(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045037
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】車両用フック装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/10 20060101AFI20230327BHJP
F16B 1/02 20060101ALI20230327BHJP
B60R 7/08 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B60R7/10
F16B1/02 Q
B60R7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153214
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米山 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 新
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CD02
3D022CD05
3D022CD06
(57)【要約】
【課題】フック部材に掛かる負荷を受け止める所定部品の損傷を防止することが可能な車両用フック装置を提供する。
【解決手段】車両用フック装置は、所定部品の側に倒されて格納される格納位置と所定部品の側から引き起こされて使用される使用位置との間で変位可能に設けられるフック部材を備え、フック部材は、使用位置からさらに引き起こされる方向に第1の負荷が掛かる場合に所定部品に係止する係止部と、使用位置で第1の負荷を超える第2の負荷が掛かる場合、所定部品に対する係止部の係止を外すように変形する脆弱部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定部品の側に倒されて格納される格納位置と前記所定部品の側から引き起こされて使用される使用位置との間で変位可能に設けられるフック部材を備え、
前記フック部材は、
前記使用位置からさらに引き起こされる方向に第1の負荷が掛かる場合に前記所定部品に係止する係止部と、
前記使用位置で前記第1の負荷を超える第2の負荷が掛かる場合、前記所定部品に対する前記係止部の係止を外すように変形する脆弱部と、
を備える車両用フック装置。
【請求項2】
前記脆弱部は、前記脆弱部の周辺部の肉厚よりも薄肉に形成される、
請求項1に記載の車両用フック装置。
【請求項3】
前記フック部材は、前記格納位置からさらに倒される方向に第3の負荷が掛かる場合、前記フック部材の前記所定部品からの脱落を防止するように前記所定部品に当接する脱落防止部を有する、
請求項1または2に記載の車両用フック装置。
【請求項4】
前記脆弱部は、前記フック部材に対して前記第3の負荷が掛かる場合、変形しないように前記所定部品に保持される、
請求項3に記載の車両用フック装置。
【請求項5】
前記脆弱部および前記脱落防止部のそれぞれは、同一部材に形成される、
請求項3または4に記載の車両用フック装置。
【請求項6】
前記係止部と前記脱落防止部とは、同一部材の互いに反対側に形成される、
請求項3または4に記載の車両用フック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物を引っ掛けるときに回転して張り出し、不使用時に収納されるフック部材を有する車両用フック装置がある。車両用フック装置は、例えば買い物袋等を引っ掛けてぶら下げるために使用される。
【0003】
例えば、特許文献1に示す車両用フック装置は、ケースと、フック部材と、シャフト(回転軸)とを備えている。ケースは、取付ブラケットを介して車体に締結されている。車体にはベゼルが配置されている。シャフトにより、ベゼル、フック部材およびケースが一体化されている。
【0004】
特許文献2に示す車両用フック装置は、ケースと、フック部材とを備え、フック部材は軸部を有している。ケースは軸部を保持する軸保持部を有している。ケースは、車体に締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-166544号公報
【特許文献2】特開2013-107566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の発明では、フック部材に過負荷が掛かると、フック部材に掛かる負荷を受け止める取付ブラケットが変形して元の形状に戻らない場合があるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の発明では、フック部材に過負荷が掛かると、フック部材に掛かる負荷を受け止める軸部や、軸保持部に損傷が生じる場合があるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、フック部材に掛かる負荷を受け止める所定部品の損傷を防止することが可能な車両用フック装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明における車両用フック装置は、
所定部品の側に倒されて格納される格納位置と前記所定部品の側から引き起こされて使用される使用位置との間で変位可能に設けられるフック部材を備え、
前記フック部材は、
前記使用位置からさらに引き起こされる方向に第1の負荷が掛かる場合に前記所定部品に係止する係止部と、
前記使用位置で前記第1の負荷を超える第2の負荷が掛かる場合、前記所定部品に対する前記係止部の係止を外すように変形する脆弱部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フック部材に掛かる負荷を受け止める所定部品の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用フック装置を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、フック部材が使用位置に位置するときの車両用フック装置を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、フック部材に掛かる負荷の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用フック装置を模式的に示す図である。
図1には、X軸、Y軸およびZ軸が描かれている。
図1において、左右方向を前後方向又はX方向といい、左方向を前方向、前側又は「+X方向」、右方向を後方向、後側又は「-X方向」という。また、上下方向を車高方向、車室内外方向又はY方向といい、上方向を車室内側又は「+Y方向」、下方向を車室外側又は「-Y方向」という。また、奥行き方向を車幅方向又はZ方向という。また、
図1においてフック部材20(後述する)を引き起こす方向を、時計回りの方向又は「起立方向」といい、「CW1」で表す。また、フック部材20を倒す方向を、反時計回りの方向又は「倒伏方向」といい、「CW2」で表す。
【0013】
図1には、車室の内装材を構成するパネル部材1が示されている。本実施の形態に係る車両用フック装置10は、パネル部材1に装着される。
【0014】
パネル部材1は、車室内側(+Y方向)に面する表面1aと、表面1aから車室外側(-Y方向)へ凹入するように形成された凹形状の格納部1bと、開口部1cとを有する。開口部1cは、格納部1bの中央部に開設され、車室内側と車室外側とを連通している。開口部1cの前側縁1dは、車室外側へ延ばされる前側壁1fを有している。また、開口部1cの後側縁1eは、車室外側へ延ばされる後側壁1gを有する。
【0015】
パネル部材1は、円柱状のシャフト2を有している。シャフト2は、車幅方向(Z方向)に延在している。
【0016】
本実施の形態に係る車両用フック装置10は、前述したフック部材20を備える。フック部材20は、車室内側(+Y方向)に配置される車室内側フック20Aと、車室外側(-Y方向)に配置される車室外側フック20Bとを有する。
【0017】
図2は
図1のII矢視図である。
図2に示すように、フック部材20は格納部1bに格納されている。車室内側フック20Aおよび車室外側フック20Bは、互いに組み合わされている。車室内側フック20Aは、車幅方向(Z方向)両側に配置され、かつ、前後方向(X方向)に延在する一対のフランジ31を有している。車室外側フック20Bは、一対のフランジ31間に嵌め込まれている。格納部1bは、車幅方向(Z方向)の両側に配置され、かつ、前後方向に延在する両側壁1jを有している。
図2に破線で示すシャフト2は、両側壁1jのそれぞれから一対のフランジ31に向かって突設されている。
【0018】
図1および
図2に示すように、車室内側フック20Aは嵌合部32を有している。嵌合部32は、フランジ31に形成されており、シャフト2の回りに回転可能に嵌合している。嵌合部32は一対の挟持片32aを有している。一対の挟持片32aのそれぞれは弾性を有し、シャフト2を間にして対向配置され、シャフト2を挟持している。フック部材20をパネル部材1に組み付ける場合、一対の挟持片32aをシャフト2の軸に対して直交する方向からシャフト2側へ所定の力で押し込む。その結果、一対の挟持片32a間の間隔がシャフト2の径以上に広がり、その後一対の挟持片32aが閉じることでシャフト2を挟持し、嵌合部32がシャフト2に嵌合する。これにより、フック部材20を容易にパネル部材1に組み付けることが可能となる。反対に、一対の挟持片32aの弾性力に抗して、一対の挟持片32a間の間隔をシャフト2の径以上に広げるような力(抜き力)が嵌合部32に掛かる場合、嵌合部32はシャフト2から外れる。これにより、フック部材20はパネル部材1から外れる。
【0019】
図3は、フック部材20が使用位置に位置するときの車両用フック装置10を模式的に示す図である。
図3では、格納位置に位置するフック部材20を破線で示し、また、使用位置に位置するフック部材20を実線で示している。フック部材20は、シャフト2により格納位置(
図1に示す位置)と使用位置(
図3に示す位置)との間で変位可能に支持されている。格納位置においては、フック部材20はパネル部材1の側である反時計回りの方向CW2へ倒され、格納部1bに格納される。また、フック部材20は、格納部1bの側から時計回りの方向CW1に引き起こされ、使用位置に変位する。使用位置では、フック部材20に物を引っ掛けることが可能となる。その際、フック部材20に掛かる負荷は、フック部材20を時計回りの方向CW1(起立方向)に回転させる力となる。
【0020】
車室外側フック20Bは、脚部22を有する。脚部22は、車室内側(+Y方向)から開口部1cを通り、車室外側(-Y方向)に延在している。以下、脚部22の説明において、車室内側を「基端側」、車室外側を「先端側」という場合がある。
【0021】
脚部22の前側縁22aには爪部24が配置されている。爪部24が本発明の「係止部」に対応する。爪部24は、前方向(+X方向)に突出する凸部である。爪部24は、使用位置に位置するフック部材20に負荷が掛かる場合、フック部材20が使用位置から引き起こされないように、開口部1cの前側縁1dに係止する。前側縁1dには、爪部24の先端のV字断面形状と同じ断面形状を有する溝が形成されている。爪部24が前側縁1dに係止することにより、フック部材20を時計回りの方向CW1(起立方向)に回転させることが阻止されるため、フック部材20に許容負荷を掛けることが可能となる。許容負荷が本発明の「第1の負荷」に対応する。
【0022】
ところで、フック部材20に許容負荷を超える負荷が掛かることによって、爪部24や、前側縁1dに過大な荷重が掛かる場合、爪部24や、前側縁1d等が損傷するおそれがある。その結果、パネル部材1の損傷を防止することが可能となる。
【0023】
そこで、本実施の形態において、車室外側フック20Bには、脆弱部26が設けられている。脆弱部26は、フック部材20に過負荷(本発明の「第2の負荷」に対応する)が掛かる場合、前側縁1dに対する爪部24の係止を外すように変形する。具体的には、脆弱部26は、脚部22において爪部24が配置されている位置よりも車室内側(基端側)に配置されている。脚部22の後側縁22bに脆弱部26が凹設されることで、脆弱部26は脆弱部26の周辺部の肉厚よりも薄肉になっている。換言すれば、脚部22における脆弱部26の基端側および先端側のそれぞれは、脆弱部26よりも厚肉である。
【0024】
ところで、フック部材20が
図1に示す格納位置に位置している場合、例えば、
図1においてフック部材20の後端部を上方向に持ち上げるような誤操作によって、フック部材20に格納位置から反時計回りの方向CW2(倒伏方向)の荷重(本発明の「第3の負荷」に対応する)が掛かることがある。このとき、フック部材20の反時計回りの方向CW2の変位を阻止するものがない場合、一対の挟持片32a間からシャフト2が抜けて、フック部材20がパネル部材1から脱落するおそれがある。
【0025】
そこで、本実施の形態において、車室外側フック20Bには、当接部28が設けられている。当接部28が本発明の「脱落防止部」に対応する。当接部28は、フック部材20が格納位置から反時計回りの方向CW2(倒伏方向)に荷重が掛かる場合、フック部材20の反時計回りの方向CW2の変位を阻止するように、開口部1cの後側壁1gの先端部に当接する。当接部28は、脚部22の後側縁22bに配置され、後側縁22bから後方向(-X方向)に突出する突出部である。当接部28が後側壁1gの先端部に当接することにより、パネル部材1に対するフック部材20の脱落を防止することが可能となる。
【0026】
当接部28および脆弱部26のそれぞれは同一部材(例えば、脚部22)に形成されている。具体的には、当接部28は、脚部22において脆弱部26が配置されている位置よりも車室外側(先端側)に配置されている。換言すれば、脆弱部26は、当接部28よりも車室内側(基端側)に配置されている。フック部材20の回転方向における可動範囲は、爪部24が前側縁1dに当接する位置から後側縁22bが後側壁1gに当接する位置までの範囲である。そのため、開口部1cを通る部材の数が多くなると、それに応じて可動範囲が狭くなる。本実施の形態では、当接部28および脆弱部26のそれぞれが同一部材である脚部22に形成されているため、それぞれを別部材に形成される場合と比較して、フック部材20の可動範囲を広くすることができる。
【0027】
また、
図1に示すように、脆弱部26が当接部28よりも車室内側(基端側)に配置されているため、格納位置に位置するフック部材に対して倒伏方向の荷重が掛かった場合、脆弱部26が変形し、当接部28が開口部1cの後側壁1gの先端部から外れるおそれがある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、格納位置に位置するフック部材に対して倒伏方向の荷重が掛かった場合、脆弱部26が変形しないように保持する保持部3が配置されている。保持部3は、具体的には、開口部1cの後側壁1gである。保持部3である後側壁1gは、脆弱部26によりも厚肉である、脚部22における脆弱部26の基端側および先端側のそれぞれと当接し、これを支えることで脆弱部26を保持する。これにより、脆弱部26の変形を防止することが可能となる。ひいては、開口部1cの後側壁1gの先端部に対する当接部28の当接が外れることを防止することが可能となる。
【0029】
次に、フック部材20に掛かる負荷の作用について
図4を参照して説明する。
図4に示すように、使用位置に位置するフック部材20に掛かる負荷によって、フック部材20を起立方向に回転させる時計回りの方向CW1のトルクT1が生じる。また、フック部材20に掛かる負荷に対して、開口部1cの前側縁1dに係止する爪部24に反力R1が生じ、また、格納部1bの後端部1hに当接する部位に反力R2が生じる。負荷により生じる時計回りの方向CW1のトルクT1と、反力R1,R2による反時計回りの方向CW2のトルクT2とが釣り合う。これにより、フック部材20は使用位置に保持される。このとき、一対の挟持片32a間の間隔をシャフト2の径以上に広げるような負荷はフック部材20に掛かっていない。
【0030】
一方、フック部材20に過負荷が掛かり、脆弱部26が変形することにより、前側縁1dに対する爪部24の係止が外れた場合、フック部材20に対して、格納部1bの後端部1hを支点として時計回りの方向CW1のトルクが生じる。これにより、一対の挟持片32a間の間隔をシャフト2の径以上に広げるような力が嵌合部32に掛かる。その結果、嵌合部32がシャフト2から外れるため、フック部材20自体がパネル部材1から外れることになり、例えば、シャフト2の変形や、損傷を防止することが可能となる。
【0031】
本実施の形態に係る車両用フック装置10は、パネル部材1の側に倒されて格納される格納位置とパネル部材1の側から引き起こされて使用される使用位置との間で変位可能に設けられるフック部材20を備え、フック部材20は、使用位置からさらに引き起こされる方向に第1の負荷が掛かる場合にパネル部材1に係止する爪部24と、使用位置で第1の負荷を超える第2の負荷が掛かる場合、パネル部材1に対する爪部24の係止を外すように変形する脆弱部26とを備える。
【0032】
上記の構成によれば、フック部材20に過負荷が掛かった場合に、前側縁1dに過大な負荷が掛からないため、例えば、爪部24や、パネル部材1の損傷を防止することが可能となる。
【0033】
また、本実施の形態に係る車両用フック装置10では、脆弱部26は、脆弱部26の周辺部の肉厚よりも薄肉である。これにより、簡単な構成で、脆弱部26を形成することが可能となる。
【0034】
また、本実施の形態に係る車両用フック装置10では、フック部材20は、格納位置から倒伏方向の荷重が入力される場合、フック部材20のパネル部材1からの脱落を防止するように、パネル部材1の開口部1cの後側壁1gの先端部に当接する当接部28を有する。これにより、フック部材20の倒伏方向への変位を阻止することができるため、誤操作を防止することが可能となる。
【0035】
また、本実施の形態に係る車両用フック装置10では、脆弱部26は、格納位置に位置するフック部材20に対して倒伏方向の荷重が入力された場合、変形しないように、後側壁1gに保持される。これにより、フック部材20が格納位置から倒伏方向の荷重が入力される場合、脆弱部26が変形しないように保持されるため、後側壁1gの先端部に当接する当接部28の状態を維持することが可能となる。ひいては、フック部材20の倒伏方向の変位を阻止することができるため、誤操作を防止することが可能となる。
【0036】
また、本実施の形態に係る車両用フック装置10では、脆弱部26および当接部28のそれぞれは、同一部材である脚部22に形成される。これにより、脆弱部26および当接部28のそれぞれを別部材に形成される場合と比較して、フック部材20の可動範囲を広くすることができる。
また、フック部材20が嵌合部32を有し、嵌合部32が一対の挟持片32aを有している。フック部材20をパネル部材1に組み付ける場合、一対の挟持片32aをシャフト2の軸に対して直交する方向から所定の力でシャフト2側へ押し込むことにより、嵌合部32をシャフト2に嵌合させることができる。上記の構成により、車両用フック装置10の組み付け作業性を上げることが可能となる。また、過負荷が掛かることにより、フック部材20がシャフト2から外れた場合でも、フック部材20をパネル部材1に容易に組み付けることが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態に係る車両用フック装置10では、爪部24と当接部28とが互いに反対側に設けられている。これにより、フック部材20の動きに合わせて、フック部材20の使用位置における固定、および、格納位置におけるフック部材20の脱落防止を効果的に行うことができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、爪部24が係止する対象として、パネル部材1の開口部1cの前側縁1dを示したが、本発明はこれに限らず、フック部材20に掛かる負荷を受け止める部品であればよい。
【0039】
また、本実施の形態においては、車室内側フック20Aおよび車室外側フック20Bの複数部品から構成されるフック部材20を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、フック部材20は単一部品でもよい。
【0040】
また、本実施の形態においては、パネル部材1がシャフト2を有し、そのシャフト2の回りにフック部材20が回転可能に支持されるもの示したが、本発明はこれに限らず、例えば、パネル部材1にケースが取り付けられ、ケースがシャフト2を有し、そのシャフト2の回りにフック部材20が回転可能に支持されるものでもよい。
【0041】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、フック部材に掛かる負荷を受け止める所定部品の損傷を防止することが要求される車両用フック装置を備えた車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0043】
1 パネル部材
1a 表面
1b 格納部
1c 開口部
1d 前側縁
1e 後側縁
1f 前側壁
1g 後側壁
1h 後端部
1j 両側壁
2 シャフト
3 保持部
10 車両用フック装置
20 フック部材
20A 車室内側フック
20B 車室外側フック
22 脚部
22a 前側縁
22b 後側縁
24 爪部(係止部)
26 脆弱部
28 当接部(脱落防止部)
31 フランジ
32 嵌合部