(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044966
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ラミネート型リチウムイオン二次電池および蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20230327BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20230327BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20230327BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230327BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20230327BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230327BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/105
H01M50/548 301
H01M10/052
H01M50/178
H01M50/55 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153117
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今 紀裕
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011CC10
5H011EE04
5H029AJ03
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ04
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029HJ12
5H029HJ19
5H043AA05
5H043BA19
5H043CA09
5H043DA09
5H043LA21D
(57)【要約】
【課題】 電池モジュールや電池パックを含んだ蓄電装置の小型化や省スペース化、および製造工程の複雑化を解消できるラミネート型リチウムイオン二次電池および蓄電装置を提供する。
【解決手段】 正極と、負極と、セパレータと、非水電解質と、正極端子と、負極端子と、外装材と、を備えるラミネート型リチウムイオン二次電池であって、正極端子は、正極接触部と、第1露出部と、外装材の熱融着層と融着する第1シーラント部と、を有し、負極端子は、負極接触部と、第2露出部と、外装材の熱融着層と融着する第2シーラント部と、を有し、外装材は、第1露出部を外部へ露出する第1開口部と、第2露出部を外部へ露出する第2開口部と、を有し、第1シーラント部は第1露出部の外周の少なくとも一部を囲んでおり、第2シーラント部は第2露出部の外周の少なくとも一部を囲んでおり、正極端子および負極端子は、外装材から突出するタブ部を備えない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体および正極合材層を有する正極と、
負極集電体および負極合材層を有する負極と、
前記正極および前記負極を絶縁するセパレータと、
非水電解質と、
前記正極集電体と接する正極端子と、
前記負極集電体と接する負極端子と、
熱融着層および金属箔層を有するラミネートフィルムからなり、前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記非水電解質、前記正極端子および前記負極端子を内蔵する外装材と、
を備えるラミネート型リチウムイオン二次電池であって、
前記正極端子は、前記正極集電体と接する正極接触部と、前記ラミネート型リチウムイオン二次電池の外部に露出する第1露出部と、前記外装材の前記熱融着層と融着する第1シーラント部と、を有し、
前記負極端子は、前記負極集電体と接する負極接触部と、前記ラミネート型リチウムイオン二次電池の外部に露出する第2露出部と、前記外装材の前記熱融着層と融着する第2シーラント部と、を有し、
前記外装材は、前記第1露出部を前記外部へ露出する第1開口部と、前記第2露出部を前記外部へ露出する第2開口部と、を有し、
前記第1シーラント部は前記第1露出部の外周の少なくとも一部を囲んでおり、
前記第2シーラント部は前記第2露出部の外周の少なくとも一部を囲んでおり、
前記正極端子および前記負極端子は、前記外装材から突出するタブ部を備えない、
ラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記外装材は、2枚の前記ラミネートフィルムをそれらの前記熱融着層が互いに対抗するように重ねて熱融着された熱融着部を有し、前記第1露出部および前記第2露出部は前記熱融着部から露出している、請求項1に記載のラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記外装材は、1枚の前記ラミネートフィルムを折り曲げ部で折り曲げて、開口部の三方を熱融着させて熱融着部を形成しており、前記第1開口部および前記第2開口部は前記折り曲げ部のある辺に設けられており、前記外装材の内部は前記第1シーラント部および前記第2シーラント部と熱融着している、請求項1に記載のラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記正極端子の前記第1露出部と前記負極端子の前記第2露出部のいずれか一方または双方が、前記ラミネート型リチウムイオン二次電池の一辺上または前記ラミネート型リチウムイオン二次電池の一辺より電池の内側に端部を有し、前記端部は前記第1シーラント部および前記第2シーラント部で囲われていない、請求項1または請求項3に記載のラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記正極端子および前記負極端子は、屈曲せずに前記外装材へ内蔵されている、請求項1~4のいずれかに記載のラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記正極集電体における前記正極接触部と接する正極端子接触部と、
前記負極集電体における前記負極接触部と接する負極端子接触部と、
前記正極端子における前記正極接触部と、
前記負極端子における前記負極接触部と、
を内在するテラス部を備える、請求項1~5のいずれかに記載のラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項7】
電池容量が1Ah以上である、請求項1~6のいずれかに記載のラミネート型リチウムイオン二次電池。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のラミネート型リチウムイオン二次電池を備える蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型リチウムイオン二次電池および蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスとしての二次電池は、一次電池の置きかえ用途はもとより、携帯電話、IT機器等の電子機器の電源として広く普及している。とりわけ、リチウムイオン二次電池等の二次電池は、電気自動車や、電源装置等の民生用・産業用大型電気機器への応用も進められており、この場合、高出力化、大容量化を意図しての使用が一般的になっている。特に小型化、軽量化、様々な形状の変化に伴い、従来使用されていた金属製の外装に代えて、金属箔の両面に樹脂フィルムを接着剤で貼り合わせたラミネート外装材が用いられることが多くなっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6632831号公報
【特許文献2】特許第6661459号公報
【特許文献3】特許第6666096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のラミネート外装材を使用したラミネート型リチウムイオン二次電池は、基本的な構造としてタブ金属端子が電池の任意の端より、少なくとも一端から突出している。そのため、ラミネート型リチウムイオン二次電池同士をブスバー等で接合する場合には、複数の電池から構成される電池モジュールや電池パックの出力端子部分における構造において、余分な利用のできない空間を作り出してしまい、電池を備える装置の構造上の自由度が損なわれる問題を抱えている。
【0005】
また、ラミネート型リチウムイオン二次電池から突出しているタブ金属端子は、タブ金属端子の長さの調整やタブ金属端子同士を接合する設計の関係上、タブ金属端子のカットや折り曲げといった追加工をする必要性があり、そのために加工工程が増えてさらに加工工程が複雑化してしまう可能性がある。
【0006】
ところで、特許文献1~3では、外装材の金属箔層を露出し電極端子(タブ金属端子)を形成して小型化、軽量化を図っているが、小型で比較的薄いキャパシタに適用している技術であり、面積が大きく、厚みがあり多積層されている電極から電流を取り出すような数Ah程度の容量を必要とするラミネート型リチウムイオン電池には適用が困難と考える。
【0007】
上記のことを鑑みて、本発明では、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池では達成できなかった、電池モジュールや電池パックを含んだ蓄電装置の小型化や省スペース化、電池の大容量化ができるラミネート型リチウムイオン二次電池および蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池は、正極集電体および正極合材層を有する正極と、負極集電体および負極合材層を有する負極と、前記正極および前記負極を絶縁するセパレータと、非水電解質と、前記正極集電体と接する正極端子と、前記負極集電体と接する負極端子と、熱融着層および金属箔層を有するラミネートフィルムからなり、前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記非水電解質、前記正極端子および前記負極端子を内蔵する外装材と、を備えるラミネート型リチウムイオン二次電池であって、前記正極端子は、前記正極集電体と接する正極接触部と、前記ラミネート型リチウムイオン二次電池の外部に露出する第1露出部と、前記外装材の前記熱融着層と融着する第1シーラント部と、を有し、前記負極端子は、前記負極集電体と接する負極接触部と、前記ラミネート型リチウムイオン二次電池の外部に露出する第2露出部と、前記外装材の前記熱融着層と融着する第2シーラント部と、を有し、前記外装材は、前記第1露出部を前記外部へ露出する第1開口部と、前記第2露出部を前記外部へ露出する第2開口部と、を有し、前記第1シーラント部は前記第1露出部の外周の少なくとも一部を囲んでおり、前記第2シーラント部は前記第2露出部の外周の少なくとも一部を囲んでおり、前記正極端子および前記負極端子は、前記外装材から突出するタブ部を備えない、ラミネート型リチウムイオン二次電池である。
【発明の効果】
【0009】
本発明であれば、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池では達成できなかった、電池モジュールや電池パックを含んだ蓄電装置の小型化や省スペース化、電池の大容量化および製造工程の複雑化を解消できるラミネート型リチウムイオン二次電池および蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態のラミネート型リチウムイオン二次電池100の斜視概略図である。
【
図2】ラミネート型リチウムイオン二次電池100の概略断面図であり、
図2(a)は、
図1のAA断面図であり、
図2(b)は
図1のBB断面図である。
【
図3】正極端子50、負極端子60、電極組立体80、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の概略正面図であり、
図3(a)は正極端子50、
図3(b)は負極端子60、
図3(c)は電極組立体80、
図3(d)はラミネート型リチウムイオン二次電池100である。
【
図4】
図3とは異なる態様の正極端子50a、負極端子60a、電極組立体80a、ラミネート型リチウムイオン二次電池100aの概略正面図であり、
図4(a)は正極端子50a、
図4(b)は負極端子60a、
図4(c)は電極組立体80a、
図4(d)はラミネート型リチウムイオン二次電池100aである。
【
図5】
図3、4とは異なる態様の正極端子50b、負極端子60b、電極組立体80b、ラミネート型リチウムイオン二次電池100bの概略正面図であり、
図5(a)は正極端子50b、
図5(b)は負極端子60b、
図5(c)は電極組立体80b、
図5(d)はラミネート型リチウムイオン二次電池100bである。
【
図6】
図3~5とは異なる態様のラミネート型リチウムイオン二次電池100cの概略正面図である。
【
図7】
図3~6とは異なる態様の正極端子50d、負極端子60d、電極組立体80d、ラミネート型リチウムイオン二次電池100dの概略正面図であり、
図7(a)は正極端子50d、
図7(b)は負極端子60d、
図7(c)は電極組立体80d、
図7(d)はラミネート型リチウムイオン二次電池100dである。
【
図8】従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200の概略正面図である。
【
図9】従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200を備える電池モジュール350と、本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池100を備える電池モジュール300、310の大きさを比較する図であり、
図8(a)は電池モジュール350、
図8(b)は電池モジュール300、
図8(c)は電池モジュール310である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池および蓄電装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は以下の一実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[ラミネート型リチウムイオン二次電池]
〈第1実施形態〉
図1は、本発明の一実施形態のラミネート型リチウムイオン二次電池100の斜視概略図である。
図2は、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の概略断面図であり、
図2(a)は、
図1のAA断面図であり、
図2(b)は
図1のBB断面図である。そして、
図3は、正極端子50、負極端子60、電極組立体80、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の概略正面図であり、
図3(a)は正極端子50、
図3(b)は負極端子60、
図3(c)は電極組立体80、
図3(d)はラミネート型リチウムイオン二次電池100である。
【0013】
ラミネート型リチウムイオン二次電池100は、正極10と、負極20と、セパレータ30と、非水電解質40と、正極端子50と、負極端子60と、外装材70とを備える。
【0014】
(正極10)
正極10は、正極集電体11および正極合材層12を有する。正極合材層12は、例えば正極活物質、導電材及び結着剤を含む。
【0015】
正極活物質は、リチウム含有金属酸化物等のリチウム二次電池の正極活物質として一般的に用いられる化合物であれば特に限定されない。例えば、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMnO2、LiMn2O4、LiMn2O3)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト鉄複合酸化物(例えばLiCo0.5Fe0.5O2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLi(NixCoyMn1-x-y)O2(0<x<1、0<y<1))、リチウム鉄リン複合酸化物(例えばLiFePO4)等が挙げられる。
【0016】
正極集電体11は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金である。正極集電体の素材には、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム等の金属メッシュ、金属多孔質体、エキスパンドメタル、パンチングメタル等が挙げられる。
【0017】
導電材は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、活性炭、黒鉛等が挙げられる。
【0018】
結着剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0019】
(負極20)
負極20は、負極集電体21および負極合材層22を有し、例えば、負極集電体21と、当該負極集電体21の一方又は両方の面に形成された負極活物質を含む負極合材層22とを備える。
【0020】
負極活物質は、金属の溶解、析出、又は金属イオンの挿入・脱離が可能な材料であれば、特に限定されない。負極活物質としては、例えば、リチウム金属、炭素系材料、シリコン、シリコン合金、スズ等が挙げられる。リチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素系材料は、例えば、粉末状又は繊維状の黒鉛である。
【0021】
負極集電体21は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することできる。負極集電体としては、例えば、銅又は銅合金からなる圧延箔、電解箔等が挙げられる。
【0022】
(セパレータ30)
セパレータ30は、正極10および負極20を絶縁するものであり、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、セルロース又はポリイミドの延伸フィルム、微多孔膜又は不織布を用いることができる。延伸フィルム、微多孔膜又は不織布は、単層であっても、多層構造であってもよい。セパレータは、特に好ましくは微多孔質ポリエチレン膜であってもよい。なお、セパレータ30は、正極10と負極20との間に1枚ずつカットされて配されて絶縁するセパレータと、つづら折り形状の一枚のセパレータが複数の正極10と複数の負極20を絶縁するセパレータが挙げられる。
【0023】
(非水電解質40)
非水電解質40は、液体状の場合、非水溶媒及び電解質を含む。
【0024】
非水溶媒は、好ましくは、主成分として環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する。環状カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)及びγ-ブチロラクトン(GBL)から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0025】
電解質は、特に限定されるものではなく、リチウム二次電池で一般に用いられるリチウム塩の電解質を用いることができる。例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)(C4F4SO2)、LiN(CmF2m+1SO2)(CnF2n+1SO2)(m、nは1以上の整数)、LiC(CpF2p+1SO2)(CqF2q+1SO2)(CrF2r+1SO2)(p、q、rは1以上の整数)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム等を用いることができる。これらの電解質は、一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、この電解質は非水溶媒に対して0.1~1.5モル/L、好ましくは0.5~1.5モル/Lの濃度で溶解することが望ましい。
【0026】
(正極端子50)
正極端子50は、正極集電体11と接する端子である。
図3(a)に示すように、正極端子50は、正極集電体11と接する正極接触部51と、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の外部に露出する第1露出部52と、外装材70の熱融着層と融着する第1シーラント部53と、を有する。第1シーラント部53は、第1露出部52の外周を囲んでいる。
【0027】
(負極端子60)
負極端子60は、負極集電体21と接する端子である。
図3(b)に示すように、負極端子60は、負極集電体21と接する負極接触部61と、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の外部に露出する第2露出部62と、外装材70の熱融着層と融着する第2シーラント部63と、を有する。第2シーラント部63は、第2露出部62の外周を囲んでいる。
【0028】
(ラミネート型リチウムイオン二次電池の溶接方法と溶接幅)
電池容量を増加させるなどの観点から、複数のラミネート型リチウムイオン二次電池100を接続して使用する際には、複数のラミネート型リチウムイオン二次電池100をブスバーで溶接するのが望ましい。溶接する方法としては、超音波溶接や抵抗溶接やファイバーレイザー溶接などが挙げられる。第1露出部52と第2露出部62の面積がそれぞれ2000μm2以上であり、一辺がそれぞれ50μm以上であると、ファイバーレイザー溶接でタブ端子とブスバーが溶接可能である。ただし、他の溶接方法を使用する場合や、溶接強度や発熱抑制、入出力性能などの観点から、より広い面積とより長い一辺の長さを確保することが好ましい。一方で、電池の小型化のため、第1シーラント部53や第2シーラント部63の短手方向において、第1露出部52と第2露出部62の露出長さが10mm以下であることが好ましい。
【0029】
第1露出部52と第2露出部62の面積や形状は、同じであってもよく、異なっていても良い。また、それぞれの露出部のラミネート型リチウムイオン二次電池100の平面方向の表裏でそれぞれの露出部の面積や形状や位置が異なっていても良い。第1露出部52と第2露出部62は、ともに、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の平面方向の表裏で双方に存在しても良いし、一方の面にのみ存在しても良い。第1露出部52と第2露出部62のラミネート型リチウムイオン二次電池100の平面方向の表裏での存在は一致していても良いし、一致していなくても良い。
【0030】
また、第1露出部52を囲む第1シーラント部53と第2露出部62を囲む第2シーラント部63は、外装材70との融着作業の安定性の観点から、それぞれの最も小さい幅で1mm以上であるのが好ましく、より好ましくは5mmの幅を有する。ラミネート型リチウムイオン二次電池100の小型化の観点から、第1露出部52を囲む第1シーラント部53と第2露出部62を囲む第2シーラント部63は、それぞれの最も小さい幅で10mm以下であることが好ましい。
【0031】
さらに、シール耐久性と水蒸気バリア性の観点から、第1露出部52を囲む外装材70との融着部と第2露出部62を囲む外装材70との融着部は、それぞれの最も小さい幅で1mm以上であるのが好ましく、より好ましくは5mmの幅を有する。電池の小型化の観点から、第1露出部52を囲む外装材70との融着部と第2露出部62を囲む外装材70との融着部は、それぞれの最も小さい幅で10mm以下であることが好ましい。
【0032】
加えて、第1露出部52を囲む第1シーラント部53と第1露出部52を囲む外装材70との融着部の同一方向における幅は、どの方向であっても、短絡防止などの観点から、第1シーラント部53の幅が融着部の幅より2~3mm程度長いのが好ましいが、一致していても構わない。第2露出部62を囲む第2シーラント部63と第2露出部62を囲む外装材70との融着部の幅についても、同様である。
【0033】
詳細は後述するが、従来の電池とは異なり、ラミネート型リチウムイオン二次電池100において、正極端子50および負極端子60は、外装材70から突出するタブ部を備えないことにより、電池の小型化や電池容量の大容量化が実現可能となる。また、タブ部が無いことでタブ部のカットや折り曲げといった追加工をする必要が無く、そのために加工工程が増えたり加工工程が複雑化したりすることもない。
【0034】
(外装材70)
外装材70は、熱融着層および金属箔層を有するラミネートフィルムからなり、正極10、負極20、セパレータ30、非水電解質40、正極端子50および負極端子60を内蔵する。
【0035】
外装材70は、例えば袋状となっており、後述する扁平状の電極組立体80(
図3(c))が収納されている。ラミネートフィルムは、例えば複数枚(例えば2枚)のプラスチックフィルムをそれらのフィルム間にアルミニウム箔のような金属箔を金属箔層として挟んで積層した構造を有する。そして、2枚のプラスチックフィルムのうち、一方のプラスチックフィルムは熱融着層として熱融着性樹脂フィルムが用いられる。外装材70は、2枚のラミネートフィルムをそれらの熱融着性樹脂フィルムが互いに対向するように重ね、これらのラミネートフィルム間に電極組立体80を介在し、電極組立体80周辺の2枚のラミネートフィルム部分(
図3(d)の熱融着部73)を互いに熱融着して四方を封止することにより、前記電極組立体80を気密に収納している。
【0036】
外装材70は、正極端子50の第1露出部52を外部へ露出する第1開口部71と、負極端子60の第2露出部62を外部へ露出する第2開口部72と、を有する。第1開口部71と第2開口部72を設けることにより、タブ部が無くても正極端子50の一部である第1露出部52と負極端子60の一部である第2露出部62を外部へ露出させることができ、タブ部に変えてこれらの第1露出部52と第2露出部62をブスバー等で接続すればよい。この際、第1露出部52と第2露出部62は、ラミネートフィルムを熱融着により封止した熱融着部73に備えられていることが好ましい。すなわち、第1露出部52および第2露出部62は熱融着部73から露出していることにより、正極端子50および負極端子60は熱融着部73より露出することが好ましい。その理由は、テラス部に新たに融着部を設ける必要がないことと、厚みのあるテラス部よりも融着位置がずれづらいことにある。
【0037】
(電極組立体80)
電極組立体80は、
図2(a)に示すように正極10と負極20とそれら正極10、負極20の間に介在されたセパレータ30を負極20が最外層に位置するように複数積層した構造を有する。正極10は、正極集電体11と当該集電体11の両面に形成された正極合材層12とから構成されている。負極20は、負極集電体21と、当該集電体21の両面に形成された負極合材層22とから構成されている。なお、最外層に位置する負極20は、負極集電体21の外装材側の面に負極合剤層22を含まなくても良い。
【0038】
正極10は、正極集電体11が正極合材層12から正極端子50へ延出しており、各正極集電体11は、外装材70内において先端側で束ねられ、互いに接合するように正極端子50の正極接触部51と第1溶接部54(
図3(c)参照)によって溶接されている。
【0039】
負極20は、負極集電体21が負極合材層22から負極端子60へ延出しており、各負極集電体21は、外装材70内において先端側で束ねられ、互いに接合するように負極端子60の負極接触部61と第2溶接部64(
図3(c)参照)によって溶接されている。
【0040】
また、正極端子50は第1シーラント部53が外装材70の熱融着部73と熱融着しており、外装材70内部の非水電解質40が第1開口部71から漏れることを防いでいる。
【0041】
負極端子60も同様に、第2シーラント部63が外装材70の熱融着部73と熱融着しており、外装材70内部の非水電解質40が第2開口部72から漏れることを防いでいる。
【0042】
ラミネート型リチウムイオン二次電池100の電池容量が1Ah以上の場合には、容量や大きさに応じて正極端子50の正極接触部51や負極端子60の負極接触部61の厚みが例えば0.3mm以上となって正確に折り曲げることが難しくなることで、正極端子50および負極端子60を折り曲げて外装材70へ収納しようとすると、外装材70内部で余分な隙間ができたり、正極端子50および負極端子60の位置決めが難しくなったりするおそれがある。そのため、特に電池容量が1Ah以上の場合には、正極端子50および負極端子60は、屈曲せずに外装材70へ内蔵されていることが好ましい。また、電池容量が1Ah未満の場合にも、屈曲させることが不要であれば屈曲せずに内蔵されて問題ない。
【0043】
(テラス部90)
ラミネート型リチウムイオン二次電池100は、第1露出部52と第2露出部62が外装材70の同じ端部に設けられた第1開口部71と第2開口部72から露出するように、前記正極集電体11における前記正極接触部51と接する正極端子接触部13と、前記負極集電体21における前記負極接触部61と接する負極端子接触部23と、前記正極端子50における前記正極接触部51と、前記負極端子60における前記負極接触部61と、を内在するテラス部90を備えてもよい。なお、本明細書中では、ラミネート外装材のエンボス加工されていない部分が対向し、正極10と負極20とセパレータ30を含む電極組立体のうち、正極10の正極合材層12の非形成部および負極20の負極合剤層22の非形成部が収納される、リチウムイオン二次電池の収納部分の一部をテラス部と呼ぶ。
【0044】
ただし、テラス部90を備えていない電池も本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池に含まれる。例えば第1開口部71と第2開口部72が外装材70の別の端部に設けられる場合には、テラス部90を備えない場合がある。
【0045】
〈第2実施形態〉
図4は、
図3とは異なる態様の正極端子50a、負極端子60a、電極組立体80a、ラミネート型リチウムイオン二次電池100aの概略正面図である。四角形の第1露出部52aおよび第2露出部62aがそれぞれ3つずつ設けられており、これらに対応して四角形の第1開口部71a、第2開口部72aがそれぞれ3つずつ設けられている。なお、第1露出部52aおよび第2露出部62aの個数は3つに限定されず、互いに異なった個数でも良い。
【0046】
〈第3実施形態〉
図5は、
図3、4とは異なる態様の正極端子50b、負極端子60b、電極組立体80b、ラミネート型リチウムイオン二次電池100bの概略正面図である。円形の第1露出部52bおよび第2露出部62bがそれぞれ3つずつ設けられており、これらに対応して円形の第1開口部71b、第2開口部72bがそれぞれ3つずつ設けられている。なお、第1露出部52bおよび第2露出部62bの個数は3つに限定されず、互いに異なった個数でも良い。
【0047】
〈第4実施形態〉
図6は、
図3~5とは異なる態様のラミネート型リチウムイオン二次電池100cの概略正面図である。第1実施形態~第3実施形態では2枚のラミネートフィルムの四方を熱融着させて外装材70としていたが、第4実施形態では1枚のラミネートフィルムを折り曲げ部74で折り曲げて開口部の点線で示す三方の領域を熱融着させて熱融着部73aとして外装材70aを形成している。折り曲げ部74は、ラミネートフィルムを二等分するような位置であることが望ましい。折り曲げ部74がラミネートフィルムを二等分するような位置であれば、重なり合わない部分のラミネートフィルム(以下余剰分と呼ぶ)が存在しないためである。折り曲げ部がラミネートフィルムを二等分するような位置でなかったとしても、最終的には余剰分をカットして二等分するような位置になるように調整すると良い。また、第1開口部71cおよび第2開口部72cは折り曲げ部74のある辺に設けられており、外装材70に内蔵された非水電解質40が外部へ漏れないよう、外装材70aの内部は第1シーラント部53および第2シーラント部63と熱融着している。本形態では、外装材の熱融着部の1辺が省略でき、より省スペース化した電池を提供できる。
【0048】
〈第5実施形態〉
図7は、
図3~6とは異なる態様の正極端子50d、負極端子60d、電極組立体80d、ラミネート型リチウムイオン二次電池100dの概略正面図である。第1実施形態~第4実施形態では、第1露出部52、52a、52bと第2露出部62、62a、62bはそれぞれ四方を熱融着させていたが、第5実施形態では、第4実施形態と同様に1枚のラミネートフィルムを折り曲げ部74dで折り曲げて開口部の点線で示す三方の領域を熱融着させて熱融着部73dとして外装材70aを形成している。第1開口部71dと第2開口部72dのうち少なくとも一方の開口部の一端71eまたは72eが、ラミネート型リチウムイオン二次電池100dの辺のうち第1開口部71dおよび第2開口部72dに最も近い一辺(例えば折り曲げ部74d)に沿うか、当該一辺より内側に配される。
【0049】
本形態では、第1開口部71dと第2開口部72dのうち少なくとも一方の開口部の一端71eまたは72eが外装材70dで固定されていないことにより、ラミネート型リチウムイオン二次電池100dの完成後の加工がしやすく、正極端子50dおよび負極端子60dが突出していないため、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200より省スペース化した電池を提供できる。また、第4実施形態のように、折り曲げ部74dを有するラミネート型リチウムイオン二次電池100dであるとより一層省スペース化が期待できる。
【0050】
〈従来形態〉
図8は、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200の概略正面図である。外装材270には開口部が無く、四方を熱融着して熱融着部273が形成されており、正極タブ端子210および負極タブ端子220が外装材270から突出している。
【0051】
なお、外装材270に内蔵された電極組立体は、ラミネート型リチウムイオン二次電池100の電極組立体80と同じものでよく、正極端子50および負極端子60に変えて正極タブ端子210および負極タブ端子220が設けられている。
【0052】
〈従来形態との比較〉
次に、
図9を用いて、本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池100によって得られる効果について、従来形態のラミネート型リチウムイオン二次電池200と比較することにより説明する。
【0053】
図9は、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200を備える電池モジュール350と、本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池100を備える電池モジュール300、310の大きさを比較する図である。
【0054】
図9(a)の電池モジュール350は、3体のラミネート型リチウムイオン二次電池200が筐体400内に並列に配されている状態を示す概略側面図である。これと比較する
図9(b)の電池モジュール300は、3体のラミネート型リチウムイオン二次電池100が筐体410内に並列に配されている状態を示す概略側面図である。電池モジュール300と電池モジュール350は、端子は異なるものの、同じ電極組立体80が内蔵されているため、電池モジュールとしての性能は同じであるが、電池モジュール300の場合はタブ端子が無い分小型のモジュールとなっている。
【0055】
すなわち、電池モジュールとして同じ性能の場合には、ラミネート型リチウムイオン二次電池100を用いることで、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200を用いた場合よりも電離モジュールの小型化が可能である。なお、この効果は、第1実施形態に限定されず、第2実施形態~第4実施形態の電池においても同様に得られる。
【0056】
次に、
図9(a)と比較する
図8(c)の電池モジュール310について説明する。電池モジュール310は、3体のラミネート型リチウムイオン二次電池100が
図9(a)と同じ筐体400内に並列に配されている状態を示す概略側面図である。電池モジュール310の場合は、電池モジュール350の場合よりも大きい電極組立体80が外装材70に内蔵されている。そのため、両者は電池モジュールとしての大きさは同じであるが、電池モジュール310の方が電池モジュール350よりも電池の容量が大きいモジュールとなっている。例えば、
図9(a)のラミネート型リチウムイオン二次電池200の電池容量が14Ahの場合、
図9(c)のラミネート型リチウムイオン二次電池100の電池容量は17Ahと、電池の容量を約1.2倍大きくすることができる。
【0057】
すなわち、電池モジュールとして同じサイズの場合には、ラミネート型リチウムイオン二次電池100を用いることで、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池200を用いた場合よりも電池モジュールの高性能化が可能である。なお、この効果は、第1実施形態に限定されず、第2実施形態~第4実施形態の電池においても同様に得られる。
【0058】
[ラミネート型リチウムイオン二次電池の製造方法の一例]
次に、本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池100を例として、電池容量が14.0Ahの電池の製造方法の一例を紹介する。
【0059】
〈正極10〉
LiFePO4(リン酸鉄リチウム)90質量部と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)5質量部と、導電助剤であるカーボンブラック5質量部とを溶剤であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを作製した。この正極合剤スラリーを20μmのアルミニウム箔(正極集電体11)の両面に塗布及び乾燥し、その後圧延することによって正極10を得た。所定の形状およびサイズに、正極合剤層12が形成させる部分と非形成される部分になるように金型にて打抜いて正極電極を得た。
【0060】
〈負極20〉
グラファイト98質量部と、CMC(カルボキシルメチルセルロース)1質量部と、SBR(スチレンブタジエンラバー)1重量部と溶剤であるイオン交換水に分散させて負極合剤スラリーを作製した。10μmの銅箔(負極集電体21)の両面に塗布及び乾燥し、その後圧延することによって負極20を得た。所定の形状およびサイズに、負極合剤層22が形成させる部分と非形成される部分になるように金型にて打抜いて負極電極を得た。
【0061】
〈セパレータ30〉
湿式二軸延伸法で作製されたPE(ポリエチレン)単層タイプであり、厚さが25μmのものを用いた。所定のサイズになるようにカットして、セパレータ30を得た。
【0062】
〈正極端子50・負極端子60〉
正極端子50には、所定のサイズにカットされた厚み0.3mmのアルミニウムシートA1050-Hの一部に厚み0.15mmの樹脂シーラント材が装着されているものを使用した。負極端子60には、厚み0.3mmの銅シートC1020-Oに厚み2~3μmニッケルが無光沢メッキされており、一部に厚み0.15mmの樹脂シーラント材が装着されている。正極端子50および負極端子60の樹脂シーラントは、アルミニウムシートおよび銅シートの一部分を被覆するような形態になっている。この樹脂シーラントは、外装材70であるAlラミネート包材の熱溶着層と熱を与えることにより溶着される。また、樹脂シーラントには、樹脂シーラントの端に接しない任意のサイズ、形、数(長方形、丸、様々な形に対応できる)で貫通孔を施す。
【0063】
〈非水電解質40〉
非水電解質40としては、リチウム塩としてLiPF6を1.0M、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)を30/70vоl%にビニレンカーボネート(VC)を3wt%添加し、調整した電解液を用いた。
【0064】
〈外装材70〉
外装材70としては、熱融着層(内層)、金属箔層、保護層(外層)の順に積層されたラミネート外装材を使用した。具体的には、内層は80μmのポリオレフィン系樹脂によって形成されており、金属層は、40μmのアルミニウム箔によって形成されており、外層は、PET(ポリエチレンテレフタレート)によって構成される総厚み153μmのラミネート外装材である。正極10および負極20、セパレータ30が互いに積層され、正極10の正極合材層12および負極20の負極合剤層22が収納される部分に所定の深さに調整したエンボスを加工し、それと同時に正極10の正極合材層12の非形成部および負極20の負極合剤層22の非形成部が収納されるテラス部90が形成され、正極端子50および負極端子60を露出させる部分には、シーラントの貫通孔に合わせ、熱融着部の範囲を逸脱しない任意のサイズ、形、数(長方形、丸、様々な形に対応できる)で貫通孔を施すことによって第1開口部71および第2開口部72を得た。
【0065】
〈ラミネート型リチウムイオン二次電池100の組立〉
所定の大きさに打抜いた正極10を29枚と負極20を30枚、所定の大きさに定寸カットされたセパレータ30を用いて、交互に積層した正極10と負極20の間にセパレータ30を介在させて積層素子を得た。この積層素子で電池容量としては14Ah程度である。
【0066】
積層素子の正極集電体11および負極集電体21のそれぞれの合剤層の非形成部に、正極端子50および負極端子60を、超音波溶接機(ソノマック製の2ヘッドタイプの溶接機)を用いて、溶接する。溶接姿勢は、正極集電体11および負極集電体21のそれぞれの合剤層の非形成部の積層枚数の半分に位置するところ、または、最下部に正極端子50および負極端子60を設置させ、溶接することができる。溶接痕(第1溶接部54、第2溶接部64)は正極10、負極20の合剤層の非形成部に形成される。溶接後、溶接痕の凹凸やバリがラミネート外装材の熱溶着層に傷をつけないよう、溶接痕上に保護テープを被覆する。保護テープは、基材はポリプロピレンやポリイミド、粘着剤はアクリル系で構成されているものが好ましい。
【0067】
正極端子50および負極端子60を溶接した積層素子をラミネート外装材で挟み、ラミネート外装材に貫通孔(第1開口部71、第2開口部72)を施している部分を正極端子50および負極端子60の樹脂シーラントの貫通孔部(第1露出部52、第2露出部62)と重ね合わせ、非水電解質40を注液するための注液口となる部分以外の外装材70の3辺端の熱融着加工を施した。基本的には、従来のラミネート型リチウムイオン電池の製作方法を踏襲することができる。
【0068】
封止せずに残した一端から非水電解質40を注入し、真空封止することによって初期充電を行う前のラミネート型リチウムイオン二次電池100を得た。その後、所定の初期充電工程、ガス抜き工程、活性化工程を得て、使用可能なラミネート型リチウムイオン二次電池100を得ることができる。
【0069】
[蓄電装置]
次に、本発明の蓄電装置の一実施形態について説明する。本発明の蓄電装置は、上記した本発明のラミネート型リチウムイオン二次電池を備える。例えば、ラミネート型リチウムイオン二次電池100、100a~100cを備える電池モジュール300、310や、電池パックを備える蓄電装置が挙げられる。蓄電装置としては、これらの電池モジュールや電池パックの他、一般的な構成の装置であればよく、例えばBMU(Battery Management Unit)やBMS(Battery Management System)等の電池監視制御ユニットやシステムを備えても良い。
【0070】
以上のとおり、本発明であれば、従来のラミネート型リチウムイオン二次電池では達成できなかった、電池モジュールや電池パックを含んだ蓄電装置の小型化や省スペース化、電池の大容量化が可能である。また、タブ端子を加工する必要がないことで、電池モジュールや蓄電装置の製造工程の複雑化を解消できる。
【符号の説明】
【0071】
10・・・正極、 11・・・正極集電体、 12・・・正極合材層、 13・・・正極端子接触部、 20・・・負極、 21・・・負極集電体、 22・・・負極合材層、 23・・・負極端子接触部、 30・・・セパレータ、 40・・・非水電解質、 50、50a、50b、50d・・・正極端子、 51・・・正極接触部、 52、52a、52b、52d・・・第1露出部、 53・・・第1シーラント部、 54・・・第1溶接部、 60、60a、60b、60d・・・負極端子、 61・・・負極接触部、 62、62a、62b、62d・・・第2露出部、 63・・・第2シーラント部、 64・・・第2溶接部、 70、70a、70d、270・・・外装材、 71、71a、71b、71c、71d・・・第1開口部、 71e・・・開口部の一端、 72、72a、72b、72c、72d・・・第2開口部、 72e・・・開口部の一端、 73、73a、73d、273・・・熱融着部、 74、74d・・・折り曲げ部、 80、80a、80b、80d・・・電極組立体、 90・・・テラス部、 100、100a、100b、100c、100d、200・・・ラミネート型リチウムイオン二次電池、 210・・・正極タブ端子、 220・・・負極タブ端子、 300、310、350・・・電池モジュール