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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045080
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】組み立て式和室
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20230327BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E04B1/343 E
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153274
(22)【出願日】2021-09-21
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521414117
【氏名又は名称】万里技建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂徳
(57)【要約】
【課題】手軽に、組み立て式和室の構造及び内装などを変更する。
【解決手段】組み立て式茶室10は、土台21及び土台21から立ち上がる複数の柱22を含む骨組み20を備えている。また、組み立て式茶室10は、骨組み20に着脱可能は複数のパネル40を備えている。骨組み20は、パネル40を嵌め込むことが可能な複数の枠を有している。複数の枠は、すべて外形及び寸法が同一である。複数のパネル40はすべて外形及び寸法が同一である。一方で複数のパネル40の少なくとも1つは、外形及び寸法以外の外観が他のパネル40と異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台、及び前記土台から立ち上がる複数の柱を含む骨組みと、
前記骨組みに着脱可能な複数のパネルと、
を備えている組み立て式和室であって、
前記骨組みは、前記パネルを嵌め込むことが可能な複数の枠を有し、
複数の前記枠は、すべて外形及び寸法が同一であり、
複数の前記パネルはすべて外形及び寸法が同一である一方で、複数の前記パネルのうちの少なくとも1つは、外形及び寸法以外の外観が他の前記パネルと異なっている
組み立て式和室。
【請求項2】
複数の前記パネルは、前記組み立て式和室への出入り口であるにじり口を有するにじり口パネルと、前記にじり口よりも大きな出入り口である給仕口を有する給仕口パネルと、を含む
請求項1に記載の組み立て式和室。
【請求項3】
前記枠及び前記パネルのいずれか一方に固定されたパネル用留め具と、
前記枠及び前記パネルのいずれか他方に固定され、前記パネル用留め具が着脱可能なパネル用受け具と、
をさらに備えている
請求項1又は請求項2に記載の組み立て式和室。
【請求項4】
前記骨組みは、複数の前記柱を連結している横架材を複数有し、
複数の前記横架材に着脱可能な庇を、さらに備えている
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の組み立て式和室。
【請求項5】
前記横架材及び前記庇のいずれか一方に固定された庇用留め具と、
前記横架材及び前記庇のいずれか他方に固定され、前記庇用留め具が連結可能な庇用受け具と、
をさらに備えている
請求項4に記載の組み立て式和室。
【請求項6】
前記パネルを前記骨組みから取り外した状態で、前記パネルを立てかけた状態に支持できるスタンドを、さらに備えている
請求項5に記載の組み立て式和室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て式和室に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、組み立て式和室が記載されている。この組み立て式和室は、土台と、複数の柱と、複数の横架材と、を備えている。各柱は、土台から立ち上がっている。各横架材は、隣り合う2つの柱の間を架け渡している。これら、土台、柱、及び横架材は、組み立て式和室の骨組みを構成している。また、特許文献1の組み立て式和室は、複数の畳及び複数の障子を備えている。各畳は、土台の上に敷き詰められている。各障子は、土台、柱及び横架材によって囲まれる開口内に嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-309786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような組み立て式和室では、用途に応じて入口の位置、窓の位置、窓の有無などを変えたいことがある。また、組み立て式和室を使用する人の趣味に応じて、内装を変えたいこともある。しかし、このような変更に伴って新たな組み立て式和室を組み立てるのは、非常に手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、土台、及び前記土台から立ち上がる複数の柱を含む骨組みと、前記骨組みに着脱可能な複数のパネルと、を備えている組み立て式和室であって、前記骨組みは、前記パネルを嵌め込むことが可能な複数の枠を有し、複数の前記枠は、すべて外形及び寸法が同一であり、複数の前記パネルはすべて外形及び寸法が同一である一方で、複数の前記パネルのうちの少なくとも1つは、外形及び寸法以外の外観が他の前記パネルと異なっている組み立て式和室である。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、パネルはどの枠にも取り付けることが可能である。したがって、例えば、特定のパネルを、別の枠に嵌め込んだり、異なる他のパネルと入れ替えたりすることによって、組み立て式和室の構造及び内装などを変更できる。そして、この変更に際しては、入れ替え対象となるパネルの着脱だけで済み、骨組みの組み立てなおしを伴わない。よって、手軽に、組み立て式和室の構造及び内装などを変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、組み立て式和室の分解斜視図である。
図2図2は、組み立て式和室の側面図である。
図3図3は、組み立て式和室の側面図である。
図4図4は、着脱庇の横架材に対する着脱を説明する説明図である。
図5図5は、パネルの骨組みに対する着脱を説明する説明図である。
図6図6は、パネルをスタンドに立てかけた状態での組み立て式和室の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<組み立て式和室の一実施形態>
以下、組み立て式和室の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は、理解を容易にするために構成を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は、実際のものと、又は別の図面中のものと異なる場合がある。
【0009】
(骨組みについて)
図1に示すように、組み立て式和室10は、骨組み20を備えている。骨組み20は、土台21と、複数の柱22と、複数の横架材23と、を有している。
【0010】
土台21は、例えば、部屋の床の上に設置される。土台21は、平面視で長方形状である。土台21の長辺の寸法は、土台21の短辺の寸法の約3分の4倍である。
なお、以下の説明では、土台21の長辺が延びる方向に沿う軸を第1軸Xとする。土台21の短辺が延びる方向に沿う軸を第2軸Yとする。そして、第1軸X及び第2軸Yのいずれにも直交する軸を第3軸Zとする。また、第1軸Xに沿う方向の一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。第2軸Yに沿う方向の一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。第3軸Zに沿う方向の一方を上方向Z1とし、上方向Z1の反対方向を下方向Z2とする。
【0011】
複数の柱22は、土台21から上方向Z1に立ち上がっている。柱22は、四角柱状である。柱22は、第3軸Zに沿って延びている。柱22の第3軸Zに沿う方向の寸法は、土台21の短辺の寸法の半分よりも大きくなっている。本実施形態では、柱22の数は6本である。以下、各柱22を区別する必要があるときは、それぞれ柱22A~22Fと呼称する。
【0012】
柱22Aは、土台21における第1正方向X1側且つ第2正方向Y1側の角に位置している。柱22Bは、土台21における第1負方向X2側且つ第2正方向Y1側の角に位置している。柱22Cは、土台21における第1正方向X1側且つ第2負方向Y2側の角に位置している。柱22Dは、土台21における第1負方向X2側且つ第2負方向Y2側の角に位置している。柱22Eは、土台21における第1正方向X1側の短辺上であって第2軸Yに沿う方向の中央に位置している。柱22Fは、土台21における第1負方向X2側の短辺上であって第2軸Yに沿う方向の中央に位置している。そのため、6つの柱22は、土台21の4つの角と、土台21の2つの短辺における各中央と、にそれぞれ接続している。また、6つの柱22の第3軸Zに沿う方向の寸法は、いずれも同一である。
【0013】
骨組み20は、複数の横架材23として、2つの桁23Aと、2つの梁23Bと、1つの中間梁23Cを有している。桁23Aは、第1軸Xに沿って延びている。2つの桁23Aのうちの1つは、柱22Aにおける上方向Z1の端と柱22Bにおける上方向Z1の端と、を繋いでいる。2つの桁23Aのうちのもう1つは、柱22Cにおける上方向Z1の端と、柱22Dにおける上方向Z1の端と、を繋いでいる。
【0014】
梁23Bは、第2軸Yに沿って延びている。そのため、梁23Bは、柱22及び桁23Aのいずれにも直交している。2つの梁23Bのうちの1つは、柱22Aにおける上方向Z1の端と、柱22Cにおける上方向Z1の端と、を繋いでいる。3つの梁23Bのうちの他の1つは、柱22Bにおける上方向Z1の端と、柱22Dにおける上方向Z1の端と、を繋いでいる。したがって、これら2つの梁23Bは、柱22及び桁23Aのいずれにも連結している。
【0015】
中間梁23Cは、一方の桁23Aにおける第1軸Xに沿う方向の中央と、他方の桁23Aにおける第1軸Xに沿う方向の中央と、を繋いでいる。したがって、この中間梁23Cは、柱22には直接接続していない。
【0016】
このように構成された骨組み20は、後述するパネル40を嵌め込むことが可能な複数の枠20A~20Dを有している。図2に示すように、枠20Aは、土台21と、柱22Aと、柱22Eと、柱22A及び柱22Eに連結している梁23Bと、によって構成されている。つまり、枠20Aは、土台21における第1正方向X1側の短辺上であって、土台21の中心から視て第2正方向Y1側に位置している。また、第1負方向X2を向いて骨組み20を視たときに、枠20Aの外形は、第3軸Zに沿う方向に長い長方形状になっている。枠20Aの第2軸Yに沿う方向の寸法は、柱22Aと柱22Eとの間の距離である。枠20Aの第3軸Zに沿う方向の寸法は、土台21と梁23Bとの間の距離である。
【0017】
図3に示すように、枠20Bは、土台21と、柱22Bと、柱22Fと、柱22B及び柱22Fに連結している梁23Bと、によって構成されている。つまり、枠20Bは、土台21における第1負方向X2側の短辺上であって、土台21の中心から視て第2正方向Y1側に位置している。また、第1正方向X1を向いて骨組み20を視たときに、枠20Bの外形は、第3軸Zに沿う方向に長い長方形状になっている。枠20Bの第2軸Yに沿う方向の寸法は、柱22Bと柱22Fとの間の距離である。枠20Bの第3軸Zに沿う方向の寸法は、土台21と梁23Bとの間の距離である。
【0018】
図2に示すように、枠20Cは、土台21と、柱22Cと、柱22Eと、柱22C及び柱22Eに連結している梁23Bと、によって構成されている。つまり、枠20Cは、土台21における第1正方向X1側の短辺上であって、土台21の中心から視て第2負方向Y2側に位置している。また、第1負方向X2を向いて骨組み20を視たときに、枠20Cの外形は、第3軸Zに沿う方向に長い長方形状になっている。枠20Cの第2軸Yに沿う方向の寸法は、柱22Cと柱22Fとの間の距離である。枠20Cの第3軸Zに沿う方向の寸法は、土台21と梁23Bとの間の距離である。
【0019】
図3に示すように、枠20Dは、土台21と、柱22Dと、柱22Fと、柱22D及び柱22Fに連結している梁23Bと、によって構成されている。つまり、枠20Dは、第1負方向X2側の短辺上であって、土台21の中心から視て第2負方向Y2側に位置している。また、第1正方向X1を向いて骨組み20を視たときに、枠20Dの外形は、第3軸Zに沿う方向に長い長方形状になっている。枠20Dの第2軸Yに沿う方向の寸法は、柱22Dと柱22Fとの間の距離である。枠20Dの第3軸Zに沿う方向の寸法は、土台21と梁23Bとの間の距離である。
【0020】
このように、枠20A~20Dは、すべて同じ長方形状の外形になっている。また、枠20A~20Dの外形の長辺及び短辺は、すべて同じ寸法になっている。つまり、枠20A~20Dは、すべて外形及び寸法が同一である。
【0021】
図1に示すように、組み立て式和室は、複数の畳30を備えている。畳30は、床板の上方向Z1を向く面に敷かれている。この実施形態では、6つの畳30が土台21上に隙間なく敷き詰められている。
【0022】
(パネル等について)
図1に示すように、組み立て式和室10は、複数のパネル40と、床の間キット50と、固定壁60と、複数の襖70と、をさらに備えている。これらは、いずれも、骨組み20の側面を覆うためのものである。
【0023】
複数のパネル40は、骨組み20の枠20A~20Dにそれぞれ嵌め込まれることで、骨組み20に取り付けられている。本実施形態では、各パネル40は、にじり口パネル41と、給仕口パネル42と、窓付き壁パネル43と、窓無し壁パネル44と、である。
【0024】
図2に示すように、にじり口パネル41は、板状のパネルである。板厚と平行な方向を向いてにじり口パネル41を視たときに、にじり口パネル41の外形は、長方形状である。にじり口パネル41の外形の短辺の寸法は、枠20Aの外形の短辺の寸法と略同一である。また、にじり口パネル41の外形の長辺の寸法は、枠20Aの外形の長辺の寸法と略同一である。にじり口パネル41は、枠20Aに嵌め込まれている。
【0025】
にじり口パネル41は、にじり口41A及び引き戸41Bを有している。にじり口41Aは、組み立て式和室10への出入り口である。にじり口41Aの第2軸Yに沿う方向の寸法は、にじり口パネル41の第2軸Yに沿う方向の寸法の半分以下である。第1負方向X2を向いてにじり口パネル41を視たときに、にじり口41Aは、にじり口パネル41の中央よりも下方向Z2側に位置している。引き戸41Bは、にじり口41Aと略同一の形状及び寸法の四角形状になっている。引き戸41Bは、第2軸Yに沿う方向にスライド移動可能になっている。すなわち、引き戸41Bをスライド移動させることで、にじり口41Aを開閉できる。
【0026】
図3に示すように、給仕口パネル42は、板状のパネルである。板厚と平行な方向に給仕口パネル42を視たときに、給仕口パネル42の外形は、長方形状である。給仕口パネル42の外形の短辺の寸法は、にじり口パネル41の外形の短辺の寸法と同一である。また、給仕口パネル42の外形の長辺の寸法は、にじり口パネル41の外形の長辺の寸法と同一である。給仕口パネル42は、枠20Bに嵌め込まれている。
【0027】
給仕口パネル42は、給仕口42A及び引き戸42Bを有している。給仕口42Aは、組み立て式和室10への出入り口である。給仕口42Aの第2軸Yに沿う方向の寸法は、にじり口41Aの開口部の第2軸Yに沿う方向の寸法よりも大きい。つまり、給仕口42Aは、にじり口41Aよりも大きな出入口である。引き戸42Bは、給仕口42Aと略同一の形状及び寸法の四角形状になっている。引き戸42Bは、第2軸Yに沿う方向にスライド移動可能になっている。すなわち、引き戸42Bをスライド移動させることで、給仕口42Aを開閉できる。
【0028】
図2に示すように、窓付き壁パネル43は、板状のパネルである。板厚と平行な方向に窓付き壁パネル43を視たときに、窓付き壁パネル43の外形は、長方形状である。窓付き壁パネル43の外形の短辺の寸法は、にじり口パネル41の外形の短辺の寸法と同一である。また、窓付き壁パネル43の外形の長辺の寸法は、にじり口パネル41の外形の長辺の寸法と同一である。窓付き壁パネル43は、枠20Cに嵌め込まれている。
【0029】
窓付き壁パネル43は、窓43Aを有している。窓43Aは、窓付き壁パネル43を貫通する開口と、開口を塞ぐ障子と、で構成されている。窓43Aは、組み立て式和室10の外部から内部へと光を取り込むことができる。
【0030】
図3に示すように、窓無し壁パネル44は、板状のパネルである。板厚と平行な方向に窓無し壁パネル44を視たときに、窓無し壁パネル44の外形は、長方形状である。窓無し壁パネル44の外形の短辺の寸法は、にじり口パネル41の外形の短辺の寸法と同一である。また、窓無し壁パネル44の外形の長辺の寸法は、にじり口パネル41の外形の長辺の寸法と同一である。窓無し壁パネル44は、枠20Dに嵌め込まれている。
【0031】
窓無し壁パネル44は、板厚と平行な方向に貫通する窓や、出入口を有していない。そのため、窓無し壁パネル44は、窓付き壁パネル43のように、組み立て式和室10の外部から内部へと光を取り込むことはできない。
【0032】
このように、複数のパネル40は、すべて同じ長方形状の外形になっている。また、複数のパネル40の外形の長辺及び短辺は、すべて同じ寸法になっている。そのため、複数のパネル40は、すべて外形及び寸法が同一である。一方で、複数のパネル40は、板厚方向に貫通する開口の有無、当該開口の寸法といった点で、すべて互いに外観が異なっている。具体的には、にじり口41Aを有しているパネル40は、にじり口パネル41のみである。給仕口42Aを有しているパネル40は、給仕口パネル42のみである。窓43Aを有しているパネル40は、窓付き壁パネル43のみである。開口を有していないパネル40は、窓無し壁パネル44のみである。
【0033】
図1に示すように、床の間キット50は、骨組み20の第2負方向Y2を向く面のうち、第1軸Xに沿う方向の中央から視て第1正方向X1側に連結している。床の間キット50は、畳30から視て上方向Z1に段差のある床を有している。また、床の間キット50は、下方向Z2を向いて床の間キット50を視たときに、第2負方向Y2に凸の壁を有している。当該床及び壁によって、当該床から視て上方向Z1に位置する空間、すなわち床の間が区画されている。そのため、床の間キット50によって、組み立て式和室10に床の間が形成されている。
【0034】
固定壁60は、骨組み20の第2負方向Y2を向く面のうち、第1軸Xに沿う方向の中央から視て第1負方向X2側に連結している。固定壁60は、骨組み20と床の間キット50とに連結している。固定壁60及び床の間キット50により、骨組み20の第2負方向Y2を向く面の全体が塞がれている。
【0035】
複数の襖70は、骨組み20のうち、第2正方向Y1を向く面を覆うように、配置されている。本実施形態では、襖70の数は、4つである。4つの襖70は、土台21における第2正方向Y1側の長辺と、第2正方向Y1側の桁23Aと、の間に嵌め込まれている。各襖70は、第1軸Xに沿う方向にスライド移動可能になっている。第2負方向Y2を向いて各襖70を視たときに、4つの襖70を、互いに重ならないように配置した状態では、骨組み20の第2正方向Y1を向く面の全体が塞がれる。そして、4つの襖70を、スライド移動することにより、骨組み20の第2正方向Y1を向く面の一部が開口する。
【0036】
(庇について)
組み立て式和室10は、固定庇81と、着脱庇82と、をさらに備えている。固定庇81は、全体として、第1軸Xに沿う方向に長尺な板状である。固定庇81は、第2正方向Y1側の桁23Aに固定されている。固定庇81は、第2正方向Y1側ほど下方向Z2側に位置するように傾斜している。
【0037】
着脱庇82は、全体として、第2軸Yに沿う方向に長尺な板状である。着脱庇82は、第1正方向X1側の梁23Bに固定されている。着脱庇82は、第1正方向X1側ほど下方向Z2側に位置するように傾斜している。
【0038】
(着脱庇の着脱について)
図4に示すように、組み立て式和室10は、庇用留め具91及び庇用受け具92を複数組備えている。庇用留め具91及び庇用受け具92は、例えば、いわゆるパッチン錠である。着脱庇82は、これら庇用留め具91及び庇用受け具92によって、梁23Bに着脱可能となっている。
【0039】
各庇用留め具91は、梁23Bに固定されている。各庇用留め具91は、第2軸Yに沿う方向に互いに間隔を空けて配置されている。各庇用受け具92は、着脱庇82に固定されている。各庇用受け具92は、着脱庇82を梁23Bに載せた状態で、着脱庇82の庇用留め具91に対応する箇所に配置されている。庇用受け具92は、庇用留め具91が連結可能になっている。
【0040】
庇用留め具91を閉じるように操作すると、庇用留め具91のストッパが庇用受け具92に嵌め込まれる。梁23Bに載せられた着脱庇82は、梁23Bに固定される。また、庇用留め具91を開くように操作すると、庇用留め具91のストッパが庇用受け具92から取り外される。これにより、着脱庇82を梁23Bから取り外すことができる。
【0041】
なお、複数の庇用留め具91は、2つの梁23Bに対して、同様に固定されている。そのため、図面では、第1正方向X1側の梁23Bに着脱庇82が固定されている例を図示したが、着脱庇82は、いずれの梁23Bに対しても着脱が可能である。
【0042】
(パネルの着脱について)
図5に示すように、組み立て式和室10は、パネル用留め具93及びパネル用受け具94を備えている。複数のパネル40は、パネル用留め具93及びパネル用受け具94によって、各枠20A~20Dに対して、それぞれ着脱可能になっている。
【0043】
パネル用留め具93は、枠20A~20Dのそれぞれに対して、1組ずつ設けられている。具体的には、組み立て式和室10は、枠20Bに対するパネル用留め具93として、一対のパネル用留め具93Bを備えている。一対のパネル用留め具93Bのうちの1つは、柱22Bにおける第1負方向X2を向く面に固定されている。一対のパネル用留め具93Bのうちのもう1つは、柱22Fにおける第1負方向X2を向く面に固定されている。柱22Fに固定されたパネル用留め具93Bは、柱22Bに固定されたパネル用留め具93Bから視て上方向Z1側に位置している。つまり、一対のパネル用留め具93Bは、第3軸Zに沿う方向での位置が互いにずれている。
【0044】
パネル用留め具93は、枠20Dに対しても同様に設けられている。つまり、枠20D用のパネル用留め具93Dは、柱22D及び柱22Fに固定されている。これらの結果、柱22Fには、2つのパネル留め具93が固定されている。ただし、上述したとおり、枠20B及び20Dのそれぞれに対する一対のパネル用留め具93の位置は、第3軸Zに沿う方向にずれている。したがって、柱22Fに固定されているパネル用留め具93B、93Dは、第3軸Zに沿う方向に並んでいる。
【0045】
なお、枠20A及び枠20Cについても同様に、パネル用留め具93が固定されている。枠20A及び枠20C用のパネル用留め具93の固定位置は、枠20B及び枠20D用のパネル用留め具93の固定位置と同様である。つまり、枠20A~20Dのいずれにおいても、一対のパネル用留め具93の位置は共通である。
【0046】
パネル用受け具94は、各パネル40に対して、1組ずつ設けられている。具体的には、パネル用受け具94は、パネル40を枠20A~20Dのいずれかに嵌め込んだ状態で、各枠20A~20Dの一対のパネル用留め具93に対応する位置に配置されている。パネル用受け具94は、パネル用留め具93が連結可能になっている。パネル用留め具93のハンドルを回転することで、パネル用留め具93のストッパがパネル用受け具94に嵌め込まれる。これにより、各枠20A~20Dに嵌め込まれたパネル40が固定される。また、パネル40を各枠20A~20Dから取り外す際には、パネル用留め具93のハンドルを固定したときとは反対方向に回転することで、パネル用留め具93のストッパがパネル用受け具94から取り外される。これにより、パネル40を各枠20A~20Dから取り外すことができる。
【0047】
上述したとおり各枠20A~20Dのいずれにも、一対のパネル用留め具93が設けられている。また、各パネル40のいずれにもパネル用受け具94が設けられている。さらに、各枠20A~20Dの外形及び寸法はすべて同一であり、且つ各パネル40の外形及び寸法はすべて同一である。そのため、パネル40は、どの枠20A~20Dに対しても、着脱可能である。なお、図1図3においては、パネル用留め具93及びパネル用受け具94の図示は省略している。
【0048】
(スタンドについて)
図6に示すように、組み立て式和室10は、複数のスタンド95をさらに備えている。スタンド95は、長方形状の板が略L字状に折れ曲がった形状をしている。パネル40を、スタンド95のL字の内側に配置することで、パネル40は立てかけた状態になる。つまり、スタンド95は、パネル40を骨組み20から取り外した状態で、パネル40を立てかけた状態に支持できる。
【0049】
(上記実施形態の作用について)
上記実施形態の組み立て式和室10は、パネル用留め具93を操作することにより、各パネル40を、枠20A~20Dから取り外すことができる。また、各パネル40は、枠20A~20Dのいずれに対しても取り付けることができる。取り外したパネル40は、枠20A~20Dに取り付けるだけでなく、スタンド95を用いて立てかけておくこともできる。
【0050】
(上記実施形態の効果について)
(1)上記実施形態によれば、組み立て式和室10は、複数のパネル40と、枠20A~20Dと、を備えている。そして、パネル40は、どの枠20A~20Dに対しても、着脱可能である。したがって、例えば、枠20A~20Dに嵌め込むパネル40を入れ替えることによって、組み立て式和室10の構造及び内装などを変更できる。そして、この変更に際しては、入れ替え対象となるパネル40の着脱だけで済み、骨組み20の組み立てなおしを伴わない。よって、手軽に、組み立て式和室10の構造及び内装などを変更できる。
【0051】
(2)組み立て式和室10を茶室として使用することがある。茶室として使用される場合、流派等によって、にじり口41Aと給仕口42Aとの位置関係を調整する必要がある。上記実施形態によれば、にじり口パネル41と、給仕口パネル42と、は互いに嵌め込む位置を入れ替え可能である。そのため、骨組み20の組み立てなおしを伴わずに、にじり口41Aと給仕口42Aとの位置を変更することができる。
【0052】
(3)上記実施形態によれば、窓付き壁パネル43と、窓無し壁パネル44とは、互いに嵌め込む位置を入れ替え可能である。そのため、骨組み20の組み立てなおしを伴わずに、窓43Aの位置を変更することができる。
【0053】
(4)上記実施形態によれば、パネル40は、枠20A~20Dに対して、パネル用留め具93及びパネル用受け具94によって、着脱可能になっている。そのため、接着剤及び釘などを用いなくても、例えば、パネル40を枠20Aに嵌め込んだ状態でパネル用留め具93をパネル用受け具94に取り付ければ、パネル40を骨組み20に固定できる。その一方で、パネル用留め具93をパネル用受け具94から外せば、パネル40を骨組み20から取り外し可能である。
【0054】
(5)組み立て式和室10においては、当該組み立て式和室10のどちらが南を向いているかなどの事情によって着脱庇82を取り付けるべき位置が異なることがある。上記実施形態によれば、着脱庇82は、2つの梁23Bの双方に着脱可能である。したがって、組み立て式和室10の向きに応じて設計を変えることなく、着脱庇82の位置を変更できる。そして、この変更に際しては、着脱庇82の着脱だけで済み、骨組み20の組み立てなおしを伴わない。よって、手軽に、着脱庇82の位置を変更できる。
【0055】
(6)上記実施形態によれば、着脱庇82は、梁23Bに対して、庇用留め具91及び庇用受け具92によって、着脱可能になっている。そのため、接着剤及び釘などを用いなくても、例えば、着脱庇82を梁23B上に載せた状態で庇用留め具91を庇用受け具92に取り付ければ、着脱庇82を梁23Bに固定できる。その一方で、庇用留め具91を庇用受け具92から外せば、着脱庇82を骨組み20から取り外し可能である。
【0056】
(7)上記実施形態によれば、スタンド95により、パネル40を骨組み20から取り外した状態で、パネル40を立てかけた状態に支持できる。例えば、骨組み20からすべてのパネル40及び襖70を取り外す。そして、取り外したパネル40を、スタンド95を用いて骨組み20の周りに立てかけたとする。この場合、立てかけたパネル40を背景、畳30を舞台としたような、和風の空間を演出できる。このように、スタンド95により、取り外したパネル40を利用可能とすることで、和室としての利用を超えた空間の演出も可能となる。
【0057】
<その他の実施形態>
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。
【0058】
・骨組み20の形状は、上記実施形態に限られない。例えば、下方向Z2を向いて骨組み20を視たときに、六角形状であってもよいし、多角形状であってもよい。少なくとも、パネル40を嵌め込むことが可能な複数の枠20A~20Dを有していればよい。
【0059】
・骨組み20は、枠20A~20Dのすべてを有していなくてもよい。例えば、骨組み20は、枠20A及び枠20Bのみを有していてもよい。この場合、パネル40は、枠20A及び枠20Bにおいて、着脱可能になる。このように、骨組み20は、パネル40を嵌め込むことが可能な枠を2つ以上有していればよい。
【0060】
・骨組み20は、横架材23を有していなくてもよい。この場合、例えば、枠20Aは、土台21と、柱22Aと、柱22Eと、によって構成されていればよい。この場合の枠20Aは、上方向Z1が閉じられていない。つまり、枠20Aは、閉じた枠でなくてもよく、少なくとも3方向を囲っていてパネル40を嵌め込むことが可能であればよい。
【0061】
・複数のパネル40のうちのすべてについて、外形及び寸法以外の外観が異なっていなくてもよい。例えば、4つのパネル40のうち、1つが窓付き壁パネル43であり、且つ残りの3つが窓無し壁パネル44であってもよい。この場合であっても、窓43Aの位置を変更できる。
【0062】
・複数のパネル40における外形及び寸法以外の外観の違いは、開口の有無、開口の寸法の違いに限られない。例えば、各パネル40の外観の違いは、各パネル40に描かれた模様や図形であってもよいし、各パネルの色であってもよい。つまり、各パネル40の外観の違いは、複数のパネル40の嵌め込む箇所を入れ替えることによって、組み立て式和室10の構造又は内装を変更できるものであればよい。
【0063】
・複数のパネル40は、にじり口パネル41及び給仕口パネル42を含んでいなくてもよい。上述した変更例のように、複数のパネル40のうち、1つが窓付き壁パネル43であり、且つ残りの3つが窓無し壁パネル44であってもよい。なお、にじり口パネル41及び給仕口パネル42を含んでいない場合でも、枠20A~20Dのいずれかからパネル40を取り外せば、その部分を出入り口として利用することができる。
【0064】
・パネル用留め具93及びパネル用受け具94の固定箇所は、入れ替わっていてもよい。すなわち、パネル用留め具93がパネル40に固定されているとともに、パネル用受け具94が骨組み20に固定されていてもよい。つまり、パネル用留め具93は、枠20A~20D及び4つのパネル40のいずれか一方に固定されており、且つパネル用受け具94は、枠20A~20D及び4つのパネル40のいずれか他方に固定されていればよい。
【0065】
・枠20A~20Dに対するパネル40の固定方法は、パネル用留め具93及びパネル用受け具94に限られない。例えば、パネル40が、枠20Aに設けられた溝に差し込み可能となっていてもよい。これにより、パネル40が枠20A~20Dに対して着脱可能であればよい。
【0066】
・着脱庇82は、複数の横架材23に着脱可能であればよい。例えば、着脱庇82は、梁23Bに加えて又は代えて、桁23Aに着脱可能であってもよい。この場合、必要に応じて固定庇81を省略してもよい。
【0067】
・固定庇81及び着脱庇82の少なくとも一方は、省かれてもよい。例えば、全ての庇が、固定庇81であってもよいし、組み立て式和室10が庇を備えていなくてもよい。
・庇用留め具91及び庇用受け具92の固定箇所は、入れ替わっていてもよい。すなわち、庇用留め具91が横架材23に固定されているとともに、庇用受け具92が着脱庇82に固定されていてもよい。つまり、庇用留め具91は、横架材23及び着脱庇82のいずれか一方に固定されており、且つ庇用受け具92は、横架材23及び着脱庇82のいずれか他方に固定されていてればよい。
【0068】
・床の間キット50、固定壁60及び襖70は、省かれてもよい。これらに代わって、骨組み20にパネル40を着脱可能な枠を設けて、窓無し壁パネル44を有していてもよい。
【0069】
・スタンド95は、省かれてもよい。スタンド95を備えていない場合であっても、例えば、組み立て式和室10を設置する部屋の壁に、枠20A~20Dから取り外したパネル40と立てかけてもよい。
【0070】
・組み立て式和室10は、枠20A~20Dの数を超えるパネル40を備えていてもよい。この場合、複数のパネル40の中から好みのパネル40を選んで、枠20A~20Dに取り付ければよい。なお、余ったパネル40は、保管しておいてもよいし、スタンド95を用いて周囲に飾っておいてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…組み立て式和室
20…骨組み
20A,20B,20C,20D…枠
21…土台
22…柱
23…横架材
23A…桁
23B…梁
23C…中間梁
30…畳
40…パネル
41…にじり口パネル
41A…にじり口
42…給仕口パネル
42A…給仕口
43…窓付き壁パネル
43A…障子
44‥窓無し壁パネル
50…床の間キット
60…固定壁
70…襖
81…固定庇
82…着脱庇
91…庇用留め具
92…庇用受け具
93…パネル用留め具
94…パネル用受け具
95…スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6