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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023044973
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】直管蛍光灯型LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/272 20160101AFI20230327BHJP
   F21K 9/275 20160101ALI20230327BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20230327BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20230327BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230327BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20230327BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230327BHJP
   F21Y 107/40 20160101ALN20230327BHJP
【FI】
F21K9/272
F21K9/275
F21V17/00 154
F21V31/00 100
F21V19/00 450
G09F13/04 D
F21Y115:10
F21Y107:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153126
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】593019722
【氏名又は名称】株式会社ニッケンハードウエア
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】岡本 修
【テーマコード(参考)】
3K011
3K013
3K014
5C096
【Fターム(参考)】
3K011AA01
3K011FA05
3K013AA05
3K013BA01
3K014AA01
5C096AA05
5C096AA29
5C096BA04
5C096CC06
5C096FA01
5C096FA02
5C096FA08
5C096FA09
(57)【要約】
【課題】
看板枠体の内部から広告面板を照明するために、発光領域の幅と発光強度を大幅に改善し、円筒状カバーの膨張・収縮によりクラックが発生することのないLEDランプを提供する。
【解決手段】
多角形の支持体を長手方向に有し、支持体上には長手方向に3列以上のLEDが配列され、円筒状カバーと前記キャップの接続部分に、前記円筒状カバー側には蛇腹部を有し、前記キャップ側には隙間を有するシリコン封止部材を配置した直管蛍光灯型LEDランプ。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管蛍光灯型LEDランプであって、
LEDを多数配列した支持体とこれを固定するソケットを光透過性の円筒状カバー内に配置し、
前記円筒状カバーの両端を前記ソケットにおいて平板上のキャップで封止するにあたり、
前記円筒状カバーと前記キャップの接続部分に、前記円筒状カバー側には蛇腹部を有し、前記キャップ側には隙間部を有するシリコン封止部材を配置したことを特徴とする
直管蛍光灯型LEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源にLED(発光ダイオード)を用いた直管蛍光灯型LEDランプ(以下、「LEDランプ」という。)に関する。例えば、アクリル樹脂製の広告面板を保持する看板枠体内に収容され、10~20cm程度に近接した照射面(広告面板)の照明に好適に用いられるLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
看板枠体内に収められ広告面板を照明するためのランプとして、LEDモジュールを利用したランプは、従来の水銀放電管蛍光灯(以下、「直管型蛍光灯」という。)に代わって用いられるようになって久しい。
LEDランプを使用する場合、使用寿命を半永久的に伸ばすことで従来の蛍光灯の使用寿命の問題を解決できるばかりではなく、既に設置されている直管型蛍光灯のフレームにそのまま設置できることもあり、看板用のランプとしての利便性は飛躍的に向上させることができた。
【0003】
しかし、一般的にLEDは蛍光灯に比較して光の指向性が高いため、LEDを用いた照明装置では、より広範囲を照らすために照射範囲を拡大させるための工夫が検討されている。
例えば、断面山形に形成された2つの傾斜支持板に、多数のLEDを長手方向に2列に配列したLEDモジュールを用いた看板用直管蛍光灯型LEDランプが知られている(特許文献1)。このLEDランプは、2つの傾斜支持板が鋭角の断面山形に形成されているので照射範囲が広く、広告用のランプとして使用された場合、広告面板を均一かつ明るく照明することができるとされている。
【0004】
しかし、これまでのLEDランプは、上記した看板用直管蛍光灯型LEDランプも含め、直管型蛍光灯の代替品として使用され、直管型蛍光灯のフレームをそのまま使用するものであるため、従来の蛍光灯の形態を継承する点が多く、次の点で照明ランプとしての特性を十分に引き出されていない面があった。
【0005】
すなわち、従来の直管型蛍光灯では、両端部分に比較的寸法の大きい口金を設ける必要があるが、この部分は発光しないという問題点があった。このため、長尺の広告面板を照明するために蛍光灯を直列に連結して使用した場合、蛍光灯の口金にあたる広告面板部分は口金が発光しないために暗くなってしまう。これを避けるために、蛍光灯端部を重複させて、長手方向に発光しない部分がないように連結して設置することもあった。
【0006】
これは、直管型蛍光灯では、真空ガラス管(水銀放電管)に少量の水銀蒸気とアルゴンガスを入れて密閉し、両端に電圧を印加して気体の放電により発光させる構造となっていることに起因する。すなわち、従来の直管型蛍光灯では、両端の口金部分で水銀放電管を十分に密閉しなければならないからである。このため、直管型蛍光灯では、ある程度の大きさの口金を設けなければならず、その分だけ非発光部分ができてしまうことは避けることのできないことであった。
そして、直管型蛍光灯に代替するLEDランプにおいても、発光しない口金部分を設けることは自然に受け入れられてきたのが現状である。
【0007】
また、この問題とは別に、従来のLEDランプにおいて、更に改善すべき課題があった。それは、従来のLEDランプでは、ソケットと円筒状カバーの接続部分は単純なシリコンリングで封止していた。しかし、円筒状カバーの膨張と収縮を十分に吸収することができないため、円筒状カバーの膨張に伴い円筒状カバーの両端に亀裂が入ってしまうことや、同じく収縮に伴い隙間が生じて内部への浸水が発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5717095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した問題を解決し、良好な照射特性を有するLEDランプを提供することを目的とするものである。
すなわち、円筒状カバーの膨張・収縮によりクラックが発生することを防ぎ、防水性の向上をもたらすシリコン封止部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明においては、直管蛍光灯型LEDランプであって、LEDを多数配列した支持体とこれを固定するソケットを光透過性の円筒状カバー内に配置し、前記円筒状カバーの両端を前記ソケットにおいて平板上のキャップで封止すにあたり、前記円筒状カバーと前記キャップの接続部分に、前記円筒状カバー側には蛇腹部を有し、前記キャップ側には隙間部を有するシリコン封止部材を配置した。
【発明の効果】
【0011】
本発明のLEDランプは、特定の形状を有するシリコン封止部材を使用するので、耐久性に高いLEDランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、従来のLEDランプの断面構造を示すもので、(a)図は長手方向 の断面図、(b)図はA-A線に沿う断面拡大図である。
図2図2は、本発明のLEDランプの断面構造を示すもので、同じく(a)図は 長手方向の断面図、(b)図はB-B線に沿う断面拡大図である。
図3図3は、図2における本発明のLEDランプのC-C線に沿う断面拡大図である。Kタイプ(a)とRタイプ(b)がある。
図4図4は、LEDランプ端部の断面構造を示し、(a)図は従来のLEDラン プ、(b)は本発明のLEDランプのものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明のLEDランプについて、看板枠体の内側から照明するランプとして使用した態様を例にとって、具体的な実施態様を説明する。しかし、本発明のLEDランプは、看板用に用途を限定されるものではなく、その優秀な照明特性に基づいて様々な照明の用途に使用されることは当然のことである。
【0014】
(従来のLEDランプ)
図1は従来のLEDランプの構造の概要を示すもので、(a)が長手方向の断面図、(b)がA-A線に沿う断面拡大図である。
長手方向に多数のLED2が直列に実装された支持体3を光透過性の円筒状カバー1内に装填し、両端の口金部分に電源4及び電源と電気的に接続される金属ピン5を有する構造である。このような構造のため、従来のLEDランプにおいては、口金部は発光しない部分となってしまっていた。
なお、一般的には、支持体3はアルミニウム合金の型材であり、光透過性の円筒状カバー1は難燃性ポリカーボネートで構成されている。
【0015】
(支持体の断面形状)
図2は、本発明のLEDランプの断面図を示し、同じく(a)が長手方向、(b)がB-B線に沿う断面拡大図である。
本発明のLEDランプにおいては、垂直断面が多角形(六角形)の中空構造の支持体3であって、該多角形の開口径を拡大したものを使用している。この点が従来のLEDランプと大きく異なる点である。
このため、上記開口につながる空洞内に電源4を挿入することができ、従来のLEDランプでは口金部として使用されていた部分にも、LEDを実装した支持体3を延長することができる。すなわち、従来の口金部分の寸法を縮小することができる。また、LEDランプの両端のキャップ8も半透明とすることで、透光性をさらに向上させることができる。
【0016】
前記支持体3の開口径の大きさは、電源4が支持体3内に挿入できる程度である必要がある。しかし、開口径は小さくした方が好ましい。LED発光源と円筒状カバー1との間の空間を大きくすることで、指向性の高いLEDの光が円筒状カバー1に乱反射して均一な光とすることができるからである。
本発明のLEDランプにおいては、電源4を支持体3内に設置することにより、従来のものに比較して発光領域を大幅に拡張することが可能となった。この点が、本発明のLEDランプの有する第一の特徴である。
【0017】
図3は、図2(a)のC-C線に沿うLEDランプの断面拡大図を示す。(a)は支持体3上で長手方向に3列のLED2を実装したタイプ(以下、「Kタイプ」という)、(b)は同じく4列のLED2を実装したタイプである(以下、「Rタイプ」という)。このように、多方向に向けられたLEDランプを設置することができるので、Kタイプでは300°、Rタイプでは360°の配光角度を確保すことができる。
本発明のLEDランプでは、広い配光角度を有するので、対向する表面と裏面に広告面板を有する両面型看板枠体の照明に用いられた場合でも、広告面を明るく照らす看板にすることができる。また、片面型看板枠体の照明に用いられた場合には、広告板面の裏側面から反射したり乱反射したりした照射光により、広告面を明るく照らすことができる。
【0018】
また、図3においては、いずれも、垂直断面が六角形状の支持体3を用いているが、円筒状カバー1の直径とLED2の寸法との関係で、多角形として八角形状の断面を持つ支持体3まで使うことができる。そうすると、LED2を実装する面を8面まで増やすことができ、さらに明るい看板面を提供することができる。
【0019】
(シリコン封止部材)
次に、LEDランプ両端の封止構造について説明する。図1(a)の口金部分(従来技術)と図2(a)のキャップ8部分(本発明)に関連する技術的な特徴である。図4(a)及び(b)はぞれぞれの拡大図を示す。
従来のLEDランプ(図4(a))においては、ソケット7でLEDランプ内部の支持体3を固定し、金属ピン5が内部の電源4に接続されて発光に必要な電力を供給していた。そして、ソケット7と円筒状カバー1の接続部分には断面四角形状のシリコンリングが配置され、LEDランプ内部の気密性を維持していた。
【0020】
図4(b)は、本発明のLEDランプにおける両端部の断面構造を示すものである。
本発明のLEDランプにおいても、支持体3を固定するソケット7と電源部4に電力を供給する金属ピン5を有する。この点は、従来のLEDランプと変わるところはない。
しかし、本発明のLEDランプは、図4(b)に示されるように、特定形状のシリコン封止部材6を有する点に特徴がある。
【0021】
本発明のLEDランプが端部に有するシリコン封止部材6は、ソケット部7において円筒状カバー1とキャップ8に挟持されて両者の接続部分に配置される。その形状は、円筒状カバー1と接続する部分は蛇腹形状に形成され、キャップ8と接続する部分には隙間が設けられた形状である。
このような形状を有するため、周囲環境の変化があって円筒状カバー1が収縮した場合や膨張した場合でも、LEDランプ内の気密性を保つことができ、その耐久性を格段に向上することができる。この点が、本発明のLEDランプの有する第二の特徴である。
【0022】
具体的には、円筒状カバー1が収縮した場合には、従来の断面が四角形上のシリコンリングでは、シリコンと円筒状カバー1の間に隙間が生じてしまう。このため、冬季に寒冷な環境におかれた場合には、円筒状カバー1が大幅に縮む結果、円筒状カバー1の隙間からLED内部への浸水が避けられない。これは、LEDランプの寿命を著しく損なうことにつながっていた。
本発明のシリコン封止部材6においては、シリコン封止部材6に蛇腹部があるので、仮に円筒状カバーが収縮した場合でも、円筒状カバー1内の気密性を維持できる。
このため、LEDランプ内部への浸水を完全に防ぐことができる。
【0023】
また、円筒状カバー1が膨張した場合には、シリコン封止部材6とキャップ8との間に形成した隙間がLEDランプの気密性を維持する役目を果たす。すなわち、LEDランプの発光が長時間にわたった場合や夏季の直射日光に晒された場合に、円筒状カバー1は、高温により膨張することを避けることはできない。その場合でも、キャップ8と円筒状カバー1との間に隙間が生じるようシリコン封止部材の形状を設定してあるので、当該隙間が円筒状カバーの膨張分を吸収することができる。
【0024】
従来のLEDランプでは、円筒状カバー1の膨張に起因して円筒状カバー1端部にクラックが発生してしまうことがあった。本発明においては、シリコン封止部材6が隙間を有する構造であるため、円筒状カバー1端部のクラック発生を防いで、丈夫で長持ちするLEDランプとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のLEDランプは、片面看板ばかりでなく両面看板にも良好に適用でき、均一で明るい広告面を提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 円筒状カバー
2 LED
3 支持体
4 電源
4a 電源付属回路
5 金属ピン
6 シリコン封止部材
7 ソケット
8 キャップ
図1
図2
図3
図4