(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044922
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】シート状体集積装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/06 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B65H31/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153041
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 瑞基
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AC00
3F054BA11
3F054BH05
3F054BH12
3F054CA08
3F054CA13
3F054CA21
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】シート状体がその集積体から上方に突出した場合でも、この突出したシート状体を集積体の中に戻すことができて、上方に突出したシート状体がない集積体を形成することができる集積装置を提供すること。
【解決手段】多数のシート状体sを、その表面が鉛直面を構成するように立てた状態で重ねてその集積体Sを形成する装置において、前記集積体Sの上側端面に当接して、多数の前記シート状体の上側端面を揃える整頓装置10を備えており、この整頓装置10が、前記集積体Sの上側端面に当接するアーム13と、このアームを片持ち状態で支持する軸12とを備えて構成されており、かつ、前記軸12を中心として前記アーム13を振動させる振動装置14を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のシート状体を、その表面が鉛直面を構成するように立てた状態で重ねてその集積体を形成する装置において、
前記集積体の上側端面に当接して、多数の前記シート状体の上側端面を揃える整頓装置を備えており、
この整頓装置が、前記集積体の上側端面に当接するアームと、このアームを片持ち状態で支持する軸とを備えて構成されており、かつ、前記軸を中心として前記アームを振動させる振動装置を有することを特徴とするシート状体集積装置。
【請求項2】
前記アームの回転角度を感知するセンサーをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート状体集積装置。
【請求項3】
前記集積体を振動させる振動装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状体集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状体集積装置に関する。さらに詳しくは、多数のシート状体を重ねてその集積体を形成するに際し、この集積体からその上方に突出したシート状体がない集積体を形成することができる集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、印刷済の枚葉紙のようなシート状体を多数枚重ねてシート状体の集積体を形成する装置は周知であり、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この装置100Aは
図3に示すようなもので、二本の対向搬送ベルト21A,22Aの間にシート状体sを挟み、これら二本の対向搬送ベルト21A,22Aを傾斜して上昇走行させることにより、シート状体sの表面が鉛直面を構成するように立てた状態とする。そして、この搬送ベルト21A,22Aの走行方向端部に集積台30Aを配置すると共に、前記二本の対向搬送ベルト21A,22Aのうち一方の搬送ベルト22Aと、この搬送ベルト22Aに対向配置した押さえ支持板40Aとの間に、前記シート状体sを縦集積するものである。この集積装置100Aでは、加圧手段50Aによって押さえ支持板40Aを軽く加圧しており、集積されたシート状体sの量が増加するにつれて押さえ支持板40Aが図示左側に向かって後退するように構成されている。また、この集積体Sの上には、当て板10Aが配置されており、この集積体Sからシート状体sが上方に突出しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、集積装置100Aでは、シート状体sの上方への突出を防止するため、当て板10Aが配置されているが、シート状体sはその前後のシート状体sと密接し、しかも、加圧されているから、集積体Sから一旦シート状体sが突出した場合、こうして突出したシート状体sをもとに戻すことは不可能である。
【0006】
本発明はこのような技術的背景に基づいてなされたもので、仮にシート状体がその集積体から上方に突出した場合であっても、この突出したシート状体を集積体の中に戻すことができ、このため、集積体からその上方に突出したシート状体がない集積体を形成することができる集積装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、多数のシート状体を、その表面が鉛直面を構成するように立てた状態で重ねてその集積体を形成する装置において、
前記集積体の上側端面に当接して、多数の前記シート状体の上側端面を揃える整頓装置を備えており、
この整頓装置が、前記集積体の上側端面に当接するアームと、このアームを片持ち状態で支持する軸とを備えて構成されており、かつ、前記軸を中心として前記アームを振動させる振動装置を有することを特徴とするシート状体集積装置である。
【0008】
本発明の集積装置は、前記アームの回転角度を感知するセンサーをさらに備えていても
よい。
【0009】
また、これに加えて、本発明の集積装置は、前記集積体を振動させる振動装置を備えていることも可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多数のシート状体の集積体の上側端面にアームを当接させ、しかも、このアームを振動させる振動装置を有するため、この振動装置を作動させると、アームはその軸を中心として振動する。このため、集積体から上方に突出したシート状体が存在する場合、この振動により、上方に突出したシート状体の先端をアームが叩いて、このシート状体を集積体の中に戻すことができる。そして、このため、上方に突出したシート状体がない集積体を形成することが可能となる。
【0011】
なお、この集積装置が、前記アームの回転角度を感知するセンサーを備える場合には、集積体の上側端面に当接するアームの回転角度の変化により、集積体の上方に突出したシート状体を認知することができる。そして、このように上方に突出したシート状体を認知した場合に限って前記振動装置を作動させることができる。
【0012】
また、この集積装置が、前記集積体を振動させる振動装置を備えている場合には、その振動によってシート状体同士の密接を解きほぐすことができるから、上方に突出したシート状体を集積体の中に戻すことが一層容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態に係る集積装置の断面説明図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態に係る集積装置の作動方法を説明するための要部断面説明図であり、
図2(a)は集積体の上方に突出したシート状体を集積体の中に戻すため、アーム振動装置を作動させた状態を示す要部断面説明図、
図2(b)は、突出したシート状体を集積体の中に戻り、アーム振動装置を停止させた状態を示す要部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る集積装置100の断面説明図である。また、
図2は本発明の実施の形態に係る集積装置100の作動方法を説明するための要部断面説明図であり、
図2(a)は集積体の上方に突出したシート状体を集積体の中に戻すため、アーム振動装置を作動させた状態を示し、
図2(b)は、突出したシート状体を集積体の中に戻り、アーム振動装置を停止させた状態を示している。
【0015】
図1に示すように、この集積装置100は、当て板10Aの代わりにシート状体sの上側端面を揃える整頓装置10を設けたほかは、従来の集積装置100Aと同様である。すなわち、この集積装置100においても、二本の対向搬送ベルト21,22の間にシート状体sを挟み、これら二本の対向搬送ベルト21,22を傾斜して上昇走行させることにより、シート状体sの表面が鉛直面を構成するように立てた状態とする。そして、この搬送ベルト21,22の走行方向端部に集積台30を配置すると共に、前記二本の対向搬送ベルト21,22のうち一方の搬送ベルト22と、この搬送ベルト22に対向配置した押さえ支持板40との間に、前記シート状体sを縦集積する。そして、加圧手段50によって押さえ支持板40を軽く加圧しており、集積されたシート状体sの量が増加するにつれて押さえ支持板40が図示左側に向かって後退するように構成されている。
【0016】
そして、この集積体Sの上には、シート状体sの上側端面を揃える整頓装置10が配置されている。
【0017】
この整頓装置10は、
図2に示すように、集積台30に立設された柱11を有しており、この柱11に配置された軸12にアーム13が固定されている。アーム13は軸12によって片持ち状態で支持されており、この軸12の回りを自由に回動することができる。そして、このため、アーム13の先端は集積体Sの上側端面に当接している。なお、軸12は柱11に沿ってスライドさせることにより鉛直方向に移動可能であり、任意の位置に停止させて、アーム13の高さを調節することができる。
【0018】
また、アーム13の先端には、錘を兼ねて振動装置14が固定されており、この振動装置14を作動させることにより、アーム13を振動させることができる。その振動方向は、前記軸を中心としてその回りを回動する方向である。なお、振動装置14に加えて、別の錘を固定することも可能である。
【0019】
また、軸12には、アーム13の回転角度を感知するセンサーが内蔵されている。集積体Sの上方に突出したシート状体sが存在する場合には、この集積体Sの上側端面に当接しているアーム13の回転角度が変化するから、この回転角度の変化を感知することによって、集積体Sの上方に突出したシート状体sの存在を認知することができる。そして、このセンサーにより上方に突出したシート状体sの存在を認知した場合には、振動装置14を作動させ、このようなシート状体sを感知しない場合には、振動装置14を停止させることができる。
【0020】
なお、振動によるアーム13の振れ幅が過剰にならないように、アーム13の下方にはストッパー15が設置されている。
【0021】
以上の説明から明らかなように、この集積装置100は次のように使用することができる。すなわち、まず、
図2(a)に示すように、アーム13の回転角度の変化からセンサーが集積体Sの上方に突出したシート状体sxを認知した場合には、振動装置14を作動させてアーム13を振動させる。アーム13は、軸12を中心としてその回りを回動する方向に振動するから、上方に突出したシート状体sxの突出部分をその先端から集積体Sの内部に戻す方向に繰り返して叩く。
【0022】
そして、このシート状体sxが集積体Sの内部に戻って集積体Sの上側端面が揃った場合には、センサーが集積体Sの上方に突出したシート状体sxを認知しないから、振動装置14が停止し、アーム13もその振動を停止する(
図2(b)参照)。
【0023】
このように、本発明の集積装置100によれば、集積体Sの上方に突出したシート状体sxがある場合にはアーム13が振動してシート状体sxを集積体Sの内部に戻すから、その結果、上方に突出したシート状体がない集積体Sを形成することが可能となるのである。
【0024】
なお、この集積装置100は、さらに、集積体Sを振動させる振動装置(図示せず)を備えていてもよい。この振動装置は、例えば、集積台30に設置して、集積台30を振動させることにより、間接的に集積体Sを振動させることができる。また、押さえ支持板40に振動装置を散りつけて、押さえ支持板40を振動させることにより、間接的に集積体Sを振動させることも可能である。いずれの場合においても、集積体Sを振動させることにより、その振動の瞬間にシート状体sと隣接するシート状体sとの密接を解きほぐすことができるから、アーム13の振動により、上方に突出したシート状体sxを集積体Sの中に戻すことが一層容易となる。
【符号の説明】
【0025】
100:集積装置
s:シート状体 sx:上方に突出したシート状体
S:上方に突出したシート状体
10:整頓装置 11:柱 12:軸 13:アーム 14:振動装置 15:ストッパー
21,22:搬送ベルト
30:集積台
40:押さえ支持板
50:加圧手段