(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044833
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】楽器
(51)【国際特許分類】
G10H 3/24 20060101AFI20230327BHJP
G10H 3/18 20060101ALI20230327BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20230327BHJP
G10H 1/18 20060101ALI20230327BHJP
G10H 1/06 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G10H3/24
G10H3/18
G10H1/00 C
G10H1/18 Z
G10H1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152912
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 拓也
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478DB11
5D478DE00
5D478NN05
(57)【要約】
【課題】演奏しながら歌うための機器の準備を軽減することが可能な楽器を提供できるようにする。
【解決手段】楽器10は、演奏操作に応じて振動して音を響かせる音響部21を含む楽器本体11と、演奏操作に応じて演奏情報信号を出力する演奏情報出力部12と、楽器本体11に設けられ、楽器本体11の周囲において集音した音に対応する集音信号を入力する集音信号入力部13と、演奏情報信号及び集音信号に基づいて音響部21を加振する加振器14と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏操作に応じて振動して音を響かせる音響部を含む楽器本体と、
演奏操作に応じて演奏情報信号を出力する演奏情報出力部と、
前記楽器本体に設けられ、前記楽器本体の周囲において集音した音に対応する集音信号を入力する集音信号入力部と、
前記演奏情報信号及び前記集音信号に基づいて前記音響部を加振する加振器と、を備える楽器。
【請求項2】
前記演奏情報信号及び前記集音信号に対して効果を付与する効果付与部を備え、
前記加振器は、前記演奏情報信号及び前記集音信号に応じて前記効果付与部から出力された信号に基づいて前記音響部を加振する請求項1に記載の楽器。
【請求項3】
前記演奏情報信号及び前記集音信号を前記効果付与部に入力するか否かを選択操作するセレクタを備える請求項2に記載の楽器。
【請求項4】
前記セレクタは、前記演奏情報信号を前記効果付与部に入力するか否かの選択操作、及び、前記集音信号を前記効果付与部に入力するか否かの選択操作を個別に行う請求項3に記載の楽器。
【請求項5】
前記演奏情報信号及び前記集音信号の周波数特性を、前記楽器本体の基音周波数領域を抑制した特性に調整するイコライザーを備え、
前記加振器は、前記演奏情報信号及び前記集音信号に応じて前記イコライザーから出力された信号に基づいて前記音響部を加振する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の楽器。
【請求項6】
前記集音信号入力部は、楽器本体の周囲の音を集音するマイクであり、
前記マイクは、前記楽器本体の筐体の内側に設けられると共に、前記筐体の外側に露出する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の楽器。
【請求項7】
前記楽器本体は、演奏操作に応じて振動することで前記音響部を振動させる弦を有し、
前記演奏情報出力部は、前記弦の振動を検出して当該振動に応じた演奏情報信号及び集音信号を前記演奏情報信号として出力するピックアップである請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽器の中には、演奏操作に応じて響板等を加振器によって加振して放音するものがある。特許文献1には、このような楽器として、弦の振動に応じた電気信号(演奏情報信号)を出力するピックアップと、当該電気信号に応じてボディを加振する加振器と、を備えるアコースティックギターが開示されている。このアコースティックギターでは、そのボディが演奏に応じた音を出力するスピーカーとして機能するため、スピーカーを別個に用意しなくても演奏することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アコースティックギター等の楽器を演奏する演奏者は、楽器を演奏しながら歌うことがある。しかしながら、演奏者の歌声を音声信号(電気信号)としてスピーカーから出力するためには、楽器とは別個の機器(例えばマイクやスピーカー)を用意する必要があり、面倒である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、演奏しながら歌うための機器の準備を軽減することが可能な楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、演奏操作に応じて振動して音を響かせる音響部を含む楽器本体と、演奏操作に応じて演奏情報信号を出力する演奏情報出力部と、前記楽器本体に設けられ、前記楽器本体の周囲において集音した音に対応する集音信号を入力する集音信号入力部と、前記演奏情報信号及び前記集音信号に基づいて前記音響部を加振する加振器と、を備える楽器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、楽器を演奏しながら歌うための機器の準備を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るギターを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るギターのブロック図である。
【
図3】
図3における効果付与部の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のギターにおけるマイクの配置の一例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~4を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、本実施形態の楽器は、弦楽器の一種であるアコースティックギター10(以下、単にギター10と呼ぶ。)である。ギター10は、ギター本体11(楽器本体)と、演奏情報出力部12と、集音信号入力部13と、加振器14と、を備える。また、本実施形態のギター10は、効果付与部15と、セレクタ16と、をさらに備える。
【0010】
図1に示すように、ギター本体11は、ボディ21と、ネック22と、弦23と、を備える。ボディ21は、内部に空洞を有する箱状に形成されている。ボディ21は、表板24と裏板25と側板26とを有する。表板24及び裏板25は、互いに同一形状とされた平板である。表板24と裏板25とは、これらの板厚方向に互いに間隔をあけて配される。側板26は、裏板25の周縁から表板24の周縁まで延びる。これら表板24、裏板25及び側板26によって、内部に空洞を有するボディ21が構成される。
ボディ21の表板24には、その板厚方向に貫通する響孔27(サウンドホール)が形成されている。響孔27は、ボディ21の空洞をボディ21の外側の空間につなぐ。また、表板24の外面には、弦23の長手方向の第一端を留めるブリッジ28が設けられている。
【0011】
ネック22は、ボディ21から離れる方向に延びている。ネック22の先端には、弦23の長手方向の第二端側を巻き取るためのヘッド29が設けられている。
弦23は、ボディ21とネック22とにわたって張られている。具体的には、弦23の第一端がボディ21のブリッジ28に留められ、弦23の第二端側がヘッド29において巻き取られる。これにより、弦23は、ブリッジ28とヘッド29との間で張られる。
【0012】
表板24の外面上において張られた弦23と表板24の外面との間には、振動伝達部30(サドル)が設けられている。これにより、ギター10では、演奏者が弦23を弾く等することで、弦23の振動が振動伝達部30を介して表板24に伝達され、表板24が振動する。これにより、ボディ21内(空洞)の空気が共鳴し、音がボディ21の外側に放射される。すなわち、本実施形態のギター10では、ボディ21が演奏操作に応じて振動して音を響かせる音響部として構成されている。
【0013】
演奏情報出力部12は、上記した演奏操作に応じて演奏情報信号を出力する。本実施形態における演奏情報出力部12は、弦23の振動を検出し、弦23の振動に応じた弦振動信号を演奏情報信号として出力するピックアップである。演奏情報出力部12は、弦23の振動に伴う表板24の振動を阻害しないように、表板24の響孔27の形成位置に配されることが好ましい。
【0014】
集音信号入力部13は、ギター本体11に設けられている。集音信号入力部13は、ギター本体11の周囲において集音した音に対応する集音信号を入力する。本実施形態における集音信号入力部13は、ギター本体11の周囲の音を集音するマイク131である。
【0015】
本実施形態のマイク131は、
図4に示すように、ボディ21(筐体)の内部に設けられると共に、ボディ21の外側に露出する。具体的に、マイク131は、ボディ21の内部に配置された回路基板17に搭載された上で、側板26に形成された貫通孔261を通してボディ21の外側に露出する。
図4において、マイク131は、側板26の外面からボディ21の外側に突出しない範囲で側板26の貫通孔261に挿入されている。なお、マイク131は、例えばボディ21の表板24や裏板25を通してボディ21の外側に露出してもよい。
【0016】
マイク131は、演奏者がギター本体11を演奏する際に演奏者の頭(特に口)側に向くボディ21の外面に設けられることが好ましい。マイク131は、例えば、
図1に示すようにギター本体11を正面から見て、ボディ21の左上の角部に設けられてよい。マイク131が演奏者の頭(特に口)の近くに配置されることで、マイク131は、演奏者が発する声(例えば歌声)をマイク131によって集音しやすくなる。なお、マイク131は、ボディ21に限らず、例えばネック22に設けられてもよい。
【0017】
図2,3に示す効果付与部15(エフェクタ―)は、上述した演奏情報出力部12、集音信号入力部13から出力された演奏情報信号及び集音信号に対して音楽的あるいは音響的な効果(エフェクト)を付与した音信号(いわゆるウェット音)を生成し、当該音信号を出力する。
【0018】
効果付与部15は、歪み系、フィルター系、空間系、モジュレーション系、ピッチ系等各種の一つまたは複数の演奏情報信号及び集音信号に対して所定の音楽的あるいは音響的な効果を付与する効果付与要素31(エフェクト要素31)を含む。効果付与要素31(エフェクト要素31)は、具体的には、例えば、歪み系であればディストーション、フィルター系であればワウワウ、空間系であればリバーブ、モジュレーション系であればフランジャー、ピッチ系であればオクターバー、他にはルーパー等である。効果付与部15は、例えば一つの効果付与要素31だけを含んでよいが、本実施形態では
図3に示すように、互いに異なる効果を付与する複数の効果付与要素31(31a~31e)を含む。
【0019】
効果付与部15は、混合回路32をさらに含む。混合回路32では、効果付与部15に入力された演奏情報信号及び集音信号に応じて効果付与要素31から出力された出力信号(ウェット音)と、効果付与要素31を通らない演奏情報信号、集音信号(ドライ音)とを任意の割合で混合するあるいは選択して、混合あるいは選択された信号を音信号として効果付与部15の外部(後述する加振器14やアンプ19)に出力する。効果付与部15は、例えば、ウェット音だけを含む音信号を出力してもよいし、ウェット音とドライ音とを混合した音信号を出力してもよい。
【0020】
図3においては、演奏情報信号及び集音信号に対して同一の効果付与要素31(31a~31e)が対応しているが、演奏情報信号及び集音信号に対して別々の効果付与要素31が対応してもよい。例えば、演奏情報信号に対応するディストーションの効果付与要素31aと、集音信号に対応するディストーションの効果付与要素31aとが別々に設けられてよい。
【0021】
効果付与部15は、ギター本体11に取り付けられている。効果付与部15は、例えば前述したマイク131と共に
図4に示す回路基板17に搭載されてよい。
【0022】
図2,3に示すように、セレクタ16は、演奏情報出力部12及び集音信号入力部13と、効果付与部15との間に設けられている。セレクタ16は、演奏情報出力部12、集音信号入力部13から出力された演奏情報信号及び集音信号を効果付与部15に入力するか否かを選択操作する。また、セレクタ16は、演奏情報信号、集音信号をそれぞれどの効果付与要素31に入力するかを選択操作する。
セレクタ16の選択操作により演奏情報信号、集音信号が効果付与部15に入力されないことは、演奏情報信号、集音信号に対応する音信号が効果付与部15から出力されない、あるいは、ドライ音に対応する音信号だけが効果付与部15から出力されることを意味する。
【0023】
本実施形態において、セレクタ16は、演奏情報信号を効果付与部15に入力するか否かの選択操作、及び、集音信号を効果付与部15に入力するか否かの選択操作を個別に行う。これにより、セレクタ16を操作することで、演奏情報信号だけを効果付与部15に入力したり、集音信号だけを効果付与部15に入力したりすることができる。また、セレクタ16を操作することで、演奏情報信号及び集音信号の両方を効果付与部15に入力することもできる。なお、セレクタ16は、演奏情報信号及び集音信号を効果付与部15に入力するか否かを一括して選択操作してもよい。
【0024】
セレクタ16は、ギター10の演奏者等によって操作することができる。すなわち、セレクタ16は、演奏者等によって操作される操作子を含む。
セレクタ16は、効果付与部15と同様に、ギター本体11に取り付けられている。セレクタ16は、例えば前述したマイク131と共に
図4に示す回路基板17に搭載されてよい。
【0025】
図1,2に示すように、加振器14は、ギター本体11のボディ21に取り付けられている。加振器14は、演奏情報信号及び集音信号に基づいてボディ21を加振する。加振器14がボディ21を加振することで、演奏情報信号及び集音信号に対応する音がボディ21の外側に放射される。ここで、演奏情報信号に対応する音は、演奏者によるギター10の演奏操作(例えば弦を弾く操作)に応じた演奏音である。また、集音信号に対応する音は、ギター本体11の周囲において集音した音(例えば演奏者の歌声)に応じた音である。加振器14は、公知のボイスコイルタイプあるいはその他任意のタイプの電気/振動トランスデューサであってよい。
【0026】
本実施形態において、加振器14は、演奏情報信号及び集音信号に応じて効果付与部15から出力された音信号に基づいてボディ21を加振することができる。この場合、効果付与部15によって演奏情報信号、集音信号に効果が付与された音がボディ21の外側に放射される。
【0027】
加振器14は、例えば側板26に取り付けられてもよいが、表板24あるいは裏板25に取り付けられることが好ましい。また、加振器14は、表板24や裏板25の内面に取り付けられることがより好ましい。
【0028】
図2に示すように、本実施形態のギター10は、イコライザー18をさらに備える。イコライザー18は、演奏情報出力部12、集音信号入力部13から出力された演奏情報信号及び集音信号の周波数特性をそれぞれ調整する。具体的に、イコライザー18は、演奏情報信号及び集音信号の周波数特性を、ギター本体11(特にボディ21)の基音周波数領域を抑制した特性に調整する。
【0029】
イコライザー18は、少なくとも演奏情報出力部12及び集音信号入力部13と、加振器14との間に設けられていればよい。すなわち、イコライザー18は、加振器14がイコライザー18から出力された信号に基づいてボディ21を加振するように配置されればよい。本実施形態において、イコライザー18は、演奏情報出力部12及び集音信号入力部13と効果付与部15との間に設けられている。このため、イコライザー18は、周波数特性を調整した演奏情報信号及び集音信号を効果付与部15に出力する。
イコライザー18は、効果付与部15と同様に、ギター本体11に取り付けられている。イコライザー18は、例えば前述したマイク131と共に
図4に示す回路基板17に搭載されてよい。
【0030】
本実施形態のギター10は、入力された信号を増幅するアンプ19をさらに備える。アンプ19は、少なくとも演奏情報出力部12及び集音信号入力部13と、加振器14との間に設けられていればよい。すなわち、アンプ19は、演奏情報出力部12及び集音信号入力部13から入力された信号を増幅して加振器14に出力するように配置されればよい。本実施形態において、アンプ19は、効果付与部15と加振器14の間に設けられている。このため、アンプ19は、効果付与部15から出力された音信号を増幅して加振器14に出力する。
アンプ19は、効果付与部15と同様に、ギター本体11に取り付けられている。アンプ19は、例えば前述したマイク131と共に
図4に示す回路基板17に搭載されてよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のギター10は、演奏操作に応じて演奏情報信号を出力する演奏情報出力部12と、ギター本体11に設けられて、ギター本体11の周囲において集音した音に対応する集音信号を入力する集音信号入力部13と、を備える。また、本実施形態のギター10では、これら演奏情報信号及び集音信号に基づいて加振器14がギター本体11のボディ21を加振する。
このため、演奏者によるギター10の演奏操作(例えば弦を弾く操作)に応じた演奏音、及び、ギター本体11の周囲において集音した音(例えば歌声)の両方を、ボディ21から出力することができる。すなわち、加振器14及びボディ21を、ギター10の演奏音及び集音した音の両方を出力するスピーカーとして機能させることができる。これにより、演奏しながら歌うための機器の準備を軽減することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態のギター10では、演奏情報信号及び集音信号に対して音楽的あるいは音響的な効果(エフェクト)を付与した音信号に基づいて加振器14がギター本体11のボディ21を加振することができる。これにより、演奏情報信号(例えばギター10の演奏音)、集音信号(例えば歌声)に対して音楽的あるいは音響的な効果が付与された音をボディ21から出力することができる。
【0033】
また、本実施形態のギター10は、演奏情報信号及び集音信号を効果付与部15に入力するか否かを選択するセレクタ16を備える。これにより、ギター10の演奏者がセレクタ16を操作することで、演奏情報信号及び集音信号に対して音楽的あるいは音響的な効果を付与するか否かを、演奏者の意思で自由に選択することができる。
【0034】
また、本実施形態のギター10では、セレクタ16が、演奏情報信号を効果付与部15に入力するか否かの選択操作、及び、集音信号を効果付与部15に入力するか否かの選択操作を個別に行う。これにより、演奏情報信号だけに効果を付与したり、集音信号だけに効果を付与したりすることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態のギター10は、演奏情報信号及び前記集音信号の周波数特性を、ギター本体11の基音周波数領域を抑制した特性に調整するイコライザー18を備える。そして、加振器14は、演奏情報信号及び集音信号に応じてイコライザー18から出力された信号に基づいてギター本体11のボディ21を加振する。これにより、演奏操作に応じてボディ21から発生する音(生の音)に対するハウリングを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態のギター10において、集音信号入力部13は、ギター本体11の周囲の音を集音するマイク131である。そして、マイク131は、ギター本体11のボディ21(筐体)の内側に設けられると共に、ボディ21の外側に露出する。これにより、マイク131の存在を目立たせることなく、マイク131をギター本体11に設けることができる。すなわち、本実施形態のギター10は、マイク131を設けてもギター本体11の外観が変わらないという利点を有する。
【0037】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0038】
本発明において、集音信号入力部は、例えば、マイクのプラグ、あるいはマイクに接続されたケーブルのプラグを接続するジャックであってもよい。この場合、ジャックは、マイクによって集音された音に対応する集音信号を入力する役割を果たす。
また、集音信号入力部は、例えば、上記した集音信号を無線通信によって入力するように構成されてもよい。
【0039】
本発明は、上述ではアコースティックギターで説明したが、これに限らず、ホロウボディ及びネックを有する楽器に適用してもよい。例えば、バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス等のように、少なくとも音響部を有する楽器本体と、楽器本体に取り付けられた弦とを備える弦楽器に適用可能である。
また、本発明は、弦楽器に限らず、例えばピアノ(例えばアコースティックピアノ)や打楽器などの他の楽器にも適用可能である。
【0040】
例えば、本発明の楽器をピアノに適用した場合、ピアノの筐体や鍵盤、響板などが本発明の楽器本体に含まれる。また、演奏者による鍵盤の操作に伴って振動して音を響かせるピアノの響板が、本発明の音響部に対応する。当該ピアノは、鍵盤の操作を検出するキーセンサ、及び、キーセンサが鍵盤操作を検出した際に鍵盤操作に応じて予め用意された演奏情報信号(音源信号)を出力する音源回路を、本発明の演奏情報出力部として備えればよい。
【0041】
例えば、本発明の楽器を打楽器の一種であるカホンに適用した場合、カホンの筐体や被打撃部などが本発明の楽器本体に含まれる。また、演奏者による被打撃部への打撃操作に伴って振動して音を響かせるカホンの筐体などが、本発明の音響部に対応する。当該カホンは、例えば上記実施形態のギター10と同様に、カホンの筐体の振動を検出するピックアップを、本発明の演奏情報出力部として備えればよい。
【0042】
また、上述の効果付与部15の効果付与要素31(エフェクト要素31)は、実施例で挙げたものに限定されず、効果を付与できるものであれば本発明に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
10…ギター(楽器)、11…ギター本体(楽器本体)、12…演奏情報出力部、13…集音信号入力部、14…加振器、15…効果付与部、16…セレクタ、18…イコライザー、21…ボディ(音響部、筐体)、23…弦