(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044972
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】巻線ホルダ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20230327BHJP
H02K 3/52 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H02K3/46 C
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153125
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 数馬
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 聖治
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604PB03
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】固定子の小型化を図ることが可能な巻線ホルダを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、巻線ホルダは、ベース板13Aと、ベース板の第1端縁と第2端縁との間でベース板の第1主面S1に立設され第2方向に延設された仕切り板13mと、一対の側板13a、13bとベース板とを含むコイル装着部13Bと、仕切り板と第2端縁との間で第1主面に立設され第2方向に延在しているとともに、仕切り板と間隔を置いて対向する保持板13jと、を備えている。仕切り板は、保持板に間隔を置いて対向するガイド面13sと、第2方向の一端の側でガイド面に開口する引出し口13Rと、第2方向の他端の側でガイド面に設けられた収容凹所13Pと、を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面、前記第1主面と対向する第2主面、第1端縁、および前記第1端縁と第1方向に間隔を置いて対向する第2端縁を有するベース板と、
前記第1端縁と前記第2端縁との間で前記ベース板の前記第1主面に立設され前記第1方向と交差する第2方向に延設された仕切り板と、
前記仕切り板と前記第1端縁との間で前記ベース板から前記第2主面の側にそれぞれ延出し、互いに間隔を置いて対向した一対の側板と、前記ベース板とを含むコイル装着部と、
前記仕切り板と前記第2端縁との間で前記第1主面に立設され前記第2方向に延在しているとともに、前記仕切り板と前記第1方向に間隔を置いて対向する保持板と、を備え、
前記仕切り板は、前記保持板に間隔を置いて対向し前記第2方向の一端から他端まで延びるガイド面と、前記第2方向の一端の側で前記ガイド面に開口する引出し口と、前記第2方向の他端の側で前記ガイド面に設けられ前記第1端縁の側に凹んでいる収容凹所と、を有している
巻線ホルダ。
【請求項2】
前記仕切り板の前記ガイド面と前記保持板との間に形成され前記第2方向に延びるガイドスロットを有する請求項1に記載の巻線ホルダ。
【請求項3】
前記第1主面に対する前記保持板の立設高さは、前記第1主面に対する前記仕切り板の立設高さよりも低く形成され、
前記収容凹所は、前記仕切り板の高さ方向の全長に亘って形成されている
請求項2に記載の巻線ホルダ。
【請求項4】
前記収容凹所は、それぞれ前記仕切り板の高さ方向に延び前記第2方向に間隔を置いて互いに対向する一対の側面と前記一対の側面の間に位置する底面とを有している請求項3に記載の巻線ホルダ。
【請求項5】
前記引出し口は、前記保持板の立設高さよりも高い位置で前記仕切り板に設けられている請求項2に記載の巻線ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、固定子の巻線ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、円筒状の固定子と、固定子に対して回転自在に設けられた回転子とを有している。固定子は、円筒形状のヨークと、ヨークから径方向内側に突出させた複数のティースとによって構成される固定子鉄心と、ティースに集中巻きされた複数のコイルと、を有している。各コイルの一端は、リード部(リード線)によって引き回され、電源から電流が入力される。
近年、回転電機の固定子は、一層の小型化が望まれている。各コイルを引き回すためにバスバーリングを使用する場合、バスバーリングの外形形状に依存することになり、固定子を小型化することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3667880号公報
【特許文献2】特許第6107386号公報
【特許文献3】特許第5211713号公報
【特許文献4】特許第5768323号公報
【特許文献5】特許第5978357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の課題は、固定子の小型化を図ることが可能な巻線ホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、巻線ホルダは、第1主面、前記第1主面と対向する第2主面、第1端縁、および前記第1端縁と第1方向に間隔を置いて対向する第2端縁を有するベース板と、前記第1端縁と前記第2端縁との間で前記ベース板の前記第1主面に立設され前記第1方向と交差する第2方向に延設された仕切り板と、前記仕切り板と前記第1端縁との間で前記ベース板から前記第2主面の側にそれぞれ延出し、互いに間隔を置いて対向した一対の側板と、前記ベース板とを含むコイル装着部と、前記仕切り板と前記第2端縁との間で前記第1主面に立設され前記第2方向に延在しているとともに、前記仕切り板と前記第1方向に間隔を置いて対向する保持板と、を備え、前記仕切り板は、前記保持板に間隔を置いて対向し前記第2方向の一端から他端まで延びるガイド面と、前記第2方向の一端の側で前記ガイド面に開口する引出し口と、前記第2方向の他端の側で前記ガイド面に設けられ前記第1端縁の側に凹んでいる収容凹所と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る回転電機を示す分解斜視図。
【
図2】
図2は、前記回転電機の固定子の分割鉄心部およびコイルを示す斜視図。
【
図4】
図4は、前記分割鉄心部の第2巻線ホルダを示す斜視図。
【
図6】
図6は、U相とV相およびW相のいずれかの中性部(中性線)が、前記固定子の周方向に巻かれている状態を示す分割鉄心部の斜視図。
【
図7】
図7は、U相とV相およびW相のいずれかの前記中性部が、隣接する2つの分割鉄心部にまたがって周方向に巻かれている状態を示す分割鉄心部の平面図。
【
図8】
図8は、前記固定子の径方向外側に引き出され束ねられた状態の6本の前記中性部と、前記固定子の径方向外側に別々に引き出された状態の6本の前記中性部と、を示す斜視図。
【
図9】
図9は、束ねられた6本の中性部にスリーブが装着された状態を示す斜視図。
【
図10】
図10は、前記スリーブがカシメ加工された状態を示す斜視図。
【
図11】
図11は、前記スリーブが保護チューブにより絶縁された状態を示す斜視図。
【
図12】
図12は、装着された前記スリーブが第2巻線ホルダに保持された状態の6本の前記中性部と、前記固定子の径方向外側に別々に引き出された状態の6本の前記中性部と、を示す斜視図。
【
図13】
図13は、前記固定子の周方向に引き回され束ねられた6本の前記中性部の先端部分が、前記固定子の径方向外側に引き出された1本の中性部により押え付けられている状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。
【0008】
図1は、実施形態に係る回転電機1を示す分解斜視図である。
図1に示すように、回転電機1は、例えば、3相(U相、V相およびW相)の交流電源によって駆動される。回転電機1は、円筒形状の固定子10と、固定子10の径方向内側に設けられ中心軸線Cの回りで回転自在な回転子20と、固定子10を径方向外側から支持する円筒状のケース30と、を有している。
【0009】
固定子10は、複数個(24個)の分割鉄心部10Aと、複数本(24本)のコイル14と、電極端子15と、を有している。複数個(24個)の分割鉄心部10Aは、固定子10の周方向に並んで配置され円筒状の固定子鉄心を構成している。周方向に隣り合う分割鉄心部10Aは、カシメあるいは凸部と凹部との係合により、互いに連結されている。各々の分割鉄心部10Aは、磁性を有する電磁鋼板を積層して構成された分割鉄心11と分割鉄心11に装着された絶縁性を有するインシュレータ(第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13)とで構成されている。
【0010】
コイル14は、断面が円形であって長尺状の電線によって構成されている。コイル14は、絶縁性の部材によって外周が被膜されている。コイル14は、分割鉄心部10Aに対して、集中巻きの構成で巻き付けられている。すなわち、1本のコイル14が、1つの分割鉄心部10Aに巻き付けられている。固定子10の周方向に一定の間隔で設けられた24本のコイル14には、U相、V相およびW相の順で、3相の交流電流が入力される。
電極端子15は、外部の電源からコイル14に入力される電流の入力端子である。電極端子15は、U相の8本のコイル14に接続されるU相電極端子15Uと、V相の8本のコイル14に接続されるV相電極端子15Vと、W相の8本のコイル14に接続されるW相電極端子15Wと、を含んでいる。外部の電源から、U相電極端子15Uを介してU相の8本のコイル14に電流が入力され、V相電極端子15Vを介してV相の8本のコイル14に電流が入力され、W相電極端子15Wを介してW相の8本のコイル14に電流が入力されると、分割鉄心11に所定の鎖交磁束が形成される。
【0011】
回転子20は、中心軸線Cの回りで回転自在に支持されるシャフト21と、シャフト21に取り付けられた円筒状の回転子鉄心22と、回転子鉄心22に埋め込まれた複数個(例えば、16個)の永久磁石23と、を有している。
シャフト21の軸方向の一端部21aおよび他端部21bは、例えば、図示せぬ保持部材に設けられた一対のベアリングに回転自在に支持される。シャフト21の一方の端部は、図示しない外部の回転機器と接続される。
回転子鉄心22は、磁性を有し円盤形状に形成された複数枚の電磁鋼板22Sを中心軸線Cと平行な軸方向に積層した積層体で構成されている。軸方向に隣合う電磁鋼板22Sは、例えば、外周面が溶接されて、互いに連結されている。回転子鉄心22の中心部分において軸方向に貫通した孔に、シャフト21が挿通および篏合されている。回転子鉄心22は固定子10の内側に配置され、回転子鉄心22の外周面は、固定子10の内周面と僅かな隙間(エアギャップ)を置いて対向する。
永久磁石23は、軸方向の全長が回転子鉄心22の全長とほぼ等しい棒状に形成されている。各々の永久磁石23は、回転子鉄心22の外周部分において、回転子20の周方向に一定の間隔を置いて設けられている。
【0012】
ケース30は、固定子10の外周面に嵌合され、固定子10を径方向外側から支持する。すなわち、固定子10がケース30内に挿通され、固定子の外周面がケース30の内周面30aに嵌合する。ケース30は、それぞれ外周部から突出した複数(例えば、4つ)の固定部30bを有し、これらの固定部30bは周方向にほぼ等しい間隔を置いて設けられている。各々の固定部30bは、例えば、ボルト等を用いて図示しない保持部材に固定される。
【0013】
分割鉄心部10Aの構成について説明する。
図2は、コイル14が装着された1つの分割鉄心部を示す斜視図、
図3は、分割鉄心部の鉄心および巻線ホルダを分解して示す分解斜視図である。
図2に示すように、分割鉄心部10Aは、分割鉄心11と、分割鉄心に装着された巻線ホルダと、を有し、巻線ホルダにコイル14が巻き付けされて保持されている。巻線ホルダは、分割鉄心11の軸方向の一方側に装着された絶縁性を有する第1インシュレータ(第1巻線ホルダ)12と分割鉄心11の軸方向の他方側に装着された第2インシュレータ(第2巻線ホルダ)13とを備えている。コイル14は、巻線ホルダを介して分割鉄心11に巻き付けられる巻線部14aと、巻線部14aの一端側から引き出され電極端子15に接続されるリード部(リード線)14bと、巻線部14aの他端側から引き出され中性点で結線される中性部(中性線)14cと、を有している。
【0014】
図3に示すように、分割鉄心11は、磁性を有する複数枚の電磁鋼板11Sを軸方向に積層した積層体で構成されている。軸方向Zに隣合う電磁鋼板11Sは、外周面が溶接されて、互いに連結されている。分割鉄心11は、円弧状の外周縁と円弧状の内周縁とそれぞれ径方向に延び互いに周方向に対向した一対の側縁とを有する円弧状に形成されたヨーク11Pと、ヨーク11Pの内周から径方向内側に延出したほぼ矩形状のティース11Qと、を一体に有し、ヨーク11PおよびティースQは分割鉄心11の軸方向Zに延びている。ティース11Qは、ヨーク11Pの周方向の幅よりも狭い幅を置いて互いに対向する一対の側縁と、側縁の一端同士を結ぶ先端縁(先端面)と、を有している。本実施形態において、ティース11Qは、それぞれ先端部から周方向に突出し軸方向に延びる一対の凸部11Rを一体に有している。
【0015】
分割鉄心11は、軸方向Zの一端に位置する平坦な一端面11aと軸方向Zの他端に位置する平坦な他端面11bとを有している。ヨーク11Pは、前述した外周縁からなる外周面11cと、前述した一対の側縁からなる一側面11jおよび他側面11kと、前述した内周縁からなる内周面11mと、を有している。内周面11mは、ティース11Qの周方向の両側に位置している。一側面11jに軸方向Zに延びた凸部11gが形成され、他側面11kに軸方向Zに延びた凹部11hが形成されている。複数の分割鉄心11を周方向に並べて配置した際、ヨーク11Pの凸部11gが隣接するヨーク11Pの凹部11hに嵌合し、隣合うヨーク11P同士を連結することができる。
ティース11Qは、前述した一対の側縁からなり互いに対向した一対の側面11f、11eと、先端縁からなる先端面11dとを有している。凸部11Rは、側面11f、11eの一側縁に沿って軸方向Zに延在している。
【0016】
第1巻線ホルダ12は、分割鉄心11の一端面11a上に載置されるベース板12Aと、ベース板12Aと一体に形成されティース11Qの周囲に装着される装着部(コイル装着部)12Bと、ベース板12Aと一体に形成されヨーク11Pに重ねて配置されるガイド部12Cと、を有し、絶縁性を有する合成樹脂等により成形されている。装着部12Bは、それぞれベース板12Aから延出し間隔を置いて互いに対向した一対の側板12a、12bを有している。装着部12Bにコイル14が巻き付けられる。側板12a、12bの延出端部は板厚が薄く形成され、第2巻線ホルダ13に係合する第1係合部12Wを構成している。ガイド部12Cは、ベース板12Aに立設された仕切り板12eおよび複数枚のガイド板12m、12q、12tを有し、コイル14のリード線14bの配策をガイドする。
【0017】
第2巻線ホルダ13は、分割鉄心11の他端面11a上に載置されるベース板13Aと、ベース板13Aと一体に形成されティース11Qの周囲に装着される装着部(コイル装着部)13Bと、ベース板13Aと一体に形成されヨーク11Pに重ねて配置されるガイド部13Cと、を有し、絶縁性を有する合成樹脂等により成形されている。装着部13Bにコイル14が巻き付けられる。ガイド部13Cはコイル14の中性線14cの配策をガイドする。
装着部13Bは、それぞれベース板13Aから軸方向Zに延出し互いに間隔を置いて対向した一対の側板13a、13bを有している。側板13aは、両側縁に沿って延びるフランジ部13d、13eを一体に有している。側板13bは、両側縁に沿って延びるフランジ部13f、13gを一体に有している。各側板13a、13bの外面(表面)には、それぞれ軸方向Zに延びる多数本の位置決め溝が形成されている。装着部13Bは、分割鉄心11に装着されると、分割鉄心11の軸方向の約半分の領域において、ティース11Qの側面11f、11e、ヨーク11Pの内周面11m、および凸部11Rの表面を覆って位置する。側板13a、13bおよびフランジ部13d~13gの延出側の端部は板厚が薄く形成された第2係合部13kを構成している。第2係合部13kは、第1巻線ホルダ12の第1係合部12Wに嵌合される。
【0018】
ガイド部13Cは、ベース板13Aに立設された仕切り板13mおよび保持板13jを有している。仕切り板13mは、ベース板13Aから軸方向Z(側板13aの延出方向と反対の方向)に延出しているとともに、装着部13Bとの境界に沿って周方向に延在している。中性線14cは仕切り板13mの外面に沿って引き回される。
保持板13jは、ベース板13Aから軸方向Zに延出しているとともに周方向に延在している。保持板13jは、径方向に間隔を置いて、仕切り板13mの外面に対向している。保持板13jは、仕切り板13mに巻き付けられた中性線14cを径方向の外側から保護する。
【0019】
ガイド部13Cにおいて、ベース板13Aの周方向の一方の側縁に周方向に突出した凸部18aが形成され、周方向の他方の側縁に凹部18bが形成されている。凸部18aは、分割鉄心11の凸部11gと軸方向Zで重なる。凹部18bは、分割鉄心11の凹部11hと軸方向Zで重なる。複数の分割鉄心部10Aを周方向に並べて配置した際、第2巻線ホルダ13の凸部18aが隣接する他の第2巻線ホルダ13の凹部18bに嵌合し、隣合う第2巻線ホルダ13同士を連結することができる。
【0020】
第2巻線ホルダ13の構成についてより詳細に説明する。
図4は、径方向の外周側から見た第2巻線ホルダ13の斜視図である。
図4において、軸方向Zの一方向を第2方向D2、第2方向D2と逆方向を第3方向D3、軸方向Zと直交する径方向を第1方向D1、軸方向Zおよび径方向と交差する周方向を第4方向D4と称する。
図4に示すように、第2巻線ホルダ13は、ほぼ矩形状のベース板13Aと、ベース板13Aと一体に形成されコイル14が巻き付けられるコイル装着部13Bと、ベース板13Aと一体に形成されコイル14の中性線14cをガイドするガイド部13Cと、を有している。
ベース板13Aは、平坦な第1主面S1と反対側の平坦な第2主面S2とを有し、分割鉄心11の他端面11bに対応した外形および寸法に形成されている。すなわち、ベース板13Aは、ティース11Qの周方向の幅に対応する第1幅を置いて互いに対向する一対の第1側縁15aと、一対の第1側縁15aの一端の間を延びる第1端縁(先端縁)15bと、ヨーク11Pの周方向の幅に対応する第2幅をおいて互いに対向する一対の第2側縁15cと、第2側縁15cの一端の間を延びる円弧状の第2端縁(外周縁)15dと、それぞれ第1側縁15aの他端と第2側縁15cの他端とに繋がる一対の第3端縁(内周縁)15e(
図3参照)と、を有している。第1端縁15bと第2端縁15dとは第1方向D1に間隔を置いて対向している。第2端縁15dは、第1方向D1と交差する第4方向(周方向)D4に延びている。
【0021】
コイル装着部13Bは、第1端縁15bと第2端縁15dとの間でベース板13Aの第1主面S1に第2方向D2に立設された仕切り板13mと、第1端縁15bと仕切り板13mとの間で、それぞれベース板13Aの第1側縁15aから第2方向D2と反対の第3方向D3(第2主面S2の側)に延出した一対の側板13a、13bと、ベース板13Aと、を有している。一対の側板13a、13bは、それぞれ第1側縁15aの長さとほぼ等しい幅を有し、第1幅に対応する間隔を置いて互いにほぼ平行に対向している。
仕切り板13mは、第1主面S1と直交する第2方向D2に所定高さ延出しているとともに第3端縁15eに沿って一方の第2側縁15cから他方の第2側縁15cまで第4方向D4に延設されている。仕切り板13mの第2方向D2の高さは、第4方向D4の一端から他端までほぼ一定の高さに形成されている。
【0022】
側板13aは、一方の側縁に沿って設けられた第1フランジ13dおよび他方の側縁に沿って設けられた第2フランジ13eを一体に有している。第1フランジ13dは、側板13aに対してほぼ垂直に立設され、側板13aの全長に亘って延設されている。第1フランジ13dのベース板13Aの側の端は、ベース板13Aを挟んで仕切り板13mに繋がっている。第2フランジ13eは、側板13aに垂直な方向に対して第1端縁15bの側に傾斜して立設され、側板13aの全長に亘って延設されている。第2フランジ13eのベース板13Aの側の端は、ベース板13Aの第1端縁15bに立設された第3フランジ13hに繋がっている。
側板13aとベース板13Aとが交差する角度に、すなわち、第1側縁15aに、複数の位置決め凹所17aが形成され、第1方向D1に連続して並んでいる。更に、側板13aの外面にそれぞれ第3方向D3に延びる多数本の長溝が形成されている。多数本の長溝は、第1方向D1に並んで位置し、側板13aの全面に亘って設けられている。長溝の第1方向D1の幅は、位置決め凹所17aの第1方向D1の幅よりも小さく、例えば、位置決め凹所17aの幅の1/4程度に設定されている。位置決め凹所17aおよび長溝は、装着部13Bに巻き付けられるコイル14の第1方向D1の位置を位置決めするために設けられている。
【0023】
他方の側板13bは、一方の側縁に沿って設けられた第1フランジ13fおよび他方の側縁に沿って設けられた第2フランジ13gを一体に有している。第1フランジ13fは、側板13bに対してほぼ垂直に立設され、側板13bの全長に亘って延設されている。第1フランジ13fのベース板13Aの側の端は、ベース板13Aを挟んで仕切り板13mに繋がっている。第2フランジ13gは、側板13bに垂直な方向に対して先端縁15bの側に傾斜して立設され、側板13bの全長に亘って延設されている。第2フランジ13gのベース板13Aの側の端は、ベース板13Aの第1端縁15bに立設された第4フランジ13iに繋がっている。
側板13bとベース板13Aとが交差する角部に、すなわち、第1側縁15aに、複数の位置決め凹所17aが形成され、第1方向D1に連続して並んでいる。更に、側板13bの外面にそれぞれ第3方向D3に延びる多数本の長溝17bが形成されている。多数本の長溝17bは、第1方向D1に並んで位置し、側板13aの全面に亘って設けられている。長溝17bの第1方向D1の幅は、位置決め凹所17aの第1方向D1の幅よりも小さく、例えば、位置決め凹所17aの幅の1/4程度に設定されている。位置決め凹所17aおよび長溝17bは、装着部13Bに巻き付けられるコイル14の第1方向の位置を位置決めするために設けられている。
【0024】
ガイド部13Cについて説明する。
ガイド部13Cは、前述した仕切り板13mと、仕切り板13mと第2端縁15dとの間で、ベース板13Aの第1主面S1に立設された保持板13jと、ベース板13Aと、で構成されている。
本実施形態において、保持板13jは、第2端縁15dに沿って立設され、一方の側縁15cから他方の側縁15cまで第4方向D4に延在している。保持板13jは、第2方向D2に立設され、第1主面S1からの立設高さは、第4方向D4の一端から他端までほぼ一定の高さに形成されている。保持板13jの立設高さは、仕切り板13mの立設高さよりも低く形成され、一例では、仕切り板13mの立設高さの1/3~1/2程度に形成されている。
【0025】
仕切り板13mの保持板13jの側の面は、中性線14cを巻き付けるガイド面13Sを構成している。ガイド面13Sは、仕切り板13mの第4方向D4の一方の端から他方の端に向かって湾曲して、例えば、第2端縁15dと同様の曲率で、湾曲して延びている。ガイド面13Sは、保持板13jと第1方向D1に所定の間隔を置いて対向している。仕切り板13mと保持板13jとの間に、第4方向D4に延びるガイドスロット13Qが形成されている。
仕切り板13mの一方の端部に引出し口13Rが形成されている。引出し口13Rは、例えば、切欠きからなり、仕切り板13mの一側縁、およびガイド面13Sおよび反対側の面の一端部に開口している。引出し口13Rは、第2方向D2において、保持板13jの高さよりも高い位置に設けられている。
【0026】
仕切り板13mは、ガイド面13Sの他端の側に形成された収容凹所13Pを有している。収容凹所13Pは、例えば、ほぼ矩形状に形成され、ガイド面13Sから第1端縁15bの側に一段、凹んで位置するほぼ矩形状の底面13nと、第4方向D4に互いに間隔を置いて対向する一対の側面13t、13uと、を有している。底面13nは、ガイド面13Sおよび保持板13jとほぼ平行に、第4方向D4に所定長さ延在している。一対の側面13t、13uは、それぞれ底面13nに対してほぼ垂直に、かつ、第1主面S1から仕切り板13mの上端まで第3方向D3に延在している。
後述するように、収容凹所13Pは、中性線14cのクランプ部材を収容可能に形成されている。
【0027】
図3に示したように、上記のように構成された第1巻線ホルダ12は、分割鉄心11の一端面11aの側から分割鉄心11に装着される。ベース板12Aの第2主面S2が一端面11aに重なって位置し、一対の側板12a、12bがティース11Qの側面11f、11eに当接する。各側板12a、12bの第1フランジおよび第2フランジは、ヨーク11Pの内周面11mおよびティース11Qの凸部11Rに当接する。これにより、第1巻線ホルダ12の装着部12Bは、先端面11dを除くティース11Qの全周を覆って配置される。第1巻線ホルダ12のガイド部12Cは、ヨーク11Pに重ねて配置される。
第2巻線ホルダ13は、分割鉄心11の他端面11bの側から分割鉄心11に装着される。ベース板13Aの第2主面S2が他端面11bに重なって位置し、一対の側板13a、13bがティース11Qの側面11f、11eに当接する。各側板13a、13bの第1フランジおよび第2フランジは、ヨーク11Pの内周面11mおよびティース11Qの凸部11Rに当接する。側板13a、13bおよびフランジ部13d~13gの延出側の第2係合部13kは、第1巻線ホルダ12の第1係合部12Wに嵌合される。これにより、第2巻線ホルダ13の装着部13Bは、先端面11dを除くティース11Qの全周を覆って配置される。第2巻線ホルダ13のガイド部13Cは、ヨーク11Pに重ねて配置される。
【0028】
図2に示したように、第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13の装着部12B、13Bにコイル14の巻線部14aが巻回され、装着部に保持されている。すなわち、巻線部14aは、第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13を介して、分割鉄心11のティース11Qに巻回されている。巻線部14aの一端から引き出されたリード線14bは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにより周方向にガイドされ、配策される。巻線部14aの他端から引き出された中性線14cは、第2巻線ホルダ13のガイド部13Cにより周方向ガイドされ配策される。
【0029】
次に、コイル14のリード線および中性線の配策について説明する。
図5は、固定子10のコイル14の結線図である。
図示のように、コイル14は、分割鉄心11に巻き付けられる巻線部14aと、巻線部14aの一端から導出し電極端子15に接続されるリード部(リード線)14bと、巻線部14aの他端から導出し中性点で結線される中性部(中性線)14cと、によって構成されている。リード線14bは、巻線部14aの一端側からティース11Qよりも径方向外側に引き出され、電極端子15を介して外部の電源に結線(接続)される。中性線14cは、巻線部14aの他端側からティース11Qよりも径方向外側に引き出され、中性点Nで互いに結線(接続)される。
図5において、U、V、Wは、それぞれU相、V相、W相の電力が入力されるコイルを示し、付記の数字は、固定子10の周方向に並ぶ24本のコイルのうち、何番目のコイルであるかを示している。例えば、U4は、固定子10の周方向に並ぶ24本のコイルのうちの4本目のコイル14で、U相の電流が入力されることを表している。
【0030】
固定子10の周方向に並んだ12本のコイル14のリード線14bは、反時計回りCCWにおいて、16本目(U相)、17本目(V相)、18本目(W相)、19本目(U相)、20本目(V相)、21本目(W相)、22本目(U相)、23本目(V相)、24本目(W相)、1本目(U相)、2本目(V相)および3本目(W相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の12本のリード線14bは、16本目(U相)が相対的に最も長く、3本目(W相)が相対的に最も短い。16本目(U相)から3本目(W相)の12本のリード線14bは、図中の反時計回りCCW(固定子10の周方向の一方の回り)に引き回され、電極端子15U、V、Wに接続される。
【0031】
固定子10の周方向に並んだ他の12本のコイル14のリード線14bは、時計回りCWにおいて、15本目(W相)、14本目(V相)、13本目(U相)、12本目(W相)、11本目(V相)、10本目(U相)、9本目(W相)、8本目(V相)、7本目(U相)、6本目(W相)、5本目(V相)および4本目(U相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の12本のリード部14bは、15本目(W相)が相対的に最も長く、4本目(U相)が相対的に最も短い。15本目(W相)から4本目(U相)の12本のリード線14bは、図中の時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回され、電極端子15U、V、Wに接続される。
【0032】
固定子10の周方向に並んだ12本のうちの6本のコイル14の中性線14cは、反時計回りCCWにおいて、16本目(U相)、17本目(V相)、18本目(W相)、19本目(U相)、20本目(V相)および21本目(W相)の順で、段階的に長くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、16本目(U相)が相対的に最も短く、21本目(W相)が相対的に最も長い。16本目(U相)から21本目(W相)の6本の中性線14cは、図中の時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回され、中性点N4で結線される。
同様に、固定子10の周方向に並んだ12本のうちの別の6本のコイル14の中性線14cは、反時計回りCCWにおいて、22本目(U相)、23本目(V相)、24本目(W相)、1本目(U相)、2本目(V相)および3本目(W相)の順で、段階的に長くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、22本目(U相)が相対的に最も短く、3本目(W相)が相対的に最も長い。22本目(U相)から3本目(W相)の6本の中性部14cは、図中の時計回りCWに引き回され、中性点N1で結線される。
【0033】
他の12本のうちの6本のコイル14の中性線14cは、時計回りCWにおいて、15本目(W相)、14本目(V相)、13本目(U相)、12本目(W相)、11本目(V相)および10本目(U相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、15本目(W相)が相対的に最も長く、10本目(U相)が相対的に最も短い。15本目(W相)から10本目(U相)の6本の中性線14cは、図中の時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回され、中性点N3で結線される。
同様に、他の6本のコイル14の中性線14cは、時計回りCWにおいて、9本目(W相)、8本目(V相)、7本目(U相)、6本目(W相)、5本目(V相)および4本目(U相)の順で、段階的に短くなるように構成されている。すなわち、上記の6本の中性線14cは、9本目(W相)が相対的に最も長く、4本目(U相)が相対的に最も短い。9本目(W相)から4本目(U相)の6本の中性部14cは、図中の時計回りCWに引き回され、中性点N2で結線される。
【0034】
図6は、U相とV相およびW相のいずれかの中性線14cが、分割鉄心部10Aにおいて、固定子10の周方向に巻かれている状態を示す斜視図である。
図7は、U相とV相およびW相のいずれかの中性部14cが、隣接する2つの分割鉄心部10Aにまたがって、固定子10の周方向に巻かれている状態を示す平面図である。
図6に示すように、分割鉄心部10Aにおいて、コイル14の巻線部14aから導出した中性線14cは、第2巻線ホルダ13の仕切り板13mに形成された引出し口13Rを通して径方向の外方に引き出され、時計回りCW(固定子10の周方向の他方の回り)に引き回される。中性線14cは、仕切り板13mのガイド面13Sに巻き付けられ、ガイド面13Sに沿って時計回りCWに引き回される。各々(24本)の中性線14cは、6本毎に引き回されて、中性点N1、N2、N3またはN4において結線される。
【0035】
図17に示すように、右側に示す分割鉄心部10Aから引き出された中性線14cは、左側に示す分割鉄心部10Aにおいて、第2巻線ホルダ13の仕切り板13mと保持板13jとの間を通り、ガイド面13Sに巻き付けられた状態で反時計方向CCWに引き出されている。6本毎に引き回される中性線14cは、第2巻線ホルダ13の仕切り板13mと保持板13jとの間において、軸方向Zまたは径方向に積層した状態で引き回される。
【0036】
図8は、固定子10の径方向外側に引き出され束ねられた状態の6本の中性線14cと、固定子10の径方向外側に別々に引き出された状態の6本の中性線14cと、を示す斜視図である。
図9は、束ねられた6本の中性線14cにスリーブ16が装着された状態を示す斜視図である。
図10は、スリーブ16が加締め加工された状態を示す斜視図である。
図11は、加締め加工されたスリーブ16が保護チューブ17により絶縁された状態を示す斜視図である。
図8に示すように、例えば、22本目(U相)、23本目(V相)、24本目(W相)、1本目(U相)、2本目(V相)および3本目(W相)の6本の中性線14cは、22本目(U相)の中性線14cを除いて固定子10の時計回りCWに引き回された後、固定子10の径方向外側に引き出され束ねられている。16本目(U相)、17本目(V相)、18本目(W相)、19本目(U相)、20本目(V相)および21本目(W相)の6本の中性線14cは、固定子10の径方向外側に引き出されている。16本目(U相)から21本目(W相)の6本の中性部14cについても、16本目(U相)の中性部14cを除いて固定子10の時計回りCWに引き回された後、固定子10の径方向外側に引き出され束ねられる。
【0037】
図9に示すように、束ねられた6本の中性線14cの先端部分に、スリーブ16(接合部材)が装着される。スリーブ16は、導電性を有し、円筒形状に形成されている。スリーブ16の内部に、6本の中性線14cが挿入される。各々の中性線14cの外周面は、絶縁被膜が施されたままの状態である。
図10に示すように、スリーブ16は、6本の中性部14cが内部に挿入された状態で、ヒュージング(抵抗溶接)により熱加締め(圧着)される。スリーブ16は、円筒形状から角筒形状に変形する。各々の中性線14cは、スリーブ16を介して変形すると共に、外周面の絶縁被膜が金属素線から剥がれて、金属素線が露出した状態で互いに密着する。これにより、6本の中性線14cは、互いに電気的に接合される。
【0038】
図11に示すように、加締め加工されたスリーブ16は、隣接する6本の中性線14cの先端部分と共に、保護チューブ17(保護部材)により絶縁および保護される。保護チューブ17は、絶縁性と熱収縮性を有し、円筒形状に形成されている。保護チューブ17は、加締め加工されたスリーブ16が内部に挿通された状態で、加熱されて収縮することにより、スリーブ16および隣接する複数の中性線14cの先端部分に密着する。
【0039】
図12は、装着されたスリーブ16が第2巻線ホルダ13に保持された状態の6本の中性線14cと、固定子10の径方向外側に別々に引き出された状態の他の6本の中性線14cと、を示す斜視図である。
図13は、固定子10の周方向に引き回され束ねられた6本の中性線14cが、固定子10の径方向外側に引き出された1本の中性線14cにより押え付けられている状態を示す斜視図である。なお、
図12、
図13においては、スリーブ16を絶縁する保護チューブ17の図示を省略している。
図12に示すように、スリーブ16により結束された6本の中性線14cの先端部は、第2巻線ホルダ13のガイド面13Sに沿って時計方向CWに引き回され、ガイド面13Sと保持板13jとの間のガイドスロット13Qの中に保持される。6本の中性線14cの先端部は、仕切り板13mの引出し口13Rよりも下に、つまりベース板13Aの側に保持される。先端のスリーブ16は、その一部、例えば、約半分の部分が、第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pの内に収納された状態で、仕切り板13mと保持板13jとの間に保持される。収容凹所13Pは、仕切り板13mの上端縁に開口して形成されているため、スリーブ16を上方から収容凹所13Pに容易に嵌め込むことができる。更に、スリーブ16は、収容凹所13Pの一対の側面13t、13uにより周方向の移動が規制され、所定の収納位置に位置決めされる。
【0040】
同様に他の中性線14cは、6本ずつ束ねられ、スリーブ16で締結された状態で時計方向CWに引き回され、対応する第2巻線ホルダのガイドスロット13Qの内に保持される。スリーブ16は、対応する第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pの中に収容された状態で、仕切り板13mと保持板13jとの間に保持される。
すなわち、
図7に示した22本目(U相)から3本目(W相)の6本の中性線14cは、1つのスリーブ16により電気的に中性点N1で結線された状態で、固定子10の周方向に引き回され、1つの第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pに保持される。
図7の16本目(U相)から21本目(W相)の6本の中性線14cは、1つのスリーブ16により電気的に中性点N4で結線された状態で、固定子10の周方向に引き回され、1つの第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pに保持される。
図7の9本目(W相)から4本目(U相)の6本の中性線14cは、1つのスリーブ16により電気的に中性点N2で結線された状態で、固定子10の周方向に引き回され、1つの第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pに保持される。
図7の15本目(W相)から10本目(U相)の6本の中性部14cは、1つのスリーブ16により電気的に中性点N3で結線された状態で、固定子10の周方向に引き回され、1つの第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pに保持される。
【0041】
図13の領域Pに示すように、収容凹所13Pにスリーブ16が収容されている第2巻線ホルダ13の引出し口13Rから径方向外側に引き出された1本の中性線14c(W21)は、時計方向CWに引き回され、その際、6本の中性線14cの先端部分およびスリーブ16に径方向外側から重ねて引き回されている。これにより、6本の中性線14cの先端部分およびスリーブ16は、中性線14c(W21)により仕切り板13mに向かって押え付けれ、図示の所定位置に保持される。
【0042】
以上のように構成された本実施形態に係る回転電機の固定子および巻線ホルダによれば、複数のコイル14の複数の中性線14cは、第2巻線ホルダ13のガイド面13Sに沿って周方向に引き回され、中性線14cを複数本ずつ結束しているスリーブ16は、第2巻線ホルダ13の収容凹所13Pに配置され保持されている。複数の中性線14cの先端部分は、互いに接合された状態で、第2巻線ホルダ13の仕切り板13mと保持板13jとの間でガイドスロット13Qに保持されている。
このような構成によれば、バスバーリングを用いることなく、複数本の中性線14cを互いに接続することができる。バスバーリングを不要とすることにより、固定子10および巻線ホルダの小型化および製造コストの削減を図ることができる。同時に、中性線14cのアッセンブリを簡略することにより、生産性を向上させることができる。
バスバーリング等の短絡環を用いた結線方式では、コイル数分(スロット数分)の結線が必要であるが、本実施形態の構成では、その結線数を削減できる。
【0043】
本実施形態によれば、束ねられた複数本の中性線14cの先端部分が、第2巻線ホルダ13の仕切り板13mと保持板13jとの間に構成されたガイドスロット13Qに保持され、更に、他の中性線14cにより径方向の外側から仕切り他13mに向かって押え付けられている。このような構成によれば、束ねられた中性部14cの先端部分が、固定子10の径方向および軸方向Zに移動することを抑制できる。したがって、固定子10および巻線ホルダを径方向および軸方向において小型化することができる。
【0044】
実施形態によれば、第2巻線ホルダ13は、スリーブ16を収容する収容凹所13Pを有している。収容凹所13Pは、仕切り板13mの上端縁に開口して形成されているため、スリーブ16を上方から収容凹所13Pに容易に嵌め込むことができる。更に、スリーブ16は、収容凹所13Pの一対の側面13t、13uにより周方向の移動が規制され、所定の収納位置に位置決めされる。また、スリーブ16は、仕切り板13mと保持板13jとの間に保持され、径方向の移動が規制されている。これにより、束ねられた中性線14cの先端部およびスリーブ16は、所定の巻き付け位置に安定して保持される。
更に、束ねられた中性線14cの先端部およびスリーブ16は、他の中性線14cにより径方向の外側から仕切り他13mに向かって押え付けられている。このような構成によれば、束ねられた中性部14cおよびスリーブ16が、固定子10の径方向および軸方向Zに浮き上がることを抑制できる。したがって、固定子10および巻線ホルダを径方向および軸方向において小型化することができる。
【0045】
さらに、実施形態によれば、互いに接合された複数本の中性線14cは、周方向の時計回りCWに引き回される部分の長さが互いに異なる。このような構成によれば、固定子10の周方向に束ねられた中性線14cを、固定子10の径方向や軸方向Zに撓ませることなく束ねることができる。したがって、固定子10を径方向および軸方向Zにおいて小型化することができる。
実施形態によれば、束ねられた複数本の中性線14cの先端部分を覆う導通性を有したスリーブ16(接合部材)を備えている。このような構成によれば、束ねられた中性部14cの先端部分の導通性を向上させることができる。さらに、実施形態によれば、例えばスリーブ16を覆う絶縁性を有した保護チューブ17(保護部材)を備えている。このような構成によれば、束ねられた中性部14cの先端部分の導通性を向上させた上で、絶縁性を向上させることができる。
【0046】
以上のことから、本実施形態によれば、バスバーリングを用いることなく固定子の小型化を図ることができるとともに、巻線の配策が容易で、かつ、配線を安定して保持することが可能な巻線ホルダおよび固定子を提供することができる。
なお、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、第2巻線ホルダ13(絶縁部材)の形状を、分割鉄心部10Aの周方向の中間部分を境にして反転させることができる。このような構成の場合、各々の中性線14cの引き回しの方向を、時計回りCWから反時計回りCCWに変更する。
実施形態では、24本の中性線14cを6本ずつ束ねて、中性点における結線数を4箇所に設定した。このような構成に限定されることなく、24本の中性線14cを例えば3本ずつ束ねて、中性点における結線数を8箇所に設定してもよい。この場合でも、第2巻線ホルダ13のような固定子10の構成部品の形状を変更することなく対応できる。
また、実施形態に係る回転子および回転電機は、永久磁石界磁電動機に限らず、巻線界磁型回転電機、および誘導型回転電機にも適用可能である。固定子および巻線ホルダの寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…回転電機、10…固定子、10A…分割鉄心部、11…分割鉄心、11P…ヨーク、
11Q…ティース、12…第1巻線ホルダ、13…第2巻線ホルダ、13A…ベース板、
13B…装着部、12C…ガイド部、13a、13b…側板、13m…仕切り板、
13j…保持板、13s…ガイド面、13P…収容凹所、13Q…ガイドスロット、
13R…引出し口、13n…底面、13t、13u…側面、14…コイル、
14a…巻線部、14b…リード部(リード線)、14c…中性部(中性線)、
15…電極端子、15a…第1側縁、15b…第1端縁、15c…第2側縁、
15d…第2端縁、16…スリーブ、20…回転子、S1…第1主面、S2…第2主面