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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044971
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】巻線ホルダ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/46 20060101AFI20230327BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H02K3/46 C
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153124
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 数馬
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 聖治
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604PB03
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】固定子の小型化を図ることが可能な巻線ホルダを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、巻線ホルダは、第1主面S1および第2主面を有するベース板12Aと、ベース板に立設された仕切り板12eおよび側板12aとベース板とで構成された巻線装着部12Bと、ベース板の第1主面の上に設けられ互いに間隔を置いて対向する複数のガイド板とベース板と仕切り板とで構成されたガイド部12Cと、を有している。ガイド部は、第1主面から所定高さ突出し仕切り板からベース板の外周縁の側に延出した支持凸部18を有している。複数のガイド板は、支持凸部に立設され仕切り板に間隔を置いて対向した第1ガイド板12mと、支持凸部に立設され第1ガイド板に間隔を置いて対向した第2ガイド板12qと、支持凸部から外周縁の側に延出し第1主面に隙間を置いて対向する底壁部を有し、この底壁部から延出し第2ガイド板に間隔を置いて対向した第3ガイド板12tと、を含んでいる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面および前記第1主面と対向する第2主面と、間隔を置いて互いに対向する一対の側縁と、前記側縁の一端の間に位置する第1端縁と、前記側縁の他端の間に位置する第2端縁と、を有するベース板と、
前記第1端縁と前記第2端縁との間で前記第1主面に立設され前記第1主面と交差する第1方向に延出しているとともに前記一対の側縁と交差する第2方向に延設された仕切り板と、前記第1端縁と前記仕切り板との間で、それぞれ前記側縁から前記第1方向と反対の第3方向に延出し間隔を置いて互いに対向する一対の側板と、前記ベース板と、で構成され巻線を巻き付け可能な巻線装着部と、
前記仕切り板と前記第2端縁との間で前記第1主面の上に設けられ、それぞれ前記第1方向および前記第2方向に延出し、かつ、前記第2方向と交差する第4方向に間隔を置いて並んで配置された複数のガイド板と、前記ベース板と、前記仕切り板と、で構成され巻線をガイドするガイド部と、を備え、
前記仕切り板は、一方の前記側縁から他方の前記側縁の近傍まで延設された第1仕切り板と、他方の前記側縁から前記第1仕切り板の近傍まで延設され、前記第1仕切り板に隙間を置いて対向する第2仕切り板と、で構成され、前記第2仕切り板は、前記第2端縁の側に突出し前記第1主面から離間して位置する保持突起を有し、
前記ガイド部は、前記第1主面から前記第1方向に所定高さ突出し前記第1仕切り板から前記第2端縁の側に延出した支持凸部を有し、
前記複数のガイド板は、前記支持凸部に立設され前記第1方向および前記第2方向に延出し前記第1仕切り板に間隔を置いて対向した第1ガイド板と、前記支持凸部に立設され前記第1方向および前記第2方向に延出し前記第1ガイド板に間隔を置いて対向した第2ガイド板と、前記支持凸部から前記第2端縁の側に延出し前記第2方向に延在しているとともに前記第1主面に隙間を置いて対向する底壁部を有し、前記底壁部から前記第1方向および前記第2方向に延出し前記第2ガイド板に間隔を置いて対向した第3ガイド板と、を含んでいる
巻線ホルダ。
【請求項2】
前記第1ガイド板は、前記支持凸部から前記第2方向に延出し前記第1主面に隙間を置いて対向する第1端部を有し、
前記第2ガイド板は、前記支持凸部から前記第2方向に延出し前記第1主面に隙間を置いて対向する第1端部を有し、
前記第3ガイド板は、前記底壁部から前記第2方向に延出し前記第1主面に隙間を置いて対向する第1端部を有する、請求項1に記載の巻線ホルダ。
【請求項3】
前記第1ガイド板の第1端部は、前記第1仕切り板の前記側縁の側の一端に対し前記第2方向に離間して位置し、前記第2ガイド板の前記第1端部は、前記第1ガイド板の一端に対し前記第2方向に離間して位置し、前記ガイド板の一端は、前記第2ガイド板の一端に対し前記第2方向に離間して位置している請求項2に記載の巻線ホルダ。
【請求項4】
前記側縁の側の前記第1仕切り板の一端部は、前記第1仕切り板の一端に向かって前記第2端縁の側に傾斜して延びる傾斜面と、前記傾斜面に形成されそれぞれ前記第2方向に延びているとともに前記第1方向に並んで配置された複数のガイド溝と、を有し、
前記第1ガイド板の前記一端部は、前記第1ガイド板の一端に向かって前記第2端縁の側に傾斜して延びる傾斜面と、前記傾斜面に形成されそれぞれ前記第2方向に延びているとともに前記第1方向に並んで配置された複数のガイド溝と、を有し、
前記第2ガイド板の前記一端部は、前記第2ガイド板の一端に向かって前記第2端縁の側に傾斜して延びる傾斜面と、前記傾斜面に形成されそれぞれ前記第2方向に延びているとともに前記第1方向に並んで配置された複数のガイド溝と、を有している請求項3に記載の巻線ホルダ。
【請求項5】
前記支持凸部は、前記第1主面に対してほぼ垂直に起立している周面を有し、
前記周面は、前記隙間の近傍で前記第1仕切り板に繋がる一端と、前記一方の側縁と前記隙間との間で前記第1仕切り板に繋がる他端と、前記一端から前記第2端縁の側に傾斜して前記第2方向に延びる傾斜部と、前記第2端縁と間隔を置いて位置し前記第2方向に延びる外面部と、前記傾斜部から前記外面部の一端まで湾曲して延びる第1湾曲部と、前記外面部の他端から前記他端まで湾曲して延びる第2湾曲部と、を有している請求項3に記載の巻線ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、固定子の巻線ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、円筒状の固定子と、固定子に対して回転自在に設けられた回転子とを有している。固定子は、円筒形状のヨークと、ヨークから径方向内側に突出させた複数のティースとによって構成される固定子鉄心と、ティースに集中巻きされた複数のコイルと、を有している。各コイルの一端は、リード部(リード線)によって引き回され、電源から電流が入力される。
近年、回転電機の固定子は、一層の小型化が望まれている。各コイルを引き回すためにバスリングを使用する場合、バスリングの外形形状に依存することになり、固定子を小型化することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-205817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の課題は、固定子の小型化を図ることが可能な巻線ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、巻線ホルダは、第1主面および前記第1主面と対向する第2主面と、間隔を置いて互いに対向する一対の側縁と、前記側縁の一端の間に位置する第1端縁と、前記側縁の他端の間に位置する第2端縁と、を有するベース板と、前記第1端縁と前記第2端縁との間で前記第1主面に立設され前記第1主面と交差する第1方向に延出しているとともに前記一対の側縁と交差する第2方向に延設された仕切り板と、前記第1端縁と前記仕切り板との間で、それぞれ前記側縁から前記第1方向と反対の第3方向に延出し間隔を置いて互いに対向する一対の側板と、前記ベース板と、で構成され巻線を巻き付け可能な巻線装着部と、前記仕切り板と前記第2端縁との間で前記第1主面の上に設けられ、それぞれ前記第1方向および前記第2方向に延出し、かつ、前記第2方向と交差する第4方向に間隔を置いて並んで配置された複数のガイド板と、前記ベース板と、前記仕切り板と、で構成され巻線をガイドするガイド部と、を備えている。
前記仕切り板は、一方の前記側縁から他方の前記側縁の近傍まで延設された第1仕切り板と、他方の前記側縁から前記第1仕切り板の近傍まで延設され、前記第1仕切り板に隙間を置いて対向する第2仕切り板と、で構成され、前記第2仕切り板は、前記第2端縁の側に突出し前記第1主面から離間して位置する保持突起を有し、前記ガイド部は、前記第1主面から前記第1方向に所定高さ突出し前記第1仕切り板から前記第2端縁の側に延出した支持凸部を有している。
前記複数のガイド板は、前記支持凸部に立設され前記第1方向および前記第2方向に延出し前記第1仕切り板に間隔を置いて対向した第1ガイド板と、前記支持凸部に立設され前記第1方向および前記第2方向に延出し前記第1ガイド板に間隔を置いて対向した第2ガイド板と、前記支持凸部から前記第2端縁の側に延出し前記第2方向に延在しているとともに前記第1主面に隙間を置いて対向する底壁部を有し、前記底壁部から前記第1方向および前記第2方向に延出し前記第2ガイド板に間隔を置いて対向した第3ガイド板と、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る回転電機を示す分解斜視図。
図2図2は、前記回転電機の固定子の分割鉄心部およびコイルを示す斜視図。
図3図3は、前記分割鉄心部の分解斜視図。
図4図4は、前記分割鉄心部の第1巻線ホルダを示す斜視図。
図5図5は、異なる方向から見た前記第1巻線ホルダの斜視図。
図6図6は、異なる方向から見た前記第1巻線ホルダの斜視図。
図7図7は、前記第1巻線ホルダの側面図。
図8図8は、前記第1巻線ホルダのガイド部の平面図。
図9図9は、図7の線B-Bに沿った前記ガイド部の断面図。
図10図10は、前記固定子の結線図。
図11図11は、複数のリード線が配策された状態を示す固定子鉄心の一部の平面図。
図12図12は、リード線が配策された状態を示す固定子鉄心の一部の斜視図。
図13図13は、U相とV相およびW相の複数のリード線が、分割鉄心部の軸方向に積み重なりつつ、反時計回りに引き回されている状態を示す分割鉄心部の斜視図。
図14図14は、時計方向CWに引き回されたリード線を有する分割鉄心部のガイド部を示す斜視図。
図15図15は、時計方向CWに引き回されたリード線を有する分割鉄心部の一部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。
【0008】
図1は、実施形態に係る回転電機1を示す分解斜視図である。
図1に示すように、回転電機1は、例えば、3相(U相、V相およびW相)の交流電源によって駆動される。回転電機1は、円筒形状の固定子10と、固定子10の径方向内側に設けられ中心軸線Cの回りで回転自在な回転子20と、固定子10を径方向外側から支持する円筒状のケース30と、を有している。
【0009】
固定子10は、複数個(24個)の分割鉄心部10Aと、複数本(24本)のコイル14と、接続端子15と、を有している。複数個(24個)の分割鉄心部10Aは、固定子10の周方向に並んで配置され円筒状の固定子鉄心を構成している。周方向に隣り合う分割鉄心部10Aは、カシメあるいは凸部と凹部との係合により、互いに連結されている。各々の分割鉄心部10Aは、磁性を有する電磁鋼板を積層して構成された分割鉄心11と分割鉄心11に装着された絶縁性を有する巻線ホルダ(第1インシュレータ12および第2インシュレータ13)とで構成されている。
コイル14は、断面が円形であって長尺状の電線によって構成されている。コイル14は、絶縁性の部材によって外周が被膜されている。コイル14は、分割鉄心部10Aに対して、集中巻きの構成で巻き付けられている。すなわち、1本のコイル14が、1つの分割鉄心部10Aに巻き付けられている。固定子10の周方向に一定の間隔で設けられた24本のコイル14には、U相、V相およびW相の順で、3相の交流電流が入力される。
接続端子15は、外部の電源からコイル14に入力される電流の入力端子である。接続端子15は、U相の8本のコイル14に接続されるU相接続端子15Uと、V相の8本のコイル14に接続されるV相接続端子15Vと、W相の8本のコイル14に接続されるW相接続端子15Wと、を含んでいる。外部の電源から、U相接続端子15Uを介してU相の8本のコイル14に電流が入力され、V相接続端子15Vを介してV相の8本のコイル14に電流が入力され、W相接続端子15Wを介してW相の8本のコイル14に電流が入力されると、分割鉄心11に所定の鎖交磁束が形成される。
【0010】
回転子20は、中心軸線Cの回りで回転自在に支持されるシャフト21と、シャフトに取り付けられた円筒状の回転子鉄心22と、回転子鉄心22に埋め込まれた複数個(例えば、16個)の永久磁石23と、を有している。
シャフト21の軸方向の一端部21aおよび他端部21bは、例えば、図示せぬ保持部材に設けられた一対のベアリングに回転自在に支持される。シャフト21の一方の端部は、図示しない外部の回転機器と接続される。
回転子鉄心22は、磁性を有し円盤形状に形成された複数枚の電磁鋼板22Sを中心軸線Cと平行な軸方向に積層した積層体で構成されている。軸方向に隣合う電磁鋼板22Sは、外周面が溶接されて、互いに連結されている。回転子鉄心22の中心部分において軸方向に貫通した孔に、シャフト21が挿通および篏合されている。回転子鉄心22は固定子10の内側に配置され、回転子鉄心22の外周面は、固定子10の内周面と僅かな隙間(エアギャップ)を置いて対向する。
永久磁石23は、軸方向の全長が回転子鉄心22の全長とほぼ等しい棒状に形成されている。各々の永久磁石23は、回転子鉄心22の外周部分において、回転子20の周方向に一定の間隔を置いて設けられている。
【0011】
ケース30は、固定子10の外周面に嵌合され、固定子10を径方向外側から支持する。すなわち、固定子10がケース30内に挿通され、固定子の外周面がケース30の内周面30aに嵌合する。ケース30は、それぞれ外周部から突出した複数(例えば、4つ)の固定部30bを有し、これらの固定部30bは周方向にほぼ等しい間隔を置いて設けられている。各々の固定部30bは、例えば、ボルト等を用いて図示しない保持部材に固定される。
【0012】
分割鉄心部10Aの構成について説明する。図2は、コイル14が装着された1つの分割鉄心部を示す斜視図、図3は、分割鉄心部の鉄心および巻線ホルダを分解して示す分解斜視図である。
図2に示すように、分割鉄心部10Aは、分割鉄心11と、分割鉄心に装着された巻線ホルダと、を有し、巻線ホルダにコイル14が巻き付けされて保持されている。巻線ホルダは、分割鉄心11の軸方向の一方側に装着された絶縁性を有する第1インシュレータ(第1巻線ホルダ)12と分割鉄心11の軸方向の他方側に装着された第2インシュレータ(第2巻線ホルダ)13とを備えている。コイル14は、巻線ホルダを介して分割鉄心11に巻き付けられる巻付部14aと、巻付部14aの一端側から引き出され接続端子15に接続されるリード部(リード線)14bと、巻付部14aの他端側から引き出され中性点で結線される中性部(中性線)14cと、を有している。
【0013】
図3に示すように、分割鉄心11は、磁性を有する複数枚の電磁鋼板11Sを軸方向に積層した積層体で構成されている。軸方向Zに隣合う電磁鋼板11Sは、外周面が溶接されて、互いに連結されている。分割鉄心11は、円弧状の外周縁と円弧状の内周縁とそれぞれ径方向に延び互いに周方向に対向した一対の側縁とを有する円弧状に形成されたヨーク11Pと、ヨーク11Pの内周から径方向内側に延出したほぼ長方形状のティース11Qと、を有し、ヨーク11Pおよびティース11Qは分割鉄心11の軸方向に延びている。ティース11Qは、ヨーク11Pの周方向の幅よりも狭い幅を置いて互いに対向する一対の側縁と、側縁の一端同士を結ぶ先端縁(先端面)と、を有している。本実施形態において、ティース11Qは、それぞれ先端部から周方向に突出し軸方向に延びる一対の凸部11Rを一体に有している。
【0014】
分割鉄心11は、軸方向Zの一端に位置する平坦な一端面11aと軸方向Zの他端に位置する平坦な他端面11bとを有している。ヨーク11Pは、前述した外周縁からなる外周面11cと、前述した一対の側縁からなる一側面11jおよび他側面11kと、前述した内周縁からなる内周面11mと、を有している。内周面11mは、ティース11Qの周方向の両側に位置している。一側面11jに軸方向Zに延びた凸部11gが形成され、他側面11kに軸方向Zに延びた凹部11hが形成されている。複数の分割鉄心11を周方向に並べて配置した際、ヨーク11Pの凸部11gが隣接するヨーク11Pの凹部11hに嵌合し、隣合うヨーク11P同士を連結することができる。
ティース11Qは、前述した一対の側縁からなり互いに対向した一対の側面11f、11eと、先端縁からなる先端面11dとを有している。凸部11Rは、側面11f、11eの一側縁に沿って軸方向に延在している。
【0015】
第1巻線ホルダ12は、分割鉄心11の一端面11a上に載置されるベース板12Aと、ベース板12Aと一体に形成されティース11Qの周囲に装着される装着部(コイル装着部)12Bと、ベース板12Aと一体に形成されヨーク11Pに重ねて配置されるガイド部12Cと、を有し、絶縁性を有する合成樹脂等により成形されている。装着部12Bは、それぞれベース板12Aから延出し間隔を置いて互いに対向した一対の側板12a、12bを有している。装着部12Bにコイル14が巻き付けられる。ガイド部12Cは、ベース板12Aに立設された仕切り板12eおよび複数枚のガイド板12m、12q、12tを有し、コイル14のリード線14bの配策をガイドする。
第1巻線ホルダ12の詳細な構成については後述する。
【0016】
第2巻線ホルダ13は、分割鉄心11の他端面11b上に載置されるベース板13Aと、ベース板13Aと一体に形成されティース11Qの周囲に装着される装着部13Bと、ベース板13Aと一体に形成されヨーク11Pに重ねて配置されるガイド部13Cと、を有し、絶縁性を有する合成樹脂等により成形されている。装着部13Bにコイル14が巻き付けられる。ガイド部13Cはコイル14の中性線14cの配策をガイドする。
装着部13Bは、それぞれベース板13Aから軸方向Zに延出し互いに間隔を置いて対向した一対の側板13a、13bを有している。側板13aは、両側縁に沿って延びるフランジ部13d、13eを一体に有している。側板13bは、両側縁に沿って延びるフランジ部13f、13gを一体に有している。各側板13a、13bの外面(表面)には、それぞれ軸方向Zに延びる多数本の位置決め溝が形成されている。装着部13Bは、分割鉄心11に装着されると、分割鉄心11の軸方向の約半分の領域において、ティース11Qの側面11f、11e、ヨーク11Pの内周面11m、および凸部11Rの表面を覆って位置する。
【0017】
ガイド部13Cは、ベース板13Aに立設された第1ガイド板13hおよび第2ガイド板13jを有している。第1ガイド板13hは、ベース板13Aから軸方向Z(側板13aの延出方向と反対の方向)に延出しているとともに、装着部13Bとの境界に沿って周方向に延在している。中性線14cは第1ガイド板13hの外面に沿って引き回される。
第2ガイド板13jは、ベース板13Aから軸方向Zに延出しているとともに周方向に延在している。第2ガイド板13jは、径方向に間隔を置いて、第1ガイド板13hの外面に対向している。第2ガイド板13jは、第1ガイド板13hに巻き付けられた中性線14cを径方向の外側から保護する。
【0018】
ガイド部13Cにおいて、ベース板13Aの周方向の一方の側縁に周方向に突出した凸部13kが形成され、周方向の他方の側縁に凹部13iが形成されている。凸部13kは、分割鉄心11の凸部11gと軸方向Zで重なる。凹部13iは、分割鉄心11の凹部11hと軸方向Zで重なる。複数の分割鉄心部10Aを周方向に並べて配置した際、第2巻線ホルダ13の凸部13kが隣接する他の第2巻線ホルダ13の凹部13iに嵌合し、隣合う第2巻線ホルダ13同士を連結することができる。
【0019】
次に、第1巻線ホルダ12の構成について詳細に説明する。
図4は、径方向の外周側から見た第1巻線ホルダの斜視図、図5は、径方向の異なる外周側から見た第1巻線ホルダの斜視図、図6は、径方向の内周側から見た第1巻線ホルダの斜視図、図7は、第1巻線ホルダの側面図である。図において、軸方向Zの一方向を第1方向D1、第1方向D1と逆方向を第3方向D3、軸方向Zと直交する径方向を第4方向D4、軸方向Zおよび径方向と交差する周方向を第2方向D2と称する。
図4に示すように、第1巻線ホルダ12は、ほぼ矩形状のベース板12Aと、ベース板12Aと一体に形成されコイル14が巻き付けられる装着部12Bと、ベース板12Aと一体に形成されコイル14のリード線14bをガイドするガイド部12Cと、を有している。
ベース板12Aは、平坦な第1主面S1と反対側の平坦な第2主面S2とを有し、分割鉄心11の一端面11aに対応した外形および寸法に形成されている。すなわち、ベース板12Aは、ティース11Qの周方向の幅に対応する第1幅を置いて互いに対向する一対の第1側縁15aと、一対の第1側縁15aの一端の間を延びる第1端縁(先端縁)15bと、ヨーク11Pの周方向の幅に対応する第2幅をおいて互いに対向する一対の第2側縁15cと、第2側縁15cの一端の間を延びる円弧状の第2端縁(外周縁)15dと、それぞれ第1側縁15aの他端と第2側縁15cの他端とに繋がる一対の第3端縁(内周縁)15eと、を有している。
【0020】
装着部12Bは、第1端縁15bと第2端縁15dとの間でベース板12Aの第1主面S1に立設された仕切り板12eと、第1端縁15bと仕切り板12eとの間で、それぞれベース板12Aの第1側縁15aから第1方向D1と反対の第3方向D3に延出した一対の側板12a、12bと、ベース板12Aと、を有している。仕切り板12eは、第1主面S1と直交する第1方向に所定高さ延出しているとともに第3端縁15eに沿って一対の第2側縁15cと交差する第2方向D2に延設されている。一対の側板12a、12bは、それぞれ第1側縁15aの長さとほぼ等しい幅を有し、第1幅に対応する間隔を置いて互いに対向している。
【0021】
図6に示すように、仕切り板12eは、一方の第2側縁15cから他方の第2側縁15eの近傍まで延設された第1仕切り板12fと、他方の第2側縁15cから第1仕切り板12fの近傍まで延設された第2仕切り板12gと、で構成されている。第1仕切り板12fの端部は、第2仕切り板12gの端部と隙間を置いて第4方向D4に対向している。第1仕切り板12fと第2仕切り板12gとの間の隙間は、コイル14の巻付部14aから引き出されたリード線14bを挿通可能な引出し口12hを構成している。引出し口12hは、第1仕切り板12fと第2仕切り板12gとの間において、ベース板12Aの第1主面S1に露出し、周方向における幅がコイル14の直径(リード線14bの直径)よりも広い。引出し口12hを通してリード線14bを引出し可能としている。
【0022】
図4に示すように、第2仕切り板12gの径方向の外周側の外面に保持突起12iが突設されている。保持突起12iは、第2仕切り板12gから第2端縁15dの側に所定高さ(リード線の径よりも大きい高さ)だけ突出している。保持突起12iは、第2側縁15eの近傍に位置しているとともに、第1主面S1から所定距離離間した位置に設けられている。保持突起12iと第1主面S1との間隔は、リード線14bの径とほぼ等しく設定されている。後述するように、保持突起12iは、引出し口12hから引き出されたリード線を保持突起12iとベース板12Aの第1主面S1との間に挟み込んで保持および位置決めすることができる。
【0023】
図6に示すように、側板12aは、一方の側縁に沿って設けられた第1フランジ16aおよび他方の側縁に沿って設けられた第2フランジ16bを一体に有している。第1フランジ16aは、側板12aに対してほぼ垂直に立設され、側板12aの全長に亘って延設されている。第1フランジ16aのベース板12Aの側の端は、ベース板12Aを挟んで第1仕切り板12fに繋がっている。第2フランジ16bは、側板12aに垂直な方向に対して先端縁15bの側に傾斜して立設され、側板12aの全長に亘って延設されている。第2フランジ16bのベース板12Aの側の端は、ベース板12Aの第1端縁15bに立設された第3フランジ16cに繋がっている。
側板12aとベース板12Aとが交差する角度に、すなわち、第1側縁15aに、複数の位置決め凹所19aが形成され、第4方向D4に連続して並んでいる。更に、側板12aの外面にそれぞれ第3方向D3に延びる多数本の長溝19bが形成されている。多数本の長溝19bは、第4方向D4に並んで位置し、側板12aの全面に亘って設けられている。長溝19bの第4方向D4の幅は、位置決め凹所19aの第4方向D4の幅よりも小さく、例えば、位置決め凹所19aの幅の1/4程度に設定されている。位置決め凹所19aおよび長溝19bは、装着部12Bに巻き付けられるコイル14の第4方向の位置を位置決めするために設けられている。
【0024】
図4に示すように、他方の側板12bは、一方の側縁に沿って設けられた第1フランジ16dおよび他方の側縁に沿って設けられた第2フランジ16eを一体に有している。第1フランジ16dは、側板12bに対してほぼ垂直に立設され、側板12bの全長に亘って延設されている。第1フランジ16dのベース板12Aの側の端は、ベース板12Aを挟んで第2仕切り板12gに繋がっている。第2フランジ16eは、側板12bに垂直な方向に対して先端縁15bの側に傾斜して立設され、側板12bの全長に亘って延設されている。第2フランジ16eのベース板12Aの側の端は、ベース板12Aの第1端縁15bに立設された第4フランジ16fに繋がっている。
側板12bとベース板12Aとが交差する角部に、すなわち、第1側縁15aに、複数の位置決め凹所19aが形成され、第4方向D4に連続して並んでいる。更に、側板12bの外面にそれぞれ第3方向D3に延びる多数本の長溝19bが形成されている。多数本の長溝19bは、第4方向D4に並んで位置し、側板12aの全面に亘って設けられている。長溝19bの第4方向D4の幅は、位置決め凹所19aの第4方向D4の幅よりも小さく、例えば、位置決め凹所19aの幅の1/4程度に設定されている。位置決め凹所19aおよび長溝19bは、装着部12Bに巻き付けられるコイル14の第4方向の位置を位置決めするために設けられている。
【0025】
次に、ガイド部12Cの構成について説明する。
図5に示すように、ガイド部12Cは、ベース板12Aの第1主面S1に立設された前述の仕切り板12eと、仕切り板12eとベース板12Aの第2端縁15dとの間で第1主面S1の上に設けられ、それぞれ第1方向D1および第2方向D2に延出し、かつ、第2方向D2と交差する第4方向D4に間隔を置いて並んで配置された複数のガイド板と、ベース板12Aと、を有し、コイル14のリード線14bの配策をガイドする。
本実施形態において、複数のガイド板は、第4方向D4に間隔を置いて第1仕切り板12fに対向する第1ガイド板12mと、第4方向D4に間隔を置いて第1ガイド板12mに対向する第2ガイド板12qと、第4方向D4に間隔を置いて第2ガイド板12qに対向する第3ガイド板12tと、を含んでいる。ガイド板12m、12q、12tの各々は、第2方向D2の長さおよび第1方向D1の幅(高さ)を有する矩形板状に形成されている。本実施形態において、3枚のガイド板12m、12q、12tは、ほぼ同一の長さおよび幅に形成されている。また、各ガイド板12m、12q、12tの第2端縁15dの側の外面および装着部12Bの側の内面は、ベース板12Aの第2端縁(外周縁)に沿って円弧状に湾曲している。
【0026】
図7に示すように、第1、第2、第3ガイド板12m、12q、12tは、第1主面S1から所定高さ浮いた位置、すなわち、第1主面S1から所定間隔h、離間して配置されている。間隔hは、リード線14bの径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。ガイド部12Cは、第1主面S1に突設された高さhの凸部からなる台座部18を有している。第1、第2、第3ガイド板12m、12q、12tは、台座部18に立設され第1主面S1から離間している。
【0027】
図8は、ガイド部12Cの平面図、図9は、図7の線B-Bに沿ったガイド部の断面図である。
図9に示すように、台座部18は、第1仕切り板12fおよびベース板12Aと一体に成形されている。台座部18は、第1仕切り板12fから第2端縁15dの側に延出し、第1主面S1に対して所定高さhの位置に延在する支持面18aと、第1主面S1に対してほぼ垂直に起立し、支持面18aの周縁に沿って延在する外周面18bと、を有している。
外周面18bは、引出し口12hの近傍で第1仕切り板12fに繋がる一端20aと、ベース板12Aの第2側縁15dと引出し口12hとの間で第1仕切り板12fに繋がる他端20bと、一端20aから第2端縁15dの側に傾斜して第2方向D2に延びる傾斜部20cと、第2端縁15と間隔を置いて位置し第2方向D2に延びる外面部20dと、傾斜部20cから外面部20dの一端まで湾曲して延びる第1湾曲部20eと、外面部20dの他端から他端20bまで湾曲して延びる第2湾曲部20fと、を有している。
【0028】
図8に示すように、第1ガイド板12mは台座部18の支持面18aに立設され、第1方向D1および第2方向D2に延びている。第1ガイド板12mは、第1仕切り板12fに対して、第2方向D2にずれた位置に配置されている。すなわち、第1ガイド板12mの第2方向D2の一端および他端は、第1仕切り板12fの第2方向D2の一端および他端から所定距離だけ第2方向D2(第1仕切り板12fが接してい第2側縁15cと反対側の第2側縁15cに向かう方向)に離間している。第1ガイド板12mにおいて、第1仕切り板12fの引出し口12hの側の端部は、台座部18上に位置しているのに対して、第2側縁15cの側の第1端部12nは、台座部18から突出し第2方向に延出している。これにより、端部12nは、間隔hを置いて第1主面S1に対向している。第1ガイド板12mは、引出し口12hの側の端部を除く部分が、第4方向D4に間隔を置いて第1仕切り板12eに対向している。第4方向D4の間隔は、リード線14bの径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。これにより、第1仕切り板12eと第1ガイド板12mとの間にリード線14bを挿通可能としている。
【0029】
第2ガイド板12qは台座部18の支持面18aに立設され、第1方向D1および第2方向D2に延びている。第2ガイド板12qは、第1ガイド板12mに対して、第2方向D2に所定距離だけずれた位置に配置されている。すなわち、第2ガイド板12qの第2方向D2の一端および他端は、第1ガイド板12mの第2方向D2の一端および他端から所定距離だけ第2方向D2(第1仕切り板12fが接してい第2側縁15cと反対側の第2側縁15cに向かう方向)に離間している。第2ガイド板12qにおいて、第2方向の一端部(第1端部)12rおよび他端部12pは、それぞれ台座部18から突出し第2方向に延出している。これにより、一端部12rおよび他端部12pは、間隔hを置いて第1主面S1に対向している。第2ガイド板12qは、他端部12pをを除く部分が、第4方向D4に間隔を置いて第1ガイド板12mに対向している。第4方向D4の間隔は、リード線14bの径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。これにより、第1ガイド板12mと第2ガイド板12qとの間にリード線14bを挿通可能としている。
【0030】
第3ガイド板12tは、台座部18(ここでは第2ガイド板12qの下端部)から第2端縁15dの側に延出し第2方向D2に延在している底壁部21aを一体に有している。第3ガイド板12tは、底壁部21aから第1方向D1に延出しているとともに第2端縁15dに沿って第2方向D2に延在している。図7に示すように、底壁部21aは、間隔hをおいて第1主面S1に対向している。
図8に示すように、第3ガイド板12tは、第2ガイド板12qに対して、第2方向D2に所定距離だけずれた位置に配置されている。すなわち、第3ガイド板12tの第2方向D2の一端および他端は、第2ガイド板12qの第2方向D2の一端および他端から所定距離だけ第2方向D2(第1仕切り板12fが接してい第2側縁15cと反対側の第2側縁15cに向かう方向)に離間している。第3ガイド板12tにおいて、第2方向の一端部12uおよび他端部12sは、それぞれ底壁部21aから突出し第2方向に延出している。これにより、一端部12uおよび他端部12sは、間隔hを置いて第1主面S1に対向している。第3ガイド板12tは、他端部12sを除く部分が、第4方向D4に間隔を置いて第2ガイド板12qに対向している。第4方向D4の間隔は、リード線14bの径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。これにより、第2仕切り板12qと第3ガイド板12tとの間にリード線14bを挿通可能としている。
【0031】
ベース板12Aの一方の第2側縁15cには円弧状の凹部12dが形成されている。ベース板12Aを分割鉄心11の第1端面に載置した際、分割鉄心11の凹部11hと軸方向Zに重なる。
【0032】
図5に示すように、第1仕切り板12fの第2側縁15cに接する第1端部12jは、一端に向かって、かつ、第2端縁15dの側に傾斜して延びる傾斜面と、傾斜面に形成された複数、例えば、4本のガイド溝17aと、を有している。ガイド溝17aは、それぞれ第2方向D2に延びているとともに第1方向D1に並んで配置されている。
第1ガイド板12mの第1端部12nは、一端に向かって、かつ第2端縁15dの側に傾斜して延びる傾斜面と、傾斜面に形成された複数、例えば、4本のガイド溝17bと、を有している。ガイド溝17bは、それぞれ第2方向D2に延びているとともに第1方向D1に並んで配置されている。
第2ガイド板12qの第1端部12rは、一端に向かって、かつ第2端縁15dの側に傾斜して延びる傾斜面と、傾斜面に形成された複数、例えば、4本のガイド溝17cと、を有している。ガイド溝17cは、それぞれ第2方向D2に延びているとともに第1方向D1に並んで配置されている。
図7に一点鎖線で示しているように、リード線14bは、第1仕切り板12f、第1ガイド板12m、第2ガイド板12の外面にガイドされる際、それぞれガイド溝17a、17b、17cに係合し、第1方向D1の位置が位置決めされる。
【0033】
図3に示したように、上記のように構成された第1巻線ホルダ12は、分割鉄心11の一端面11aの側から分割鉄心11に装着される。ベース板12Aの第2主面S2が一端面11aに重なって位置し、一対の側板12a、12bがティース11Qの側面11f、11eに当接する。各側板12a、12bの第1フランジおよび第2フランジは、ヨーク11Pの内周面11mおよびティース11Qの凸部11Rに当接する。各側板12a、12b、および第1フランジ、第2フランジの延出端部は、第2巻線ホルダ13の延出端部に嵌合される。これにより、第1巻線ホルダ12の装着部12Bは、先端面11dを除くティース11Qの全周を覆って配置される。第1巻線ホルダ12のガイド部12Cは、ヨーク11Pに重ねて配置される。
【0034】
図2に示したように、第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13の装着部12B、13Bにコイル14の巻線部14aが巻回され、装着部に保持されている。すなわち、巻線部14aは、第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13を介して、分割鉄心11のティース11Qに巻回されている。巻線部14aから引き出されたリード線14bは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにより周方向にガイドされ、配策される。巻線部14aから引き出された中性線14cは、第2巻線ホルダ13のガイド部13Cにより周方向にガイドされ配策される。
【0035】
次に、コイル14のリード線および中性線の配策について説明する。
図10は、固定子10のコイル14の結線図である。
図示のように、コイル14は、分割鉄心11に巻き付けられる巻付部14aと、接続端子15に接続されるリード部(リード線)14bと、中性点で結線される中性部(中性線)14cによって構成されている。リード線14bは、巻付部14aの一端側からティース11Qよりも径方向外側に引き出され、接続端子15を介して外部の電源に結線(接続)される。中性線14cは、巻付部14aの他端側からティース11Qよりも径方向外側に引き出され、中性点Nで互いに結線(接続)される。
図10において、U、V、Wは、それぞれU相、V相、W相の電力が入力されるコイルを示し、下線の付いた数字は、固定子10の周方向に並ぶ24本のコイルのうち、何番目のコイルであるかを示している。例えば、Uは、固定子10の周方向に並ぶ24本のコイルのうちの4本目のコイル14で、U相の電流が入力されることを表している。
【0036】
固定子10の周方向に並んだ12本のコイル14のリード線14bは、反時計回りCCWにおいて、16本目(U相)、17本目(V相)、18本目(W相)、19本目(U相)、20本目(V相)、21本目(W相)、22本目(U相)、23本目(V相)、24本目(W相)、1本目(U相)、2本目(V相)および3本目(W相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の12本のリード線14bは、16本目(U相)が相対的に最も長く、3本目(W相)が相対的に最も短い。16本目(U相)から3本目(W相)の12本のリード線14bは、図中の反時計回りCCW(固定子10の周方向の一方の回り)に引き回され、接続端子15に接続される。
【0037】
固定子10の周方向に並んだ12本のうちの6本のコイル14の中性線14cは、反時計回りCCWにおいて、16本目(U相)、17本目(V相)、18本目(W相)、19本目(U相)、20本目(V相)および21本目(W相)の順で、段階的に長くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、16本目(U相)が相対的に最も短く、21本目(W相)が相対的に最も長い。16本目(U相)から21本目(W相)の6本の中性線14cは、図中の時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回され、中性点N4で結線される。
同様に、固定子10の周方向に並んだ12本のうちの別の6本のコイル14の中性線14cは、反時計回りCCWにおいて、22本目(U相)、23本目(V相)、24本目(W相)、1本目(U相)、2本目(V相)および3本目(W相)の順で、段階的に長くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、22本目(U相)が相対的に最も短く、3本目(W相)が相対的に最も長い。22本目(U相)から3本目(W相)の6本の中性部14cは、図中の時計回りCWに引き回され、中性点N1で結線される。
【0038】
固定子10の周方向に並んだ他の12本のコイル14のリード線14bは、時計回りCWにおいて、15本目(W相)、14本目(V相)、13本目(U相)、12本目(W相)、11本目(V相)、10本目(U相)、9本目(W相)、8本目(V相)、7本目(U相)、6本目(W相)、5本目(V相)および4本目(U相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の12本のリード部14bは、15本目(W相)が相対的に最も長く、4本目(U相)が相対的に最も短い。15本目(W相)から4本目(U相)の12本のリード線14bは、図中の時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回され、接続端子15に接続される。
【0039】
これら12本のうちの6本のコイル14の中性線14cは、時計回りCWにおいて、15本目(W相)、14本目(V相)、13本目(U相)、12本目(W相)、11本目(V相)および10本目(U相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、15本目(W相)が相対的に最も長く、10本目(U相)が相対的に最も短い。15本目(W相)から10本目(U相)の6本の中性線14cは、図中の時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回され、中性点N3で結線される。
同様に、他の6本のコイル14の中性線14cは、時計回りCWにおいて、9本目(W相)、8本目(V相)、7本目(U相)、6本目(W相)、5本目(V相)および4本目(U相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、9本目(W相)が相対的に最も長く、4本目(U相)が相対的に最も短い。9本目(W相)から4本目(U相)の6本の中性部14cは、図中の時計回りCWに引き回され、中性点N2で結線される。
【0040】
図11は、リード線14bが反時計方向CCWに引き回される分割鉄心部とリード線14bが時計方向CWに引き回される分割鉄心部との境界部分に位置する複数の分割鉄心部の平面図、図12は、反時計方向CCWに引き回されたリード線を有する分割鉄心部のガイド部を示す斜視図、図13は、反時計方向CCWに引き回された多数本のリード線がガイド部によりガイドされている状態を示す分割鉄心部の斜視図である。
【0041】
図11に示すように、U相のコイルが巻き付けられた分割鉄心部10A(U16)において、巻付部14aから引き出されたリード線14b(U16)は、引出し口12hを通してガイド部12Cの側に引き出され、第2仕切り板12gの外面に沿って反時計方向CCWに引き回されている。リード線14bの引出し始め部分は、ベース板12Aの第1主面S1と保持突起12iとの間に挟み込まれて、第2仕切り板12gの外面および第1主面S1に当接した状態に保持されている(図12参照)。続いて、リード線14bは、反時計方向CCWに隣合う分割鉄心部10A(V17)、10A(W18)、・・・の第1仕切り板12fと第1ガイド板との間に挿通され、接続端子15Uまで反時計方向CCWに引き回される。その際、リード線14bは、各第1仕切り板12fの外面に巻き付けられ、更に、ガイド溝17aに係合することにより第1方向(高さ方向)D1の位置が位置決めされる。
【0042】
V相のコイルが巻き付けられた分割鉄心部10A(V17)において、巻付部14aから引き出されたリード線14b(V17)は、引出し口12hを通してガイド部12Cの側に引き出され、第2仕切り板12gの外面に沿って反時計方向CCWに引き回されている。リード線14bの引出し始め部分は、ベース板12Aの第1主面S1と保持突起12iとの間に挟み込まれて、第2仕切り板12gの外面および第1主面S1に当接した状態に保持されている。続いて、リード線14bは、反時計方向CCWに隣合う複数の分割鉄心部10A(W18)、…のガイド部12Cの第1ガイド板12mと第2ガイド板12qとの間を順に通って、接続端子15Wまで反時計方向CCWに引き回される。その際、リード線14bは、各第1ガイド板12mの外面に巻き付けられ、更に、ガイド溝17bに係合することにより第1方向(高さ方向)D1の位置が位置決めされる。
【0043】
同様に、W相のコイルが巻き付けられた分割鉄心部10A(W18)において、巻付部14aから引き出されたリード線14bは、引出し口12hを通してガイド部12Cの側に引き出され、第2仕切り板12gの外面に沿って反時計方向CCWに引き回されている。リード線14bの引出し始め部分は、ベース板12Aの第1主面S1と保持突起12iとの間に挟み込まれて、第2仕切り板12gの外面および第1主面S1に当接した状態に保持されている。続いて、リード線14bは、反時計方向CCWに隣合う複数の分割鉄心部10A(U19)、10A(V20)…のガイド部12Cの第2ガイド板12qと第3ガイド板12tとの間を順に通って、接続端子15Vまで反時計方向CCWに引き回される。その際、リード線14bは、各第2ガイド板12qの外面に巻き付けられ、更に、ガイド溝17cに係合することにより第1方向(高さ方向)D1の位置が位置決めされる。
【0044】
図13に示すように、接続端子15に隣接する分割鉄心部10A(W)、10A(V)においては、4本のU相のリード線14b(U、U22、U19、U16)が、ガイド部12Cの第1仕切り板12fと第1ガイド板12mとの間に挿通され、第1方向D1に並んで配置されている。4本のV相のリード線14b(V、V23、V20、V17)が、ガイド部12Cの第1ガイド12mと第2ガイド板12qとの間に挿通され、第1方向D1に並んで配置されている。4本のW相のリード線14b(W、W24、W21、W18)が、ガイド部12Cの第2ガイド12qと第3ガイド板12tとの間に挿通され、第1方向D1に並んで配置されている。
【0045】
一方、時計方向CWに引き回されるリード線14bの配策について説明する。図14は、時計方向CWに引き回されたリード線を有する分割鉄心部のガイド部を示す斜視図、図15は、時計方向CWに引き回されたリード線を有する分割鉄心部の平面図である。
図11に示したように、W相のコイルが巻き付けられた分割鉄心部10A(W15)において、巻付部14aから引き出されたリード線14b(W15)は、引出し口12hを通してガイド部12Cの側に引き出された後、台座部18の周面18bに巻き付けられ、引出し方向が時計方向CWに反転される。リード線14bは、第3ガイド板12tの底壁部と第1主面S1との間、および、第2ガイド板12qの一端部12rと第1主面S1との間を通ることにより、第1主面S1からの浮き上がりが防止されている(図14参照)。続いて、リード線14bは、時計方向CWに隣合う分割鉄心部10A(V14)、10A(U13)、…の第2ガイド板12qと第3ガイド板12tとの間に順次挿通され、接続端子15Wまで時計方向CWに引き回される。その際、リード線14bは、各第2ガイド板12qの外面に巻き付けられ、更に、ガイド溝17cに係合することにより第1方向(高さ方向)D1の位置が位置決めされる。
【0046】
V相のコイルが巻き付けられた分割鉄心部10A(V14)において、巻付部14aから引き出されたリード線14b(V14)は、引出し口12hを通してガイド部12Cの側に引き出された後、台座部18の周面18bに巻き付けられ、引出し方向が時計方向CWに反転される。リード線14bは、第3ガイド板12tの底壁部と第1主面S1との間、第2ガイド板12qの一端部12rと第1主面S1との間、および第1ガイド板12mの一端部12nと第1主面S1との間、を通ることにより、第1主面S1からの浮き上がりが防止されている。続いて、リード線14bは、時計方向CWに隣合う分割鉄心部10A(U13)、10A(W12)、…の第1ガイド板12mと第2ガイド板12qとの間に順次挿通され、接続端子15Vまで時計方向CWに引き回される。その際、リード線14bは、各第1ガイド板12mの外面に巻き付けられ、更に、ガイド溝17bに係合することにより第1方向(高さ方向)D1の位置が位置決めされる。
【0047】
図15に示すように、U相のコイルが巻き付けられた分割鉄心部10A(U13)において、巻付部14aから引き出されたリード線14b(U13)は、引出し口12hを通してガイド部12Cの側に引き出された後、台座部18の周面18bに巻き付けられ、引出し方向が時計方向CWに反転される。リード線14bは、第3ガイド板12tの底壁部と第1主面S1との間、第2ガイド板12qの一端部12rと第1主面S1との間、第1ガイド板12mの一端部12rと第1主面S1との間、および、第1仕切り板12eの一端部12jと第1主面S1との間、を通ることにより、第1主面S1からの浮き上がりが防止されている。続いて、リード線14bは、時計方向CWに隣合う分割鉄心部10A(W12)、10A(V11)、…の第1ガイド板12mと第1仕切り板12fとの間に順次挿通され、接続端子15Uまで時計方向CWに引き回される。その際、リード線14bは、各第1仕切り板12fの外面に巻き付けられ、更に、ガイド溝17cに係合することにより第1方向(高さ方向)D1の位置が位置決めされる。
【0048】
図示していないが、接続端子15に隣接する分割鉄心部10A(U)、10A(V)においては、4本のU相のリード線14b(U、U、U10、U13)が、ガイド部12Cの第1仕切り板12fと第1ガイド板12mとの間に挿通され、第1方向D1に並んで配置されている。4本のV相のリード線14b(V、V、V11、V14)が、ガイド部12Cの第1ガイド12mと第2ガイド板12qとの間に挿通され、第1方向D1に並んで配置されている。4本のW相のリード線14b(W、W、W12、W15)が、ガイド部12Cの第2ガイド12qと第3ガイド板12tとの間に挿通され、第1方向D1に並んで配置されている。
【0049】
以上のように構成された本実施形態に係る回転電機の固定子および巻線ホルダによれば、複数のコイル14の複数のリード線14bは、固定子10の軸方向Zの一端側において、固定子10の周方向における一方の回り(反時計回りCCW)と、他方の回り(時計回りCW)とに、分けて引き回され(配策され)ている。同じ方向(反時計回りCCWおよび時計回りCW)に巻き付けるリード部14bは、巻線ホルダ12により軸方向Z(第1方向D1)に積層され保持されている。このような構成によれば、バスリングを用いることなく、複数本のリード線14bを固定子10の周方向に2分割すると共に、接続端子に接続することができる。バスリングを不要とすることにより、固定子10の小型化および製造コストを削減を図ることができる。同時に、リード線14bのアッセンブリを簡略することにより、生産性を向上させることができる。
【0050】
巻線ホルダ12によれば、共通の構成により、時計方向に配策されるリード線と反時計方向に配策されるリード線をガイドおよび保持することができ、複数種類のホルダを用いる必要がない。
時計方向に巻き付けられるリード線は、保持突起12iとベース板12Aとの間に挟まれ浮き上がりが防止される。反時計方向に巻き付けられるリード線は、台座部の周面に巻き付けられ反時計方向に反転されるとともに、ガイド板の底壁とベース板12Aの第1主面との間に挟まれ第1主面からの浮き上がりが防止される。このように、リード線の巻き始め部分において、浮き上がりを防止することにより、リード線を反転して配策することが可能となる。
【0051】
第1、第2、第3ガイド板は、ベース板12Aの第1主面から軸方向(第1方向)に所定間隔hだけ離間して配置され、リード線を反転ガイドする台座部の周面と立体交差するように配置されている。そのため、引き回されるリード線間の絶縁性を確保することができる。各ガイド板の一端部は、周面を超えて周方向(第2方向)に延出しているため、この一端部とベース板12Aの第1主面との間にリード線を挟んでリード線の浮き上がりを防止することができる。
また、第1仕切り板の一端部、第1および第2ガイド板の一端部は、それぞれ傾斜面および複数のガイド溝17a、17b、17cを有している。リード線をこれらのガイド溝に係合した状態で引き回すことにより、ガイド板間に積層配置される複数のリード線を軸方向(第1方向)に位置決めし、リード線の脱落、位置ずれを防止することが可能となる。
【0052】
実施形態によれば、リード線14b、第1仕切り板12fと第2仕切り板12gとの間に規定された引出し口12hを通して径方向外側に引き出されている。このような構成によれば、リード線14bの引き出し部分の位置を精度よく規制して、他のリード線14bとの接触を防止または軽減できる。
実施形態によれば、第1仕切り板、第1ガイド板、第2ガイド板、第3ガイド板は、周方向に所定間隔、位置をずらして配置した状態で径方向に対向している。このような構成によれば、固定子10の径方向に隣合うU相、V相、W相のリード線14bの巻き付け始めの位置を周方向に相対的にシフトさせて、巻き付け作業を容易に行うことができる。
【0053】
以上のことから、本実施形態によれば、バスバーを用いることなく固定子の小型化をはかることが可能な巻線ホルダおよび固定子を提供することができる。更に、本実施形態によれば、巻線の配策が容易で、かつ、配線を安定して保持することが可能な巻線ホルダを提供することができる。
なお、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、実施形態に係る回転子および回転電機は、永久磁石界磁電動機に限らず、巻線界磁型回転電機、および誘導型回転電機にも適用可能である。固定子および回転子の寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。巻線ホルダの寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…回転電機、10…固定子、10A…分割鉄心部、11…分割鉄心、11P…ヨーク、
11Q…ティース、11R…内縁、12…第1巻線ホルダ、12A…ベース板、
12B…装着部、12C…ガイド部、12a、12b…側板、12e…仕切り板、
12f…第1仕切り板、12g…第2仕切り板、12e…第1ガイド板、
12m…第2ガイド板、12t…第3ガイド板、12j…保持突起、14…コイル、
14a…巻付部、14b…リード部(リード線)、14c…中性部(中性線)、
15…接続端子、15a…第1側縁、15b…第1端縁、15c…第2側縁、
15d…第2端縁、15e…第3端縁、18…台座部、18b…周面、20…回転子、
S1…第1主面、S2…第2主面
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