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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044885
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】バッテリー用緩衝材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20230327BHJP
【FI】
H01M50/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152989
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】三宅 諒
(72)【発明者】
【氏名】大山 貴之
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AS07
5H040AY03
5H040CC30
(57)【要約】
【課題】所定範囲の圧縮量において反力の増加が抑制されるバッテリー用緩衝材を提供する。
【解決手段】上辺部11、下辺部13、及び、上辺部11と下辺部13の間に架設され、これらを斜めに連結する複数の斜面支柱部10を有し、斜面支柱部10が、弾性材料から構成され、上辺部11、下辺部13、及び複数の斜面支柱部10によってトラス構造を構成している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺部、下辺部、及び、前記上辺部と前記下辺部の間に架設され、これらを斜めに連結する複数の斜面支柱部を有し、
前記斜面支柱部が、弾性材料から構成され、
前記上辺部、前記下辺部、及び複数の前記斜面支柱部によってトラス構造を構成している、バッテリー用緩衝材。
【請求項2】
前記上辺部と前記下辺部との間の内部空間が、複数の前記斜面支柱部によって、前記下辺部側を底面とする三角形状の第一中空部分と、前記上辺部側を天面とする逆三角形状の第二中空部分とに、交互に区画されている、請求項1に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項3】
前記トラス構造を構成する前記斜面支柱部と前記下辺部とのなす角が、30°~65°である、請求項1又は2に記載のバッテリー用緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー用緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車などのエネルギー源としてバッテリー(二次電池)が広く利用されている。このバッテリーは、複数の電池セルと緩衝材(バッテリー用緩衝材)などを備えており、電池セルの構成としては、正極、負極、及びセパレータを積層させた電極組立体を有し、この電極組立体を収納ケースに収容したものなどが知られている。
【0003】
このバッテリーは、電極組立体が収容された複数の収納ケースを積層させて、その積層方向に拘束する拘束部を備えている。この拘束部は、収納ケースの外側に配置され、収納ケースを外側から拘束するものである。
【0004】
そして、このようなバッテリーは、複数の収納ケースが上記拘束部に拘束された状態で、充放電時に生じる発熱によって膨張したり収縮したりする。
【0005】
この充放電に伴う膨張によって電極は、荷重を受けるが、この荷重によって電極が破損等することを防止するために緩衝材(バッテリー用緩衝材)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。また、緩衝材は、上記のような充放電に伴う膨張だけでなく、バッテリーが加振された場合などにおける衝撃を低減するためにも有効に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-4556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の緩衝シートなどのような緩衝材は、未だ更なる改良の余地があった。具体的には、特許文献1の緩衝シートなどの緩衝材は、ひずみが小さい領域では、ゴム等の弾性体が変形し易いため、高い反力を出すことができない。一方で、ひずみが大きな領域では、ゴム等の弾性体が歪むほど体積圧縮になり、反力が急増する。即ち、荷重などの外力による圧縮量が大きくなるに伴って、大きな反力が生じ、特に一定の圧縮量を超えると、急激に大きな反力が生じてしまう傾向にある。そして、大きな反力(特に、急激に大きな反力)が生じると、被緩衝物(例えば、バッテリーの場合、収納ケースなど)に大きな力が加わってしまう傾向がある。そこで、仮に大きな外力を受けて圧縮量が大きくなったとしても、反力の増加が抑制されて大きな反力が生じ難いという点において、従来の緩衝材は未だ改良の余地があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、所定範囲の圧縮量において反力の増加が抑制されるバッテリー用緩衝材を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す、バッテリー用緩衝材が提供される。
【0010】
[1] 上辺部、下辺部、及び、前記上辺部と前記下辺部の間に架設され、これらを斜めに連結する複数の斜面支柱部を有し、
前記斜面支柱部が、弾性材料から構成され、
前記上辺部、前記下辺部、及び複数の前記斜面支柱部によってトラス構造を構成している、バッテリー用緩衝材。
【0011】
[2] 前記上辺部と前記下辺部との間の内部空間が、複数の前記斜面支柱部によって、前記下辺部側を底面とする三角形状の第一中空部分と、前記上辺部側を天面とする逆三角形状の第二中空部分とに、交互に区画されている、前記[1]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0012】
[3] 前記トラス構造を構成する前記斜面支柱部と前記下辺部とのなす角が、30°~65°である、前記[1]又は[2]に記載のバッテリー用緩衝材。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバッテリー用緩衝材は、上辺部と下辺部が近接するように所定以上の外力が加わったときに、弾性材料から構成された斜面支柱部が、塑性変形せずに、大きくたわみながら変形することで、所定範囲の圧縮量において反力が維持され、反力の増加が抑制されるという効果を奏する。また、バッテリー用緩衝材はトラス構造を構成しているため、高ひずみ領域でもトラス構造中の中空部分を十分に確保することができ、斜面支柱部同士の接触や体積圧縮を防止し、高ひずみ領域まで一定反力を有効に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態の使用状態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態の他の使用状態を模式的に示す断面図である。
図3】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態の模式的に示す平面図である。
図5図4に示すバッテリー用緩衝材において外力を受けた状態を示す説明図である。
図6図5に示すバッテリー用緩衝材の一部を拡大した拡大説明図である。
図7】解析結果1及び参考例1における圧縮量と反力との関係を示すグラフである。
図8】従来のバッテリー用緩衝材を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0016】
(1)バッテリー用緩衝材:
本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態は、図3図4に示すバッテリー用緩衝材100である。バッテリー用緩衝材100は、バッテリー200、201(図1図2参照)を構成する部材のうち、隣り合う部材(例えば、隣り合う電池セル210(図1参照)、収納ケース220と拘束部230(図2参照))の間に配置される緩衝材である。
【0017】
図3及び図4に示すように、バッテリー用緩衝材100は、上辺部11、下辺部13、及び、上辺部11と下辺部13の間に架設され、これらを斜めに連結する複数の斜面支柱部10を有している。複数の斜面支柱部10は、弾性材料から構成されている。バッテリー用緩衝材100は、上述した上辺部11、下辺部13、及び複数の斜面支柱部10によってトラス構造を構成している。このように構成されたバッテリー用緩衝材100は、上辺部11と下辺部13が近接するように所定以上の外力が加わったときに、斜面支柱部10が、塑性変形せずに、大きくたわみながら変形して反力の増加が抑制されるものである。以下、上述したように、斜面支柱部10がたわみながら変形することを、「たわみ変形」ということがある。
【0018】
本発明において「トラス構造」とは、三角形を単位とした構造のことをいう。例えば、図4に示すような平面図において、下辺部13と2つの斜面支柱部10a,10bとによって、下辺部13を底面とする三角形の中空部分17(例えば、第一中空部分17a)が形成されている。また、上辺部11と2つの斜面支柱部10b,10cとによって、上辺部11を天面とする逆三角形の中空部分17(例えば、第二中空部分17b)が形成されている。バッテリー用緩衝材100は、上辺部11、下辺部13、及び複数の斜面支柱部10によって、上述したような三角形と逆三角形の繰り返しを単位とした構造を構成している。バッテリー用緩衝材100の両端部分については、上辺部11と下辺部13の間を最短距離で繋ぐように連結する側縁支柱部15が配設されている。即ち、側縁支柱部15は、上辺部11及び下辺部13に対して直交するように配設されている。なお、図示は省略するが、バッテリー用緩衝材100の両端部分に、上辺部11と下辺部13の間を斜めに連結する斜面支柱部10が配設されていてもよい。
【0019】
このようなバッテリー用緩衝材100は、上辺部11と下辺部13とが近づくように外力を受けると、その外力を吸収するように弾性変形する。そして、所定以上の外力が加わったときに、図5及び図6に示すように、弾性材料から構成された斜面支柱部10がたわみ変形し、これにより所定範囲の圧縮量において反力が維持され、反力の増加が抑制される。つまり、予め設定した所定の圧縮量に達した時点で敢えて斜面支柱部10が変形し、反力の増加を抑制する。また、上記のようなトラス構造を構成しているため、高ひずみ領域でもトラス構造中の中空部分17を十分に確保することができ、斜面支柱部10同士の接触や体積圧縮を防止し、高ひずみ領域まで一定反力を有効に得ることができる。
【0020】
バッテリー用緩衝材100の両端部分に配設される側縁支柱部15についても、斜面支柱部10と同様に弾性材料から構成されていることが好ましい。
【0021】
バッテリー用緩衝材100は、例えば、図1に示すように、複数の電池セル210のうち隣り合う電池セル210の間に配置される緩衝材として使用することができる。
【0022】
ここで、緩衝材の主な材料となるゴムは、圧縮した際にその歪みが小さい領域(圧縮量が小さい場合)では変形し易いため、十分な反力を生じさせることができない傾向がある。一方、歪みが大きい領域(圧縮量が大きい場合)では、ゴムが歪むほど体積を圧縮することになり、反力が急増する傾向がある。このように、ゴムを主原料とする従来の緩衝ゴム製品は、所望する十分な反力を生じさせつつ、その反力が、広い圧縮範囲で一定に維持される(別言すれば、反力の増加が抑制される)ことを達成できていなかった。
【0023】
本実施形態のバッテリー用緩衝材100は、所望する十分な反力を生じさせつつ、その反力が、広い圧縮範囲で一定に維持される(別言すれば、反力の増加が抑制される)ものである。つまり、例えば、所定の圧縮量に達したとき、即ち、所定の荷重が加えられたとき、斜面支柱部10がたわみ変形して荷重の増加を抑制する。そして、たわみ変形した後も斜面支柱部10がバネの役割を担うことになり、たわみ変形後の急激な反力低下を軽減することができる。
【0024】
バッテリー用緩衝材100は、その形状について特に制限はないが、平板状であることがよく、その厚さについては、バッテリー用緩衝材100の配置スペース等を考慮して適宜設定することができる。
【0025】
バッテリー用緩衝材100の大きさは、特に制限はなく適宜設定することができる。例えば、電池セル210に隣接する場合には、電池セル210と同じ大きさとしてもよいし、電池セル210より小さくしてもよいし、或いは、電池セル210よりも大きくしてもよい。
【0026】
(1-1)斜面支柱部:
斜面支柱部10は、弾性材料から構成され、上辺部11と下辺部13とを繋ぐものである。この斜面支柱部10は、複数形成されている。そして、これらの斜面支柱部10は、上辺部11と下辺部13が近接するように所定以上の外力が加わったときに、斜面支柱部10がたわみ変形して反力の増加が抑制される(例えば、図11参照)。つまり、バッテリー用緩衝材100は、外力(上辺部11と下辺部13とが近づく方向の外力)が加えられた際に、斜面支柱部10が潰れるように変形して主に斜面支柱部10によって上記外力に対する反力を発生させる。そして、更に外力が大きくなって一定以上の外力が加えられると、トラス構造を構成する斜面支柱部10によって区画された中空部分17a,17bが潰れるようにたわみ変形する。このように変形することで反力が増加することを回避し、即ち、所定の反力で維持する。特に、バッテリー用緩衝材100はトラス構造を採用しているため、斜面支柱部10及び側縁支柱部15が変形する際に、発生する反力の増加の程度は、圧縮量が大きくなったとしても緩やかとなり、反力の平坦領域(プラトー領域)が広範囲になる。このため、低い圧縮ひずみ範囲内で一定反力を維持することが可能となり、斜面支柱部10がたわみ変形した時に、その反力がおよそ一定となる。なお、所定以上の外力とは、予め設定した所定以上の外力のことであり、バッテリー200ではその熱膨張に起因して緩衝材に加わる荷重の範囲は予め想定することができ、斜面支柱部10がたわみ変形するべきタイミングを予め設定することができる。更に、バッテリー200に対する外部からの衝撃力も想定して予め設定することができる。
【0027】
斜面支柱部10は、その形状について特に制限はないが、柱状、壁状などとすることができる。
【0028】
斜面支柱部10は、上辺部11と下辺部13の間に架設され、これらを斜めに連結するものであればよく、例えば、特に限定されることはないが、トラス構造を構成する斜面支柱部10と下辺部13とのなす角が、30°~65°であることが好ましい。このように構成することによって、これまでに説明したような反力の増加を極めて有効に抑制することができる。
【0029】
斜面支柱部10は、バッテリー用緩衝材100の一方の端部から他方の端部まで連続した壁状のものであってもよいし、連続しないもの(柱状や壁状のものが間隔を空けて配置されているもの)であってもよい。
【0030】
斜面支柱部10は、複数形成されていればよく、その数は特に制限はなく、たわみ変形後に維持される反力の大きさ等を考慮して適宜設定することができる。
【0031】
斜面支柱部10は、上辺部11及び下辺部13と一体に形成されていることがよいが、別体として設けられて上辺部11及び下辺部13に接合されていてもよい。
【0032】
斜面支柱部10の厚さは、例えば、0.5~10mm程度とすることができる。斜面支柱部10の厚さは、上辺部11から下辺部13に亘って均一であってもよいし、不均一であってもよい。また、斜面支柱部10の根元部分を部分的に肉厚にしてもよい。例えば、斜面支柱部10の上辺部11及び下辺部13との連結部分を肉厚にして、トラス構造における三角形及び逆三角形の各頂点が丸みを帯びるように構成してもよい。
【0033】
斜面支柱部10は、上辺部11と下辺部13が近接するように所定以上の外力が加わったときに、この斜面支柱部1010が変形して反力の増加が抑制されるものである限り、その厚さは、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。厚さが一定でない場合、その厚さは、中央がその他の部分よりも厚くなるように突出していてもよい。つまり、中央に肉厚の補強部(リブ)が付設されている態様であってもよい。
【0034】
上述した肉厚の補強部は、斜面支柱部10の一方の表面側に付設されていてもよいし、両方の表面に付設されていてもよい。
【0035】
斜面支柱部10の材料は、従来公知のゴム材を適宜選択して採用することができるが、具体的には、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM)などを挙げることができる。側縁支柱部15の材料についても、斜面支柱部10と同じゴム材を採用することができる。
【0036】
斜面支柱部10の硬さは、特に制限はないが、JIS K 6253デュロメータタイプAにより測定される値が、10~90度となるものとすることができ、70~90度となるものとすることがよりよい。このような範囲とすることにより、上辺部11と下辺部13が近接するように所定以上の外力が加わったときに、斜面支柱部10たわみ変形して反力の増加が良好に抑制されるものである。
【0037】
(1-2)上辺部:
上辺部11は、板状の部分であり、バッテリー用緩衝材100に外力を加える一方の部材と接する部分である。例えば、図1に示すように、バッテリー用緩衝材100を電池セル210と電池セル210との間に配置する場合、一方の電池セル210に接する部分である。
【0038】
この上辺部11は、平板状であってもよいし、湾曲した形状や波形などであってもよい。上辺部11の厚さは、特に制限はなく適宜設定することができ、例えば、0.3~5mm程度である。
【0039】
上辺部11の材質は、特に制限はないが、ゴム、樹脂などを挙げることができ、斜面支柱部10と同じゴム材を採用することがよく、斜面支柱部10と一体に形成することができる。
【0040】
(1-3)下辺部:
下辺部13は、板状の部分であり、バッテリー用緩衝材100に外力を加える他方の部材と接する部分である。例えば、図1に示すように、バッテリー用緩衝材100を電池セル210と電池セル210との間に配置する場合、他方(上辺部11とは反対側)の電池セル210に接する部分である。
【0041】
この下辺部13は平板状であってもよいし、湾曲した形状や波形などであってもよい。下辺部13の厚さは、特に制限はなく適宜設定することができ、例えば、0.3~5mm程度である。
【0042】
下辺部13の材質は、特に制限はないが、ゴム、樹脂などを挙げることができ、斜面支柱部10と同じゴム材を採用することがよく、斜面支柱部10と一体に形成することができる。
【0043】
(2)本発明のバッテリー用緩衝材の使用:
バッテリー用緩衝材100は、図1に示すバッテリー200のように隣り合う電池セル210の間に配置したり、図2に示すバッテリー201のように、複数の電池セル210からなる積層体と拘束部230との間に配置したりすることができる。なお、バッテリー用緩衝材100は、1つに限らず複数使用することもできる。この場合、複数のバッテリー用緩衝材100を積層させて使用してもよいし、平面上に複数配置するように使用してもよく、これらを組み合わせてもよい。バッテリーとしては、全固体電池に限らず液状電解質の電池であってもよい。
【0044】
このように配置することで、電池セル(バッテリー)の膨張時に生じる膨張力を吸収したり、外力からバッテリーが受けた衝撃を吸収したりする緩衝材として機能する。更に、電池セル210などの部品を積み上げた際のバラツキ(配置誤差)に起因する圧力の偏りを吸収し修正することができる。
【0045】
具体的には、バッテリー200が熱膨張すると、上辺部11と下辺部13とが互いに近づくようにバッテリー用緩衝材100が変形して外力を吸収する。このとき、バッテリー用緩衝材100からは反力が発生して外力との力のバランスが保たれる。その後、外力が所定以上となった場合、即ち、圧縮量が所定値に達した場合、斜面支柱部10がたわみ変形する。そして、たわみ変形した斜面支柱部10は、バネのようにして反力を発生させ、所定の圧縮量となるまでは、圧縮量が増加しても反力は増加しないように抑制される。
【実施例0046】
(解析結果1)
図3に示すような平板状のバッテリー用緩衝材を想定し、圧縮量(mm)と反力(N)についてシミュレーションによる解析を行った。解析材料はEPDMゴム(硬度A90度材)とし、その上下面を剛体壁接着の条件で圧縮し、反力を生じさせて、シミュレーションを行った。解析結果を図7に示す。
【0047】
図7に示すように、図3に示すような平板状のバッテリー用緩衝材では、圧縮量の増加とともに反力が増加するが、所定の圧縮量に達すると、反力の増加が抑制されることが分かる。即ち、図7における解析結果1に示すグラフでは、図中の点線で囲われた範囲において、所定範囲の圧縮量において反力の増加が抑制されていることが分かる。
【0048】
(参考例1)
図8に示すバッテリー用緩衝材300のような従来のバッテリー用緩衝材における圧縮量(mm)と反力(N)との関係を図7に示す。図7に示すように、参考例1では、バッテリー用緩衝材の圧縮量が大きくなると、圧縮量の増加に比して反力の増加が非常に大きくなる。
【0049】
上述した解析結果1及び参考例1から分かるように、本発明のバッテリー用緩衝材は、大きな外力を受けたとしても所定範囲の圧縮量であれば、反力の増加が抑制されている。そのため、バッテリーが熱膨張したり、外部からの衝撃が加わって緩衝材が大きく圧縮されたりしたとしても、所定範囲の圧縮量であれば、生じる反力の増加が抑制されて大きな反力が発生し難い。その結果、バッテリー用緩衝材から生じる反力に起因して、バッテリーが破損等してしまうことを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のバッテリー用緩衝材は、電気自動車などに用いられるリチウム電池などのバッテリー用の緩衝材として採用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10,10a,10b,10c:斜面支柱部
11:上辺部
13:下辺部
15:側縁支柱部
17:中空部分
17a:第一中空部分
17b:第二中空部分
100,300:バッテリー用緩衝材
200,201:バッテリー
210:電池セル
220:収納ケース
230:拘束部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8