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特開2023-45009パーキングロックユニット及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045009
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】パーキングロックユニット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20230327BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
F16H63/34
B60T1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153178
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】391064005
【氏名又は名称】株式会社アツミテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】前田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 直希
(72)【発明者】
【氏名】中島 亮
(72)【発明者】
【氏名】松原 初穂
(72)【発明者】
【氏名】山下 顕
【テーマコード(参考)】
3J067
【Fターム(参考)】
3J067AA21
3J067AB23
3J067BB03
3J067BB14
3J067DA03
3J067DA06
3J067DB32
3J067FA24
3J067FA57
3J067FB61
3J067FB71
3J067FB81
3J067FB83
3J067GA01
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で作動時でのフリクションを低減したパーキングロックユニット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】車両のパーキングロック装置に組み付けられるパーキングロックユニット10であって、パーキングレンジへの操作に伴い回転するディテントレバー11にパーキングロッド12が挿入されるロッド孔31が設けられ、パーキングロッドの一端部に、径方向外方に球形状に突出した球形部35が形成され、ディテントレバー11のロッド孔31に嵌合されるとともに、内部に球形部35が回転可能に嵌合される筒状のブッシュ36を備え、パーキングロッド12は球形部35においてブッシュ36を介してディテントレバー11に支持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の変速機に備えられ、前記車両の走行輪と連動するパーキングギヤに、シフト装置におけるパーキングレンジへの操作に伴いパーキングポールを回転させて前記パーキングギヤに係止するパーキングロック装置に組み付けられ、
前記変速機に回転可能に設置されるとともに、前記シフト装置における前記パーキングレンジへの操作に伴い回転するディテントレバーと、
前記ディテントレバーの回転中心から径方向に離間した位置で一端部が回転可能に支持され、前記ディテントレバーの回転に伴い移動するパーキングロッドと、を有し、
前記パーキングロッドの他端部に、当該パーキングロッドの移動に伴い前記パーキングポールを押して回転させるカム部が装着されたパーキングロックユニットであって、
前記ディテントレバーに前記パーキングロッドの一端部が挿入されるロッド孔が設けられ、
前記パーキングロッドの前記一端部に、径方向外方に球形状に突出した球形部が形成され、
前記ディテントレバーの前記ロッド孔に嵌合されるとともに、内部に前記球形部が回転可能に嵌合される筒状のブッシュを備え、
前記パーキングロッドは、前記球形部において前記ブッシュを介して前記ディテントレバーに支持されることを特徴とするパーキングロックユニット。
【請求項2】
前記球形部と前記ブッシュとの嵌合強度よりも、前記ブッシュと前記ディテントレバーとの嵌合強度が強く設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載のパーキングロックユニット。
【請求項3】
前記ブッシュの強度は、前記ディテントレバーの前記ロッド孔の周縁部の強度、及び前記パーキングロッドの前記球形部の強度よりも低い
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパーキングロックユニット。
【請求項4】
車両の変速機に備えられ、前記車両の走行輪と連動するパーキングギヤに、シフト装置におけるパーキングレンジへの操作に伴いパーキングポールを回転させて前記パーキングギヤに係止するパーキングロック装置に組み付けられ、
前記変速機に回転可能に設置されるとともに、前記シフト装置における前記パーキングレンジへの操作に伴い回転するディテントレバーと、
前記ディテントレバーの回転中心から径方向に離間した位置で一端部が回転可能に支持され、前記ディテントレバーの回転に伴い移動するパーキングロッドと、を有し、
前記パーキングロッドの他端部に、当該パーキングロッドの移動に伴い前記パーキングポールを押して回転させるカム部が装着されたパーキングロックユニットの製造方法であって、
前記ディテントレバーに前記パーキングロッドの一端部が挿入されるロッド孔を設け、
前記パーキングロッドの前記一端部に径方向外方に球形状に突出した球形部を形成し、
筒状のブッシュを前記ディテントレバーの前記ロッド孔に嵌合するとともに、前記ブッシュの内側に前記球形部を回転可能に嵌合して、前記パーキングロッドを前記ブッシュを介して前記ディテントレバーに支持させることを特徴とするパーキングロックユニットの製造方法。
【請求項5】
前記ブッシュに前記パーキングロッドの前記球形部を挿入し前記ブッシュを押圧して前記球形部と前記ブッシュとを嵌合させた後に、前記ブッシュ及び前記球形部を前記ディテントレバーの前記ロッド孔に挿入し前記ブッシュを押圧して前記ブッシュと前記ディテントレバーとを嵌合して、前記パーキングロッドを前記ディテントレバーに支持させることを特徴とする請求項4に記載のパーキングロックユニットの製造方法。
【請求項6】
前記ディテントレバーの前記ロッド孔に前記ブッシュ及び前記パーキングロッドの前記球形部を挿入して前記ブッシュを押圧し、前記ディテントレバーに前記ブッシュと前記球形部を同時に嵌合して、前記パーキングロッドを前記ディテントレバーに支持させることを特徴とする請求項4に記載のパーキングロックユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のパーキングロック装置に使用されるパーキングロックユニットの構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動変速機を備えた車両のパーキングロック装置は、シフトレバーやパーキングスイッチがパーキングポジションに操作された際に車両を停止状態に維持するように構成されている。
【0003】
パーキングロック装置は、例えば特許文献1に示すように、パーキングギヤとかみ合うパーキングポールと、上下方向に延びるように変速機に設けられたシャフトに回転可能に支持されたディテントレバー(ロックアーム)と、一端部がディテントレバーに支持され、他端部にパーキングポールに押し付けて揺動させるコーン(カム部)を有するパーキングロッドと、を備えている。パーキングポールは、一端部にパーキングギヤとかみ合う爪部を有し、中間部において上下方向に揺動可能に支持され、他端部の下面にコーンの上面が押し付けられるように構成されている。
【0004】
ディテントレバーは、シフトレバー等の操作によりケーブルを介して回転し、パーキングロッドを移動させる。シフトレバー等がパーキングポジションに操作されたときに、コーンによってパーキングポールの他端部を押し上げることで、パーキングポールの爪部がパーキングギヤとかみ合い、車両の逸走を規制するように構成されている。
【0005】
特許文献1では、ディテントレバーにパーキングロッドの一端部が挿入される円形のロッド孔が設けられている。また、パーキングロッドの一端部は断面が円形であって下方に屈曲しており、ディテントレバーのロッド孔に上方から挿入して係止される。
【0006】
更に、パーキングロッドの一端部には、抜け止めとして径方向に突出した突起が設けられている。ディテントレバーのロッド孔には、パーキングロッドの突起が通過可能な溝部を備えている。パーキングロッドの一端部をディテントレバーのロッド孔に挿入した際には、パーキングロッドの突起をロッド孔の溝部を通過させてからパーキングロッドをディテントレバーに対して回転させて、使用時の回転位置にしたときにパーキングロッドの突起がディテントレバーのロッド孔から抜けない構造にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-104827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような構成のパーキングロック装置において、一般的にディテントレバーやパーキングロッドは部品製造業者において製造される。更に、車両の組立業者においてディテントレバーやパーキングロッドの組立工数を少しでも低減させるために、部品製造業者においてディテントレバーとパーキングロッドを製造して組み合わせ、1つの部品ASSYであるパーキングロックユニットとした状態で車両の組立業者に納入する場合がある。
【0009】
しかしながら、上記のようにディテントレバーのロッド孔にパーキングロッドを挿入して連結する構造では、パーキングロックユニットの輸送時にディテントレバーのロッド孔からパーキングロッドが外れてしまう可能性がある。
【0010】
また、特許文献1のパーキングロック装置では、パーキングロッドに備えられたコーンによってパーキングポールを押し上げた際に、パーキングロッドが上下方向に傾くように反力を受ける。したがって、ディテントレバーとパーキングロッドとの支持部において、ディテントレバーに対してパーキングロッドの回転軸が傾き、ディテントレバーとパーキングロッドとのフリクションによってパーキングロッドが動き難くなり、シフト装置の操作に対する作動応答性が低下したり操作性を損なったりする可能性がある。
【0011】
そこで、ディテントレバーとパーキングロッドとの支持部において、例えば軸心を中心として外輪側の内壁面を凹型の球形状にするとともに内輪側の外壁面を凸型の球形状にした構造のような自動調心機能を有する軸受構造を採用して、ディテントレバーに対するパーキングロッドの回転軸の傾きを許容する構造が考えられる。しかしながら、このような自動調心機能を有する軸受構造にすると、構造が複雑化し部品点数の増加を招くといった問題点がある。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
部品点数の増加を抑えた簡単な構造で、作動時におけるフリクションを低減したパーキングロックユニット及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のパーキングロックユニットは、車両の変速機に備えられ、前記車両の走行輪と連動するパーキングギヤに、シフト装置におけるパーキングレンジへの操作に伴いパーキングポールを回転させて前記パーキングギヤに係止するパーキングロック装置に組み付けられ、前記変速機に回転可能に設置されるとともに、前記シフト装置における前記パーキングレンジへの操作に伴い回転するディテントレバーと、前記ディテントレバーの回転中心から径方向に離間した位置で一端部が回転可能に支持され、前記ディテントレバーの回転に伴い移動するパーキングロッドと、を有し、前記パーキングロッドの他端部に、当該パーキングロッドの移動に伴い前記パーキングポールを押して回転させるカム部が装着されたパーキングロックユニットであって、前記ディテントレバーに前記パーキングロッドの一端部が挿入されるロッド孔が設けられ、前記パーキングロッドの前記一端部に、径方向外方に球形状に突出した球形部が形成され、前記ディテントレバーの前記ロッド孔に嵌合されるとともに、内部に前記球形部が回転可能に嵌合される筒状のブッシュを備え、前記パーキングロッドは、前記球形部において前記ブッシュを介して前記ディテントレバーに支持されることを特徴とする。
【0014】
また、好ましくは、前記球形部と前記ブッシュとの嵌合強度よりも、前記ブッシュと前記ディテントレバーとの嵌合強度が強く設定されているとよい。
【0015】
また、好ましくは、前記ブッシュの強度は、前記ディテントレバーの前記ロッド孔の周縁部、及び前記パーキングロッドの前記球形部よりも低いとよい。
【0016】
また、本発明のパーキングロックユニットの製造方法は、車両の変速機に備えられ、前記車両の走行輪と連動するパーキングギヤに、シフト装置におけるパーキングレンジへの操作に伴いパーキングポールを回転させて前記パーキングギヤに係止するパーキングロック装置に組み付けられ、前記変速機に回転可能に設置されるとともに、前記シフト装置における前記パーキングレンジへの操作に伴い回転するディテントレバーと、前記ディテントレバーの回転中心から径方向に離間した位置で一端部が回転可能に支持され、前記ディテントレバーの回転に伴い移動するパーキングロッドと、を有し、前記パーキングロッドの他端部に、当該パーキングロッドの移動に伴い前記パーキングポールを押して回転させるカム部が装着されたパーキングロックユニットの製造方法であって、前記ディテントレバーに前記パーキングロッドの一端部が挿入されるロッド孔を設け、前記パーキングロッドの前記一端部に径方向外方に球形状に突出した球形部を形成し、筒状のブッシュを前記ディテントレバーの前記ロッド孔に嵌合するとともに、前記ブッシュの内側に前記球形部を回転可能に嵌合して、前記パーキングロッドを前記ブッシュを介して前記ディテントレバーに支持させることを特徴とする。
【0017】
また、好ましくは、前記ブッシュに前記パーキングロッドの前記球形部を挿入し前記ブッシュを押圧して前記球形部と前記ブッシュとを嵌合させた後に、前記ブッシュ及び前記球形部を前記ディテントレバーの前記ロッド孔に挿入し前記ブッシュを押圧して前記ブッシュと前記ディテントレバーとを嵌合して、前記パーキングロッドを前記ディテントレバーに支持させるとよい。
【0018】
また、好ましくは、前記ディテントレバーの前記ロッド孔に前記ブッシュ及び前記パーキングロッドの前記球形部を挿入して前記ブッシュを押圧し、前記ディテントレバーに前記ブッシュと前記球形部を同時に嵌合して、前記パーキングロッドを前記ディテントレバーに支持させるとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パーキングロッドの一端部に球形部が形成され、球形部が回転可能に嵌合されるとともにディテントレバーのロッド孔に嵌合される筒状のブッシュを備えることで、ディテントレバーに対してパーキングロッドが回転可能に支持されるとともに、ディテントレバーに対するパーキングロッドの回転軸を傾けることが可能になる。
【0020】
これにより、シフト装置におけるパーキングレンジへの操作に伴いパーキングポールが移動した際に、ディテントレバーとパーキングロッドとの支持部において、ディテントレバーに対してパーキングロッドの回転軸が傾いたとしても、当該支持部でのフリクションを低減することができる。したがって、パーキングロック装置をモータ等のアクチュエータで作動させる場合には、作動応答性を向上させることができる。また、パーキングロック装置が手動である場合には、シフト装置を滑らかに作動させることができ、操作性を向上させることができる。
【0021】
また、ディテントレバーとパーキングロッドとの支持部を簡単な構造にすることができ、パーキングロックユニットの部品コスト及び製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態のパーキングロックユニットの配置例を示すパーキングロック装置の構造図である。
図2】第1実施形態のパーキングロックユニットの構成を示す後面図である。
図3】第1実施形態のパーキングロックユニットのディテントレバーの上面図である。
図4】第1実施形態のパーキングロックユニットの形態を示す上面図である。
図5】第1実施形態のパーキングロックユニットにおけるディテントレバーとパーキングロッドとの支持部の縦断面図である。
図6】輸送時での第1実施形態のパーキングロックユニットの形態を示す上面図である。
図7】パーキングロックユニットの製造方法を示す作業工程図である。
図8】第2実施形態のパーキングロックユニットにおけるパーキングロッドの側面図である。
図9】第3実施形態のパーキングロックユニットの構成を示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態のパーキングロックユニット10の配置例を示すパーキングロック装置2の構造図である。図2は、第1実施形態のパーキングロックユニット10の構成を示す後面図である。図3は、第1実施形態のパーキングロックユニット10のディテントレバー11の上面図である。図4は、第1実施形態のパーキングロックユニット10の形態を示す上面図である。なお、図4は、変速機1に組み付けた状態でのパーキングロックユニット10の形態を示している。図5は、第1実施形態のパーキングロックユニット10におけるディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部の縦断面図である。なお、図5は、図4中に示すA-A部の断面図である。図6は、輸送時での第1実施形態のパーキングロックユニット10の形態を示す上面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の第1実施形態のパーキングロックユニット10は、車両に備えられたパーキングロック装置2の部品の一部である。パーキングロック装置2は、変速機1の変速用のシフトレバー3等がパーキングポジションに操作されたときに、車両の走行駆動軸を回転不能にロックして、車両の逸走を防止する装置である。なお、パーキングロック装置2は、シフトレバー3以外にもダイヤル式のスイッチでシフトレンジを選択するシフト装置に備えられたものでもよいし、スイッチによりパーキングポジションを選択するものでもよい。
【0026】
変速機1は、例えばCVT(無段変速機)であり、車両の走行輪に連結された駆動軸4が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている。
【0027】
なお、以降の説明では、パーキングロックユニット10を含む変速機1が車両に搭載された状態で、車幅方向を左右方向とし、車両前後方向を前後方向として説明する。
【0028】
パーキングロック装置2は、ディテントレバー11及びパーキングロッド12を有するパーキングロックユニット10と、変速機1内の駆動軸4に備えられたパーキングギヤ5と、パーキングポール6と、を備えて構成されている。
【0029】
パーキングポール6は、一端部にパーキングギヤ5とかみ合う爪部6aを有し、中間部において上下方向に変速機1のケースに揺動可能に支持されている。パーキングポール6の他端部の下方には、パーキングロッド12に設けられた後述するコーン40(カム部)の下面を支持するホルダ部6bが備えられている。ホルダ部6bは、変速機1に固定されている。
【0030】
パーキングポール6は、パーキングポール付勢用スプリング7によって爪部6aがパーキングギヤ5にかみ合わないように遠ざかる方向に付勢されている。パーキングロッド12が左方に移動することで、ホルダ部6bにパーキングロッド12のコーン40が乗り上げて、パーキングポール6の他端部の下面をコーン40が押し上げる。これにより、パーキングポール6は、パーキングポール付勢用スプリング7の付勢力に抗して揺動し、一端部が下方に移動して爪部6aがパーキングギヤ5とかみ合い、パーキングギヤ5の回転を規制して、車両の車輪に連結された駆動軸4を回転不能にロックする。
【0031】
パーキングロックユニット10は、変速機1の前部に配置されている。
【0032】
図1~4に示すように、ディテントレバー11は、シャフト8が挿入されるボス部20と、ボス部20の下部から径方向に外方に延びる板状のディテント部21及びロッド支持部22と、を備えている。ボス部20はシャフト8に固定されている。シャフト8は、変速機1に上下方向に延びる軸線回りを回転可能に設置されている。シャフト8にはスプライン雄歯23が設けられている。スプライン雄歯23には、モータ9の出力軸に形成されたスプライン雌歯が嵌合する。シフトレバー3の操作がセンサで検出され、その検出結果に応じてシャフト8とスプライン結合するモータ9がディテントレバー11を所定角度回転させる構造になっている。なお、ボス部20に代えて、スプライン雄歯23が形成されたシャフト部材(シャフト8に相当)をディテントレバー11に設け、当該シャフト部材を変速機1に回転可能に設置しても良い。
【0033】
ディテントレバー11のディテント部21は、上方から視て略扇形に形成されており、径方向外方端部に凹凸部30が設けられている。この凹凸部30には、図示しないディテントスプリングが付勢されて押し付けられ、ディテントレバー11の回転位置を、シフトレバー3の各シフト位置(変速段)に対応した回転位置で規定する機能を有する。
【0034】
ロッド支持部22は、ディテント部21と一体的に形成されている。ロッド支持部22の先端部には、パーキングロッド12が挿入されるロッド孔31が設けられている。
【0035】
パーキングロッド12は、ロッド支持部22のロッド孔31に挿入可能な丸棒を中間部12cで垂直に屈曲して形成されている。パーキングロッド12の一端部12a(一端近傍)は、ロッド孔31に挿入されてロッド支持部22に支持されている。
【0036】
パーキングロッド12の他端部12b(他端近傍)には、コーン40とスプリング41とが装着されている。
【0037】
コーン40は、中心部にパーキングロッド12が移動可能に挿入された円柱状の部材であり、外周面にテーパー部42が形成されている。テーパー部42は、パーキングロッド12の一端部12a側よりも他端部12b側の外径(径方向寸法)が小さくなるように形成されている。
【0038】
スプリング41は、圧縮コイルばねであり、パーキングロッド12が挿入され、コーン40の一端部12a側の側面に接触して配置されている。コーン40とスプリング41は、パーキングロッド12に軸方向に互いに離間して配置された一対の突起(第1の突起43、第2の突起44)の間に配置されている。第1の突起43及び第2の突起44は、パーキングロッド12の外周面からその少なくとも一部が夫々径方向外方に突出したものである。
【0039】
コーン40は、スプリング41によって他端部12b側に強く付勢されるが、他端部12b側の突起である第2の突起44によってそれ以上の他端部12b側への移動が規制されている。
【0040】
図2、5に示すように、パーキングロックユニット10におけるディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部において、パーキングロッド12の一端部12aには軸心を中心として球形状に拡径した球形部35が形成されている。
【0041】
パーキングロッド12の球形部35は、ブッシュ36を介してディテントレバー11のロッド孔31に支持されている。ブッシュ36は、円筒状の部材であり、ディテントレバー11のロッド孔31に挿入されて固定されている。また、ブッシュ36の内壁36aは、パーキングロッド12の球形部35の外壁面に沿って球形状に凹んで形成されている。したがって、パーキングロッド12は、ディテントレバー11に対して回転可能であるとともに、軸線である回転軸が傾き可能に支持されている。
【0042】
以上のような構成のパーキングロックユニット10を変速機1に組み付けた状態では、シフトレバー3が操作されることで、モータ9の作動によりディテントレバー11がシャフト8の軸心を回転中心として回転する。
【0043】
ディテントレバー11の回転により、詳しくはシフトレバー3がパーキングレンジに操作されたときに、ディテントレバー11のロッド支持部22がシャフト8に対して右方に延びた位置から左方側に回転することで、ロッド支持部22の先端部に支持されたパーキングロッド12が左方に移動する。これにより、パーキングロッド12の他端部12bに備えられたコーン40のテーパー部42が、ホルダ部6bに乗り上げてパーキングポール6の他端部の下面に当接し、パーキングポール6の他端部を押し上げる。これにより、パーキングポール6の一端部が下方に移動して、爪部6aがパーキングギヤ5とかみ合い、駆動軸4の回転を規制する。
【0044】
なお、シフトレバー3がパーキングレンジに操作されて、パーキングロッド12が左方に移動しようとしたときに、パーキングポール6の爪部6aが、ちょうどパーキングギヤ5とかみ合わない位置であった場合、パーキングポール6が回転できない状態となる。この状態のとき、コーン40がスプリング41によってパーキングポール6の側面に押し付けられた状態で待機する。車両が少し動いてパーキングギヤ5が回転すると、スプリング41によってコーン40がホルダ部6bに乗り上げて、パーキングポール6の他端部を押し上げることで、パーキングポール6の爪部6aがパーキングギヤ5にかみ合う。
【0045】
図4に示すように、パーキングロックユニット10が変速機1に組み付けられた状態、即ち変速機1の使用時では、ディテントレバー11のロッド支持部22が略右方に向かうように回転位置が設定されている。これに対し、パーキングロッド12は、他端部12b側が左方に延びるように配置されている。
【0046】
図6に示すように、パーキングロックユニット10の輸送時では、パーキングロッド12の他端部12bがディテントレバー11の凹凸部30側に向かって延びるように、ディテントレバー11に対するパーキングロッド12の回転位置とする。このように、ディテントレバー11の長手方向に近い方向にパーキングロッド12が回転した状態に位置することで、ディテントレバー11及びパーキングロッド12を含むパーキングロックユニット10全体を小さくし、輸送性を向上させることができる。
【0047】
ここで、図7を用いてパーキングロックユニット10の製造方法について説明する。図7は、パーキングロックユニット10の製造工程を示す説明図であり、(A)は第1の製造方法、(B)は、第2の製造方法を示す。なお、図7における略図は、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部における断面を示している。
【0048】
パーキングロックユニット10に関しては、例えばパーキングロックユニット10の各部品を製造する部品製造業者、パーキングロックユニット10を組み立てるユニット製造業者、パーキングロックユニット10を変速機1に組み付ける組立業者があるものとする。
【0049】
図7に示すように、第1実施形態のパーキングロックユニット10を製作する場合、始めに部品製造業者において、パーキングロックユニット10の部品として、ディテントレバー11、パーキングロッド12、コーン40、スプリング41及びブッシュ36を用意する。なお、部品製造業者においては、丸棒状態のパーキングロッド12を製造し、球形部35、第1の突起43及び第2の突起44は形成しない。また、ブッシュ36は、円筒状の割ブッシュであり、内径がパーキングロッド12の球形部35を挿入可能な寸法に設定されているとともに、ディテントレバー11のロッド孔31の長さ、即ちロッド支持部22の厚さよりわずかに長い。また、ブッシュ36の強度は、ディテントレバー11のロッド孔31の周縁部の強度及びパーキングロッド12の球形部35の強度よりも低く設定されている。
【0050】
次に、ユニット製造業者において、プレス等により、丸棒状態のパーキングロッド12を中間部12cで略垂直に屈曲するとともに、一端部12aに球形部35を形成する(ヘッダー形成)。
【0051】
次に、図7の(A)に示すように、ブッシュ36にパーキングロッド12の球形部35を挿入し、外部から軸線に向けてプレス等により押圧して、ブッシュ36をパーキングロッド12の球形部35の外壁面に沿うように変形させ、球形部35を覆うようにブッシュ36を組み付ける。このとき、パーキングロッド12がブッシュ36の内部で回転可能な程度に嵌合させる(ブッシュ組み付け)。
【0052】
次に、ブッシュ36を組み付けたパーキングロッド12の一端部12aをディテントレバー11のロッド孔31に挿入する。そして、プレス等によりブッシュ36の両端部を挟むように押圧して、ブッシュ36の両端部をロッド孔31の縁部から径方向外方に鍔状に突出するように変形させる(ディテントレバー組み付け)。これにより、ブッシュ36及びパーキングロッド12の球形部35がディテントレバー11のロッド孔31内に位置した状態で、ディテントレバー11とブッシュ36とが嵌合される。なお、ディテントレバー11とブッシュ36の嵌合強度は、パーキングロッド12の球形部35とブッシュ36との嵌合強度よりも強く設定されている。これにより、ディテントレバー11に対してパーキングロッド12がロッド孔31の軸線回りを回転可能に支持される。また、ブッシュ36の内壁36aがパーキングロッド12の球形部35の外壁面に沿うように形成されるので、ディテントレバー11に対してパーキングロッド12が抜けず、かつ回転軸(軸線)を傾けることが可能となる。
【0053】
次に、他端部12b側からパーキングロッド12にスプリング41及びコーン40の順番に挿入し、スプリング41及びコーン40を挟んだ2箇所でプレス等によりパーキングロッド12を押圧して第1の突起43及び第2の突起44を形成する。
【0054】
これにより、ユニット製造業者において、パーキングロックユニット10が完成される。パーキングロックユニット10は、完成後においてもディテントレバー11に対してパーキングロッド12が回転可能であるが、ディテントレバー11とパーキングロッド12とは離脱しない構造になる。パーキングロックユニット10は、完成した状態で組立業者に輸送される。そして、組立業者において、変速機1にパーキングロックユニット10が組み付けられる。
【0055】
本実施形態のパーキングロックユニット10を図7(A)に示す製造方法で組み立てると、組立業者においてディテントレバー11に対してパーキングロッド12を組み付ける工数を省略することができ、組立業者における部品点数の削減できるとともに、製造コストを大幅に低減させることができる。
【0056】
以上のように、本発明の第1実施形態のパーキングロックユニット10は、車両のパーキングロック装置2に使用されるユニットであって、シフトレバー3の操作に伴い回転するディテントレバー11と、ディテントレバー11の回転に伴い径方向に移動するパーキングロッド12と、パーキングロッド12の他端部12bに支持されたコーン40と、が備えられている。そして、ディテントレバー11に設けられたロッド孔31に円柱状のパーキングロッド12が挿入されて、ディテントレバー11とパーキングロッド12とが回転可能に係止されている。
【0057】
本実施形態では、パーキングロッド12の一端部12aに球形部35が形成されており、パーキングロッド12は球形部35においてブッシュ36を介してディテントレバー11に支持される構造になっている。これにより、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部において、ディテントレバー11に対するパーキングロッド12の回転軸を傾けることができる。
【0058】
シフトレバー3のパーキングレンジへの操作によってパーキングポール6を左方へ移動させると、コーン40がホルダ部6bに乗り上げることで、パーキングロッド12のコーン40側の端部(他端部12b)側が上方にわずかに移動する。これによりパーキングロッド12が上下方向に傾くが、上記のようにディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部においてパーキングロッド12の回転軸を傾けることができる構造であるので、当該支持部でのフリクションを低減してパーキングロッド12を滑らかに移動させることができる。
【0059】
したがって、パーキングレンジへの操作に対して、パーキングロッド12及びパーキングポール6をスムーズに動かすことができ、パーキングロック装置2の作動応答性を向上させることができる。
【0060】
また、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部において回転軸の傾きが許容されることで、パーキングロッド12の上下方向の傾きを抑えるべくパーキングロッドを長くする必要がない。これにより、パーキングロッド12を短くして、左右長さが短い変速機に採用することができる。
【0061】
また、ディテントレバー11のロッド孔31に嵌合されるとともに、内側に球形部35が回転可能に嵌合される筒状のブッシュ36を備えることで、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部を簡単な構造にすることができ、パーキングロックユニット10の部品コスト及び製造コストを抑制することができる。
【0062】
また、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部において、球形部35とブッシュ36との嵌合強度よりも、ブッシュ36とディテントレバー11との嵌合強度が強く設定されている。これにより、ブッシュ36とディテントレバー11とを固定する一方、球形部35とブッシュ36との間で摺動可能となる。
【0063】
また、ブッシュ36の強度は、ディテントレバー11のロッド孔31の周縁部の強度及びパーキングロッド12の球形部35の強度よりも低いので、プレス等によりブッシュ36のみ容易に変形させることができる。
【0064】
したがって、図7(A)に示すように、パーキングロックユニット10を製造する際に、ディテントレバー11の球形部35にブッシュ36を組み付けるブッシュ組み付け工程では、円筒状のブッシュ36に球形部35を挿入して、ブッシュ36の外部から球形部35の軸心に向かって押圧することで、ブッシュ36の内壁36aを球形部35の外壁に沿うように容易に形成することができる。これにより、パーキングロックユニット10の製造コストを低減させることができる。
【0065】
また、ディテントレバー11の球形部35及びブッシュ36をディテントレバー11に組み付けるディテントレバー組み付け工程では、ディテントレバー11と球形部35及びブッシュ36との位置合わせをして、ブッシュ36の両端部を挟んで軸方向に潰すように押圧することで、ブッシュ36の両端部を径方向外方に広げてロッド孔31の縁部を挟む鍔部を形成させることができる。これにより、ディテントレバー11と球形部35及びブッシュ36とを容易に固定させることができる。
【0066】
以上のように、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部において、円筒状のブッシュ36をプレス等により押圧して変形させることで、ディテントレバー11とパーキングロッド12とを回転可能かつ回転軸を傾け可能に支持させる構造を容易に実現させることができる。
【0067】
あるいは、図7(B)に示すように、ディテントレバー11に対してパーキングロッド12を組み付ける際に、パーキングロッド12とブッシュ36とディテントレバー11とを同時に組み付けてもよい。ディテントレバー11のロッド孔31にブッシュ36を挿入し、パーキングロッド12の球形部35を挿入して軸方向の位置を合わせた状態で、プレス等によりブッシュ36の両端部を挟むように押圧する(ブッシュ、ディテントレバー組み付け)。これにより、ディテントレバー11にブッシュ36とパーキングロッド12の球形部35とを同時に嵌合して、パーキングロッド12がディテントレバー11に支持される。
【0068】
したがって、図7(B)に示す第2の製造方法では、(A)の第1の製造方法よりも、プレスの回数を低減させることができ、工程を削減し、製造コストを更に低減させることができる。
【0069】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の第1実施形態のパーキングロックユニット10では、パーキングロッド12の他端部12b側に第2の突起44を設けることで、コーン40の他端部12b方向への移動を規制しているが、図8に示すように、この第2の突起44の代わりにストッパ55をパーキングロッド12の他端部12bに固定した構造にしてもよい。
【0070】
この第2実施形態のパーキングロックユニット10では、ストッパ55は中心部にパーキングロッド12が挿入される円柱形状であって、外径がコーン40の他端部側の外形よりも小径に形成されている。
【0071】
第2実施形態では、ユニット製造業者において、パーキングロッド12にコーン40を挿入した後に、パーキングロッド12の他端部12bにストッパ55を挿入し、パーキングロッド12の他端部12bとストッパ55の側面とを例えば溶接によって固定する。これにより、ストッパ55によってコーン40の他端部12b側への移動が規制される。
【0072】
このような構成では、上記の第1実施形態に対してストッパ55が追加され、パーキングロッド12とストッパ55との溶接が必要となるので、上記実施形態よりもユニット製造業者において工数及びコストが増加する可能性がある。しかしながら、上記第1実施形態と同様に、パーキングロッド12をディテントレバー11に係止したパーキングロックユニット10を組立業者に納入することができ、組立業者において製造コストの削減を図ることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、モータ9によってディテントレバー11を作動させる、所謂シフトバイワイヤー方式の変速機1に本発明を適用しているが、ケーブルによってディテントレバー11を作動させる手動の変速機にも本発明を適用できる。
【0074】
例えば、図9に示すように、第3実施形態のパーキングロックユニット10では、ディテントレバー11のボス部20はシャフト8に固定され、シャフト8が変速機に対して回転可能に設置される。シャフト8には、ボス部20の上部に隣接して、ケーブル係止部材24が固定されている。ケーブル係止部材24には、シャフト8の径方向外方に延びるアーム部25が設けられ、アーム部25の先端部にシフト装置のシフトレバー3から延びるケーブル26が係止されている。したがって、シフトレバー3の操作により、ケーブル26、ケーブル係止部材24を介して、ディテントレバー11が所定角度内で回転する構造になっている。なお、ボス部20に代えて、シャフト8に相当するシャフト部材をディテントレバー11に設け、当該シャフト部材にケーブル係止部材24を固定するとともに、シャフト部材を変速機に回転可能に設置しても良い。
【0075】
このように、本発明のパーキングロックユニット10を手動の変速機に採用すると、ディテントレバー11とパーキングロッド12との支持部におけるフリクション低下により、シフトレバー3をスムーズに操作でき、操作性を向上させることができる。
【0076】
なお、上記の各実施形態において、各種部品の詳細な構造については適宜変更することができる。また、ディテントレバー11のロッド支持部22に対してパーキングロッド12が上方に位置するように、即ちロッド支持部22に対するパーキングロッド12の挿入方向が上記実施形態とは逆方向の構成でもよい。
【0077】
また、変速機1に対するパーキングロックユニット10の設置箇所や設置方向等も変更してもよい。本発明は、CVTの他、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)、AT(自動変速機)にも適用できる。また、EV(電気自動車)の減速機のパーキングロック装置にも適用できる。本発明は、車両のパーキングロック装置に使用されるパーキングロックユニットに対して広く適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 変速機
2 パーキングロック装置
3 シフトレバー(シフト装置)
5 パーキングギヤ
6 パーキングポール
10 パーキングロックユニット
11 ディテントレバー
12 パーキングロッド
31 ロッド孔
35 球形部
36 ブッシュ
40 コーン(カム部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9