(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044780
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 31/00 20220101AFI20230327BHJP
B01F 29/60 20220101ALI20230327BHJP
【FI】
B01F11/00 C
B01F9/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152820
(22)【出願日】2021-09-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗田 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】成田 勝
(72)【発明者】
【氏名】里 成典
【テーマコード(参考)】
4G036
【Fターム(参考)】
4G036AA12
4G036AA25
4G036AB12
(57)【要約】
【課題】揺動用電動機の容量低減と、粉体等原料の混合を短時間かつ効率的に行うことのできる混合装置を提供する。
【解決手段】粉体等原料を収容する回転容器18と、回転容器18を回転させる回転機構、回転機構に直結される回転用電動機13、回転容器18を揺動させる揺動機構と、揺動機構に直結される揺動用電動機11を備えて構成する。回転容器18は略中空円筒状をなし、回転容器18の直径Dに対する長手方向の長さLの比を略1とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体等原料を収容する回転容器と、当該回転容器を回転させる回転機構と、当該回転機構に直結される回転用電動機と、前記回転容器を揺動させる揺動機構と、当該揺動機構に直結される揺動用電動機を備えて構成したことを特徴とする混合装置。
【請求項2】
前記回転容器は、略中空円筒状をなし、該回転容器の直径Dに対する長手方向の長さLの比が1程度であることを特徴とする請求項1記載の混合装置。
【請求項3】
前記回転容器は、中空有底円筒状の胴部と、該胴部の一方端部に連接する窄み部を備えて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の混合装置。
【請求項4】
前記回転容器は、粉体等原料の投入用と排出用を兼用する開口部を備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の混合装置。
【請求項5】
前記回転容器は、これを上方から押える押え車輪を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転容器を回転・揺動させることにより、回転容器内に収容した複数種類の粉体等原料を攪拌・混合する混合装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数種類の粉体や粒体等の原料(以下、粉体等原料という)を攪拌・混合等する混合装置は知られている。例えば、基台に立設した一対の支柱に支承される揺動台と、該揺動台をシーソーのごとく所定の角度範囲で揺動させる揺動機構、および、前記揺動台に取り付けられて、回転容器を回転可能に載置する回転車輪と、該回転車輪を回転させる回転機構を具備して構成したものが周知である。
【0003】
前記揺動機構としては、例えば、前記揺動台の一方の支軸に止着したスプロケットと、前記基台に設置した揺動用電動機、同じく基台に設置されて、当該揺動用電動機の回転を所定の速度に減速して前記スプロケットに伝達する減速装置を具備して構成される。
【0004】
前記揺動用電動機と減速装置の入力側は、該電動機の回転を減速装置に伝達するベルトを用いて駆動可能に連結されており、前記減速装置の出力側とスプロケットは、減速装置から揺動台に低速、かつ、大きな駆動力を伝達する機械的強度に優れたチェーンを用いて駆動可能に連結されている。
【0005】
前記回転機構としては、例えば、前記揺動台の前後位置において、左右方向に所定の間隔で配置される軸受部材と、該軸受部材に回転自在に取り付けられ、その前後両端部に前記回転車輪を取り付ける一対の回転軸と、前記回転車輪間の所定位置において、揺動台に取り付けられる減速装置付の回転用電動機と、該回転用電動機とチェーンを用いて駆動可能に連結されて、前記一対の回転軸を回転させるスプロケットを具備して構成される。
【0006】
このような混合装置を用いて粉体等原料を攪拌・混合する場合は、回転用電動機によって前記回転車輪を回転させて回転車輪上の回転容器を回転させると同時に、揺動用電動機の回転方向を一定時間毎に切り換えて回転容器をシーソーのごとく揺動させることにより、回転容器内の粉体等原料を回転容器の円周方向への掻上げ運動と、軸方向への往復運動を利用して攪拌・混合する。このような混合装置としては、下記特許文献1記載の混合装置が例示できる。
【0007】
下記特許文献1記載の混合装置は、揺動用電動機と減速装置とを駆動可能に連結するベルトが破断に至った場合に、減速装置の回転駆動を確実に阻止することのできる非常停止手段を備えることに技術的な特徴を有するものである。
【0008】
この非常停止装置は以下のように構成されている。つまり、揺動用電動機とベルトによって連結される減速装置の入力側に取り付けたプーリーの端部に、ストッパー部材の先端部と対向する状態でボルト等を用いて締着・固定するカム部材と、該カム部材の外周面に所定の角度範囲で設けた凹陥部と、該凹陥部の周方向における左右両端部に、前記ストッパー部材の先端部が当接する段差部を備えて形成されている。
【0009】
また、基台の支持枠体の一隅角部には、前記減速装置と近接した状態で、ボルト等を基いて支持金具が締着・固定されており、支持金具のベースに溶接等で固着された一対の支持板間には、枢支軸によってレバー体が回転自在に取り付けられている。
【0010】
レバー体の先端側には、揺動用電動機と減速装置を駆動可能に連結するベルトが破断していないときに、当該ベルトに対して上方からローラ部材が常時当接(摺接)しており、ベルトにはレバー体の自重によって所定のテンションがかかっている。
【0011】
レバー体の長さ方向のほぼ中央部下面には、下方へ向けてストッパー部材が突出しており、ベルトが破断していない状態においては、前記カム部材と接触していないが、揺動台の揺動動作中にベルトが破断した場合、前記レバー体が、その先端側に当接していたベルトが存在しなくなることにより、基端側を枢支軸を中心に自重により下方へ回動する。
【0012】
これに伴って、レバー体の下方から突出するストッパー部材が前記カム部材の凹陥部内に進入することで、凹陥部の周方向における左右両端部に形成した段差部の何れか一方と当接する結果、前記減速装置の駆動を入力側において阻止する。
【0013】
これにより、回転容器がその内部に収容した粉体等原料の重量によって回動することが阻止されるので、基台を構成する補強枠体等に回転容器が衝突して、混合装置や回転容器が破損・損傷することを未然に防止することが可能となるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
然るに、前記特許文献1記載の混合装置は、揺動用電動機の回転動作を回転容器(回転ドラム)に減速して伝える際に、揺動用電動機と減速装置間をベルトによって連結しているので、ベルトの破断に備えて上述したような複雑な構造の非常停止装置を備えなければならない。
【0016】
また、揺動用電動機と減速装置間はベルトおよびスプロケットによって連結し、減速装置と揺動台間はチェーンおよびスプロケットによって連結するので、部品点数が多くなり、構造が複雑化するとともにコストが上昇する。
【0017】
そこで、本発明は、揺動用電動機と減速装置間のベルト破断に備えた非常停止装置の必要性をなくし、かつ、揺動用電動機の容量低減と、粉体等原料の混合を短時間かつ効率的に行うことのできる混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1記載の発明に係る混合装置は、粉体等原料を収容する回転容器と、当該回転容器を回転させる回転機構と、当該回転機構に直結される回転用電動機と、前記回転容器を揺動させる揺動機構と、当該揺動機構に直結される揺動用電動機を備えて構成したことに特徴を有する。
【0019】
請求項2記載の発明に係る混合装置は、請求項1記載の回転容器が略中空円筒状をなし、該回転容器の直径Dに対する長手方向の長さLの比が1程度であることに特徴を有する。
【0020】
請求項3記載の発明に係る混合装置は、請求項1又は請求項2の何れかに記載の回転容器が中空有底円筒状の胴部と、該胴部の一方端部に連接する窄み部を備えて構成したことに特徴を有する。
【0021】
請求項4記載の発明に係る混合装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の回転容器が、粉体等原料の投入用と排出用を兼用する開口部を備えて構成したことに特徴を有する。
【0022】
請求項5記載の発明に係る混合装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の回転容器を上方から押える押え車輪を具備したことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、回転用電動機と回転機構間を連結するチェーンやスプロケットなどの部品が不要となるので、部品点数を削減でき、組立工数の削減、軽量化、および、装置コストの低減が可能となる。
【0024】
また、請求項1記載の発明によれば、揺動用電動機と揺動機構間を連結するベルトが不要となるので、ベルトが破断する事故の発生を回避でき、事故発生時に備えた非常停止手段が不要となる。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、回転容器の揺動負荷を低減できるので、揺動用電動機の容量を小さくすることでき、装置全体の小型化に貢献できる。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、粉体等原料が混合されにくいデッドゾーンを縮小することができる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、装置の簡素化と小型化に貢献できる。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、回転容器の脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図4】本発明の混合装置を構成する回転容器内に粉体等原料を投入する状況を示す正面図である。
【
図5】本発明の混合装置を構成する回転容器から外部へ粉体等原料を排出する状況を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、
図1乃至
図5を参照しながら説明する。
図1は本発明の混合装置Aを示す正面図であり、
図2は混合装置Aの側面図、
図3は混合装置Aの平面図である。
図1乃至
図3において、1は混合装置Aの基台であり、略直方体状をなす一対の基部1aと、各基部1aの上部に取り付けられる、側方視、略下向きコ字形をなす立設部1bから構成されている。
【0031】
2は各基部1a間を連結する連結金具であり、
図3に示すように、各基部1aの長手方向(
図3の上下方向)に所定の間隔をあけて配置・固定されている。
【0032】
3は
図1の右側に配置される基部1aの外側(
図1の右側)に配置される支持台であり、
図3に示すように、基部1aの長手方向(
図3の上下方向)の中央位置から側方(
図3の右側)へ張り出す、平面視で略左向きコ字形をなす足部3aと、
図1,
図2に示すように、基台1の基部1aと足部3aの上部を跨ぐ位置に固定される一対の支持部3b(
図2参照)から構成されている。
【0033】
一対の支持部3bは、
図2に示す基部1の立設部1bの正面側と平行に配置される背面部3b1と、当該背面部3b1の最上部に、該背面部3b1と直角方向(
図2の紙面の手前側)に向けて連接する上面部3b2と、該背面部3b1と上面部3b2の双方に対して直角に、
図2の紙面の手前側に向けて固定される側面部3b3によって構成されている。
【0034】
前記支持部3bを
図1に示す正面側からみた場合、支持部3bの側面部3b3は下向きのコ字形をなしており、長手方向(
図1の上下方向)の下から約1/4程度の高さ位置には、
図2に示す左右一対の支持部3b間を連結する補強部3cが取り付けられている。
【0035】
図1及び
図3に示す4は、基部1の立設部1bの上部中央に取り付けた一対の軸受5に回転自在に枢支される揺動軸であり、6は揺動軸4の端部に固定された揺動台である。揺動台6は、
図3に示すように、複数の鋼材を平面視で矩形状に枠組みして形成した底枠6aと、底枠6aの両側(
図3の左右位置)の鋼材上に、
図1,
図2に示すように立設する、一部図示しない複数の鋼材を組み合わせて形成した側枠6bから構成されている。
【0036】
7は支持台3を構成する一対の上面部3b2上に、ボルト8aとナット8bからなる第1の固定部材8によって固定される一対の挟持部であり、
図2に示す側面視でL字形をなし、底面部7aと垂直部7bによって構成されている。
【0037】
一対の挟持部7は、その底面部7aが第1の固定部材8によって支持台3を構成する一対の上面部3b2に固定されることによって、支持台3上に所定の空間を形成した状態で立設しており、当該空間には、第1の減速装置9が第2の固定部材10によって固定されている。
【0038】
11は第1の減速装置9に回転を出力する揺動用電動機であり、第1の減速装置9の下部に固定されている。第1の減速装置9は揺動用電動機11の回転を減速して出力するものであり、これを構成する各種ギアによって、その回転出力方向を
図1に示す上向き方向から左向き方向に変えて出力する。第1の減速装置9の回転出力は、該減速装置9の回転軸としての揺動軸4の回転として出力される。
【0039】
図2に示す12は、揺動台6の底枠6aの下面に取り付けられた固定台であり、
図3に示すように、複数の鋼材を平面視で矩形状に枠組みして、
図2に示す側方視で、支持台3の取付位置とは反対方向(
図2の右方向)へ延出している。
【0040】
13は固定台12上に設置される回転用電動機であり、例えば、その回転出力を減速して出力する第2の減速装置14(
図3参照)に固定されている。第2の減速装置14は、回転用電動機13の回転出力の方向を
図3に示す左向き方向から下向き方向に変換して出力する。
【0041】
図2,
図3に示す15は、第2の減速装置14の図示しない出力軸の回転を、揺動台6の底枠6a上に固定した図示しない軸受に回転自在に枢支される、
図1に示す第1の回転軸16aに伝達するためのカップリングであり、17aは第1の回転軸16aに取り付けられ、第1の回転軸16aとともに回転する回転車輪を示している。
【0042】
図1,
図2に示す16bは、揺動台6の底枠6a上に固定した図示しない軸受に回転自在に枢支される第2の回転軸であり、17bは第2の回転軸16bに取り付けられ、第2の回転軸16bとともに回転する回転車輪を示している。
【0043】
18は各2つの第1の回転車輪17aおよび第2の回転車輪17b上に載置され、回転車輪17aの回転に伴い、回転車輪17a,17b上で回転する回転容器を示している。回転容器18は、中空円筒状の胴部18aと、略椀形状の窄み部18bと、窄み部18bから中空円短筒状に張り出す口出部18cによって概略構成されている。
【0044】
なお、当該回転容器18の胴部18aの直径Dと、
図2に示す胴部18aの右端部から窄み部18bの左端部までの長さLは比率(L/D)は1程度となるように設計されている。
【0045】
19は口出部18cの外周面に固定されるねじ受部であり、20は口出部18c側に略中空円板状の取付基部20aを備え、略円錐形状に形成される円錐部である。21は取付基部20aを口出部18cに当接した状態で、ねじ受部19に螺合することによって、円錐部20を回転容器18に固定するための取付部材である。
【0046】
22は円錐部20の端部開口部を閉塞する蓋部であり、
図1に示す締付環22aと締付ねじ22bからなる締付部23を用いて円錐部20に固定されている。
【0047】
24は回転容器18の胴部18aの円周面に沿って配置される一対の係止突起であり、両係止突起24間には一定の間隔が確保されている。
図1,
図3に示す25は、一対の係止突起24間に配置される揺動車輪であり、揺動車輪24の外径は一対の係止突起24間距離より小さい寸法となっている。また、揺動車輪24は、
図1に示す基台1の一対の側枠6b上部内側に、支持金具26を介して回転自在に取り付けられている。
【0048】
27は基台1の一対の側枠6b上にそれぞれ取り付けられ、複数の屈曲部を備えることにより、回転容器18の円周部周縁に沿って配置される押え部材であり、28は押え部材27の内側に取付金具29によって回転自在に取り付けられる押え車輪を示している。
【0049】
なお、本発明において、揺動機構とは、揺動用電動機11に直結される第1の減速装置9と揺動軸4および揺動台6、支持金具26、揺動車輪25をいい、回転機構とは、回転用電動機13に直結される第2の減速装置14と図示しない回転軸、カップリング15、第1の回転軸16a,回転車輪17aをいう。
【0050】
次に、前述した混合装置Aの動作について
図4,
図5を追加して説明する。粉体等原料を回転容器18内に投入するに際しては、
図2に示す取付部材21を操作するこで、円錐部20を蓋部22とともに口出部18cから取り外して、口出部18cの開口部を露出させる。
【0051】
この状態で、
図4に示すように、揺動用電動機11を起動して、一方方向の回転出力を第1の減速装置9に伝達する。減速装置9は揺動用電動機11の回転を減速し、かつ、その出力方向を
図1に示す上向きから左向きに変換して、揺動軸4の回転として出力する。
【0052】
揺動軸4は一対の立設部1b上に設置した各軸受5に枢支され、かつ、その端部が揺動台6の側枠6bに固定されているので、揺動軸4の回転出力は揺動台6を回動させる。
【0053】
揺動台6の底枠6a上には図示しない軸受に第1の回転軸16aと第2の回転軸16bが枢支されており、また、回転軸16a,16bにはこれとともに回転する回転車輪17a,17bがそれぞれ取り付けられている。そして、回転車輪17a,17b上には回転容器18が載置されているので、揺動台6の回動に伴い回転容器18が
図4に示すように、口出部18cの開口部が上を向く方向に回動する。
【0054】
前記回転容器18の回動動作は、例えば、揺動軸4のうちの一方と歯車を介して連結したロータリエンコーダなどの角度検出手段によって監視されており、回転容器18が任意の角度まで回動したことを検出すると、揺動用電動機11を一旦停止する。
【0055】
回転容器18が任意角度まで回動した状態では、回転容器18は
図1に示す押え部材27に取付金具29を介して取り付けられた押え車輪28によってその上部が接触し、下部に配置された回転車輪17a,17bとの間で挟持されるので、回転容器18が傾斜した状態でも回転容器18が揺動台6上から滑落することはない。
【0056】
図4に示すとおり回転容器18の口出部18cが上を向いたら、口出部18cの開口部から粉体等原料を回転容器18内に投入する。粉体等原料の投入が完了したら、
図4に示す回転容器18の口出部18cに
図2に示す円錐部20の取付基部20aを口出部18cに当接した状態で、取付部材21をねじ受部19に螺合することによって、蓋部22付きの円錐部20を回転容器18に装着する。
【0057】
円錐部18cおよび蓋部22によって口出部18cの開口部を閉塞したら、揺動用電動機11を再度起動して、前述したとは反対方向の回転を出力する。揺動用電動機11の回転は減速装置9に伝達され、減速装置9で減速された後、揺動軸4を介して揺動台6に伝達される。この結果、揺動台6上の図示しない軸受に枢支された回転軸16a,16bに固定された回転車輪17a,17bが回転し、回転車輪17a,17b上の回転容器18を
図4に示す方向と反対方向(口出部18cの開口部が下を向く方向)に回動する。
【0058】
当該回転容器18の回動動作は、前述した粉体等原料を投入する前段における回動動作と同様、図示しない角度検出手段によって検出され、回転容器18が、例えば、
図2に示す水平状態から反時計方向に20°傾いたことを角度検出手段が検出すると、揺動用電動機11がその回転出力の方向を切り換える。
【0059】
そのあと、回転容器18が例えば、
図2に示す水平状態から時計方向に20°傾いたことを角度検出手段が検出することにより、揺動用電動機11が再びその回転出力方向を切り換える。以上の動作を繰り返し実行することにより、回転容器18は
図2に示す水平状態から時計回りおよび反時計回りにそれぞれ20°の角度範囲でシーソーの如く揺動する。
【0060】
また、これと同時に、
図2,
図3に示す回転用電動機13を起動することで、その回転出力が第2の減速装置14に伝達される。減速装置14は、回転用電動機13の回転を減速するとともにその出力方向を
図3に示す左向き方向から下向き方向へと変換して出力する。
【0061】
減速装置14の出力はカップリング15を介して第1の回転軸16aに伝達され、当該回転軸16aに固定される回転車輪17aを回転させる。ここで、回転容器18は該回転車輪17aと、第1の回転軸16aと平行配置された第2の回転軸16bに固定された回転車輪17b上に乗載されているので、回転車輪17aの回転に伴い回転容器18は回転車輪17a,17b上で一定方向に回転する。
【0062】
回転容器18の外周面近傍には、
図1に示す押え車輪28が配置されており、押え車輪28が回転容器18に接触した状態では、回転容器18の回転に伴い押え車輪28が回転し、回転容器28の回転を補助するとともに、回転容器18を上方から押えつけて、これを安定させる。
【0063】
このように、回転容器18は、回転用電動機11による回転をしながら、揺動用電動機7によって、所定の角度範囲の揺動動作を繰り返すことにより、回転容器18内に投入した粉体等原料を、回転容器18の回転動作により、回転容器18の円周方向に掻き揚げながら、揺動動作によって、その軸方向(
図2の左右方向)に沿って往復運動させることができ、良好かつ確実に攪拌・混合することができる。
【0064】
このとき、本発明の混合装置Aは、回転容器18の胴部18aの直径Dと、
図2に示す胴部18aの右端部から窄み部18bの左端部までの長さLの比率(L/D)が1程度であるので、回転容器18内の粉体等原料が回転容器18の軸方向(
図2の左右方向)に移動する時間を短くすることができ、攪拌・混合時間を短縮することが可能となる。
【0065】
また、回転容器を回転・揺動させた場合、回転容器内の粉体等原料は、揺動に伴って下側に移動した回転容器の円錐部分で攪拌・混合がされにくくなるのが一般的であるが、本発明の混合装置Aでは、胴部18aの一方側(
図2の左側)にのみ円錐部18cを設け、かつ、円錐部18cの長さ方向(
図2の左右方向)の寸法lを短くすることにより、粉体等原料の攪拌・混合が不良となるデッドゾーンを小さくすることができる。そのため、回転容器18内の粉体等原料を確実に攪拌・混合することができる。
【0066】
また、前記比率(L/D)を1程度とすることにより、当該比率が1より大きい場合と比較して、回転容器18の揺動負荷を低減でき、揺動用電動機11に必要とされる容量を小さくすることができる。
【0067】
比率(L/D)が1程度とは、好適には0.8≦(L/D)≦1.2をいい、円錐部18cの長さ方向(
図2の左右方向)の寸法lを短くするとは、好適には0.1≦(l/L)≦0.3をいうが、これに限定されない。例えば、0.7≦(L/D)≦1.3でもいいし、(l/L)≦0.4であっても、本発明で期待する効果が得られる。
【0068】
なお、上記回転容器18の揺動によって、回転容器18は回転車輪17a,17b上で下方へ向けて若干スライドするが、回転容器18の外周面には一対の係止突起24が取り付けられており、該一対の係止突起24間には、係止突起24間の間隔より小さい外径を有する揺動車輪25が配置されているので、回転容器18が下方へスライドすると、上方側に位置する係止突起24に揺動車輪25が接触し、回転容器18の回転とともに回転することで、回転容器18の回転動作を補助するとともに、回転容器18がこれ以上、回転車輪17a,17b上を下方へスライドして、揺動台6上から滑落することを確実に防止できる。
【0069】
以上のごとく回転容器18内の粉体等原料を攪拌・混合し、あらかじめ設定した時間が経過したら、回転用電動機11を停止させるとともに、揺動用電動機7が
図2で示す水平状態となったことを角度検出手段で検出することで停止させて、粉体等原料の攪拌・混合作業を終了する。
【0070】
なお、揺動用電動機7の停止時においては、該電動機7に具備した図示しない制動装置による制動力が電動機7自体に働くため、回転容器18が、その内部の粉体等原料の回転容器18内における位置的な偏りによって時計方向、あるいは、反時計方向に回動することを防止できる。
【0071】
攪拌・混合した粉体等原料を回転容器18内から排出する場合は、
図3に示す締付部材23の締付ねじ23bを操作して締付環23aを緩めることにより、
図2に示す円錐部20から蓋部22を取り外す。
【0072】
次いで、前記締付部材23を用いて、蓋部22に代えて
図5に示す略中空円筒状の排出アダプタ30を取り付ける。排出アダプタ30を取り付けたら、揺動用電動機11を起動して、減速装置9から揺動軸4を介して、揺動台6上に取り付けた回転車輪17a,17b上の回転容器18を、
図5に示すように、排出アダプタ30側が下向きとなるように回動する。
【0073】
回転容器18の回動動作は、前述した角度検出手段などで検出され、回転容器18が任意の角度まで回転したことを検出すると、揺動用電動機11は動作を停止する。
【0074】
回転容器18の回動により排出アダプタ30が下向きとなったら、回転容器18内の粉体等原料は、排出アダプタ30の開口部から外部へ排出される。なお、回転容器18の傾斜角度は最大40°まで回転可能であり、回転容器18内に粉体等原料を残留させることなく、確実に外部へ排出することが可能となる。
【0075】
回転容器18が最大40°まで回動した状態では、回転容器18は
図1に示す押え車輪28と接触し、押え車輪28と回転車輪17a,17b間に確実に挟持され、かつ、回転容器18の外周に設けた一対の係止突起24間の揺動車輪25が、上側に移動した一方の係止突起24に当接するため、回転容器18が脱落することはない。
【0076】
なお、前述した回転容器18の揺動角度や、粉体等原料を排出する際の回転容器18の最大傾斜角度はあくまで例示であり、これと異なる角度を設定しても本発明は成立することは当然である。
【0077】
以上説明したように、本発明の混合装置Aは、揺動用電動機7と第1の減速装置9間がベルトによって連結されていないので、ベルトが破断する故障が発生する余地がなく、破断故障に備えた非常停止機構を備える必要がないので、装置を安価に構成することができる。
【0078】
また、回転用電動機11と第2の減速装置14間や、第1の減速装置9と揺動台6間がチェーンやスプロケットなどによって連結されていないので、部品点数が少なくすることができ、組立工数の低減や構造の簡素化、軽量化、および、装置の小型化が実現できる。
【0079】
さらに、回転容器18の胴部18aの直径Dと、胴部18aの端部から窄み部18bの端部までの長さLは比率(L/D)をおよそ1とすることにより、回転容器18内の粉体等原料が長さL方向に移動する時間を短縮でき、攪拌・混合時間を短縮できる。
【0080】
さらに、本発明の混合装置Aは、窄み部18cの長さを極力短縮するとともに、胴部18aの他方側には円錐部を設けない構成とすることによって、粉体等原料の攪拌・混合が活発でなくなる、所謂、デッドゾーンを小さくすることができる。
【0081】
しかも、前記比率(L/D)をおよそ1とすることにより、回転容器18の揺動負荷を低減でき、揺動用電動機7に必要な容量を小さくすることができるとともに、混合装置を小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は混合機に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 基台
1a 基部
1b 立設部
2 連結金具
3 支持台
3a 足部
3b 支持部
3b1 背面部
3b2 上面部
3b3 側面部
3c 補強部
4 揺動軸
5 軸受
6 揺動台
6a 底枠
6b 側枠
7 挟持部
7a 底面部
7b 垂直部
8 第1の固定部材
8a ボルト
8b ナット
9 第1の減速装置
10 第2の固定部材
11 揺動用電動機
12 固定台
13 回転用電動機
14 第2の減速装置
15 カップリング
16a 第1の回転軸
16b 第2の回転軸
17a,17b 回転車輪
18 回転容器
18a 胴部
18b 窄み部
18c 口出部
19 ねじ受部
20 円錐部
20a 取付基部
21 取付部材
22 蓋部
23 締付部
23a 締付環
23b 締付ねじ
24 係止突起
25 揺動車輪
26 支持金具
27 押え部材
28 押え車輪
29 取付金具
30 排出アダプタ
A 混合装置