(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004504
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】肩筋肉トレーニング具
(51)【国際特許分類】
A63B 23/12 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A63B23/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106209
(22)【出願日】2021-06-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】521282790
【氏名又は名称】戸坂 正幸
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】戸坂正幸
(57)【要約】
【課題】肩に効率よく負荷を掛けて効率よく肩の筋肉を鍛えることができる肩筋肉トレーニング具を提供する。
【解決手段】片手H1で握ることができるグリップ部10と、片手H1と同じ側の肘Eを含む腕Aの上に載せることができる錘部20と、グリップ部10と錘部20とを連結して錘部20が腕Aから落ちるのを防止する連結部30とを備えている。連結部30は、連結部30の長さを調整可能とする長さ調整機構を備えており、グリップ部10は連結部30に対して回動可能に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手(H1)で握ることができるグリップ部(10)と、
前記片手(H1)と同じ側の肘(E)を含む腕(A)の上に載せることができる錘部(20)と、
前記グリップ部(10)と錘部(20)とを連結して錘部(20)が腕(A)から落ちるのを防止する連結部(30)と、
を備えていることを特徴とする肩筋肉トレーニング具。
【請求項2】
請求項1において、
前記錘部(20)には、錘部(20)を前記片手(H1)と反対側の手(H2)で持ち上げるための指掛け部または握り部(21)が設けられていることを特徴とする肩筋肉トレーニング具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記連結部(30)は、該連結部(30)の長さ(L)を調整可能とする長さ調整機構(31)を備えていることを特徴とする肩筋肉トレーニング具。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項において、
前記グリップ部(10)は前記連結部(30)に対して回動可能に設けられていることを特徴とする肩筋肉トレーニング具。
【請求項5】
請求項4において、
前記グリップ部(10)と連結部(30)との間の挟角(θ)を規制する規制部(10t、30t)を備えていることを特徴とする肩筋肉トレーニング具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩筋肉トレーニング具に関するものである。より詳しくは、肩の筋肉を効率よく鍛えることができるようにした肩筋肉トレーニング具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、
「高齢者でも簡単に操作ができ、手の握力や三角筋などの筋力を楽しみながら鍛えることができるトレーニング器具を提供する」ことを課題とし、
「棒状体で中空形状の柄(2)と、使用者が把持し、弾性変形可能に形成された把持部(5)と、柄(2)と把持部(5)とを連結する連結部(6)とを備える。連結部(6)は、柄(2)の内部に配置され、把持部(5)を柄(2)に近接する方向に付勢して構成されている」トレーニング器具(1)が知られている(同文献要約欄)。
【0003】
このトレーニング器具(1)によれば、「使用者が、柄2の第1部材3と第2部材4とを手で把持して、所定の力を込めて折り曲げることで、手の握力、及び腕や肩の筋力を鍛えることができる」(同文献0016段落)。
【0004】
しかし、このトレーニング器具(1)は、「柄2の第1部材3と第2部材4とを手で把持して、所定の力を込めて折り曲げることで、手の握力、及び腕や肩の筋力を鍛える」ものであるため、肩の筋力に関しては必ずしも効率的に鍛えることはできない。トレーニング器具(1)を使用する際、前腕や僧帽筋など周りの筋肉を必然的に動員してしまうため肩に十分な負荷が掛かりにくくなるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、肩に効率よく負荷を掛けて効率よく肩の筋肉を鍛えることができる肩筋肉トレーニング具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の肩筋肉トレーニング具は、
片手で握ることができるグリップ部と、
前記片手と同じ側の肘を含む腕の上に載せることができる錘部と、
前記グリップ部と錘部とを連結して錘部が腕から落ちるのを防止する連結部と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
この肩筋肉トレーニング具は、上記の構成となっているので、次のように使用することができ、それによって以下のような作用効果が得られる。
使用者は、片手でグリップ部を握るとともに、片手と同じ側の肘を含む腕の上に錘部を載せ、肘を上げ下ろしするようにして腕を上下に揺動させる。
この動作によって、錘部が使用者の肩に効率よく負荷を掛け、これによって効率よく肩の筋肉が鍛えられる。
肘を上げ下ろしするようにして腕を上下に揺動させる際、グリップ部と錘部とを連結している連結部が、腕から錘部が落ちるのを防止するので、肘を上げ下ろしする動作は良好に行うことができる。
【0009】
この肩筋肉トレーニング具においては、
前記錘部には、錘部を前記片手と反対側の手で持ち上げるための指掛け部または握り部が設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、錘部を肘を含む腕の上に載せる際、前記片手と反対側の手で指掛け部または握り部を利用して、錘部を持ち上げて容易に腕の上に載せることができる。
【0010】
この肩筋肉トレーニング具においては、
前記連結部は、該連結部の長さを調整可能とする長さ調整機構を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、使用者の腕の長さに合わせて連結部の長さを調整できるので、腕の長さの異なる使用者に対応することが可能となる。
【0011】
この肩筋肉トレーニング具においては、
前記グリップ部は前記連結部に対して回動可能に設けられている構成とすることができる。
このように構成すると、グリップ部を握って錘部を載せた腕部を上下に揺動させる際、グリップ部と連結部とが相対的に回動可能であるので、腕部を円滑に上下に揺動させることができる。
また、一つの肩筋肉トレーニング具を、左右どちらの腕についても使用可能とすることができる。
【0012】
この肩筋肉トレーニング具においては、
前記グリップ部と連結部との間の挟角を規制する規制部を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、グリップ部を握っている手が、連結部との間に挟まれないようにすることができる。
【0013】
なお、本願において、腕とは、肩と手首との間の部分をいい、肘を含む部分をいう。なお、肘から上半分を上腕、下半分を前腕といい、本願でいう腕には上腕、前腕いずれも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る肩筋肉トレーニング具の実施の形態を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
【
図2】ウエイトWを追加した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
【
図3】(a)(b)(c)はそれぞれ使用状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る肩筋肉トレーニング具の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0016】
図1、
図3に示すように、この実施の形態の肩筋肉トレーニング具1は、
片手H1で握ることができるグリップ部10と、
前記片手H1と同じ側の肘Eを含む腕Aの上に載せることができる錘部20と、
前記グリップ部10と錘部20とを連結して錘部20が腕Aから落ちるのを防止する連結部30と、
を備えている。
【0017】
この肩筋肉トレーニング具1は、上記の構成となっているので、次のように使用することができ、それによって以下のような作用効果が得られる。
【0018】
図3(a)(b)または(c)に示すように、使用者Uは、片手H1でグリップ部10を握るとともに、片手H1と同じ側の肘Eを含む腕Aの上に錘部20を載せ、肘Eを矢印RU,RDに示すように上げ下ろしするようにして腕Aを上下に揺動させる。
【0019】
この動作によって、錘部20が使用者Uの肩Sに効率よく負荷を掛け、これによって効率よく肩Sの筋肉が鍛えられる。
【0020】
肘Eを上げ下ろしするようにして腕Aを上下に揺動させる際、グリップ部10と錘部20とを連結している連結部30が、腕Aから錘部20が落ちるのを防止するので、肘Eを上げ下ろしする動作は良好に行うことができる。
【0021】
なお、
図3(a)は主として三角筋前部(S1)を鍛える場合、同(b)は主として三角筋中部(S2)を鍛える場合、同(c)は主として三角筋後部(S3)を鍛える場合の使用例を示している。
【0022】
錘部20には、錘部20を前記片手H1と反対側の手H2(
図3(a)参照)で持ち上げるための指掛け部(または握り部)21が設けられている。
【0023】
このように構成すると、錘部20を肘Eを含む腕Aの上に載せる際、前記片手H1と反対側の手H2で指掛け部(または握り部)21を利用して、錘部20を持ち上げて容易に腕Aの上に載せることができる。
【0024】
図1に示すように、連結部30は、該連結部30の長さLを調整可能とする長さ調整機構31を備えている。
【0025】
このように構成すると、使用者Uの腕Aの長さに合わせて連結部30の長さLを調整できるので、腕Aの長さの異なる使用者Uに対応することが可能となる。
【0026】
グリップ部10は連結部30に対して回動可能に設けられている。
【0027】
このように構成すると、グリップ部10を握って錘部20を載せた腕A部を上下に揺動させる際、グリップ部10と連結部30とが相対的に回動可能であるので、腕A部を円滑に上下に揺動させることができる。
【0028】
また、
図1(a)に示すようにグリップ部10を実線位置から仮想線で示すように反対側に位置させることで、一つの肩筋肉トレーニング具1を、左右どちらの腕Aについても使用可能とすることができる。
【0029】
図4に示すように、この肩筋肉トレーニング具1は、グリップ部10と連結部30との間の挟角θを規制する規制部(10t、30t)を備えている。
【0030】
このように構成すると、グリップ部10を握っている手(例えば
図3(a)のH1参照)が、グリップ部10と連結部30との間に挟まれないようにすることができる。
【0031】
なお、本願において、腕Aとは、肩Sと手首との間の部分をいい、肘Eを含む部分をいう。なお、肘Eから上半分を上腕A1(
図3(b)参照)、下半分を前腕A2(
図3(b)参照)といい、本願でいう腕Aには上腕A1、前腕A2いずれも含まれる。
【0032】
この実施の形態の肩筋肉トレーニング具1は、グリップ部10、連結部30,および錘部20を一体的に構成することもできるが、上述した理由により、グリップ部10は連結部30に対して回動可能とすることが望ましい。
【0033】
グリップ部10、連結部30,および錘部20はそれぞれ適宜の材料、例えば、金属や所望の強度を有する合成樹脂で構成することができる。
【0034】
グリップ部10は、片手H1で握ることができる形状であれば、適宜の形状を採用することができる。この実施の形態では、円柱状または円筒状とする。
【0035】
連結部30は、リップ部10と錘部20とを連結して錘部20が腕Aから落ちるのを防止することができる構造であれば適宜の構造を採用することができる。この実施の形態では、円柱状または円筒状とする。
【0036】
図1に示すように、グリップ部10の連結部30の端部に平板部12を設けるとともに、連結部30のグリップ部10側の端部にも平板部32を設け、これら平板部12,32を軸となるピン(またはボルトナット)11で回動可能に結合することで、グリップ部10を連結部30に対して矢印Rで示すように回動可能としてある。
【0037】
グリップ部10と連結部30との間の挟角θを規制する規制部は適宜の構造を採用し得るが、この実施の形態では、グリップ部10の平板部12に連なる傾斜部10tと、連結部30の平板部32に連なる傾斜部30tとを設け、これら傾斜部10t、30t同士が当接することによって、挟角θが規制されるようになっている。
【0038】
錘部20は、片手H1と同じ側の肘Eを含む腕Aの上に載せることができ、肩に所望の負荷を掛けることができる構造であれば任意の構造を採用し得る。
【0039】
この実施の形態では、錘部20は、連結部30に連結される錘部本体22と、この錘部本体22に立設固定されたポール部23とを備え、
図1仮想線または
図2に示すように、適数の追加ウエイトWをポール部23に通して、錘部本体22上にセットできるようにし、使用者が望む負荷が得られるようにした。
【0040】
指掛け部(または握り部)21は、ポール部23に設けた孔23hに対して抜き差し可能である。
【0041】
図2において、40は、追加ウエイトWがポール部23に沿って移動するのを規制するための固定具であり、ポール部23を通すコイルスプリング部41と、このコイルスプリング部の両端に設けられた把持部42,42とを備えている。把持部42,42を握るとスプリング部41が弛んでポール部23上をスライド可能となり、把持部42,42を離すと、スプリング部21が締まって移動不能となる。
【0042】
連結部30の長さLを調整可能とする長さ調整機構31は、公知の適宜の機構を採用し得る。
この実施の形態では、
図1に示すように、連結部30をグリップ部10側のパイプ33と、錘部20側のパイプ34と、これらのパイプ33と34とを連結する連結パイプ35と、これら各パイプに設けられた複数の貫通穴33h、34h、35hと、これらの穴に選択的に挿通可能な連結ピン36,36とをとを備えた構成とすることによって、連結部30の長さLを調整可能とした。
【0043】
なお、グリップ部10側のパイプ33のグリップ部10側の端部は前述したように平板部32となっており、錘部20側のパイプ34は錘部本体22に固定されている。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0045】
1: 肩筋肉トレーニング具
10: グリップ部
20: 錘部
21: 指掛け部または握り部
30: 連結部
31: 調整機構