(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044939
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A61B6/03 360D
A61B6/03 360Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153068
(22)【出願日】2021-09-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、COIプログラム、COI拠点「自分で守る健康社会拠点」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 岳人
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 稔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 周
(72)【発明者】
【氏名】波田野 明日可
(72)【発明者】
【氏名】山内 治雄
(72)【発明者】
【氏名】前田 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】富井 直輝
(72)【発明者】
【氏名】月原 弘之
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA18
4C093DA02
4C093FF20
4C093FF23
4C093FF24
4C093FF28
4C093FG13
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】注目領域の状態を適切に推定すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、第1の算出部と、第2の算出部と、特定部とを備える。取得部は、医用画像を取得する。第1の算出部は、医用画像に含まれる注目領域の構造に基づいて第一の血流方向を算出する。第2の算出部は、注目領域の周囲の構造に基づいて第二の血流方向を算出する。特定部は、第一の血流方向と第二の血流方向とに基づいて、注目領域の状態を特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を取得する取得部と、
前記医用画像に含まれる注目領域の構造に基づいて第1の血流方向を算出する第1の算出部と、
前記注目領域の周囲の構造に基づいて第2の血流方向を算出する第2の算出部と、
前記第1の血流方向と前記第2の血流方向とに基づいて、前記注目領域の状態を特定する特定部と、
を有する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記第1の血流方向と前記第2の血流方向との差異に基づいて、前記注目領域の状態を特定する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記第1の血流方向と前記第2の血流方向との差異が大きいほど、前記注目領域の構造がもたらす人体に対する悪影響が大きいと判定する、請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の算出部は、前記医用画像に含まれる複数の注目領域について、前記第1の血流方向をそれぞれ算出し、
前記第2の算出部は、前記複数の注目領域について、周囲の各構造における前記第2の血流方向をそれぞれ算出し、
前記特定部は、前記第1の血流方向と前記第2の血流方向とに基づいて注目領域ごとの状態をそれぞれ特定し、特定した注目領域ごとの状態に基づいて前記複数の注目領域から構成される領域の状態を特定する、請求項1~3のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、異なる時点で撮像された複数の医用画像を取得し、
前記第1の算出部は、各時点の医用画像について、前記注目領域の構造に基づく前記第1の血流方向をそれぞれ算出し、
前記第2の算出部は、前記各時点の医用画像について、前記周囲の構造に基づく前記第2の血流方向をそれぞれ算出し、
前記特定部は、前記各時点の医用画像について、前記第1の血流方向と前記第2の血流方向との差異を算出し、算出した各時点の差異に基づいて前記注目領域の状態を特定する、請求項1~4のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記注目領域の状態に基づく評価情報を表示部にて表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1~5のいずれか1つに記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記注目領域の状態の程度に基づいて、前記評価情報の表示形態を変化させる、請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記医用画像上に前記評価情報を表示させる、請求項6又は7に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第1の血流方向を示す情報と前記第2の血流方向を示す情報とを、前記医用画像上に表示させる、請求項8に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記複数の医用画像に対応する各時相において特定された前記注目領域の状態に基づく各評価情報と、当該各時相との関係をグラフ表示する表示制御部をさらに備える、請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
医用画像を取得し、
前記医用画像に含まれる注目領域の構造に基づいて第1の血流方向を算出し、
前記注目領域の周囲の構造に基づいて第2の血流方向を算出し、
前記第1の血流方向と前記第2の血流方向とに基づいて、前記注目領域の状態を特定する、
ことを含む、医用画像処理方法。
【請求項12】
医用画像を取得する取得機能と、
前記医用画像に含まれる注目領域の構造に基づいて第1の血流方向を算出する第1の算出機能と、
前記注目領域の周囲の構造に基づいて第2の血流方向を算出する第2の算出機能と、
前記第1の血流方向と前記第2の血流方向とに基づいて、前記注目領域の状態を特定する特定機能と、
をコンピュータに実行させる、医用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像から人体の各解剖構造の形状を抽出する技術が知られている。また、上記技術によって抽出した解剖構造の形状の特徴から、当該解剖構造に関する疾患の診断名や異常の程度を推定し、評価する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、注目領域の状態を適切に推定することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、第1の算出部と、第2の算出部と、特定部とを備える。取得部は、医用画像を取得する。第1の算出部は、前記医用画像に含まれる注目領域の構造に基づいて第一の血流方向を算出する。第2の算出部は、前記注目領域の周囲の構造に基づいて第二の血流方向を算出する。特定部は、前記第一の血流方向と前記第二の血流方向とに基づいて、前記注目領域の状態を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の処理回路が有する各処理機能によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態に係る第1の算出機能による処理の一例を説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態に係る第1の算出機能による処理の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る第2の算出機能による処理の一例を説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態に係る特定機能による特定処理の一例を説明するための図である。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施形態に係る特定機能による特定処理の一例を説明するための図である。
【
図5C】
図5Cは、第1の実施形態に係る特定機能による特定処理の一例を説明するための図である。
【
図5D】
図5Dは、第1の実施形態に係る特定機能による特定処理の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る対応情報の一例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、第1の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、第1の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、第1の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る処理の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、方法及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る医用画像処理装置、方法及びプログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を示す図である。例えば、
図1に示すように、本実施形態に係る医用画像処理装置3は、医用画像診断装置1及び医用画像保管装置2と、ネットワークを介して通信可能に接続されている。なお、
図1に示すネットワークには、その他種々の装置及びシステムが接続される場合でもよい。
【0009】
医用画像診断装置1は、被検体を撮像して医用画像を生成する。そして、医用画像診断装置1は、生成した医用画像をネットワーク上の各種装置に送信する。例えば、医用画像診断装置1は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。
【0010】
医用画像保管装置2は、被検体に関する各種の医用画像を保管する。具体的には、医用画像保管装置2は、ネットワークを介して医用画像診断装置1から医用画像を受信し、当該医用画像を自装置内の記憶回路に記憶させて保管する。例えば、医用画像保管装置2は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。また、例えば、医用画像保管装置2は、PACS(Picture Archiving and Communication System)等によって実現され、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した形式で医用画像を保管する。
【0011】
医用画像処理装置3は、被検体に関する各種の情報処理を行う。具体的には、医用画像処理装置3は、ネットワークを介して医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から医用画像を受信し、当該医用画像を用いて各種の情報処理を行う。例えば、医用画像処理装置3は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0012】
例えば、医用画像処理装置3は、通信インターフェース31と、入力インターフェース32と、ディスプレイ33と、記憶回路34と、処理回路35とを備える。
【0013】
通信インターフェース31は、医用画像処理装置3と、ネットワークを介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、通信インターフェース31は、処理回路35に接続されており、他の装置から受信したデータを処理回路35に送信、又は、処理回路35から送信されたデータを他の装置に送信する。例えば、通信インターフェース31は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0014】
入力インターフェース32は、利用者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース32は、処理回路35に接続されており、利用者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路35に送信する。例えば、入力インターフェース32は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インターフェース、及び音声入力インターフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース32は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ送信する電気信号の処理回路も入力インターフェース32の例に含まれる。
【0015】
ディスプレイ33は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ33は、処理回路35に接続されており、処理回路35から受信した各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ33は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0016】
記憶回路34は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路34は、処理回路35に接続されており、処理回路35から受信したデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路35に送信する。例えば、記憶回路34は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0017】
処理回路35は、医用画像処理装置3の全体を制御する。例えば、処理回路35は、入力インターフェース32を介して利用者から受け付けた入力操作に応じて、各種処理を行う。例えば、処理回路35は、他の装置から送信されたデータを通信インターフェース31を介して受信し、受信したデータを記憶回路34に記憶する。また、例えば、処理回路35は、受信したデータを記憶回路34から通信インターフェース31に送信することで、当該データを他の装置に送信する。また、例えば、処理回路35は、記憶回路34から受信したデータをディスプレイ33に表示する。
【0018】
以上、本実施形態に係る医用画像処理装置3の構成例について説明した。例えば、本実施形態に係る医用画像処理装置3は、病院や診療所等の医療施設に設置され、医師等の利用者によって行われる各種診断や治療計画の策定等を支援する。例えば、医用画像処理装置3は、注目領域の状態を適切に推定するための各種処理を実行する。
【0019】
上述したように、医用画像から抽出した注目領域の形状に基づいて診断名や異常の程度を推定する技術が知られている。しかしながら、同一の形状を持つ又は同一の血流状態をもたらす臓器(例えば、弁など)であっても、当該臓器の周囲の臓器の形状との関係により、注目領域の形状又は血流状態がもたらす異常の程度や予後リスクが異なる場合がある。したがって、注目領域の形状に基づいて推定を行う現行技術では、注目する臓器の形状又は血流状態がもたらす異常の程度や予後リスクを適切に推定することができない場合がある。
【0020】
そこで、本実施形態に係る医用画像処理装置3は、注目領域の構造と、注目領域の周囲の領域の構造とから注目領域の状態を特定することで、注目領域の状態を適切に推定することができるように構成されている。具体的には、医用画像処理装置3は、注目領域の構造に基づいて注目領域における第1の血流方向を算出し、周囲の構造に基づいて周囲の構造における第2の血流方向を算出し、第1の血流方向と第2の血流方向とに基づいて、注目領域の状態を特定する。以下、このような構成を有する医用画像処理装置3について、詳細に説明する。
【0021】
例えば、
図1に示すように、本実施形態では、医用画像処理装置3の処理回路35が、制御機能351と、画像取得機能352と、抽出機能353と、第1の算出機能354と、第2の算出機能355と、特定機能356とを実行する。ここで、制御機能351は、表示制御部の一例である。画像取得機能352は、取得部の一例である。また、第1の算出機能354は、第1の算出部の一例である。また、第2の算出機能355は、第2の算出部の一例である。また、特定機能356は、特定部の一例である。
【0022】
制御機能351は、入力インターフェース32を介した操作に応じて、種々のGUI(Graphical User Interface)や、種々の表示情報を生成して、ディスプレイ33に表示するように制御する。例えば、制御機能351は、注目領域や周囲の領域を設定するためのGUIや、血流方向に基づいて特定した注目領域の状態を評価する評価情報などをディスプレイ33に表示させる。また、制御機能351は、画像取得機能352によって取得された医用画像に基づいて、種々の表示画像を生成することもできる。
【0023】
画像取得機能352は、通信インターフェース31を介して、医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から被検体の医用画像を取得する。具体的には、画像取得機能352は、処理対象とする注目領域及び周囲の領域の3次元の解剖構造の形態情報を含む医用画像を取得する。なお、画像取得機能352は、3次元で時間方向に複数撮像することで得られる複数の医用画像を取得することもできる。例えば、画像取得機能352は、上記した複数の医用画像として、CT画像、超音波画像、MRI画像、X線画像、Angio画像、PET画像、SPECT画像などを取得する。処理回路35は、上記した画像取得機能352を実行することで、医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から被検体の医用画像を受信し、受信した医用画像を記憶回路34に記憶させる。
【0024】
抽出機能353は、画像取得機能352によって取得された医用画像について、注目領域の構造(以下、注目構造と記す)及び注目領域の周囲の領域の構造(以下、周囲構造と記す)を抽出する。具体的には、抽出機能353は、状態を評価する対象となる注目構造と周囲構造を抽出する。例えば、抽出機能353は、注目構造として心臓弁を抽出し、周囲構造として心臓弁と繋がる血管などを抽出する。なお、抽出機能353による処理については、後に詳述する。
【0025】
第1の算出機能354は、画像取得機能352によって取得された医用画像について、注目領域における第1の血流方向を算出する。例えば、第1の算出機能354は、注目構造として抽出された心臓弁がもたらす血流方向を算出する。なお、第1の算出機能354による処理については、後に詳述する。
【0026】
第2の算出機能355は、画像取得機能352によって取得された医用画像について、注目領域の周囲の領域における第1の血流方向を算出する。例えば、第1の算出機能354は、周囲構造として抽出された血管などがもたらす血流方向を算出する。なお、第2の算出機能355による処理については、後に詳述する。
【0027】
特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向とに基づいて、注目領域の状態を特定する。例えば、特定機能356は、心臓弁の構造がもたらす血流方向と、心臓弁に繋がる血管の構造がもたらす血流方向とに基づいて、心臓弁の状態を特定する。すなわち、特定機能356は、注目領域(例えば、心臓弁)が人体にもたらす状態を特定する。なお、特定機能356による処理については、後に詳述する。
【0028】
上述した処理回路35は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34に記憶される。そして、処理回路35は、記憶回路34に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、処理回路35は、各プログラムを読み出した状態で、
図1に示した各処理機能を有することとなる。
【0029】
なお、処理回路35は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、処理回路35が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路35が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一の記憶回路34に記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数の記憶回路が分散して記憶され、処理回路35が、各記憶回路から各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0030】
次に、医用画像処理装置3による処理の手順について、
図2を用いて説明した後、各処理の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3の処理回路35が有する各処理機能によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
例えば、
図2に示すように、本実施形態では、画像取得機能352が、医用画像診断装置1又は医用画像保管装置2から被検体の医用画像を取得する(ステップS101)。例えば、画像取得機能352は、入力インターフェース32を介した医用画像の取得操作に応じて、処理対象とする生体器官の解剖構造の形態情報を含み、生体器官が異なる状態となる複数の医用画像を取得する。この処理は、例えば、処理回路35が、画像取得機能352に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0032】
続いて、抽出機能353が、取得された医用画像について、医用画像に含まれる注目構造を抽出し(ステップS102)、周囲構造を抽出する(ステップS103)。この処理は、例えば、処理回路35が、抽出機能353に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。なお、
図2においては、注目構造を抽出したのちに周囲構造を抽出する場合の処理手順を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、周囲構造を抽出したのちに注目構造を抽出してもよく、注目構造と周囲構造を同時に抽出してもよい。
【0033】
そして、第1の算出機能354及び第2の算出機能355が、血流状態を推定する(ステップS104)。具体的には、第1の算出機能354は注目構造がもたらす血流方向(第1の血流方向)を算出し、第2の算出機能355は周囲構造がもたらす血流方向(第2の血流方向)を算出する。この処理は、例えば、処理回路35が、第1の算出機能354及び第2の算出機能355に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0034】
続いて、特定機能356が、第1の血流状態と第2の血流状態とに基づいて、注目構造の状態を特定する(ステップS105)。この処理は、例えば、処理回路35が、特定機能356に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0035】
そして、制御機能351が、特定された状態に基づく評価情報をディスプレイ33に表示させる(ステップS106)。この処理は、例えば、処理回路35が、制御機能351に対応するプログラムを記憶回路34から呼び出して実行することにより実現される。
【0036】
以下、医用画像処理装置3によって実行される各処理の詳細について、説明する。なお、以下では、大動脈弁を注目構造とし、大動脈弁を介して血液が流入する上行大動脈を周囲構造とした場合の処理を一例に挙げて説明する。なお、本実施形態にて説明する処理の対象はこれに限らず、人体における流体又は気体が関与する生体器官であれば、どのようなものでも対象とすることができる。
【0037】
(医用画像の取得処理)
図2のステップS101で説明したように、画像取得機能352は、入力インターフェース32を介した医用画像の取得操作に応じて、対象とする生体組織(大動脈弁及び上行大動脈)の3次元の形態情報を含む医用画像を取得する。例えば、画像取得機能352は、大動脈弁及び上行大動脈を3次元で撮像したCT画像を取得する。
【0038】
なお、ステップS101における医用画像の取得処理は、上記したように、入力インターフェース32を介したユーザの指示により動作が開始される場合でもよいが、自動的に処理が開始される場合でもよい。かかる場合には、例えば、画像取得機能352は、医用画像保管装置2を監視しておき、新しい医用画像が保管されるごとに自動的に医用画像を取得する。
【0039】
ここで、画像取得機能352は、予め設定された取得条件に基づいて新しく保管された医用画像を判定し、医用画像が取得条件を満たした場合に取得処理を実行するようにしてもよい。例えば、医用画像の状態を判定することができる取得条件が記憶回路34に記憶され、画像取得機能352は、記憶回路34に記憶された取得条件に基づいて、新しく保管された医用画像を判定する。
【0040】
一例を挙げると、記憶回路34は、取得条件として、「心臓を対象とする撮像プロトコルで撮像された医用画像を取得」や、「拡大再構成された医用画像を取得」、或いは、それらの組み合わせを記憶する。画像取得機能352は、上記した取得条件を満足する医用画像を取得する。
【0041】
(注目構造の抽出処理)
図2のステップS102で説明したように、抽出機能353は、医用画像について、注目構造を抽出する。具体的には、抽出機能353は、CT画像において大動脈弁を示す画素の座標情報を取得する。ここで、抽出機能353は、種々の手法により注目構造を抽出することができる。例えば、抽出機能353は、入力インターフェース32を介してCT画像上に指定された領域を注目構造として抽出することができる。すなわち、抽出機能353は、ユーザが手動で指定した領域を注目構造として抽出する。
【0042】
また、例えば、抽出機能353は、既知の領域抽出技術によりCT画像に描出される解剖学的構造に基づいて注目構造を抽出することができる。例えば、抽出機能353は、CT値に基づく大津の二値化法、領域拡張法、スネーク法、グラフカット法、ミーンシフト法などを用いて、CT画像における注目構造を抽出する。
【0043】
また、その他、抽出機能353は、機械学習技術(深層学習含)を用いて事前に準備された学習用データに基づいて構築される学習済みモデルを用いて、CT画像における注目構造を抽出することができる。
【0044】
ここで、画像全体を対象としてグラフカット法などの処理を行った場合、計算コストが過剰に高くなる可能性がある。そこで、抽出機能353は、注目構造に関連し、且つ、注目構造よりも大きいが画像全体よりは小さい領域(以下、関連領域と記す)を抽出処理の対象とすることもできる。例えば、注目構造を大動脈弁とする場合、抽出機能353は、関心領域として、心臓領域や左心室及び左心室の周囲の領域等を特定する。そして、抽出機能353は、特定した関連領域にのみ上記した抽出処理を適用し、注目領域を抽出する。なお、関連領域は、入力インターフェース32を用いて手動により設定される場合でもよい。
【0045】
(周囲構造の抽出処理)
図2のステップS103で説明したように、抽出機能353は、医用画像について、注目構造の周囲にある周囲構造を抽出する。具体的には、抽出機能353は、CT画像において上行大動脈を示す画素の座標情報を取得する。例えば、抽出機能353は、ステップS102における注目構造の抽出と同様の処理によって、周囲構造を抽出する。ここで、周囲構造は、解剖学的構造に基づいて、注目構造ごとに予め設定されている場合でもよく、処理を行うごとにユーザによって指定される場合でもよい。或いは、周囲構造は、注目構造の周囲の画素値の連続性や分布に基づいて、抽出機能353によって抽出される場合でもよい。
【0046】
また、注目構造に対して設定される周囲構造は、任意に選択することができる。例えば、本実施形態では、大動脈弁(注目構造)の周囲構造として上行大動脈が設定されている場合について説明するが、左室流出路(Left Ventricular Outflow Tract:LVOT)や左心室又はValsalva洞全体を周囲構造としてもよい。また、注目構造に対して設定される周囲構造は、同一の解剖構造において設定される場合でもよい。例えば、大動脈弁の各弁葉(RCC:right coronary cusp、LCC:left coronary cusp、NCC:non coronary cusp)における最もLOVT側に存在する位置の座標(Nadirと称す)の全てに接する平面(Nadir平面と称す)を注目構造とし、交連部(Commissure)の位置に基づく平面を周囲構造とする場合でもよい。
【0047】
(血流方向の算出処理)
図2のステップS104で説明したように、第1の算出機能354は、抽出機能353によって抽出された注目構造における血流方向を算出する。また、第2の算出機能355は、抽出機能353によって抽出された周囲構造における血流方向を算出する。以下、これらの処理の例を順に説明する。
【0048】
第1の算出機能354は、注目領域の構造(注目構造)に基づいて、注目領域における血流方向(第1の血流方向)を算出する。例えば、第1の算出機能354は、抽出機能353によって抽出された大動脈弁の構造に基づいて、大動脈弁がもたらす血流方向を算出する。
図3A及び
図3Bは、第1の実施形態に係る第1の算出機能354による処理の一例を説明するための図である。ここで、
図3Aにおいては、正常な大動脈弁がもたらす血流方向を示し、
図3Bにおいては、異常がある大動脈弁がもたらす血流方向を示す。
【0049】
例えば、第1の算出機能354は、
図3Aに示すように、CT画像から抽出された大動脈弁の各弁葉(RCC、LCC、NCC)において最もLOVT側に存在する位置の座標(Nadir)「P1」を抽出する。なお、
図3Aでは、2つの「P1」のみが示されているが、実際には3つの弁葉のそれぞれにおいて「P1」が抽出される。そして、第1の算出機能354は、抽出した3つの「P1」全てに接する平面(Nadir平面)「L1」を抽出する。
【0050】
さらに、第1の算出機能354は、大動脈弁の弁口を抽出し、抽出した弁口の形状に基づく座標を特定する。例えば、第1の算出機能354は、
図3Aに示すように、大動脈弁の弁口の重心位置「P2」を特定する。そして、第1の算出機能354は、平面「L1」に垂直で重心位置「P2」を通る矢印「L2」の方向を、大動脈弁の構造に基づく血流方向として算出する。
【0051】
ここで、正常な大動脈弁の場合、
図3Aに示す矢印「L2」が大動脈弁の構造に基づく血流方向となる。一方、異常がある大動脈弁の場合、
図3Bに示すように、第1の算出機能354によって算出される血流方向(矢印「L2」)は、大動脈弁の構造を反映して、正常なものとは大きく異なることとなる。
【0052】
なお、上記した方法はあくまでも一例であり、注目領域の構造に基づけばどのような算出方法であってもよい。例えば、第1の算出機能354は、大動脈弁の交連部を通過する平面を抽出し、抽出した平面と弁口の重心位置とから大動脈弁の構造に基づく血流方向を算出する。また、例えば、第1の算出機能354は、大動脈弁の弁輪や弁尖の形状を示す3次元閉曲線の各位置からの距離の和が最小となる平面を特定し、当該平面と弁口の重心位置とから大動脈弁の構造に基づく血流方向を算出する。また、例えば、第1の算出機能354は、弁全体の形状に基づいて平面を特定し、当該平面と弁口の重心位置とから大動脈弁の構造に基づく血流方向を算出する。
【0053】
また、上記した例では、平面と特徴点(重心位置)との関係から血流方向を算出したが、複数の特徴点から算出してもよく、或いは、線分と特徴点との関係から算出してもよい。例えば、弁全体の形状の重心位置と弁口形状の重心位置とを通る直線方向を、大動脈弁の構造に基づく血流方向としてもよい。
【0054】
第2の算出機能355は、注目領域の周囲の構造(周囲構造)に基づいて、注目領域の周囲における血流方向(第2の血流方向)を算出する。例えば、第2の算出機能355は、抽出機能353によって抽出された上行大動脈の構造に基づいて、上行大動脈がもたらす血流方向を算出する。
図4は、第1の実施形態に係る第2の算出機能355による処理の一例を説明するための図である。
【0055】
例えば、第2の算出機能355は、
図4に示すように、CT画像から抽出された上行大動脈におけるAS(Aortic Sinus)の位置を抽出して、抽出した位置における断面構造の中心位置(或いは、重心位置)「P3」を特定する。また、例えば、第2の算出機能355は、
図4に示すように、CT画像から抽出された上行大動脈におけるSTJ(sinotublar junction)の位置を抽出して、抽出した位置における断面構造の中心位置(或いは、重心位置)「P4」を特定する。そして、第2の算出機能355は、特定した「P3」と「P4」とを通る矢印「L3」の方向を、上行大動脈の構造に基づく血流方向として算出する。
【0056】
なお、上記した方法は、あくまでも一例であり、注目構造以外の注目構造の周囲の構造に基づいて血流方向を推定すればどのような方法であってもよい。例えば、上行大動脈の構造に基づく血流方向は、LOVT領域や、左心室領域などの中心位置又は重心位置を用いて算出される場合でもよく、冠動脈の入り口(開口部)に基づいて算出される場合でもよい。或いは、上行大動脈の構造に基づく血流方向は、上行大動脈の芯線の曲率に基づいて算出される場合でもよい。
【0057】
(状態の特定処理)
図2のステップS105で説明したように、特定機能356は、注目構造における血流方向(第1の血流方向)と、周囲構造における血流方向(第2の血流方向)とに基づいて、注目領域の状態を特定する。具体的には、特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向との差異に基づいて、注目領域の状態を特定する。例えば、特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向との差異が大きいほど、注目領域の構造がもたらす人体に対する悪影響が大きいと判定する。
【0058】
ここで、第1の血流方向と第2の血流方向との差異は、例えば、注目構造に基づく血流方向と周囲構造に基づく血流方向とがなす角度や、注目構造に基づく血流方向を示す直線と周囲構造に基づく血流方向を示す直線との最小距離などが用いられる。特定機能356は、上記した血流方向の差異が大きいほど、状態が悪いと判定する。換言すると、特定機能356は、注目構造から推定される血流方向と注目構造の周囲の構造に基づく血流方向とが類似するほど血流がスムーズに流れるため、上記2種類の血流方向が近い(なす角度の大きさが小さい、距離が短い)ほど状態が良好である(リスクが小さい)と判定する。
【0059】
図5A~
図5Dは、第1の実施形態に係る特定機能356による特定処理の一例を説明するための図である。ここで、
図5A~
図5Dでは、大動脈弁を注目構造として算出された第1の血流方向(矢印「L2」)と、上行大動脈を周囲構造として算出された第2の血流方向(矢印「L3」)とに基づく特定処理について示す。また、
図5A~
図5Dでは、注目構造に基づく血流方向と周囲構造に基づく血流方向とがなす角度に基づいて、判定する場合について示す。
【0060】
例えば、
図5Aに示すように、大動脈弁における血流方向(矢印「L2」)と、上行大動脈における血流方向(矢印「L3」)とのなす角度が「0°」である場合、特定機能356は、「大動脈弁が人体にもたらすリスクは小さい」と判定する。一方、
図5Bに示すように、大動脈弁における血流方向(矢印「L2」)と、上行大動脈における血流方向(矢印「L3」)とのなす角度が「30°」である場合、特定機能356は、「大動脈弁は人体に対して一定のリスクをもたらす」と判定する。
【0061】
図5Aに示す状態と
図5Bに示す状態とは、大動脈弁の形状は同一であり、血流方向(矢印「L2」)が同一となっているが、上行大動脈の形状が異なるため、判定結果が異なることとなる。
【0062】
ここで、特定機能356は、注目構造に基づく血流方向を示す直線と周囲構造に基づく血流方向を示す直線とのなす角度を算出する際に、各直線を所定の方向から投影することでなす角度を算出する。一例を挙げると、特定機能356は、注目構造に基づく血流方向を示す直線と周囲構造に基づく血流方向を示す直線とのなす角度が最大となるように各直線の投影方向を決定して投影し、なす角度を算出する。また、上記したなす角度は、各直線の3次元ベクトルに基づいて算出される場合でもよい。
【0063】
同様に、例えば、
図5Cに示すように、大動脈弁における血流方向(矢印「L2」)と、上行大動脈における血流方向(矢印「L3」)とのなす角度が「60°」である場合、特定機能356は、「大動脈弁が人体にもたらすリスクは大きい」と判定する。一方、
図5Dに示すように、大動脈弁における血流方向(矢印「L2」)と、上行大動脈における血流方向(矢印「L3」)とのなす角度が「5°」である場合、特定機能356は、「大動脈弁が人体にもたらすリスクは小さい」と判定する。このように、
図5C及び
図5Dに示す状態の判定結果においても、上行大動脈の形状が異なるため、判定結果が異なることとなる。
【0064】
ここで、特定機能356は、相互の血流方向の状態とリスクの大きさとの対応関係を予め設定した対応情報を記憶回路34から読み出して、判定に用いることができる。
図6は、第1の実施形態に係る対応情報の一例を示す図である。なお、
図6においては、血流方向の状態として、血流方向のなす角度を対応付けた対応情報を示す。例えば、記憶回路34は、
図6に示すように、疾患リスクと、角度と、警告文言とを対応付けた対応情報を記憶する。
【0065】
例えば、対応情報は、「疾患リスク:大」と「角度:45~90°」と「警告文言:大動脈疾患の有無を確認し、異常が見当たらなければ別検査の実施もご検討ください」とを対応付けられる。かかる対応情報に基づく場合、特定機能356は、大動脈弁における血流方向と、上行大動脈における血流方向とのなす角度が「45~90°」である場合に、上記対応情報に基づいて疾患リスクを「大」と判定する。また、対応情報における警告文言は、血流方向に基づく判定による評価結果を表示する際に参照される。
【0066】
同様に、対応情報は、その他の角度範囲と、角度範囲ごとの疾患リスクと、角度範囲ごとの警告文言とがそれぞれ対応付けられ、血流方向に基づく判定と、評価情報の表示とに用いられる。
【0067】
(評価情報の表示処理)
図2のステップS106で説明したように、制御機能351は、特定機能356によって特定された状態に基づく評価情報をディスプレイ33に表示させる。具体的には、制御機能351は、特定機能356による判定結果を示す評価情報を表示させる。例えば、制御機能351は、疾患リスクの程度を示す情報(例えば、大、中、小、エラー)や、警告文言などをディスプレイ33に表示させる。ここで、血流方向のなす角度や距離は大きいほどリスクが高い値であることから、制御機能351は、値そのものを評価情報として表示することもできる。
【0068】
制御機能351による評価情報の表示は、種々の方法によって提供することができる。
図7A~
図7Cは、第1の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。例えば、制御機能351は、
図7Aに示すように、疾患リスクに関する判定結果「中」と警告文言とを含む評価情報を文字として表示することができる。ここで、制御機能351は、注目領域の状態の程度に基づいて、評価情報の表示形態を変化させることができる。例えば、制御機能351は、疾患リスクの程度(大、中、小)に対応する文字の色やフォント、サイズなどを変更して強調表示する。
【0069】
また、制御機能351は、医用画像上に評価情報を表示させることができる。例えば、制御機能351は、
図7Bに示すように、ステップS101で取得したCT画像上に、リスクの程度を示す文字や、ステップS105で算出した値(角度や距離)を重ねて表示することもできる。また、制御機能351は、CT画像上にステップS104で算出した血流方向を示す情報を表示させることもできる。例えば、制御機能351は、
図7Bに示すように、注目構造の血流方向を示す矢印L2と、周囲構造の血流方向を示す矢印L3とを、CT画像上に表示する。ここで、制御機能351は、各直線の表示形態を変化させて(例えば、別の色など)、表示することができる。また、制御機能351は、算出された二つの血流方向がなす角度が表される断面を特定し、当該断面を表示したのちに血流方向を重ねて表示することもできる。また、制御機能351は、任意の方向の断面に対し血流方向を示す矢印を投影して表示することもできる。
【0070】
また、制御機能351は、
図7Cに示すように、3次元表示したCT画像上(VR画像、SR画像等)に、評価情報を表示することもできる。血流方向は基本的に3次元で算出されるため、3次元画像上に重ねて表示する方が、視認性が高くなる。
【0071】
上述したように、制御機能351は、種々の形態で評価情報を表示させることができる。ここで、上記した評価情報の表示では、疾患リスクの大きさに応じて表示する文字の大きさや矢印の太さ、色、透過度などの表示形態を任意に変更することができる。なお、ステップS106における評価情報の表示は、状態が特定された後に自動的に表示される場合でもよく、不図示のボタンなどをユーザが選択することにより明示的に表示される場合でもよい。
【0072】
(変形例1)
上述した実施形態では、ステップS104において、注目領域の構造や注目領域の周囲の構造のみから血流方向を算出(推定)した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、画像等の情報から推定される弁の性状を考慮する場合でもよい。かかる場合には、例えば、第1の算出機能354は、注目領域に対応する画素の画素値の大きさに基づいて石灰化の有無や量、又は、各構造の硬さや厚さ等を推定し、それらを更に考慮して血流方向を算出してもよい。
【0073】
(変形例2)
上述した実施形態では、ステップS104において、注目領域の構造や注目領域の周囲の構造から幾何学的な特徴を算出し、当該特徴に基づいて血流方向を算出(推定)した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、既知の流体シミュレーション技術を用いて血流状態をシミュレートして算出してもよい。例えば、ウインドケッセルモデルや脈波伝搬モデルに基づいて、予め生体の循環動態を模擬した電気回路モデルを設計しておき、第1の算出機能354及び第2の算出機能355は、当該電気回路モデルに対して注目領域の構造や注目領域の周囲の構造を入力することで、各構造における血流情報を取得することができる。また、第1の算出機能354及び第2の算出機能355は、電気回路モデルに限らず、ナビエスストークス方程式と連続の式やマクスウェル方程式や状態方程式等の必要な方程式を連立し、当該方程式に各種パラメータを入力することで、対象とする流体情報を数値的に求めることにより算出することできる。
【0074】
また、上記したシミュレーションを実施する際に以下のような構造を仮想的に構成し血流方向を算出してもよい。すなわち、注目構造に基づく血流方向は、注目構造のみ(つまり、注目構造の周囲の構造の情報は一切使用しない)から推定するようにしてもよいし、周囲の構造は一般的な人体の構造を適用して算出してもよい。一般的な人体の構造は、多数のデータから予めモデル化し、サイズの拡大率のみ注目構造のサイズに応じて修正する。また、周囲構造に基づく血流状態は、周囲構造のみ(つまり、注目構造の情報は一切使用しない)から推定してもよいし、注目構造は一般的な人体の構造を適用して算出してもよい。ここで、一般的な人体の構造は、多数のデータから予めモデル化し、サイズの拡大率のみ注目構造のサイズに応じて修正する。これにより、注目構造又は周囲構造に依存する血流状態を算出することができる。
【0075】
上述したように、第1の実施形態によれば、画像取得機能352は、医用画像を取得する。第1の算出機能354は、医用画像に含まれる注目領域の構造に基づいて第1の血流方向を算出する。第2の算出機能355は、注目領域の周囲の構造に基づいて第2の血流方向を算出する。特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向とに基づいて、注目領域の状態を特定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、注目領域の周囲の構造を考慮して注目領域の状態を特定することができ、注目領域の状態を適切に推定することを可能にする。その結果、医用画像処理装置3は、対象とする臓器がもたらす異常の程度や予後リスクを正しく推定することを可能にする。
【0076】
また、第1の実施形態によれば、特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向との差異に基づいて、注目領域の状態を特定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、血流がスムーズか否かに基づいて注目領域の状態を特定することができ、より精度の高い推定を行うことを可能にする。
【0077】
また、第1の実施形態によれば、特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向との差異が大きいほど、注目領域の構造がもたらす人体に対する悪影響が大きいと判定する。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、疾患リスクや異常の程度を精度良く判定することを可能にする。
【0078】
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、注目領域の状態に基づく評価情報をディスプレイ33にて表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、評価情報をユーザに提供することを可能にする。
【0079】
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、注目領域の状態の程度に基づいて、評価情報の表示形態を変化させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、疾患リスクや異常の程度に応じた情報をユーザに提供することを可能にする。
【0080】
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、医用画像上に評価情報を表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、評価情報とともに解剖構造の情報を提供することを可能にする。
【0081】
また、第1の実施形態によれば、制御機能351は、第1の血流方向を示す情報と第2の血流方向を示す情報とを、医用画像上に表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用画像処理装置3は、解剖構造の情報と、それによってもたらされる血流方向とを視覚的に確認させることを可能にする。
【0082】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、注目領域が1つである場合について説明した。第2の実施形態では、注目領域が複数ある場合について説明する。なお、第2の実施形態では、複数の注目領域として大動脈弁と僧帽弁と三尖弁と肺動脈弁との4つの弁を対象とする場合について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る処理を説明するための図である。
【0083】
例えば、第2の実施形態に係る抽出機能353は、ステップS102において、
図8に示す心臓全体及び各種血管を含むCT画像から大動脈弁と僧帽弁と三尖弁と肺動脈弁との夫々の領域を抽出する。また、抽出機能353は、ステップS103において、例えば、大動脈弁に対して上行大動脈を周囲構造として抽出し、僧帽弁に対して左心房と左心室とを周囲構造として抽出する。また、抽出機能353は、三尖弁に対して右心房と右心室とを周囲構造として抽出し、肺動脈弁に対しては肺動脈を周囲構造として抽出する。なお、ステップS102及びステップS103における抽出方法は、第1の実施形態と同様である。
【0084】
そして、第2の実施形態に係る第1の算出機能354及び第2の算出機能355は、ステップS104において、それぞれの弁に対して弁構造に基づく血流方向(
図8における矢印L2)と周囲構造に基づく血流方向(
図8における矢印L3)とを算出する。ここで、肺動脈弁に関しては、第1の実施形態と同様に算出することが可能である。一方、僧帽弁や三尖弁に関しては、例えば、第1の算出機能354は、左右の交連部を結ぶ線分に垂直で弁口の重心を通る線分から注目構造に基づく血流方向を第1の血流方向として算出する。第2の算出機能355は、左心房の重心と左心室の重心を結ぶ線分又は右心房の重心と右心室の重心とを結ぶ線分により、周囲構造に基づく血流方向を第2の血流方向として算出する。なお、これらの算出方法はあくまでも一例であり、その他の算出方法を適宜用いることができる。
【0085】
その後、第2の実施形態に係る特定機能356は、注目領域ごとに第1の血流方向と第2の血流方向とに基づいて、対応する注目構造の状態をそれぞれ特定し、特定した各注目構造の状態に基づいて複数の注目領域から構成される領域の状態を特定する。すなわち、特定機能356は、ステップS105において、各弁における矢印L2と矢印L3とを用いて各弁の状態(リスク)の程度を示す値(血流方向のなす角度や距離)を算出し、全ての弁における当該状態(リスク)の程度を示す値に基づいて予め定める一つの統計量(合計値、平均値等)を算出し、当該統計量を被検体のリスクとする。これにより心臓全体における疾患リスクを判定することができる。
【0086】
そして、第2の実施形態に係る制御機能351は、ステップS106において、特定機能356による判定結果に基づく評価情報(例えば、疾患リスクの判定結果など)を表示させる。ここで、制御機能351は、3次元画像上に全ての注目構造及び周囲構造に基づく血流状態を表示することもでき、模式図とともに表示することもできる。また、制御機能351は、各構造におけるリスクをそれぞれの構造に対して別々に表示することもでき、統計量のみを表示することもできる。
【0087】
上述したように、第2の実施形態によれば、第1の算出機能354は、医用画像に含まれる複数の注目領域について、第1の血流方向をそれぞれ算出する。第2の算出機能355は、複数の注目領域について、周囲の各構造における第2の血流方向をそれぞれ算出する。特定機能356は、第1の血流方向と第2の血流方向とに基づいて注目領域ごとの状態をそれぞれ特定し、特定した注目領域ごとの状態に基づいて複数の注目領域から構成される領域の状態を特定する。したがって、第2の実施形態に係る医用画像処理装置3は、複数の注目領域から構成される生体器官の状態(異常の程度や予後リスクなど)を、各注目領域の状態から総合的に評価することを可能にする。
【0088】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、1つの時点の医用画像を対象とする場合について説明した。第3の実施形態では、複数の時点の医用画像を用いて、注目領域の状態を特定する場合について説明する。かかる場合には、第3の実施形態に係る画像取得機能352は、異なる時点で撮像された複数の医用画像を取得する。第3の実施形態に係る第1の算出機能354は、各時点の医用画像について、注目領域の構造に基づく第1の血流方向をそれぞれ算出する。第3の実施形態に係る第2の算出機能355は、各時点の医用画像について、周囲の構造に基づく第2の血流方向をそれぞれ算出する。第3の実施形態に係る特定機能356は、各時点の医用画像について、第1の血流方向と第2の血流方向との差異を算出し、算出した各時点の差異に基づいて注目領域の状態を特定する。
【0089】
図9は、第3の実施形態に係る処理の一例を説明するための図である。例えば、ステップS101において、画像取得機能352は、
図9に示すt1~t6の時点で撮像された4DCT画像を取得する。
【0090】
そして、抽出機能353は、ステップS102において、各時点のCT画像から同一の注目構造(例えば、大動脈弁)を夫々抽出し、ステップS103において、各時点のCT画像から同一の周囲構造(例えば、上行大動脈)を夫々抽出する。
【0091】
その後、ステップS104において、第1の算出機能354が、注目構造に基づく血流方向(
図9における矢印L2)を算出し、第2の算出機能355が、周囲構造に基づく血流方向(
図9における矢印L3)を算出する。
【0092】
そして、ステップS105において、特定機能356が、夫々の時点におけるCT画像に対して状態(リスク)の程度を示す値(
図9の場合は角度)を算出する。さらに、特定機能356は、夫々のCT画像における当該状態(リスク)の程度を示す値から予め定める一つの統計量(合計値、分散等)を算出し、当該統計量を被検体の状態(リスク)とする。例えば、分散を用いることで、弁構造がもたらす血流状態と弁の周囲の構造がもたらす血流状態との関係性を一心拍の中での変化量により解析することができることから、分散が小さいときにリスクを小とするようにしてもよい。その他、合計値が小さい時にリスクを小とするようにしてもよい。
【0093】
そして、ステップS106において、制御機能351は、特定機能356による判定結果に基づく評価情報(例えば、疾患リスクの判定結果など)を表示させる。ここで、制御機能351は、状態の程度を示す値の経時変化の情報を表示させることもできる。具体的には、制御機能351は、複数の医用画像に対応する各時相において特定された注目領域の状態に基づく各評価情報と、当該各時相との関係をグラフ表示することができる。
図10は、第3の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。例えば、制御機能351は、
図10に示すように、横軸に撮像時点(心位相%)を示し、縦軸に状態の程度を示す値(
図10では角度)を示したグラフを表示させることができる。
【0094】
また、第3の実施形態は、第2の実施形態と組み合わせて実施することもできる。すなわち、複数の時点の医用画像の夫々について、複数の注目領域を設定し、各注目領域における判定を行う場合でもよい。かかる場合には、制御機能351は、例えば、
図11に示すように、大動脈弁と、三尖弁と、肺動脈弁と、僧帽弁とについて、各撮像時点(心位相%)での状態の程度を示す値(
図11では角度)を示したグラフを表示させることができる。なお、
図11は、第3の実施形態に係る評価情報の一例を示す図である。
【0095】
上述したように、第3の実施形態によれば、画像取得機能352は、異なる時点で撮像された複数の医用画像を取得する。第1の算出機能354は、各時点の医用画像について、注目領域の構造に基づく第1の血流方向をそれぞれ算出する。第2の算出機能355は、各時点の医用画像について、周囲の構造に基づく第2の血流方向をそれぞれ算出する。特定機能356は、各時点の医用画像について、第1の血流方向と第2の血流方向との差異を算出し、算出した各時点の差異に基づいて注目領域の状態を特定する。したがって、第3の実施形態に係る医用画像処理装置3は、経時的な状態の変化を考慮した推定を行うことができ、注目領域についてより詳細な推定を行うことを可能にする。
【0096】
また、第3の実施形態によれば、制御機能351は、複数の医用画像に対応する各時相において特定された注目領域の状態に基づく各評価情報と、当該各時相との関係をグラフ表示する。したがって、第3の実施形態に係る医用画像処理装置3は、評価情報の経時的な変化を視覚的に確認させることを可能にする。
【0097】
(他の実施形態)
また、上述した実施形態では、評価情報を医用画像処理装置3のディスプレイ33に表示させる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、評価情報をネットワークに接続された他の装置のディスプレイに表示させる場合でもよい。
【0098】
なお、上述した実施形態では、本明細書における制御部、画像取得部、抽出部、第1の算出部、第2の算出部、及び、特定部を、それぞれ、処理回路の制御機能、画像取得機能、抽出機能、第1の算出機能、第2の算出機能、及び、特定機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における制御部、画像取得部、抽出部、第1の算出部、第2の算出部、及び、特定部は、実施形態で述べた制御機能、画像取得機能、抽出機能、第1の算出機能、第2の算出機能、及び、特定機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0099】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0100】
ここで、プロセッサによって実行される医用画像処理プログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、この医用画像処理プログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、この医用画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、この医用画像処理プログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体から医用画像処理プログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0101】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0102】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0103】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、注目領域の状態を適切に推定することができる。
【0104】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
3 医用画像処理装置
35 処理回路
351 制御機能
352 画像取得機能
353 抽出機能
354 第1の算出機能
355 第2の算出機能
356 特定機能