがこれに限らない。
【0064】
本発明の実施例4では、中間断面35Eと先端面32Eとの対応する各辺がそれぞれ平行ではないインク部材3Cを例に挙げて説明する。
【0065】
図6は、本発明の実施例4である筆記具1Cのインク部材3Cの形状を示した図である。
【0066】
図6に示すように、本発明の実施例4である筆記具1Cは、インク部材3Cを備えている。本体部2と、保持部材4とは、本発明の実施例3の筆記具1Bが備える本体部2と、保持部材4と同一構成を有するので、説明を省略する。
【0067】
インク部材3Cは、中間断面35Eを底面とする五角柱形状を有する第1部材311aと、中間断面35Eを底面とし先端面32Fを上面とする角錐台形状を有する第2部材312aとで構成されている。
【0068】
第1部材311aと第2部材312aとは、中間断面35Eを介して結合されている。
【0069】
なお、第1部材311aと第2部材312aとは、それぞれ成形した後に接合してもよいし、一体成型してもよい。
【0070】
先端面32Eは、頂点56a、頂点56b、頂点56c、頂点56d、頂点56eを頂点とする5角形である。また、中間断面35Eは、頂点55a、頂点55b、頂点55c、頂点55d、頂点55eを頂点とする5角形であり、先端面32Eと相似形である。
【0071】
中間断面35Eは、それぞれ長さが異なる辺47a~辺47eの5辺により5角形が形成されている。ここでは、辺の長さが長い順に、辺47a、辺47c、辺47d、辺47b、辺47eとなっている。5角形を形成する辺47a~辺47eにより、それぞれ作られる内角48a~48eは、全て直角以上の鈍角となっている。
【0072】
先端面32Eは、それぞれ長さが異なる辺67a~辺67eの5辺により5角形が形成されている。ここでは、辺の長さが長い順に、辺67a、辺67c、辺67d、辺67b、辺67eとなっている。
【0073】
頂点56aと、頂点55aと、頂点56eとを頂点とする三角形は、先端面32Eの最も長い辺である辺67aを底辺とし、辺34aと、辺34bとの長さが等しい二等辺三角形である。すなわち、点Pと頂点55aとを結ぶ線と辺67aとは直交することになる。
【0074】
また、先端面32Eの頂点56a、頂点56b、頂点56c、頂点56d、頂点56eは、点Pを中心とする円40に接している。円40は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。さらに、中間断面35Eの頂点55a、頂点55b、頂点55c、頂点55d、頂点55eは、点Pを中心とする円60に接している。円60は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。そのため、ユーザが、曲線を描きながら筆記具1Cを回転させる際、点Pは回転軸となる。
【0075】
これにより、本発明の実施例1である筆記具1の効果に加え、ユーザは、先端面32Eの辺65a~辺65eだけでなく、用紙に対する筆記具1Cの角度を変えることにより、中間断面35Eの辺47a~辺47eのいずれかを用紙に接触させることで描くことができる。そのため、より多くの線幅の線を描くことが可能となる。
【0076】
また、先端面32Eと中間断面35Eとの各辺は平行となっておらず、先端面32Eの最も長い辺である辺67aと、点Pと頂点55aとを結ぶ線とが直交するように、先端面32Eと中間断面35Eとが位置決めされているので、ユーザが辺67aを用紙に接地させて描く場合に安定させることができる。
【0077】
<実施例5>
図7は、本発明の実施例5である筆記具1Dのインク部材3Dの形状を示した図である。本発明の実施例2である筆記具1Dは、先端面の形状が異なり、それ以外の構成は本発明の実施例1である筆記具1が備える構成と同一であるので、説明を省略する。
【0078】
図7に示すように、インク部材の先端面32Fは、各辺の長さが異なり、隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上であり、かつ本体部2の軸を中心とした円に各頂点が接する6角形である。
【0079】
具体的には、先端面32Fは、頂点73a、頂点73b、頂点73c、頂点73d、頂点73e、頂点73fを頂点し、それぞれ長さが異なる辺71a~辺71fの6辺により6角形が形成されている。
【0080】
6角形を形成する辺71a~辺71fにより、それぞれ作られる内角72a~72fは、全て直角以上の鈍角となっている。内角72a~72fは、それぞれ異なる角である。
【0081】
また、先端面32Fの頂点73a、頂点73b、頂点73c、頂点73d、頂点73e、頂点73fは、点Pを中心とする円40に接している。円40は、保持部材4の断面および図示しない円筒形である筒体22の断面と同心円である。そのため、ユーザが、曲線を描きながら筆記具1を回転させる際、点Pは回転軸となる。
【0082】
これにより、先端面32Fが六角形であっても、本発明の実施例1である筆記具1と同様に、耐久性があり、かつユーザにとって描きやすいという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
1,1A,1B,1C,1D 筆記具
2 本体部
3,3A,3B,3C,3D インク部材
4 保持部材
21 インク吸蔵体
22 筒体
31,31B 先端部
32,32A,32B,32D,32E,32F 先端面
33,33B 尾端部
34 傾斜面
35D,35E 中間断面
311,311a 第1部材
312,312a 第2部材
【手続補正書】
【提出日】2022-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形である本体部から先端部が突出し、かつ前記本体部内のインク吸蔵体に尾端部が接触して設けられたインク部材を有する筆記具であって、
前記先端部の先端面は、各辺の長さが異なり、隣り合う2辺が作る全ての内角が直角以上であり、かつ前記本体部の軸を中心とした円に各頂点が接する5角形以上の多角形状である
ことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記先端部の先端面は、最も長い辺に隣り合う両辺が、最も短い辺および2番目に短い辺となるように構成された
ことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記先端部の先端面は、最も短い辺に隣り合う両辺が、最も長い辺および2番目に長い辺となるように構成された
ことを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項4】
前記先端部は、前記先端面と相似形の中間断面を有し、前記中間断面を底面とする多角柱形状を有する第1部材と、前記中間断面を底面とし前記先端面を上面とする角錐台形状を有する第2部材とを有し、前記第1部材と前記第2部材とは、前記中間断面を介して結合されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の筆記具。
【請求項5】
前記先端面のそれぞれの角度が異なる
ことを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の筆記具。