(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044930
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230327BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G06K7/10 240
B65G1/137 A
G06K7/10 268
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153053
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 伸之
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE01
3F522EE18
3F522FF02
3F522FF12
3F522GG03
3F522GG27
3F522LL36
3F522LL61
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】物品の在庫管理の精度が向上する在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理システムを提供する。
【解決手段】在庫管理装置7は、冷蔵庫3の内部及び冷蔵庫3の外部にそれぞれ設けられ、物品Wに付されたRFIDタグ6と通信するための第1アンテナ71及び第2アンテナ72と、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する物品Wに付されたRFIDタグ6との通信を第1アンテナ71及び第2アンテナ72により行うことで、RFIDタグ6からの第1電波及び通信タグからの第2電波をそれぞれ第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介して受信し、第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定するコントローラ74と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管エリアの内部及び前記保管エリアの外部にそれぞれ設けられ、物品に付された通信タグと通信するための第1アンテナ及び第2アンテナと、
前記保管エリアの内部と前記保管エリアの外部との境界に位置する所定箇所を通過する物品に付された前記通信タグとの通信を前記第1アンテナ及び前記第2アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第1電波及び前記通信タグからの第2電波をそれぞれ前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを介して受信し、前記第1電波の強度と前記第2電波の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品の搬出搬入を判定するコントローラと、を備える、
在庫管理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1電波及び前記第2電波の両方が受信された受信時間の前半にある第1時間帯における前記第1電波の強度の平均値である第1電波強度平均値と、前記第1時間帯における前記第2電波の強度の平均値である第2電波強度平均値と、前記受信時間の後半にある第2時間帯における前記第1電波の強度の平均値である第3電波強度平均値と、前記第2時間帯における前記第2電波の強度の平均値である第4電波強度平均値と、を算出し、
前記第1電波強度平均値、前記第2電波強度平均値、前記第3電波強度平均値及び前記第4電波強度平均値に基づいて、物品の搬出搬入を判定する、
請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1電波強度平均値と前記第2電波強度平均値との大小関係、及び、前記第3電波強度平均値と前記第4電波強度平均値との大小関係に基づいて、物品の搬出搬入を判定する、
請求項2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1電波強度平均値が前記第2電波強度平均値よりも大きく、かつ、前記第4電波強度平均値が前記第3電波強度平均値よりも大きい場合に、物品が前記所定箇所を通過する動作は物品の搬出であると判定し、
前記第2電波強度平均値が前記第1電波強度平均値よりも大きく、かつ、前記第3電波強度平均値が前記第4電波強度平均値よりも大きい場合に、物品が前記所定箇所を通過する動作は物品の搬入であると判定する、
請求項3に記載の在庫管理装置。
【請求項5】
前記保管エリアの外部に位置する包装材回収場の近傍に設けられ、物品に付された前記通信タグと通信するための第3アンテナをさらに備え、
前記コントローラは、
前記通信タグとの通信を前記第3アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第3電波を前記第3アンテナを介して受信し、所定時間内に受信した前記第1電波、前記第2電波及び前記第3電波のうち前記第3電波の強度が前記第1電波の強度及び前記第2電波の強度よりも大きい場合に、前記通信タグが付された物品の包装材が前記包装材回収場に回収されたと判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の在庫管理装置。
【請求項6】
保管エリアの内部及び前記保管エリアの外部にそれぞれ設けられ、物品に付された通信タグと通信するための第1アンテナ及び第2アンテナを用いて物品の在庫を管理する在庫管理方法であって、
前記保管エリアの内部と前記保管エリアの外部との境界に位置する所定箇所を通過する物品に付された前記通信タグとの通信を前記第1アンテナ及び前記第2アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第1電波及び前記通信タグからの第2電波をそれぞれ前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを介して受信する受信ステップと、
前記第1電波の強度と前記第2電波の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品の搬出搬入を判定する判定ステップと、を含む、
在庫管理方法。
【請求項7】
物品に付された通信タグと、
保管エリアの内部及び前記保管エリアの外部にそれぞれ設けられ、前記通信タグと通信するための第1アンテナ及び第2アンテナと、
前記保管エリアの内部と前記保管エリアの外部との境界に位置する所定箇所を通過する物品に付された前記通信タグとの通信を前記第1アンテナ及び前記第2アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第1電波及び前記通信タグからの第2電波をそれぞれ前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを介して受信し、前記第1電波の強度と前記第2電波の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品の搬出搬入を判定するコントローラと、を備える、
在庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品に付されたRFIDタグと、保管エリア内に設けられRFIDタグとの通信を行うアンテナとを用いて物品の在庫管理を行うこと(すなわち、保管エリアに保管された物品を静止状態で検知すること)が提案されていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、食品保管容器と、食品保管容器に取り付けられた食品の識別情報の授受を行う情報タグと、冷蔵庫に設けられ情報タグとの情報の送受信を行う情報タグ送受信装置を備える在庫管理機能付き冷蔵庫が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の在庫管理機能付き冷蔵庫では、多数の食品保管容器が積み重なって保管されるため、検知の精度が低下してしまう。これにより、在庫管理の精度が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、物品の在庫管理の精度が向上する在庫管理装置、在庫管理方法及び在庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、保管エリアの内部及び前記保管エリアの外部にそれぞれ設けられ、物品に付された通信タグと通信するための第1アンテナ及び第2アンテナと、前記保管エリアの内部と前記保管エリアの外部との境界に位置する所定箇所を通過する物品に付された前記通信タグとの通信を前記第1アンテナ及び前記第2アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第1電波及び前記通信タグからの第2電波をそれぞれ前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを介して受信し、前記第1電波の強度と前記第2電波の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品の搬出搬入を判定するコントローラと、を備える在庫管理装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、保管エリアの内部及び前記保管エリアの外部にそれぞれ設けられ、物品に付された通信タグと通信するための第1アンテナ及び第2アンテナを用いて物品の在庫を管理する在庫管理方法であって、前記保管エリアの内部と前記保管エリアの外部との境界に位置する所定箇所を通過する物品に付された前記通信タグとの通信を前記第1アンテナ及び前記第2アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第1電波及び前記通信タグからの第2電波をそれぞれ前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを介して受信する受信ステップと、前記第1電波の強度と前記第2電波の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品の搬出搬入を判定する判定ステップと、を含む在庫管理方法が提供される。
【0009】
本発明のその他の態様によれば、物品に付された通信タグと、保管エリアの内部及び前記保管エリアの外部にそれぞれ設けられ、前記通信タグと通信するための第1アンテナ及び第2アンテナと、前記保管エリアの内部と前記保管エリアの外部との境界に位置する所定箇所を通過する物品に付された前記通信タグとの通信を前記第1アンテナ及び前記第2アンテナにより行うことで、前記通信タグからの第1電波及び前記通信タグからの第2電波をそれぞれ前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを介して受信し、前記第1電波の強度と前記第2電波の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品の搬出搬入を判定するコントローラと、を備える在庫管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
これらの態様によれば、物品の在庫管理の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る在庫管理システムを示す概略図である。
【
図2】RFIDタグの構成を示すブロック図である。
【
図3】コントローラ及びコントローラと接続される部品の構成を示すブロック図である。
【
図4】在庫管理状況を表示部に表示する一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る在庫管理処理を示すフローチャートである。
【
図6】物品が冷蔵庫の内部から冷蔵庫の外部へ搬出されたことを判定するメカニズムを説明する説明図である。
【
図7】物品が冷蔵庫の外部から冷蔵庫の内部へ搬入されたことを判定するメカニズムを説明する説明図である。
【
図8】変形例に係る在庫管理システムを示す概略図である。
【
図9】第2実施形態に係る在庫管理処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と称する。)について説明する。なお、本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0013】
(在庫管理システム)
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る在庫管理システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る在庫管理システム1を示す概略図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る在庫管理システム1は、例えば、飲食店等の店舗2の在庫管理に用いられる。具体的には、在庫管理システム1は、店舗2の保管エリア(具体的には、保管庫)としての冷蔵庫3に保管された物品Wの在庫を管理するシステムである。ここで、物品Wとは、店舗2で直接販売されるものであってもよく、店舗2で提供される飲食物であってもよく、飲食物を調理するための材料であってもよい。本実施形態では、保管エリアは、冷蔵庫3から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、温度調整機能を有さない倉庫から構成されてもよい。
【0015】
店舗2は、店舗2の裏側に設けられるウォークイン式の冷蔵庫3と、冷蔵庫3と隣接するように冷蔵庫3の外部に設けられる調理場4と、冷蔵庫3と離間するように冷蔵庫3の外部に設けられる作業台5と、を備える。
【0016】
冷蔵庫3は、冷蔵庫3の正面壁に形成される所定箇所としての第1ゲート31と、冷蔵庫3の側面壁に形成される所定箇所としての第2ゲート32と、を有する。
【0017】
第1ゲート31及び第2ゲート32は、従業員又は台車等が通過可能なゲートであり、物品Wの搬出搬入に用いられる。第1ゲート31には、第1ゲート31を開閉する第1ウォークイン扉311がヒンジ接続される。第2ゲート32には、第2ゲート32を開閉する第2ウォークイン扉321がヒンジ接続される。
【0018】
本実施形態では、所定箇所(すなわち、第1ゲート31及び第2ゲート32)は、冷蔵庫3の壁部(具体的には、冷蔵庫3の正面壁及び側面壁)に形成されている。しかしながら、所定箇所は、これに限定されるものではなく、例えば、倉庫の内部と倉庫の外部とを仕切るための仕切材としてのビニールカーテン等によって取り囲まれて形成されてもよく、また、壁部とビニールカーテンとの組み合わせによって取り囲まれて形成されてもよい。
【0019】
すなわち、所定箇所は、保管エリアの内部と保管エリアの外部との境界に位置し、かつ、通可能なものであれば足る。なお、保管エリアの内部と保管エリアの外部との境界には、必ずしも両者を仕切るための壁部やビニールカーテンが形成されなくてもよい。
【0020】
調理場4には、調理器具としての調理鍋41が隣接して設けられる。
【0021】
作業台5の下方には、包装材回収場としてのごみ箱51が設けられる。ごみ箱51は、使用済物品Wの包装材を回収する。なお、物品Wの包装材の外面には、RFIDタグ6(
図2参照)が付される。
【0022】
在庫管理システム1は、物品W(具体的には、物品Wの包装材の外面)に付された通信タグとしてのRFIDタグ6及び在庫管理装置7を備える。なお、RFIDタグ6及び在庫管理装置7の詳細については後述する。
【0023】
(RFIDタグ)
次に、
図2を参照しながら本実施形態に係るRFIDタグ6の構成について説明する。
図2は、RFIDタグ6の構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、RFIDタグ6は、記憶部としてのICチップ61及び通信部としてのアンテナ62を備える。また、RFIDタグ6は、パッシグタグであることが好ましい。
【0025】
ICチップ61には、物品Wに関する情報が書き込まれる。ここで、物品Wに関する情報としては、例えば、物品Wの種類、生産日、賞味期限、重量、受注番号等を含むが、これらに限定されるものではない。アンテナ62は、ICチップ61と接続され後述する各アンテナ71,72,73との通信を行う。
【0026】
(在庫管理装置)
次に、
図1及び
図4を参照しながら本実施形態に係る在庫管理装置7の構成について説明する。
【0027】
図3は、コントローラ74及びコントローラ74と接続される部品の構成を示すブロック図である。
図4は、在庫管理状況を表示部75に表示する一例を示す図である。
【0028】
図1及び
図4に示すように、在庫管理装置7は、第1アンテナ71、第2アンテナ72、第3アンテナ73、コントローラ74及び表示部75を備える。第1アンテナ71、第2アンテナ72及び第3アンテナ73は、同様のアンテナから構成され、いずれもRFIDタグ6のアンテナ62との通信を所定時間間隔(例えば、数ミリ秒程度)で行う。コントローラ74は、第1アンテナ71、第2アンテナ72、第3アンテナ73及び表示部75と接続される。
【0029】
図1に示すように、第1アンテナ71は、冷蔵庫3の内部に設けられる。具体的には、第1アンテナ71は、冷蔵庫3の天井又は側壁に設けられる。通信性能の向上を図る観点から第1アンテナ71を冷蔵庫3の天井に設けることが好ましい。第1アンテナ71の数は、ゲート31,32の数と対応する。第1アンテナ71は、それぞれ第1ゲート31及び第2ゲート32の近傍に位置するように冷蔵庫3の内部に設けられる。各第1アンテナ71は、第1通信エリアC1を有する。
【0030】
図1に示すように、第2アンテナ72は、冷蔵庫3の外部に設けられる。具体的には、第2アンテナ72は、冷蔵庫3の外部の天井に設けられる。第2アンテナ72の数は、ゲート31,32の数と対応する。第2アンテナ72は、それぞれ第1ゲート31及び第2ゲート32の近傍に位置するように冷蔵庫3の外部に設けられる。各第2アンテナ72は、第2通信エリアC2を有する。
【0031】
すなわち、第1アンテナ71と第2アンテナ72とは、第1ゲート31又は第2ゲート32を挟んで対となるように冷蔵庫3の内部及び外部に設けられる。この場合、第1アンテナ71の第1通信エリアC1と第2アンテナ72の第2通信エリアC2とが重なる部分は、重複通信エリアCCとなる。重複通信エリアCCは、第1ゲート31又は第2ゲート32をカバーできるように冷蔵庫3の内部と冷蔵庫3の外部とを跨って形成される。
【0032】
本実施形態では、第1アンテナ71と第2アンテナ72とは、これらと対応する第1ゲート31又は第2ゲート32との間の距離が一致するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、当該距離が相違するように設けられてもよい。
【0033】
図1に示すように、一方の第1アンテナ71及び他方の第1アンテナ71は、第1アンテナ71の第1通信エリアC1間が干渉しないように設けられるとともに、一方の第2アンテナ72及び他方の第2アンテナ72は、第2アンテナ72の第2通信エリアC2間が干渉しないように設けられる。これにより、ノイズによる物品Wの搬出搬入の誤判定を抑制することができる。
【0034】
また、
図1に示すように、一方の第1アンテナ71の第1通信エリアC1と他方の第2アンテナ72の第2通信エリアC2とは、重ならない。他方の第1アンテナ71の第1通信エリアC1と一方の第2アンテナ72の第2通信エリアC2とは、重ならない。
【0035】
第3アンテナ73は、ごみ箱51と対向するように作業台5の裏面(すなわち、ごみ箱51の近傍)に設けられる。第3アンテナ73は、第3通信エリアC3を有する。第3アンテナ73の第3通信エリアC3は、第1アンテナ71の第1通信エリアC1及び第2アンテナ72の第2通信エリアC2とは重ならない。
【0036】
コントローラ74は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)741(
図3参照)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ74は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0037】
コントローラ74は、RFIDタグ6からの電波(具体的には、第1電波P1、第2電波P2及び第3電波/
図6及び
図7参照)をそれぞれ各アンテナ71,72,73を介して受信し、受信した電波(具体的には、第1電波P1、第2電波P2及び第3電波)の強度に基づいて物品Wの在庫管理を実行する。
【0038】
具体的には、コントローラ74は、RFIDタグ6からの第1電波P1及びRFIDタグ6からの第2電波P2をそれぞれ第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介して受信し、第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定する。
【0039】
また、コントローラ74は、RFIDタグ6からの第3電波を第3アンテナ73を介して受信し、所定時間内に受信した第1電波P1、第2電波P2及び第3電波のうち第3電波の強度が第1電波P1の強度及び第2電波P2の強度よりも大きい場合に、物品Wの包装材がごみ箱51に回収されたと判定する。
【0040】
図3に示すように、コントローラ74は、互いに電気的に接続されるリーダとしての入出力インタフェース741、記憶部742、判定用データ選択部743、時間帯特定部744、算出部745、判定部746及び在庫管理部747を有する。本実施形態では、判定用データ選択部743、時間帯特定部744、算出部745、判定部746及び在庫管理部747は、コントローラ74の各機能を実現するためのソフトウェアから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ハードウェアから構成されてもよい。
【0041】
入出力インタフェース741は、RFIDタグ6からの各電波(具体的には、第1電波P1、第2電波P2及び第3電波)を各アンテナ71,72,73を介して受信する。
【0042】
記憶部742は、受信した各電波を記憶するためのメモリである。また、記憶部742は、判定用データ選択部743、時間帯特定部744、算出部745、判定部746及び在庫管理部747において実行される処理プログラム及びアルゴリズムプログラムを記憶している。さらに、記憶部742は、各種類の物品Wの在庫数、各種類の物品Wの搬出数、各種類の物品Wの搬入数、各種類の物品Wの使用数及び後述する所定時間を記憶している。本実施形態では、記憶部742は、コントローラ74に内蔵されているが、これに限定されるものではなく、例えば、コントローラ74とは別体に設けられてもよい。
【0043】
ここで、各種類の物品Wの在庫数は、冷蔵庫3に保管された各種類の物品Wの在庫数である。各種類の物品Wの搬出数は、冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出された各種類の物品Wの搬出数である。各種類の物品Wの搬入数は、冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入された各種類の物品Wの搬入数である。各種類の物品Wの使用数は、店舗2内にて使用された各種類の物品Wの使用数である。
【0044】
判定用データ選択部743、時間帯特定部744、算出部745、判定部746及び在庫管理部747の詳細については、在庫管理処理において後述する。
【0045】
図4に示すように、表示部75は、コントローラ74により実行された各種類の物品Wの在庫管理状況を表示する。そして、ユーザとしての従業員は、表示部75に表示された各種類の物品Wの在庫管理状況に基づいて各種類の物品Wの発注を容易に行うことができる。ここで、在庫管理状況は、物品Wの在庫数、物品Wの搬出数、物品Wの搬入数及び物品Wの使用数との項目を含む。
【0046】
(在庫管理処理)
次に、
図4から
図7を参照しながら物品Wの在庫管理処理について詳細に説明する。本実施形態では、第1ゲート31を経由する物品Wの搬出搬入の処理を例として説明しているが、第2ゲート32を経由する物品Wの搬出搬入の処理は、第1ゲート31を経由する物品Wの搬出搬入の処理と同様であるため、その説明を省略する。また、本実施形態では、単一の物品Wの搬出搬入の処理を例として説明しているが、同種類の複数の物品Wの同時搬出搬入の処理及び異なる種類の物品Wの同時搬出搬入の処理が単一の物品Wの搬出搬入の処理と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0047】
図5は、本実施形態に係る在庫管理処理を示すフローチャートである。
図6は、物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出されたことを判定するメカニズムを説明する説明図である。
図7は、物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入されたことを判定するメカニズムを説明する説明図である。
【0048】
在庫管理装置7の電源を入れると、在庫管理処理が開始される。
【0049】
図5に示すように、まず、ステップS101において、入出力インタフェース741は、記憶部742に記憶された所定時間(すなわち、所定周期)内にRFIDタグ6からの第1電波P1及び第2電波P2をそれぞれ第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介して受信する。そして、入出力インタフェース741は、所定時間内に受信したRFIDタグ6からの第1電波P1及び第2電波P2を記憶部742、判定用データ選択部743及び判定部746に出力し、ステップS102に進む。なお、所定時間は、例えば、数セカンドから十数セカンド程度の時間であり、実際の必要に応じて可変に設定されてもよい。
【0050】
次に、ステップS102において、判定部746は、入出力インタフェース741から出力された第1電波P1及び第2電波P2に基づいて、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間の有無を判定する。
【0051】
そして、判定部746は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間があると判定した場合(Yesの場合)に、受信時間有結果を判定用データ選択部743に出力し、ステップS103に進む。一方、判定部746は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間がないと判定した場合(Noの場合)に、ステップS101に戻る。
【0052】
次に、ステップS103において、判定用データ選択部743は、物品Wの搬出搬入を判定するための判定用データを選択する。そして、判定用データ選択部743は、選択した判定用データを時間帯特定部744及び算出部745に出力し、ステップS104に進む。
【0053】
ここで、
図6及び
図7を参照しながら判定用データの詳細について説明する。
【0054】
判定用データは、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間(すなわち、物品Wが第1ゲート31を通過する前後)における重複通信エリアCCの第1電波P1の強度及び第2電波P2の強度の時系列変化に関するデータ(
図6及び
図7参照)である。
【0055】
図6及び
図7に示す判定用データにおいて、距離を横軸とし、電波の強度を縦軸とし、矢印が指す方向を時間推移方向とする。第1ゲート31は、横軸の中央近傍に位置する。第1ゲート31の左側に位置するエリアは、冷蔵庫3の内部であり、一方、第1ゲート31の右側に位置するエリアは、冷蔵庫3の外部である。第1アンテナ71と第2アンテナ72とは、第1ゲート31を挟むようにそれぞれ第1ゲート31の左右側に位置する。本実施形態では、重複通信エリアCCは、第1ゲート31が含まれるように第1アンテナ71と第2アンテナ72との間に位置する。
【0056】
隣接する第1電波P1又は第2電波P2間の間隔は、所定時間間隔である。また、判定用データにおいて、複数の第1電波P1又は複数の第2電波から形成される第1仮想曲線L1又は第2仮想曲線L2から大きく逸脱する第1逸脱電波p1又は第2逸脱電波p2は、反射等の原因によるノイズである。さらに、判定用データにおいて、第1ゲート31の近傍に反射等の原因によって第1電波P1又は第2電波P2が受信されていないブランクエリアBが形成される。
【0057】
図6において、ブランクエリアBの左側に位置する第1時間領域T1は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間の前半であり、ブランクエリアBの右側に位置する第2時間領域T2は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間の後半である。一方、
図7において、ブランクエリアBの右側に位置する第1時間領域T1は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間の前半であり、ブランクエリアBの左側に位置する第2時間領域T2は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間の後半である。
【0058】
第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間内において、物品Wは、重複通信エリアCC(すなわち、第1ゲート31を通過する前後のエリア)に位置する。物品Wが第1アンテナ71に近接するに従って、第1電波P1の強度が大きくなり、物品Wが第1アンテナ71から離間するに従って、第1電波P1の強度が小さくなる。同様に、物品Wが第2アンテナ72に近接するに従って、第2電波P2の強度が大きくなり、物品Wが第2アンテナ72から離間するに従って、第2電波P2の強度が小さくなる。
図6及び
図7に示すように、複数の第1電波P1から形成される第1仮想曲線L1と複数の第2電波P2から形成される第2仮想曲線L2とは、略X字型をなしている。
【0059】
次に、ステップS104において、時間帯特定部744は、受信時間の前半としての第1時間領域T1にある第1時間帯t1と、受信時間の後半としての第2時間領域T2にある第2時間帯t2とを特定する(
図6及び
図7参照)。そして、時間帯特定部744は、特定した第1時間帯t1及び第2時間帯t2を算出部745に出力し、ステップS105に進む。
【0060】
具体的には、ステップS104において、時間帯特定部744は、第1時間領域T1のうちの一部を第1時間帯t1とし、第2時間領域T2のうちの一部を第2時間帯t2として特定する。この場合、ノイズ(第1逸脱電波p1及び第2逸脱電波p2)による影響を低減する観点から第1時間帯t1の時間長及び第2時間帯t2の時間長をそれぞれ第1時間領域T1の時間長の50%及び第2時間領域T2の時間長の50%とすることが好ましい。また、物品Wの搬出搬入の判定精度を向上させる観点から第1時間帯t1及び第2時間帯t2を互いに離間する(すなわち、第1ゲート31から離間する)ように特定することが好ましい。
【0061】
本実施形態では、ステップS104において、時間帯特定部744は、第1時間領域T1のうちの一部を第1時間帯t1とし、第2時間領域T2のうちの一部を第2時間帯t2として特定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1時間領域T1の全域を第1時間帯t1とし、第2時間領域T2の全域を第2時間帯t2として特定してもよい。
【0062】
次に、ステップS105において、算出部745は、判定用データ選択部743から出力された判定用データと、時間帯特定部744から出力された第1時間帯t1及び第2時間帯t2とに基づいて、第1時間帯t1における複数の第1電波P1の強度の平均値である第1電波強度平均値と、第1時間帯t1における複数の第2電波P2の強度の平均値である第2電波強度平均値と、第2時間帯t2における複数の第1電波P1の強度の平均値である第3電波強度平均値と、第2時間帯t2における複数の第2電波P2の強度の平均値である第4電波強度平均値と、を算出する(
図6及び
図7参照)。そして、算出部745は、算出した第1電波強度平均値、第2電波強度平均値、第3電波強度平均値及び第4電波強度平均値を判定部746に出力し、ステップS106に進む。
【0063】
次に、ステップS106において、判定部746は、算出部745から出力された第1電波強度平均値、第2電波強度平均値、第3電波強度平均値及び第4電波強度平均値に基づいて、物品Wの搬出搬入を判定する。これにより、複数の電波強度平均値を用いて物品Wの搬出搬入を判定するため、反射等の原因によるノイズ(第1逸脱電波p1及び第2逸脱電波p2)の影響を低減することができる。この結果、物品Wの搬出搬入の判定精度を向上させることができる。
【0064】
具体的には、ステップS106において、判定部746は、第1電波強度平均値が第2電波強度平均値よりも大きく、かつ、第4電波強度平均値が第3電波強度平均値よりも大きいか否かを判定する。
【0065】
判定部746は、第1電波強度平均値が第2電波強度平均値よりも大きく、かつ、第4電波強度平均値が第3電波強度平均値よりも大きいと判定した場合(Yesの場合)に、物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出されたとの判定結果(以下、単に搬出判定結果という)を在庫管理部747に出力し、ステップS107に進む。
【0066】
ここで、
図6を参照しながら物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出されたことを判定するメカニズムを説明する。
【0067】
図6に示すように、物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出される過程において、物品Wが受信時間の前半における第1時間帯t1に第2アンテナ72に比べ第1アンテナ71に近接するため、第1時間帯t1における第1電波強度平均値(すなわち、第1アンテナ71を介して受信される第1電波P1の平均値)が第1時間帯t1における第2電波強度平均値(すなわち、第2アンテナ72を介して受信される第2電波P2の平均値)よりも大きい。
【0068】
一方、
図6に示すように、物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出される過程において、物品Wが受信時間の後半における第2時間帯t2に第1アンテナ71に比べ第2アンテナ72に近接するため、第2時間帯t2における第4電波強度平均値(すなわち、第2アンテナ72を介して受信される第2電波P2の平均値)が第2時間帯t2における第3電波強度平均値(すなわち、第1アンテナ71を介して受信される第1電波P1の平均値)よりも大きい。
【0069】
これにより、判定部746は、第1電波強度平均値が第2電波強度平均値よりも大きく、かつ、第4電波強度平均値が第3電波強度平均値よりも大きい場合に、物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出されたと判定する。
【0070】
一方、判定部746は、第2電波強度平均値が第1電波強度平均値よりも大きく、かつ、第3電波強度平均値が第4電波強度平均値よりも大きいと判定した場合(Noの場合)に、物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入されたとの判定結果(以下、単に搬入判定結果という)を在庫管理部747に出力し、ステップS108に進む。
【0071】
ここで、
図7を参照しながら物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入されたことを判定するメカニズムを説明する。
【0072】
図7に示すように、物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入される過程において、物品Wが受信時間の前半における第1時間帯t1に第1アンテナ71に比べ第2アンテナ72に近接するため、第1時間帯t1における第2電波強度平均値(すなわち、第2アンテナ72を介して受信される第2電波P2の平均値)が第1時間帯t1における第1電波強度平均値(すなわち、第1アンテナ71を介して受信される第1電波P1の平均値)よりも大きい。
【0073】
一方、
図7に示すように、物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入される過程において、物品Wが受信時間の後半における第2時間帯t2に第2アンテナ72に比べ第1アンテナ71に近接するため、第2時間帯t2における第3電波強度平均値(すなわち、第1アンテナ71を介して受信される第1電波P1の平均値)が第2時間帯t2における第4電波強度平均値(すなわち、第2アンテナ72を介して受信される第2電波P2の平均値)よりも大きい。
【0074】
これにより、判定部746は、第2電波強度平均値が第1電波強度平均値よりも大きく、かつ、第3電波強度平均値が第4電波強度平均値よりも大きい場合に、物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入されたと判定する。
【0075】
このように、ステップS106において、判定部746は、第1電波強度平均値と第2電波強度平均値との大小関係、及び、第3電波強度平均値と第4電波強度平均値との大小関係に基づいて、物品Wの搬出搬入を容易に判定することができる。
【0076】
次に、ステップS108において、在庫管理部747は、判定部746から出力された搬入判定結果に基づいて、記憶部742に記憶された物品Wの在庫数及び物品Wの搬入数を「+1」として更新する。そして、在庫管理部747は、更新済の物品Wの在庫数及び物品Wの搬入数を記憶部742及び表示部75に出力し、ステップS110に進む。
【0077】
次に、ステップS110において、表示部75は、在庫管理部747から入出力インタフェース741を経由して出力された更新済の物品Wの在庫数及び物品Wの搬入数に基づいて、更新済の在庫管理状況を表示し(
図4参照)、ステップS101に戻る。
【0078】
一方、ステップS107において、在庫管理部747は、判定部746から出力された搬出判定結果に基づいて、記憶部742に記憶された物品Wの在庫数及び物品Wの搬出数をそれぞれ「-1」と及び「+1」して更新する。そして、在庫管理部747は、更新済の物品Wの在庫数及び物品Wの搬出数を記憶部742及び表示部75に出力し、ステップS109に進む。
【0079】
次に、ステップS109において、表示部75は、在庫管理部747から入出力インタフェース741を経由して出力された更新済の物品Wの在庫数及び物品Wの搬出数に基づいて、更新済の在庫管理状況を表示し(
図4参照)、ステップS111に進む。
【0080】
次に、ステップS111において、入出力インタフェース741は、記憶部742に次の所定時間(すなわち、所定周期)内にRFIDタグ6からの第1電波P1、第2電波P2及び第3電波をそれぞれ第1アンテナ71、第2アンテナ72及び第3アンテナ73を介して受信する。そして、入出力インタフェース741は、次の所定時間内に受信したRFIDタグ6からの第1電波P1、第2電波P2及び第3電波を記憶部742及び算出部745に出力し、ステップS112に進む。
【0081】
次に、ステップS112において、算出部745は、入出力インタフェース741から出力された第1電波P1、第2電波P2及び第3電波に基づいて、第1電波P1と対応する第1電波の強度としての第5電波強度平均値、第2電波P2と対応する第2電波の強度としての第6電波強度平均値及び第3電波と対応する第3電波の強度としての第7電波強度平均値を算出する。そして、算出部745は、算出した第5電波強度平均値、第6電波強度平均値及び第7電波強度平均値を判定部746に出力し、ステップS113に進む。
【0082】
次に、ステップS113において、判定部746は、算出部745から出力された第5電波強度平均値、第6電波強度平均値及び第7電波強度平均値に基づいて、物品Wが店舗2内にて使用されて物品Wの包装材がごみ箱51に回収されたか否かを判定する。これにより、複数の電波強度平均値を用いて、物品Wが店舗2内にて使用されて物品Wの包装材がごみ箱51に入っているか否かを判定するため、反射等の原因によるノイズの影響を低減することができる。この結果、複数の電波強度ピーク値を用いる判定に比べ、判定精度を向上させることができる。
【0083】
具体的には、ステップS113において、判定部746は、算出部745から出力された第5電波強度平均値、第6電波強度平均値及び第7電波強度平均値に基づいて、第7電波強度平均値が第5電波強度平均値及び第6電波強度平均値よりも大きいか否かを判定する。
【0084】
そして、判定部746は、第7電波強度平均値が第5電波強度平均値及び第6電波強度平均値よりも大きいと判定した場合(Yesの場合)に、物品Wが店舗2内にて使用されてRFIDタグ6が付された物品Wの包装材がごみ箱51に回収されたとの判定結果(以下、単に使用判定結果という)を在庫管理部747に出力し、ステップS114に進む。これにより、物品Wの包装材がごみ箱51に回収されたことを容易に判定することができるため、物品Wが店舗2内にて使用されたことを認識することができる。
【0085】
一方、判定部746は、第7電波強度平均値が第5電波強度平均値及び第6電波強度平均値以下であると判定した場合(Noの場合)に、物品Wが店舗2内にて使用されておらず、物品Wの包装材がごみ箱51に回収されていないとの判定結果(以下、単に未使用判定結果という)を在庫管理部747に出力し、ステップS115に進む。
【0086】
一方、ステップS115において、在庫管理部747は、判定部746から出力された未使用判定結果に基づいて、物品Wの使用数を変更せず、ステップS111に戻る。
【0087】
次に、ステップS114において、在庫管理部747は、判定部746から出力された使用判定結果に基づいて、物品Wの使用数を「+1」として更新する。そして、在庫管理部747は、更新済の物品Wの使用数を記憶部742及び表示部75に出力し、ステップS116に進む。
【0088】
次に、ステップS116において、表示部75は、在庫管理部747から出力された更新済の物品Wの使用数に基づいて、更新済の在庫管理状況を表示し(
図4参照)、ステップS101に戻る。これにより、物品Wの搬出数と物品Wの使用数とを表示部75で比較することで、搬出された物品Wが店舗2内にて使用されたか否かを突き止めることができる。
【0089】
そして、物品Wが食品を作製するための材料である場合に、物品Wから作製された食品の販売数をPOS装置から取得したうえ、POS装置から取得された食品の販売数と表示部75から表示された物品Wの使用数とを紐付けることにより、物品Wの在庫管理を行いやすくなり、物品Wの発注を容易に行うことができる。
【0090】
(作用効果)
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0091】
本実施形態に係る在庫管理装置7は、第1ゲート31及び第2ゲート32を有する冷蔵庫3の内部及び冷蔵庫3の外部にそれぞれ設けられ、物品Wに付されたRFIDタグ6と通信するための第1アンテナ71及び第2アンテナ72と、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する物品Wに付されたRFIDタグ6との通信を第1アンテナ71及び第2アンテナ72により行うことで、RFIDタグ6からの第1電波及び通信タグからの第2電波をそれぞれ第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介して受信し、第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定するコントローラ74と、を備える。
【0092】
本実施形態に係る在庫管理方法は、第1ゲート31及び第2ゲート32を有する冷蔵庫3の内部及び冷蔵庫3の外部にそれぞれ設けられ、物品Wに付されたRFIDタグ6と通信するための第1アンテナ71及び第2アンテナ72を用いて物品Wの在庫を管理する在庫管理方法であって、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する物品Wに付されたRFIDタグ6との通信を第1アンテナ71及び第2アンテナ72により行うことで、RFIDタグ6からの第1電波P1及びRFIDタグ6からの第2電波P2をそれぞれ第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介して受信する受信ステップと、第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定する判定ステップと、を含む。
【0093】
本実施形態に係る在庫管理システム1は、物品Wに付されたRFIDタグ6と、第1ゲート31及び第2ゲート32を有する冷蔵庫3の内部及び冷蔵庫3の外部にそれぞれ設けられ、物品Wに付されたRFIDタグ6と通信するための第1アンテナ71及び第2アンテナ72と、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する物品Wに付されたRFIDタグ6との通信を第1アンテナ71及び第2アンテナ72により行うことで、RFIDタグ6からの第1電波及びRFIDタグ6からの第2電波をそれぞれ第1アンテナ71及び第2アンテナ72を介して受信し、第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定するコントローラ74と、を備える。
【0094】
これらの構成によれば、第1ゲート31又は第2ゲート32を挟むように冷蔵庫3の内部及び冷蔵庫の外部に設けられた第1アンテナ71及び第2アンテナ72を用いて受信された、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する物品Wに付されたRFIDタグ6からの第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定し、判定した結果を用いて物品Wの在庫数を算出する。このため、RFIDタグ6との通信エリアを小さく限定することができ、かつ、冷蔵庫3に保管された多数の物品Wでなく、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する少数の物品Wの搬出搬入を判定するだけで、物品Wの在庫数を算出することができる。
【0095】
この結果、冷蔵庫3の内部に設けられたアンテナを用いて冷蔵庫3に保管された多数の物品Wを静止状態で検知し、検知した結果を用いて物品Wの在庫数を算出する場合に比べ、冷蔵庫3に保管された物品Wの在庫数を精度よく把握することができる。
【0096】
特に、冷蔵庫3に保管され水分が含まれた多数の物品Wを、冷蔵庫3の内部に設けられたアンテナを用いて静止状態で検知する場合は、検知精度がより低下するが、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する少数の物品Wの搬出搬入の判定に対しては、物品Wに含まれた水分による影響が限定的である。
【0097】
また、本実施形態では、第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する物品Wに付されたRFIDタグ6からの第1電波P1の強度と第2電波P2の強度との大小関係の時系列変化に基づいて物品Wの搬出搬入を判定するため、読み取り回数によるRFIDタグ6の移動方向の判定を行う場合に比べ、電波の反射によるノイズのような信号をカウントせず、ノイズによる影響を受けにくく、物品Wの搬出搬入の判定精度を向上させることができる。この結果、冷蔵庫3に保管された物品Wの在庫数を精度よく把握することができる。
【0098】
また、本実施形態では、コントローラ74は、第1電波P1及び第2電波P2の両方が受信された受信時間の前半にある第1時間帯t1における第1電波P1の強度の平均値である第1電波強度平均値と、第1時間帯t1における第2電波P2の強度の平均値である第2電波強度平均値と、受信時間の後半にある第2時間帯t2における第1電波P1の強度の平均値である第3電波強度平均値と、第2時間帯t2における第2電波P2の強度の平均値である第4電波強度平均値と、を算出し、第1電波強度平均値、第2電波強度平均値、第3電波強度平均値及び第4電波強度平均値に基づいて、物品Wの搬出搬入を判定する。
【0099】
この構成によれば、複数の電波強度平均値を用いて物品Wの搬出搬入を判定するため、反射等の原因によるノイズ(第1逸脱電波p1及び第2逸脱電波p2)の影響を低減することができる。この結果、物品Wの搬出搬入の判定精度を向上させることができる。
【0100】
また、本実施形態では、コントローラ74は、第1電波強度平均値と第2電波強度平均値との大小関係、及び、第3電波強度平均値と第4電波強度平均値との大小関係に基づいて、物品Wの搬出搬入を判定する。
【0101】
また、本実施形態では、コントローラ74は、第1電波強度平均値が第2電波強度平均値よりも大きく、かつ、第4電波強度平均値が第3電波強度平均値よりも大きい場合に、物品Wが第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する動作は物品Wの搬出であると判定し、第2電波強度平均値が第1電波強度平均値よりも大きく、かつ、第3電波強度平均値が第4電波強度平均値よりも大きい場合に、物品が第1ゲート31又は第2ゲート32を通過する動作は物品Wの搬入であると判定する。
【0102】
これらの構成によれば、物品Wの搬出搬入を容易に判定することができるため、冷蔵庫3に保管された物品Wの在庫数を精度よく把握することができる。
【0103】
また、本実施形態では、冷蔵庫3の外部に位置するごみ箱51の近傍に設けられ、物品Wに付されたRFIDタグ6と通信するための第3アンテナ73をさらに備え、コントローラ74は、RFIDタグ6との通信を第3アンテナ73により行うことで、RFIDタグ6からの第3電波を第3アンテナ73を介して受信し、所定時間内に受信した第1電波P1、第2電波P2及び第3電波のうち第3電波の強度である第7電波強度平均値が第1電波P1の強度である第5電波強度平均値及び第2電波P2の強度である第6電波強度平均値よりも大きい場合に、RFIDタグ6が付された物品Wの包装材がごみ箱51に回収されたと判定する。
【0104】
この構成によれば、物品Wの包装材がごみ箱51に回収されたことを容易に判定することができるため、物品Wが店舗2内にて使用されたことを認識することができる。また、物品Wの搬出数と物品Wの使用数とを比較することで、搬出された物品Wが店舗2内にて使用されたか否かを突き止めることができる。さらに、物品Wが店舗2内にて使用されてから、水分が殆ど含まれない物品Wの包装材をごみ箱51に回収するため、水分による判定精度への影響を抑制することができる。
【0105】
(変形例)
次に、
図8を参照しながら変形例に係る在庫管理装置7について説明する。
【0106】
図8は、変形例に係る在庫管理装置7を示す概略図である。
【0107】
上述した実施形態では、在庫管理装置7は、二つの第2アンテナ72と対応する二つの第1アンテナ71を備えて構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図8に示すように、単一の第1アンテナ71Aを備えて構成される。
【0108】
この場合、
図8に示すように、単一の第1アンテナ71Aは、上述した実施形態の第1アンテナ71よりも大きい第1通信エリアC11を有する。第1アンテナ71の第1通信エリアC1Aと第2アンテナ72の第2通信エリアC2とが重なる部分は、重複通信エリアCCAとなる。重複通信エリアCCAは、第1ゲート31又は第2ゲート32をカバーできるように冷蔵庫3の内部と冷蔵庫3の外部とを跨って形成される。
【0109】
本変形例では、単一の第1アンテナ71Aを用いることにより、在庫管理装置7を構成する部品の点数を抑制することができるため、装置全体の簡素化及びローコスト化を図ることができる。
【0110】
また、上述した実施形態では、コントローラ74は、第1電波強度平均値と第2電波強度平均値との大小関係、及び、第3電波強度平均値と第4電波強度平均値との大小関係に基づいて、物品Wの搬出搬入を判定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1電波P1及び第2電波P2を機械学習(具体的には、ディープラーニング)を用いて解析することで、物品Wの搬出搬入を判定してもよい。
【0111】
(第2実施形態)
次に、
図9を参照しながら第2実施形態に係る在庫管理処理について説明する。なお、第2実施形態では、上述した実施形態と同様の点については省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0112】
図9は、第2実施形態に係る在庫管理処理を示すフローチャートである。
【0113】
上述した実施形態では、在庫管理処理は、ステップS01からステップS116を有するのに対し、第2実施形態では、在庫管理処理は、ステップS01AからステップS116Aを有する。そして、第2実施形態におけるステップS101AからステップS104A及びステップS107AからステップS116Aについては、それぞれ上述した実施形態におけるステップS101からステップS104及びステップS107からステップS116と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0114】
一方、第2実施形態におけるステップS105A及びステップS106Aについては、上述した実施形態におけるステップS105及びステップS106と相違するため、これらの説明を行う。
【0115】
図9に示すように、ステップS105Aにおいて、算出部745は、判定用データ選択部743から出力された判定用データと、時間帯特定部744から出力された第1時間帯t1及び第2時間帯t2とに基づいて、第1時間帯t1における複数の第1電波P1の強度の平均値である第1電波強度平均値と、第1時間帯t1における複数の第2電波P2の強度の平均値である第2電波強度平均値と、第2時間帯t2における複数の第1電波P1の強度の平均値である第3電波強度平均値と、第2時間帯t2における複数の第2電波P2の強度の平均値である第4電波強度平均値と、を算出する(
図6及び
図7参照)。そして、算出部745は、算出した第1電波強度平均値と第2電波強度平均値との比である第1電波強度平均値比、及び、算出した第3電波強度平均値と第4電波強度平均値との比である第2電波強度平均値比を判定部746に出力し、ステップS106Aに進む。
【0116】
次に、ステップS106Aにおいて、判定部746は、算出部から出力された第1電波強度平均値比及び第2電波強度平均値比の大小関係に基づいて、物品Wの搬出搬入を判定する。
【0117】
そして、ステップS106Aにおいて、判定部746は、第1電波強度平均値比が第2電波強度平均値比よりも大きい場合(Yesの場合)に、物品Wが冷蔵庫3の内部から冷蔵庫3の外部へ搬出されたとの判定結果(以下、単に搬出判定結果という)を在庫管理部747に出力し、ステップS107Aに進む。
【0118】
一方、ステップS106Aにおいて、判定部746は、第2電波強度平均値比が第1電波強度平均値比よりも大きい場合(Noの場合)に、物品Wが冷蔵庫3の外部から冷蔵庫3の内部へ搬入されたとの判定結果(以下、単に搬入判定結果という)を在庫管理部747に出力し、ステップS108Aに進む。
【0119】
以上、本実施形態及び各変形例について説明したが、上述した実施形態及び各変形例は、本発明の適用例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0120】
1 在庫管理システム
3 冷蔵庫(保管エリア)
6 通信タグ(RFIDタグ)
7 在庫管理装置
31 第1ゲート(所定箇所)
32 第2ゲート(所定箇所)
51 ごみ箱(包装材回収場)
71 第1アンテナ
72 第2アンテナ
73 第3アンテナ
74 コントローラ
W 物品
P1 第1電波
P2 第2電波
t1 第1時間帯
t2 第2時間帯