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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044927
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230327BHJP
【FI】
G07B15/00 T
G07B15/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153049
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】神野 祐人
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA01
3E127AA15
3E127BA11
3E127BA31
3E127CA13
3E127CA18
3E127DA21
3E127DA22
3E127EA21
3E127EA27
3E127FB10
3E127FB11
(57)【要約】

【課題】 料金割引の対象者が実際に乗車していることを確認できる車載器を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、車載器は、有料道路を通行する車両に搭載される。車載器は、認証媒体インターフェースと生体情報入力インターフェースとプロセッサとを有する。認証媒体インターフェースは、有料道路の料金割引が適用される人物が所持する認証媒体に記録されている当該人物の生体情報を読み取る。生体情報入力インターフェースは、認証媒体から取得した生体情報に対応する生体情報を車両に乗車している人物から生体情報取得部が取得し、生体情報取得部が取得した生体情報を入力する。プロセッサは、認証媒体から読み取った生体情報と生体情報取得部が取得した生体情報との生体認証が成功した場合、人物に応じた料金割引を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路を通行する車両に搭載される車載器において、
前記有料道路の料金割引が適用される人物が所持する認証媒体に記録されている当該人物の生体情報を読み取る認証媒体インターフェースと、
前記認証媒体から取得した生体情報に対応する生体情報を前記車両に乗車している人物から生体情報取得部が取得し、前記生体情報取得部が取得した生体情報を入力する生体情報入力インターフェースと、
前記認証媒体から読み取った生体情報と前記生体情報取得部が取得した生体情報との生体認証が成功した場合、前記人物に応じた料金割引を設定するプロセッサと、
を有する車載器。
【請求項2】
前記認証媒体インターフェースは、前記人物が所持する第1認証媒体に記録されている本人確認方法を示す情報を読み取る第1媒体インターフェースと前記人物が所持する第2認証媒体に記録されている生体情報を読み取る第2媒体インターフェースとを含み、
前記プロセッサは、前記第1認証媒体から読み取る本人確認方法が示す生体認証に対応する生体情報を前記第2認証媒体から読み取り、前記第2認証媒体から読み取った生体情報と前記生体情報取得部が取得する生体情報との生体認証が成功した場合、前記人物に応じた料金割引を設定する、
請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記第1認証媒体は、前記有料道路の料金割引の適用対象となる内容と所持者とが記録された証明カードであり、
前記第2認証媒体は、前記証明カードの所持者と同一の人物が所持者である個人識別カードである、
請求項2に記載の車載器。
【請求項4】
前記第1認証媒体は、前記有料道路における障碍者割引が適用となる障碍者であることを証明する証明カードである、
請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
前記認証媒体は、前記有料道路の料金割引を受けるための本人確認に用いる生体情報が記録され、前記有料道路の料金割引が適用される内容を証明する証明カードであり、
前記プロセッサは、前記証明カードから読み取った生体情報と前記生体情報取得部が取得した生体情報との生体認証が成功した場合に前記証明カードが証明する内容に応じた料金割引を設定する、
請求項1に記載の車載器。
【請求項6】
前記認証媒体は、前記有料道路における障碍者割引が適用となる障碍者であることを証明する証明カードである、
請求項5に記載の車載器。
【請求項7】
前記認証媒体は、前記有料道路の料金割引を受けるための本人確認に用いる生体情報が記録され、前記有料道路の料金割引が適用される個人が所持する個人識別カードであり、
前記プロセッサは、前記個人識別カードから読み取った生体情報と前記生体情報取得部が取得した生体情報との生体認証が成功した場合に前個人識別カードで特定される個人に対する料金割引を設定する、
請求項1に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路などの有料道路において、ゲートを通行する車両に対して料金を収受する自動料金収受システム(以下、ETCシステムと称する)が普及してきている。高速道路などの有料道路では、障碍者に対して通行料金の割引を実施していることがある。従来のETCシステムは、「障碍者本人の障碍者手帳」、「自動車情報(運転免許証、自動車検査証)」、「ETCカード」および「車載器管理番号」などを事前に紐づけて登録しておき、それらの情報を登録した車載器を搭載した自動車に対してのみETC用のゲートで障碍者割引の適用を受けられるようになっている。
【0003】
このため、従来のETCシステムは、実際に障碍者本人が乗車している場合であっても、レンタカーやカーシェアリングなどの自動車では障碍者割引を適用してETC用のゲートを通過することができないという問題点がある。
また、従来のETCシステムでは、一度、障碍者割引の適用を受ける登録を行った条件(自動車、ETCカードおよび車載器の組み合わせ)であれば、実際には障碍者が乗車していなくても障碍者割引の適用を受けられる可能性があるという問題点もある。このため、予め登録した車両でなくても障碍者本人が乗車していることを確実に確認した上で障碍者割引の適用を受けることができるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-028763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、料金割引の対象者が実際に乗車していることを確認できる車載器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、車載器は、有料道路を通行する車両に搭載される。車載器は、認証媒体インターフェースと生体情報入力インターフェースとプロセッサとを有する。認証媒体インターフェースは、有料道路の料金割引が適用される人物が所持する認証媒体に記録されている当該人物の生体情報を読み取る。生体情報入力インターフェースは、認証媒体から取得した生体情報に対応する生体情報を車両に乗車している人物から生体情報取得部が取得し、生体情報取得部が取得した生体情報を入力する。プロセッサは、認証媒体から読み取った生体情報と生体情報取得部が取得した生体情報との生体認証が成功した場合、人物に応じた料金割引を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る車載器を含むシステムの構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、第1乃至第3実施形態に係る車載器における制御系の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る車載器が証明カードおよび個人識別カードを用いて障碍者を確認する動作例を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態に係る車載器を含むシステムの構成例を概略的に示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係る車載器が証明カードを用いて障碍者を確認する動作例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、第3実施形態に係る車載器を含むシステムの構成例を概略的に示す図である。
図7図7は、第3実施形態に係る車載器が個人識別カードを用いて障碍者を確認する動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る車載器1Aを含むETC利用システムの構成例を示す図である。
車載器1Aは、有料道路などにおいて料金を収受する料金収受システム(ETCシステム)において料金の自動収受を行う車両に設けられる装置である。ETCシステム2は、有料道路の出入口に設けられた走行レーンを通過する車両に設けられた車載器1Aと無線通信を行って、車載器1Aから取得する情報に基づいて当該車両に対する通行料金を収受する。
【0009】
図1に示すように、第1実施形態に係る車載器1Aは、ETCシステム(路側装置)2と通信するETC通信部11を備える。車載器1Aは、料金支払い用のETCカードC1が接続される。車載器1Aは、ETC通信部11によってETCシステムと通信し、料金支払い用のETCカードC1を用いて料金を精算する。
【0010】
ETCカードC1は、ETCシステム2による料金の決済に用いる。また、ETCカードC1は、入出場情報の記録などに用いられるようにしても良い。ETCカードC1は、車載器1Aが備えるインターフェースによって記録されている情報の読み取りおよび書込みが行えるものである。例えば、ETCカードC1は、接触式ICカードあるいは非接触式ICカードで構成される。
【0011】
第1実施形態において、車載器1Aは、カメラ12、生体センサ13、カード通信部14、および、カード通信部15を有する。
カメラ12および生体センサ13は、車両に乗車している人物(認証対象者)の生体情報を取得する生体情報取得部の例である。車載器1Aは、複数種類の生体情報を用いた複数種類の生体認証を行う生体認証機能を有する。すなわち、車載器1Aは、カメラ12および生体センサ13などの生体情報取得部が複数種類の生体情報を取得する機能を有し、それらの生体情報に対応して複数種類の生体認証を行う機能を有する。
【0012】
カメラ12は、車両に乗車している認証対象者を撮影することで得られる生体情報を取得するための生体情報取得部である。車載器1Aは、生体認証機能として、カメラ12が撮影する画像から得られる生体情報によって生体認証を行う機能を有する。例えば、カメラ12は、車両に乗車している認証対象者の生体情報としての顔画像を取得するために、車両に乗車している認証対象者の顔を含む画像を撮影する。車載器1Aの生体認証機能は、カメラ12が撮影する画像から得られる顔画像と後述する個人識別カードC3から取得する顔画像とを照合することにより顔認証を行う。
【0013】
生体センサ13は、車両に乗車している認証対象者から生体情報を取得するためのセンサである。車載器1Aは、生体認証機能として、生体センサ13が検出する生体情報によって生体認証を行う機能を有する。例えば、生体センサ13は、車両に乗車する人物の生体情報としての指紋情報を取得するための指紋センサである。車載器1Aの生体認証機能は、生体センサ13としての指紋センサが取得する指紋情報と後述する個人識別カードC3から取得する指紋情報とを照合することにより指紋認証を行う。
【0014】
カード通信部14は、証明カードC2から情報を読み取るためのカードリーダライタなどのカードインターフェース(第1カードインターフェース)である。カード通信部14は、証明カードC2に記録されている情報が読み取れるものとする。カード通信部14は、証明カードC2がICカードで構成される場合、証明カードC2としてのICカードに対応するカードインターフェース(カードリーダ)で構成される。
【0015】
本実施形態において、証明カードC2は、ETCシステム2による料金割引の対象者であることを証明するものである。以下の説明では、証明カードC2は、障碍者手帳としての機能を備え、所持者が障碍者割引の対象者となり得る障碍者であることを示す証明媒体であるものとして説明する。
【0016】
第1実施形態において、証明カードC2には、障碍者本人であることを確認するための本人確認方法を示す情報が記録される。証明カードC2に記録する本人確認方法は、本人確認のための車載器1Aで実施すべき生体認証を示す情報である。証明カードC2に記録する本人確認方法は、所持者の身体的な特徴あるは所持者本人の意向などに応じて設定される。
【0017】
第1実施形態の説明において、証明カードC2には、本人確認方法として車載器1Aが実行可能な何れか生体認証が指定されるものとする。例えば、指紋センサが読み取る指紋による指紋認証が難しい人物が所持する証明カードC2には、指紋以外の生体情報による本人確認方法が設定される。また、カメラが撮影する顔画像による顔認証が困難な人物が所持する証明カードC2には、顔画像以外の生体情報による本人確認方法が設定される。
【0018】
車載器1Aは、カード通信部14により証明カードC2から読み取る本人確認方法によって指定される生体認証によって車両の乗車している人物が証明カードC2の所持者である障碍者であることを確認する。
なお、証明カードC2に記録する本人確認方法は、当該証明カードC2を発行する公的機関などで設定するようにしても良いし、事前に車載器1Aなどを用いて設定するようにしても良い。
【0019】
カード通信部15は、個人識別カードC3から情報を読み取るためのカードリーダライタなどのカードインターフェース(第2カードインターフェース)である。個人識別カードC3は、所持者の生体情報を含む個人情報を記録した記録媒体である。第1実施形態において、個人識別カードC3は、証明カードC2の所持者が所持するカードであるものとする。個人識別カードC3は、カード通信部15によって記録されている個人情報が読み取れられる。例えば、個人識別カードC3は、所持者(証明カードC2の所持者)の生体情報を含む個人情報を記憶したICカードである。この場合、カード通信部15は、個人識別カードC3としてのICカードに対応するカードリーダで構成される。
【0020】
第1実施形態において、個人識別カードC3は、証明カードC2に記録されている本人確認方法に対応する個人情報としての生体情報が記録される。車載器1Aは、証明カードC2から読み取る本人確認方法によって指定される認証方法に対応する認証情報としての生体情報をカード通信部15により個人識別カードC3から読み取る。例えば、証明カードC2に本人確認方法として指紋認証が設定されている場合、カード通信部15は、個人識別カードC3に記録されている所持者の指紋情報を読み取る。また、証明カードC2に本人確認方法として顔認証が設定されている場合、カード通信部15は、個人識別カードC3から所持者の顔画像を取得する。
【0021】
なお、カード通信部14とカード通信部15とは、1つのカードインターフェースによって実現するようにしても良い。この場合、車載器1Aは、カードインターフェースを介して証明カードC2および個人識別カードC3と並行して通信するようにすれば良い。
【0022】
また、証明カードC2および個人識別カードC3は、車載器1Aのカード通信部14およびカード通信部15によって情報が読み取られるものであれば良い。証明カードC2および個人識別カードC3は、例えば、接触式ICカードあるいは非接触式ICカードなどのICカードで構成する。
【0023】
また、証明カードC2および個人識別カードC3は、例えば、スマートフォンやタブレットPCなどの携帯型の電子機器で実現しても良い。この場合、カード通信部14およびカード通信部15は、証明カードC2および個人識別カードC3として使用される電子機器と通信するインターフェース(例えば、近距離無線通信用のインターフェース)で構成する。
【0024】
次に、実施形態に係わる車載器1Aの構成について説明する。
図2は、実施形態に係る車載器1Aにおける制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
図2に示す構成例において、車載器1Aは、プロセッサ21、ROM22、RAM23、記憶部24、表示部25、操作部26、ETC通信部11、カードリーダライタ(RW)28、および、種々のインターフェース(I/F)31、32、34、35などを有する。
【0025】
プロセッサ21は、プログラムを実行することにより種々の処理を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPUである。ROM22は、プログラムや制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。RAM23は、データを一時的に保持するワーキングメモリとして機能する。記憶部24は、書換え可能な不揮発性のメモリを含む記憶装置である。これらの構成により、プロセッサ21は、RAM23を用いてROM22又は記憶部24が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0026】
記憶部24は、ETC用の車載器として動作するための各種の情報を記憶する。例えば、記憶部24には、ETC用の車載器として識別するための識別情報(車載器ID)、および、当該車載器1Aと搭載した車両の車台番号などの車両に関する車両情報なども記憶される。また、記憶部24は、車載器1Aとして動作するためのアプリケーションプログラムなどを記憶するようにしても良い。
【0027】
表示部25は、プロセッサ21の制御に応じて種々の情報を表示する表示装置である。操作部26は、操作者が操作指示を入力するためのデバイスである。表示部25および操作部26は、ユーザインターフェースとして機能する。例えば、表示部25および操作部26は、タッチパネル付の表示装置によって構成される。また、表示部25は、動作状態などに応じて点灯するLEDを含むものであっても良い。また、操作部26は、キーボード、テンキー、ポインティングデバイスなどを含むものであっても良い。
【0028】
ETC通信部11は、ETC用の走行レーンに設置されるETCシステム2における路側装置と通信するための通信インターフェースである。ETC通信部11は、走行中の車両内にある車載器1Aが走行レーンの路側に設置されるアンテナ装置等を介して路側装置と規定の通信方式で通信するための通信インターフェースである。
【0029】
カードRW28は、ETCカードC1と通信するためのカードインターフェースである。カードRW28は、ETCカードC1に対するデータの読み取り、および、書込みを行うためのインターフェースである。カードRW28は、ETCカードC1の仕様に準じて構成される。例えば、ETCカードC1が接触式ICカードで実現される場合、カードRW28は、接触式ICカードと通信するICカードリーダライタにより構成される。
【0030】
インターフェース31は、カメラ12を接続する。上述したように、カメラ12は、顔画像などの認証対象者の生体情報を含む画像を取得する生体情報取得部の一例である。カメラ12は、車載器1の構成であっても良いし、インターフェース31に接続される車載器1とは別の外部装置であっても良い。
【0031】
インターフェース32は、生体センサ13を接続する。上述したように、生体センサ13は、接触又は非接触で指紋などの認証対象者の生体情報を含む情報を取得する生体情報取得部の一例である。生体センサ13は、車載器1が備える構成であっても良いし、インターフェース32に接続される車載器1とは別の外部装置であっても良い。
【0032】
インターフェース34は、カード通信部14を接続する。インターフェース34を介して接続されるカード通信部14は、証明カードC2に記録されている情報を読み取る。例えば、証明カードC3がICカードである場合、カード通信部14は、証明カードC2としてのICカードの通信方式に対応するカードリーダライタである。カード通信部14は、車載器1が備える構成であっても良いし、インターフェース34に接続される車載器1とは別の外部装置であっても良い。
【0033】
インターフェース35は、カード通信部15を接続する。インターフェース35を介して接続されるカード通信部15は、個人識別カードC3に記録されている情報を読み取る。例えば、個人識別カードC3がICカードである場合、カード通信部15は、個人識別カードC3としてのICカードの通信方式に対応するカードリーダライタである。カード通信部15は、車載器1が備える構成であっても良いし、インターフェース35に接続される車載器1とは別の外部装置であっても良い。
【0034】
次に、第1実施形態に係る車載器1Aが証明カードC2で証明される内容に基づいて料金割引の適用を有効とする割引設定処理について説明する。
図3は、第1実施形態に係る車載器1Aが証明カードC2の証明内容に基づく料金割引の適用を有効とする割引設定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
証明カードC2が証明する内容に基づく料金割引を受ける場合、車載器1Aのインターフェース34に接続されるカード通信部14には、証明カードC2が提示される。車載器1Aのプロセッサ21は、インターフェース34を介してカード通信部14により証明カードC2に通信接続する(ST11)。証明カードC2が接続されると、プロセッサ21は、証明カードC2が正当な証明カードであるか否かを確認する認証処理を行う(ST12)。
【0035】
カード通信部14に通信接続された証明カードC2が正当な証明カードであることを確認すると、プロセッサ21は、カード通信部14により証明カードC2から本人確認方法を読み取る(ST13)。証明カードC2から本人確認方法を読み取ると、プロセッサ21は、読み取った本人確認方法として実施すべき生体認証を特定する。プロセッサ21は、本人確認方法から特定した実施すべき生体認証に応じて車内にいる認証対象者から取得すべき生体情報を特定する(ST14)。
【0036】
ここで、証明カードC2に設定される本人確認方法は、車載器1Aが実行可能な生体認証の何れかであるものとする。例えば、車載器1Aが顔認証、指紋認証、虹彩認証を実行できるものとすると、証明カードC2には、本人確認方法として、顔認証、指紋認証又は虹彩認証の何れか1つ又は複数が設定される。
【0037】
また、車載器1Aのインターフェース35に接続されるカード通信部15には、所持者が証明カードC2と同一人物である個人識別カードC3が提示される。車載器1Aのプロセッサ21は、インターフェース35を介してカード通信部15により個人識別カードC3に通信接続する(ST15)。カード通信部15に個人識別カードC3が接続されると、プロセッサ21は、カード通信部15に接続したカードが正当な個人識別カードC3であるか否かを確認する認証処理を行う(ST16)。
【0038】
ここで、プロセッサ21は、ST16の処理において、証明カードC2の所持者(証明カードC2が証明する人物)と個人識別カードC3の所持者とが一致することを確認する。また、ST15およびST16の処理は、ST12-15の何れかの処理の前に実施しても良いし、ST12-15の処理と並行して実施しても良い。
【0039】
カード通信部15に通信接続されたカードが正当な個人識別カードC3であることを確認すると、プロセッサ21は、証明カードC2から読み取った本人確認方法に基づいて特定した生体認証を行うための所持者本人の生体情報を個人識別カードC3から読み取る(ST17)。
【0040】
すなわち、プロセッサ21は、証明カードC2が示す証明内容の人物の生体情報を個人識別カードC3から取得する。例えば、証明カードC2に記録された本人確認方法が顔認証である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から所持者本人の顔画像を取得する。また、証明カードC2に記録された本人確認方法が指紋認証である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から所持者本人の指紋情報を取得する。
【0041】
個人識別カードC3から所持者本人の生体情報を取得すると、プロセッサ21は、証明カードC2からの本人確認方法に基づいて特定した生体認証に応じて選択されるカメラ12又は生体センサ13などの生体情報取得部を用いて認証対象者の生体情報を取得する(ST18)。
【0042】
例えば、証明カードC2に記録された本人確認方法が顔認証である場合、プロセッサ21は、カメラ12を用いて車両に乗車している認証対象者の顔画像を含む画像を取得する。また、証明カードC2に記録された本人確認方法が指紋認証である場合、プロセッサ21は、生体センサ13としての指紋センサを用いて車両に乗車している認証対象者の指紋情報を取得する。
【0043】
認証対象者の生体情報を取得すると、プロセッサ21は、個人識別カードC3から取得した生体情報とカメラ12又は生体センサ13などの生体情報取得部で取得した認証対象者の生体情報との照合による生体認証を実行し、生体認証の成否を判定する(ST19)。
【0044】
例えば、証明カードC2に記録された本人確認方法が顔認証である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取った顔画像とカメラ12で撮影した画像から抽出する顔画像とによる顔認証を実行する。また、証明カードC2に記録された本人確認方法が指紋認証である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取る指紋情報と生体センサ13としての指紋センサが取得する指紋情報とによる指紋認証を実行する。
【0045】
生体認証が成功すると(ST19、YES)、プロセッサ21は、証明カードC2が示す証明内容に応じて料金割引が有効となるように設定する(ST20)。例えば、プロセッサ21は、料金割引を有効とするため、料金割引が有効であることを示すフラグをセットする。料金割引を有効に設定すると、プロセッサ21は、表示部25に証明カードC2を示す証明内容に応じた料金割引が設定された旨の案内を報知する(ST21)。
【0046】
例えば、プロセッサ21は、障碍内容を示す証明カードの所持者本人が車両に乗車していることを本人確認方法で指定される生体認証によって確認する。プロセッサ21は、生体認証によって車両に証明カードC2が示す障碍者が乗車していると認定した場合、障碍者割引の適用を示すフラグをセットする。この場合、プロセッサ21は、表示部25に証明カードC2が示す障碍内容に応じた障碍者割引が設定された旨の案内を表示する。
【0047】
また、証明カードC2の認証が失敗した場合(ST12、NO)、個人識別カードC3の認証が失敗した場合(ST16、NO)、あるいは、生体認証が失敗した場合(ST19、NO)、プロセッサは、料金割引が無効である旨を報知し(ST22)、処理を終了する。
【0048】
なお、上述した割引設定処理によって有効とする料金割引は、永続的に料金割引が適用とならないように、適宜、車両に乗車している対象者に対する生体認証による再設定が必要であるものとする。例えば、料金割引は、ETCシステム2における料金収受用のゲートを1度通過するごとに設定するようにしても良いし、利用する日ごとに対象者の生体認証による設定を行うようにしても良い。
【0049】
以上のように、第1実施形態に係る車載器は、料金割引が適用となる証明内容を示す証明カードと通信する第1カード通信部と証明カードと同一人物が所持する個人識別カードと通信する第2カード通信部と車両に乗車している人物から複数種類の生体情報が取得可能な生体認証取得部とプロセッサとを有する。
【0050】
第1カード通信部は、証明カードに記録された本人確認方法を示す情報を取得する。第2カード通信部は、証明カードに記録された本人確認方法に対応する本人の生体情報を個人識別カードから取得する。生体情報取得部は、証明カードに記録された本人確認方法に対応する生体認証の生体情報を取得する。プロセッサは、個人識別カードから取得した生体情報と生体情報取得部が取得する生体情報とよる生体認識が成功した場合に料金割引を有効に設定する。
【0051】
これにより、第1実施形態によれば、車両に乗車している人物が料金割引を受けられる人物であるかを生体認証によって確認でき、生体認証を成功することで料金割引が有効なるように設定できる。また、証明カードに記録される本人確認方法で生体認証を実行するように設定できるため、特定の生体情報を取得することが困難となる人物であっても確実に生体認証を実行でき、可用性が高い料金割引の運用が実現できる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態に係る車載器1Bを含むETC利用システムの構成例を示す図である。
第2実施形態に係る車載器1Bは、第1実施形態で説明した車載器1Aと同様に、有料道路などにおいて料金を収受する料金収受システム(ETCシステム)において料金の自動収受を行う車両に設けられる装置である。
【0053】
図4に示す第2実施形態に係る車載器1Bは、図1に示す車載器1Aとは個人識別カードC3と通信するカード通信部15が省略されている点が異なる。図4に示す車載器1Bは、カード通信部15が省略されている以外は第1実施形態で説明した車載器1Aと同様な構成を備える。
【0054】
また。車載器1Bは、制御系の構成についても、第1実施形態で説明した図2に示す構成からカード通信部15およびカード通信部15に接続するインターフェース35を省略したものとなる。このため、第2実施形態に係る車載器1Bについては、各構成に対する詳細な説明を省略するものとする。
【0055】
ただし、第2実施形態において、証明カードC2は、ETCシステム2による料金割引の対象者本人であることを確認するための本人確認方法に対応する所持者本人の個人情報としての生体情報が事前に記録されているものとする。証明カードC2に記録する生体情報は、所持者本人の身体的な特徴あるいは所持者本人の意向などに応じて選択したものが設定される。第2実施形態に係る車載器1Bは、証明カードC2から取得する生体情報に応じて本人確認のために実施する生体認証を特定する。
【0056】
なお、証明カードC2に記録する生体情報は、当該証明カードC2を発行(管理)する公的機関などで設定(登録又は更新)するようにしても良いし、事前に車載器1Aなどを用いて設定(登録又は更新)するようにしても良い。
【0057】
また、証明カードC2に複数の生体情報を記録する場合、証明カードC2には、第1実施形態で説明した本人確認方法のように、車載器1Bが本人確認のために実施すべき生体認証を示す本人確認方法を記録しておくようにしても良い。この場合、車載器1Bは、証明カードC2に記録された本人確認方法が示す生体認証に対応する生体情報を証明カードC2から取得するようにすれば良い。
【0058】
次に、第2実施形態に係る車載器1Bが車両に乗車している人物に応じて料金割引の適用を有効とするための処理について説明する。
図5は、第2実施形態に係る車載器1Bが車両に乗車している人物に応じた料金割引の適用を有効とする割引設定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図5に示す割引設定処理は、証明カードC2が証明する内容の対象である人物が当該車載器1Bを搭載した車両に乗車した状態で実施される。例えば、割引設定処理は、対象者が車両に乗車した場合、あるいは、車両が有料道路に進入した後に料金収受するゲート(例えば出場口)に到達するまでの間などに実施される。
【0059】
証明カードC2が証明する内容に基づく料金割引を受ける場合、料金割引が適用される人物の証明カードC2が車載器1Bのインターフェース34に接続されるカード通信部14に提示される。車載器1Bのプロセッサ21は、インターフェース34を介してカード通信部14により証明カードC2に通信接続する(ST31)。証明カードC2が接続されると、プロセッサ21は、カード通信部14に通信接続された証明カードC2が正当な証明カードであるか否かを確認する認証処理を行う(ST32)。
【0060】
接続された証明カードC2が正当な証明カードであることを確認すると、プロセッサ21は、カード通信部14により証明カードC2に記録されている生体情報を読み取る(ST33)。プロセッサ21は、証明カードC2に記録されている生体情報を読み取ると、読み取った生体情報がどのような生体情報であるかを特定する(ST34)。例えば、車載器1Bが生体認証として顔認証、指紋認証、虹彩認証が実施可能な運用であれば、プロセッサ21は、証明カードC2から読み取った生体情報が顔画像であるか、指紋情報であるか、虹彩情報であるかを特定する。
【0061】
証明カードC2から読み取った生体情報を特定すると、プロセッサ21は、証明カードC2からの読み取った生体情報に対応する認証対象者の生体情報をカメラ12又は生体センサ13により取得する(ST35)。すなわち、プロセッサ21は、証明カードC2から読み取った生体情報を特定することで、本人確認として実施すべき生体認証を特定する。プロセッサ21は、証明カードC2から読み取った生体情報から特定した生体認証を実行するために、特定した生体認証に対応する生体情報を車両に乗車している認証対象から取得する。
【0062】
例えば、証明カードC2から読み取った生体情報が顔画像である場合、プロセッサ21は、証明カードC2から所持者本人の顔画像を取得し、カメラ12により車両に乗車している認証対象者の顔画像を含む画像を取得する。また、証明カードC2から読み取った生体情報が指紋情報である場合、プロセッサ21は、証明カードC2から所持者本人の指紋情報を取得し、生体センサ13としての指紋センサにより車両に乗車している認証対象者の指紋情報を取得する。
【0063】
認証対象者の生体情報を取得すると、プロセッサ21は、証明カードC2から取得した生体情報とカメラ12又は生体センサ13などの生体情報取得部で取得した認証対象者の生体情報との照合による生体認証を実行する(ST36)。
【0064】
例えば、証明カードC2から読み取った生体情報が顔画像である場合、プロセッサ21は、証明カードC2から読み取った顔画像とカメラ12で撮影した画像から抽出する顔画像とによる顔認証を実行する。また、証明カードC2から読み取った生体情報が指紋認証である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取る指紋情報と生体センサ13としての指紋センサが取得する指紋情報とによる指紋認証を実行する。
【0065】
生体認証が成功すると(ST36、YES)、プロセッサ21は、証明カードC2が示す証明内容に応じた料金割引が有効となるように設定する(ST37)。料金割引を有効に設定する場合、プロセッサ21は、表示部25に証明カードC2を示す証明内容に応じた料金割引が設定された旨の案内を報知する(ST38)。
【0066】
例えば、プロセッサ21は、生体認証によって証明カードC2が示す障碍者が車両に乗車していることを認定し、障碍者割引の適用を示すフラグをセットする。この場合、プロセッサ21は、表示部25に証明カードC2が示す障碍内容に応じた障碍者割引が設定された旨の案内を表示する。
【0067】
また、証明カードC2の認証が失敗した場合(ST32、NO)、あるいは、証明カードC2から取得した生体情報による生体認証が失敗した場合(ST36、NO)、プロセッサは、当該車載器と搭載した当該車両に対する料金割引が無効である旨を報知し(ST39)、処理を終了する。
【0068】
なお、証明カードC2から取得した生体情報による生体認証の成功によって有効とする料金割引は、永続的に適用とならないように、適宜生体認証による再設定が必要であるものとする。例えば、料金割引は、ETCシステム2における料金収受用のゲートを1度通過するごとに設定するようにしても良いし、利用する日ごとに対象者の生体認証による設定を行うようにしても良い。
【0069】
以上のように、第2実施形態に係る車載器は、料金割引が適用となる証明内容を示す証明カードと通信するカード通信部と車両に乗車している人物から複数種類の生体情報が取得可能な生体認証取得部とプロセッサとを有する。カード通信部は、証明カードに記録された所持者本人の生体情報を取得する。生体情報取得部は、証明カードに記録された生体情報に対応する生体情報を車両に乗車している認証対象者から取得する。プロセッサは、証明カードから取得した生体情報と生体情報取得部が取得する生体情報とよる生体認識が成功した場合に料金割引を有効に設定する。
【0070】
これにより、第2実施形態によれば、車両に乗車している人物が料金割引を受けられる人物であるかを証明カードに設定した生体情報による生体認証で確認でき、生体認証を成功することで料金割引が有効なるように設定できる。
【0071】
また、証明カードの所持者本人が車両に実際に乗車しているか否かを確認する本人確認のために実行する生体認証に用いる生体情報を証明カードに事前に設定できる。これにより、個人に合った生体情報を証明カードに登録しておけば、特定の生体情報を取得することが困難となる人物であっても自身が所持する証明カードを車載器に提示することで、所望の生体情報による生体認証で本人確認するようにでき、可用性が高い料金割引の運用が実現できる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態に係る車載器1Cを含むETC利用システムの構成例を示す図である。
車載器1Cは、第1実施形態で説明した車載器1Aと同様に、有料道路などにおいて料金を収受する料金収受システム(ETCシステム)において料金の自動収受を行う車両に設けられる装置である。
【0073】
図6に示す第3実施形態に係る車載器1Cは、図1に示す車載器1Aとは証明カードC2と通信するカード通信部14が省略されている点が異なる。図6に示す車載器1Cは、カード通信部14が省略されている以外は第1実施形態で説明した車載器1Aと同様な構成を備える。
【0074】
また、第3実施形態に係る車載器1Cは、制御系の構成についても、第1実施形態で説明した図2に示す構成からカード通信部14およびカード通信部14に接続するインターフェース34を省略したものとなる。このため、第3実施形態に係る車載器1Cについては、各構成に対する詳細な説明を省略するものとする。
【0075】
ただし、第3実施形態において、個人識別カードC3は、ETCシステム2による料金割引の対象者となる内容(例えば、障碍者であること)を示す情報を含む個人情報が記録される。個人識別カードC3は、料金割引の対象者本人であることを確認するための本人確認方法に対応する所持者本人の個人情報としての生体情報が事前に記録されているものとする。個人識別カードC3に記録する生体情報は、所持者本人の身体的な特徴あるいは所持者本人の意向などに応じて選択したものが設定される。第3実施形態に係る車載器1Cは、個人識別カードC3から取得する生体情報に応じて本人確認のために実施する生体認証を特定する。
【0076】
なお、個人識別カードC3に記録する生体情報は、当該個人識別カードC3を発行(管理)する公的機関などで設定(登録又は更新)するようにしても良いし、事前に車載器1Aなどを用いて設定(登録又は更新)するようにしても良い。
【0077】
また、個人識別カードC3に複数の生体情報を記録する場合、個人識別カードC3には、第1実施形態で説明した本人確認方法のように、車載器1Cが本人確認のために実施すべき生体認証を示す本人確認方法を記録しておくようにしても良い。この場合、車載器1Cは、本人確認方法が示す生体認証に対応する生体情報を個人識別カードC3から取得するようにすれば良い。
【0078】
次に、第3実施形態に係る車載器1Cが車両に乗車している人物に応じて料金割引の適用を有効とする割引設定処理について説明する。
図7は、第3実施形態に係る車載器1Cが車両に乗車している人物に応じた料金割引の適用を有効とする割引設定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図7に示す割引設定処理は、個人識別カードC3が証明する内容の対象である人物が当該車載器1Cを搭載した車両に乗車した状態で実施される。例えば、割引設定処理は、対象者が車両に乗車した場合、あるいは、車両が有料道路に進入した後に料金収受するゲート(例えば出場口)に到達するまでの間などに実施される。
【0079】
個人識別カードC3を用いて料金割引を受ける場合、料金割引が適用される人物が所持する個人識別カードC3が車載器1Cのインターフェース35に接続されるカード通信部15に提示される。車載器1Cのプロセッサ21は、インターフェース35を介してカード通信部15により個人識別カードC3に通信接続する(ST51)。個人識別カードC3が接続されると、プロセッサ21は、カード通信部15に通信接続された個人識別カードC3が正当な個人識別カードであるか否かを確認する認証処理を行う(ST52)。
【0080】
接続された個人識別カードC3が正当な個人識別カードであることを確認すると、プロセッサ21は、カード通信部15により個人識別カードC3に記録されている生体情報を読み取る(ST53)。プロセッサ21は、個人識別カードC3に記録されている生体情報を読み取ると、読み取った生体情報がどのような生体情報であるかを特定する(ST54)。例えば、車載器1Cが生体認証として顔認証、指紋認証、虹彩認証が実施可能な運用であれば、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取った生体情報が顔画像であるか、指紋情報であるか、虹彩情報であるかを特定する。
【0081】
個人識別カードC3から読み取った生体情報を特定すると、プロセッサ21は、個人識別カードC3からの読み取った生体情報に対応する認証対象者の生体情報をカメラ12又は生体センサ13により取得する(ST55)。すなわち、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取った生体情報を特定することで、本人確認として実施すべき生体認証を特定する。プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取った生体情報による生体認証を実行するために、特定した生体認証に対応する生体情報を車両に乗車している認証対象者から取得する。
【0082】
例えば、個人識別カードC3から読み取った生体情報が顔画像である場合、プロセッサ21は、カメラ12により車両に乗車している認証対象者の顔画像を含む画像を取得する。また、個人識別カードC3から読み取った生体情報が指紋認証である場合、プロセッサ21は、生体センサ13としての指紋センサにより車両に乗車している認証対象者の指紋情報を取得する。
【0083】
認証対象者の生体情報を取得すると、プロセッサ21は、個人識別カードC3から取得した生体情報とカメラ12又は生体センサ13などの生体情報取得部で取得した認証対象者の生体情報との照合による生体認証を実行する(ST56)。
【0084】
例えば、個人識別カードC3から読み取った生体情報が顔画像である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取った顔画像とカメラ12で撮影した画像から抽出する顔画像とによる顔認証を実行する。また、個人識別カードC3から読み取った生体情報が指紋情報である場合、プロセッサ21は、個人識別カードC3から読み取る指紋情報と生体センサ13としての指紋センサが取得する指紋情報とによる指紋認証を実行する。
【0085】
生体認証が成功すると(ST56、YES)、プロセッサ21は、個人識別カードC3の所持者本人が車両に乗車していることを認定し、当該人物に適用される料金割引が有効となるように設定する(ST57)。料金割引を有効に設定する場合、プロセッサ21は、表示部25に個人識別カードC3の所持者本人が乗車している場合に適用される料金割引が設定された旨の案内を報知する(ST58)。
【0086】
例えば、プロセッサ21は、障碍者が所持する個人識別カードC3から取得する生体情報に基づく生体認証によって個人識別カードC3の所持者(障碍者)本人が車両に乗車していることを認定し、障碍者割引の適用を示すフラグをセットする。この場合、プロセッサ21は、表示部25に障碍者割引が設定された旨の案内を表示する。
【0087】
また、個人識別カードC3の認証が失敗した場合(ST52、NO)、あるいは、個人識別カードC3から取得した生体情報による生体認証が失敗した場合(ST36、NO)、プロセッサは、当該車載器と搭載した当該車両に対する料金割引が無効である旨を報知し(ST59)、処理を終了する。
【0088】
なお、個人識別カードC3から取得する生体情報に対する生体認証の成功によって有効とする料金割引は、永続的に適用とならないように、適宜、生体認証による再設定が必要であるものとする。例えば、料金割引は、ETCシステム2における料金収受用のゲートを1度通過するごとに設定するようにしても良いし、利用する日ごとに対象者の生体認証による設定を行うようにしても良い。
【0089】
以上のように、第3実施形態に係る車載器は、料金割引が適用となる個人が所持する個人識別カードと通信するカード通信部と車両に乗車している人物から複数種類の生体情報が取得可能な生体認証取得部とプロセッサとを有する。カード通信部は、個人識別カードに記録された生体情報を取得する。生体情報取得部は、個人識別カードに記録された生体情報に対応する生体認証用の生体情報を車両に乗車している認証対象者から取得する。プロセッサは、個人識別カードから取得した生体情報と生体情報取得部が取得する生体情報とよる生体認識が成功した場合に料金割引を有効に設定する。
【0090】
これにより、第3実施形態によれば、車両に乗車している人物が料金割引を受けられる人物であるかを個人識別カードに設定した生体情報に対する生体認証によって確認でき、生体認証を成功することで料金割引が有効なるように設定できる。
【0091】
また、個人識別カードの所持者本人が車両に乗車しているか否かを確認する本人確認のために実行する生体認証用の生体情報を事前に個人識別カードに設定できる。このため、個人に合った生体情報を個人識別カードに登録しておけば、特定の生体情報を取得することが困難となる人物であっても自身が所持する個人識別カードを車載器に提示することで、個人に合った生体情報による生体認証で本人確認でき、可用性が高い料金割引の運用が実現できる。
【0092】
なお、上述した各実施形態では、車載器1が生体認証を実行するものとしたが、車載器1が備えるインターフェースに接続する外部の装置が生体認証を実行するようにしても良い。例えば、インターフェース34又は35に接続する証明カードC2又は個人識別カードC3は、生体認証機能を備えるICカードやスマートフォン等の携帯端末などの携帯可能な電子装置であっても良い。この場合、証明カードC2又は個人識別カードC3としての携帯可能な電子装置は、車載器1から要求に応じて生体認証を実行し、その生体認証の結果を車載器1に供給するようにしても良い。
【0093】
また、インターフェース31又は32に接続するカメラ12又は生体センサ13が生成認証機能を備えるようにしても良い。この場合、カメラ12又は生体センサ13は、車載器1のプロセッサ21からの要求に応じて生体認証を実行し、その生体認証の結果をプロセッサ21に通知するようにしても良い。
【0094】
また、インターフェース34又は35に接続する証明カードC2又は個人識別カードC3は、車両に乗車している人物の生体情報を取得するハードウエア(例えば、生体センサ、カメラ)を備えるICカードのような携帯可能電子装置であっても良い。この場合、証明カードC2又は個人識別カードC3としての携帯可能電子装置は、車載器1から要求に応じて車両に乗車している人物の生体情報を取得し、取得した生体情報を車載器1に供給するようにしても良い。このように構成すれば、生体情報を取得する生体情報取得部を具備しない車載器であっても、上述したような第1、第2および第3実施形態で説明した動作が実現できる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1(1A、1B、1C)…車載器、C2…証明カード(認証媒体)、C3…個人識別カード(認証媒体)、11…ETC通信部、12…カメラ(生体情報取得部)、13…生体センサ(生体情報取得部)、14…カード通信部、15…カード通信部、21…プロセッサ、24…記憶部、25…表示部、26…操作部、31、32…インターフェース(生体情報入力インターフェース)、34、35…インターフェース(カードインターフェース)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7